【閲覧注意🎲/参加型の物語】ロー中心にホラーな目に遭わせる

  • 1◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 20:31:31

    お盆だけどきせいするばしょがないので、ローやハートのひとたちにちょっかいを出そうと思う
    皆にも遊んでほしいのでTRPG風(あくまで風)にする

    簡単に言うとスレ民自身が怪異となって、スレ主が語り手をしていくという感じだ


    スレが立ったら注意文掲載する 

  • 2◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 20:32:41

    【注意&お願い事】

    ・物語の途中にアンカーを付けることがあるので、キャラに何をさせたいか決めてくれ
    ※キャラに沿わない荒唐無稽なもの、恋愛・下品なものなど、場合によっては再アンカー
    (◎→コーヒーを飲む  ×→キスする、ウンコする…など)
    ※怪異としてのサラダ表現はOK(鏡に映るとか)
    ※選択肢から選んでもらうこともある

    ・恐怖展開になった際、SAN値(正気度)を削るダイスロールをする
    ※基本的に1d6(6面ダイス1回)をベースに、内容により増減

    ・SAN値設定はメイン行動予定の下記4名のみ。独断と偏見による設定
    ロー…70(56以下で一時発狂、30以下で発狂、0で廃人)
    ベポ…50(40以下で一時発狂、10以下で発狂、0で廃人)
    ペンギン…60(48以下で一時発狂、20以下で発狂、0で廃人)
    シャチ…65(52以下で一時発狂、25以下で発狂、0で廃人)
    ※行動のさせ方によってはSAN値の回復もあり得る

    ・アイデアロールやその他技能の等ダイスは無し

    ・グロ表現は控えめ(とはいえホラースレなので各々注意)

    ・時系列はワノ国の後だけどあんま関係ない。ざっくりいこうぜ

    ・初のスレ立てだから不備あったらすまんな

    生かすもトラウマ刺激するも発狂させるもスレ民次第
    よろしく

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 20:36:05

    面白そうなスレだ

  • 4二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 20:36:43

    楽しみ

  • 5◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 20:37:30

    >>3 >>4

    ありがとう 良ければ参加してってくれ




    トラファルガー・ローが目を覚ますと、そこは見慣れた艦の自室だった。横たえているベッドからのそりと体を起こす。普段の流れで視線を壁へ向ければ、時計はAM2:00を示していた。


    「(寝ちまってたか)」


    いつ寝たのかは記憶にないが、立ち上がって確認すると作業机にはカルテや医学書が広がっていた。そういえば、とローはクルー達の検診のためカルテを広げていたことを思い出す。


    耳をすませば艦内は普段の機械音のみで異音も敵襲も聞こえない。一寸先はどうなるか分からない過酷な海だが、今現在に限っては穏やかといってもいいだろう。


    こんな時間だが、すっかり目が醒めてしまった。

    何をしようかとローは考える。



    >>6 ローに何をさせたい?

  • 6二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 20:40:23

    夜食を作りにキッチンに行く

  • 7◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 20:49:11

    夕飯から時間が経ち、深夜特有の空腹を覚えて食堂へ行こうかと思案する。

    米が炊飯器に残っていればおにぎりを握ってもいいだろう。ついでに見張りのクルーへ差し入れをしてもいいかもしれない。


    そんなことを思いながら自室を出ようとドアノブに手をかける。

    が、ノブはどれだけ力を込めて捻ろうとしてもまるで溶接された鉄のようにビクともしなかった。


    「……?」


    ぐ、ぐ、と数度力を込めても変わらない。何かが引っかかっているような感触でもない。

    普段通りの部屋なのに自室に閉じ込められた。異様な状況に首を捻る。


    クルー達の悪戯ということは考えられないし、何かの衝撃で扉がゆがんだということもあり得ないだろう。砲撃の気配や海王類の襲撃などがあったなら、すぐ飛び起きているはずだ。


    「……さて、どうするか」



    >>10 ローに何をさせたい?

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 20:53:11

    とりあえず能力が使えるかどうかを確認

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 20:59:02

    能力が使えるか確認する
    使えたら能力で自室から脱出

  • 10二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:00:04

    シャンブルズで自室からの脱出を図り、見聞色でクルー達の状況を探る

  • 11◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 21:20:00

    とりあえず部屋の外に出ないことには始まらない。何かが起きている可能性もある。

    胸騒ぎを冷静さで覆い隠しroomを展開しようと手をかざすが、能力は発動する気配はなかった。


    「どういうことだ……!?」


    まさか能力者か、と見聞色の覇気で周囲のようすを探るも、まるで空間自体が切り取られたかのように空白だった。よく知るクルー達の気配は、一切を感知することができない。居る、居ない、という次元ではなく"無"。

    今までに感じたことのない、底知れず、気配をさぐるこちらが吸い込まれそうな感覚に総毛立つ。

    思わず両足に力を込める。


    普段から聞きなれていて生のあたたかみすら感じるエンジン音や航行中の機器類の音が、まるで知らない生き物のようにローの鼓膜を震わせた。



    SAN値チェック

    dice1d3=3 (3)



    (続きます)

  • 12二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:21:20

    能力使えないのは不味いな

  • 13二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:50:18

    初っ端からしっかり目に削れるな

  • 14◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 21:53:56

    (ロー SAN値70-3=67)



    自室のすべてが余所余所しく感じたローは枕元の鬼哭を手に取った。

    もしも悪魔の実の能力でつくられた部屋であるのなら、この鬼哭すら怪しいかもしれないが手元にないより幾分マシだ。そう思いつつ周囲に視線を走らせて室内を検分するが、違和感を覚えるところは特に無い。

    作業机も、書類棚も、薬品棚も、ベッド回りも、何もかもが普段通り。

    だからこそ異質さが際立っている自室。


    「(攻撃されてねぇってことは、"オペオペの実"目当てか?それならベポ達はどうなってる……くそ、)」


    捕縛に向きそうな悪魔の実を思い出そうと脳内の図鑑を捲るが、情報が少なすぎる。せめてクルー達の状況を把握できる手段を見つけねば、と廊下に続く扉の丸窓に目を向けた。

    手のひらサイズの窓から廊下を眺めるが、やはり空間そのものが切り取られたように真っ暗だ。有事の際に困らないよう廊下に設置しているはずの常夜灯も消えている。


    「(別の空間、或いは次元に飛ばされたとみて間違いない。或いは夢、幻覚……? いずれにせよ打破するキッカケを)」


    と、そのとき、丸窓の向こうに広がっていた闇の奥がちいさく蠢いた。

    "それ"は一歩を踏み出すようにゆるりと揺れる。


    ―――人?


    咄嗟に扉へ張り付き臨戦態勢を取ったローは、横目で丸窓の向こうを見る。

    「(……誰だ……!?)」


    >>17 誰がいい?

  • 15二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:55:32

    コラさん

  • 16二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:55:47

    ベポ

  • 17二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:56:04
  • 18二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 21:56:14

    ペンギン

  • 19◆Pxx1Kifjy223/08/12(土) 22:01:52

    コラさんオッケー
    みんな参加してくれてありがとう、風呂とか色々済ませてくるから次の更新日付変わるかも

    読みにくいとかもっと簡潔に書けとかあれば言ってくれ

  • 20二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 22:05:31

    読みやすいしSS書くの上手くて尊敬
    ハートの海賊団好きだから嬉しい

  • 21二次元好きの匿名さん23/08/12(土) 22:15:50

    ワクワクしながら見てます
    スレ主無理せず更新してね

  • 22二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 06:40:22

    ほしゅ
    ハートの驚く顔いっぱい見るぞやってやんぞ

  • 23◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 07:01:40

    保守も感想も有難う!視点・表現とかいろいろ粗があるけど雰囲気で流してくれると助かる

    正直だれも来なかったらどうしようかと思ってたからありがたい IP規制でスレ落ちたら察してくれ




    待つこと数秒か、数分か。時間の感覚が麻痺するほど呼吸を潜めて見詰めていた暗闇の向こうに、ふわりと人影が浮かぶ。


    「(……っ!?)」


    忘れるはずもない。

    特徴的な帽子に、道化の化粧。紅の瞳。

    小さな丸窓から張り付くように室内を覗く姿は、敬愛する恩人のもの。


    「コラ、さん……!?」


    思わず口をついて出たのは吐息に似た呼び声。しかし扉の向こうの男にはそれで充分だったらしい。漆黒に浮かぶ瞳がぐるりと角度を変えて斜め下、ローのほうを見やる。


    「―あァ、ロー! そこにいたのか!」


    ドン!


    声と同時に扉が叩きつけられ、その衝撃にローはびくりと背を震わせる。


    「コラさん、……なのか? いや、違う、コラさんは、だって」


    冷静になれ、何かの罠だ。そう思えば思うほど唇が戦慄いた。

    二度と聞くことのないと思っていた己を呼ぶ声に、たくさんの後悔や感謝、それから切なさや苦しさが綯い交ぜとなり胸の内を締め付ける。頭の中が引っ搔き回されたように思考がまとまらない。


    dice1d6=6 (6)

    (続く)

  • 24◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 07:15:23

    (ロー SAN値67-6=61)



    思い出の中でしか会えなかった姿に身体が震え、呼吸すらもままならない。しかし、小さな丸窓からこちらを覗く男はローの激情がおさまるのを待つことなく畳みかける。


    「時間が無い、よく聞けロー! お前はいま閉じ込められている!」


    「いや、見りゃ分かる」


    つい"あの頃"のノリで返事をしてしまい、ハッとしてローは唇を引き結ぶ。しかし窓の向こうの男は気にする風でもなく声を張り上げた。


    「ここは"あの世"と"この世"の中間地点! おれがこうしてお前の前に姿を見せることができるのもこの場所だからだ…! だがこのままではお前まで取り込まれちまう、その部屋は危険なんだ!」


    「中間、地点……!?」


    唐突な説明に、「あり得ない話ではない」とローの心が揺れ動く。この特殊な状況下、何でもありなこの海において否定や拒絶は選択肢を狭め、判断を鈍らせる。かといって軽率な行動も命取りだ。


    ―本物なら、話したいことが山ほどある。おそらく二度と得られないであろうこの機会。

    ―偽物なら、斬れるだろうか。おれの手で。


    「ロー、とりあえずこのドアを開けてくれ! おれはお前を助けに来たんだ!」


    「おれは……!」


    >>28 ローはどうする?

  • 25二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 09:15:00

    嫌な予感がして開けない

  • 26二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 09:46:43

    スキャンで周りの様子を探る

  • 27二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 09:59:47

    コラさんを信じつつ、警戒もしているのでほんの僅かだけ扉を開ける

  • 28二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 10:00:19

    開けない
    そいつが本当のコラさんかわかんないから

  • 29二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 10:00:26

    本物にしかわからない(と思われる)質問をする

  • 30◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 10:49:04

    ノブに伸びそうになった手をぐっと握りしめる。


    「(ダメだ……本物と決まった訳じゃねェ)」


    能力の効かない閉鎖空間で、得物は太太刀であるがゆえに室内で振り回すのに向かない鬼哭のみ。もしも敵だった場合、状況が悪化するだけだ。

    子供のように縋り言葉を交わしたくなる衝動を叱咤し、ローは小さく頭を振った。


    「(それに、その扉は開かなかった。真偽含め、もっと状況を確認してからだ)」


    言い訳めいたことを思い、目を瞑る。

    扉を背にしたまま深呼吸をしたその瞬間、ドン、と一層強く扉が叩かれた。


    「ロー! 危ない!!」


    「!?」


    何事だと思う間もなく、"見えないなにか"に腕を取られバランスを崩したロー。鬼哭を持っているほうの手首が、ぎちりと強く掴まれている。姿は見えないが、空間の一部が歪むように揺らめいた。

    自分しかいないと思っていた空間に別の何かが現れたことへの驚愕と、視認できない"それ"へのおぞましさに身を竦ませる。


    dice1d3=1 (1)

    (続く)

  • 31◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 11:57:31

    「くそ、離せ!」


    立て続けに起きる奇怪な現象に麻痺していたのか、危機感が勝り、"見えないなにか"相手に掴まれた手を抜こうとしたり足蹴にしようとしたりするが、手応えはない。

    相手はまるで親が赤子を連れ戻すかのごとく、圧倒的な力で手首を引っ張り、ローは思わずたたらを踏んだ。


    「ロー! ……畜生ッ!!」


    ガンガンと扉を叩く音とコラソンの悲痛な声が、部屋中に響き渡る。


    「(能力さえあれば手首を切り落とすってのに……!)」


    踏ん張りは無抵抗も等しくずりずりと引き摺られ、向かう先は作業机でも棚でもなく、先ほどまで眠っていた寝台。


    「……ッ!!」


    麻酔、拷問、能力による攻撃。何をされるか想像も及ばずローは息を呑む。ガンガンガン、扉を叩く音は一層強くなってゆく。


    「よく聞け、ロー! ここでは意志がモノを言う! そいつを拒絶しろ、思いきりだ!! 大丈夫だ、おれを信じろ!! もうお前は"そんな場所"に隠れなくて良いんだ、おれが迎えに来たんだから!!」


    コラソンの言葉にローの心臓がどくりと一際大きく鳴った。

    暗く、寒く、狭く、埃っぽい箱のなか。

    最高の笑顔と愛のことば―そして、銃声。


    >>36 ローはどうする?

  • 32◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 12:33:36

    すまんSAN値の表記忘れてた
    (ロー SAN値61-1=60)(一時発狂まであと4)

    コラさんの6で一気に削れたな、よほど衝撃だったのか
    なるべく数値の大小も文章に反映したい

  • 33二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 12:37:06

    言われた通りに思い切り拒絶する

  • 34二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 13:21:20

    トラウマ(箱の中の事)を刺激されて思いっきり拒否できない

  • 35二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 13:21:21
  • 36二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 13:37:03

    拒絶する

  • 37◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 14:38:57

    「手を、はなせ!!!」


    バチィッ


    拒絶した瞬間、火花のような破裂音が鳴りローの手首を掴んでいた"見えない何か"が弾き飛ばされた。空間を歪めるそれは数歩向こうに着地したようだが、決定的なダメージにはなっていないらしい。諦めるようすはなく再度迫ろうとする気配が感じられる。


    「(本当に拒絶が効いた…!? とにかく、掴まる訳にはいかねェ!)」


    部屋の中には目的が分からないうえに攻撃が効かない相手。

    扉の外にはコラさんかどうか分からない人影。

    四面楚歌な状況に対して出来ることなど限られる。悠長に考える暇など無い。ローは距離を取るべく先ほどと同じ扉の前までじりじりと後退しながら前方から迫り来ているであろう空間の揺らぎを睨み付ける。


    「よし、良い子だロー! よく頑張った、それでいい!! あとは同じようにここを開ければ脱出できる!!」


    「コラさん……!」


    背後からは、コラソンの安堵混じりの声が聞こえる。在りし日の優しい声にじんと胸の奥が熱くなる。

    だがコラソンの言葉に"見えない何か"は威嚇するようにぶわりと空気を孕み気配を膨れ上がらせた。ローを覆い隠せるほど大きなそれは天蓋のように広がり、迫る。


    >>40 ローはどうする?

    (次で一区切り、その後クルーのターン)(予定)

  • 38二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 14:42:44

    ksk

  • 39二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 14:46:40

    扉に手をかける

  • 40二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 14:46:52

    俺の居場所はハートだ!!的な事を叫びながらこの空間にいること自体を猛烈に拒絶する

  • 41◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 15:30:51

    恩人へ駆け寄りたいという甘えも、目の前の事象に身を委ねる諦観も、良しとしなかった。


    「(さっきの拒絶が効くなら!)」


    自由を望んでくれた人のため。

    そして自身が居たいと望んだ場所のため。


    「ここはおれの居場所じゃねえ!! "ポーラータング"、そして"ハートの海賊団"がおれの居場所だ!!!」


    ローがそう叫び鬼哭を構えた瞬間、目の前がばちばちと派手な音を立ててスパークする。全身を駆け巡る力は覇気に似ているが、発露させるものではなくて言葉にして"思い出す"という感覚に近い。


    「(そうだ、おれはあいつらの所に…!)」


    雷撃は伝播するようにローを中心とした周囲の空間を駆け巡る。


    「ロー! やめ……おれは……お前を!! お前を助けるために……ッ!! があ"あ"あ"あ"あ"!!!!」


    dice1d6=6 (6)

    (続く)

  • 42二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 15:32:32

    …なんかこれコラさん(?)もきな臭かったっぽいな?

  • 43二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 15:33:11

    1時発狂入りましたー でも脱出できたっぽいな

  • 44◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 15:54:10

    (ロー SAN値60-6=54)(56を下回ったため一時発狂)

    雷鳴のような音に混じり、扉の向こうから聞こえた恩人の劈く悲鳴。優しい笑顔と思い出を掻き消す悲痛な声に、ぎゅうと心臓が鷲掴みされた心地になったローは我を忘れて振り返る。

    「こ、コラさん…!」

    身体中をほとばしる力は徐々に薄れ、反比例するように意識がふわふわと抜けてゆく。覚束ない足取りで扉へ縋り、ドアノブに手をかけた。
    まさか、この選択は間違っていたのか。
    自分は二度も恩人を殺してしまったのではないか。

    「(どうして、違う、偽物だ、おれはあいつらの元へ、もっと冷静になっていれば、それでも、言いたいことが、偽物、ほんとうに? だとしても話くらい、おれは、また、)」

    ―確かめたい。

    霧散してゆく意識を必死にかき集めながら震える手でノブを捻ろうとした瞬間、手に"見えないなにか"が重なった。それは明確に意志をもってローの手を止めている。

    「だめだよ」

    老若男女、何の声ともつかない"音"がローの耳元で囁いた。
    途端、ローの意識はかくりと落ちる。それはまるで、視界に白い布を掛けられたようだった。


    (ごめんダイス運おもろすぎて発狂描写入れたかった/次こそクルーのターン)

  • 45二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 15:58:35

    スレ主さん文章上手いなー
    期待

  • 46二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 15:59:04

    これは発狂描写も必要ってもの
    続きが楽しみ!

  • 47◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 18:27:40

    参加だけじゃなく感想とか予想とかもありがとう!

    久しぶりの作文だしまったり進行するが、スレ主は巻き込まれIP規制が一番こわい フリじゃないぞ




    慣れた寝台でベポは目を覚ます。

    緊急時のために付けっぱなしを鉄則としている柔らかな色合いの室内灯が、ぼんやりと自室を照らしていた。クルーが増える前はローの書斎だった小ぢんまりした部屋だが、その後ベポのものとなったこの部屋には海図をひくための道具や書籍、趣味のものや非常食のお菓子がそこかしこに隠されている。


    ひくひくと鼻を動かせば、普段と変わらない、紙とインクと少し甘い自室のにおい。

    異常のない、穏やかな夜。


    心地良い毛布の感触へ甘えていたいとばかりにぐにゃぐにゃと体をこすり付けるが、そうしてばかりもいられない。だんだんとはっきりしてきた頭で思い返せば、今夜は見張り当番だ。

    長い海賊生活で見張り当番には慣れたものだが、深夜に起きるのが辛くならない訳ではない。

    それに加えて、さきほどまで浸っていた夢の出来事がベポの胸中に影を落とす。


    「(たしか……ええと……、)」


    >>50 夢の内容を思い出せる?思い出せないとしたら何かしたいことはある?

    (どちらか片方のみ)

  • 48二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 18:36:23

    なんだか幸せな夢だった気がする

  • 49二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 19:19:18

    兄ちゃんと暮らしている夢

  • 50二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 20:50:45

    旗揚げの時の夢

  • 51二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 21:21:12

    ノベルローのやつか

  • 52◆Pxx1Kifjy223/08/13(日) 21:45:49

    すまんノベロざっくり概要知ってるだけで読んではないんだ



    10年以上も前の景色がベポの脳裏によぎる。

    やさしくて大好きな兄を探して、大海原を漂流したこと、力尽きたこと。

    それから第二の家族とも呼べる皆と出会えたこと。


    「(そうだ、むかしのこと)」


    ローを輪の中心にして、食事ひとつでみんなで騒いで、仕事をして、みんなで寄り添い合って眠った日々。思い返すだけで郷愁に似たあたたかな感情が湧きおこる。


    (SAN値上昇ボーナス)

    dice1d3=1 (1)


    「(大変だったけど、たのしかったなあ)」


    そういえば出航してからは潜水艦という閉鎖空間にも見張りのための夜の起床にも慣れなかったということを思い出す。あの頃は寝過ごすことが多々あった。

    ローだけは「成長期なんだから寝させておいてやれよ」と進んで見張り当番を肩代わりしていたが、見事なブーメランということとキャプテン自ら見張りなど示しがつかないということで心を入れ替え頑張って起きるようになっていた。そんな過去を思い出して、ベポは寝台の中でふふふと笑う。


    ちょうど今宵もペンギンとシャチとの交替だ。このまま狸寝入りをしていたら、きっと懐かしい声で起こしに来るだろう。しかしそんな子供じみた、無責任なことなど出来るはずもない。

    大切な思い出を胸に今夜も大事な見張りを頑張ろう、と意気込んで時計を見れば、まだ交替まで20分ほどの余裕があった。


    「まだ少し時間あるなあ」


    >>55 ベポは何かする?(時間前倒しで見張りに行くことも可)

  • 53二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 21:52:51

    お菓子を一つ食べる
    それからローにおすそ分けに行く

  • 54二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 22:01:27

    キャプテンが何しているか見に行く

  • 55二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 22:08:07
  • 56二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 22:53:48

    お菓子のおすそ分けか…!ローのSAN値復活するといいけど…

  • 57二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 07:03:03

    ベポは部屋を出られるのか 
    ローがいるのと同じ空間なのか

    どうにかして妹出てきて欲しい 屈強キャラの聖域地雷は最高なんだ(ごめん)

    ここすごく面白いわ 期待

  • 58◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 08:32:08

    おはよう
    優しい怪異になるもヘキに忠実な怪異になるも自分次第!

    まだ色々なちょっかいかけれるから楽しんでくれ
    もう少しでペンギンとシャチも出る

  • 59◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 08:33:16

    (ベポ SAN値50+1=51)
    なにかしようかな、と呟きながらもベポの手は自然とサイドチェストに伸びる。見張りのお供にお菓子は必須だ。
    ワノ国を出たばかりで量や種類には困らないが、見張りをしながら長く食べられるものが良いだろう。引き出しから取り出した包み紙を開けば、直径2センチほど、鉛筆くらいの長さがある円筒形の物体が数本姿を現した。

    「これはたしかキンタローアメだっけ? ワノ国のお菓子はおもしろいや」

    円筒形の平面部分はさまざまな模様となっており、シンプルな花柄や白熊、それにハートの海賊旗のものもある。市井のひとに持っていけと渡された餞別で、どこを切断しても同じ模様が見れる飴とのことだった。

    「でもこれは皆で食べたいなあ」

    本当にどこで切っても同じなのか、一人で食べてしまうのは勿体ない。これはローに切ってもらってクルー全員で楽しむのがいいだろうと判断したベポは別の紙袋を手に取った。

    「こっちは何だっけ?」

    縁起がいいものなんだと亀や大きな鳥が描かれた袋を開けると、白とピンクの棒状の飴がキンタローアメと同じようにころりと横に転がった。

    「2本……あ、せっかくだしキャプテンにも食べてもらおっと。まだ起きてるかなー」

    早めに見張りについてもいいが、懐かしい夢を見たからか、ローの顔が見たくなったベポは飴を片手に立ち上がる。自室を出ながら白い棒へ齧りつけば、思いのほか柔らかだったそれはいとも簡単にバキリと圧し折れた。

    「うん、あまくておいしい!」

    ボリボリと派手な咀嚼音を反響させながら、常夜灯を頼りに廊下へと歩き出した。
    (続く)

  • 60◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 10:31:55

    同じ階層にあるローの部屋は廊下に出れば十数歩で辿り着く。素朴な飴の味を堪能しながらまたひとくち齧ろうとしたところで、ベポはぴたりと足を止めた。


    カツン、カツン。


    逆方向から足音が聞こえる。


    この階層は主に居住区だから誰が歩いていてもおかしくはない。実際、昼夜問わず起きていることが多いローへ構われに行くクルーは多い。「眠れなくて」「トイレに起きちゃって」「何か飲みますか」そうやって皆理由をつけて顔を出しに行くのだ。


    「(もしや……抜け駆け!?)」


    急いだ足音ではない。ゆったりと余裕のある音は、背中をノックされているようでベポはそっと振り返る。



    >>64 誰がいる?

  • 61二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 11:52:54

    ジャンバール

  • 62二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:47:16

    イッカク

  • 63二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:53:06

    長い髪(群青色)の女

  • 64二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 12:56:13

    ハクガン

  • 65◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 13:46:35

    クルー達の情報もっとくれーッ!!!!!てな訳で口調とか捏造



    闇にぼんやり浮かんだのは、笑みに抜かれた白面と小柄な背丈。知らぬ人間が深夜に出会えばその不気味さに恐怖対象となる男だが、ベポにとっては見慣れた家族である。

    「なんだぁ、ハクガンじゃん。この時間に起きてるの珍しいね」

    「まァな」

    基本的に早朝から夜までの操舵を担当しているため、夜は副担当に任せて早めに就寝する男だ。非常事態や宴以外でこんな時間に出くわすのは珍しい。

    「どうしたの、キャプテンになにか相談?」

    抜け駆けは許さないが、相談となると話は別だ。一緒にお菓子を食べたかったがここは遠慮すべきだろうとベポが問いかけると、ハクガンは言葉に詰まる。

    「あーいや……まァ……。お前は?」

    「おれ? 見張りの前にキャプテンとお菓子食べようと思って!」

    じゃん、という効果音付きで細長い飴を掲げるが、ハクガンの面の角度は動かない。

    「ふーん……。まァいいや、そう、ちょっとあの人に相談したいことがあってよ」

    「そっかあ。じゃあ、はいコレ。相談しながらキャプテンと一緒に食べなよ」

    齧っていないほうのピンク色をした飴を差し出すと、ハクガンはすんなりと受け取った。
    もしローが眠っていたとしても、重要なことなら起こしてでも相談するだろうし、そうでなくとも美味しく食べてくれるはず。なにせ普段からベポは行く先々の島でお菓子を買い込み、こうして皆と分け合うことが多いのでクルー達も扱いには慣れたものだった。食堂でお菓子パーティを開くことだってあるほどだ。

    「じゃあおれ、見張りだから行くね。相談終わったらちゃんとキャプテン寝かしつけてね」

  • 66◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 13:46:56

    「あァ、分かってる」

    また一口、飴を齧ったベポはローに会うのを諦めて踵を返す。
    少し早いが、交替してもいい頃合いだろう。



    そうしてベポが廊下を進み階段を上って行ったのを見送って、ハクガンは手中の飴を目の前に翳した。

    「ちゃあんと、寝かしつけるさ」

    ぐっと握られた手により、鈍い音を立てて飴が砕け折れる。
    重力に従って破片がぱらぱらと落ち、飴もハクガンも空気に溶けるようにその場から消え失せた。
    (続く)

  • 67二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 13:48:37

    え…

  • 68二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 13:51:02

    ちょっと怖い・・・
    けど面白いです

  • 69二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 14:05:52

    (永遠に)寝かしつけるさじゃないですかヤダー

  • 70二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 14:17:19

    目的わからんのが怖いな 
    これぞオバケ
    ローが力づくで引きずられるの相当だよね 変な声も仲間に化けるのもいい怖さだ

  • 71◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 15:14:17

    ※潜水艦の構造に関してはあやふやなので読み流してほしい




    潜航中の見張りは発令所が使われる。眠そうなシャチやペンギンが自分を待っているはずだ、と思いながら艦の中央へ足を向けていたベポだったが、そういえばと先ほどのやりとりを思い出してふと足を止める。


    「ハクガンのにおい、全然しなかったな」


    白熊のミンクであるベポにとって、鉄と油のニオイが常の潜水艦のなかでは特に人のニオイは覚えやすい。廊下ですれ違ったはずなのに、ハクガン特有の少し男くさくしかし清涼感もあるにおいが無かった気がして、来た道を振り返る。

    常夜灯が等間隔に並んでいるだけの暗い廊下。昼間は賑やかに開閉する交互に向かい合う鉄の扉は固く閉ざされ、しんと静まり返っていた。


    「……。」


    日頃から怪談を得意としないベポは、小さく肩を竦ませる。


    dice1d3=3 (3)


    "気がする"程度で戻って確認しに行くほどのことではない。また、ハクガンの相談を邪魔してしまうのも本意ではない。どうしようかと逡巡するベポだったが、エンジンや計器の小さな音に追い立てられて発令所へと急ぐのであった。

    (続く)

  • 72◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 15:18:38

    (ベポ SAN値51-3=48)
    そのころ発令室では、交替時間を前にペンギンとシャチが不毛な会話を繰り広げていた。

    「なー、腹減らねェ?」

    シャチのだらっとした問い掛けに、ペンギンが潜望鏡から目を離さないまま腹に手を当てる。

    「この時間になるとさすがにな。何か食ってから寝るか」

    「でもこの時間に食って寝ると胃がもたれるんだよなあ」

    「歳だな」

    「おれお前より年下なんだけど?」

    「あれだ、肉体年齢」

    「こちとらぴっちぴちの18だぞ」

    「サバを読むな、サバを」

    「魚か、どうせなら唐揚げとか肉食いてえな」

    「麦わらみたいなこと言うんじゃねーよ」

    「ゴムは食えねえからな」

    寝落ち防止といえば聞こえは良いが、中身のない会話に操舵席に着いていたハクガンが溜息を吐く。

    「お前らなァ、ひとがこれから見張りってときに飯の話題ばっかしてんじゃねぇよ」

  • 73◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 15:40:13

    そこへゴンゴンという鈍いノックの音が転がった。

    鉄の扉は重く、軽く叩いただけでは室内に聞こえないこともあるのでハートの海賊団ではこのノックが主流となっている。少し時間が早いが交替のベポだろうと思ってシャチが返事をすれば、遠慮がちに扉が開かれた。


    「よぉベポ。早いな」


    「うん、まあ……って、あれ!?」


    操舵席に座るハクガンの後ろ姿を認めた瞬間、ベポが慌てて姿かたちを確かめるべく椅子へと駆け寄った。


    「うわっ、どうしたんだよベポ!」


    「こっちのセリフだよハクガン、なんでここに居るの!?」


    「なんでって、昨日海王類騒ぎがあったろ? あの後すぐ仮眠入ったからシフトがちょっとズレたんだよ。て訳で今日は朝まで俺と一緒だ」


    「つーかベポはその手のやつなに? チョーク??」


    ハクガンの説明をそこそこに、シャチが飴の存在にくいついた。一気に賑やかとなる発令室だが、反してベポの血の気は引いていく。


    「だって、飴は?」


    「アメ? なんのはなしだ?」


    決定的な言葉にいよいよベポは戦慄いた。

    普段と違うようすに、シャチもペンギンも思わず顔を見合わせる。


    ベポSANチェック

    dice1d6=2 (2)


    >>76 ベポは先ほど会ったハクガンのことを皆に共有する?しない?

  • 74二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 15:58:03

    する

  • 75二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 16:17:20

    する


    ローの部屋だけ切り離されてて,オバケは行き来自由ってことかな

  • 76二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 16:30:22

    する

  • 77◆Pxx1Kifjy223/08/14(月) 18:16:09

    (ベポ SAN値48-2=46)

    ベポが恐々とした表情で今しがた起きたことを説明するが、3人揃って首を捻る。


    「本当に? 夢でも見たんじゃないか?」


    「だっておれ、飴まで渡したんだぞ! それにあのハクガン、においが全然しなかった!」


    シャチのジト目にベポは眉を下げて反論する。しかし常日頃から怖い夢を見て飛び起きたり、勘違いで騒動を起こしたりという前科持ちのベポのこと。話の内容に半信半疑の目を向けるが、その必死なようすにまさかな、と肝が冷えてゆく。


    ペンギンSAN値チェック

    dice1d3=3 (3)


    シャチSAN値チェック

    dice1d3=2 (2)


    「おれのドッペルゲンガーか、会うとやばいのかな」


    「きっとそうだよ今日はもう部屋に戻るのやめなよ!」


    「まあ元々今夜はここなんだが」


    ハクガンとベポがわいわいと騒ぐなか、シャチとペンギンは黙って顔を見合わせる。



    >>80 ペンギンはどうする?


    >>82 シャチはどうする?

  • 78二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 19:04:10

    みんながんばれ
    異変にすぐ気づくベポさすがはNo.2だ

    そういやローは今パジャマなのか?
    それともすぐ動けるような緩めの普段着かな

  • 79二次元好きの匿名さん23/08/14(月) 20:09:41

    ペンギン ハクガンと残っておちゃらけ喋りでメンタルケア

  • 80二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 05:35:58

    うわあああ楽しみだ

  • 81二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 07:07:40

    爆睡する

  • 82二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 07:23:56

    とりあえず集団でクルー全員集める

  • 83◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 10:04:42

    朝遅い人間だから保守がままならん

    保守&参加ありがとう ペンギンとシャチ一緒に動くか、仲良いなこいつら



    >>78

    ローは部屋着かな

    常に有事の際にすぐ動ける服装なイメージある

    秋島や冬島は着る毛布とか着てそうだけど

  • 84◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 11:33:05

    (ペンギン SAN値60-3=57)

    (シャチ SAN値65-2=63)



    この奇怪な海において小さな異常や違和感が命取りになるということをシャチもペンギンも嫌というほど理解していた。嫌な感覚がじわじわと足元を侵食している気がして、決意する。


    「異常は異常だしな」「勘違いならそれはそれでいいし」互いにそう口にしたのち、ペンギンは改めて工程を共有する。


    「キャプテンに報告しつつ許可を得て全員を集め、点呼。それからツーマンセルで見回り」


    「ベポとハクガンは見張りと操舵頼んだぜ」


    シャチの補足にアイアイ、と二人が了海を唱える。

    それを横目にペンギンは、船長室へつながる伝声管の蓋を開けた。


    「船長、ペンギンより相談です! 起きてます?」


    だが、少し待っても応えはない。あちらの蓋は常にオープンになっているはずだが、と首を捻る。


    「ダメだ、応答がねェ。あの人のことだから本に集中しすぎてるってセンもあるが……」


    「トイレとかシャワーって可能性もあるよな。大穴で食堂とか?」


    攻撃を受けてる可能性もゼロではないのだ。

    最短で動くべきだろうと2人は再度、頭の中で状況を整理する。


    >>86 ペンギンとシャチはどうする?

    ①船長室・クルーの寝室に行くため二手に分かれる

    ②2人一緒に船長室へ

    ③2人一緒にクルーの寝室へ

  • 85二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 13:17:45

    ②

    ローさん寝かしつけられた後…?

  • 86二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 13:24:44

    ②

  • 87◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 17:45:56

    「いま二手に分かれるのはまずいな。よしシャチ、とりあえずキャプテンの部屋行くぞ! ベポ達は何かあったらすぐに全体用の伝声管使って全員起こせ! あと交替記録つけといてくれ!」


    「わかった、気を付けてね!」


    シャチがペンギンと共に発令室を出る際、ちらと時刻を確認する。

    交替10分前、AM1:50。ワノ国で教えてもらったことだが、あの島の文化では丑三つ時という霊が活発になる時刻があるらしい。


    「(まさかな)」


    ベポのようすにあてられただけで、本当は異常事態など起こっておらず明日には笑い話になっている。

    そんな結末を望みながら廊下へ出た。

    ガコン、と発令室の扉が重々しく閉まる。


    「なァ、シャワー室とかはキャプテンいるかもしんねーから覗いてこーぜ」


    「覗くって言うな確認と言え確認と」


    「へいへい」


    二人で廊下を並走しながら軽口をたたき合う。

    敢えて重々しい空気を作らないシャチらしい、とペンギンは苦笑した。


    廊下は普段と何も変わらず、煌々と常夜灯が征く道を照らしている。そんななか、ペンギンはふと吸い込まれるように海中が見える窓へと目を向ける。無意識だった。

    夜空よりも深く暗い闇のなか、窓の向こうにぼんやりと映る、脱力して漂う四肢のかたち。


    ――人だ。人が、死んでいる。



    >>89 誰?(ロー含むハートクルー、本誌で関係性のある人のなかで1人~数人までOK)

  • 88二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 17:52:45

    ギャース!

    これまでの展開で自然なのはローなんだろうけどいやだーーー

    この死体本物じゃないよね?ねね???

  • 89二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 19:57:40

    ローさん

  • 90二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 20:31:57

    一気読みして追いついたらいきなり衝撃の展開

  • 91二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 21:00:22

    まぁ偽死体だとは思う

  • 92◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 21:46:21

    その姿を捉えた瞬間、ひゅ、とペンギンの喉が鳴る。

    整った顔、見慣れた衣服、長身痩躯。

    ゆらり、まるで踊るように水中に揺れるのは。


    「ロー!!!」


    それは絶叫に近かった。ガン、と丸窓を叩きつけるように張り付いたペンギン。

    暗闇に浮かぶ彼らの船長は眠るように瞼を閉じており、小さく開いた口から気泡が出ることもない。


    ペンギンSAN値チェック

    dice1d10=1 (1)


    何がどうなっているのか状況はまったく分からない。しかしこんな場所で悠長に眺めている場合ではないと我に返ったペンギンは、慌てて緊急用ハッチへと駆け出した。

    ―が、急に喉が締まりその勢いは殺される。


    「どこ行くんだよ!」


    襟首を掴んだシャチの声にペンギンは怒声で返す。


    「見ろ、ローが!!! 早く行かなきゃなんねェ!!!」


    「どこにキャプテンが居るんだよ!?」


    「そこだよ!!!」


    一秒でも勿体ないと丸窓の向こうを指さすペンギンだが、窓の向こうは深海が広がるばかりで何もない。

    (続く)

  • 93◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 21:50:20

    (ペンギン SAN値57-1=56)

    「あ…?」


    「どこだって?」


    窓に張り付き、上下左右、何度も目を凝らして海中を探るがローの姿は微かにさえも見当たらなかった。船体のすぐそばをゆっくりと漂っていたのだから、この一瞬で消え失せるというのは有り得ないだろう。

    呼吸を整えるペンギンに、シャチは眉を寄せる。


    「ベポが言ってたの、これじゃねーの」


    「……だとしても、もし本当に船外に船長がいたら、」


    「落ち着け」


    冷静さを欠いて今にもハッチへ駆け出さんとするペンギンの肩を掴み、サングラス越しに目を合わせる。


    「船長が攻撃を受けて放り出された可能性より、船内で敵と交戦してる可能性のが高ェ。ベポにソナーを任せて、俺らは急いでキャプテンと合流するぞ」


    「……そう、だな。よし、」


    帽子の下で汗をぬぐったペンギンは呼吸を整えて、ゆるりと走り出す。シャチはちらりと丸窓を一瞥してからその背を追いかけた。


    「(胸糞悪ィもん見せてくれるじゃねーか)」


    そう胸中で中指を立てながら。


    シャチSAN値チェック

    dice1d3=1 (1)


    (続く)

  • 94◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 21:50:57

    お前らSAN値固すぎんか???
    がっつり削りたかったんだが

  • 95二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 21:52:04

    キャプテンの危機にわちゃわちゃしてる場合じゃ無いからな
    ペンシャチは知らんが実際キャプテン一時的発狂引いてる訳だし

  • 96二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 22:06:14

    ハートの健やかメンタル発揮されてて良いな

  • 97◆Pxx1Kifjy223/08/15(灍) 22:10:00

    柔らかファルガーに期待するしかない

    新規さんも常連さんもいらっしゃい
    続きは明日になるしお盆も終わるがゆっくりしていってくれ

  • 98二次元好きの匿名さん23/08/15(灍) 22:13:19

    ベポのことだってわかるんだぜ
    おれは訓練された読者だ

  • 99二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 08:32:44

    おもろい
    保守

  • 100◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 09:25:21

    おはよう&保守ありがとう



    (シャチ SAN値63-1=62)


    駆ける二人の目に食堂の扉が見えてくる。

    窓からは薄暗い光が漏れているが、夜は常にこの光量を保っているため人が居るかどうかは分からない。


    「確認ついでに伝声管使うか」


    この時間すら勿体ないとばかりに勢いよく扉を開けたペンギンは、物静かな食堂へさっと目を走らせる。

    片付いた机と固定椅子が並ぶだけで、特に人影は無い。

    後から続いたシャチはカウンターキッチンの方へと顔を向けた。


    カチャ、カチャ

      カチャ、カチャ


    キッチンの奥、死角になっている暗がりから微かに聞こえる、食器が触れ合う音。


    「誰かいるのか!?」


    シャチが声を張り上げるものの、音は鳴り止まない。

    それどころかガタガタと木製の何かを引きずる音まで聞こえ、二人は顔を見合わせた。


    敵か、こういう時に限ってクルーの悪戯か、あるいは船長が?

    ただし今は、確認する時間すら惜しい。ベポへの連絡だってある。


    >>101 二人はどうする?

  • 101二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 10:14:51

    確認する

  • 102◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 10:52:57

    時間は無いが、確認しない訳にはいかない。

    シャチは通路から。ペンギンはカウンター側からキッチンへ駆け込み音の出所を覗き込む。


    「船長いたら返事を、――ッ!?」


    ギラリとした何かが瞳の一寸先で光り、反射的に避ける二人。

    次いで風切り音と共に、次々とカトラリーが瞳や首などの急所に向けて飛んでくる。


    「おわっ、ちょっ……」


    「クソッ!!」


    その精度と勢いはすさまじく、ナイフやフォーク、スプーンが目を抉ろうと、首を切ろうと次々に二人へ襲い掛かった。タイミングを見て叩き落としても数秒すればまた二人を狙いだす。

    元凶は居ないのか、と先ほど覗き込んだはずの暗がりには何もなく、まるで物盗りのように棚や引き出しが荒らされた形跡のみが残っていた。

    ずるずると引き摺る音は、重いものを収納した木箱のものだったのだろう。

    つまり。


    カトラリーの猛攻を受けるペンギンとシャチの目に、ふわりと寸胴鍋や大鍋、大型の包丁や刺身包丁が浮くのが見えた。


    「嘘だろオイ……!」


    ひくりと顔を歪めるシャチへペンギンが「逃げるぞ!!」と撤退の合図を出す。元凶が居ない、もしくは見えないのでは体力と時間の消費が勿体ない。

    ベポへの連絡は一旦諦め、踵を返して扉へ向かう。

    が、まるで溶接されたかのようにノブは固く、扉は押しても引いてもビクともしない。


    ペンギンSAN値チェック

    dice1d3=1 (1)


    シャチSAN値チェック

    dice1d3=2 (2)

  • 103◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 13:38:04

    (ペンギン SAN値56-1=55)
    (シャチ SAN値62-2=60)

    「開かねェ!!」

    「オイやべぇぞ!!」

    なんとか扉をこじ開けようとするペンギンを背に、シャチが襲い来るキッチン用品を落としてゆく。
    がらんがらん、がしゃん、ドン、さまざまな金属音が床に散らばってはまた起き上がる。

    「くそ、これじゃ…!」

    細かな擦り傷が増え、息も上がってゆく。
    二人の息が上がるのを嘲笑うかのように浮遊する器具がゆらゆら揺れて、一塊に集まった。
    集中攻撃か、とシャチが身構えたその瞬間。

    「おわっ!?」

    横目に捉えていたペンギンの姿を悲鳴と共に見失い、慌てて振り返るとそこには廊下へ開いた扉と、バランスを崩したらしく転がっている相棒の姿。

    「開いたか!」

    「シャチ後ろ!!」

    シャチの後ろに迫りくる凶器。ペンギンは慌てて身を起こしその手を引き、力いっぱい扉を蹴り閉めた。
    大小さまざまな金属音が恨みがましそうに扉を次々叩いていたが、数秒もするとあれほどの動きが嘘のように静まった。どうやら部屋から出てくる力は無いらしい。
    廊下にはペンギンとシャチ、二人の呼吸を整える音だけが場違いなほど煩く反響する。

    なにもかもが後手に回っている。ベポへの連絡も出来ず、再度食堂に入る勇気はない。ペンギンが焦れたように勢いを上げて立ち上がろうとしたそのとき、視界の端で廊下の向こうに消える"何か"を捉えた。
    (続く)

  • 104◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 15:42:54

    "それ"自体は透けていて廊下の向こう側まで見えていた。空間を揺らす小柄な布のようなかたちをしており、手には得物か何かを持っているようで不自然にシルエットが伸びていた。煙とも霧ともつかない透明な"なにか"は、ふわり、廊下の先にある階段へ消えてゆく。


    「待て!!!」


    一連の犯人だとしたら、逃がしてなるものか。

    ペンギンは廊下に足を滑らせつつもその場から走り出す。


    「おい、どうしたんだよ!?」


    「逃げる何かが見えた、追いかける!!」


    説明を吐き捨てシャチを置き去りにするペンギン。元々広い艦内ではないが、あっという間にその姿は小さくなってゆく。

    また変なものを見させられてるんじゃねェだろうな、と悪態をつきながら同じく駆け出そうとするシャチだったが、ベポへの連絡を優先すべきか足一歩ぶん迷う。



    >>107 シャチはどうする?or何をされる?

    ①ペンギンを追いかける

    ②ベポに連絡を入れる

    ③その他の行動(具体的に)

    ④シャチの身に何か起こさせたいでもOK(ホラー現象系)(愉悦したい人向け)

  • 105二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 17:57:42

    ②

  • 106二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:04:22

    加速

  • 107二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:04:32

    ④でシャチがペンギンに認識されなくなる

  • 108二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:05:36

    ①

  • 109二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:17:31

    >>107

    うわそれ怖いな


    そしてローさんどうなったのドキドキ

  • 110二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:21:05

    >>107

    もう少し詳しく書くとシャチがなにかアクション起こしてもたまたまそうなったみたいな認識になるそもそもそこにいると思ってない感じ

  • 111◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 18:26:38

    愉悦部やったぜ
    詳細ありがとう組み込ませてもらう

    眠り髭のターンももうすぐだ

  • 112二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 18:54:56

    眠り髭で笑ったスレ主さてはネーミングセンス良いな?

  • 113二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 19:54:51

    >>111

    透明な球体に閉じ込められた古えのディードリットさんが浮かんじゃったぜ(ディードさんに髭があるとは言っていない)

  • 114二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 20:28:58

    ポーラータンクがホーンテッドサブマリンになっとる

  • 115◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 20:38:06

    「(追いかけてから階段の伝声管使うか)」


    悩んでいる暇などない。追いかけてから階段の伝声管使うか、と迷いかけた足を廊下の先へ向けてシャチは全力で駆け出した。

    その姿が足元からじわじわと消えてゆくのを、知り得ないまま。




    "なにか"を追いかけ階段を下りたペンギンだがひらひらとした小柄な姿は、その先の廊下では見つからない。透明になって隠れているのかと訝しんで目を細めて廊下を睥睨するが、それらしき気配や動きは感じ取れなかった。


    「(子供のような……いや、単に身長が低い大人か……?)」


    見失った今となっては、本当に小さな姿だったかどうかすら曖昧だ。

    せっかく掴みかけた敵の尻尾だというのにと内心舌打ちをするが、やるべきことは山ほどある。優先すべきはベポへの連絡だろう。おそらく幻だろうが断定は危険だ。

    階段の踊り場にある伝声管へ戻ろうとしたその瞬間、自分の元へ向かってくるダダダッという激しい足音にびくりと身構える。


    「いや、シャチか」


    しかしその聞き慣れた足音と追いかけてくるであろう存在を思い出し、合流して連絡を任せようと階段を覗き込む。


    ―が、誰もいない。


    「おい、シャチ!?」


    今の今まで、足音が傍まで来ていたはずなのに。もしやあいつまで敵の幻だったのか。あるいは敵の襲撃に。

    ペンギンの脳内へ怒涛のように嫌な予感が押し寄せる。


    ペンギンSAN値チェック

    dice1d3=2 (2)

    (続く)

  • 116◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 20:40:02

    あ、冒頭のシャチのセリフを消し忘れた
    すまん脳内で消しといてくれ

  • 117◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 20:57:49

    (ペンギン SAN値55-2=53)



    一方、踊り場まで来たシャチは階段を上がってくるペンギンを横目に伝声管へ手を掛けようとしが、急にシャチの名を呼びながら狼狽え始める姿に違和感を感じて声をかける。


    「あ!? なんだよ、先にベポに知らせたほうがいいだろうが!」


    「どこに行ったんだアイツ……!」


    「はあ!? いや居るだろここに!!」


    声を張り上げるが目前のペンギンは一向に気が付かないようで、きょろきょろとあたりを見回し思案をし始めた。幻覚だけじゃなく遂に認識障害まで起こし始めたのか、と慌てて目の前まで階段を降りて頭を殴る。

    しかしビクリとして咄嗟に脇へ避け、戦闘態勢を取り始める始末。


    「……うそだろ…!?」


    ―声は聞こえていない。おそらくこちらが出す音も。いま接触はできたが、そのほかは?


    相手の五感を感知していかなくなっているのは、自分か、ペンギンか。そしてその原因は。対処は。時間経過で何が起こる?それよりキャプテンは!


    シャチSAN値チェック

    dice1d5=1 (1)


    己の身に、そして相棒の身に何が起きているのかさっぱり分からず混乱するシャチ。試しにドン、と壁を叩くがやはりペンギンは音の鳴る方へ視線を向けてもシャチのことを認識しない。ダン、と足音を鳴らすが、こちらは聞こえないのか壁のほうへ視線を向けたまま。


    「(何がどうなってやがる!)」


    ならばベポへの連絡は、モノを介せばどうなるか、とペンギンのことを一時放置し伝声管の蓋を開けた。これで自分がどうにかなっているのか、ペンギンの状態がおかしいのかが分かるはず。


    「ベポ! 聞こえるか!!」(続く)

  • 118二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 21:01:38

    愉悦入れてよかっためっちゃ楽しい

  • 119◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 21:28:41

    自分にないアイデアだったからめちゃ楽しいがSAN値固すぎてチクショウ


    (シャチ SAN値60-1=59)

    「……っくそ! 応答なしかよ!」

    がしゃん、と叩きつけるように蓋を落とせば、階下からペンギンが伝声管を凝視しているのが視界の端に映って舌打ちをした。これもきっと見えていないのだろう。しかしこの伝声管の不通は敵による攪乱か、やはり自分の声が認識されていないのか。
    とりあえず今ペンギンに構うのは得策じゃねェ、とシャチは踵を返す。相手をすればするほど互いに混乱し、時間を食うだけだ。むしろそれが敵の狙いなのかもしれない。
    そうと決まればやる事はひとつ、ベポへの連絡はペンギンに任せて船長探しを最優先にしようと走り出す。

    すれ違いざまに、ペンギンの肩をバシリと叩いた。
    戦闘時、気合を入れるときの合図だ。

    「(理解してくれよ、相棒!)」

    シャチはそのまま振り返る事なく、居住区にあるトイレやシャワー室の扉を次々と開け内部を確認、もとい覗きながら船長室へと向かって行った。


    「いまの……、」

    急に頭を殴られたり伝声管が開閉したり、まるでポルターガイストのような事象に目を白黒させ臨戦態勢をとっていたペンギン。だが"見えないなにか"に肩を叩かれた痛み。あれはよく知るものだった。
    これは、つまり。周囲を用心しつつパズルのピースを繋いでゆくペンギンの耳に、背後の部屋やトイレの扉が開かれてゆく音が次々と届く。

    「……まずはベポに連絡だな」

    それから、あとでおれにも2発ぶん殴らせろ。
    自身の推察にそう結論付けて、ペンギンは伝声管の蓋を手に取った。

    「ベポ! 聞こえるか!!」(続く)

  • 120二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 21:37:34

    ペンシャチのバディかっこいい!

  • 121◆Pxx1Kifjy223/08/16(ć°´) 23:10:06

    トラファルガー・ローが目を覚ますと、そこは見慣れた艦の自室だった。横たえているベッドからのそりと体を起こす。普段の流れで視線を壁へ向ければ、時計はAM2:00を示していた。


    「(寝ちまってたか)」


    いつ寝たのかは記憶にないが、立ち上がって確認すると作業机にはカルテや医学書が広がっていた。そういえば、とローはクルー達の検診のためカルテを広げていたことを思い出す。


    耳をすませば艦内は普段の機械音のみで異音も敵襲も聞こえない。一寸先はどうなるか分からない過酷な海だが、今現在に限っては穏やかといってもいいだろう。


    こんな時間だが、すっかり目が醒めてしまった。

    夕飯から時間が経ち、深夜特有の空腹を覚えて食堂へ行こうかと思案する。

    米が炊飯器に残っていればおにぎりを握ってもいいだろう。ついでに見張りのクルーへ差し入れをしてもいいかもしれない。



    ――そこで、不意に違和感が身を包む。



    「(……おれは、本当に眠っていたのか?)」


    倦怠感と、じりじりとした身を蝕む焦燥感。

    それから何かが欠けているような、漠然とした不安。


    「…………待て……、おれは、なにを……?」


    頭の中にかかるモヤは重く、ローの思考を覆い隠す。知らず知らず不規則になってゆく呼吸。何かを見て、喋っていた記憶。それから、"誰か"の断末魔。



    >>124 ローに一連の出来事を思い出させる?思い出させない?

    (ロー 現在のSAN値54)(一時発狂済/30以下で継続的発狂)

  • 122二次元好きの匿名さん23/08/16(ć°´) 23:53:09

    思い出させない

  • 123二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:01:15

    思い出させない

  • 124二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:05:18

    思い出させる

  • 125二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 01:55:31

    今週の土日に一気読みしたい

  • 126二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 07:33:39

    ほしゅ

    能力者じゃないから展開も目的も予想とかできないのが面白い

  • 127◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 10:53:45

    色々と優しいスレ民だなと思ってたらピンポイントで容赦なくて笑う
    これでこそ怪異スレ

    可愛そうなトラファルガー…ひとえにお前のSANが柔らかいせいだが・・・

  • 128◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 11:35:50

     

    「――あ……、そうだ、おれは、……おれが……ッ!」


    真偽を確かめないまま、憶測で拒絶した。

    耳に残る断末魔が、最期に見た優しい笑顔を塗りつぶしてゆく。


    『その部屋は危険なんだ!』


    『ロー! やめ……おれは……お前を!! お前を助けるために……ッ!!』


    己が消したモノは、"誰"だったのか。


    ローSAN値チェック

    dice1d5=5 (5)



    ―確かめなければ。


    ローはふらりと歩みを進め、扉のノブに手をかける。

    記憶にあった固さや抵抗感は一切無い。すんなりと回るそれに構うことなく扉を開けた。


    扉の向こうは足元さえも飲み込むほどの闇だった。

    廊下や内装の一切が視認できず、自室からの灯りを背に受けてんなければ伸ばした手すら黒く塗りつぶされてしまいそうなほどである。ローが発するはっ、はっ、と短く乱れた呼吸も反響することなく闇のなかへ呑まれていった。


    この特異な状況、やはり先ほどの出来事は夢でも何でもないらしいと力なく自嘲する。ふと今更ながら思い出したようにroomの展開や覇気の使用を試みるが、発動する気配はない。


    「……コラ、さん」


    ぽつり、力なく呼ぶ声は途方に暮れた迷子のようだった。

    (続く)

  • 129二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 11:42:42

    クルーのSAN値はあんまり減らないのに
    ローのSAN値がゴリゴリ削られている…

  • 130二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 11:53:52

    死なない(精神的にも)ならガンガンちょっかい掛けるぜかけるぜ 新鮮で楽しい

  • 131◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 11:58:18

    1回のSAN値減少が大きければ大きいほど冷静な判断・行動ができなくなって30以下で常に恐慌状態(会話は可能)→0で廃人、というイメージだ

    死なれては困るが0に近付けても問題ないから楽しんでくれ

  • 132◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 12:04:39

    発狂(常に恐慌状態)はそれぞれ数値が違うわごめん
    ローが30以下、ベポが10以下、ペンギンが20以下、シャチが25以下だな

    ローがメインだしと思って初期SAN高くした結果がこれだよ 愉悦

  • 133二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 12:10:31

    眠り髭でほんとにお腹痛いスレ主のセンスに脱帽

  • 134◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 14:21:30

    (ロー SAN値54-5=49)
    誘われるように、ローは闇のなかへ踏み出した。
    地を踏んでいる感覚があるのに、ふわりと宙に浮く感覚もある。実感がない、というのが適当だろう。うろ、と視線を彷徨わせても目印も光もなにもない。このまま進めば間違いなく完全に闇のなかだろう。
    しかし、それでもよかった。

    「(あの部屋から離れねェと)」

    此処が何なのか、状況すら判明していない。
    乱れつつある呼吸と動悸に急き立てられるようにして、一歩、また一歩と歩みを進める。

    「はぁ……、はっ……、」

    ローには、行く当てのないこの感覚に覚えがあった。
    かけがえのない人を喪って、絶望し、がらんどうな心を抱えてあてもなく歩いていた幼い記憶。

    今はあのときとは違う。そうゆるくかぶりを振るが、違うと思えば思うほど頭の中は真っ白になってゆく。

    ―酸素が薄い

    ローがそう思った瞬間、右手をぐいと強い力で後ろへ引かれてバランスを崩した。

    「なっ……!?」

    気配がないまま右の手首を掴まれる感覚に驚き態勢を立て直そうとするが、相手は手首を掴んだまま素早くローを暗闇へ押し倒す。せめて姿かたちだけでもと視線を走らせるが目視は叶わず、ローの周囲には闇が広がるのみである。
    おそらく自室でも襲ってきた"見えないなにか"だろう、相手は倒れ伏したローへ素早く跨って無理矢理口のなかへ"なにか"を捩じ込もうとしている。

    「ぐ、っ……なんっ……!」

    先ほどのように"拒絶"をしなければ、という思考は乱れた呼吸とともに霧散した。身体が、脳が、まるでいうことをきかなかった。
    (続く)

  • 135二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 16:59:43

    これオバケの支配領域が広がってるってこと…?!

  • 136◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 18:12:56

    むずかる赤子を宥めるような手つきだった。ローの抵抗も構わず口のなかへ"何か"を放り込んだ相手は、蓋をするように口元を抑えつける。吐き出すことは叶わず、背に乗りマウントを取る"見えない何か"も押し退けられそうにない。

    劇薬か、睡眠薬か、あるいはもっと別のなにかか。


    ローSAN値チェック

    dice1d3=3 (3)


    なるべく口内で触らないようにしていたそれだが、どれだけ心が拒否をしていても味蕾は味覚を感じ取る。

    最初は甘味、それから。


    それから、特に、なにもない。


    「(……甘い……飴……?)」


    飲み込むまいとおそるおそる口の中で転がしてみるが、刺激も異物も、なにもない。自覚できない効果があるのかもしれないと警戒してみても、ただひたすらに口の中が執拗な甘さに染まってゆくだけだった。


    「(…………ベポが好きそうな味だな)」


    唐突に、菓子が好きな白熊ののほほんとした顔が脳裏に過ぎる。それから、時折開かれている菓子のパーティ。食堂の一角でベポとウニとイッカクを中心に開催されているそれへ出くわし、あれもこれもと押し付けられたことは一度や二度ではない。甘いものがさほど得意ではないローだったが、煮詰まったときの糖分補給としては悪くなかった。

    それから芋蔓式に引きずり出される、船内での思い出の数々とクルーの笑顔。


    計器のメンテナンスに不備がありポーラータングへ無茶をさせたこと。必要に迫られ艦内をどんどん改造していったこと。戦闘で医療機器が壊滅したこと。甲板で戦闘訓練や洗濯物を広げる日々。食堂で起きる他愛のない論争や笑い話。

    ゾウで生きて再会できたときのクルー達の顔は生涯忘れることがないだろう。


    ローSAN値チェック(回復)

    dice1d5=4 (4)


    さまざまな思いに耽り、気付けば背中の重みは無くなっていた。

    訝しみながら、ローはゆっくりと立ち上がる。先ほどまでの息苦しさと眩暈に似た浮遊感はどこにもなかった。

  • 137二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 19:53:11

    まさかの回復

  • 138二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 19:53:52

    恐らく千歳飴だよね。ちょっと安心なのかな?

  • 139二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:03:02

    まさかお裾分けが届いた?
    謎が増えた

  • 140◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 20:15:39

    (ロー SAN値49-3+4=50)

    「……どうなってる……?」


    口の中で少し尖った、円筒形に近い形の飴を噛めば簡単に割れ、するすると溶けてゆく。役目を果たしたといわんばかりのそれに今更吐き捨てる訳にもいかず、ローは眉を顰めた。


    「あのこが、のろいをうけてくれてるよ」


    老若男女、何の声ともつかない"音"が耳に届いてバッと振り返る。

    そこに存在していたのは、レインコートのような布を目深にかぶった子供だった。背丈はローの半分ほどしかなく、にっこりと笑む口元は穏やかだ。手に大きめの木槌を持っているが、敵意は感じ取れない。


    「……おまえは、なんだ……?」


    「だからきみと、ようやくあえた」


    ローの問いには答えない。たどたどしく綴られる音は、目の前の子供から発せられているようで、空間そのものから聞こえているようでもあった。


    「むかえにくるよ」


    "それ"は紡ぐ。


    「たからばこのなかで、まっていて」


    そう伝えたきり、闇へ溶け、姿を消した。


    おい、と咄嗟に思わず手を伸ばすが、何の感触も得られない。ローはクリアになった思考でふぅと息を吐く。

    今のところ敵対する意思はなさそうだった。が、状況に変化があればどうなるかは分からない。気になったのは「あの子」と「たからばこ」という単語。

    今まで"見えないなにか"から受けていたものが全てあの子供からのものだとすれば、宝箱とはローの自室をさすのだろう。そして何らかの目的をもってローを留め、動いている最中ということになる。しかし情報が少なすぎて、例の偽物であろう恩人とグルではないとも言い切れない。この闇ばかりの妙な空間も調べるべきではないだろうか。


    >>143 ローはどうする?

  • 141二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:24:28

    たからばこ を探す

  • 142二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:28:53

    「あの子」についてもう少し思考する

  • 143二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:33:28

    コラさんを探す

  • 144二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 20:57:59

    クラちゃんが味方!

  • 145◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 21:39:33

    子供は気安く、安心させるような呼びかけだった。
    しかし待っていてと言われたものの、子供の正体が分からない以上言う通りにするのは性に合わない。ローは一旦自室へ足を向ける。先ほどは思わず無策で踏み込んでしまったが、準備をしてこのあたりを探るべきだろう。

    ―あのひとに会って、今度こそきちんと確かめたい。

    そんな愚かな希望もあった。しかし気になる点はある。"この場所への拒絶"でダメージを喰らっていたことはまだ分かる、しかしそしてあの扉の向こうに居た存在は確かにローの自室へ向けて「"そんな場所"に隠れなくていい」と言っていた。それが妙に引っかかる。

    「(あの人がおれの部屋をそんな風に言うだろうか)」

    ローの部屋だと知らなかった可能性もある。だが、敵がつくりだした空間であれば"そんな場所"とも言えるだろう。とにかく、再び会えるのなら敵だろうが味方だろうが事態は進むはず。

    「(まァ、もし本物なら攻撃しちまったことになるんだが……)」

    耳に残る断末魔。だとしてもあの人があれくらいでやられる訳がねェ、とドジでタフな面をよく知るローはそう断じて足取りで闇の中から明るい部屋へと戻る。騒動が嘘のように静まり返った、見慣れた自室の眩しさに思わず目が眩む。

    すぐに枕元にある鬼哭を抱え、その慣れた存在感と重さに思わず詰めていた息を吐いた。前回も思ったが、たとえ偽物であっても能力も覇気も使えないので無いよりマシだろう。
    引き起こしかけていた過呼吸と混乱は、飴のおかげで落ち着いた。身体能力も、能力以外は問題ない。作業机に置いてある普段の帽子を被り、壁に掛けてある非常用のランタンを手に取った。

    「……行くか」

    動かないことには、始まらない。
    問題があれば戻れば良い。

      『むかえにくるよ』

    掛けられた言葉が、頭の中で反響する。
    しかしローはそれを振り切り、ふたたび闇の中へ歩き出すのであった。

  • 146◆Pxx1Kifjy223/08/17(木) 21:44:39

    今日はここまでだがアンカーが少なくてごべーん
    明日はホラー現象募集予定だから気軽に参加してくれ

    あとアンカーを⚓の絵文字であらわすのに昨日気付いた
    どう表現すればいいのか分からなくて参加型とか書いた自分をぶん殴りたい センスは皆無だった

  • 147二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:46:30

    1おつー
    1のスレなんだから安価も1の裁量でええんやで

  • 148二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:50:20

    こういうの好きだからワクワクするわー

  • 149二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:24:50

    イッチ乙!!外出ちゃったか…まあそうだよね大人しくしてないよねこの人は

  • 150二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 22:36:03

    おつ!!!

  • 151二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 07:01:49

    保守

  • 152◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 12:08:17

    色々ありがとう、のんびり楽しくやってくわ




    扉の外は、やはりポーラータング号の中とは全く異なっていた。

    通路も壁も、障害物すらなにもなく、ただひたすらに闇が広がっている。ランタンをかざしても見えるのは数歩先という程度で、あまり用を成していない。

    方向感覚が狂いそうだ、とローは辟易する。扉からまっすぐ出てきたはずだが、自信は無い。体感で10mほどしか歩いていないはずなのに、振り返っても部屋からの明かりは見えなくなっていた。


    「コラさん! いるのか!?」


    立ち止まり恩人の名を呼んでみるが、返事はない。

    しかし再び歩き出そうとしたところで、少し離れた場所へ灯るように"景色"があらわれた。ポストカードほどの大きさの"どこかの景色"が、暗闇の中で浮いている。しかもひとつやふたつではない。


    幼い頃に家族と過ごした家、

    白い街並み、

    ドンキホーテファミリーのアジト、

    恩人と渡り歩いた数々の病院、

    ミニオン島やスワロー島、北の海を出てこれまで渡ってきた数々の島。

    ドレスローザやゾウ、ワノ国もある。


    取り囲むようにいくつも出現する"景色"は、ローの記憶に覚えのある場所ばかりだった。

    まるで夢や記憶のカケラ、あるいは本の1ページのようだ。対象の記憶を操作できる悪魔の実があったようなと考えるが、そうするとロー自身に干渉させる意味が分からない。


    「(考えていても仕方ないが……)」


    ローはふらりと引き寄せられるように"景色"のひとつに近付いた。


    >>154 どこの"景色"の中にローを飛ばす?


    >>156 そのなかでどんな怪異(ホラー展開)が起きる?

  • 153二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:15:49

    ワノ国

  • 154二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:16:14

    コラさんと一緒に船に乗っている景色

  • 155二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:19:56

    なんかゾロが怪異関係なくファンタジスタでたどり着いた

  • 156二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:37:06

    大事なことっていうのはわかるのにコラさん関連のの記憶が消えていく

  • 157◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 12:45:33

    ゾロのファンタジスタわろた
    こっちがSANチェック必要になるやつ

    安価おけ
    たぶん18時以降に同じく景色と怪異を募集するからよろしくな
    ちなみに景色は本誌でローが行ってるとこならどこでもOK(パンクハザードとかシャボンディとか)
    詳しい指定があるならそれも書いてくれ
    例:フレバンスの教会、ドレスローザで縛り付けられてたハートの席…など

  • 158二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 12:48:28

    お化け屋敷でお化け側で脅かしてる気分に慣れて非常に楽しいスレ主ありがとう

  • 159◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 18:10:07

    それは在りし日の記憶。珀鉛病を治すために病院を探して渡り歩く日々。

    見覚えのある小舟が岩に繋がれ、海の中を浮いていた。


    「…………」


    触れる意図は無かった。ただあの頃に郷愁を感じて近寄っただけ。しかし数歩近寄ったそのとき、急に周囲の闇色が引き潮のように"引き上がる"。


    「!?」


    "幕が上がる"という表現のほうが適切だろうか。ローの周囲へ重く漂っていた闇が上へ消えてゆくと、その向こうには青く染まる地平線が現れた。嗅ぎ慣れた潮の香り、どこまでも続くきらきらと光を反射する海面、不安定な足元。


    「な、……っ!」


    気が付けば、身体は小舟の上にあった。大人二人も乗れば窮屈になるであろう舟は、さきほどの"景色"のなかにあったはずのもの。

    "景色"に取り込まれたか、幻覚か。可能性としては後者の方が高いが、己の五感は此処が海の上だと告げている。


    「どうなってんだ……!」


    ローSAN値チェック

    dice1d3=3 (3)


    見渡せば小さな島に着岸しているようだったが、そちらにはあまり覚えがない。

    あの頃は起きているだけで辛かったし、景色を見る余裕などなかったのだ。

    ただ、焦げ付いた焚火の跡や空の缶詰が落ちていることから、停泊していた場所ではあるのだろう。自分すら覚えが曖昧な景色を再現するとなると、やはり記憶を扱う能力者による攻撃なのかもしれない。


    そんなことを思いながら、ローは鬼哭を抱え直す。

    とにかく降りて、突破口、あるいは帰り道や敵を見つけなければ。

    (続く)

  • 160◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 18:12:03

    むしろお前のSAN値がどうなってんだよ・・・

  • 161◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 18:36:21

    (ロー SAN値50-3=47)

    次々と現れる異様な空間は確実にローの精神を蝕んでいた。

    焦燥感が背筋にこびり付く。景色が変わるのであれば、じきにここも変化があるのかもしれない。とにかくこんなところでじっとして居られない、と感傷を捨て置き小舟から岩肌へと歩みを移す。


    身体は辛かったが、たくさんの思い出が詰まった舟だ。痛みと熱で震える自分に与えられたぬくもりと、涙と、必死な声。

    恩人の声を思い出そうとして、ローはふと歩みを止める。

    己を呼ぶ声、あれはどんな声だったか。


    「いや……待て、」


    覚えているはずだ、と記憶を手繰り寄せようとするが、掴もうとすればするほどするすると消えてゆく。



    特徴的な化粧をしていたはずだ


       いや、していなかった?


    大きな体躯をしていた?


      おれとどういう関係だった?


       海軍?海賊?一般人か?


    ―そもそも、自分に恩人など居ただろうか。



    水のように、砂のように、手指から零れ落ちてゆく記憶。大切なはずなのに、それが"なに"かが分からなくなっていく。自分が自分じゃなくなるようで、ローは思わず胸元を押さえた。


    ローSAN値チェック

    dice1d6=2 (2)

  • 162◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 19:08:15

    (ロー SAN値47-2=45)

    ドンキホーテファミリーから逃げることになった原因。そして自分がこれまで生きてきた理由。確かに大きなものがあったはずだが、体験も、記憶も、すっぱりと抜け落ちている。


    「(……脳に攻撃を受けている?初期症状が一切ない。ポーラータング、クルー達のことは覚えている。社会的行動に関してもおそらく問題ない。外傷、脳炎、高次脳機能障害?それにしてはピンポイントすぎる)」


    医者として自身の状況を把握しようとするが、急激な脳への負荷、あるいはそれに即した敵の能力や攻撃による記憶障害とみて間違いないと推察して呼吸を整える。


    「(問題ねェ)」


    ローは抜け落ちた記憶に縋らなかった。

    "取られた"記憶は大事なものだったのだろう。きっと己の人生の根幹を形成するほどに。

    だからこそ敵が、それを奪った。


    むしろ敵の目的や攻撃手段に"ロー自身の記憶"が関係あるのかもしれないというヒントを得て、にやりと笑む。


    「やってやろうじゃねェか」


    さきほどまで"それが何か"知っていたはずの焚火の跡も、空の缶詰も、小さな古びた小舟も、ローのなかでは覚えのないモノにすぎなくなっている。


    ―大丈夫だ、まだやれる。


    名前すら忘れた誰か、もしくは何かに向けて、そう呟いた。

    青く澄み渡る上空。"景色"への緞帳をおろすように、再び闇がローを包みはじめていた。



    >>165 次はどこの"景色"の中にローを飛ばす?


    >>168 どんな怪異(ホラー展開)が起きる?

    ※精神的、肉体的問わず

  • 163二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 19:42:04

    パンクハザード

  • 164二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:09:42

    フレバンス
    母親とラミと少しだけ一緒に行ったお祭りの風景

  • 165二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:10:04

    黒ひげから敗走してベポに担がれてるところ

  • 166二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:19:57

    当時の状況と肉体的痛みが再現される

  • 167二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:21:51

    担いでいるベポがいつの間にかベポの生皮を被った何かにすり替わってる

  • 168二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:22:36

    見聞色が暴走して未来を垣間見る

  • 169◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 20:36:09

    おっけー

    今回のスレはワノ国出航後、黒ひげと会敵前イメージしてるからそういう未来が視えたって感じにするか


    >>167 スレ主がぞわっとした 閲注スレらしくて好きだ

  • 170◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 21:43:55

    特に行動をしていないにも関わらず再び闇に包まれ、ローは闇に目を慣らすために瞬いた。周囲には先ほどと同じように"景色"がいくつも浮いている。ただし例の小舟を映した"景色"は無くなっていた。


    「戻ってきたってことか? ……これに突っ込んだほうが敵の懐に潜り込めるのかもしれねェな」


    出口や敵はもちろん、そのほか"何か"を探してこの闇に来た気がするがそれすら思い出せずローは思案する。とにかく脱出もしくは敵を倒すのが先決だ。もしくは、攻撃を受けたことで状況が変わっているかもしれないので一度部屋へ戻ってみるべきか。

    そのとき、ローの視界にノイズが走る。


    「……っ!?」


    思考と視覚が掻き回される感覚に足元がふらついた。

    地面へ鬼哭を突き立ててバランスを取るが、ぐわんぐわんと揺れる視界に思わず目を瞑る。覇気を覚えたての頃、無茶な修行で暴走してしまった感覚によく似ているが、それよりひどい。映像電伝虫が混線するように絶え間なく過去に見聞きしたモノの断片が襲い来る。


    そしてそのなかに、一瞬だけ奇妙なものが視えた。


    ―否、視えてしまった。



    起き上がる気力さえなく、大怪我を負う自分。


    スーロン化したベポが、何かを叫んで一撃を入れている。


    視界が霞んでよく見えない。


    身体の感覚はないが、クルー達を、ポーラータングを守らねばと思うが血を吐くことがやっとだった。ベポが己を担いで、流れるように海へ潜り、島を離れようとして。


    「待て、ベポ!!!」



    ローSAN値チェック

    dice1d6=3 (3)

  • 171二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:50:55

    SAN値ゴリゴリ削れていくなぁ...

  • 172二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 22:14:59

    え、ローさんSAN値大丈夫?なんか高い数値をバンバン出してゴリゴリ削れてくけど…

  • 173◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 22:25:02

    >>172

    安心してくれギリギリを楽しむ怪異スレだ そして次はクルーに移る



    あと次Partのスレタイ冒頭、【閲覧注意🎲⚓SS】に変更しようと思うんだがこういうの途中で変えてもいいものか

    たぶん量的には次スレで終わると思うが、変更NGだったら教えてほしい

  • 174二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 22:30:53

    スレタイは内容の説明なのでその都度追加で問題ないと思うよ

  • 175◆Pxx1Kifjy223/08/18(金) 22:33:56

    ありがとう じゃあ次スレは修正するわ

  • 176二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:02:23

    一気に読んでしまった
    面白い

  • 177◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 07:59:20

    (ロー SAN値45-3=42)
    はた、と気付けば元の闇のなかだった。身体の痛みはなく、己を担ぐベポも、敵も島もなにもない。
    壊れた身体と海中の息苦しさが、余韻となってローの精神を蝕んでゆく。

    「(……落ち着け。きっとこれも、敵の攻撃だ)」

    相次ぐ出来事に段々と敵のやり方が分かってきたローは、息を乱しながら自身に言い聞かせる。
    つまるところ記憶を削ぐのも、妙なものを見せるのも、疲弊や混乱を招くため。動揺した隙に本体が攻撃しに来るのか、他に何か手があるのかは分からない。それでも、とローはある可能性に思い至る。

    「(直接見えねェのは厄介だが、逆を言えば敵には"その手段しか取れない"ってことも有り得るな)」

    長い息を吐いて呼吸を整え、杖代わりにしていた鬼哭を抱え上げる。
    あれだけ視界をぐちゃぐちゃと掻き回していた現象は元通り。周囲に浮いている"景色"も変わらない。

    視界の混乱は体感にして1分か2分。
    その前の小舟でも、おそらく5分と経たずこの場所へ戻ってきている。
    それらを考えると、相手が手出しをできる時間が限られている、あるいはインターバルが設けられているということも考えられる。もし自分が敵だとしたら、もっと畳みかけるように"景色"を見せたり、永続的に視覚を混乱させたりするだろう。

    「……おれが弱るのを待っている可能性もあるな」

    思えば最初から、直接命を狙ってきていない。

    しかしローが"最初"を思い出そうとすればするほど、記憶はぽっかりと空いた存在を主張する。
    自室のような場所で起き、そこになにかが来て、そのまま何かを探しにこの闇をさぐっているはずなのに。

    この状況のヒントになるはずだった"なにか"は、失われた。
    自分を成すものと言っても過言ではない"なにか"。
    いっそ自分自身の経歴や存在すら疑いたくなる心を叱咤し、浮かぶ数々の"景色"を見据えるのだった。
    (続く)

  • 178◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 10:14:17

    『……という訳だ、あのあたりを重点的に探っておいてくれ! 偽物の可能性もあるから気をつけろよ』


    伝声管を使ったペンギンからの伝達に、ベポはアイアイ、と素早く返事をして会話を終える。

    ローが海に放り出されているなんて、あってほしくない。急いで船体の周囲をざっと確認するが、やはりそれらしき影はないもののソナーからは目が離せなかった。今が昼間であったのなら、自ら泳いで確認したいところだ。


    ペンギンの話では、シャチの姿が見えなくなったという連絡もあった。


    「あっちでもこっちでも……何が起きてるんだろう。キャプテンもどこ行っちゃったのかな……」


    「あの人ならきっと大丈夫だ。おれらは自分にできることをやるしかないさ」


    ベポの独り言めいた吐露に、ハクガンが元気づける。

    もどかしくはあるが、実際に現状でできる事はほとんどない。逸る気持ちで精度を最大限に上げてソナーをチェックしていたベポの耳へ、廊下を歩く足音が聞こえた。

    扉越しなので分かりにくいが、この発令室へと向かってきているようだ。


    「あれ? この音……」



    >>180 誰の足音?(ハートの海賊団内の誰かで)

  • 179二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 11:06:01

    ksk

  • 180二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 11:06:12

    イッカク

  • 181◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 15:30:27

    「(イッカク?)」

    彼女特有の軽やかな足音に、ソナーに目を向けたままベポの耳がびくびくと動く。
    どちらかというと宵っ張りなタイプなので、起きていても不思議ではない。もしかして夜食でも持ってきてくれたのかな、と思うがハクガンのこともあって内心身構えた。
    ごんごんごん、と扉を叩く音がする。

    「お? 誰だ?」

    「イッカク、だと思う。けど……」

    ハクガンは背もたれ越しにひょいと振り返るが、ベポは身を固くしたままだ。ハクガンもベポの言いたい事を察して、立ち上がりかけた腰を落とす。

    『おーい。ベポ、ハクガン、そこにいるでしょ?』

    「おお。悪い、いまちょっと手が離せなくて」

    扉越しのくぐもった声は、イッカクそのものだ。扉を叩く音も、足音も。
    開けてと言われる前にハクガンが先制してみたが、それを聞いても扉の向こうからは何のアクションがある訳でもなく至って普段通りの声がした。

    『さっき船長とすれ違ったんだけど、これから寝るから騒ぐなよってさ。あんたら夜中にはしゃぐこと多いんだから気をつけなさいよね』

    「えっ!?」

    思わぬところからの思わぬ情報に、ベポが立ち上がる。
    シャチとペンギンは行き違いになったのだろうか、ペンギンが見たものはやはり幻なのか、艦内で起きているお化け騒ぎは。
    思わず「ちょっと待って、」と扉へ駆け寄ろうとしたベポだったが、横から伸びてきたハクガンの腕に制される。

    「イッカク、ほかにキャプテン何か言ってたか?」

    『騒いだら殺す、ってさ』

  • 182◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 16:15:44

    『やけに不機嫌だったから、しばらくは部屋にも近寄らない方がいいんじゃない?』


    イッカクの言葉に、ハクガンは己の面とおなじ形に唇を歪ませる。


    「はは、うちのキャプテンは怖ェからな。機嫌を損ねないようにしねぇと」


    『そゆこと。じゃ、あたしも寝るから』


    「おう、おやすみ」


    それきり、足音は遠ざかっていく。

    息を詰めるようにじぃと扉を見据えたまま微動だにしないハクガン。

    そのぶんベポはおろおろと無意味に手を揺らし、扉へ、白面へ、交互に顔を動かした。


    「いいい、いまの……本物かな、お化けかな」


    「……」


    何事か考えこむハクガンは黙ったままだ。笑みに形作られた面が纏う空気は、硬い。




    >>184

    ベポはどうする?

    あるいはこの部屋になにか起こす?(怪奇現象系)

  • 183二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 16:21:42

    ちょっとだけ扉を開けて覗いてみる

  • 184二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 17:29:24

    船長の部屋に通じる伝声管から誰かの声

  • 185◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 18:08:46

    >>184

    おけ 怖いことを考えるスレ民もいたもんだ(歓喜)

     

     

     

    >>187 誰からor何からの声?(特定の人物でなくてもOK)


    >>189 内容はどんなの?

  • 186二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 18:37:58

    船長の声のようななにか?

  • 187二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:32:48

    >>186


    楽しそうなんだが人あんまいない?

  • 188二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:37:39

    何か必死で叫んでるような?

  • 189二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 20:39:43

    聞いたことないような笑い方で笑ってる

  • 190◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 21:15:22

    お、さんきゅー
    じゃあローの聞いたことのない笑い声かな やっぱりスレ主のアイデアじゃ出てこないからおもろいぞ

    そろそろスレ終わるし、明日Part2建てるか
    あとは好きに埋めてもらえると嬉しい

  • 191◆Pxx1Kifjy223/08/19(土) 21:16:30

    ついでだしスレ主のSAN値でも削っとくか


    dice1d100=78 (78)

  • 192二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 21:19:10

    8割弱いかれてるじゃねぇかスレ主生きて!

  • 193二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 21:48:31

    主のSAN値は元が100なんだろうかとかめちゃくちゃどうでもいいこと気になったな

  • 194二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 21:57:59

    冷静に思考してると見せかけてSUN値ガンガン削れてくロー面白い
    削りがいあるな

  • 195二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:03:03

    シンプルに密室ものでホラーって怖いよな
    精神的にくるわ

  • 196二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:05:52

    クラバウターマン出てから少し安心したんだけど
    ロー視点だと孤立続きで不憫やな
    飴ちゃんもっと!

  • 197二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 04:37:22

    保守

  • 198二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 05:45:00

    このレスは削除されています

  • 199二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 09:57:47

    このレスは削除されています

  • 200二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 09:58:37

オススメ

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