- 1二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 20:32:12
- 2二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 20:33:06
リマスター版をここに書いてくれ
- 3二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 20:54:47
書いてみたいけど書きたためも無ければ結末も分からんから、書いてもグダると思う…
いいのかな - 4二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 20:56:21
グダっていいんやで
- 5二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:04:51
その話詳しく
- 6二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:05:20
会話文だけでも立派な創作だぞ!
- 7二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:12:34
みんな優しいね。ありがと
思い出しながら書いてみるよ - 8二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:20:48
木々の隙間から零れた光がチコリータの頭の葉っぱをキラキラと照らします。
さっきまで閉じていた目をゆっくりと開け、うんと前足を伸ばすと、チコリータはすっかり目が覚めたようです。
ここはジョウト地方にあるとある森。
今日もチコリータの素敵な一日が始まろうとしていました! - 9二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:32:17
チコリータはお母さんのメガニウムにおはようと駆け寄ります。メガニウムはとても強くて優しいチコリータの自慢のお母さんです。
いつものように朝ごはんを食べようとお母さんがきのみを持ってきてくれました。
しかし、いつもと木の実の数が違う気がします…
チコリータは不思議に思ってなぜ木の実の数が違うのかお母さんに尋ねました。するとメガニウム優しい声色でこう言いました。
「あの子にも分けてあげましょう?」
そう言ってメガニウムが目を向けたのは、遠くで小さく蹲る、見たことないポケモン…
「あの子ツタージャって言うみたいなの…」 - 10二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:33:43
あったけぇ…
- 11二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 21:45:32
チコリータにとっては初めて聞くポケモンの名前でした。もちろん見たのも今日が初めてです。
チコリータはオレンのみを一つツタージャのそばに置きました。
近くでツタージャをよく見てみると身体中が小さな傷でいっぱいでした…
何があったのかは分からないけど助けてあげたい!
そう思ったチコリータはメガニウムと一緒に木の実と薬草を混ぜた薬を作ることにしました。
メガニウムはとても器用でその長いつるのムチでテキパキとお薬を作ります。
チコリータはまだまだ見習いだけどいつか素敵なお薬を作れるようになりたい!そして困ってるポケモンを助けたい!その一心でメガニウムのお手伝いをします。そして完成したお薬をツタージャの口元に持っていきました。すると… - 12二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:13:32
ツタージャは匂いに驚いてはっと飛び起きました。
しかし、身体は万全じゃないためフラフラ。
警戒する姿勢を見せるも結局その場に倒れ込んでしまいます。
ここがどこか尋ねるツタージャにチコリータはここがジョウト地方の森の中だと伝えました。そして自分たちが敵では無いことも…
ツタージャは少し落ち着きを取り戻すと2人の作ったお薬をそうっと口に運びます。
木の実の甘さと薬草の力が混ざったお薬はツタージャにも良く効いたようです。
少し元気になったツタージャはチコリータ達に小さくお礼を言いました。
「あ…ありがと…」
そして、もう一言付け加えてこう言いました。
「もう帰らなきゃ…」 - 13二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:15:38
心が温まる
- 14二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 22:15:55
小学生文庫系を思い出す…あったかい…絵本みたいなあったかさ
- 15二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:01:22
寝れない時に物語考えるの楽しいよね
- 16二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:03:57
え!帰っちゃうの?
チコリータはとても驚いて声を上げました。
せっかく会えたのに、ご飯も一緒に食べずにお別れは寂しいと思ったのです。
しかし、ツタージャの方も少し驚いてるようで目を見開いて、
誰かと一緒にご飯を食べるの?
と、ききました。
どうやらツタージャは誰かとご飯を食べる事があまり無かったようで、反対にチコリータは誰かと食べるのが当たり前だったのです。
正反対の意見の子に会ったことはチコリータにとって初めてだったので。チコリータはツタージャの事が気になってきました。 - 17二次元好きの匿名さん23/08/16(水) 23:19:26
「バトルしてる最中に遠くに飛ばされちゃって…」
「この森の外でモンスターボールを投げられて…」
話を聞いているとどうやらツタージャはこの森の外から来たポケモンなのだそうで、
ご飯を食べながら聞くツタージャのお話はチコリータの知らない森の外のお話ばかりです。
バトルのこともトレーナーの事もツタージャが話すお話はチコリータにとってとてもキラキラ輝いて聞こえたのでした!
ご飯を食べ終えたら元いた場所に帰っちゃうのかな…
チコリータはご飯を食べ終えたツタージャにこう言いました。
「わたしも一緒に冒険したい!」
そう言うチコリータにツタージャは小く微笑んでこう言いました。
「うん、いいよ…」 - 18二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:20:01
現代社会に疲れた心に染み渡るぅ〜^
- 19二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 00:23:34
疲れた心に染みる……
- 20二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 09:09:43
こういう心あったまる話はなんぼでもあって良いですからね
- 21二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:03:14
チコリータはメガニウムにお別れをするとツタージャと一緒に森の中を歩き始めました。
森を歩いている間チコリータは沢山ツタージャに話しかけましたが、ツタージャは質問に答えるだけで自分からはあまり話してくれません。
この先仲良くできるのか不安なチコリータは、
もしかしたら嫌われてるのかなとか、2人きりは好きじゃないのかなとか…色々かんがえてしまいます。
そんな中2人の前方にガサガサ揺れる草むらが見えました。
ツタージャは咄嗟に身構えて、チコリータは冒険に出て初めての出会いかもと少し胸を高鳴らせてます。
そんな草むらから出てきたのは… - 22二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:14:29
草むらから出たのはなんなんだ!?
- 23二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:17:19
大きな鎌を持つストライクが飛び出してきました!
「あの時のバトルではよくもやってくれたなぁ!」
ストライクは腕の鎌をツタージャに向けて声を荒らげますがツタージャは少し呆れてるようです。
「いつのバトルのこと…?
弱い相手は覚えてないんだけど」
イライラしているストライクに呆れて反論もしないツタージャ。新しいお友達だと思っていたチコリータは口論する2人に戸惑ってしまいます。
ストライクのイライラは頂点に達してついにストライクはツタージャに襲い掛かります。
しかしツタージャはあっという間にストライクの後ろに回り、自慢のリーフブレードで倒してしまいました。
チコリータはその身のこなしに目を輝かせます。
「か、かっこいい〜!」 - 24二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 17:36:45
チコリータが2人のバトルに感動していると、ツタージャはストライクには構わず先へ行こうとしました。
「ストライクこのままなの?直してあげようよ!」
ツタージャは振り向いてチコリータに向き直るとこう言いました。
「弱いポケモンはトレーナーにも自然にも捨てられちゃう…勝負を仕掛けてきたのはあっちだしおかしなことじゃないでしょ…」
その言葉にチコリータは驚きます。弱くても強くても最後は助け合うのが大切だとお母さんのメガニウムに教えて貰った事があったからです。
チコリータは考えの違いに戸惑いつつも、
みてて!と近くの木の実と薬草を使ってストライクを治してあげました。
元気になったストライクはチコリータにお礼を、ツタージャに次は負けないと宣言すると何処かに飛び立って行きました。
ツタージャはチコリータの作ってくれたご飯とお薬を眺めて、次にチコリータに目線を合わせると、小さな声で
「すごいね」
と言ってくれました。そんなツタージャにチコリータは
「バトルのことはツタージャちゃんがお姉さんで、森のことは私がお姉さんだね!」
と胸を張ります。それを聞いたツタージャは、
「そうかもね」
と頷いてくれました。
ゆっくりと日が傾いてそろそろ冒険して初めての夜がやってきそうです。 - 25二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:30:07
いつのまにか夜になって、頭上にはキラキラ輝く満月が2人を照らしてくれています。
ツタージャは近くの小石と小石を尻尾のリーフブレードで擦り合わせ小さな焚き火を作りました。
月が登るといつもすぐに寝ていたチコリータにとって、暖かな焚き火はとても新鮮です。
チコリータが誰かに教えてもらったの?と聞くと、ツタージャは昔のトレーナーがやってたのを真似しただけだと答えました。
トレーナーの事をあまりよく知らないチコリータはそのトレーナーがどんな人だったのか尋ねました。
しかしツタージャは少し顔を俯かせて
「強いトレーナーだった」
と暗い声色で答えました。チコリータは目を輝かせて、
「私ももいつか強くなれるかな?」と
ツタージャに問いかけました。ツタージャは目を細めて、
「きっとね」と
短く返しました。
しかし、そう返事を返した時には既にチコリータは焚き火の傍で寝息をたてていたのです。
ツタージャはため息を着きつつもチコリータの隣に身を寄せてゆっくりと登る日の出を眺めていました。
また、新しい冒険の日が始まろうとしています。 - 26二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:33:44
あにまん民の荒んだ心に染みわたるな。普通に公式でも違和感ないレベル。
- 27二次元好きの匿名さん23/08/17(木) 21:33:59
映画化してくれってくらい心温まるわ
- 28二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 08:01:11
支援
- 29二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 09:23:20
すげえいいやん………
- 30二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 11:48:05
さぞかし名のある創作者と見受けたが……
- 31二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 18:01:32
太陽がだいぶ上の方まで登った頃、やっとチコリータが目を覚ましました。
暖かな陽に照らされて心地の良い草木の匂いがツタージャとチコリータを包みます。
ツタージャとチコリータは朝ごはんとは口ばかりの昼ごはんの調達を始めました。
チコリータが作ったのはマゴのみとオボンのみで作ったあま〜いスープです。
ツタージャが彫った小さな木の器にスープを入れて2人で仲良く飲み干しました。
お腹いっぱいになった2人は早速今日も冒険へ行こうと立ち上がります。
その時、どこか遠くの方から悲鳴が聞こえてきました!
一体誰の悲鳴でしょうか… - 32二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 18:08:10
あったかい・・・かわいい・・・
- 33二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:30:01
素晴らしい👍
- 34二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:42:31
悲鳴のした方へ行ってみるとオニドリルの群れに囲まれたキャタピーがいました。
どうやらキャタピーは木の実を取られてしまったようです。
チコリータがキャタピーを庇い、ツタージャがオニドリル達の前に立ちます。
何があったのか尋ねるとオニドリルが、
「そいつが木の実を持ってたから力ずくで取り上げただけだ!」
とその場で翼を羽ばたかせました。
「木の実を取られちゃって…バトルも怖くて出来なくて…」
とキャタピーはチコリータにしがみつき震えています。
チコリータが反論しようとするとツタージャはチコリータの言葉を遮りこう言いました。
「僕ら野生のポケモンはいつも食べ物を探して生きてる、それ自体はおかしな事じゃないけど、
バトル出来ないって子の弱みにつけ込んで奪うとか…
ダサ過ぎるでしょ」 - 35二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 20:45:26
オニドリル許すまじ
- 36二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:01:07
オニドリル達はツタージャの言葉を聞いてすっかり堪忍袋の緒が切れてしまった様子でした。
自慢の翼でツタージャ目掛けて斬りかかります。
しかしツタージャはオニドリル達の攻撃を華麗にかわし、あっという間に倒してしまい、オニドリル達は1匹残らずその場から去っていきました。
チコリータは相変わらずのツタージャの強さに感動していましたが今はキャタピーの事もあります。
はっと我に返ったチコリータはオニドリル達がどこかへ行った後、お薬をキャタピーのために作る事にしました。
オレンのみを細かく砕いて薬草を混ぜて…
最後の仕上げに砕いたオボンのみを入れれば完成です。
チコリータがオボンのみを入れようとしたその時、ツタージャがチコリータの背中を軽くつついてこう言いました。
「僕も…やってみたい…」 - 37二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 21:11:07
ツタージャはチコリータに教えて貰いながらオボンのみを丁寧に砕いていきます。
「硬そうなところは取り除いて…」
「食べやすいように皮は剥いて…」
チコリータに教えてもらいながら完成したお薬はチコリータが作った時より不格好な気がしてツタージャは少し俯きました。しかし、チコリータは満面の笑みで
「これならキャタピーも美味しく飲んでくれるね!」
と褒めてくれました。
その言葉が嬉しい半面半信半疑なツタージャは、
恐る恐るそのお薬をキャタピーに飲ませてあげます。
すると… - 38二次元好きの匿名さん23/08/18(金) 22:32:18
キャタピーの傷がみるみる内に癒えていきます!
「すごいねツタージャのおかげだよ!」
チコリータがそう言うと、ツタージャは照れ隠しをするように口元に手を当て
「うん…」
と答えました。
すっかり元気になったキャタピーはチコリータとツタージャにお礼を言って
「次は自分の身を自分で守れるくらい強いバタフリーになるよ!」と
去って行きました。チコリータとツタージャはキャタピーの姿が見えなくなるま手を振り見送ります。
キャタピーの姿が見えなくなった頃、チコリータはツタージャに体を向けてつるのムチを伸ばしました。
「ど、どうしたの…」
「ハイタッチだよ!初めてのお薬作り成功のハイタッチ!」
ツタージャは初めての事に戸惑いつつも、互いのつるのムチを交わしハイタッチをしました。
「上手くいったらハイタッチ!私たちの合言葉だよ!」 - 39二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 02:12:00
良いわあ、、、ほんわかする
- 40二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 12:09:20
保守
- 41二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 14:09:31
その夜、ツタージャは慣れない薬作りをしたからかチコリータよりも早く眠りに着いたようです。
一方チコリータはツタージャの作ってくれた焚き火の見張りをしていました。
昨日はツタージャが火の見張りをしてくれていたので今日はチコリータの番です。
焚き火の火が弱まってきた頃、チコリータは木の枝を足そうとツタージャから少し離れた茂みの方へ探索に行きました。木の枝を探しつつ木の実も取れて、明日の朝ご飯には困らなさそうです!
木の枝も木の実も十分に取れて大満足のチコリータ。夜明けも近いことですし早速ツタージャの元へ帰ろうと後ろを振り向きます。
するとそこには
「…見つけたぜ……」
鋭い目付きに鋭い牙と爪…
行く手を塞ぐように大きなヘルガーがチコリータを見下ろしてました!
「う、うわーーっ!」
チコリータが驚いて声を上げるも、
ヘルガーは素早くチコリータを口にくわえてどこかに連れ去ってしまいました。 - 42二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 16:42:44
昇った朝日が優しくツタージャの目を覚まします。
ツタージャが目を擦りながら体を起こすと直ぐにチコリータが居ないことに気づきました。
大きな声でチコリータを呼ぶも木霊するばかりで返事は帰ってきません。
チコリータはまだ旅に出て日が浅くきっとバトルも強くありません。そんなチコリータに万が一のことがあったら思うと、ツタージャの鼓動は速まります。
ツタージャが困惑していると茂みの方から音がしました。ツタージャは咄嗟に身構えてバトルの体勢をとります。茂みから出てきたのは…
チコリータをさらったあの大きなヘルガーでした! - 43二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:17:58
だめだワクワクする
- 44二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 22:19:28
バトルが得意なツタージャは、相手のヘルガーは自分より格上の強さだと察します。
鋭い爪も大きな牙も相性も全てにおいて勝てないとツタージャのバトルの勘が訴えていたのです。
しかし、チコリータが心配なツタージャは勇気をだしてチコリータの居場所を聞きます。
「チコリータはどこだ…!」
それを聞いたヘルガーは低い声で喉を鳴らすと、
「着いてきてくれ」
と言いました。 - 45二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 09:58:33
優しい雰囲気でとても癒される……
- 46二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:03:53
言われた通りツタージャはヘルガーの1歩後ろを警戒するようについて行きました。
空はいつの間にか灰色の雲に覆われて間もなく雨が降りそうです。
暫く歩いた後ヘルガーが足を止めたのは薄暗い洞窟の入り口でした。ヘルガーが洞窟に足を入れた瞬間、
「ツタージャちゃんっ!!」
洞窟の奥からツタージャを呼ぶチコリータの声が聞こえてきました!
「チコリータ!」
ツタージャはその声を聞き、ヘルガーを押し退け洞窟の奥へと走ります。 - 47二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:12:58
「ツタージャちゃん来てくれたんだね!」
チコリータの姿を見たツタージャは目を丸くしてその場に立ち尽くします。
チコリータには傷一つ無く、それどころか子どものデルビルたちと仲良く遊んでいました。
状況の飲み込めないツタージャに遅れて来たヘルガーが事情を説明します。
「メガニウムさんには昔お世話になった事があるから…その娘さんに何かあったのかと思って…」
「…へ?」
どうやらヘルガーがチコリータをさらったのは、
チコリータがツタージャにさらわれたと勘違いしてしまったようなのです。
「このままメガニウムさんにチコリータを届けようと思ったのだけど勘違いだったようだね…」
ヘルガーとツタージャは互いに苦笑いを浮かべました。 - 48二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 19:35:11
ヘルガーはツタージャとチコリータに謝ると、何かお詫びしたいと言いました。
しかしチコリータはデルビル達と遊べて楽しかったからお詫びはいらないとヘルガーに伝えます。
一方ツタージャも勘違いなら仕方ないとため息をつきました。
ヘルガーは少し考えた後、はっと思い出したように洞窟の奥から何かを咥えて持ってきました。
「きっとキミたちの冒険の役に立つから、これだけでも受け取ってくれないか?」
そう言ってヘルガーが渡してくれたのはかるいしを彫って作られた白くて小さな笛でした。 - 49二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 02:28:58
とてもあったかい……いいなあ
- 50二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 04:05:27
思ったよりシンプルに子供向けの絵本みたいな話ですっげえ良いな……
- 51二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 04:19:17
ヘルガーさん優しい
- 52二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 11:01:49
笛は何に使うんかな
- 53二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 18:16:19
ヘルガーはその笛に紐を通しチコリータの首にかけてくれました。
ツタージャが何の笛なのか聞くとヘルガーは、
「そうだな…例えば海の向こうに行きたいと思った時はその笛が…俺の古い友人が力を貸してくれるよ。」
その言葉を聞いてチコリータは目を輝かせます。
海を渡る…それはこのジョウト地方を出るということです!
新しい冒険の可能性にチコリータはいても立ってもいられません!
「そしてもうひとつ…」
そう言うとヘルガーは洞窟の奥の部屋に案内してくれました。
草が敷き詰められたふかふかのお布団が丁度2人分用意されています。
「今夜はここに泊まるとい。外は土砂降りだからな。明日の朝冒険に出るといいよ。」
ヘルガーとの会話に夢中で気が付きませんでしたが外は暗く、大粒の雨が降っています。
チコリータとツタージャはお礼を言い、雨の音を聞きながら眠りにつきました。 - 54二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 20:21:57
チコリータが目を覚ますと外はまだ真夜中でした。
雨音も相変わらず続いています。
チコリータが辺りを見渡すと隣に寝ていたはずのツタージャがいません。チコリータは外に出たのかと思い洞窟の外に出ようとしました。
すると洞窟の入り口に外を眺めてるツタージャがいます。
チコリータが声をかけるとツタージャは振り向いて手招きをしました。
チコリータがツタージャの隣に座って降り続く雨を眺めていると、ツタージャがふと口を開いてこう言いました。
「チコリータは…海の向こうに行ってみたい?」 - 55二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:27:46
チコリータはもちろん!と顔を輝かせて言いました。チコリータはツタージャは行きたくないの?と尋ねます。するとツタージャは遠くを見据えるようにしてこう言いました。
「僕は…森の外が少し怖いんだ…」
チコリータは少し驚きました。初めてツタージャと会って話した時は全て森の外のお話だったからです。
ツタージャはバトルが強くて、芯がある性格で、お外のことも沢山知ってるかっこいい女の子!
そんなチコリータがツタージャに抱いた印象とは正反対のその言葉にチコリータはこう返します。
「…私はツタージャちゃんみたくバトル強くないし、かっこよくも無いけど…私が困った時はいつもツタージャちゃんが助けてくれる…
だから、なにか辛い事があるなら…今度は、私がツタージャちゃんの支えになりたいよ!」
そう言うチコリータにツタージャはありがとうと小さく微笑みます。
そしてツタージャはこの森に来る前の事をチコリータに打ち明けました… - 56二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 09:14:32
ここからツタージャの過去話かな?
- 57二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 19:03:52
とある日の事、ツタージャが目を覚ましたのは、モンスターボールの中でした。外からは明るい少年の声が聞こえてきます。
「今日から一緒に旅をしようねツタージャ!」
これが、ツタージャが旅に出たきっかけでした。
ツタージャはその少年と一緒にポケモンリーグを目指す旅に出たのです。
ツタージャにとって外の世界はどれも新鮮です。
特にバトルは、勝つと少年が沢山褒めてくれるので大好きでした。ツタージャと少年はジムバッチを集めどんどん強くなりました。
しかし、次第にジムが難しくなりツタージャも負ける日が続きました。頑張っても頑張っても少年の他の手持ち達に追いつけません。
そんなある日のことです。少年はツタージャにこう告げました。
「お前、弱いからいらないや。」 - 58二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 19:08:00
このレスは削除されています
- 59二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 20:25:25
このレスは削除されています
- 60二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 20:54:42
それからツタージャは行き場を無くし街を彷徨う様になりました。
野生のポケモンには家族が、トレーナーのポケモンにはトレーナーがいつも一緒にいます。
しかし、今のツタージャにはそのどちらもいません。
路地裏に入り素早い動きでダストダスとヤブクロンの群れを倒します。
「このゴミ袋は貰ってくよ」
そう言ってツタージャはダストダスの好物のゴミ袋を1つ持って路地裏を出ていきました。
人気の少なくなった夜の都会の隅っこでツタージャは、何とか食べられそうなたべのこしとオレンのみをゴミ袋から取り出します。
味かするようなしないような木の実を食べ終えると、ツタージャは寝床を探そうと立ち上がります。
そんな生活を続けて数日経ったある日、後ろから声がしました。
「ああ…ツタージャここにいたんだね…」 - 61二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 21:55:23
「きみは…」
後ろを振り向くとツタージャを見下ろすようにサザンドラが浮いていました。
そのサザンドラはかつての少年が、ツタージャと一緒に育てていたジヘッドが進化した子です。
「なに?弱い僕を笑いに来たの…?」
ツタージャは吐き捨てるように言うとその場を去ろうとサザンドラに背を向けます。
しかし、サザンドラはツタージャを呼び止めて、
「違うんだ…あのさ、ツタージャもし良かったからだけど、これ…」
そう言ってサザンドラが差し出したのはジョウト地方行きの船のチケットでした。 - 62二次元好きの匿名さん23/08/22(火) 22:17:35
「どこからこんな物を…」
ツタージャが聞くとサザンドラはバツが悪そうに自身のトレーナーである少年のバッグから盗ったと言いました。ツタージャはそこまでしてチケットを渡したいサザンドラの気持ちが解らずもう一度聞き返します。
「本当にどう言う意味なの…きみはあの少年に必要とされてるでしょ…僕に構っても意味ないよ…ほら、強い子は主人の元に帰ってよ…!」
ツタージャは涙を堪えながらサザンドラに言いました。するとサザンドラは夜空の星に負けないくらい、優しく、輝くような声でこう言います。
「ツタージャあのね、この世界は広いから君を大切にしてくれる誰かがいると思うんだ…その誰かは、まだボクにも分からないけど…その誰かに会いに行ってよ」
「それって…どう言う…?」
「この街を出て冒険するんだ、ツタージャ!」 - 63二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 08:50:03
優しいねサザンドラ……
- 64二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 10:51:58
少年許すマジ
- 65二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 11:06:09
サザンドラの声の描写すき
- 66二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 21:38:42
サザンドラの真っ直ぐな声にツタージャははっとします。さっきまで暗かったツタージャの瞳に少し光が宿りました。
「ありがとうサザンドラ…でも…チケットは受け取れないや…」
そう言うツタージャにサザンドラはどうしてと問いかけます。
「だって僕…野生だからチケット無くても…多分船乗れるよ…?」
「あっ…!」
サザンドラは持ってるチケットで顔を隠し小さな声でこう言いました。
「は、恥ずかしい…」 - 67二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 21:50:28
船が到着したアナウンスが響きます。
ツタージャは船の手すりに登って見送ってくれるサザンドラとお別れの会話をします。
「ちゃんと主人にチケット返してね…」
「うん!」
「ちゃんとリーグ勝ってね…」
「…うん」
「僕にとっては最低の主人だけどきみにとっては最高の主人だもんね…」
少し皮肉めいたツタージャの言葉になんと返せばいいか解らずサザンドラはあたふたしますがその様子を見てツタージャは冗談だよと悪戯っぽく笑いました。
そしてふたりは船の出発の音と共に最後のサヨナラの言葉を交わします。
「「ベストウイッシュ!良い旅を!」」 - 68二次元好きの匿名さん23/08/23(水) 22:14:45
ツタージャは船を降りた後、人に捕まえられそうになり、逃げた先の森で倒れていたところチコリータのお母さんに助けられたと言います。
ツタージャはここまで話終えると大した理由でも無かったかなとチコリータの方を向きました。すると
ツタージャの話を聞いたチコリータは雨に濡れた様にベショベショになって泣いていました。
「なんでチコリータが泣くのさ…」
「だってだって、そんな辛い思いしてたなんて…知らなくって…私、私…何かツタージャちゃんの力になれる事は無いかな…!」
そういうチコリータにツタージャは答えます。
「じゃあ…一つだけお願いしようかな…」
チコリータは涙をはらってうん、と言いました。
「この先も…僕と一緒に冒険してくれないかな…」
「そんなの…もちろんだよ!!」
そう言うと2人は笑って顔を見合わせました。
外の雨はいつの間にか上がって、新しい朝日が森の雨粒を照らしました。 - 69二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 01:46:36
サザンドラもチコリータもいい子······!
- 70二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 12:17:04
保守!
- 71二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 12:27:11
優しい子がたくさんで読んでて癒される……
- 72二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 16:51:26
本当に心温まる
- 73二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 20:24:24
「お世話になりました!!」
「お世話になりました…」
チコリータとツタージャはヘルガーにお礼を言い、貰った笛を持って夜明けの森を歩きます。
ヘルガーとデルビル達はチコリータ達が見えなくなるまでお見送りしてくれました。
そうだ、とチコリータは胸元に下げている笛に目をやると、
「ツタージャ、海が見えたらこの笛吹いてみようよ!」
とツタージャに提案します。ツタージャはうん、と頷き、木に登ると海がある方向を指しました。
「あっちに行こう…広い海が見える…!」 - 74二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 20:36:10
ツタージャに言われた通りの方へ歩いていくと、どこまでも広がる海が見えました。
チコリータは初めての海に大興奮です!
「すごーいっ!ひろーいっ!しょっぱいーっ!」
ツタージャはチコリータの遊んでる様子を近くの石に腰掛けながら和やかに眺めていました。
暫くたった頃チコリータがそろそろ笛を吹こうかとツタージャの元に駆け寄ります。
ツタージャは頷きますが、少し首を傾げてこう言いました。
「海を渡れるとしてどこの地方に行けばいいんだろう…」 - 75二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 21:33:58
チコリータとツタージャは互いに顔を見合わせ、うーんと悩みます。するとチコリータがはっと何かを思い出したようです。
「.そういえばツタージャちゃん、会ったばかりの頃『帰らなきゃ』って言ってなかった?」
ツタージャはチコリータの言葉にそうかも、と言うとチコリータと出会った時のことを思い出しました。確かにツタージャはチコリータ達の作ってくれたお薬を飲むと、直ぐに帰ろうとしていました。
「ツタージャちゃんはどこか帰りたい所があったの?」
「いや…あれはそこまで深く考えてなかったけど…」
それからツタージャは一息置いてチコリータに尋ねます。
「イッシュ地方はどうかな…」
「イッシュ地方?」
「うん…僕の産まれた場所だよ」
チコリータは一瞬嬉しそうにしましたが直ぐに本当にいいのか聞き返します。イッシュ地方、それはツタージャの生まれた場所であると同時にツタージャが辛い思いをした場所です。チコリータはツタージャが嫌な思い出を思い出させたくなかったのです。
しかしツタージャはこう言いました。
「チコリータとなら僕は…もう何処も怖くないよ…!」 - 76二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 02:54:33
保守
- 77二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 12:25:54
旅立ち感あってわくわくする
- 78二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 17:29:16
チコリータはツタージャの言葉を聞き、私も!と返すと海の方を向き遂に首の笛を口にくわえてました。そして精一杯の息で笛を鳴らします!
〜〜〜♪♪
涼やかで透明感のある素敵な笛の音が、晴れた空に響き渡ります。チコリータが吹き終わり口から笛を外した瞬間…
ドドドド───!!!
海が揺れ、波の中から何者かが現れました!
「君たちは…ヘルガーの知り合いさんかな?」
チコリータとツタージャの前に現れたのは大きな大きなホエルオーでした! - 79二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 20:48:53
「すごーい!おおきーい!こんにちはー!」
チコリータが元気に挨拶するとホエルオーも優しく挨拶を返してくれました。ツタージャがヘルガーの事を話すと。ホエルオーは
「懐かしいね、ヘルガーとの冒険を思い出すよ」
と言って快く乗せてくれました。
輝く太陽の下、チコリータとツタージャ、そしてホエルオーは声を揃えてこう言います!
「イッシュ地方へ、出発進行ーー!!!」 - 80二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 21:00:36
☆子供の頃考えてた話はここまでです。
移動手段はホエルオーとかツタージャの過去とかチコリータの家庭的な所とかは思い出せる限り結構そのままかけてたと思います。ツタージャとチコリータの関係もこんな感じでした。
マジでプロットみたいなのゼロでここまで書いてきたので、文がおかしかったり、変な所に段落作ったり非常に読みにくかったと思いますが。保守とかコメントとかハートとかまじ感謝です!
今になってこのお話を見るととんでもねぇ百合ですね。当時は百合なんて概念知らなかったのですが、流石メロンパンナちゃんとロールパンナお姉ちゃんを推してた子供だっただけはあります。
この先は他でもない私が先を知りたいので好き勝手続き描きます。
ひとまずここまでありがとうございました。 - 81二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 21:37:55
とても良かった…(語彙消失)
- 82二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 07:02:12
保守
- 83二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 14:23:54
雨の降る日は2人寄り添って、晴れの日は通りすがりのキャモメと遊んで、暖かい日は日向ぼっこして…
そんなふうに数日を過ごしていると遂にホエルオーがチコリータとツタージャに声をかけてくれました。
「前を見て!」
言われた通りに前を向くと遠くにビル影が見えました。
「あれって…」
「ああ、イッシュ地方だよ…!」
ホエルオーはヤグルマの森の辺りで下ろしてくれるそうです。
ツタージャはヤグルマの森からなら大都会のヒウンシティにも行けるとチコリータに説明しました。
チコリータはヒウンシティがどんなところなのか気になってワクワクが止まりません!
チコリータとツタージャの新しい地方での冒険が今始まろうとしています! - 84二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 21:54:10
新章開幕!って感じでわくわくするね
さわやかで好き - 85二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 22:12:45
上手くいったらハイタッチ!とか
ベストウイッシュ!良い旅を!とか入ってるのすき - 86二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 02:53:37
新章!
- 87二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 10:00:48
新たな旅立ちのこの雰囲気大好き
- 88二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 18:29:40
「この茂みの先がヤグルマの森だよ」
そう言ってホエルオーはチコリータとツタージャを下ろしてくれました。チコリータとツタージャはホエルオーに手を振ってお別れを告げます。
「また会おうね!」
チコリータが言うとホエルオーはゆっくり頷き、夕日の反射したオレンジの海の中へ消えてゆきました。
ホエルオーを見送った後、茂みをくぐり抜け、チコリータとツタージャはヤグルマの森へと足を踏み入れます。鼻をくすぐる緑の良い匂いに包まれて何だか眠くなってきました。
「慣れない海を渡ったもんね…」
ツタージャはそう言って木の根元に葉っぱを敷いてチコリータと一緒に少し早めに眠りにつきました。 - 89二次元好きの匿名さん23/08/27(日) 18:38:12
ツタージャは懐かしさのあるマメパト達の鳴き声で目を覚まします。目を擦りうんと背伸びをすると隣にいたチコリータもつられるように目を開けました。
「おはよう、チコリータ」
ツタージャが声をかけるとチコリータはゆっくり起き上がります。その時でした
「ツタージャ…どうしよう…」
「チコリータどうし…」
ツタージャが返事を返し終わる前にチコリータはふらりと体勢を崩しました。ツタージャがチコリータを支えるとチコリータはこう言いました。
「風邪…ひいたかも…」 - 90二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 01:13:28
ピンチだ……
- 91二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 11:17:54
保守
- 92二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 15:36:23
チコリータの額に手を当てると熱が出ているのは明らかでした。ツタージャは前チコリータに教わった様に木の実と薬草でお薬を作ろうとします。
しかし、前作った時はチコリータが一緒にいて教えてくれました。
ツタージャだけではどの薬草がチコリータに効くのか、どの木の実を混ぜればいいのか分かりません。
こうしている間にもチコリータの熱は上がっていきます。
(どうしよう…どうしよう…!)
どうしたらいいか解らずツタージャの頭の中は真っ白です。その時でした。
「キミ、トレーナーのポケモンだった子でしょ?」
声のした方へ振り向くとそこにはハハコモリとピンクのリボンを着けたチラチーノがいました。 - 93二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 20:41:25
「薬作れないって事は長い事森にいなかったんじゃない?違う…?」
ハハコモリの責める様な鋭い指摘にツタージャは警戒します。
「なぁ、オレらに着いて来いよ…そのチコリータは治してやるからさ…
その代わり、このチコリータはオレらの仲間にする…なぁ、悪くないだろ?こいつの命は助かるんだ…」
「ハハコモリは相変わらず言い方が怖いなあ。この提案どうかな、ツタージャさん?」
高圧的なハハコモリの雰囲気…チラチーノの優しくも怪しい声色…とても簡単に頼っていい相手では無さそうです。
チコリータがこの2人の仲間になったら…
脳裏に浮かんだその考えをツタージャは振り払います。今はチコリータの看病の方が優先です。
ツタージャは自分だけではチコリータを看病出来ないと判断し、ハハコモリ達にチコリータを任せる事にしました。
「良い判断だ…さぁ、着いておいで…」 - 94二次元好きの匿名さん23/08/28(月) 22:45:13
ハハコモリ達に案内された先は、大樹をくり抜いたような大きなお家でした。お家の周りにはミネズミやクルミルがいて珍しそうにツタージャとチコリータを見ています。
家の中は天井から色んな種類の薬草がぶら下がっていて、少し荒削りな木製の棚には色とりどりの木の実が並べられててとても綺麗です。
ハハコモリは手際よく木の実と薬草を取り出し、お薬を作ってチコリータに飲ませました。
その様子をツタージャはチラチーノに案内された丸太の椅子に座って見ています。
「明日には完全に回復してると思うよ」
そう言うとハハコモリはツタージャの向かいにある切り株の椅子に座ります。
「それじゃあ…チコリータは今日からオレたちの仲間ってことで、決まりだな」
「……」
チコリータを看病してもらった手前、約束を破ることは出来ません。ツタージャは俯き沈黙します。
すると、その沈黙を破るようにハハコモリは口を開きました。
「ああ、これでやっと…プラズマ団に立ち向かえる!!!」
「……は?」 - 95二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 07:12:36
ほしゅ
- 96二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 13:50:17
- 97二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 13:56:32
話しも絵も最高
- 98二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 19:13:22
- 99二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 19:20:14
雰囲気にぴったりの素敵なイラストだあ
- 100二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 19:56:42
「お前、今プラズマ団って…!!」
ツタージャは思わず席を立ちます。
プラズマ団は人とポケモンを無理やり離れ離れにする活動してる人達のことです。プラズマ団のポケモン達はみんな強くて簡単には勝てません。イッシュ地方出身のツタージャはプラズマ団の危険性を十分に知っていました。
そんな危険な人達の前にチコリータを晒す訳にはいきません。
「ああ、そうだよ、ほら、キミはトレーナーの元にお帰り。」
ハハコモリは頬杖をつきながらそう言いました。しかし、ハハコモリの発言ににツタージャは少し違和感を覚え、何と言ったのか聞き返します。
「だからー、キミもプラズマ団に無理やり離れ離れにさせられたんだろ?チコリータはオレらが面倒見とくからキミは元いたトレーナーの場所に早く帰れって言ってんの。主人の悲しむとこ見たいの?」
そう言ったハハコモリにツタージャは苦笑いを浮かべてこう言いました。
「僕とチコリータ…2人とも野生なんだけど…」 - 101二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 21:48:29
ツタージャの言葉にハハコモリは一瞬固まりへ?と間抜けな声を出しました。どうやらハハコモリは、風邪をひいた野生のチコリータに対して、トレーナーとはぐれたツタージャが狼狽えてるだけだと思っていた様です。チコリータとツタージャが仲間なのも知らなかったとハハコモリは頭を抱えました。
「あらら〜またハハコモリ早とちりしちゃったの〜?」
「うるさいな!チラチーノ!」
赤面したハハコモリを横目にチラチーノがからかいます。あれこれ言い訳をしながら赤面するハハコモリにさっきまでの威厳はありませんでした。
ひとしきりの言い訳を終えて咳払いをしたハハコモリは、ツタージャに再び向き直りこう言いました。
「…でも、チコリータをオレたちの仲間にするのは本気だ」
「どうして…」
ツタージャが理由を聞こうとするとチラチーノが部屋の奥へ案内してくれました。
部屋の奥にある大きな扉…扉を開けたその先には怪我をしたポケモン達が草のベッドで横たわっていました。 - 102二次元好きの匿名さん23/08/29(火) 23:13:32
ハハコモリのキャラが意外性感じて好き
- 103二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 10:13:36
お話もイラストもとっても好き
- 104二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 12:07:45
- 105二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 16:43:06
保守
- 106二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:16:08
イッシュでポケモンとトレーナーの関係だとやっぱプラズマ団でるよな……
- 107二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:26:14
このレスは削除されています
- 108二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:30:09
「ハハコモリさん…お腹痛いよう…」
「待ってろ、今お薬とスープを用意する」
「ハハコモリさん…プラズマ団怖いよう…!」
「ここにいれば安心だ、いま飯を作るから待ってろ」
ハハコモリの口調は相変わらずでしたが、ポケモン達に頼りにされているのは明らかでした。
ハハコモリはここでプラズマ団にトレーナーと離れ離れにされたポケモン達の保護をしているのだと、チラチーノが説明してくれました。するとチラチーノは突然ツタージャに向き直り頭を下げました。
「今お薬を作れるのはハハコモリだけなんです!私はお薬作れないし、みんなのベッドを用意する事しか出来ないしくて…でもチコリータさんがいればこの状況は良くなるんです!だって…チコリータさんトクベツなお薬を作れるんでしょう!?
だから、チコリータさんを仲間にさせてください!!」
何故チラチーノ達がその事を知っているのか、チコリータの薬の何がトクベツなのか、聞きたいことは沢山あります。しかし、チラチーノの熱意に一呼吸置いて、ツタージャは至って冷静にこう言いました。
「明日、チコリータが起きたら決めよう…決めるのは僕じゃない…チコリータ自身だ…」 - 109二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:52:45
その晩ツタージャはハハコモリ達の家の2階に泊めて貰いました。明日のチコリータがどんな判断を下すのか…ツタージャは不安の混じる夜を過ごします。
(でもチコリータなら……)
ツタージャにはチコリータが何と答えるのか少しだけ予想が着いているようです。
そんな中眠りにつき、いつの間にか登った太陽は気持ちとは裏腹にとても眩しいものでした。
下の階へ降りると聞き慣れた明るい声がツタージャを出迎えてくれます。
「ツタージャちゃん!!」
「チコリータ!!」
チコリータはツタージャに抱きついて心配かけてごめんねと言います。ツタージャはチコリータが元気になって良かったと胸を撫で下ろしました。
するとハハコモリとチラチーノが部屋の奥から歩み寄ってきました。チコリータとツタージャはお礼を言った後、真剣な表情に戻りハハコモリ達に向き合います。いよいよ決断の時です。
「さあ、事情は全て説明した。チコリータ…
オレたちの仲間になるか…
ツタージャと旅を続けるか…
キミはどっちを選ぶ…?」
「…私は────」 - 110二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 21:01:34
- 111二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 08:54:41
保守
- 112二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 20:30:25
「どっちも!!」
チコリータは一切の曇りのない声でそう言いました。その隣でツタージャはやっぱりと口元に手を当てて小さく笑います。
「ツタージャちゃんと旅をするって約束も守るし、
ハハコモリさん達の困ってることも解決する!
ハハコモリさん、チラチーノさん、私に任せて!」
そう言うとチコリータはお家の中にある木の実と薬草を選んで薬を作ろうとみんなに提案しました。「ツタージャちゃんも、ハハコモリさんも、チラチーノさんも…みんなでお薬を作ろう!」 - 113二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 21:06:29
ハハコモリとチラチーノは戸惑いつつもチコリータの提案に乗る事にしました。
ツタージャは木の実を切って、チラチーノは木の実をすり潰して、ハハコモリは薬草を調合して…
最後にチコリータが混ぜて仕上げをして完成です!
「これをみんなに飲ませてあげよう!」
みんなで作ったお薬を怪我したポケモン達に飲ませてあげました。すると…みるみるうちに怪我が治っていきます!
「す、すごい…これがチコリータの力…」
ハハコモリはお薬の効力に驚きます。そんなハハコモリにチコリータは言いました。
「私だけの力じゃない、みんなの力なんだよ!」 - 114二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 21:27:40
お薬を飲んだポケモン達はすっかり元気になりました。お腹を痛めていたミネズミも怪我をしていたヨーテリーもそして、プラズマ団を怖がっていたコロモリもみんなが元気になる姿を見て、何だか勇気が湧いてきた様です!
ハハコモリとチラチーノはみんなが元気になって良かったと安堵のため息をつきます。
その時でした、元気になったポケモン達がハハコモリとチラチーノの所に集まってきてこう言いました。
「ありがとうハハコモリさん!チラチーノさん!」
「オレは達は何も…最後にキミ達を治してくれたのはチコリータだ…オレは無力だったよ…」
そう俯くハハコモリにミネズミが口を開きます。
「違うよ!ハハコモリさんとチラチーノさんががいたからぼく達、ここまで頑張って生きようって思えたんだ!」
その言葉を聞いてハハコモリとチラチーノはみんなを抱きしめました。
「チラチーノ…オレたちのしてきた事無駄じゃ無かったみたいだ…」
「うん…!」
ツタージャとチコリータはその光景を日が傾くまで優しく見守りました… - 115二次元好きの匿名さん23/08/31(木) 22:33:16
優しい世界過ぎて俺の心の中のハッサク先生がいま咽び泣いている