- 1二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:29:03
「『ワーナーブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター』──聖地だね」
ドラコ・マルフォイは推しカプ限界化仲間のクラッブやゴイルとクスクス冷やかし笑いをした。
次回分のチケットを取り終わると、先生は生徒を見わたした。
ハグリッドと同じ黒い目なのに、ハグリッドの目のような落ち着きは一かけらもない。
熱くて、興奮気味で、真夏の太陽を思わせた。 - 2二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:29:29
「このクラスでは、『ワーナーブラザース スタジオツアー東京 メイキング・オブ・ハリー・ポッター』の概要と、過密な感想を学ぶ」
スネイプが話し始めた。まるでつぶやくような話し方なのに、生徒たちは一言も聞き漏らさなかった──マクゴナガル先生と同じように、スネイプは好きなことにおいてはキャラ変する能力を持っていた。
「このクラスでは映画だけの知識を振りかざすようなバカげたことはやらん。そこで、まだ行ってないファンに優しくないと思う諸君も多いかもしれん。
フツフツと沸く購買欲求、ユラユラと立ち昇る興味関心、人の脳の中を這い回る思い出の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる撮影裏話……諸君がこの見事さを真に理解するとは期待しておらん。
我輩が教えるのは、お土産を袋詰めにし、自慢話を醸造し、諸君らの友人の耳にさえふたをさせる方法である──ただし、我輩がこれまでに教えてきたウスノロたちより諸君らがまだマニアであればの話だが」 - 3二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:30:14
大演説の後はクラス中が一層シーンとなった。
ハリーとロンは眉根をちょっと吊り上げて互いに目配せした。
ハーマイオニー・グレンジャーは身を乗り出すようにして、自分が金曜ロードショーでハリーポッターを済ませたウスノロではないと一刻も早く証明したくてウズウズしていた。
スネイプが突然「ポッター！」と呼んだ。
「豊島園跡地で最初に出会う物は何かわかるか？」
ホグワーツ行き特急意識の赤いペイントをした駅の中にある、実際に電話はできないけどハーマイオニーの声が聞けるとの噂がある電話ボックスがどうしたって？？？
ハリーはロンをチラッと見たが、ハリーと同じように「当日は混むから写真は手早く」と言う顔をしていた。ハーマイオニーが空中に高々と手を上げた。
「朝早めに行きます」
ハリーが答えた。
スネイプは口元でせせら笑った。
「チッ、チッ、チ──YouTubeのお土産紹介だけではどうにもならんらしい」 - 4二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:30:54
「ポッター、もう一つ聞こう。写真を撮ろうと思ったら、まず何を探すかわかるかね？」
ハーマイオニーが思いっきり高く、椅子に座ったままで挙げられる限界まで高く手を伸ばした。
ハリーには写真撮影可能なエリアと不可能なエリアがあること以外見当もつかない。
マルフォイ、クラッブ、ゴイルが身をよじってジョニー・デップとマッツ・ミケルセンに限界化するのをハリーはなるべく見ないようにした。
「わかりません」
「現地に行く前にサイトを開いて見ようとは思わなかったわけだな、ポッター、え？」
ハリーは頑張って、自慢げな目をまっすぐに見つめ続けた。
ダーズリー家にいた時、Webサイトに目を通しはした。
スネイプは、公式サイトを隅から隅までハリーが覚えたと思っているのだろうか。
スネイプはハーマイオニーの手がプルプル震えているのをまだ無視していた。 - 5二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:31:16
「ポッター、あそこで購入できる杖とUSJで購入できる杖との違いはなんだね？」
この質問でとうとうハーマイオニーは椅子から立ち上がり、地下牢の天井に届かんばかりに手を伸ばした。
「わかりません」
ハリーは落ち着いた口調で言った。
「ハーマイオニーがわかっていると思いますから、彼女に質問してみたらどうでしょう？」
生徒が数人笑い声を上げた。ハリーとシェーマスの目が合い、シェーマスがウィンクした。
しかし、スネイプまだ不快そうだった。
「ポッターモアも読みなさい」
スネイプがピシャリとハーマイオニーに言った。 - 6二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:31:37
「教えてやろう、ポッター。豊島園駅にある赤い電話ボックスは撮影スポットでもあるが同時にアトラクションの一つでもある。あまりに早くにあるためここで興奮し時間を使って迷惑をかける可能性がある。朝早くに行くのがよかろう。
写真撮影可能なエリアかどうかは各エリアの入り口か出口付近にパネルが存在する。近くのスタッフさんに聞くのもよい。
USJは現地の施設と連動するが、ここの杖は根本部分に名前が彫れる。試供の我輩の杖には非常にエモいことが刻んであるので見てみるのも一興だ。
どうだ？ 諸君。 なぜ今のをTwitterに書かんのだ？」
一斉にスマホをタップする音がした。その音に被せるように、スネイプが言った。
「ポッター、君の無礼な態度で、グリフィンドールは一点減点」 - 7二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 00:33:19
と言うわけで行ってきたので感想。
めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃよかった………！！！ - 8二次元好きの匿名さん23/08/19(土) 03:50:26
そ、そっか……