【閲覧注意🎲⚓SS】ロー中心ハートの海賊団をホラーな目に遭わせる Part2

  • 1◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 09:56:24

    お盆だけどきせいするばしょがないので、ローやハートのひとたちにちょっかいを出そうと思うPart2(お盆過ぎたけどな!)
    皆にも遊んでほしいのでTRPG風(あくまで風)にする

    簡単に言うとスレ民自身が怪異となって、スレ主が語り手をしていくという感じだ

  • 2◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 09:59:00

    【注意&お願い事】

    ・物語の途中にアンカーを付けることがあるので、キャラに何をさせたいか決めてくれ
    ※キャラに沿わない荒唐無稽なもの、恋愛・下品なものなど、場合によっては再アンカー
    (◎→コーヒーを飲む  ×→キスする、ウンコする…など)
    ※怪異としてのサラダ表現はOK(鏡に映るとか)
    ※選択肢から選んでもらうこともある

    ・恐怖展開になった際、SAN値(正気度)を削るダイスロールをする

    ・SAN値設定はメイン行動予定の下記4名のみ。独断と偏見による設定
    ロー…70(56以下で一時発狂、30以下で発狂、0で廃人)
    ベポ…50(40以下で一時発狂、10以下で発狂、0で廃人)
    ペンギン…60(48以下で一時発狂、20以下で発狂、0で廃人)
    シャチ…65(52以下で一時発狂、25以下で発狂、0で廃人)
    ※行動のさせ方によってはSAN値の回復もあり得る

    ・アイデアロールやその他技能の等ダイスは無し

    ・グロ表現は控えめ(とはいえホラースレなので各々注意)

    ・時系列はワノ国の後だけどあんま関係ない。ざっくりいこうぜ


    生かすもトラウマ刺激するも発狂させるもスレ民次第
    よろしく

  • 3二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 09:59:47

    たておつ

  • 4◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 10:00:28

    【現状SAN値】

    ロー…42(発狂・恐慌状態まで12)

    ベポ…46(一時発狂まで16)

    ペンギン…53(一時発狂まで7)

    シャチ…59(一時発狂まで7)


    ※SAN値を使用しているがCoCとは別物と考えてくれ


    ※怪奇現象は1d3前後、大切な人やモノに関わることなら1d6前後でSANを切削中


    ※出目の大小により、キャラの冷静さ・状況も変化する

    (1d6で6を引く→混乱 1を引く→冷静に対処 など)



    SANを削って反応を楽しむスレだから結構削るぞ

    スレ民次第だが市にはしない予定だ


    ダメだと思ったらブラバしてくれ 他におもろいスレはたくさんある




    前スレ↓

    【閲覧注意🎲/参加型の物語】ロー中心にホラーな目に遭わせる|あにまん掲示板お盆だけどきせいするばしょがないので、ローやハートのひとたちにちょっかいを出そうと思う皆にも遊んでほしいのでTRPG風(あくまで風)にする簡単に言うとスレ民自身が怪異となって、スレ主が語り手をしていく…bbs.animanch.com
  • 5二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 10:05:53

    たておつ
    続きも楽しみ

  • 6◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 10:07:57

    ハクガン、と縋るように名を呼ぼうとした瞬間、発令室に声が響いた。

    それはベポが見張りに起きてからずっと聞きたいと思っていた声。


    『ベポ。そこにいるのか?』


    それは船長室と繋いだ伝声管から発せられている。

    咄嗟に駆け寄ったベポは受話口へ抱き着くように口を寄せた。


    「キャプテン!? 起きてたの、いや、シャチとペンギンは!? あのねいま艦内でへんなことばっかり起きててね、」


    聞きたいことがたくさんあった。押し寄せる感情の波に身を任せたままベポはあれもこれもと話しかける。

    が、ベポの悲痛な声を遮るように届いたのは宥める声でも叱咤する声でもない。



    『 ……ぁ"、ァ"はっ……、

       あ"は、

           ふふ、

      アハハッ!

     

         ヒヒヒヒヒ! 』



    思わず、ベポの喉が引き攣った。

    声は確かに、ローのものである。だからこそ壊れたオモチャのような狂った声に、ベポはぞっと血の気が引いた。

    伝声管を通した歪な笑い声があたりに響く。


    ベポSAN値チェック

    dice1d4=4 (4)

  • 7二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 10:18:05

    こわい

  • 8二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 10:22:39

    ベポがっつり削られてる

  • 9二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 10:29:46

    神谷声で脳内再生した
    これは こ わ い

  • 10◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 10:31:24

    建ておつ&前スレ含め感想もありがとう



    SAN値設定してないけどハクガンも削ろうな

    dice1d4=3 (3)

  • 11二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 11:51:00

    二人ともローに関わることだからかガッツリ削れてるな
    これは怖い

  • 12◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 13:01:51

    「きゃ、キャプテン……!?」


    『アハッアハハッ、ぁ"ははっ、』


    ―これは誰だ。自分たちの船長は、いま、どうなっている?



    「おっ、お前……ニセモノだな!? キャプテンを返せ!!」


    『キヒヒヒヒッ、

     ふふっ、あ"はははハハハ!』

    ガシャンッ



    突如、船長室のほうから伝声管の蓋が乱暴に閉められ声はそれきりとなった。

    発令室はおぞましい余韻を残してしんと静まり返る。


    「きゃ、キャプテンがあぶない!! ハクガン、行かなきゃ!!」


    「バカやめろ!!それこそ相手の思う壺かもしんねェぞ!!」


    今にも部屋を飛び出そうとするベポにハッとして、そのツナギを掴むハクガン。冷静でいられないのは彼も同じだが、こういう時だからこそ状況を整理する必要がある。


    「今出て行くのは危険だしココも手薄になる! さっきの話も変だっただろ、船長が俺たちへ『騒いだら殺す』なんて冗談でも言うか!? いや、はり倒すとかぶん殴るとかは言うけど……とにかくそれを変に思わなかったあのイッカクだって怪しいぜ! 今はシャチ達からの連絡を待ったほうがいい!!」


    「で、でもだってキャプテンが……!」



    >>13 ベポはどうする?

  • 13二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 13:06:02

    ひたすらキャプテンに会いに行きたいとぐずり倒す

  • 14二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 14:09:51

    このレスは削除されています

  • 15二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 14:10:20

    楽しみだわ
    ハクガン冷静で良いな
    たしかにローやハートの海賊団は軽々しく殺すとか言わなさそう

  • 16読んでる途中で状況忘れる俺用23/08/20(日) 14:16:32

    現況
    ロー:自室の外の謎闇空間。暗中自分の記憶世界を引き回されてる。コラさんの記憶をまるっと持ってかれる
    ベポ:発令室。ハクガンと当直中。船長声の怪異に動揺中
    シャチ:船長を探して船内探索中。ペンギンに(多分他からも?)認識されない
    ペンギン:同じく船内探索中?みえないシャチとは別行動

  • 17◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 14:32:14

    「やだやだキャプテンに会いたい! きっと危ない目に遭ってるのに、また傍にいられないとか、足手纏いとか、留守番が役割とか、そういうのもう嫌だよ!!!」

    ベポの必死な叫びにハクガンは押し黙り、ゆるゆると掴んだ手を離す。

    「……分かった、行ってこい」

    「ハクガン!」

    いいの、と目を輝かせるベポに「ただし、」と付け加える。

    「合言葉は決めておこうぜ。おれは此処を死守しなきゃならねェからな」

    「うん、じゃあヤマって言われたらカワって言おう」

    「なんだそれ」

    「ワノ国でニンジャに習った合言葉!」

    ハクガンにとって馴染みのない単語だが、ベポは詳しく説明する気がないのかそもそも由来を知らないのか、それだけ言って廊下へ飛び出した。

    「キャプテンに傷ひとつ付けんなよ!」

    小さくなる白い背中を鼓舞したハクガンはおれも行きたかったなァと胸中で呟き、発令室の扉を閉じた。
    (続く)

  • 18二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 14:44:37

    ローの笑い声
    進展後(BadEnd)の発狂・廃人済船長が混線したという可能性も微レ存?

  • 19二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 14:45:12

    >>18

    良いホラーだな

  • 20◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 15:02:36

    >>18

    ホラーの天才か???

  • 21◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 16:09:39

    (ごめん前回のベポのSAN値チェック後表記してなかった)
    (ベポ SAN値46-4=42)



    シャチは船長室のノブへ手をかけた。
    洗面所も、シャワー室にも、トイレにも、残念ながらローの姿は無い。こんな夜更けに食糧庫や機械室に居ることはまずないだろうからそちらは除外しまっすぐ此処へ向かってきた。誰ともすれ違っていないことを考えると、きっと部屋に居るはずだ。

    丸窓の中は非常灯以外の明かりがなく、薄暗い。普段なら眠っていることを示す光量だが今はそんなことに構っていられない。とにかく安否を確認しないと、と勢いよく扉を開ける。そこに危惧したような抵抗感は全くなかった。

    「キャプテン、寝てんの!?」

    ベッドへ駆け寄れば、申し訳程度に毛布をかけて眠るローの姿。
    パッと見ただけでは普段通りに眠っているようだが、その呼吸は浅く、細い。昔から死んだように静かに眠るタイプだが、今は気配すら薄く、まるでこのまま消えてしまいそうなほどだった。
    このロー自体が罠ということもあり得るが、いまは真偽すらどうでもいいと起こしにかかる。

    「キャプテン、起きてくれ!!」

    思いきり叫んでも、頬を軽く叩いても起きそうにない。
    と、そこでシャチはようやく己の状況を思い出す。

    「おれいま認識されないんだっけ!? 声、キャプテンに届いてねェのか!?」

  • 22◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 16:11:25

    慌てて両手を翳してみたり足元を見たりするが、自分は自分として姿かたちが見えている。しかし先ほどのペンギンの様子から考えると声も、出す音も、きっと周囲へ影響しないのだろう。もしもローが起きたところで怪奇現象を見せてしまうはめになる。


    「おれが先に来た意味が……いや、まずはバイタルチェックだな!」


    暗いままではダメだと部屋の明かりを付けたその瞬間。



    「 ……ぁ"、ァ"はっ……、

       あ"は、

           ふふ、

      アハハッ!

     

         ヒヒヒヒヒ! 」



    聞き慣れた声の、しかし正反対に聞いたことのない狂った笑い声が部屋中に響き渡る。

    この世の終わりのような、気を違えたそれにシャチは思わず寒気立つ。


    シャチSAN値チェック

    dice1d4=4 (4)

  • 23二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 16:15:23

    こんなん腰抜かすわ
    そしてダイスわかってるなぁ

  • 24◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 16:36:54

    (シャチ SAN値59-4=55)(一時発狂まであと3)

    「なっ……!」

    勢いよくローのほうへ振り返るが、人形のように眠ったまま微動だにしていない。声はまるで部屋のそこらじゅうから発されているようでシャチは上下左右、敵の影を探して目を走らせながらローを庇うように立つ。

    「なんなんだ……! 誰だよ、やめろ!!!」

    シャチの怒声もむなしく、部屋中に反響する笑い声は嘲笑うかのようにひどくなってゆく。
    が、そんななか部屋の伝声管から声が割り込んだ。

    『きゃ、キャプテン……!?』

    「ベポ!?」

    管のほうへ駆け寄るが、やはりシャチの声は届かず、代わりにこのおぞましい声だけが向こう筒抜けとなっているらしい。自らを奮い立たせるベポの泣きそうな声がシャチの耳に届く。

    『おっ、お前……ニセモノだな!? キャプテンを返せ!!』

    「キヒヒヒヒッ、
     ふふっ、あ"はははハハハ!」

    ベポの必死な声に居てもたってもいられなくなったシャチは、とにかくこちらからの声を遮るべく勢いよくガシャンと蓋を閉じる。
    すると途端に反響していた笑い声もすっと消え、室内はあれほどの声が嘘だったかのように静寂を取り戻す。シャチ自身の上がった息と鼓動だけが、己の耳に煩く響いていた。

    「……船長……!!」

    一体今のはなんだったのか、と思考する余裕もなくシャチはローの元へ駆け寄った。改めて眠る様子を確認するが、特に大きな異変はないようで安堵する。しかし状況は変わらない。まずは急いでバイタルチェックを、と意識の戻らないローへ手を掛けた。
    (続く)

  • 25二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 16:38:00

    いや怖

  • 26二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 16:43:03

    怖い怖い

  • 27二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 16:45:29

    二段構えでくるとは思わなんだ
    映像だったらここでビクッとなる自信ある

    シャチの状況は視覚にも作用する以外はナギナギみたいと思ったんだが、さて

  • 28二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 16:53:37

    他人に認識されないなら先に来た意味がないのでは→バイタルチェックだけでもしようと意識切り替えるのが良いね

    あと前スレの《コラさん》をも振り切って《今の居場所はハートの海賊団で、ポーラータングだ》と言い切るローというのはめちゃくちゃ良いアンカーだったと思う

  • 29◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 16:55:56

    (時系列少し戻る)



    ベポへの連絡を終えたペンギンは、急いで階段を駆け下りる。

    存在を消しつつも各所をチェックしながら進んだであろうシャチを追って船長室へ向かう。

    トイレやシャワー室などの水場を含めさまざまな部屋の扉が開け放たれているのは、シャチが自身の存在を主張するためか閉める時間が惜しかったのか、普段のものぐさか。

    とはいえ自分も閉めていく余裕などない。


    通路のどこにも人の気配はなく、船長の話声も聞こえなかった。


    「(となるとやはり自室か…!?)」



    シャチはもう船長に会えたのだろうか。


    あの窓に見えた幻は本当に幻だったのか。


    何もかもが杞憂であってくれと願い、走る。



    >>30 ペンギンに怪異を起こす場所(廊下・トイレ・風呂・洗面台の内のどこか)


    >>32 その怪異の内容

  • 30二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:03:11

    風呂

  • 31二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:07:35

    鍵が締まり閉じ込められる
    何者かに水の入ってる風呂に沈められる

  • 32二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:10:21

    水が張ったバスタブで水中船長リターン
    (潜水艦にバスタブってあんのかな?)

  • 33二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:20:15

    >>31

    >>32

    どっちも鬼畜すぎて草ぁ

  • 34◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 17:22:56

    クルーを曇らせるのに船長が有効、はっきりわかんだね


    風呂は調べたら潜水艦でも作れるぽいし、衛生重視してるポーラーなら小さい風呂釜+シャワーブース2基があるってことにしとくか じゃけん船長沈めましょうね~

    おもしろそうだから >>31 >>32 の合わせ技にしよう

  • 35二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:24:26

    船長騙りの怪異になった途端みんなSUN値ゴリゴリ減ってるね〜
    ダイスの女神も愉悦部だったか…

  • 36二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 17:44:27

    でもまぁ船の外よりは風呂の中の方がまだマシか
    すぐにローが本物か調べられるし

  • 37◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 19:56:07

    しかし、風呂場の横を通り過ぎた瞬間。

    奥のほうから水滴が水面を叩く音が聞こえてペンギンは思わず立ち止まる。


    ぴちゃん

     ぴちゃん、


    音にいざなわれるようにして、足を数歩、ゆるりと戻した。


    誰かが、栓を緩く閉めた?

     あるいはパッキンが劣化している?


    さまざまな可能性をもって嫌な予感を振り払おうとするが、ペンギンの鼓動はどんどん激しくなってゆく。

    きっと気持ちが急いているからこんな小さなことが気になるんだ、と自分に言い聞かせて風呂場の手前、洗面兼ランドリースペースへと足を踏み入れた。


    小さいながらシャワーが2基と、片方には湯舟もついているポーラータングのいつものシャワーブースは、やはり誰も使用しておらず明かりが消えている。廊下からの常夜灯だけではペンギン自身が影となってしまい何も分からない。

    サッと確認してすぐ出てしまえばいいと思ったが、どうしても水音の出所が気になり洗面室の明かりを付けた。


    ぴちゃん

     ぴちゃん、


    音は、浴槽があるほうのブースから聞こえてくる。

    ペンギンはあえていつもと同じ強さで、平静を装い扉を開けた。

    ひんやりとした湿気で満たされた薄暗いブース。浴槽へ視線を落とせば、水で満たされたそこへゆらゆらと沈む"あるはずのない"姿。


    それは自分たちが、この艦が、一等大切にしている男。


    水泡もなくただ静かに、そして眠るように沈む姿はまるで精巧なつくりもののようだった。


    ペンギンSAN値チェック

    dice1d3=3 (3)

  • 38二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 20:06:14

    怪異さんもダイスさんもほんま容赦なくて笑う
    まあその怪異はスレ主と俺たちなんだが

  • 39二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 20:08:06

    めっちゃ削られてる

  • 40◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 20:10:37

    (ペンギン SAN値53-3=50)(一時発狂まであと4)



    「待て……、待て、なんで!!!」


    無我夢中だった。名を呼ぶ余裕もない。

    駆け込み、腕を引き上げて上半身へ手を回す。思いきり引っ張ってはいけない、脱臼してしまう、と頭のどこかがそう警告するが担ぎ上げた痩身の重さと冷たさにすべての思考が止まってしまう。


    「せ、せんちょ……ロー……!?」


    かくりと力なく仰け反る喉。


    息をしていない。


    掴んだ手首に、脈がない。



    ―そしてその手指に、ぬるりとしたとめどなく流れる命の感触。



    頭が真っ白になり、それでも震えながら振り返った浴槽は薄暗いなかよく見れば、真っ赤に染められていた。


    今までたくさんの患者をローの横で見てきたペンギンの脳が、この冷たく青白い身体へ"死"という一文字を告げている。


    「ぁ…あ、ああッ……うわああああああっ!!!」




    ペンギンSAN値チェック

    dice1d6=6 (6)

  • 41◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 20:12:29

    両方最大値出しやがった
    まさかそうはならんやろと思ったんだが

  • 42二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 20:13:04

    うわああ一発アウトくるかぁぁ

  • 43二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 20:24:05

    ほんとに船長関連だとゴリゴリ削れるなぁこいつら

  • 44二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 21:58:35

    立て続けに最大値はやばい
    これ周りに精神分析できそうな人がいないのも不安だな

  • 45◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 21:58:59

    (ペンギン SAN値50-6=44)

    「なんで、なんでなんでなんで!! 嘘だ、ロー、起きろ!! 起きてくれたのむから!!!」

    なりふり構わず叫び、肩で支えて水から引き上げる。ざば、と乱れる激しい水音に反してローの身体からは音のひとつも鳴りはしない。手首を握り止血しようにもその手はぬめり、また、出てゆく血液はもう垂れる程度しかない。既に失血しすぎているということを告げる身体へ諦めきれず半狂乱になりながら、ローを肩で支えて浴室を出る。

    「まだ、まだまにあう、だいじょうぶだおそくない、たすかる、たすけるんだ、」

    しかし、いつの間にか廊下への扉が閉まっている。開け放して入ったはずだと蹴るように足を掛けるが、びくともしなかった。

    「な、ンだよこれ! どういうことだ…おい、出せ!! ふざけんな!!! 出せよ、早くしないと死んじまう!!!」

    壁すら蹴破る威力の蹴りで何度も扉を叩くが、凹みひとつつけられない。

    「おかしいだろこんなの!! 船長はこんなところで、こんな、おれたちの知らないところでッ……おれたちより、先に…ッ!!」

    絶叫へ嗚咽が混じってゆく。敵による何らかの攻撃で出られないのなら今この場で出来る最大限の止血を、気道や体温の確保を、と思うが体は言う事をきかず冷たい身体と、開かない扉へ縋りつき膝を折る。
    するとそのとき、あれだけ打ち付けてもビクともしなかった扉が軽やかな金属音をたてて開く。

    「ッ……!?」

    驚き顔を上げると、扉の先には布を目深に被った子供が立っていた。
    唯一見える口元は場違いなほどにんまりと弧を描いている。

    「だいじょうぶ」

    老若男女、何の声ともつかない"音"。それは目の前の子供から発せられているようで、空間そのものから聞こえているようでもあった。
    "それ"は紡ぐ。

    「そこにはなにもない。あのこは、まだ、しんでない」

  • 46二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:02:24

    クラちゃん……!!!!

  • 47二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:04:54

    クラちゃんが実体化してるのも異常空間だからか?

  • 48二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:26:21

    クラちゃん呼び好き もうちょいちょっかいかけたいな…

  • 49◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 22:38:21

    そろそろ終わりに向かおうかと思ってたけどもう少しだけボリューム足す?
    いうてさすがに発狂まではいかないだろうからヘーキヘーキ

  • 50二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:43:15

    ボリューム増えていいんですか…!?
    ギリギリを攻めに行きたいれすね

  • 51二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 22:44:32

    >>49

    盛っていこうぜ!


    水場とホラーの親和性っていいよね

  • 52◆Pxx1Kifjy223/08/20(日) 23:11:39

    峠を攻めるノリでSANを削るスレ民おもろ
    じゃあ盛るか

    また来週も気が向いたときにちょっかいかけにきてくれ

  • 53二次元好きの匿名さん23/08/20(日) 23:19:01

    >>17

    ベポが健気でかわいい

    もうちょっとだけSAN値削ろうね

  • 54二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 00:41:42

    ペンギン今まで固くて頼りになるなーって感心してたところに一番きつい怪異引いて一気に削れてるの気の毒だが最高だな

  • 55二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 06:55:57

    海の中の呪いの巣に引っかかったポーラータンクを守ろうとクラバウターマンが奮闘してるってこと?
    ニセコラさん気になるなあ
    そして妹ちゃんオナシャス!にこにこ差し出すアイスクリームが救いか罠か…

  • 56二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 10:48:28

    今追いついたが船長関係でゴリゴリ削れてるの見るとここの🎲神はよく分かってる
    1スレ消費してすまん

  • 57◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 11:50:38

    感想モチベになるからありがたい
    ボリュームアップするとなると次スレいきそうな気もするし気ままに書き込んでくれな

  • 58◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 11:51:04

    「なにを言って……」

    言葉の意味が分からず呆然とするペンギン。
    しかしふと気が付くと、己の肩には何もない。船長どころか流れた血の跡も、濡れた形跡も、何もなかった。

    ペンギンは思わず目を丸くする。
    抱えた身体の冷たさも、力の抜けた重さも、流れていた血のぬめりも、鮮明に思い出せるというのに何一つ此処にない。
    慌てて立ち上がり周囲を見回すが、目前の子供は「だいじょうぶ」と繰り返す。

    「わるいものを、みせられていたんだよ」

    何もかもを知っているといいたげな笑みに、ペンギンは後退りをして距離を取った。

    「……本当にあれは、船長じゃなかった、のか?」

    「そうだよ」

    「お前は誰なんだ……敵、か?」

    「ちがうよ」

    「おれたちの味方だっていうのか?」

    「そうだよ」

    分かるようで分からない情報の提供だが、ペンギンはひとまず肩の力を抜く。今のところ相手に敵意はなさそうだ。敵のマッチポンプや作戦ということも考えられるが、まずは情報を得なければ。この艦内で何が起こっているのか、ローの所在は。敵は何なのか。
    ようやく会えた"状況を知り得る人物"へ話を切り出そうと口を開くペンギンだったが、それより前に子供は廊下を駆け出した。

    「あっ、オイ!?」

  • 59◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 11:52:50

    「あの子も呼んでくる。なみだをふいて、ろーのそばでまっててね」

    届いた"音"のような声にペンギンが目に手を当てれば、そこには濡れた感触があった。途端、大切な命を喪う恐怖が再び足を鈍らせようとする。

    「ちくしょう……ッ!!」

    焦り、憤り、不安、恐怖。胸中に巣食うそのもやもやしたものすべてを振り払うようにペンギンはトレードマークの帽子を取り、洗面台でざばざばと水を被る。
    きゅ、と栓を閉めるころには幾分頭は冷えていた。

    (ペンギンSAN値44+1=45)

    「(とにかく今は、あの子供のいうことを信じて船長室へ向かおう)」

    冷静になれ、できることはまだあるはずだと己に言い聞かせ、ペンギンは帽子を深く被り直した。




    シャチは腕を回してくったりと揺れるローの上体を起こす。
    体温計では時間がかかりすぎると額に手を当てれば、その体温は普段よりも低い気がした。

    次いで胸元に耳をあてて脈と呼吸に異音がないかを確認するが、ここまで体を動かしても起きないことを考えると敵による精神攻撃か、昏睡させられているかのどちらかだろう。普段ならいくら気を許したクルーでもこれだけ触られていて起きないはずがない。
    状況によっては無闇やたらに体を動かすこともできないな、と一度態勢を整えようと抱え上げて首が揺れないように支えたそのときだった。

    「船長…ッ!? くそ、船長を離せ!!!」

    ペンギンの声が部屋に響くが、シャチの「おれだよバカ!!!」という全力のツッコミは届かなかった。

  • 60二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 12:12:15

    ペンギンからローはどんな風に見えてるんだろう

  • 61二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 13:35:27

    俺だよバカで草
    ペンさんSUN値回復したとはいえゴリゴリっと減った後だもんな…余裕ないよな…

  • 62二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 14:06:02

    その船長はほんとうに本物?

  • 63◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 14:33:08

    意識のないローが、今にも"見えないなにか"に連れ去られようとしている。
    そう認識した瞬間に声を張り上げるペンギンだったが、相手の動きがぴたりと止まったことでふと忘れかけていた存在に思い至る。

    「もしかして……シャチか?」

    だからそう言ってるだろ、と罵声が聞こえてくる気がして、ペンギンはじぃと宙を睨む。

    「……もしそうなら、ゆっくりと船長を置け」

    浮いたローはそろりとベッドへ降ろされ、安堵する。
    殺気もなく、これ以上何かしようという動きもないことからやはりシャチで間違いないのだろう。存在が見えず、声も聞こえなくなっているようだ。しかしこちらの声は届いているらしい。
    これも敵の仕業だろうかと思うように意思疎通が取れないことをもどかしく感じながら、傍に寄る。

    「敵は? いないのか? そもそもその船長は"本物"か?」

    応えは聞こえないことを承知の上で声を掛けつつ、部屋の中を見渡すペンギン。
    作業机に、書類に、本棚に、薬品や器具の詰まった棚。それからベッド。閉じられた伝声管の蓋。掛けられた雪豹柄のふわふわ帽子。部屋に荒れた形跡はない。何もかもが、普段通りのように見える。

    ―ただ、船長のローの意識だけが此処に無い。

    普段なら大歓迎の光景だった。
    常時寝不足気味の男がこれだけ深く眠っているのは信頼や安心の表れだと微笑ましく思えたはずだ。
    存在の真偽や意識のない今は、こんなにも不安を掻き立てる。

    「シャチ、さっきここに来る前に子供に会った。……何かを知っているらしいが、急に走り出しちまって何も聞けてなくてだな……」

    そう言っていて、「なんだそれ、結局なんも分かんねーんじゃん」とシャチに突っ込まれそうだなと思い口を閉ざした。去り際に言われた"あの子"とは誰だ、"ローの傍"というのは本当に此処で良いのかと自問する。
    すると急に気配のないところからバシッと肩を叩かれ、反射的に脛あたりを蹴り返すペンギン。そこに質量はなく空を揺らすだけだったので、脳内のお返し制裁カウントを2発から3発に増やすのだった。

  • 64二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 15:15:12

    いつもはツーカーのペンとシャチのこういうコミュニケーションって新鮮

  • 65二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 16:19:21

    最初にローさんをベッドに引き摺ってた時はどんなお化けで何するのかと思ったのにクラちゃんだったのか!

  • 66二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 17:16:04

    クラちゃんいい子!!

  • 67二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 19:00:00

    相手が見えない

    意思疎通ができない

    ってマジでホラー要素なんだな
    クラちゃん飴を握りつぶしたムーブなんだったのよ?

    クラちゃんポーラタンクのパワーがあると思えばローさんを引きずるのは余裕でしたね

  • 68二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 19:01:28

    認識できないようにさせたの自分だけどいい感じに効いてて面白い

  • 69二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 19:50:17

    最初にローさん引っ張ったり飴握りつぶした奴はクラちゃんとは別じゃない?あれ?

  • 70◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 20:14:52

    「き"ゃ"ふ"て"ん"ん"~~~!!!」

    神妙な空気のなか、廊下から聞こえてきたのは悲痛に泣き濡れた声。そしてどどどと重く勢いのある足音がこちらへ向かってきている。

    「ベポ、お前来たのかよ!!」

    「だってキャプテンが心配で!! ハクガンも行ってこいって合言葉も決めてきてだからおれ!!」

    鼻水に濡れてあまり聞き取れない言葉を発しながら室内へ突進してきたベポは、そのままの勢いでベッドへダイブしローを抱きしめる。

    「うわあああキャプテンがどうして気を失ってるの!! 誰にやられたの!?」

    普段のノリでぎゅうぎゅうと抱きしめガルチューをするベポ。
    それを見たペンギンが慌てて引きはがしにかかる。

    「あんま乱暴にすんなベポ! しかもまだ本物かどうか分からねェんだ!!」

    おそらくシャチも引きはがそうとしているのだろう、二方向に伸びるベポのツナギは傍から見れば歪なかたちとなっていた。ペンギンの言葉に、それでもベポはローを離そうとしない。

    「そのからだは、ほんものだよ」

    冷静な"音"が降りかかり、ベポとペンギン、おそらくシャチもだろう、パッと部屋の入り口を振り返る。
    そこには例の、レインコートのような布を目深に被った子供が立っていた。

    「あ、さっきの」と言うベポと、「お前は」というペンギンの言葉が被る。声は聞こえないが、おそらくシャチは先ほどペンギンが言っていた"子供"だと得心しているはずだ。

    「答えてもらおうか。お前が何なのか、そして今この船に何が起きているのかを」

    ペンギンが仕切り直してそう言えば、子供は口元を笑みのかたちにしたまま「いいよ」と頷いた。

  • 71◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 20:38:22

    「ぼくはずっとここにいる。きみたちと、いっしょ!」

    「一緒?」

    「ぼくはきみたちがすき。だいすき。だから、あいつらをおいだすの」

    「待て、あいつらっていうのは何だ?」

    要領を得ない言葉に、ペンギンはつい鸚鵡返しになってしまう。

    「しらない。でも、たくさんいる。ろーをもっていこうとしてる」

    「……船長を?」

    「まずはこころ。こころをからっぽにしたら、たぶんからだも。だからぼくは、ろーのこころにかぎをかけたんだ。でも、あいつらはいろんなほうほうで、ろーをつれだすの」

    説明が抽象的すぎて理解が及ばない。ただ言わんとしていることはなんとなく分かる気がして、ペンギンが要約を試みる。

    「つまり、船長が狙われていて…いま意識が無いのもそのせいってことか?」

    「うん。でもね、もっていかれないようにろーをとじこめたの、ろーはいやだったみたい」

    よくは分からないが、ローを閉じ込めるという言葉に三人ともが「そうだろうなあ」と心のなかで呟いた。お姫様よろしく幽閉されて何かを待つような人ではない。

    「ぼくのとどかないところにいっちゃうから、まっていてねっていってきた」

    「無理だろうな」「無理だろうねえ」

    ペンギンとベポが今度は言葉に出して言う。きっとシャチもそう言っていることだろう。
    そこでペンギンはとある事に気付いて詰め寄った。

  • 72◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 20:39:39

    「お前は船長と話せるのか!? そもそも心を守るとかカギをかけるとか、お前は一体何なんだ!?」

    ペンギンに肩を掴まれてなお、子供はにっこりと笑んだままである。

    「さっきもいった。ぼくはぼく。ずっとここにいる。いつもはみえないし、さわれない。だからいろんなところにいける。ろーのところもいった。しゃちとぺんぎんがとじこめられちゃったから、いそいでしょくどうにもいった。べぽのあめは、あいつらがけしちゃったけど…きもちをかたちになおして、ちゃあんとろーにわたしたよ」

    たくさんがんばった、と胸を張る子供。
    もたつく説明にペンギンとベポはハテナを浮かべていたが、思い当たる単語がいくつか出てきて同時に声を上げた。

    「もしかして食堂の扉を開けたのって!」

    「あのハクガン、やっぱり敵だったんだ!」

    ペンギンは食堂で閉じ込められて間一髪で扉が開いたことを思い出す。あのあと、確かに子供の影を追いかけた。
    ベポはローに相談があるからと飴を渡して別れたハクガンを思い出す。夢や寝惚けていたのではないらしい。
    二人の言葉に子供が頷いた。

    「こころが、そのあとからだもほしいから、じゃまされたくないから、みんなをここにこさせたくなかったんだとおもう。でもしらない。あいつら、いっぱいいるからぜんぶがそうじゃないかもしれない」

    段々と点が線に繋がってきた、とペンギンは思案する。

    「(つまり今までの異常はすべて時間稼ぎで、おれたちは"あいつら"……敵にとって邪魔者だってことか)」

    しかし、と未だ不可解な点を指摘する。

    「で、結局、その敵はどうして船長を狙う? お前は"あいつら"の仲間じゃないのか?」

    ペンギンの問いに、子供は表情を変えずにうーん、と首を捻ってみせる。

    「にてるけど、ちがう。いつもはみえないし、さわれない。それはあいつらもいっしょ。でも、たぶんこのかいいきとか、じかんとか……あいつらのなわばりになったんだとおもう。だからあいつらはみんなにがおーってできるようになった。みんながぼくをみえるのも、なわばりだからかな」

  • 73二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 20:48:52

    なるほどなるほど
    続きが楽しみ

  • 74二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 20:51:33

    飴潰したのはクラちゃんじゃないんだねごめんクラちゃん
    あいつらいっぱいいておれにゃ難しい

    最初引っ張ったのはローさんに拒否されて消えたから敵で、そのあと「だめだよ」いって眠らせたのはクラちゃんか
    ニセコラさんは本当に偽物か

  • 75二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 20:56:37

    アイツらいっぱい言って分からないとの事らしいしほんとにちょっぴり本物コラさんがいてそれが回避方法(拒絶)を伝えたとかかな?

  • 76◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 21:02:40

    「だが、食堂を出たときに見たお前は透明というか…もっと透けてたぞ」

    「そうだよ。みんなぼくのことはみえないし、はなしかけてもわからない。でも"あいつら"がしゃちにそれをおしつけた」

    子供が指さす先には何もない。
    ベポは首を傾げるが、ペンギンはそこに誰が居るのかを知っていた。

    「えっ……シャチ、そこにいるの!?」

    さきほどツナギを引っ張られていたにも関わらず、ベポは気付いていなかったようで目を丸くして指さされたあたりの空間を見る。しかし目を眇めても、角度を変えても、シャチの姿は見えはしなかった。

    「ああ、お前には言う暇が無かったが途中で急に見えなくなるし声も聞こえなくなったんだ。やっぱりここに居るんだな、シャチ?」

    「えーッ!! シャチ大丈夫!? どっか痛いとかないの!?」

    ベポが一生懸命話しかけてもそこには何も映らない。だが子供は見えているようで、シャチとベポを交互に見てはくすくすと笑う。

    「きづくのがおそいっておこってる。だいじょうぶ、おはなしおわったら、"それ"、ぼくにもどすから。みてもらえるってきづいてから、あわててろーのところにももういっかいいったんだけど、ぼくいそがしいから、すぐこっちもどってきた」

    言われて、ペンギンは先ほど風呂場で起きたことを思い出す。きっとあれのことだろう、とバツが悪くなり目を伏せた。

    「あいつらがろーをねらうのは、なんでかしらない。たくさんいるから。ぜんぶおなじじゃない。でもね、たぶん、すきだからだとおもう。それともあそんでほしいのかな。うつわがほしいのかも。しらない」

    しらない、しらない、しーらない、とまさしく子供のように、うたうように歩き回って、ローが眠るベッドの前に立つ。そうしてシーツの海へ身を乗り出して、ローの頬へそっと触れた。

    「もくてきなんて、しらない。

     ……けど、ろーもみんなもきずつけるあいつらは、きらい」

    ぽつり、落とされた"音"は先ほどまでと同じ"音"のはずなのに、ペンギンやベポ、それからシャチの背筋を震わせる響きが込められていた。

  • 77二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:08:40

    >>74

    最初のもクラさん

    偽コラさんの甘言で拒否したけど、ハート海賊団という居場所以外も拒否したことでコラさんもまた去った

    と解釈した

  • 78二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:19:59

    クラちゃんがお怒り
    まあそらそうよなぁ

  • 79二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:22:45

    クラちゃんこっちみて言ってない?
    ヒェッ

  • 80二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:56:08
  • 81二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 21:56:11

    クラちゃんもちょっとこわい
    シャチが消えた理由がここできれいに落とし込まれてきてお見事

  • 82◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 22:00:00

    「じゃあ、本当に……今、ここにいるローは本物、なんだな?」

    「うん」

    「"あいつら"が生み出した幻覚とか、夢とかじゃなく」

    「うん。あいつらがこっちのせかいにがおーってできるじかん、そんなにながくない」

    子供の言葉になるほどと冷静に返して、ペンギンはさきほど感じた冷たい重さを思い出す。子供と同じようにベッドへ寄って口元へ手を翳せば、か細いながら息があるのを確認できた。生きている証に、つんと目頭が熱くなる。

    「でも、船長の身体はいつもより冷たいし、呼吸だって……」

    ローのすぐ隣をキープしたままのベポは眉を寄せる。それに向かって「うん」と頷いた子供は、今度は宙に、いやシャチに向かって「うん」と頷いた。きっとシャチも子供へ向けて、気になることを伝えたのだろう。

    「だいじょうぶ。まだ、いきてる。でも、このまままだと、どんどんこころがこわされる。いまも、ろーをつれだそうとしてるから」

    だがそこでペンギンが「ちょっと待て」と慌てて言葉を遮った。

    「船長を助けたいのは山々だし、お前にも助けられてきたんだと思う。だが、……」

    世話になっておいて今更「味方である保証がない」とは言い切れず口籠る。それでもペンギンは船長の命に関わることだからこそ慎重にならざるを得なかった。敵が複数いるのであればこの子供は手先かもしれないし、気を許すための罠かもしれない。そういった考えが払拭できないでいる。

    ―この話を、信じていいものか。

    迷うペンギンの左肩へ、バシッと衝撃が走る。
    今日で一体何度目だろうか、その遠慮のなさに怒りがこみあげ立ち上がる。

    「お前なあ! 人が真剣に…ッ!」

    途端、その場を楽しむようなくすくすと笑う声が隣から聞こえて言葉を区切る。見れば、子供はにこにこと気分を害したふうもなくペンギンを見上げていた。

  • 83◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 22:12:49

    「しゃちはね、しってるんだって。だからあとできいてみて」

    「知ってる、って……。いや、いい。今はお前のいう事を信じるしかなさそうだ。ベポもいいか?」

    子供の通訳にペンギンは首を傾げる。しかし今ここで言い争いをしても事態は進展しないし、自分たちだけで船長を救い出せる気がしない。そうしてベポへ声をかければ、彼は少し考えたのちに口を開いた。

    「おれ、この子にはさっき廊下で会ったばっかりだけど大丈夫だと思うな。なんていうか、おれも知ってると思う」

    感覚頼りの言葉は無責任なように聞こえるが、長年の付き合いで外れがないことを知っている。2人が言うのであれば、とペンギンは腰を落として子供と同じ目線に立つ。

    「悪かった。改めて、船長を助けるために力を貸してくれないか?」

    「うん。ぼく、ぺんぎんのこともわかってるからだいじょうぶ」

    分かっているとは何がだろうと気になったが、きっと藪蛇だ。そう思い、眠るローへ目を戻す。

    「それで、相手や相手の目的は……分からないまでも、まあ、分かった。とにかく実体は無いんだな?」

    「うん」

    その言葉に、ベポが驚いた。

    「攻撃もできないの?」

    「うん」

    「じゃあどうやって船長を助けるの?」

    「おいはらうの」

  • 84二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 22:15:15

    頑張れクルー達
    ローと10年以上人生を共にしてきたのもローの今の仲間もお前達だ

  • 85◆Pxx1Kifjy223/08/21(月) 22:17:05

    感想考察もろもろありがとう!

    説明パートばかりだったが今日はここまで
    明日か明後日にはまた怪異パート入るから楽しんでいってくれ

  • 86二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 22:57:58

    おつー
    めっちゃ楽しませてもらってるよ、ありがとう

  • 87二次元好きの匿名さん23/08/21(月) 23:51:03

    面白いよー
    無理しないでね楽しみに待ってる

  • 88二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 00:17:10

    いざとなったら寺生まれのウルージさんがなんとかしてくれるはず…

  • 89二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 09:41:21

    本物のコラさんだったら今の居場所を選んだローを喜びそうだしやっぱりあれ偽物かなぁ

  • 90二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 13:55:12

    やっぱペンシャチベポが揃うと安心感あるね

  • 91二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 13:58:54

    もしかしてあいつら=スレ民だったりする??

  • 92◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 14:01:03

    >>80

    編みぐるみという存在は知ってるがしっかり見たのは初めてだすげー

    こんな細かい造形ができるんだな

  • 93◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 14:01:59

    実体なき複数の"現象"のような相手に追い払うとはどういうことだろうと首を傾げると、子供はローの肩をぽんぽんと撫でる。

    「はなれちゃったこころと、からだをつなぐの。そしたら、ろーはもどってこれる」

    「繋ぐ……? どうしたらそれができる?」

    「ろーのからだ、けがれでよわってる。きれいにしなきゃ」

    「けがれ? あれか、不浄とかそういうやつか。」

    島によって宗教の違いはあるが、概念はほぼ共通だ。いわゆる"邪気""ケガレ"というものがローに侵入していて、追い出して"綺麗に"する必要があるのだろう。
    ペンギンの言葉にベポが顔をあげる。

    「お塩とか、お酒とか、そういうのがいいんだっけ? それならワノ国でもらってきたのがキッチンとか食糧庫にあるよ」

    うんうんと頷いた子供は手を伸ばしてローの胸元を撫でる。

    「あとは、こころをむかえにいかなくちゃ」

    「迎えに行く?」

    「ぼくがつくったばしょ。あそこなら、ここからこえをとどけられる。からだがきれいなら、もどれる」

    「……さっきも思ったが、それは夢の中とか、精神世界とかそういうことなのか?」

    ペンギンの疑問へ子供は「ちょっとちがうけど、そう」と曖昧な肯定をした。いまいちハッキリとしない答えだがそういう感じのものだろう、と深くは突っ込まずに飲み込んだ。目的はローを目覚めさせることであって、現象の究明ではない。

    「だからぼくがつくったばしょでまってて、ってろーにいった。それからみんなをよびにきたのに。ろー、どこかにいっちゃったみたい。ううん、つれていかれたのかも?」

    その言葉に、先ほどから子供が繰り返し言っていた「閉じ込めた」「届かないところに行っちゃう」とはそういうことかと理解した。一方ベポは内容を咀嚼できず"連れて行かれた"という単語にのみ反応して落ち着きがなくなるが、ペンギンに落ち着けと声を掛けられしゅんと項垂れる。

  • 94◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 14:02:53

    「つまりだな、おそらく、その精神世界に船長がこちらへ戻れる中継地点みたいな場所があるということだろう。そこまで何らかの方法で船長を敵から奪い返すとか連れ帰る必要があるということだな? その間に、身体も不浄なものを退ける必要がある、と」

    「そう」

    なんとか段々と要約ができるようになってきた、とペンギンは息を吐いた。
    感覚的に物事を捉えて思考が柔軟なタイプのシャチならば、理解するのにここまで苦心することはないだろう。声も姿もないがそこにいるはずの相棒に向けて、恨みがましく八つ当たりの念を送る。

    「でも、ぼくはいけない。"あいつら"は、あんまりこっちにいられない。でも、ぼくもあんまりあっちにいられない。ぼくと"あいつら"は、せいはんたいだから」

    「俺たちで行くよ! キャプテンが行っちゃった場所なら、行けるんでしょ!?」

    ベポが身を乗り出すが、子供はうーんとしばし考えるようすをみせる。

    「たぶん」

    「たぶん!?」

    どういうことだと愕然とするペンギンとベポ、そして透明な空間に対して、子供はローから視線を外し目深に隠れた瞳でひとりひとりの顔を見る。

    「ろーは、さそわれた。でも、みんなはさそわれてない。だからなにされるか、わかんない」

    物理的に行けないという意味ではないと知り、ペンギンは胸を撫で下ろした。

    「有体に言えば危険ってことだな」

    「それでも船長がいるなら行くよ!」

    危険や死線など、幼い頃からいくつも乗り越えてきて此処に居る。そしていまその旗印ともいうべき人を取り返しに行くためなら自分たちは何だってするだろう。今いる幼馴染の面子だけではなく、クルー全員の総意であることに間違いない。
    固い決意へ、子供は満足そうに笑みを深くした。

  • 95二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 14:23:48

    頑張れー

  • 96二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 14:43:44

    (今更なんだが愉悦部ってなに?ぐぐったけどいまいちわからんかった)

  • 97二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 14:49:07

    一気見した
    めっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっちゃおもしろい

  • 98◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 16:37:01

    「えーと、じゃあ二手に分かれるの?」

    ベポの疑問へ、ペンギンが首を振る。

    「いや、三手だ。船長の身体を守らなきゃならねェ。それにその精神世界みたいなのに行く奴は気を失う状態になるんじゃないか?」

    「うん。こころがないから、ろーのからだつめたくなってきてる。なるべくあっためてあげないと。それに、"あいつら"につかわれちゃうかもしれない」

    冷たくなってきている、という単語にペンギンが小さく身を竦ませる。その傍らで、ベポはローをそっと起こして背中から包み込むように抱きしめた。今のうちに少しでも体温を分け与えようというように。

    「キャプテンの身体を守る係と、お塩とかお酒持ってくる係と、キャプテンを連れ戻す係、ってことだね」

    バックハグの態勢ですりすりとガルチューをするベポ。
    どうやって役割を決めたものかとペンギンはそのあたりに居るであろう相棒へと向き直る。

    「おいシャチ、時間がない。どうやって決める?」

    怪奇現象そのものと化しているシャチに相談しても碌な応えがないと分かっていても、三手に分かれると決めた以上その意志を確認する必要がある。
    だが予想に反して数秒の空白ののちに、とん、と何かを叩く軽やかな音が部屋へ転がった。次いで、爪で机か何かの表面をなぞるような音。また、とん、とん、とん、と鳴る。
    モールス信号だ。

    「…お、まえ…に、まか、せる……って、いいのかよ」

    会話は終わったとばかりに返事はない。
    ペンギンは後で文句言うなよと胸中毒を吐き、腕を組んで各々の状況と役割を思案する。

    「じゃあ……」

  • 99◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 16:38:28

    今回は投票で決める

    それぞれ適当だと思う役割に投票してくれ(同表数の場合、コメントを+1にして加算する)


    ●キャプテンの身体を守る係

    多数決さん投票お願いします!tasuketsu.com

    ●必要なモノを持ってくる係

    多数決さん投票お願いします!tasuketsu.com

    ●キャプテンを連れ戻す係

    多数決さん投票お願いします!tasuketsu.com

    0時あたりにスクショ撮って締め切るな

    難易度は安価次第だが、下にいくにつれて重いかも




    ちなみに現在SAN値↓

    集合してローの状態や状況が分かったから3人は1だけ回復した


    ペンギン45+1=46(発狂・恐慌状態まであと26)

    シャチ55+1=56(一時発狂まであと4)

    ベポ42+1=43(一時発狂まであと3)



    ローはそのまま42(発狂・恐慌状態まで12)でそのへん彷徨ってる

  • 100◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 16:52:45

    >>96

    「他人の不幸や絶望、狂気という旨味と澱みを味わってニチャアする会」みたいな感じだ

    某ジャンルのグループカテゴリ?だが、割と一般にも浸透してきてる

    ただし使うのは二次元のキャラ相手だけにしておこうな

  • 101◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 18:47:26

    (side ロー)



    「(しかし、敵の攻撃方法が見えてきたところで敵そのものが分からねえことには意味がねェな)」


    先ほどは意識的でないにせよ、近寄ってしまったことで"景色"へ取り込まれた。だがこの場を離れても、きっと視界をジャックし映像を見せてきたときのように何かを仕掛けてくるだろう。

    近寄っても、離れても、攻撃される可能性がある。


    それなら、とローは思案する。



    >>102 ローはどうする?

    ①虎穴に入らざれば虎子を得ず。ほかの景色を調べる

    ②例の自室からまっすぐ歩いてきた道をそれて、あたりを歩き回ってみる

  • 102二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 18:54:14

    ①

  • 103二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 19:36:06

    投票した
    そこそこ意見割れてて面白かった

  • 104二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 20:17:41

    おれが停電でwifiしんでる間に投票なんておもしろいことを
    おれはクラちゃん呼びを始めた者なのだぞ(謎のアピールをするのだ)

  • 105◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 20:20:03

    「……とにかく今は、多少身を削ってでも情報が必要だ」


    言い訳のようにつぶやいた。

    誰に向けた言葉かは分からない。この場に居ないクルー達かもしれないし、忘れてしまった何かに対してかもしれない。

    あるいは、その"景色"に惹かれる自分に対してか。


    ローは鬼哭を握りしめ、ゆっくりと"とある景色"の前まで歩を進めた。




    >>107 どこの"景色"の中にローを飛ばす?


    >>109 どんな怪異(ホラー展開)が起きる?

    ※精神的、肉体的問わず

  • 106二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 20:21:36

    ドレスローザ

  • 107二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 20:25:19

    ワノ国

  • 108二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 20:40:25

    ワの国の公害汚染が珀鉛病に変わっている

  • 109二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 20:48:22

    コラさんが生きていたらのifの世界線を見せられる

  • 110二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:02:17

    捕まってたペンシャチベポが無惨にころころされてた

  • 111二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:06:38

    コラさんが和服着て後輩ドレークと協力したりすんのか
    いいな

  • 112◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 21:07:43

    おっけー

    しかしいまのロー、コラさんのこと忘れてっからパンチがねーんだよな


    という訳で

    >>108 >>109 >>110 のミックスジュースにするか

  • 113二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:17:38

    このレスは削除されています

  • 114二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:20:13

    このレスは削除されています

  • 115二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:24:51

    救いのラミちゃんおなしゃす…

  • 116二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:28:07

    お題を横からつまみ食いするなんぞ野暮ってもんですよ…

  • 117二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:32:18

    >>113

    ごめん無粋だった

    消しときます

  • 118◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 21:33:17

    ラミちゃん好きだぞ 削れそうだし
    確実なのは安価だよろしく頼む

  • 119二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 21:52:42

    しれっと惨い内容追加されてるぅ...

  • 120二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 22:38:38

    >>109

    これ書き込んだ本人とにかくロー関連ならコラさん出したいってだけで書いちゃって、ローが今コラさんの記憶失ってるの忘れてたのでは?

  • 121◆Pxx1Kifjy223/08/22(灍) 22:50:48

    そうか もしそうならすまん
    おおおよそ内容固めたからどのみちコラさんは出るぞ 楽しみにしててくれ

  • 122二次元好きの匿名さん23/08/22(灍) 23:16:03

    このレスは削除されています

  • 123このスレ10923/08/22(灍) 23:59:08

    >>120


    すみません…。書いた後に気付きました…。以後気を付けます。

  • 124二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 08:03:26

    よく分からない人のはずなのに辛い、みたいになりそう

  • 125二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 08:11:15

    >>124それだっ!

  • 126◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 08:49:29

    マジで辻褄が合わんとか偏りそうな安価来たらごべーーん!再安価!!するから大丈夫だ
    逆に安価外れても入れれそうなら盛り込む場合もある



    そして投票&コメントありがとう!結果出た
    誰がどの役割でも良かったから投票理由すげーってなったし愉悦部員多くてわろた
    それぞれ喰らわせたい怪異があれば考えといてくれ
    (冒頭にある注意事項を避けてくれれば割となんでもOK)

    なるべく色んな人が参加しやすいよう事前に「○時に安価する」って連絡入れるから皆でSAN切削を楽しもうな(ニチャア
    以後スレ主はなるべく引っ込む 感想考察等も引き続き適度に投げてくれるとうれしい
    なにか迷うことあればいつでも質問してくれ

  • 127二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 09:26:40

    >>124

    後で全部おもいだして追加のSAN喪失が入るのも良いかも…

  • 128二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 11:09:52

    保守

  • 129二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 12:53:35

    クラちゃんの言葉を全て信じて良いのだとしたら

    前スレ40はめちゃくちゃ良い仕事したな

    クラちゃんが奴らが入ってこられないように鍵をかけていたのを、奴らがコラさんに化けてローの意思で開けさせようとしたところ

    【部屋に閉じ込められていること】を拒絶するのではなく【この空間にいること】を拒絶して甘言を吹き飛ばしたんだから

    とはいえまたすぐにローは持ってかれて今外で彷徨いちゃってるんだが


    >二次元好きの匿名さん23/08/13(日) 14:46:5213報告

    >俺の居場所はハートだ!!的な事を叫びながらこの空間にいること自体を猛烈に拒絶する

  • 130◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 18:44:46

    近付けばやはり前回と同じように、周囲の闇色が幕のように上がってゆく。二度目となると驚きはない。
    そうして現れた風景は、予想通り数日前まで滞在していた土地のものだった。懐かしいと思うよりも見慣れたものという認識が先にくるのは、作戦のため滞在した日が長かったせいだろうか。

    一枚の布から作られる独特な衣服、
    木組みや土、乾いた草で建てる家々、
    威勢と活気、それから根性が据わった人々。
    龍による支配から解き放たれた、ワノ国だ。

    ローが此処を選んだのはふたつの理由があった。
    ひとつは、一番間近な記憶であること。鮮明に思い出せることばかりで、もし改変されたとしても"幻だ"と断じることが容易であるということ。
    もうひとつは、一番"敵"が居そうな場所だということ。ワノ国の出航後は海王類にあたったくらいで、誰かや何かに接触した覚えはない。とすると、"なにか"がワノ国から乗ってきた可能性がある。

    「(ここには敵に関する何かがあるかもしれねェ)」

    あてもなく自分の記憶を引っ掻き回すより幾分マシだと選んだ場所だが、現れた景色に眉根を寄せた。
    今にも倒壊しそうな朽ちた家々が並ぶえびす町。SMILEの影響は終ぞ治らなかったためこの幻影が過去か未来か現在かは分からない。町の人間たちは畑仕事をしながらしきりに笑っている。違和感はそこじゃない。

    笑う人々の肌が、まだらに白くなっている。

    「……どういうことだ」

    頭の中で響く警告音。
    違う、違うと否定すればするほど滅びた故郷を、家族を意識する。
    こんなものにはワノ国になかった。そう脳内で斬り捨てようとしたがふと出航前にあった出来事を思い出した。

    あれは物資を補充していたときのこと。
    イッカクが「ワノ国特有の化粧品らしいですよ」と見せてきたオシロイと呼ばれる粉。ちょうど同時期に遊郭の女性たちが倒れるという話を聞いてチョッパーと共に色々と調べたのだが、その粉には鉛が大量に使われていることが判明し事なきを得た。
    出回っている全てのオシロイが中毒を引き起こすものではなかったし、鉛といっても珀鉛ではなかった。が、製造中止に一役買ったローはあのとき内心穏やかではいられなかったことを思い出す。

    「(あのオシロイとやらが出回っちまった、仮の世界……?)」

  • 131◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 18:45:03

    きっとそうだ、それ以外に肌が白くなる理由が無い。

    嫌な予感に唇を噛むが、こうして突っ立っていても情報は集まらない。

    此処がどこで、敵は己に何をさせたいのか調べなければ。

    そうしてローは、畑作業をする若い男へ近寄った。


    「おい、その白い肌……、それはオシロイか?」


    「お? あはは、こんなところに他所モンが来るなんて珍しいねえ、あはははは! しかもオシロイだって? バカ言っちゃあいけねェよ、あんなお高ェモンを買う金があれば飯粒の一つでも買いに行きたいくらいさ、あははは貧乏って嫌だねえ!」


    男は白くなった腕で汗を拭う。そうしてまた笑う。


    「これが何かなんて誰も何も知らないんだよ、困ったねえ! あはははは、そうさ困った病なのさ! 人から人に移っちまうからみーんなおそろいだ! 兄ちゃんはまだ大丈夫なんだろうが、気を付けるんだぜ! あはは、おいらんとこのガキはこれにやられて寝込んじまってるからな、栄養つくもん食わせてやらねぇと!」


    人から人へ。

    子供が寝込む。

    肌が白くなる、病。


    「ぁ……」


    有り得ない。

    ぞくりと肌が粟立った。


    「(違う……ここの奴らは、水が毒に変えられ…食べ物が育たず、食うものに困って、それに、珀鉛は採取されていない。"アレ"じゃなかったはずだ…!)」


    鬼哭を持つ手に力が籠る。


    ローSAN値チェック

    dice1d3=2 (2)

  • 132◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 18:46:31

    (ロー SAN値42-2=40)(発狂・恐慌状態まで10)

    「兄ちゃん? 大丈夫かあ? アンタも体調悪いのか?」

    「いや、いい……大丈夫だ。ありがとな」

    思うように力が入らない足を叱咤し、早々にその場を立ち去った。敵どころか行く当てすらなかったが、ただこの町を、人を、目に入れたくなくて足早にえびす町を駆けてゆく。
    敵の都合の良い幻だ。きっと記憶を混ぜただけ。そう思うのに、滞在していた町で暮らす人々の生々しさがかえってローの精神を蝕んでゆく。

    幻相手に治療もなにもないと分かっている。しかし医者としての自分が何もしないのは酷く不義理な存在になったようで、周囲に責められているようで、そして両親の教えに背いているようで心が擦り減ってゆく。

    「(胸糞悪ィもん見せやがって)」

    早いところ敵本体を見付けてやる。そう思った瞬間、遠く背後からローを呼ぶ声がした。

    「ロー! 待てよ!!」

    「なんだ、アンタもおれを止めに来たのか? おれは間違ったことは言っちゃいねえ」

    口からついて出た言葉に、ローは息を呑む。
    違う、おれの言葉じゃないと口を閉じようとするが、いつの間にか身体の制御がきかなかった。
    そればかりか、振り返った目の前には見知らぬ大男。臙脂色の頭巾を被り、派手な黄色の着流しを身に着けている。ワノ国でこんな特徴的な男と喋った記憶はない。だというのに、"制御の効かない自分"はこの男と懇意であるかのように流暢に話し出す。

    「ベポ達が情報を吐くなんてあり得ねえ。こっちだって命張ってここまで来てんだ、証拠もなしに一方的に疑われてたまるかよ!」

    「お前の気持ちは分かる。だがお前はおれたちの大事な船長なんだ、頼むから変な気は起こしてくれるな!」

    「助けに行くのが変だってのか!?」

    「そういうことじゃない!」

  • 133◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 18:46:54

    口論は続く。
    まるで寝ているときに見る夢のように、ローの意識はふたつあった。これは敵の幻影だと、身体の主導権を返せと叫ぶ自分。それから大男と会話していること、それを当たり前のようにしている自分。乗っ取られたように分裂した意識へ、ローは文字通り手も足も出せやしなかった。

    「アンタが何を言おうと、おれはあいつらを助けに行く。ベポ達に出始めてる中毒の治療だって追いついてねぇ。そんななかで拷問なんて受けてみろ、具合は悪化する一方だ!時間がねえ!」

    「ベポ達がお前に危険を冒してまで来てほしいなんて思うはずねェだろ、一旦落ち着け! おれだって居るんだ、作戦を練ればいい!」

    大男の言葉に、"自分"が自嘲する。

    「作戦を漏らしたと疑われたおれ達が何の作戦を練るって?」

    「だから、それは……おれが……!」

    「アンタの中毒症状も進行してる。昨日取り除いた珀鉛は体の負担を考えてごく僅か。今はカイドウを倒すために体力を温存しておくべきだろうが」

    「ロー!」

    「おれは医者だ! アンタも、ベポ達も含めて患者を治すためにいる!!」

    そうしてroomを展開し、どこぞの屋内にあるボロ布と大男を入れ替える"自分"。
    あえてやりとりを見守っていたローは状況が掴めてきたと意識を持ち直す。時系列はベポ達が捕まったところで、あの大男はクルーの一員らしかった。
    過去を見せるのも、混ぜるのも、まだ分かる。しかしあの大男は一体どういうことだと改めて顔を思い出すが、やはり覚えは一切ない。ただ、足を引き摺りながら切羽詰まった表情で詰め寄る姿は、こちらのことをひどく心配しているようだった。

    ―化粧が無いと、ずいぶんさっぱりしてるんだな

    ふわりと浮かんで途端に消えた、シャボン玉のようなそれ。
    消えた違和感に気付いて跡形を掴もうとするが何も見つけられず、ローは釈然としない気持ちを嚥下した。

  • 134二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 20:58:00

    >>126

    コメントも見たいな

  • 135◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 21:18:34

    >>134

    ヒント:各投票URL左下「結果ページ」

  • 136◆Pxx1Kifjy223/08/23(ć°´) 21:29:02

    自動で動く身体と流れる景色。身を任せるのは不本意だが、持ち得る対抗策はないため思考の海に沈む。

    「(大男の存在が勝手に加えられている……となるとあいつが"敵"か、それとも今おれの記憶に障害が起きているかの2択だな)」

    シャンブルズしたのは惜しかった。

    もっと情報を得ることができたはず。

    あの大男が敵だとしたら、目的は?

    おれを殺すだけならできたはず。

    いま向かっている先に目的があるのか?

    あの時はこれから牢屋敷で人質交換をしたはずだ。

    ベポ達は無事だろうか。

    昨夜は症状が進行していて辛そうだった。

    違う、これは改変されている過去だから、

    早く助けてやらねェと。

    だから、敵を、

    ―"敵"?

    「そうだ…敵……カイドウを討つために麦わら屋達も動いてる……おれはあいつらを助けに行かねェと……」

  • 137二次元好きの匿名さん23/08/23(ć°´) 21:31:59

    いい具合に混乱してきてるな

  • 138二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 06:37:59

    ワクワク…楽しみ

  • 139◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 09:37:51

    今夜20時30分にシャチ(品物係)の怪異を募集するからよろしくな
    ベポとペンギンはまた後日

  • 140◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 09:40:52

    ちなみに安価する内容は「どこでどんな怪異が起きる?」だ
    艦内(ローの私室以外)ならどこでもOK、場所ごと設定してくれ

  • 141二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 09:43:21

    愉悦クソ楽しいなあ!!!!あと129お褒めの言葉ありがとう

  • 142二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 10:11:23

    キッチンで普通につまみ食いに来たクルーと、怪異ジャンバールに同時に鉢合わせとか

    怪異ジャンバール脅威すぎるかな

  • 143◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 15:46:47

    おかしい。そう思いながらローは目の前に立つ男を睨む。
    牢屋敷に到着しホーキンスと刃を交わすが、ベポ達を盾にしている話が一向に出てこない。そればかりか此方の出方を伺うように、そしてせせら笑うように斬り合うばかりだった。

    正直、踏み込めば勝機はいくらでもあった。それが出来ないのは、部下の命を盾にされているのではないかという疑心があるからだ。何を考えている。何体の藁を入れている。ただそれだけが気がかりであと一歩が踏み込めない。

    「ベポ達はどこだ…!」

    刃と装甲がぶつかり合う音が響く。その余韻のなかで、ホーキンスがふんと鼻を鳴らした。

    「部下が部下なら、船長も船長か。情けない」

    「なんだと!?」

    「会いたいのなら会わせてやろう」

    牢屋敷の中にいた男達数人が、ホーキンスに声を掛けられ門の奥へ引っ込んだ。

    「(ようやく取引か……いや、待て取引って何のことだ……?)」

    ふわりと浮いた考えを一蹴し、ただ一旦、三人の無事な姿を見ることができればそれでいいと息を整える。逃がしさえすれば、あとは自分一人でどうとでもなる。
    そんなことを思った矢先のことだった。

    門の上から"重いもの"が数体、棄てられたのは。

  • 144◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 15:50:58

    「な……ッ!」


    "それら"が何であるのか理解するのを、脳が拒んだ。


    赤、青、緑。この国に入り見慣れるようになった色とりどりの着物が赤黒い血肉に混じり、破れ、襤褸雑巾のようになっている。


    その中身は、まだらに白い。


    歪に折れた四肢、曲がった首、開いた複数の穴。


    ぴくりとも上下しない身体。


    「ぁ……あ……」


    気付けばローの手は"それら"へ伸びていた。

    ひたり。指先が肌へ、毛並みへ触れても弾力も温度も、なにもない。


    「部下の命なぞ"代わり"でしかない。情で生き残れるほどこの海は甘くない。だというのにこいつらは最期までピーピーと喚いていたぞ」


    温度のないホーキンスの声にローの血の気が失せてゆく。

    ゆるりと曲がった首の先。滑るように視線を向ければ、地面に転がった三つの顔は"いつもの"阿保面のような笑みで固まっていた。


    「"船長、あいしてる"。それがこいつらの今際の言葉だ」



    ローSAN値チェック

    dice1d10=2 (2)

  • 145◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 16:43:55

    (ロー SAN値40-2)(発狂・恐慌状態まで8)

    「……ちがう……、」

    冷えた毛並みに手をあてたまま、ローはぽつりと呟いた。
    こんな感触に覚えはない。微かに残る意識がそう叫ぶ。

    「ふん、何が違うというのだ。そいつらはもう死んでいる。餌の役割など所詮この程度。用が終われば命も尽きるのだ。そしてお前も今ここで捕えられる運命にある」

    「違う……、ここは……ここは、現実じゃねえ。こいつらは珀鉛病になんてなってない。……殺されてもねェ。あの時はおれが逃がした。牢屋の侍たちも自由になった。おれたちは鬼ヶ島へ向かったんだ」

    己の内に起きている意識の混濁を阻止するため、ぶつぶつと記憶を辿るロー。
    そうだ、ここは改変された世界。おれの過去はここにない。そう確認するように頭の中で繰り返す。
    珀鉛病や正体不明な大男、それからクルー達の死に顔で動揺を誘おうというのは稚拙な精神攻撃だ。

    「それにしたってこんな映像、悪趣味が過ぎる」

    ゴミのように棄てられた惨たらしい"身体だったもの"へ、身震いするほどの憎悪が込み上げる。
    この三人の遺体など一生見ることがないと思っていたローは、これらを幻と断じてなお感情を昂らせずにはいられなかった。

    「何を言うかと思えば。気でも触れたか? お前の部下は死に、お前も此処で囚われるんだ」

    「お前が何を言おうと勝手だ。が、こいつらは毎日バカ騒ぎして笑ってんのが一番の似合いなんだ! 幻だろうとそれを害するのはこのおれが許さねえ!!」

    ホーキンスが降魔の相と叫び藁人形化すると同時にローが鬼哭を構えたその瞬間、周囲にあふれる"音"の一切が消え失せる。次いで何処かから放たれた爆撃が巨大化したホーキンスの足元に散らばった。

  • 146◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 20:30:18

    思ったよりローのSAN値が削れなかったな

    崖っぷちの癖にしぶとい感じ、原作感あってチクショウ


    という訳で、先にシャチ(品物係)の怪異を募集する

    >>149




    もしも参加率悪かったら次から普通に投稿のとき安価する

    星飛雄馬のクリスマス会みたいな気持ちになるから

  • 147二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 20:31:07

    通路
    無限回廊に入り込む

  • 148◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 20:43:46

    はええ 参加サンキュー!

    んじゃひとつめ >>147 にしてもうひとつ安価通りにするか


    時間指定めんどいし次から普通に安価するわ

  • 149二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 20:48:20

    窓という窓から無数の目に見つめられるとか

  • 150二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 21:04:55

    キッチン
    肌が白くなったキャプテンがいる

  • 151◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 21:19:39

    おっけー
    折角だしいろいろ盛り込むか
    地味に体力・時間も削れそうだな

  • 152◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 21:25:52

    確かに爆撃だと思うのに、破裂音も、風の音も、地面が抉れる音もない。無だ。

    「(どういうことだ…!?)」

    辺り一帯にもうもうと土煙が立ち込め、何もかもが見えなくなる。突然の出来事に状況把握を試みようとしたローが一歩引いたところで、その手首が何者かに捕まった。振り返れば、先ほど追い払ったはずの大男。ローの手首を掴んだまま走り出し、ローも引きずられる格好となる。

    「オイ!? アンタ、なんなんだ…!」

    「"凪"」

    「何を……ッ、もしかして能力者か!? 離せ!!」

    "何らかの能力を発動する"ようすに慌てて腕を引くが、掴む力は強くビクともしない。
    大男はローを連れ去りながら振り返りつつ狼狽える、という器用なことをしてみせる。

    「ロー、どうしたんだ何を混乱してる!? おれだ、コラソンだ!!」

    「"おれ"はお前なんて知らない……お前がこの空間を創り出している張本人か!?」

    「待て待て、何の話だ!! というかお前ベポ達はどうした!? 生きてるのか!? とりあえずお前が囲まれていてまずいと思って退却したが、あいつらを持って来れなかった…!」

    「あれは幻だ!!!」

    本物であってたまるかといきり立つローへ、コラソンと名乗った大男は顔を顰めた。

    「幻!? いや、いい。一旦落ち着こう」

    羅刹町を走り抜け、どこぞかの建物の路地裏へ入る。表通りは百獣海賊団や町人達が駆けていくが二人に気付く様子はない。いい加減に離せ、とローがコラソンから腕を振りほどく。

  • 153◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 21:27:22

    「で? アンタがこの騒動の元凶か?」

    「さっきからどうした、ロー! 魔術師に何かされたのか!?」

    「……お前はおれの敵じゃねェのか」

    先ほどから見るに、大男は"ローの仲間"を装っている。カン十郎の件もあるため油断はできないが、相手もこちらも出方を伺っていて話が進まない。ローは"自身の記憶障害"の可能性を視野に入れ、男との距離を取る。

    「おれがお前の……!? なァ、本当にどうしちまったんだ。やっぱり何かされたんだな!? いや、今は時間がねェ、おれは能力でもう一度牢屋敷を見て、隙があればベポ達を助け出してくる!」

    「は!? だからあれは―…」

    「いいか、この"凪"はお前にかけっぱなしにしておく、だからここにいろ! あとで迎えに来る、『知らない奴は敵だと思え』! 絶対についてくんじゃねェぞ!!」

    そうしてローの静止も話も聞かずにコラソンは再び駆け出した。珀鉛病のせいだろうか、他にどこか怪我をしているのか、時折ふらつきながら小さくなる背へローは無意識に手を伸ばす。が、瞬きひとつの合間に、男の姿は雑踏へと消えていった。


    敵意は無かった。むしろ優しい目をしていた。

    身体の痛みを我慢しながら言うだけ言って。

    ―あのときのように。


    「あのとき……?」

    コラソンの必死なようすに、訳も分からずローの胸が軋むように痛みを訴える。
    ローの周囲には、闇色の幕が下り始めていた。

  • 154二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 21:55:46

    >>144

    1d10で振ってんのに硬ぇ!!w

    原作からしてダメージ与えすぎると鬱どころか世界全部壊してやるという闇方向にアグレッシブになるタイプだもんな

  • 155◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 22:01:35

    (side クルー)

    「きをつけてね。あいつらは、もうぼくたちのこうどうをわかっているよ」

    ベッドへ腰かけた子供が足を揺らして言う。
    結局ペンギンが決めたのは、船長へ的確に体温を分け与えつつ守ることができるベポをここに残し、シャチが物品を集め、自身が船長の魂へ接触するというものだった。姿が見えない、音も立てられないシャチがクルーに遭遇すると面倒だが、ローを迎えに行って認識されないよりはマシだろう。

    「ぺんぎんをあんないしおわったら、"それ"、ちゃあんともどすからね」

    「じゃあ、俺たちはお前と喋れなくなるの?」

    人が持ち得るはずのない、目前の子供のようにこの世に非ざる者のみに許された"特性"。それを元あるべき場所にという話だが、ベポが心配そうに眉を寄せる。シャチにとっては文字通り死活問題だが、一連の出来事のカギを握っている子供と接触できなくなるのは心許ない。

    「きれいにするもの、それからあのこをつれもどしたら、このからっぽのからだにおねがいするの。"もどって"って。それだけ。だから、だいじょうぶ。ぼくは、ついさっきみたいになるだけ。ろーとぺんぎんがもどってくるまで"あのばしょ"をまもっておくからね」

    「でも……」

    「だいじょうぶ。ぼく、いつでも、ずっとそばにいる」

    尚も言い募ろうとするベポへ、子供が嬉しそうに笑む。

    「それに、しゃち、このままじゃかわいそう」

    「別にいいよ」

    「むしろ静かでいいな」

    ペンギンの肩に今日何度目かの衝撃が走る。前言撤回、声がなくても行動が煩い奴だとペンギンはなにもない空中を蹴り返す。手応えがないと分かっていても、やらずにはいられなかった。

  • 156二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:06:43

    最後の会話クスッとなった
    スレ主文章がうめェ

  • 157二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:12:03

    シャチが迎え役やってもローに認識されない危惧があるってのはなるほど
    理由づけが上手いね
    (安価参加するつもりだったのにこういう日に限って仕事長引いてしまった残念!)

  • 158◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 22:19:05

    もうちょっとローを削りたいんだ

    なにか怪異がほしい 闇のなかだから割と何でもありだ

    >>159

  • 159二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:33:48

    さっきのワノ国ででてきたペンギンシャチベポの死体

  • 160二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:36:49

    ラミちゃんが痛い、熱いと苦しむ声も加えよう

  • 161二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:42:10

    フレバンスで死んだ両親とシスターや子どもたちがローに手を伸ばしている

  • 162二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:49:55

    そういや鳥かごにかーなーり恐怖してましたよね船長

  • 163◆Pxx1Kifjy223/08/24(木) 22:52:38

    アイデア集まるの早くて草
    159メインにして盛るしかねーな

    色々ありがとな!また明日

  • 164二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:54:14

    スレ主おつかれ!
    今日も面白かったありがとう

  • 165二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 22:58:16

    おつ!
    ここを見るのが日課になりつつある
    また明日楽しみにしてるな

  • 166二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 23:00:41

    ああ乗り遅れた
    フレバンス直後の、全部壊したい感MAXの自分と対面する

  • 167二次元好きの匿名さん23/08/24(木) 23:06:38

    ローは宝箱に隠されて、ラミはアニオリだけどクローゼットに隠されたまま焼け死に……暗闇そのものにトラウマ発動のトリガーが眠っててもおかしくないな

    シャチとペンギンもノベルロー設定だとなかなかキツい過去持ちだし、怪異が張り切りそうだ

    一応ノベルのシャチとペンギンの過去設定

    ざっくりではあるがネタバレになるからテレグラフ使う

    ノベロネタバレ、シャチとペンギンの過去#

    #

    #

    #

    #

    #

    #

    #

    目の前で両親たちが突如発生した高波に攫われて死亡

    →引き取られた先で奴隷化され飢えと暴力に苛まれながら犯罪行為をやらされて生きる意味を見失う
    telegra.ph
  • 168◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 09:57:16

    いると思ったらいなくて、いないと思ったらいる

    やはりスレ民は怪異



    >>167

    情報ありがとな!

    後半うっすら知ってたが前半知らんかった

  • 169二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 11:16:14

    廃人にさえしなければ発狂させても正常に戻せるのかな

  • 170◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 11:52:10

    >>169

    戻せるが、数字が0(廃人)に近くなればなるほど精神的重症による静養が必要という感じだ

    不安定だからトラウマスイッチ入って突然暴れたり自傷他傷したり何するかわからん奴になる


    エース殺されて暴れてたルフィがSAN20~25くらいのイメージ

  • 171◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 11:55:14

    「じゃあ、いこ。ぺんぎん。らくなしせいで、めをとじて。ぼくがてをつかむから、きょひしないでついてきて」

    「わかった」

    ペンギンがベッドを背にして座り込み、目を閉じる。子供がその手を掴んだとき、ベポがたまらず声をかけた。

    「おれ、おまえの名前聞いてない!」

    しかし子供の口元は笑顔のかたちを保ったまま動かない。

    ―またね。

    "音"を残し、すぅとその姿が溶けるように消えてゆく。
    同時にペンギンの首元もかくりと落ちた。本格的に眠りに入ったようにも見える。

    「……ねえ、シャチ。まだいる? おれたちも頑張ろうな!」

    ベポは一抹の寂しさを感じながら、意識のないローを腕のなかへ抱き寄せた。
    途端、頭のうえにふわりと軽い感触を受けて顔を上げる。次いで、ふわりと抱きかかえているローの髪が揺れた。きっと撫でてくれたのだと理解するまで時間はかからなかった。

    「うん、きっとキャプテンは大丈夫だ! おれ、待ってるからな! 行ってらっしゃい!」

    なにもない場所へ向かって手を振るベポは、「おう」と笑顔で応えるシャチの姿が見えた気がした。


    【現状SAN値】
    連れ戻し係:ペンギン 46(発狂・恐慌状態まであと26)
    品物係:シャチ 56(一時発狂まであと4)
    身体守る係:ベポ 43(一時発狂まであと3)
    連れ戻される係:ロー 38(発狂・恐慌状態まであと8)

  • 172二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 13:28:39

    連れ戻される係wwwww

  • 173◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 18:12:53

    腰に下げたダガー、上腕と腿のナイフ、それから仕込み靴の具合。
    廊下に出たシャチは身体をほぐしながら身体の武器を確認して、最後にひとつ首を鳴らす。

    「―っし、行くか」

    とにかく一刻でも早く、ローを起こす。色々なものに対して不可解な点はあるが、今やるべきなのは考えることではなく体を動かすこと。そう割り切って駆け出した。
    自分に聞こえている足音はきっと第三者には届いていないのだろう。通りすがりに丸窓を見ても、自分の姿は映らない。ただ、この姿になって分かったことがいくつかある。

    「(おれ自身が"意図してたてた音"は相手に聞こえねェけど、"動かしたものがたてる音"は聞こえるんだよな。あとは誰かを攻撃したとき……ペンギンを叩いたときの音、あれもたぶん聞こえてる)」

    伝声管の蓋を閉めた音は響いたし、仕込み針で引っ搔いたモールス音も届いていた。
    万が一、クルーの誰かに出くわしたらなんとか音を立てて凌ぐか、と算段を付ける。

    「(こんな状況でもなきゃ『ステルスブラックみてえ!』って喜べたのに。キャプテンにも見てもらいたかったな~あれで割とこういうの好きだし。いや逆にソラの敵の能力なんて、っつって嫌がるか? それはちょっと……でもせっかくだから男のロマン、覗きとかも………)」

    邪な方向へ流れ始めた考え、そしてその違和感に気付いてシャチはぴたりと足を止めた

    「……あ?」

    いくらなんでも、長すぎる。この廊下は端まで走ってもほんの数秒で階段に着くはずだ。

    ―それを、いま、どのくらい走った?

    シャチは嫌な予感にゆっくりと来た道を振り返る。

  • 174◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 18:13:08

    「(おかしくねーか?)」

    ローの私室があるこの階層では、手術室や薬品庫など医術に関する重要な部屋が多く並んでいる。一つ一つの部屋が広いため居住区とは違い、扉の数自体はそう多くない。

    だというのに、振り返った廊下にはいくつもの扉と丸窓が付いている。
    シャチはもしやと思いつつ右手側に薬品庫、というプレートがかけられた部屋を確認する。何の変哲もない、いつもの部屋だ。そうして廊下の右手側を見つめたまま走れば、すぐまた同じ部屋の扉が見えてくる。

    「はぁ!?」

    思わず声を荒げた。つまり、同じ場所を延々と走らされていたことになる。

    「いや、違う、これもどうせ"あいつら"のせいだ、っつーんだろ? 分かってる、何も知らなきゃそりゃビビるかもしんねーが、起こると分かってれば楽勝だ」

    己へそう言い聞かせるシャチだが、袋小路に等しいこの場で何が起きるか分からない。
    すぐさま壁を背にして腰のダガーを取り出した。

    「(このまま時間を消費させて、船長を"浄化"させないつもりってこともありそうだな)」

    この場所で時間を稼がれるより、誰かや何かが襲ってきたほうがまだマシだ、とシャチは眉を寄せる。そいつを倒せばきっと道は戻るはずなのだから話は早いだろう。

    「クソッ、急いでるってのに……!」

    ダガーを握りしめたその瞬間、目前、背後、天井がうぞうぞと震え、蠢く気配がした。

    「ッ!? 今度は何だよ!」

  • 175◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 18:13:19

    慌てて背中を外したシャチの視界へ、壁の、床の、天井のいたるところが、肉が割れるように、そして"瞼"のようにぐちゅぐちゅと音を立てて捲れ上がる。そのなかから姿を現したのは、血走った眼球。


    脳内に、先ほどの子供の言葉が響く。



    『きをつけてね。あいつらは、もうぼくたちのこうどうをわかっているよ』



    それは、視られているも同義。


    もしこの眼球のひとつひとつに意志があり、これまでにシャチを、皆を視て嘲笑っていたのだとしたら。



    見開いた数々の"目"が、スポットライトを当てるかの如く一斉にシャチを見た。






    シャチSAN値チェック

    dice1d3=3 (3)

  • 176◆Pxx1Kifjy223/08/25(金) 18:45:15

    (シャチ SAN値56-3=53)(一時発狂まであと1)


    ぞわ、とシャチの背筋を駆け上がったのは怖気と、憤り。

    見慣れた家とも呼べる艦へ勝手に蔓延りクルーを騙り危険な目に遭わせた挙句、今まさに船長を連れ去らんとする"元凶たち"へカッと血がのぼる。


    「ふざっけんなよ!!!」


    ダン、と瞳のひとつにダガーを突き立てる。


    「お前が、お前らが!! あいつらを!! キャプテンを!!!」


    次から次へ、現れた目を潰すようにダガーや手持ちのナイフを突き立てる。肉の感触はなく、硬い鉄板と刃が交じり悲鳴を立てる音だけがあたりに響く。それでもシャチの手は止まらない。


    「おれァ急いでんだよ!! ここでおれを足止めしようってか!? 上等じゃねーかブッ殺してやる!!」


    床に生える一際大きな"瞳"へダガーを突き立てた。

    そのとき、それまでとは違う"人体へ刃を埋める感触"が手に伝わりシャチはハッと息を呑む。



    ―いま自分は何をしていた?


    ―そして刃を突き立てた"これ"は何だ。



    どく、どく、と心音が聞こえる。これは自分のだろうか、それとも、ほかの何かだろうか。

    床に突き立てた刃は、いつの間にか船長室で眠っているはずのローの心臓に突き立てていた。



    シャチSAN値チェック

    dice1d6=4 (4)

  • 177二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 19:50:36

    シャチもオリハルコンハートだな
    さすがハートの海賊団もっとやれ(え)

  • 178二次元好きの匿名さん23/08/25(金) 21:16:11

    一時発狂出たかな
    まあ船長刺してしまったと思ったらそらそうなる

  • 179二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 00:16:24

    これは良いホラー
    1d3で最大値引いちゃったからカッと頭に血が昇りやすくなってつい目に向かってナイフを突き立てまくるという流れが説得力あって良い

  • 180二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 08:05:34

    (シャチ SAN値53-4=49)(52を下回ったため一時発狂)

    何が起こったのか、理解が追い付かない。
    命にかけて守ると誓った存在へ馬乗りになり、その心臓へダガーを押し込んでいる、自分。
    ローの口元からごぷりと、行くあてのない鮮血が噴き出した。

    「ぁっ……きゃ、きゃぷて……あ、な、なん、で、」

    手が、口が、戦慄いて思うように動かない。
    ずるりと柄を掴んだ手が滑り落ちる。
    じわじわと急速にローの胸元を侵食する赤へ、息を呑む。

    ―この手で、ローを刺した。

    「うわあああああああああああ!!!」

    咄嗟に血が溢れないようダガーの根元を押さえるが、無意味に等しい行為だった。的確に心臓を捉えている刃が数度びくびくと乱れた鼓動を伝え、やがて動かなくなる。
    ただ吼えるように叫ぶしかできないシャチの両目からぼたぼたと涙が落ちていった。

    「なんで、なんでなんでなんで!!! キャプテン、ロー、うそだろやめろやめてくれ!!!」

    血に塗れた手で鼓動の消えた痩身へ縋りつく。さきほど部屋で無事を確認し、「いってきます」という言葉とともに頭を撫でたばかりの身体。眠るように安らかな表情は青褪めている。

    「だって、ちがう、なんで…だって、ローはベポがっ……、」

    そこではじめて、頭の隅に"何か"が引っ掛かる。

    「なんで……なんで、ここにローがいるんだ……?」

  • 181◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 08:08:51

    先ほど部屋で別れたばかりのローが、艦内の廊下で自分に刺されている。
    待て、とシャチの脳内で警告音が鳴り響いた。

    「待て……ベポ、そうだ、ベポ。あいつは『キャプテンを守る』って言ったんだ。あの状態の船長を離すとは思えねえ」

    仮にこの景色が幻で、自分が錯乱して船長室へ戻っていたとしても必ずベポが止めるはずだ。
    たとえ自分を倒してでも、止めたはず。

    「…………。これ、は……ニセモノか……??」

    そっと腕を動かし、ローの頬へ触れる。ぴちゃりと濡れた水音と生暖かい温度がシャチの五感を刺激した。乗り上げている筋張った身体も、衣服の感触も、柔らかな肌も、瞼を閉じていると童顔になる顔も、口元を伝っている血液も、すべてが現実と見紛うほど。
    しかし、シャチは知っている。

    「ベポは、いまも絶対にローを守ってる。……ここにいるのは、……ローじゃ、ない」

    涙が目尻を伝い、またひとつ落ちた瞬間。
    それは抜け殻となったローの身体ではなく"床へ"落ちていた。遺体も血痕もなく、ただ床に突き立てられたままのダガーと、周囲に落ちる涙を前にシャチは座り込んでいる。

    戻ってきた。激しく揺さぶられた感情を落ち着かせようとする心と、本当にあれは幻だったのかという疑心がせめぎ合う。
    ちら、と廊下の奥に視線を送れば小さく船長室の扉が見えた。戻れば、真相は分かるだろう。

    「(……いや、いい。キャプテンはベポが絶対に守ってる。時間も使っちまった)」

    力の入らない足で踏ん張り、ダガーを床から引き抜いた。肉の感触は一切ない。
    ずず、と鼻を啜り、ゆっくりと走り出す。脳裏に浮かぶ死に顔と手に残る刺殺の感触に涙が落ちてゆくが、誤魔化すようにサングラスの上から乱雑に拭う。

    「やなもんばっか、みせやがって……」

    怪奇現象が起こると分かっていても、おそろしいものはある。見たくないものも。
    力のない文句は誰にも届くことなく溶け消えた。

  • 182◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 08:15:05

    片方トリップ付け忘れたがスレ主だ

    ついでにベポ(体守る係)の怪異を募集する


    >>184

  • 183二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 08:22:29

    ドアを開けろとノックしたり引っ掻いたりする音が聞こえる

  • 184二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 08:32:08

    何時もの艦内のワイワイガヤガヤした人の声や足音が聞こえる

  • 185二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 08:46:34

    お前は要らない、やくたたず的な声が聞こえる

  • 186二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 09:31:03

    船員の声でドアを叩きながら「ここを開けて、中に入れて」と言われる
    声は船員だけど言葉遣いやノックの荒さとか何かが明らかにいつもと違う感じで

  • 187二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 09:31:16

    兄ちゃんが現れて「お前も眠いだろう 兄ちゃんが抱っこしてやるよ」となでなでされる
    一瞬身をゆだねてしまってローが半分くらい持っていかれるのを目撃する

  • 188◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 10:05:16

    楽しそうだな 安価メインで色々煮込もう

  • 189二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 11:10:56

    >>187

    ついぞ再会の叶わなかったゼポペポ兄弟……(;ω;)

  • 190◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 11:19:26

    (side ロー)


    ふわふわと浮いた心地だった。記憶を引っ掻き回されて何が正しくて、正しくないのかという境界線が曖昧になってゆく。闇の幕が下りたことに初めて安堵したローは一先ず心を落ち着かせるため息を吐く。


    「(……あれは、誰……だったんだ)」


    綯い交ぜになっている過去のなかで、唯一記憶にない存在。そして不自然に思い出せない幼少期のこと。思えば、自分は何のために"ハートの海賊団"の旗を掲げたのかさえ朧気になっている。


    「……いや、今は敵地だ。こんなことでぼんやりしている暇はねェ」


    未だ此処が安全と決まった訳ではなく、暗闇に乗じて攻撃される可能性は捨てきれない。ローはゆるりと頭を振って、闇に目を慣らす。目前を見れば、やはり先ほどの景色が並ぶ場所で間違いない。


    「(結局、手掛かりといえばあのコラソンとかいう記憶にない大男だけだったな)」


    謎が謎を呼んだだけの収穫だった。

    他に情報がありそうな"景色"はあるだろうかと改めて辺りを見回そうとすると、足元に"なにか"がこつんと当たる。ローは無意識に地面へ視線をおろした。


    "それ"は、赤黒い血肉に塗れた肉塊だった。


    襤褸雑巾のようになったツナギ。


    歪に折れた四肢、曲がった首、開いた複数の穴。


    ぴくりとも上下しない、折り重なった三つの身体。



    ―つい先ほど、幻だと断じたはずのものたち。


    ローSAN値チェック

    dice1d8=5 (5)

  • 191◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 11:44:13

    相変わらずクルー⇔船長ネタでよく削れるな

    そろそろ次建てるか
    参加感想等ありがとな!もうちょっとだけつづくんじゃよ
    適当に埋めてもらえると有難い

  • 192◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 11:47:16

    恒例のスレ主SAN値切削チャレンジ

    dice1d100=16 (16)

  • 193二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 12:41:55

    主前回と合わせたらかなりまずいのでは?

  • 194二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 12:54:48

    乙
    次スレも楽しみだ!
    今度はペンシャチベポ同士で削るのどう?(おれは怪異)

  • 195二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 13:05:27

    ローそろそろやばいな?ペンギンが迎えに行くまで保つか?
    ペンギンの方にも怪異は現れるだろうし、下手したら発狂同士で再会とかいう笑うに笑えない事態になりそう

    スレ主大変乙でした!非常に面白かった

  • 196二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 15:51:23

    発狂同士で再会良いな

  • 197二次元好きの匿名さん23/08/26(土) 19:02:55

    乙です
    みんなSAN値削れてきたね
    いいぞその調子だ(愉悦)

  • 198◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 21:23:27

    発狂同士で再会良いな

  • 199◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 21:29:47
  • 200◆Pxx1Kifjy223/08/26(土) 21:31:59

    順調に愉悦部員が増えてきて何よりだ
    次スレもよろしくな

オススメ

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