女騎士は───帰った。｜あにまん掲示板

1二次元好きの匿名さん21/12/18(土) 23:01:05

トゥインクルシリーズ及びアオハル杯を無敗で駆け抜けたファインは大勢のファン達に祝福とともに見送られ、アイルランドへと帰国した。
そして女騎士もまたこれを機に久々に故郷へ帰る事にしたのだ。

女騎士は寂しかった…ファインの事を喜んで送り出したのは良い。
しかし彼女と過ごした輝きに満ちた毎日はまるで太陽のようで、行ってしまった途端に夜が訪れ思い出という月だけが取り残されてしまう。
それに女騎士は耐えられなかった
「終わらない物なんてない」
自身の発言が今になって首を締め上げる。今にも息が詰まってしまいそうだ。
そうして心身共に弱り果てた彼女はしばらくの間食事はラーメンしか喉を通らなかったし、勝負服ぴょいしたかった未練で睡眠もろくに取れなかった。

そういう経緯で女騎士は休暇を申請し逃げるように故郷へと戻ってきたのだ。
久々の故郷はなにも変わって居なかった、消えかけの白線、見渡す限りの田畑、宗教の謎看板。
だがそれがどうしてだろう、変わらない物があるという事がどこか慰みにでもなったと言うのか、心が癒されるような気がした。
そうして気が向くままに歩き回っているとニンニク畑があった。そうだ、私の地元はニンニクが有名だった、ついでに臭い対策にりんごジュースもある、これでラーメンを…

2二次元好きの匿名さん21/12/18(土) 23:01:18

女騎士はファインがいない事に気付いた。
いや、もはや主のいない騎士など騎士ではない
彼女は生まれるべきではなく、持たざる者だったのだ

違う、私は騎士だ、ファインが、ファインで居られるただ一人の人間だ。
女騎士は奮起した、そしてすぐさま行動を起こした。

目覚まし時計を食べようとした。
お姉ちゃんではなかったので吐いた。
因果を操作しようとした。
お姉ちゃんに殺されかけた。
お姉ちゃんに土下座した。
腹切りした。

女騎士は虚ろな眼で腹を縫った。
自身の無力さをその身を持って知ってしまった事で心が完全に折れてしまったのだ。
そして女騎士は考えることをやめた。

「おーい?キミの殿下が帰ってきたぞ～♪」

幻聴が聞こえる、どうやら私はここまでらしい、でも最期に聞ける音がファイン、君の者なら…

「う～ん?…これならどうかな、んっ」

「ｵ゜ﾐ゜ｿ゜ｯ゜」

女騎士は突如として現実に引き戻され、ファインが目の前にいる現実とキスしているという状況、そして口一杯に広がる味噌の風味という情報の洪水に襲われ───

───気がついたらアイルランド国民だった。