トレーナーさんは──泣いた

1二次元好きの匿名さん21/12/19(日) 02:25:06

せっかくの休日、スカイと川釣りに出掛けたのに自分だけ釣果0だったのである。
隣で糸を垂らしていたスカイの釣果は既に10を越え、遠くで仲睦まじく釣りをしている熟年のご夫婦や、テントやグリルを組み立ててレジャー気分で遊びに来ている若者グループですら少なからず釣れているというのに、今だに自分の糸にはこれっぽっちも掛かって来なかった。
釣りをするといつもこうだ。それが悔しくて、糸の動かし方を研究し、竿の手繰り方を研究し、川釣りのコツや魚のいるポイントなどあらゆる知識を身に付けた。
にも関わらず、何も釣れない状況にトレーナーさんは少なからずショックを受けていた。

さめざめと泣いているうちに、隣のスカイがまた１匹釣り上げる。ここまで来ると、最早悔しさより驚きの方が優ってくる。
むしろ、笑い話にさせてくれという気すらしてきた。

自嘲するような半笑いと共に、竿を手繰る。釣り糸が魚を再現する様に巧みに動き、餌のプラレールがリアルな魚そのものの動きを再現して魚を惹きつけようとする。
しかし、魚は釣れない。

トレーナーさんは泣いた。