お姉ちゃんは───偽った。

1二次元好きの匿名さん21/12/19(日) 09:12:57

お姉ちゃんは不安だった。最近モエちゃんに担当が付き、本格的に競バへの道を歩みだしたからだ。
練習でケガをしていないだろうか？寝不足や片頭痛になっていないだろうか？あまりのカワイさに悪い虫が付いていないだろうか？担当とは仲良くそれでいて仲良すぎずにやっているだろうか？
不安の種はいくらでも出て来てお姉ちゃんを悩ませた。そしていてもたってもいられなくなり
───お姉ちゃんは怪盗カワイイ・レディとしてトレセン学園に侵入した。

カレンチャンも説得の末、怪盗カワイイとして一緒に来てくれる事になった。
本当はカレンチャンにカワイイ・レディをやってもらいたかったがこっち（怪盗カワイイ）が言いと言われお姉ちゃんがレディの方をやった
いい年してミニスカは恥ずかしかったがカレンチャンがカワイイと言ってくれたのでガマンした。なによりタキシード姿のカレンチャンが思いの外カッコイイだったので良しとした（実際お姉ちゃんはここで1回溶けた）。

…斯くしてお姉ちゃん達はモエちゃんとそのトレーナーの前に幾度となく現れた。
時には立ちはだかる強大な壁として、時には助言を授けるライバルとして、また時にはなじみのバーで悩みを聞いてあげる良き先輩として。
変質者と誤解されたづなさんに追いかけまわされる事もあったが───理事長とカリカリ１年分で手を打ち和解した。
そして最初の３年が終わる頃───お姉ちゃんはモエちゃんのトレーナーから変な格好だけど頼れる謎の先輩として信頼され、お姉ちゃんもこの2人なら立派にカワイくやっていけるだろうと確信した。

ある日ささやか祝勝会を家で開いた時、モエちゃんがこっそりやってきてこう尋ねた。
「…っていうかお母さん達変な格好して何やってるの？何故かトレーナーは気が付いてないみたいだけど…最初からバレバレだからね？」
お姉ちゃんは焦った。明らかにモエちゃんは呆れていて、いやむしろ少し怒っていたからだ。
どう答えるのか正解か─お姉ちゃんは自称賢さSS+の頭脳をフル回転させて考えた。
そして───
「な…なんの事だか知らないよぉ…？か、怪盗？他人の空似じゃないかなぁ…？」
お姉ちゃんは───偽った。
「ふーん、別に怪盗だなんて一言も言ってないんだけど。…これ以上しらばっくれるなら今日私が作った人参プリンあげないから」
「ｴ°」
お姉ちゃんは───自白”ゲロ”った。