- 1二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:31:47
8月も半ば過ぎても、まだまだ厳しい暑さと焼けるような日差しが砂浜に降り注ぐ。どうにも、エルニーニョ現象の影響で9月以降も残暑が厳しいと、気象ニュースでは伝えていた。
早く、涼しくならないかと思いつつ、持っている保冷バックを一旦、下に置く。
海の家で着替えている、担当ウマ娘のマチカネタンホイザを待つこと数分。
以前から約束していたタンホイザと一緒に海に行く日。
今回は海で遊ぶのが目的ではなく、浜辺を散歩したり、海を眺めたり、休暇も兼ねてゆったりと過ごすのが目的だ。
「お待たせしましたー。トレーナー」
着替えを終えた彼女が、にこやかに笑いながら、大きく手を振りながら、こちらに向かってくる。
彼女が着ているのは水着ではなく、ファン感謝祭の鬼ドッチの時に着ていた青いユニフォーム。
今日の海にいく約束の前、このユニフォームを着たタンホイザとの会話で、夏が似合いそうだねとか話をしていた。
それで、約束をした日にそのことを思い出し、彼女が着てみたいと提案してきた結果、この格好である。
「どうですか、トレーナー。久々のブルーマチタンは?」
こちらに向かってきた彼女は、感謝祭以来となるユニフォーム姿の感想を求めてきた。
「うん、可愛いよ。タンホイザは青が似合うね」
「……えへへ、ありがとうございます。トレーナーに言われると照れますなぁ。さぁ、さぁ、行きましょう」
服装を褒められて照れくさいのか、タンホイザは俺の袖を引っ張って、海を指差し、早く海に行こうと急かしてくる。
「うん、行こうか」
その可愛らしい反応に、笑みがこぼれてしまいながら、タンホイザとともに歩き出す - 2二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:33:52
夏合宿のビーチフラッグや砂浜ダッシュと違い、砂浜をゆったりと、ざー、ざーと打ち寄せる波の音を聞きながら、二人で一緒に歩く。
海からくる潮風は、ユニフォームに合わせた髪型をしているタンホイザのポニーテールをゆらゆらと揺らしている。
タンホイザとは海を見たり、浜辺にある貝殻を手に取ったりしながら、他愛のないことを話しながら、のんびりと過ごす。
普段賑やかな日々もいいけど、たまにはこうゆるりと過ごすのも悪くない。
ある程度歩いたら、汗もそこそこにかいてので、
「タンホイザ、少し休憩しようか」
と、彼女に提案して、二人で並んで座り込み、持ってきた保冷バックから飲みものを取り出す。
タンホイザは喉が渇いていたのか、「水だー!」といって、ごくごくと勢いよく流し込んでいた。
「ぷはぁ! いやぁ、暑い日の冷たいお水って、味が無いけど何だかおいしく感じますねぇ」
「あぁ、ビールではないけど、喉越しがよいって感じるよな」
彼女の言葉に同意しながら、こちらも水を飲んでいく。
水を飲み終えると、俺は保冷バックから凍った黄色のチューチューアイスを取り出して、
「タンホイザ、悪いけど割ってくれない」
「おお、懐かしいですねー。これくらい、へっちゃらです」
と、タンホイザにお願いすると、彼女もチューチューアイスを懐かしそうに見ながら、快く了承してくれた。
「では、いきますよ。えい、えい、むん!」
- 3二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:36:29
と言いながら、彼女はいつもの掛け声でチューチューアイスを割ってくれる。
「はい、トレーナー。はんぶんこ」
そう言って、半分に折られた片方を受け取り、一緒に食べる。
シャリシャリと凍ったチューチューアイスの感触を楽しみながら、二人で海を眺めながら、食べてゆく。
「……あの〜、トレーナー。チューチューアイスってまだありますか」
チューチューアイスを食べ終わったタンホイザが、物欲しそうにこちらを見ながら、おかわりを要求してくる。
「ははっ……まだ、あるよ」
「おお、流石はトレーナー」
彼女がそう言うことを見越していたので、用意しておいたもう一つのチューチューアイスを、今度は俺が折ってからタンホイザに渡す。
彼女は嬉しそうに受け取った。
そして、また一口食べると、にへらと嬉しそうな顔をする。
そんな可愛らしいタンホイザを見ながら、残りのチューチューアイスを食べるのであった。
- 4二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:39:57
「じゃあ、タンホイザ写真撮ろうか」
「お、いいですね。パシャパシャと撮ってください」
休憩の後に、タンホイザが折角青いユニフォームを着てきたので写真を撮ることにした。
タンホイザからスマホを借りて
「じゃあ、撮るよ」
「むん!」
青い海、青い空を背景に、ひまわりにも負けじと明るい笑顔の青いユニフォームのタンホイザ。
夏の一枚にふさわしい、眩しい一枚が撮れた。 - 5二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:41:06
「おお、バッチリ撮れてますね」
「ああ、夏の思い出にバッチリだ」
タンホイザからスマホを受け取って、撮った写真を見させてもらう。我ながら見事な一枚ができたと思う。
「じゃあ、次は一緒に撮りましょう」
とタンホイザに言われて、二人一緒に写真に写る。
写真を取り終えた後、
「それじゃあ、戻ろうか」
「そうですね。そろそろ、戻りましょう。…あの、トレーナー…」
戻ろうと歩こうとした時にタンホイザから声がかかる。
「うん? どうしたの、タンホイザ?」
と、返事をした瞬間。
タンホイザがまるで夏の日差しにも負けないくらいの眩しい笑顔で
「次はバーンと海で一緒に泳ぎましょうね」
そんな眩しい笑顔に見とれつつ、
「……ああ、来年も一緒に海に来ような」
再び約束して、二人仲良く砂浜に足跡残して、戻るのであった。 - 6二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:46:46
- 7二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 19:49:23
すっげぇ健全で何も始まったように思えない。でも夏のひとときと夕暮れの切なさが同居した不思議な読後感
- 8二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:07:51
――これが、”普通”か――
- 9二次元好きの匿名さん23/08/30(水) 20:22:55
もう人生も半分こしちまえよ