【SS・🎲⚓️あり】服部ヒョウ太は水の都に居る⑬【閲覧注意】

[1 ◆BtOeeshqkE 23/08/31(木) 22:51:16]

身長171cm　道力3870で味覚障害持ちクローン体050に入り込んだ二重人格擬き状態の生徒会長異世界奇譚最終決戦編です

[2 ◆BtOeeshqkE 23/08/31(木) 22:51:43]

今までの章

chapter.0　落下

chapter.1　生徒会長は水の都の夢を見るか？

chapter.2　最初の接触

chapter.3　病院の窓

chapter.4　宿借りの島

chapter.5　過ぎにし日々、ウォーターセブンで

chapter.6　豹は無慈悲な夜の兵器

chapter.7　出来損ないの順列都市

chapter.8　あなたのための物語

chapter.9　豹は街から世界を夢見る

[3 ◆BtOeeshqkE 23/08/31(木) 22:52:04]

原作開始（⑨より）
chapter.10　すべての終わりの始まり
・カクと同時に麦わらエンカウント
・最初のアイスバーグさん襲撃に出くわして徹夜で見張り
・白昼押し掛けてきた麦わらに利害の一致で付いていく
・決断、決別
・オリジナルに海まで投げ飛ばされる

chapter.11　たったひとつの冴えたやりかた
・ドボン、波に拐われかける
・アクア・ラグナから逃走ついでに人獣化
・覚悟を宣誓、ロケットマン乗車

chapter.12　今宵我ら星を奪う
・睡眠でほぼ全回復
・体の状況を共有したり、しなかったり
・味覚が治る示唆を得る
・サンジ達と合流
・エニエスロビー道中無傷でクリア
・司法の塔探索、そげキングと合流
・ジャブラを騙し討ち成功
・手錠わちゃわちゃの補助
・しっかりクビ宣告
・ルフィと合流、最終決戦へ
・諸々あって050が戦闘中←ｲﾏｺｺ!

[4 ◆BtOeeshqkE 23/08/31(木) 22:52:31]

1スレ

【SS・🎲⚓️】服部ヒョウ太は水の都に居る｜あにまん掲示板

前スレ

【SS・🎲⚓️あり】服部ヒョウ太は水の都に居る⑫【閲覧注意】｜あにまん掲示板

参照概念スレ

服部ヒョウ太を原作ガレーラに投げ込みたい｜あにまん掲示板

[5 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:09:47]

立て乙！いよいよ最終決戦編なのか…

[6 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:36:10]

10まで保守しといたがええかな？

[7 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:41:11]

たておつ
このスレ1スレ目からリアタイでずっと見てる

[8 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:41:23]

おつおつ
ヒョウ太の精神が心配…050の明るさが救いだ…
いいぞもっとやれ

[9 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:42:25]

即死回避保守しとこ

[10 二次元好きの匿名さん 23/08/31(木) 23:43:38]

ほしゅ！

[11 二次元好きの匿名さん 23/09/01(金) 00:02:15]

まじで面白いシリーズやで！
応援してる！

[12 二次元好きの匿名さん 23/09/01(金) 00:14:31]

次スレだーーー！！！！思えば3月、2月から…？
本誌＆このスレの更新でロブルッチ盛り沢山の更新過ぎてめっちゃ日々が楽しくて助かってるんだ
1ヶ月休載してる時とかめちゃくちゃこのスレ読んで元気貰ってた

[13 二次元好きの匿名さん 23/09/01(金) 09:51:05]

最終決戦て言われるとドキワクしちゃうな

[14 二次元好きの匿名さん 23/09/01(金) 10:38:50]

めっちゃ進んでる～～！！050超かっこいい！！独自の戦闘スタイルめっちゃいいし最後に六王銃撃つとかすげえいい！！生徒会長ルッチ対CP9ルッチは異なる世界、環境の正義のぶつかり合いって感じが好きだけど050vsCP9ルッチはクローンvsオリジナルが好きだ……！！

[15 二次元好きの匿名さん 23/09/01(金) 18:53:07]

保守

[16 二次元好きの匿名さん 23/09/02(土) 00:38:05]

最終決戦とは早いものだ…

[17 二次元好きの匿名さん 23/09/02(土) 10:42:04]

このSS読み始めてから学園ルッチと原作ルッチの違いを考えるのが楽しくなってきたけどそれはそうとしてすっごく深く考え込んでしまう…

[18 ◆BtOeeshqkE 23/09/02(土) 18:11:23]

「よし、追うぞヒョウ太！……んん？ぜろごーぜろ？なのか？」
「あー……ややこしいしおれの事もヒョウ太でいいよ、麦わらさん」
蒸気を上げたままぐいぐいと屈伸し目線は軍艦に固定しながらも、麦わらが呼び名に困ったのか首を傾げる。名前に関しては混乱するのも致し方ないほどに込み合った事情であるから、ここで説明するのも手間。050も同じ考えの元に返答する。
「んじゃヒョウ太！銃弾はおれが弾くからよ、さっきみたいにアイツの邪魔しといてくれ！」
「りょーかい！」

指示を出して飛び出すように先行したゴムの体は、軍艦から撃ち込まれる海兵からの弾丸に一瞬へこみ、すぐに元の形へと反発して戻る。自由自在に伸び縮みとはつくづく便利な能力だ。

[19 ◆BtOeeshqkE 23/09/02(土) 19:42:49]

ズドンと粉塵を上げて着地し、息もつかずに両手を長く伸ばす。狙いは甲板に落ちたオリジナル、そして周囲を取り巻く雑兵。
恐らく広範の攻撃に巻き込まれることがないように宙を蹴り滞空すれば、直下。


ぐるん、と赤い光を帯びた腕がしなり、甲板全体を薙ぎ倒す程の勢いで一周する。

「ゴムゴムの〜〜、大鎌！！！」
「うわあァァァ！？」


わあぎゃあ悲鳴が上がる中、上へと跳ねて離脱する影を捕捉した。確認するまでもなく奴である。
（お前が近距離で勝てる相手じゃねェ。やるならヒット&アウェイだ、いいな？）
（分かってる、逃げの確保しとけってことでしょ！）
目線は眼下の麦わらへと向いている、つまり今いる場所は死角だが……気付かれているとみて差支えはない。距離を保ち様子見を続けるよう050に言い含めた。

[20 ◆BtOeeshqkE 23/09/02(土) 22:30:03]

マストの支柱へと飛び乗ったオリジナルがすかさず右脚を振り上げて、下方に斬撃を飛ばす。
標的が危なげなく上体を逸らして躱したのを視認したのかしていないのか、ともかく当たらないことを悟ったのだろう。たん、と足音を残して下へ飛ぶのを観測した。

同時に見えたのは、身体の変化。
頭も手足も何もかもが先程とはまた異なった、完全に獣の靱やかなものへ。ネコ科の体格は細く、しかし凶暴さを滲ませている。

（麦わらの体勢がさっきので崩れた、補助に入れ）
（ほいほい、っと！）
頭のてっぺんから爪先までを四足歩行のそれへするする移行し麦わらへと飛びかかろうとしている豹に、ひゅっと最低限の風切り音を鳴らして釘を投げ付けた。


そして弾はちらりと見ることさえせずに避けられる。

「ああもう、当たんないなァ！」
今現在飛び交っている銃声などよりずっと静か出逢ったはず。それでも此方を見てもいないのに上手く回避しているのは獣の聴力で聞き取った故だろうか。己ながらとことん厄介な相手である。

[21 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 08:38:51]

途中までルフィのサポートしてルッチ戦から離脱すると思ってたらしっかりめちゃくちゃ戦闘に参加させてくれていて本当に嬉しい

[22 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 18:51:35]

流石に強いオリジナル…

[23 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 22:32:26]

生徒会長がずっと050のサポートに回ってるの凄いお兄ちゃんしてて好き

[24 二次元好きの匿名さん 23/09/03(日) 22:46:36]

長編小説を書けるのは才能の一つだってよく聞くけどこのスレ見てると納得しちゃう

[25 二次元好きの匿名さん 23/09/04(月) 09:04:05]

ほ　本誌の展開がヤバいので割とこのSSが救いになっているところがある

[26 ◆BtOeeshqkE 23/09/04(月) 13:16:26]

ごめんなさい…………これだけ…………続きちまちま書いてるんだけどこれだけ共有させて………………スレチかもしらんがピ学布教スレみたいなモンだから…………

— 2023年09月08日

[27 ◆BtOeeshqkE 23/09/04(月) 13:39:50]

本誌と学園に情緒おかしくされてる
筆が進む　進まない　たすけてくれ　更新します




「嵐脚『凱鳥』ッ！」
「JETスタンプ！！」
大立ち回りを繰り広げる傍で妨害を飛ばしてくる戦力外は鬱陶しいことこの上ないだろう。当然先に排除してしまおうという考えに至るのも承知済み。

（奴がやりづらい場所は分かる。攻撃されなければ直前で回避する必要もない）
「狙いを付けられないような動きってわけね、言うのは簡単だけど難しくない！？」
麦わらの攻撃も鑑みて縦横の動きを逐一指示すれば、その通りに移動する動きは滑らかである。050が慣れていないだけで身体は戦闘向きなのだ。

[28 ◆BtOeeshqkE 23/09/04(月) 13:45:31]

「……チイッ」
決定打どころか、斬り倒したマストだの何だのに巻き込むことも出来ないでいる事実へ焦れたように舌打ちが飛ぶ。ぎりと此方を睨みつけた後、警戒はある程度向けたまま敵を一つに──麦わらにと定めたようだ。


（流石に、気付くか）
この状況下で最も簡単な攻略方法がある。邪魔を完全に無視することだ。多少の傷は捨て置いて真っ先に厄介者の麦わらを倒し、その後に殺しにくるという考えに至ったらしい。……そして、その結論への対処法はない。

麦わらに専念されてしまえば、集中を乱す役目も薄れることになる。かといって、先程の不意打ちじみた六王銃で警戒されているであろう近距離での戦闘は、明らかに劣った050ではいっそ麦わらの邪魔になる。つまり手を出せるのはここまで。


……いっそ戦闘を全て麦わらに託してしまおうかという、普段ならば有り得ざる諦めが滲むのは、やはり精神が弱っている故だろうか。

[29 ◆BtOeeshqkE 23/09/04(月) 20:17:54]

引くにしろ追うにしろ、判断を即決するのは危険な盤面となるだろう。一旦安全圏に移動しようかと050に声を掛けようとして。



バチン！と、ゴムの収縮音が降ってきた上空。

「う、わ──！」
「……いいだろう、見せてやる」


首を傾け見上げれば、宙に飛び出しての攻撃を躱され体勢を大きく崩した麦わらへ、二つの拳が向けられていた。

「先程の紛い物とは違う、六式の全てを極限まで高めたものの最強の体技！」
（、な）



動揺は、オリジナルが六王銃を使ったからではない。
手早く勝負をつけたいのならば出し惜しみなどしないだろうから驚くことなどない。

[30 ◆BtOeeshqkE 23/09/04(月) 20:38:00]

（な、にしてる、050ッ──！？）


読み取るものなど何も無い、空白の思考のままに上へと跳ねた自身の体が問題であって。

その先は当然、オリジナルと麦わらの間であり。


「…………！！」
全ての動きが下へ流れる光景ごとスローモーションに見える中で、照準のブレない腕が腹へと当たる。回避の暇はなく気休め程度の鉄塊すらも掛かっていない状態でのソレは、死を齎しかねないもので。


「六王銃！！！」

[31 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 01:29:42]

過剰な供給は命を蝕む
つまりギア5

[32 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 05:15:39]

本誌と扉絵で頭がおかしくなっていたら案の定スレ主もヤバくなってて安心した　もう情報過多で訳分かんねェよ…
にも関わらず怒涛の更新本当に助かる…！！！！救われる命がここに一つあるぜ　マジで面白いありがとう
なのに………っ！！！ぜ、ぜろごーぜろ…というかヒョウ太の肉体…………ッ！！！感覚過敏の状態でノーガードでそんなの食らったらさぁ……………絶対ヤバい…気が気でない…………胃が痛い…………
でも050があの場であの行動をするの納得しかなくて…あああ……………ああ……

[33 二次元好きの匿名さん 23/09/05(火) 14:45:10]

その状態で六王銃はマズイ　ヤバい絶対痛い(語彙力)

扉絵の肩痛めてるミステリアスな雰囲気を纏うあの子がこのSSでは年相応に泣いたり落ち込んだり現在進行形で精神弱くなったり、あの顔面で050として表情コロコロ変えながら喋ってるのは………その………そのですね………フフ……ヤバいですね……………

[34 ◆BtOeeshqkE 23/09/05(火) 23:31:10]

「何を、血迷ったか？050！」
怪訝さの含まれているのだろう声色など気にする余裕は欠片もない。芯へ打ち込まれた衝撃波は突き抜けて逃げることさえせず体内に留まり、骨から内臓までを余すことなくみしりばきばきりと鳴ってはいけない音を立てて破壊していく。
「ぐ、ぅ──き、っづ……！！」
甲板へと落下して、だら、と口端から血液が垂れるのを自覚して、一拍遅れてその分の痛みが大挙して押し寄せて。皮膚感覚がどうの、痛覚がどうのなどを飛び越えた筆舌に尽くし難い激痛に、表層にすら出ていない意識が吹き飛びそうになる。

奥にいることが感覚のフィルターとなり幾らか軽減されている筈のおれでこうならば、直接ダメージを受けている050の苦痛は一体どれ程のものとなっているのか。
気を失ってもおかしくないのに、叫びに呻きすら押し殺し、050は俯きながらも膝を着きつつ立ちあがる。


けれど、目の前には追い討ちが。
「……まァ、いい。追う手間をかけずに済んだ、これで妨害も終わりだ」

[35 ◆BtOeeshqkE 23/09/05(火) 23:46:32]

「もうそろそろ疲れただろう？引導を渡してやる」
ぎしりみしりと壊れ掛けの音が鳴る今の体では逃げたって追い付かれるのは自明の理。全身に響く痛みの中、どうしようもない状況に脂汗が滲む。
（ま、ずい────っ）




不意、に。
ドドドォ……ン！！！、と。


思わず思考を中断する程の爆発。目と鼻の先、間近で暴風が。

[36 二次元好きの匿名さん 23/09/06(水) 01:12:00]

ヤバいヤバい本当にヤバい　めまぐるしく状況が進んで可哀想とか言う暇が無ェ！
ヤバいしか言えんが本当に辛そうだし痛そう…マジでどうなっちゃうんだ
かなり体やられてしまったしその上感覚過敏…ルッチでさえあんな辛いのに050大丈夫…？

[37 二次元好きの匿名さん 23/09/06(水) 09:40:48]

これもしものことがあったとしてヒョウ太が帰れても050のことが心の傷になるやつだ

[38 ◆BtOeeshqkE 23/09/06(水) 12:09:48]

爆風に

1.巻き込まれる

2.巻き込まれない

dice1d2=2 (2)

[39 ◆BtOeeshqkE 23/09/06(水) 13:12:23]

「……フン」
不服そうな息を吐いて、目の前からオリジナルが消え去る。瞬間先程まで人影のあった箇所に着弾して炸裂する赤黒い炎に巻き込まれんとしたところで。




がばり、と。
背後から巻き付いた腕によって、体が浮いていた。

「何で味方の軍艦撃つんだ！？バカかあいつら……！意識あるか！？ヒョウ太！！」

海兵の悲鳴が響く中でも聞き取れた頭の上から降るぼやきに、ようやく現状を把握出来る。海軍が味方ごとまとめて撃墜しようと砲撃を仕掛けてきたのだ。
「だ、……いじょぶ、ギリいきてる……」
麦わらからの安否確認に050が浅い息を洩らしながらかろうじて、といった形で応答すれば、密着した気配がほんの少し安堵の色を付けた。

[40 ◆BtOeeshqkE 23/09/06(水) 17:05:20]

「しっかしどうすっかな、逃げ場がねェ」
今のところは駆けずり回りながら砲撃を避けているが、沈み行く船にいる以上長居をすれば水没は必至、おれ達能力者にとっては詰みとなる。
かといってどこかに飛び移ろうにも、恐らく麦わらが跳べる範囲内には船も建物もないのだろう、きょろきょろとしながらも大きな移動の予兆はない。打開策を考えつかなければ集中砲火でお陀仏だ。



「……なら、これしか、ない。掴まってて麦わらさん！」

[41 ◆BtOeeshqkE 23/09/06(水) 17:29:56]

絡み付いた腕を解いて、だらりと喉から落ちた血を拭って地に足を付け麦わらの胴体を引き寄せる。050の思考回路を読まずとも、ぎしりと嫌な音を立てる体の動かし方でこれから何をしようとしているのかを理解した。

「跳べないんなら、さっきのとこまでおれが背負って戻る！船から離れれば砲撃だって脅威じゃない！」


麦わらに、あるいは自身に言い聞かせるような言葉は理解こそ出来ても賛同は出来ない。平常ならば身長が同じか少し高いくらいの人一人分の体重など無いに等しいが、今は立つことが精一杯な程の怪我を負っているのだ。その状態で負荷を背負い月歩を行うのはいくらなんでも無謀でしかない。

（これ以上の体の酷使は無理だ050、本格的にブッ壊れるぞ！）
「そんなボロボロなのに、そりゃ無茶だろ！？」
「関係ない！今は、無理でも無茶でも、通さないと……！」
無理無茶無謀を貫こうとする片割れは中から外から口々に言われても頑なに意思を曲げず、麦わらの体を改めてしっかりと抱える。


「……分かった、頼む！」
重体とは思えない覚悟を推し量ったように麦わらが腹を括り目を尖らせたのを確認して、050は燃え盛る船から跳び立った。

[42 ◆BtOeeshqkE 23/09/06(水) 17:47:17]

1.辿り着ける

2.辿り着けない

dice1d2=1 (1)

[43 二次元好きの匿名さん 23/09/06(水) 18:38:32]

よくやった
よく頑張ったな050ぉ（泣）

[44 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 01:30:47]

ヒョウ太がどんどん曇っていく
このままだとスレ民が健康になってしまう

[45 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 06:43:34]

年齢や発生経緯にそぐわないレベルでとてつもなく覚悟がキマっている……凄過ぎるしちゃんと辿り着けたの偉い　有言実行の子だ
にしても襲撃→海列車→エニエスロビー→vsカクジャブラ→vsルッチからのトドメの六王銃って壊れかけのクローンがしちゃいけない程の連戦に次ぐ連戦で本当に過酷で不安になるな　我々は黙って見届けることしか出来ねェ…ぐやじ〜！！！

[46 二次元好きの匿名さん 23/09/07(木) 16:22:50]

ルフィも思うところはあれど男の覚悟に水差すすような真似はしないから050に任せてる図良いな　050、学園のルッチ、原作のルッチ3人とも行動原理が違うから差を感じられて良い
ともかくちゃんと渡れてよかった…！！

[47 ◆BtOeeshqkE 23/09/07(木) 17:59:42]

たん、たん、たんと空気を蹴り、着実かつ確実に。
歩を進める毎に生理的な涙すら滲んで、画面のような視界がぼやける。は、はと短い息を吐きながら先程飛び出した崩れ掛けの壁面に落ちるようにして飛び込んだ。

「っ……ぐ、ぅ……」
「あ、っぶねえ！」
到着して気力が底を尽き、呻き声と共にぐらり倒れ込みそうになったのを麦わらの手が支え、そのまま壁際に積み重ねられた瓦礫の段差に寝かされる。

動く事も出来ずに固定された目が、握り締められた麦わらの手を映した。

「……お前がしたのは死ぬ覚悟じゃないんだろ。なのに、何で庇ったりなんかしたんだ！」

[48 ◆BtOeeshqkE 23/09/07(木) 18:07:40]

あの技を受ければどうなるのか、分からなかった訳ではないのだろうと。それでいて尚、どうして身代わりになったのだと、叱りつけるような語調。
「お、れじゃ、……あしでまといだから。盾になるのが、おれに出来る最大限だから、いちばんの勝ち筋だから、かなあ」
それに視線を床へと落とし、050はぽつ、ぽつと理論立てられた理由を吐き出す。
それでもまったくもって納得していない気配の麦わらに片割れは無理して笑って、背中を押す為の言葉を添えた。

「おれ、ここまで、がんばったんだから。勝ってよね、麦わらさん」
「……分かった、絶対勝つからよ。ヒョウ太はそこで寝てろ！」

[49 ◆BtOeeshqkE 23/09/07(木) 19:55:38]

オリジナルが着地し、其方へと向かう赤いベストの背中を見ながら、口が動く。
伝えなかった本音を零す。

「……ううん、ちがうかも。ほんとは、何も考えてなかった。体が勝手に動いた。……いたいなあ、いたい、よね。ごめん、ごめんなさい、ルッチ……」


……知っている。庇ったのが策略も何も無い無意識だったことは、読み取れなかった心中でとっくに知っていた。うわ言のようにそう謝ったのを最後にして、050の声が途絶える。

[50 ◆BtOeeshqkE 23/09/07(木) 20:09:09]

表側に張っていた意識が完全に落ちて、肉体の主導権がおれに移った、のに。今度は身体中に走る激痛で動けない。立ち上がることはおろか、体は身動ぎさえもできずに軋むだけ。

「……あんな砲撃で死んでもらっても興醒めだが、麦わら。そっちのお荷物はそろそろ死んだか？」
「バカ言うな……！ヒョウ太は荷物なんかじゃねェし、おれが死なせねェ！」

本当ならば、おれもあの場所に立って戦わなければならないのに。
こうして麦わらの作り出した背後の安全地帯で、オリジナルとの戦いを眺めることしか出来ずにいることに歯噛みした。

[51 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 04:23:15]

中立善の存在は理由より先に身体が動くよな　
"いたいなぁ"は自分に向けてだけど"いたい、よね"は身体を共有してるルッチに向けた台詞でしんどい…"ごめん、ごめんなさい"も二言目ちょっと丁寧で辛いな　でも悪いことじゃなくて庇うって行為だから…！！　なんか一言一言台詞が重くて心臓がぎゅぅってなる

[52 二次元好きの匿名さん 23/09/08(金) 14:16:10]

めちゃくちゃ面白いのに…辛い！！！辛いからこそ…面白い！！くぅ〜〜良い塩梅だ
ルッチと050が一つのコンビなのが良い味出してるが切ねェ〜〜

[53 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 00:20:30]

お労しいけど引き込まれちまうな…
ヒョウ太はこれからどうなる…どうする…？

[54 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 09:46:48]

島を殲滅せんとする砲撃音が彼方に聞こえる中、罅の走る空間には緊迫感が充満している。対峙したルフィの後ろ、意識があるのかないのかさえ曖昧な虚ろな目をして見ているだけの複製にルッチは舌打ちを一つ。
「強がりを言う。今やお前にとっても邪魔でしかないだろう、そいつは。……ッチ、仮にもおれと同存在だってのが腹立たしい」
「さっきからよく分かんねェことばっか……！何言ってんだお前は！！」
「貴様には理解出来んだろうよ」
元よりルッチには煽り以外で会話を長引かせるつもりもない。怨言に眉を顰めて噛み付いてくるのを乱雑に切り捨て、戦闘態勢を灯す。


「──生命帰還『紙絵武身』。命を削っている割には余力がまだまだあるらしい、スピードで押し切らせてもらおうか」
「……これが、最後だ……！ギア、セカンド！！」

[55 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 10:28:48]

数度目のギア上げによって身体の限界を超過したルフィと、細身となり豹としてのスピードをフルスロットルに引き出したルッチ。現在にして、二人のステージはほぼ互角の位置にあった。

「ゴムゴムの！！」
ゴム製の腕を硬く引き絞る。腰を据えて体に掛かる動力を最大限使い。

「JETピストル！！」
「く！！」
弾丸のように打ち出された拳を腹に受けて歯を食いしばり後方へと弾かれたルッチであるが、そのダメージはルフィが想定していたよりも浅い。
「……！！後ろに飛んで衝撃を減らした！！」
一瞬の判断は全て最適解となる。極めたのは六式だけではない、元来の才能に加えて幼少より訓練してきた戦闘のプロフェッショナル。それが世界政府の殺戮兵器の名を受けたロブ・ルッチという男だ。

体勢を整え、ひゅん、と風切り音。
それがルフィの耳元に届いたときには、既に豹人間が懐に潜り込んでいた。


迫る一対の凶腕。今度は庇うものなどない。


「六王銃ッ！！！」

[56 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 11:17:25]

時間も空間も、自身の命すら全てが止まってしまったかのような衝撃波が全身へと行き渡る。
心臓の鼓動とは別に、どくんとルフィの血流が波打つ。細い体躯が吐き散らされた赤い液体と共に宙を舞い、重い音を立てて地に落ちた。

「ゲホッ……空島の、衝撃貝みてェだ……！だけどパワーはあの何倍もある……！！」
這いつくばってげほげほと血の絡んだ咳をするルフィへと、ルッチは油断することもなく追撃に足を振り上げる。

「嵐脚、『凱鳥』！！」
「……！！」
ガリガリと石造りの床を削りながら命を刈り取ろうと飛んでくる斬撃を既のところで横に転げて避ける。標的に当たらずに壁へと向かったそれは爆発じみた轟音を鳴らして外壁ごとを切り崩した。



「ハァ……ッ！」
「まだ立つか……！」
拮抗した二人はぜえはあと息を切らし、血を流し。しかしどちらも倒れることはない、倒れてしまえば後などないと理解しているからこそ倒れることは両者共出来ないのである。

[57 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 12:02:11]

ルッチの放った嵐脚によって二人が戦闘している場所に気付いたのか、橋を落とし壁を抉る海軍の援護射撃が響き渡る。

これでもう逃げ場はない、そも逃げる気もない。


「ルフィ君〜〜ッ！！ここだーッ！！！」
壁の穴から見える先、仲間の声援が船長へと届く。
全員無事だと、ニコ・ロビンも助けることが出来たと。あとはお前だけなのだと叫ぶ声。


「そいつに勝て！！生きてみんなでここを出るんだ！！！」


これで、憂いはなくなった。
事態は最終局面へ。

[58 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:32:09]

………………

[59 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:33:24]

──戦いの音が、聞こえる。

「どうした、心なしかそのドーピングの技の切れも落ちてるぞ！」

酷くノイズがかった五感でも聞こえている、見えている。崩壊の音の中、蒸気を上げて麦わらは戦闘を続行している。先程真正面から六王銃を喰らったばかりだというのに、息をするのも苦しいだろうに、未だ反抗して動いている。

「所詮貴様らにこのエニエス・ロビーは越えられん！例えこの島の形が滅んでも、世界政府の志向を邪魔するあの女は、地の果てまでも追っておれが消し去る……！！闇の正義の名のもとに！！」
「そこからロビンを逃がす為におれ達は来たんだ！！！」

信念の応酬は不理解の殴り合いとなり、目にも止まらぬ速度での攻防は他の介入を良しとしない。

[60 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:37:55]

聞こえている、全て。
衰えた耳でも、常人より遥かに良い耳は近くの戦闘音も何もかも掴んで脳へと届ける。


「愚か者めが、全ての行動は無駄なのだと何故分からないッ！！アイツも同じだ、おれの癖して歯向かって、おれの癖して無様を晒す……！腹立たしい、腹立たしい……貴様と纏めて必ず殺してやる！！」


おれと同じ声が聞こえる。
怨嗟を言紡ぐ声が、聞こえる。

[61 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:40:35]

「訳分かんねェケチの付け方しやがって！……クローンだか何だか知らねェけどよ！ヒョウ太はお前じゃねェだろ！！」

[62 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:42:41]

聞こ、える。聞こえた。
塞がりかけた耳でも、叫ぶ声は克明に聞こえている。


「……貴様におれ達の何が分かる、何を知っている！？」
「何にも知らねェ！けど、確かに喋り方も顔もそっくりだけど！アイツとお前じゃ色々、全然違うだろ！！それくらいおれにも分かる！！」


会ったばかりの聞き馴染まない声が、どうしてすんなりと胸の内へと入り込む？
他人である筈の男が吐く不明瞭な中身をした言葉が、何故こんなにも奥底に刺さるのか。

[63 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:44:38]

……いや、理由は分かっている。分かっていたつもりだった。事実、元の友人と同じ顔をした奴らのことは、……少し面影を重ねてはいたけれど、別人だと理解して接していた。
けれど、おれ自身にそれを適用していなかったのだと、今ようやっと気付いたのだ。


そうか、おれは、アイツじゃないのか。

[64 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:50:03]

生まれも育ちも思考も嗜好も、掲げた正義だって違う。別の人間だ。
根本が同じなだけで、別の人間だ。
ずっと、そうだった。

おれと『この世界のロブ・ルッチ』は全くの別人なのだ、と。



──その言葉が、一番欲しかったのかもしれない。

[65 ◆BtOeeshqkE 23/09/09(土) 15:53:46]

だから、立て。
薄ぼけた視界が晴れるのは光が差したから。喚く心のままに、痛む手足に力を入れて、軋む体に鞭打って、任せっぱなしになんてしてはいけないと意識が研ぎ澄まされていく。

……ああ、そうか。今更になって分かった。あれ程に覚悟を決めていた050はきっと、ずっとこう思っていたのかなんて。




決意を固めて、声に変える。

「こんなとこで倒れてなんか、やれねェよな」

[66 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 18:33:28]

なんか　ああ　めちゃ　なんか　もうマジで　なんか(語彙力喪失)
あまりに光で良過ぎる展開でなんか　目が潰れてしまった
原作では無いからこそ出来る二次創作の魅力が最大限に発揮されてて　いやもう　感無量
part1から追い続けてきて本当に本当に良かった

[67 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 21:56:04]

ああぁぁぁ泣けるぅぅ
生徒会長も050も頑張ってくれ…ハッピーエンドになってくれ

[68 二次元好きの匿名さん 23/09/09(土) 23:13:39]

めっっっっちゃ熱い
もうヒョウ太自分のやりたいようにお前らしく生き様貫いていけ　そして何気ない一言であの堅物生徒会長を救うルフィ流石海賊王になる男……！！
原作のロブルッチと学園のロブルッチの違いとかギャップとかようやくここに極まれりだわ

[69 二次元好きの匿名さん 23/09/10(日) 04:30:08]

あんなに曇りに曇った学園のロブルッチの心を救う言葉を堂々と言えるルフィ…曇ったメイン主人公を颯爽と助ける別の主人公の展開好み過ぎる〜！！！！
動物系はガッツあるから……ワンチャンあるかもだぞ　可能性を信じろ！

[70 二次元好きの匿名さん 23/09/10(日) 11:09:06]

なんだこの展開　フロア熱狂やろ

[71 二次元好きの匿名さん 23/09/10(日) 20:24:32]

ヒョウ太…！！ほんとにルフィが光すぎてやばい……
ヒョウ太がんばれ、君が君として生きられる世界に帰れるように、そして050もどうか幸せになってほしい……！！！

[72 ◆BtOeeshqkE 23/09/10(日) 20:56:07]

「ルフィ！！お前何やってんだよォ！！起きろルフィッ！！！」
「ウソップ……！？お前……来てたのか……！？」


再度六王銃をまともに受けて突っ伏した麦わらとその名を呼ぶ鉄骨上の長鼻を、荒くなった息を整えながら交互に睨む男の後ろ。
がらがら崩れる壁の方から、小さくかん、と瓦礫の動く音を気にするような者はいない。誰も立ち上がると思わなかった人間のことはもうとっくに意識の外だろう。


降り掛かる塵をそのままに上体を起こす。
背を屈め、足の重心を移して体を支える。
苦しくなどない、痛くない。痛みなんて、今勝つ為に必要のないものは思考の外に追いやってしまえ。

[73 ◆BtOeeshqkE 23/09/10(日) 21:01:48]

痛みと一緒に、心に掛かった錠前を跳ね除ける。

右手を握り指を立てても、もう手が震えることはない。大丈夫、おれが誰かを殺めることはもう二度と。


その証明をここに。



「指銃、『黄蓮』」

[74 ◆BtOeeshqkE 23/09/10(日) 22:16:21]

長鼻の挑発に敢えて乗ってやろうとでも思っているのか、脚先が外へと向いた。
「やめろよ！！お前、あいつに手ェ出すな……！」
「……既に敗北した貴様に用はない。どの道全員殺すんだ」
奴の意識は動けずとも止めようと叫ぶ麦わらにあった、その隙に近寄って。


「ッな、ん───！？」

ざく、と呆気なく。
豹の体毛を通り越し指が体温へと触れる、いとも容易く肩の皮膚を貫く。
ひとつ撃ち込んだそれを皮切りにして連撃を重ねて。ふたつ、みっつ、今までの意趣返しのように傷を刻んでニヤリと笑ってやる。


「戻ってきてやったぞ、『ロブ・ルッチ』ッ！！！」
「貴、様ァッ！！！」


振り返った体へとダメ押しとばかりに拳をぶち込めば、獣の巨躯は吹き飛び壁へと激突した。

[75 二次元好きの匿名さん 23/09/10(日) 23:15:24]

くぅ～格好いいぞヒョウ太〜〜！！！
迷わずに自分なりの正義を『ロブ・ルッチ』ぶつけてやれ！
いつまでも自分を同一視してくるオリジナルに決別を告げる時だ

[76 二次元好きの匿名さん 23/09/11(月) 01:47:45]

同じ名前で同じ存在で同じ根っこを持っていても絶対的に別人であると気付けた生徒会長『ロブ・ルッチ』とCP9の『ロブ・ルッチ』の決着やいかに
熱い　熱いですよこれ

[77 二次元好きの匿名さん 23/09/11(月) 06:19:51]

ワァ〜〜ここから真のロブルッチvsロブルッチ大決戦が始まるんか！！激アツッ！！！
ロブルッチ推してて良かった〜！ただでさえ面白いのに推しがメインとなるとまじでこのSS面白さ数倍にも数十倍にも膨れ上がってる　050くんのキャラもマジで最高だしさ〜
1読者として対決を見守らさせて貰うぜ

[78 ◆BtOeeshqkE 23/09/11(月) 16:10:50]

優勢

1.ルッチ

2.ヒョウ太

dice1d2=1 (1)

[79 ◆BtOeeshqkE 23/09/11(月) 20:17:19]

もうもうと砂埃が立ち上る中、影が一瞬揺らめき掻き消えた。足に鉄塊を掛けて構えた数拍後にガキン！！！と、金属のぶつかり合う音が響く。

「あれくらいじゃあ倒れちゃくれねェか！」
「いや、不意打ちは中々に効いたぞ……立ち直るとは思っていなかったからな」
一呼吸分の短い鍔迫り合いはおれが弾かれることで終わる。お互いにぼろぼろの様相である、技量の差が諸に現れた故の力負け。

「ぐッ……！」
「だが無駄だ。お前も麦わらも、その仲間も！一人残らず同じ地獄へ送ってやる！！」

[80 ◆BtOeeshqkE 23/09/11(月) 21:00:12]

片足でふらついた所を突かれる前に、だんと地面を蹴って距離を取り姿勢を立て直す。即座に飛び掛かって突き立てようとしてくる爪を紙絵で躱し、カウンターのように斬撃を伴う蹴りを放った。
当たる、当たらない、当てる、当てられる、吹き飛ぶ。六式を熟知した者同士による本気の戦闘は先読みと判断の高速化を強いて身体的にも精神的にも疲労を翳す。


「こんなところでおれは死なねェ、お前を倒すまで殺されても死んでやるものか！！」
「立っているのがやっとなんだろう？いい加減沈め、虚勢を張るのも大概にしろッ！」

激化する戦闘に過熱されて互いに荒く息を吐きつつ、拳に加えて舌戦……というにはあまりに罵倒ばかりが多く目立つが、重ねて放つ。



「貴様一人がどう足掻こうがおれには、世界政府には勝てやしない！！」

おれ以上に苛立ちを募らせた対峙者が、がなり吐き捨てるように叫ぶ。それに頷くことなんてしてやらない。

[81 ◆BtOeeshqkE 23/09/11(月) 21:07:25]

「爆煙で黒くたって空も見える、海も見える、隣にヒョウ太が立って戦ってる！！ここが地獄じゃあるめェし！お前が死にそうな顔すんなよ！！」


「……わかってる、ここは地獄でも何でもねェ……！！」



あの男は立ち上がる、立ち上がれるのだから。
「一人じゃねェんだよ、おれは」

[82 ◆BtOeeshqkE 23/09/11(月) 22:54:11]

1.ヒョウ太

2.ルフィ

dice1d2=1 (1)

[83 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 01:15:37]

立て続けの神展開で頭狂ってしまうわ
改変具合が原作もリスペクトしてて嫌味が無いし臭みも無い　めちゃくちゃスレ主様信頼出来る書き手過ぎて読む側も安心して更新を待てる

あと優勢を優勝だと読み間違えて「突然体育祭みたいな雰囲気になった…生徒会長も文化祭で優勝連発してるしええか」って盛大に勘違いしちゃった

[84 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 06:55:40]

"殺されても死んでやるものか"
最高の台詞だ………

[85 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 11:02:24]

覚悟の決まり具合が凄くルッチしてて好き

[86 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 17:18:07]

熱の篭った蒸気を上げてゆらり立ち上がった姿を横目で認め、はくと目の前の男が息を飲む。六王銃を二度も喰らいながらも意識を保っているような相手は前代未聞なのだろう。

「……だが、どちらも死に体であることには変わりない……！」

ぎりりと歯を食い縛り、自分に言い聞かせるような色までも混ざった呟きを洩らして巻き直し、狙いを定めるように両の腕を此方へと向けた。

「まずは050、貴様からだ！！」

放たれんとしているのは、つい先におれの体に重傷を負わせた技。

1.喰らう

2.避ける

dice1d2=2 (2)

[87 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 17:42:28]

「その大技を警戒していない筈がないだろッ！！」


決して大振りという訳では無い、練度の高さ故か威力に反して隙は少ないがしかし、予備動作に介入の余地はある。拳が当たる前、衝撃波が訪れる前に逆に接近して奴の懐へと潜り込んだ。


前傾姿勢で踏み出して腕を伸ばす、そっくりそのまま同じ体勢で、声を張り上げ技の名を叫ぶ。



「最大輪、六王銃！！！」

[88 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 17:58:13]

「──ッ！！」
防御不能の内部破壊。それも先程の050のような見様見真似のものではなく、一撃必殺として成立しうるということは間違いなく察しているだろう。
しかしおれが躱せるということはそれ即ち、おれ以上の修練度を誇るこの男も同じく回避が可能であるということ。

現に今手の甲に触れるのは、獣の体毛を掠めて身体ではなく空を叩く感覚。
咄嗟に体を横へと逸らして逃れる体を肌感で認識して。




「それで、いい……！」
想定通りに口角を上げる。

[89 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 18:07:18]

同時に。


「な、……こ、れは──！？」

おれの袖口から、通り過ぎた背後から。しゅる、と縄の滑り巻く音。

お前も知っているだろう、いっそおれよりも長く見てきたのだから。豹人間の身体を拘束するようにぎちりと巻いたこの荒縄と、それを扱う技を。


「タップ・ノット。小道具も小細工も仕込んできたと言わなかったか？使えるものは使わせてもらう！！」

[90 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 18:15:25]

おれの六王銃がこの状況で何よりの脅威として映っているのなら、回避するのは当然の帰結。そして寸時の反応には癖が出る、おれなら読める程の微かな癖が。
であればそこを突けばいい。正面から六式勝負を仕掛ける必要などなく、勝つ為に不意を取れればそれで構わない。

幾らガレーラの縄とはいえ引き留められるのはほんの一瞬、即座に引きちぎられる強度でしかない、が。



隙は一瞬で十二分。
今はそこに、勝機がいる。

[91 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 18:22:07]

振り返って真っ直ぐ見据える。
敵ではなく、その向こう側にいる味方である男を。


「行けルフィ、お前の全力で！！」


「──ギア、3」

[92 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 18:23:54]

そこでガレーラ仕込みの技出るのアツすぎる！

[93 二次元好きの匿名さん 23/09/12(火) 19:22:16]

ここまでの全ての経験や要素が詰まってるバトルでめちゃくちゃ良い…
肉体のみの技術以外にもウリーのロープアクションやルフィへの信頼などをしっかりと戦闘に取り入れてるのマジで、しみじみするわぁ

[94 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 21:40:40]

がちと骨を噛んで空気を吹き込むようにした手が、風船のようにぶわりと膨らむ。
見上げるほどのそれはまさしく、巨人の腕。


今更になって本命の攻撃を察知したとしても、縄を千切ってすぐの状態では対処のしようなどない。奴に出来るのは、迫る拳を甘んじて受け入れることのみ。



「ギガント・ピストル！！！」




ズガァァァァンッッッ！！！！、と。


ルフィの全力は石造りの塔の床をぶち抜いて、最後の敵を今しがた作り上げた瓦礫へと叩き付けた。

[95 ◆BtOeeshqkE 23/09/12(火) 21:57:10]

どこからでも見えるような大穴の中。
ぱら、ぱらりと降る瓦礫の欠片を払うことも出来ずうつ伏せた男の背に、何処からともなく真白の鳥が舞い降りる。戦闘力を持たない鳩が奴の傍へ寄り添ったことで、ようやっと確証を得れた。


「は、ァ……終わった、これで、いいんだ……」

膨らんだ体はそのままに力を使い果たしたかのように仰向けで倒れながらも、政府の中枢へと殴り込んだ海賊船長は思い切り息を吸い込む。


「一緒に帰るぞォ！！ロビィィン！！！！」



おれ達の勝ちだ、世界政府。

[96 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 01:14:19]

長い…長い戦いだったなぁ……

[97 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 05:06:42]

うおおおおおおーーー！！！！！！！最高の勝利じゃん！！！！！自称兄との因縁も…これで終わったか…？
アイスバーグさんと約束した通りちゃんとガレーラに帰れるな……！！！！！！よかったほんとヒョウ太よかった！
ってすっかりハッピーエンドのノリで読んだけど、いや、いや待て、最大の悲しい要素が、この後…………来るよな……………？

[98 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 12:24:28]

原作のロブルッチでは成し得なかった関係性や能力を活かして凌駕したのほんと味わい深いな
ルッチの魅力もヒョウ太の魅了も存分に引き出してる

[99 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 14:16:08]

ここまで書き抜いたスレ主と戦い抜いたヒョウ太にまずはお疲れ様だよ…………

[100 ◆BtOeeshqkE 23/09/13(水) 22:23:07]

70以上で動ける

ヒョウ太　dice1d100=62 (62)

ルフィ　dice1d100=53 (53)

[101 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 22:53:38]

🎲があまりにもキレキレでヤバい、復活して即倒せるわけではないけどここぞという時に躱してくるのほんとに意思宿ってるだろこれ

[102 二次元好きの匿名さん 23/09/13(水) 23:45:35]

こ、このダイス神…………ッ、！！！このやろぉ〜〜……………！！！容赦無い出目を出すなァッ〜！！

[103 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 05:48:57]

ま、まあ原作でもなんとかなるしこっちでもなんとかなるはず

[104 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 10:34:36]

050が止まっちゃうとしてもせめて皆に見送られながらの方がまだ救いが...ある？

[105 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 14:40:55]

勝ったーーーーーー！！！！！

[106 二次元好きの匿名さん 23/09/14(木) 15:23:21]

61～65の流れ本当に好き
ヒョウ太がこっちの世界に来てルッチと初めて関わった時からの体験が色々思い起こされる…悪い意味で意識しすぎてたんだよな いや意識しない方が無理なんだけど
ルフィのね…核心をつく率直な言い切りが本当に響く……
からの原作でめちゃくちゃ好きなウソップのセリフも最高だし良さと良さが少しも打ち消しあってないの熱すぎるな…
勝てて良かった！！！満身創痍で二人とも動けないけど！！

[107 ◆BtOeeshqkE 23/09/14(木) 21:34:49]

『ぜ……全艦へ報告！！CP9ロブ・ルッチ氏がたった今！海賊麦わらのルフィらに！！敗れましたァ！！』
「ル……ルフィが！！勝ったァーーッ！！！」

しゅうん、と膨らんだ腕が体ごと萎んだ音の後、驚愕と歓喜の入り乱れたどよめきが空気を割る。今まで例の無かった異常事態を受けての動揺は戦いの手を止めさせていた。


そして、新たな音がきいん、と吹き込む。
『やったぜ麦わらさ〜〜〜ん！！！』
『ったく、黙ってろってのに』
おおお、と拡がる電伝虫越しの大声は司法の塔前で分かれたフランキー一家のもの、そしてそれを咎めるのはパウリーの声だ。

『アニキー！！おれ達ァ全員無事ですよー！！』
谷底にしがみついて避難している、バスターコールの砲撃は全て巨人が受け止めたのだと。直撃して全員が生き延びているとは、生命力の強さにいっそ笑ってしまいそうだ。


『逃走手段もあるんでこっちは大丈夫！！後で生きて会いましょう！！』


安全圏にいる、逃げる方法も確保しているというのならあちらはもう大丈夫。おれが心配することは何もない。

[108 ◆BtOeeshqkE 23/09/14(木) 21:49:27]

──だから、今立ちはだかる問題は一つ。


「おいルフィ！ヒョウ太！！急いでこっち来いよ！！」
わあわあと騒がしい戦場の傍、張り出した鉄骨の上で仮面を捨てた狙撃手が捲し立ててくる。

「ゴムゴムでも六式でもなんでも使って飛んでこい！あとはおれらが担いでやるから！！」
周りは海と軍艦に取り囲まれている、ここにいれば殺される。そう叫んで急かす声に応じようと横に倒れた自身に力を入れても、酷使を重ねた体は脳の危険信号を受け取ろうとしない。
「……おい、ルフィ……お前は動けるか……？」
「はァ……ダメだ、っ……ぜんぜん体が動かねェ……！」
「そうか、は、ッ……おれも、だ……」
食い縛った口から返された言葉はおれの状況と全くの一致を示す。限界を迎え、そして無理矢理に超えた。そのツケが回ってくるのは至極当然の話だろう。

[109 二次元好きの匿名さん 23/09/15(金) 00:49:13]

二人ともすんごく頑張ったなぁ
それはともかくボロボロのヒョウ太からしか摂取できない栄養がある

[112 二次元好きの匿名さん 23/09/15(金) 13:00:51]

今後の展開知ってるはずなのにドキドキする
スレ主の文章がうますぎるせいだ…

[113 ◆BtOeeshqkE 23/09/15(金) 22:16:36]

「バカ言ってんじゃねェよ！！敵は倒したんじゃねェか！！ロビンも取り返した、後はもう帰るだけじゃねェか、頼む！頑張れ！！」
頑張れなどと言われても、もう既に頑張っている。文字通り死力を尽くしてしまったから帰りのエネルギーなど残っているものか。少し時間が空きさえすれば回復も可能だろうが今は一分一秒が惜しいのだ、そんな余裕は微塵もない。
「ックソ、動けりゃすぐの距離なのに……！」
「ぐ、ぎぎ……！やべェ！」

立ち上がれない内に脱出船に砲撃が飛び、火炎を上げて爆砕する。一応は全員無事ではあるようだが、これで完全に逃走手段が無くなってしまった。


そして。

『第一支柱に一斉砲火用意！！麦わらのルフィをただちに抹殺せよ！！』


巨大な船の砲台全てが、おれ達へと向いた。

[114 ◆BtOeeshqkE 23/09/15(金) 22:41:28]

戦場に似つかわしくない程の停滞があった。指一本すら動かせず、世界から切り離されて時が止まったかのような。
……そして、それを撃ち抜こうとする攻撃が今放たれんとしている。

「ねえ立って！！お願い！！」
「何か手はねェのかよ……！！」
『立てーッ！ヒョウ太！麦わら！！』
多種多様の声が響けども、それが力に変換されることはない。苦難を乗り越えればその次もまた苦難、ここで死んでやることは出来ないってのに。


絶体絶命の状況下で、ルフィが突然、あるいは何かに触発されたかのように、ぽつと何かを呟く。


「…………下を、見る？」

[115 ◆BtOeeshqkE 23/09/15(金) 22:47:56]

「……誰？」
「何だコリャ！」
「下を見ろって……！」
疑問符に塗れたそれを皮切りにして、別の支柱で戦う麦わらの一味の表情が変化する。皆一様に混乱しながらも、何がしかに耳を傾けているように見えるのが不可思議である。



『砲撃五秒前』
「海へ飛べーーーッ！！！！」

集中砲火直前。
涙声の絶叫が、大混戦の戦地に轟いた。

[116 ◆BtOeeshqkE 23/09/15(金) 22:56:51]

「助かるんだ……！助けに来てくれたんだ！！まだおれ達には仲間がいるじゃねェかァ！！！」

感情の噴出を表すかの如き叫びに合わせ、並んで生えた腕によってごろごろと転がされていく。落ちる先の海は荒れており、ましてやおれ達は能力者だというのに。
ヤケになったかと思ったが、麦わらの一味達の表情にも声色にも諦めはなく、代わりにあるのは希望と煌めき。諦観でもイカれた訳でもない、ならば何故？


「おい、下って、海じゃ……！？」


遂に床が途切れ、宙へと放り出される。首をよじって着地点を確認して。
そこでようやく、ここにある筈のないものが見えた。

[117 ◆BtOeeshqkE 23/09/16(土) 08:09:39]

見覚えがある、だからこそ分からない。

ガレーラの職人をして再生は不可能だと言わしめた、見える所からそうでない所まで余すことなく傷に埋め尽くされ崩壊寸前だったキャラヴェル船。



大型船の合間を縫って、荒れた海流を乗り越えてきたそれは。
威風堂々と麦わらドクロの帆を張って、羊の船首を掲げたそれは──



「メリー号に！！！乗り込めーーーッ！！！」



ぼろぼろの羊船が、仲間を迎えに来たと誇らしげに笑っているようだった。

[118 二次元好きの匿名さん 23/09/16(土) 18:19:45]

良かった………………メリー号が来てくれたらなんとかアイスバーグさんやパウリー達との約束通りガレーラに帰れるな…！

[119 ◆BtOeeshqkE 23/09/16(土) 22:21:19]

呆けている内にも重力は等しく掛かる、水柱を勢いよく上げて、小さな海賊船のすぐ近くの海へと落ちた。身動きが取れる取れないという話ではなく、海水に浸かったことによる倦怠感に襲われてこのままでは飲まれそうだ。


「ほら乗んな能力者共！！」
ぐい、と首根っこが引っ張られて肩を強ばらせた数瞬後にはもう、羊の船へと投げられていた。んががが、という特徴的な笑い方にその粗雑な救助の手の主を悟る。
……人魚だったのか、あの人。

[120 二次元好きの匿名さん 23/09/17(日) 07:44:05]

>>119

あとは逃げるだけだな

本当に良かったよ

[121 ◆BtOeeshqkE 23/09/17(日) 18:08:16]

「信じられねェ……この船はあの時海に……！」
辺り、特に船上を見渡しながらフランキーが慄くのに首を動かさずに内心で同意する。確か心臓部である竜骨がやられて次の島まで辿り着くことさえ出来ないという話ではなかったか。

そして船を動かすには当然乗組員が必要となる、が。気配を探れども目に見える範囲にいる一味以外は誰もいない。
「一体誰が乗ってきたの！？」
「そんな話後だ！指示を出せ、ここを抜けるぞ！！」
海賊狩りの一言で、甲板がどたばたと騒がしくなる。帰路の確保が一応は出来たとはいえ依然敵に囲まれているこの状況は変わらないのだ。

[122 ◆BtOeeshqkE 23/09/17(日) 18:23:45]

「危なかった、軍艦に殺されるかと思ったー！！」
まだ荒いながらも一息ついたとばかりに、張っていたのだろう気が解けて呑気な声へと戻る。
「ロビン！助かった、ありが……むぐ」
そのまま、支柱から落としてくれたことへの感謝の言葉を紡ごうとした船長の口を、ぱん、と床から生えた手が塞ぐ。

それをした船員は笑う。
大人びているようてどこか幼い少女の面影を感じる笑みで、おれを含む全員を見渡して。


「みんな！！──ありがとう」
「気にすんな！ししし！！」

[123 ◆BtOeeshqkE 23/09/17(日) 21:59:10]

「んなくだらねェ事言うのはここ逃げ切ってからにしろよ！」
「くだらねェとは何じゃマリモォーッ！！」
形式だけの口喧嘩は喜色に溢れ、わあぎゃあと明るい声が上がる。まだ戦場の真っ只中だとは思えないほど。……けれど、もう何も憂うことは無い。流れは、運は、此方へと向いている。


『逃がすくらいならばニコ・ロビンごと吹き飛ばせ！！全艦砲撃用意！！』
顧問と同じ声の号令が掛かってから撃ち込まれる砲弾はその一切がこの船に当たることもせずに落ちていく。海流が味方に着いているのだろうか、荒れ狂う波の中で問題なく進んでいる小さな帆船はいっそ不気味に思われそうだ。

そしてもう一段階、海に変化が。
『正義の門がいつの間にか閉じていきます！！門に阻まれた海流が渦潮を生んで……舵を取られる！！』
「うっひょー想像以上！」
渦に飲まれまいと取り舵に専念するしかなくなった海軍達を冷やかすように眺めていた。長鼻がまさかサンジ、と問えばとんと頭に指を当てる。
「根性だけで逃げ切れる敵じゃねェだろ？」
強いだけではなく強かであり、機転が利く、と。いい乗組員がいるものだ。

[124 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 09:10:06]

何気にヒョウ太もうルフィと一味のことすっかり認めてるの好き　
原作じゃ絶対に見られない…ダイスが重なり生まれた奇跡の交わりが多過ぎてありがたや〜となってる

[125 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 10:02:12]

原作ルッチも生徒会長くらい柔らかければなぁ〜
一味と生徒会長が絡むの凄い好き

[126 ◆BtOeeshqkE 23/09/18(月) 16:58:19]

こちらへ狙いを定めた銃撃も荒れた海も、ランダムに発生した渦潮さえも脅威ではないとばかりに、船は突き進む。

「私達が乗ったメリー号に越えられなかった海はないっ！」
『逃がすな！撃てーーッ！！』

降り頻る砲撃の雨の中、船に当たりそうなものだけ切って蹴って撃墜し、時には船長を跳ね返すネットとして使って。



『エニエス・ロビーの全戦力をかけて、国家級戦力のバスターコールの力をかけて！あんなちっぽけな海賊団からたった一人の女を！！なぜ奪えねェ！！！』

喚く気持ちは分かるとも。味方でなければおれもそう考えていただろう、それ程に常識外れで強運、強情な奴らだ。

「クラッチ！！」
「ぎゃあああァーー！！！」
だからそれを敵に回したお前達はただ不幸だったのだと、報復を受ける男を一切の同情もなく憐れんだ。

[127 ◆BtOeeshqkE 23/09/18(月) 17:31:52]

『撃て！撃てェ！！』

航海士の指示は寸分の狂いもなく渦潮を追い風にして。解体屋の手によって前方へ船がかっ飛ぶ。狙撃手の煙幕が敵を錯乱させる。

『追え！速度じゃ負けん！！』
『無理です、渦潮に足を取られ……！』

船員も船も桁並外れた海賊共はそうやって、見渡しても正義の門と無数の軍艦が見えない所まで。

[128 ◆BtOeeshqkE 23/09/18(月) 17:32:06]

晴れた空、穏やかになった海域。
「お前のおかげで脱出できた、ありがとうメリー！！」
動かない体で羊の船首に抱きついて、ルフィは語り掛けるように船へと感謝を告げる。物相手に何を、とは思わない。おれでさえも船に意思でも宿っているのかと大真面目に考えてしまう程の光景を目の当たりにしたのだし。

「しかしお前ら、コリャとんでもねェことしちまったぞ。大体な、世界政府の旗を撃ち抜くなんて……」
「取られた仲間を取り返しただけだ！！」
フランキーが零したはァ、と溜め息混じりの言葉に即座に返し、ずたぼろの顔でにいっと笑って振り向いた。



「このケンカ！！おれ達の勝ちだァ！！！」

[129 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 19:54:11]

メ、メリー……
050の体もやばいんじゃないか？

[130 二次元好きの匿名さん 23/09/18(月) 23:55:04]

とりあえずヒョウ太は帰ったら病院......で何とかなるとは思えないけど病院行きね

[131 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 10:10:32]

連戦に次ぐ連戦、元よりクローンとして体が限界……
とりあえずヒョウ太は疲れを癒してくれ…

[132 ◆BtOeeshqkE 23/09/19(火) 10:23:00]

050意識戻った？

1.戻った

2.まだ

dice1d2=1 (1)

[133 ◆BtOeeshqkE 23/09/19(火) 10:40:47]

……………………

[134 ◆BtOeeshqkE 23/09/19(火) 10:42:19]

ようやく体を動かせる程度には回復したが、まだふらつきはする為手すりに凭れかかって座る。ふ、と息を吐いていると心の内からしばらく聞こえていなかった声が飛んできた。

（ルッチ！見てた、ちゃんと見てたよ！よかった……ほんとに、よかった……！）
（……ああ、心配かけた）
肉体がこうして無事である以上大丈夫だとは思っていたが万が一だって考えられた。直前に聞いた途切れ途切れのものとは違う、元気そうな声に安堵する。

（これで、アイツとの因縁は終わったな）
（……うん。後は、おれだけだね）

[135 ◆BtOeeshqkE 23/09/19(火) 10:52:13]

「ウソップ知らねェか！？いなくなっちまった！！」
「ウソップー！！」
目線を下に向ければ船長と船医がぐるぐると甲板を巡って船員を呼んでいる。その名前の主はすぐ横にいるのに仮面を付けているだけで分からないとは、純粋が行き過ぎたバカもいるものだ。
「安心したまえ、彼ならさっき小舟で先に帰った」
「え〜〜〜〜！？本当は今この船あいつのもんなのに！！」

そんな小さな騒ぎを無視して船室を見回っていた航海士、ナミが帰ってくる。
「やっぱり誰もどこにも乗ってない！」
「……そりゃ変だな。確かにおれ達を呼ぶ声は聞こえたんだが」
疑問符を頭上に浮かべて、緑頭が斜めに傾く。誰も乗っていないのにエニエス・ロビーまでどうやってこの船は来たのか、ということよりも、何やら聞こえたらしい声の方が気になるようだ。
「だからおめェら言ってんだろ、あれはメリー号の声だったんだよ！なーメリー！！」
「バカ、船が喋るわけねェだろ」
「……私も何だかそんな気がしたんだけど……あるわけないわよね」
おれと車掌、そしてその孫とペット──海賊一味以外には聞こえなかった声。

「案外有り得るんじゃないか？偉大なる航路は何でもアリだろう、船も喋るさ。海賊の割にリアリストだな、お前達は」
「そういうお前は意外とロマンチストだな」
揶揄いの見える言葉に小さく目を逸らす。……空想に寄った考えにはなるか。不本意ながら、この一年間で思考がオカルトに馴染んでしまった。

[136 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 11:21:01]

>後は、おれだけだね

ほんと、ほんとに、やめてくれ050、その言葉はおれに効く

なにはともあれ一件落着？で本当に良かった！やっぱまだ14歳だし結構影響受けやすいのかね…一年を通してヒョウ太の成長や変化が感じられてとても…良い！！！一味への感情やロマンチスト描写とかからでも分かる　ヒョウ太随分とあざとくなってやがるぜ…

[137 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 12:00:59]

見てたよー！の050、例えがほんわかしてしまうが運動会で競技やった後に駆け付けてくれる応援してた人みたいな雰囲気がある
今回の件はルッチと050が2人揃ってじゃなきゃ乗り切れなかったから2人とも本当にお疲れ様だ

[138 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 16:26:31]

あーーーーすき……この後を思うとつらい……すき……つら……甘いとしょっぱいを同時に食べると止まらなくなる現象

[139 二次元好きの匿名さん 23/09/19(火) 17:39:57]

SS内の1年程ではないがこのスレも概念から長く続いてきたからまるで読者もヒョウ太とW7で1年共に過ごしヒョウ太の成長を見守ってきたようなもんなので今の流れは大変しみじみします
最初はね…まさかこんな波瀾万丈な1年になるとはね…そして個性豊かな面々がこうもシナジー起こすとはね…思わなかった　特に自称兄化したルッチとスレ主さえ生まれることを予想出来なかった050ォ！！そしてあまりに濃すぎるカッスン海賊団！！　めちゃくちゃ馴染んでしまったのでこれからの展開考えるだけで辛い

[140 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 01:23:42]

ロマンチストって言われて否定もしないヒョウ太好き
ロブルッチってそういうのから掛け離れたような存在なのに元々育った環境が違ったりW7での1年間を通じてガレーラのみんなや050と接し続け、ダイス神とスレ主に導かれたのもあってか自分の新たな可能性を切り開けたようで凄く良い　言い過ぎかもしれんけどかなりランダム性のあるこのスレで成長し続けるヒョウ太、マジで"人間"らしい

[141 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 09:47:05]

長い戦いがようやく安堵と次の展開はどうなるかのドキドキが同時に襲ってくる　はぁ…辛いけど…好きなんだよなぁ

[142 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 20:13:39]

「ん？前から船が来るぞ！」
気候は穏やか、波の流れも快調。船の軋みもあるので順風満帆とは行かないが大きな支障もなく帰路を渡っていたところで、前方から巨大な帆船の影がやってくるのが見えた。それはよく見覚えのあるマークを掲げている。
「ガレーラカンパニーの船だ……！」

「すげェ！！アクア・ラグナの海へ飛び出したのに信じられん！！」
「あのエニエス・ロビーから帰ってきやがった！！」
大勢の船大工が乗船した騒々しさの中で、静かに腕を組みながら此方を見下ろすのはアイスバーグ社長。
「アイスのおっさん！！」
「バカバーグ……」
傷を押して出てきたのだろうその人は、ぶんぶんと両の手を振る麦わらとぼそり呟いて口角を上げた解体屋に、ほんの僅かな驚き混じり、けれど確信があったのだろう笑みを浮かべている。

「とんでもねェ奴らだ……世界政府を相手に、本当に何もかも奪い返してきやがった」

[143 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 21:56:59]

ぎぎい、と。不穏な音が耳に響く。

「え」
「メリー！？」
同時にガタリと船体が傾いて、……違う、半分にへし折れたのか。今まで全て上手くいっていた筈だろうに、何故突然。

「おい何だ！どうしたんだ急に！！」
「急にも何も……！これが当然なんじゃねェのか！？」
取り乱した声に煙草を噛んで返答を返すのは金髪の男。何も突然ではないのだと、押し殺せていない苦々しさの籠った言葉で。

「メリーはもう二度と走れねェと断定されてた船だ、忘れたわけじゃねェだろ」


──いや、全てが上手くいった果て、か。
麦わらの一味が命を懸けたように、この船も文字通り死力を尽くしたのだろう。ルフィが言うように、ずっと旅をしてきた仲間を朽ちかけなりに救った果て、その結果。


「だったらもう、眠らせてやれ……！」
認めたくはないのだろう。けれど、正しいことだって分かっているのだろう。

[144 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 22:10:38]

「おれは今奇跡を見てる。もう限界なんかとうに越えてる船の奇跡を」
本職であるからこそ、誰よりも船に真摯に向き合ってきたからこその重み。それは船大工以外にも伝わる価値だ。

「長年船大工をやってるが、……おれはこんなにすごい海賊船を見た事がない。見事な生き様だった」


全て聞いて、聞き入れて。
無邪気さが鳴りを潜めた船長が、微かに眉を震わせて瞠目する。
「わかった」

[145 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 22:29:59]

「メリー、海底は暗くて淋しいからな。おれ達が見届ける！」
小舟に乗ったおれ達からでは、ばちばちと弾ける火を掲げるその表情は見えない。見えるのは、影を落とした背中だけ。

「ウソップは……いなくてよかったかもな。あいつがこんなの、耐えられるわけがねェ」
「……そんなことないさ。決別の時は来る。男の別れだ、涙の一つもあってはいけない。彼にも覚悟はできてる」


ばち、ばちりと折れた箇所を覆うようにして、炎が燃え上がる。これは弔いだ、たとえ人ではなくとも、仲間との決別には必要な事。

[146 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 22:36:01]

「長い間……おれ達を乗せてくれてありがとう、メリー号」


羊の船首からマストまで、炎が全てを包んだ頃。

ふわ、と目の前に白い靄が降る。
炎が燃え盛っているものだから舞い上がった灰かと錯覚したが、そうではない。空から落ちてきている、触れば冷たいそれは雪だった。


偉大なる航路の異常気象と言ってしまえばそれまでのこと、なのだけれど。


『ごめんね』
「え」

[147 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 22:44:13]

声がした。
はっきりと、耳ではなく頭に直接響くような声が。


『もっとみんなを遠くまで運んであげたかった』
どよめく一味にガレーラの職人達、全員に聞こえているならば決して幻聴ではない。幼い少年のようなそれが海賊船の、メリー号の声なのだと気付くのにそう時間は掛からなかった。


『……ごめんね、ずっと一緒に、冒険したかった』
雪とともに、降り頻るように。
純粋無垢なその声は、暖かさをもって伝わる。

[148 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 23:04:03]

「ごめんっつーなら！！おれ達の方だぞメリー！！」
船長として毅然とあろうとしていたのだろう立ち姿は決壊した。子どものように泣き喚き、嗚咽で所々汚く濁り引っ掛かった叫び声。

「おれ゛舵ヘタだからよー！！お前を氷山にぶつけたりよ！！帆も破った事あるしよ！！ゾロもサンジもアホだから゛、色んなモン壊すしよ！！」
しゃくり上げる音は間近からも。
震える声で船の名前を呼んでいる。
滲む涙を拭うこともせずに目を見開いている。
仮面では隠せない程、ぼたぼたと涙が落ちている。


「その度ウソップが直すんだけどヘタクソでよォ！！ごめんっつーなら！！」
『だけどぼくは、幸せだった』

[149 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 23:16:53]

『今まで大切にしてくれて、どうもありがとう』


懺悔を遮るようにして、感謝が降る。


『ぼくは本当に、幸せだった』

[150 ◆BtOeeshqkE 23/09/20(水) 23:21:07]

それを最後に言葉は途切れる。
ただ火の燃え盛る音と、船の名を叫ぶ声の傍らで。



感情を引き摺られて肉体ごと涙を流している癖に、いっそおれより人間らしくなった癖に。
"いい終わり方だ"なんて心の奥底で考えている片割れが、少し、憎くなった。

[151 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 23:27:33]

文章で丹念にそして丁寧に描いてくれたヒョウ太視点のメリー号の最期にめちゃくちゃうるうるしてたら　
150の　文で　死んだ　…………
読んでるこっちも心がはち切れそう…………

[152 二次元好きの匿名さん 23/09/20(水) 23:31:49]

オイオイあにまんのSSスレで泣いちゃったよこの涙目誰か拭いてくれよ

[153 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 06:52:46]

メリー号の最期ただでさえ泣けるのにどこか050と重なってしまってやばいわ

[154 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 06:56:42]

やばい原作読んだ時の気持ちめちゃくちゃ蘇ってくる
海底は暗くて淋しい、ってそういえばルフィは空島行く前サルベージで海に沈んだ船の探索してたから、これは実感のある言葉なんだよなとか改めて思い至っちゃった
そんでそんな一味とメリーのこのお別れを見守るヒョウ太と050に"終わり方"っていうテーマが重なってこんな…こんな…
舞台とキャラとエピソードがこんなにハマってるのしんどいけどすごい 大好き

[155 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 17:11:10]

こんなにもSSの要素と原作の要素が合わさって切なさと面白さ倍増するとか聞いてないんですけど
読み進めるたびに心臓ぎゅぅぅぅってなったわ

[156 ◆BtOeeshqkE 23/09/21(木) 22:13:29]

メリー号はさ…カット出来ないよね…アニメと漫画交互に見ながら半泣きで書いた

色々決める

行動制限

1.かかる

2.かからない

dice1d2=1 (1)

リミットのこと

1.15日きっかりと分かる

2.だいたい二週間程度だと分かる

3.分からない

dice1d3=1 (1)

[157 ◆BtOeeshqkE 23/09/21(木) 22:19:18]

行動制限は何故？

1.ガタ

2.戦闘の傷

3.薬の副作用

4.複合

dice1d4=4 (4)

どの程度？

1.少し動きが鈍る程度

2.一応自分の足で歩ける(戦闘可）

3.一応自分の足で歩ける(戦闘難)

4.松葉杖が必要

5.車椅子が必要

dice1d5=3 (3)

[158 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 22:22:59]

ダイス神違和感のないやけにリアルな戦闘の後遺症決めるのやめろ！
リミットきっかりわかってんだ… これからは更に更新される度に心がとてつもなく締め付けられるなぁ…
ともあれスレ主の書く物語を静かに応援して最期まで見守らせて貰うとする…

[159 ◆BtOeeshqkE 23/09/21(木) 22:25:14]

丁度いい感じの調節された慈悲だあ…慈悲かなあ…？

1.アイスバーグ

2.パウリー

3.ルル

4.タイルストン

dice1d4=4 (4)

[160 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 22:51:19]

久しぶりの正当な職長推しダイス神

[161 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 22:55:20]

この世界に来て１番最初に優しくしてくれたのはタイルストンだったなぁ

[162 二次元好きの匿名さん 23/09/21(木) 23:43:23]

車椅子や松葉杖だといよいよヤバいんだって思われちゃいそうだしまぁ...うん

[163 二次元好きの匿名さん 23/09/22(金) 09:19:35]

松葉杖とかはなくても日常生活は送れるけどちょっと動きがぎこちなかったり激しい運動は出来ない、くらいの感じかなぁ…
15日間…どう過ごすんだろうか……見守る…

[164 二次元好きの匿名さん 23/09/22(金) 15:36:33]

100ワニならぬ15ヒョウ太かぁ

[165 二次元好きの匿名さん 23/09/22(金) 16:50:29]

>>164

笑ったのと同時に日数が少な過ぎて心が苦しくなる

せめて残りの日数楽しい思いをして欲しい…

[166 ◆BtOeeshqkE 23/09/22(金) 22:37:07]

chapter.13　クローンドリーに花束を

[167 ◆BtOeeshqkE 23/09/22(金) 22:42:44]

仄かな日射しに刺激された重い瞼を持ち上げ、ぼやけた狭い視界に映されているのは記憶にない天井。
あれから確か……どうしたんだったか、燃えていく船を見送ってからの記憶がない。

辺りを見渡すべく体を動かそうとしてもどうにも力が入れづらく、身を起こすことすら腹筋だけでは儘ならない。筋挫傷でも起こしたのだろうか。仕方がないので両腕を突っ張り起き上がる。
ぎちりと纏わりついた鈍い痛みを払うように頭を振っていると、がた、と扉の開く音。そちらを見れば、巨躯の髭面が驚いたような視線を此方に向けていた。

[168 ◆BtOeeshqkE 23/09/22(金) 22:58:45]

「オオオォヒョウ太！！！！良かった起きたのか！！！！」
「うるっせェ！！！」

耳を塞ぐ動作が間に合わずに、起き抜けに聞くものではない声量の直撃を喰らってしまって反射的に負けじと大声が出ていた。タイルストンもタイルストンで怪我しているだろうにそういう所はいつも通り、随分と元気なようで何より。

「イヤすまん！だがまァそんだけデケェ声出せるんだったら大丈夫だな！無事に帰ってきたってのに急に倒れちまったって、アイスバーグさんが心配してたぞ！！」

曰く、あの後すぐにおれは気絶してしまったのだと。寿命についてのどうこうをぼんやりとしか伝えていなかったせいで、このまま起きなかったらどうすればと無用な心配をさせてしまったらしい。

[169 二次元好きの匿名さん 23/09/23(土) 09:16:41]

役を羽織らずにもみんなに受け入れられてる状況Chapter1から本当に色々あったなぁ…

[170 ◆BtOeeshqkE 23/09/23(土) 12:49:47]

「ところで、ここは？病院じゃなさそうだが」
きょろ、と部屋を見渡せば生活感のある雑多さが見て取れる。匂いも病院独特の消毒液や薬のそれではなく、しかし知っているもの。

「ン？ああ、おれの家だ！裏町は壊滅しちまっててお前の部屋には帰れなさそうだし、アクア・ラグナと本社襲撃が重なって病院もいっぱいだしな。治療はしてもらっといたが」
クローンなどという事情を知っていて気兼ねしないこと、家が無事であること。そんな条件の奴らで引き取り手を決めた、と。とはいえそれが当てはまるのはタイルストンかパウリーしかいないだろう、ルルはおれと同じ社宅に住んでいるのだし。

[171 ◆BtOeeshqkE 23/09/23(土) 12:58:22]

タイルストンはベッド横に椅子を引き摺って座り居住まいを正す。
「お前が眠ってる丸一日、本当に気が気じゃなかった。……あんな話を聞かされた後だ、そうじゃなくても麦わらの次に外傷が酷かったモンだからな」
「一日？そりゃあ……心配かけた」
「気にするな！お前が無事に帰ってこれた、それだけでいい！」
そう言ってがははと鷹揚な笑い声を上げるタイルストンに、どこか安堵を覚えた。何かを欠くことも、失うことも無く、ようやっと日常に戻れたとそう思えて息を吐く。


「そうだ、言い忘れてたな！」
不意に立ち上がったタイルストンから、大きな手のひらでがしがしと髪を掻き乱される。
普段の豪快さに反して痛くないように調整されたそれに顔を上げれば、弓なりに笑った目が合った。

「おかえり、ヒョウ太！」
「……ああ、ただいま」

[172 二次元好きの匿名さん 23/09/23(土) 19:56:14]

「おかえり」と「ただいま」……全部終わったんだって気持ちと帰ってきたんだって気持ちでほっとする一方、ヒョウ太には、ルッチにはもう一つ帰らなきゃいけない場所がある……ずっとガレーラにいてほしいけどちゃんと新セカ中に帰ってほしい…こころがふたつある…

[173 ◆BtOeeshqkE 23/09/24(日) 00:21:06]

雑談代わりにおれが眠っている間の状況を聞いた。

職長らは本社を修復する傍らで、大勢の職人を引き連れて壊滅した裏町の復旧作業をしているそう。タイルストンも今から出るところだったらしく、起きるタイミングが良かったと頷いていた。

麦わらの一味は一番ドックの仮設宅で療養中。今日は分からないが、昨日は全員等しくぼろぼろだったものだからおれと同じように寝ていたのだと。

「少なくとも今日はまだ休んどいた方がいいんじゃねェか？動きもぎこちねェようだし……」

出勤準備を整えながらタイルストンが気遣わしげな声を掛けてくる。確かに痛みは随所に広がり、あらゆる行動に多少なりとも支障が出てくることだろう。……少なくとも、戦闘は出来なさそうだ。

1.タイルストンに着いていく

2.一味の所に行く

3.休む

4.安価

dice1d4=1 (1)

[174 ◆BtOeeshqkE 23/09/24(日) 00:41:17]

「……いや、おれも一緒に出ていいか？寝たきりじゃあ治るものも治らん」
首を横に振り、毛布を退けてベッドから降りる。一瞬ぐらついたが自力で歩けない程ではないし、しばらくすればこの感覚にも慣れるだろうから問題ない。

「そりゃ構わんが！だが仕事は裏町の補修とその指示くらいで、特段何かするって訳でもないぞ？」
「いいさ、少し動きたいだけだからな。邪魔にはならねェよう、……確約は出来んが、善処する」
慣れるまでが大変かもしれないが。リハビリなんてものの面倒さは一年前によく思い知った、今回はあの時のように重点的に足をやられたのではなく全身を満遍なく、といったダメージであるから、勝手は随分と違うだろうけれど。
「邪魔たァ思わねェよ！んじゃ服だの靴だの用意するから、ちょっと待ってろ！！」

[175 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 01:05:31]

そいやアクアラグナでドボンしたせいで眼鏡とマスクロストしたんだっけか…今の外見どんな感じなんだろうなぁ

[176 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 03:31:39]

Chapter13が始まって新OPと新ED流れてるような気がする…なんか…清々しい朝だけど切ないみたいな感じのOP…流れてる気がする…流れてたかな…流れてたかも…(幻覚)

[177 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 13:56:07]

>>175

どんなだろうなあと妄想してたら筆捗っちゃった　文は進んでない

タイルストンのお下がり借りる今回の外出時に限りこんななるってことで

[178 ◆BtOeeshqkE 23/09/24(日) 13:59:13]

>>177

トリップ忘れてた　スレ主です

マスクは豹柄のがないから普通の白、眼鏡がない分ある程度顔を隠せる帽子　上はオーバーサイズを詰め込んでてズボンはベルトで留めてる感じ

[179 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 14:55:12]

>>177

さこつ（遺言）

ぶかぶかかわいいねえ…成長途中の中学生って感じがする……そういえばこいつ顔よかったんだったわ……こんな美少年で余命幾ばくもないとかとか一般通過天才科学者シャアナさんが狂わされるのもわかっちゃう　緑の目最高

[180 二次元好きの匿名さん 23/09/24(日) 15:05:07]

>>177

良過ぎて死んじゃった　帽子の影に隠れる眼　ちょっとダボダボな服と見える鎖骨　あと顔　きれい　

いつも私服が固定されてるキャラの別のファッションに弱いんだ自分は

こんなキリッとした子が050に切り替わると表情筋ふわふわになるの想像するとヒョウ太の顔面のポテンシャルすげぇな…て思うわ

こんな子があと十数日で死ぬとかなんて運命は残酷なんだ…

[181 ◆BtOeeshqkE 23/09/24(日) 21:44:01]

「いやあ……一番小さいのを引っ張り出してきたんだが、サイズ合わねェな！！ダボダボだ！！」
「お前がデカいだけだ！」

昔に着ていたお古であると渡された服を着てみれば笑い飛ばしてきたタイルストンに半分怒鳴って、盛大に余った裾を摘む。
おれの背丈には見合わない大きさかつテロテロに伸びているのは奴の体躯とガサツな性格から読めた未来ではあるが、普段の服はあちこち破れてしまったのでこれを着るしかない。まさか今からタイルストンを服屋に走らせる訳にも行かないし。

オーバーサイズの服をベルトで留めて何とか着れるようにし、借りたシンプルなマスクと帽子を装着して準備が整う。もう顔の特徴を隠す必要はないかもしれないが、一応だ。

「大丈夫そうか？ようし、いくぞ！」

[182 ◆BtOeeshqkE 23/09/24(日) 22:55:27]

裏町で会う人

1.パウリー

2.ルル

3.ゾロ

4.特にネームドとは会わない

5.安価

dice1d5=4 (4)

[183 ◆BtOeeshqkE 23/09/25(月) 10:23:59]

中央街を抜け、裏町へと辿り着く。襲撃時は高潮が覆っていたものだから被害状況はよく見えていなかったが、目の当たりにすれば水害の恐ろしさをまざまざと感じられる。
「これは……酷ェな」
建物は大小関係なくどこもかしこも破壊され、土台から根こそぎ持っていかれている箇所もいくつか。これは確かに、ガレーラの船大工を駆り出しでもしなければ修復に終わりは見えないだろう。
「去年とは桁違い、アレが例年通りならコレが来ればそうもなるか」
「普段は多少の破損はあっても本職大工だけで十分なんだが……こんな規模のアクア・ラグナは初めてだからな！」

一度に全て流されたような惨状ではあるが、住民達の士気は高い。その要因の一つはやはりガレーラカンパニーの存在か。今も隣のタイルストン──1番ドック職長に喜色の視線が向けられていることからそれが分かる。

[184 二次元好きの匿名さん 23/09/25(月) 19:48:02]

>>177

遅レスだけどタイルストンのお下がりファッションとても良い…いい意味でとても普通の少年に見えるんだけど寿命とか後遺症とか薬の副作用背負ってる上に背中には製造ナンバーがあるんだよな…

あとchapter名だけでじわっとくる

羊のドリーとアルジャーノンかな…

[185 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 01:14:03]

アルジャーノンに花束を大好きな小説だからChapterのサブタイに選ばれるのめっちゃ嬉しいけどっ　切ねェ〜〜〜！！！！！

[186 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 01:24:19]

随所が欠けた水路沿いを歩いていると、一人の男が片手を気さくに上げ歩み寄ってきた。
それなりに見た事のある顔だ。この辺りの店を経営しており、名前こそ知らないが幾度か挨拶を交わしたこともある相手である。
「職長！タイルストンさん、ガレーラも忙しいだろうに来てくれて……助かるよ！そっちの帽子の人は、ええと……見た事あるような……？」

首を傾げられるのも当然、今が少しの知り合い程度では結び付かない格好であることは自覚している。
「あれ、眼鏡ないから分かんないかな？ぼくだよ、ヒョウ太です！」
いつもの笑みを作り帽子の鍔を少し浮かせて顔を見せれば、相手は瞠目してまじまじと覗き込んできた。
「……ヒョウ太！？ああ確かにそうだ！印象変わるなあ、眼鏡も服もいつもと違うモンだから気付かなかった」
「ぬはは、服とか全部流されちゃって。今はちょっと、タイルストンさんにいろいろ借りてるんだ〜」
別段嘘が必要な場面でもない。概要を浚って話せば納得したような声を上げる男性に笑いかけ、軽く話してからその場を離れる。

[187 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 01:25:51]

……そういえば、さっきからタイルストンが静かだ。普段はいくら言っても黙りはしないというのに。斜め上にある顔へ首を傾ければ胡乱げな表情がそこにあった。
「どうした？」
「いやァ……知ってても、イヤ知ってるからか？切り替えがスゲェなと」
「なんだ今更。まァ、こういうのは得意なんでな」
表情筋どうなってンだと言いながら頬を摘もうと伸びてくる指をはたく。


「……それ、人格分裂ってのが関係あるのか？」
本当にタイルストンにしては珍しく、耳元で小さく潜められた声に、少し肩が揺れた。

[188 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 01:46:30]

一つの身体に二つの精神が同居し始めてから数ヶ月間…ヒョウ太と050以外の全ての人間が「050のヒョウ太」と「ルッチのヒョウ太」という2種類の「ヒョウ太」が居るのを知らぬまま「ヒョウ太」として接してたからなぁ…こうなったのは後天的だし、全てを理解するには050とヒョウ太双方の経緯を知らなければならないし、ヒョウ太側からは打ち明けるのも難しいし、ここ周りの話も中々大変よなぁ…

[189 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 01:52:06]

エニエス・ロビーへと向かう暴走海列車の中で話していたことを覚えていたのだろう。正確には人格分裂ではない事だけれど。

「演技、切り替えは元から出来るだけ、それとは関係のねェ話。人格のことは……」
信じてくれるだろうか、おれが別の世界から落ちてきた『ロブ・ルッチ』そのものであるということを。
もしもおれが聞かされる立場だったのならきっと信じない。並行世界自体が眉唾である上に知り合い達と同一人物がいるだなんてふざけた話、一笑もしないだろう。

[190 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 01:53:11]

……でも。
「言いたくねェんなら言わんでもいいぞ！なァに聞いても聞かんでも何が変わる訳でもねェし」


この考えは楽観的かもしれない。突拍子もない、与太話のような経緯を話してもいいと思うのは。


「……ちゃんと話す。職長と、アイスバーグ社長がいるときに、ちゃんと」
「──そうか！」

多分彼らなら、全部聞いても最後には、今みたいに鷹揚に笑ってくれるだろうから。

[191 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 09:15:58]

久しぶりな気がするヒョウ太口調にテンションが上がってしまった
作りものなんだけどやっぱり大好きだ
身を持ってオカルト体験しまくったからメリーの件でもちょっと思考が柔軟になってるのが分かるし、でもやっぱり自分(ルッチ)だったらこんな身の上話信じないだろうなって思っててそれでも話す事を選べるのは本当に信頼関係を感じる…

[192 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 14:49:35]

ヒョウ太スマイルを「いつもの笑み」って形容するの…ガレーラでヒョウ太として過ごした時間の長さを感じる…ガレーラ'sへの信頼も好き　タイルストンかっこいいね…

[193 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 15:25:55]

次スレ立てました

【SS・🎲⚓️あり】服部ヒョウ太は水の都に居る⑭【閲覧注意】｜あにまん掲示板

[194 ◆BtOeeshqkE 23/09/26(火) 15:26:34]

毎度ドドド名作傑作小説から借りてる章タイトルは九割九分語感だけで決めてるけど、今回はちょいと意味を持たせてみた　ほんのちょっと　
元ネタ知らなくても楽しめるけど知ってたらほーんってなるかもしれない　苦しくなるかもしれない　そういうのを書きたい　気持ちだけ

[195 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 15:30:09]

アルジャーノンととあるかな…？
どちらも題材と元ネタが重い上にSSとのテーマと重なり過ぎてぐる゛じい゛い゛い゛

[196 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 15:33:34]

冷静に考えたらW7編一年前から話が始まってもうすぐおしまいまで持ってくるの… あまりにも凄過ぎない？
普通は　普通は書き終わらねェのに…ここまで描き抜いたスレ主凄すぎない？　なんか、なんか金払わせてくれ　なんでもするから

[197 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 15:41:55]

お金払いたいのは分かる…分かるぞ…
スレ主の才能と労力に感謝するには金払うことくらいしか思い付かん
ルッチとの因縁にガレーラとの絆、050の運命に精神的成長、味わい深い…めっちゃスレ主ルッチ好きなんだなって安心して読める　原作のルッチの良い所も書くしワンピ学園のルッチの良い所も書くしルッチ好きな自分としてすっごいありがたい　本当にありがとう　次スレも応援してる

[198 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 15:59:42]

今スレも本当に面白かった！ありがとう
原作で好きなシーンがたくさん盛り込まれてて世界観と融合してるのすごいしその中でも原作にないルッチVSルフィ&ヒョウ太が特に感慨深くてかっこよくて腑に落ちて本当に熱かった
スレ終わりにこっそりすごく個人的なイメソンの話をしてしまうんですが銃の部品を聴いてた
まだ14歳で別の世界の人間であるところの生徒会長と、何者でもないけど今を確かに生きてる050の気持ちが「弄ぶなよ」って言葉に乗る気がして色々思い馳せてしまった
完結の気配が近づいてきて寂しいけど次スレもめちゃくちゃ楽しみにしてます

[199 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 16:25:45]

Part1からずっと食い入るように読んでる
本当に今回のPartはぎっしり詰まっててルフィとヒョウ太の共闘しかりようやくルッチとの精神的な決別も出来てなんか何から何まで面白いありがとう　
普段小説とか読まない人間だけどこの小説内の細かい描写とか読み返すと意味が重くなるところとか色々と楽しい発見があって久々に活字を読む楽しさを思い出せて良かった　　推しが主役に添えられてるのもあってか更新来るたび＆読み返す度に幸せだわ　そろそろ完結なの寂しくなるけど次スレも本当に楽しみ　スレ主ありがとう！

[200 二次元好きの匿名さん 23/09/26(火) 18:20:39]

200だったらダイス神とスレ主が思い描くヒョウ太と050とルッチの物語の結末となる