【🎲・閲覧注意】すすめ!アスティカシア冒険隊

  • 1二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:04:58

    「マグカップ組&ラウダ・ニールでオリジナルシナリオを、独自ルールで遊んでいく。

     シナリオを進めるキャラとは別にメタ視点の僕たちワイプ組の反応も入るよ。

     今回のシナリオの進行は僕、強化人士4号が務める」


    「『委員長』としてチームをまとめるつもりだからよろしく」


    「『わんぱくさん』として小学生らしく駆け回ろうと思う」


    「『ものしりさん』です!えーと…知識を活かしてチームを助けます!」


    「ミステリアスな『転校生』…キーパーソンっぽいけど、どうなんだろうね?」


    「兄さんの『弟』として通常運転で行くからよろしく」


    「サイキョーでムテキな『担任の先生』として生徒たちを守りたいなぁ」


    「今回はCP要素を含まない予定ですが…ダイススレなので何が起きるかわかりません。

     CPが成立したとして左右は明言しませんが、こだわりの強い方や地雷のある方はブラバ推奨ですよ。

     それと展開によっては猟奇的な展開や性癖モロ出しになる可能性が…一応ありますのでご注意ください」

  • 2二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:09:36

    「私はすごいえらいつよい愛の女神。


     語気の強いレスやレスバはサクッと撃滅しますね。愛の女神なので。

     CPに関する質問や展開への不満も基本的にスルーです。愛の女神なので。

     合わないと感じた方はそっとブラバ&理想のスレがあるなら自分でレッツスレ立て!ですよ」


    「本スレでは独自ルールを採用している。


     広く知られているTRPGとは異なり、ダイスを振った際の成功値は『定められた数値以上の出目』となる。

     探索技能が60%で成功する場合、出目が41以上で成功といった形になるよ。


     今回のシナリオで使用する技能は『運動』『勉強』『音楽』『??』の4種。

     各キャラの役割ごとにステータスは固定となっている。


     キャラのロストは発生せず、小学生の結成した冒険隊が繰り広げる冒険を追う形となる。

     ロストを心配している人は安心して欲しい。


     …他に説明を忘れていることがあれば、都度説明する。

     数字を処理するのはこちらの役割だ。閲覧している人は展開を楽しんでほしい」

  • 3二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:09:44

    始まった!!

  • 4二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:10:56
  • 5二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:12:36

    「以下は今までのシリーズまとめだ。

     長編シナリオとはかなり毛色が違うから注意してくれ」


    【愛の女神シリーズまとめ】シリーズが長くなってきたのでまとめ。

    ネタバレに配慮して結末を書かないことにした結果CPなどの地雷に配慮できてない、ウケる。


    【🎲・閲覧注意】「ラウダ先輩!」「大変っす!」

    記念すべき?一作目。ラウダ主人公、フェルペト装備。

    ケナンジ隊長にプロポーズしたグエルをフィックス・リリース()で元に戻そう!


    【🎲・閲覧注意】「グエル先輩!」「大変っす!」

    グエル主人公、フェルペト装備。

    兄への愛憎反転したラウダ(冷たい)を元に戻そう!


    【🎲・閲覧注意】「グエル先輩!」「大変っす!」りべんじ!

    グエル主人公、フェルペト装備。

    兄への愛憎反転したラウダ(メンタル激弱)を元に戻そう!


    【🎲・閲覧注意】「ミオリネ!」「大変だよ!」

    ミオリネ主人公、フェルペト装備。

    女の子になっちゃったエラン(4号)を元に戻そう?


    【🎲・閲覧注意】「ラウダ先輩!」「大変っす!」おかわりっ!

    ラウダ主人公、フェルペト装備。

    記憶喪失になったグエルを元に戻そう!


    【🎲・閲覧注意】「ラウダ先輩!」「大変っす!」りとらいっ!

    ラウダ主人公、フェルペト装備。

    別人をラウダと思い込むようになったグエルをフィックス・リリース()で元に戻そう!…
    telegra.ph
  • 6二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:17:27

    「本シナリオにおける登場人物の役割と技能値は以下の通り。

     担任の先生以外は小学生の設定だ」


    【みんなのリーダー!委員長】:ミオリネ

    運動:60  勉強:70  音楽:20  ??:40


    【かけっこだいすき!わんぱくさん】:グエル

    運動:85  勉強:25  音楽:60  ??:20


    【ほんがだいすき!ものしりさん】:スレッタ

    運動:35  勉強:85  音楽:50  ??:20


    【ちょっとふしぎな?転校生】:エラン(5号)

    運動:50  勉強:50  音楽:50  ??:85


    【おうたがとくい!弟くん】:ラウダ

    運動:40  勉強:30  音楽:85  ??:20


    【サイキョー!ムテキ!担任の先生】:シャディク

    運動:99  勉強:99  音楽:99  ??:??

  • 7二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:30:18

    「…では、シナリオを開始しよう。

     今回はキャラの容姿が設定と乖離していることでノイズになるのを避けるため、出来る限り画像は少な目で進行する」






    「――ちょうどいいところでチャイムが鳴ったね。

     それじゃあ皆、お待ちかねの給食だ!」

     シャディク先生の声を合図に、皆が元気よく立ち上がる。給食の準備を進めるためテキパキと動く子もいれば、シャディク先生に隣に座ってほしいと甘える子もいる。私はもちろん前者。だって委員長だもんね。

    「ミオミオ、手伝うよ」

    「ありがと、スレッタ」

     いつの間にかぴったり側に来ていた親友のスレッタが、にこにこっと人好きのする笑顔で手伝いを申し出てくれた。素直に甘えて、一緒に机を並べ替えたり、お皿の準備を手伝ったりする。

    「なーエラン、一緒に座ろ」

    「え?グエルの席、あっちじゃないの」

    「だってお前と話したいんだもん。駄目?」

    「しょーがないな。いいよ」

     …よしよし。グエルはグエルで、転校生を気に掛けているらしい。いかにもわんぱく小僧って感じでがさつな印象があるかもしれないけど、幼馴染の私は知っている。グエルは案外人に気を遣える良い奴なのだ。

     件の転校生、エラン・ケレスはというと、グエルのお誘いが嬉しかったらしい。いつも浮かべているふんわりして掴みどころのない笑顔じゃなく、楽しそうな笑い声をあげてはしゃいでいる。

    「ミオミオ?…グエルさんの方見てた?」

    「どっちかって言うとエランの方かな」

    「あ、そっちか!エランさん、謎が多くて気になるよね~」

    「謎っていうか…転校生なんだし、知らないことが多いのは普通でしょ」

     でもでも気になるよー!と主張するスレッタをいなしつつ、グエルとエランの楽し気な声を背景に、シャディク先生に見守られて――

     いつもの昼休みが、幕を開けた。


    ぼうけん はじまり

    『結成!アスティカシア冒険隊』

  • 8二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:45:39

    【お昼休み】

    ~ミオリネたちの教室~


    「兄さん!」

     給食の片付けも落ち着いた頃、きらきらと目を輝かせた下級生が教室に飛び込んできた。

    「ラウダ、また来たのか?お友達とも遊べばいいのに」

    「兄さんと一緒の方がいい。…だめ?」

    「駄目じゃないけどさ」

    「…似てるなあ、兄弟」

     エランがしみじみ、といったふうに呟いている。確かに今の「だめ?」の言い方はグエルに似てた。

     たった今教室にやって来たラウダは、グエルの弟。つまり私のもう一人の幼馴染であり、お隣さんでもある。…けど、何故か私にはあんまり懐いてくれない。ちょっとだけ悲しい。

    「ラウダさん、遊びに来たんですね」

    「スレッタ!うん、兄さんと…スレッタとも遊びたいなぁ」

    「えへへ~もちろんいいですよぉ」

     この甘え上手め。スレッタがすっかりデレデレしてるじゃないの。

     どうにもラウダはスレッタに懐いているらしい。グエルが苦手で教えてあげられないお勉強を、勉強好きで物知りなスレッタが教えてあげているからかな。…私だって聞いてくれれば教えられるのにな。

    「何して遊ぶ?俺のおすすめはドッヂボールかな~」

    「むっ。食後に激しく体を動かすのはよくないんですよー!ここは頭の体操でどうでしょう」

    「なんで休み時間にわざわざ頭を使うんだよ。わけわかんないな」

    「わけわかんないのはそっちです。私はちゃんとした理由を言って…」

     また始まった。呆れる私の近くで、エランも退屈そうに欠伸をしている。食後だし眠いよね、わかる。他のクラスメイトも皆「またやってるよ」みたいな反応で、真面目に心配してるのはラウダくらいのものだった。

    「はいはい、じゃあ先生のやりたい遊びはどうかな?」

     と、そこでシャディク先生が、睨み合う二人の肩を叩く。きょとんとした二人に見上げられ、「どんな?」と聞かれた先生はいつものにこにこ笑顔で答えた。

    「ここは欲張りに…クイズでドッヂ!」


  • 9二次元好きの匿名さん23/09/03(日) 23:57:19

    ~体育館~


     「クイズで…!」「ドッヂ…!」と衝撃を受けた二人はすぐ先生の意見に賛成し、そして今。

    「校長先生は何歳でしょうか?」

    「そんなのわかんないって!」

    「先生のいじわる!」

    「あはは、そっかそっか、知らないかぁ」

     という具合に、クイズでドッヂが開催されていた。

     ルールは簡単。ボールを手にした人は投げる前に、先生に出題されたクイズに答えなきゃいけない。制限時間は15秒。時間内に答えられないと…

    「3、2、1…はい、アウト。コートの外に出て」

    「うー!意地悪先生ー!」

    「ごめんごめん。もっと簡単な問題を考えるよ」

     結構盛り上がってるじゃん。体育館の入り口からゲームの様子を眺めていると、既にアウトになってコートの外に出ていたのであろうエランが声を掛けて来た。

    「ミオリネ、どこ行ってたの?」

    「ちょっとね。委員長は忙しいのよ」

    「ふぅん…」

     透き通った色の目がじっと見てきて、落ち着かない。なんだか見透かされている気分になる。

    「…それより、私も参加しよっかな!先生、どっちのチームに入ればいいですかー!」

    「うん?それじゃあ…」


    dice1d2=2 (2)

    1:グエルと同じチーム

    2:スレッタと同じチーム


  • 10二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:03:04

    「グエル、悪く思わないでよね…!」

    「言ってろ。ここからお前ら全員倒して逆転してやるから」

     普段ならやりかねないから恐ろしい。でも今はクイズでドッヂ。コート内で仲間を失い、一人ぼっちになったグエルになら勝てるはず!

     意気込む私の耳に「ミオリネなんかやっつけちゃえー!」という素直過ぎるラウダの声が聞こえてちょっと傷ついたりはしてない。してないったら。

     隣からは「ミオミオ、頑張れ!」とスレッタの声援が聞こえるけど、グエルを応援する声が圧倒的だ。何ならグエルとは敵チームのはずの子までグエルを応援しているような…さすがに気のせいだよね?

    「よし。じゃあミオリネに問題です」

    「はーい」

     シャディク先生の声に集中する。そんなに時間に余裕があるわけじゃないし、すぐに答えないと!


    ミオリネ勉強(31~):dice1d100=72 (72)


  • 11二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:06:28

    「正解!じゃあボールを投げて」

    「はい!いくよグエル!」

    「来いよ、受け止めてやるから」

     何という自信。これは絶対に勝たなきゃ…!

     メラメラと闘志を燃やしているのは私だけじゃない。「ミオミオ、やっつけちゃえ!」とスレッタにも背を押され、思いっきりボールを投げた…!


    ミオリネ運動(41~):dice1d100=87 (87)

    グエル運動(16~):dice1d100=13 (13)







    「…どちらも成功の場合、成功の最低値と出目の差が大きい方の勝利としよう」

  • 12二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:12:03

    グエル…まあミオリネの出目がいいからどっちにしても負けてたかもだが

  • 13二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:16:19

    「ぐえー!」

    「兄さーん!」

     まともにボールが直撃して、情けない声を上げたグエルにラウダが駆け寄る。エランもくすくす笑いながらもグエルに近づいて、「大丈夫?」なんて聞きながら手を差し伸べていた。

     その手を取って立ち上がり、グエルが悔しそうに、でもどこかすっきりした顔で私を見る。

    「やるな、ミオリネ…!お前は俺のライバルだ」

    「…もう、大げさ」

     でも実はちょっと嬉しい。

    「やったやった!ミオミオすごーい!」

     はしゃいだスレッタが飛びついて来て、支えきれずにふらついたのをシャディク先生が軽く受け止めてくれた。

    「いい試合だったね。もっと遊びたいところだけど、時計を見てごらん。そろそろ教室に帰らないと」

    「はーい」

     生徒たちの返事が重なって、皆が体育館の出入り口に向かい始める。ラウダはむすーっと不満そうな顔をして私を睨みつけると、グエルの手を引いてさっさと体育館を出て行ってしまった。

     私はというと、未だに興奮冷めやらぬスレッタにがっちり腕をホールドされ、ちょっと歩きづらい。自然と歩みは遅くなって、体育館を出るのは一番最後になった。…と、思ったんだけど。

    「エラン、さっき結構いいところに当たってなかった?怪我してたらちゃんと言うんだよ」

    「…大丈夫です。じゃあ僕、グエルに置いて行かれちゃったから追い掛けないと!」

    「そっか。もう仲良しの友達がいて安心したよ」

    「ありがとうございまーす!」

     ぱたぱたと足音を鳴らして、エランがすぐ隣を駆け抜けていく。その表情がちょっと強張ってる気がして、気のせいかもしれないけど、不思議だなって思いながらエランの背中を見つめた。


  • 14二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:33:34

    【放課後】

    ~ミオリネたちの教室~


     授業も終わり、HRも終わって、学級日誌を書いたり提出書類を集めたり、それから借りていた本を返すため、ちょっと図書室に寄ったり…。

     気付いたら下校時間が迫っていた。「一緒に帰ろうね」と約束していたスレッタをたくさん待たせてしまったことが申し訳なくて、本当はいけないけどちょっと小走りに廊下を進む。

     教室が近付いて来ると、スレッタがグエルたちと話しているのが聞こえた。

    「それでこんな時間まで残ってたんですか?」

    「だってこいつ知らないって言うから。ま、俺にもいい練習になったしな」

    「ありがとね、グエル」

    「そーだ、もっと兄さんに感謝しろよ」

    「こら、ラウダ」

    「お待たせスレッタ!…何の話してたの?」

    「あ、ミオミオ!全然待ってないよ、大丈夫!」

     教室に入ると、スレッタ、グエル、エラン、ラウダが椅子に座っておしゃべりしていた。で、私の姿を見た途端に立ち上がり、ランドセルを背負い始める。皆待っていてくれたんだって気付くと、申し訳ないなって気持ち以上に嬉しい気持ちがある。

    「待たせちゃって本当にごめんね」

    「いいって。それより何の話かって聞いてたよな?次の音楽のテストの話だよ」

    「エランさんが課題の歌、よく知らないらしくて…」

    「それで困ってたら、グエルが教えてくれたんだ。さっきまで音楽室で一緒に練習してたんだよ」

    「兄さんはやさしいからね!」

     得意げに笑うラウダに、皆の微笑ましいな~って視線が集まる。本人、グエルを見つめるのに夢中で気付いてないけど。

    「…そっか、歌のテストね」

    「私もあんまり自信はないけどね…」

     苦笑するスレッタは、それでも聞き苦しくない程度には歌が上手い。その隣で「あんなの普通に歌えばいいだけじゃん」と言っているグエルはそこそこ上手いし、その弟のラウダに至ってはとっても上手。未知数なのはエランだけど、特にラウダがダメ出ししてないあたり、普通に聞けるレベルの可能性が高い。

    「…合格したいよね」

     しみじみ呟いてしまう。だって嫌だ。音楽のせいで成績表に一つだけ数字の揃ってない部分があるなんて。私、委員長なのに。

    「ミオミオ?」

    「…何でもない。帰ろうか」


  • 15二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:42:10

    ~『パンランチモータース』前~


    「………あ!」

     玄関で出会ったシャディク先生にお別れの挨拶をして、アスティカシア学園初等部の門から外に出て、それからすぐのこと。毎日の通学で見慣れた、自動車やバイクの整備をしているお店――『パンランチモータース』の前で、立ち止まって大声を上げてしまう。

     「え?」「なになに?」「どうしたのミオミオ?」と続々反応が返って来て、私はちょっと泣きそうな顔を隠す余裕もなく口を開いた。

    「『お家の鍵』が、ないの…」

     きょとん。ぱちくり。4人ともがびっくりした顔をして、それから「えー!?」と大声を上げた。

    「ど、どっかで落とした?」

    「教室かな!?」

    「早く取りに戻らないと…」

    「何してるんだよミオリネ!」

     一人だけ優しくない反応。ラウダ…昔はもっと仲良しだった気がするのに…。

     二重の理由で泣きそうになっていると、背後から声が掛かった。

    「おい、何ウチの前でたむろってんだ。営業妨害かよクソガキども!…って、おい…ミオリネ、泣いてんのか?」

    「チュチュ先輩ぃ………」

    「わー!?泣くなって、おい!わーったから!あーしが話聞いてやるから落ち着け!」


  • 16二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:57:21

    「…家の鍵を失くしたってんなら、大事件だよな」

     腕組みしてうんうん頷いているのは、チュチュ先輩。本名はチュアチュアリー・パンランチ。『パンランチモータース』を営む一家の娘であり、アスティカシア学園高等部に通う先輩でもある。

     ここは初等部の通学路だし、私たちは(主に私の委員長の仕事のせいで)帰りが遅くなって高等部と帰る時間が重なることも多く、こうして鉢合わせるうちに、チュチュ先輩と呼んで慕うほど親しくなった。

    「ん~…今から取りに戻って、探して…ってなると帰りが遅くなるか?ついてってやりたいけどさ…」

    「お家の手伝いですよね。俺たち、ちゃんと自分たちで探すから大丈夫です!」

     年上にはきっちり敬語を使うグエルがそう主張するも、チュチュ先輩は納得しきれていない様子だ。

    「おー…。ま、お前ら案外しっかりしてるしな。…でもな~」

     うんうん唸って悩んでいるチュチュ先輩。それからふと、エランを見て首を傾げた。

    「こんなの居たっけか?」

    「エラン・ケレス。最近転校してきました。よろしく、チュチュ先輩」

    「そっか、こんな時期に転校ってのも大変だな。よろしくな、エラン」

     くしゃくしゃとエランの頭を撫でて、チュチュ先輩は何かの覚悟を決めたように「よし」と呟き、通学鞄に手を突っ込んだ。

     数秒間その体勢のままごそごそと手を動かしていたかと思うと、「あったあった」と言って手を引っこ抜き、ずい、と差し出して来る。

    「えっと…何ですか?」

     突き出された拳の真ん前にいたスレッタが首を傾げると、チュチュ先輩が手のひらを上に向けてぱっと開いた。

    「わ、かわいい鈴」

    「だろ。…不審者対策、ないよりマシだろ?今度返してくれればいいし、持ってけよ」

     手のひらの上にあるのは、銀色の中に青いラインの走った鈴だ。チュチュ先輩が軽く手を揺すると、思ったより大きな音が響く。

    「ま、一番は家族に連絡して迎えに来てもらうことだけどよ…この時間ならまだ皆いろいろ忙しいだろ?」

     差し出されたチュチュ先輩なりの心配の証を前に、考える。これを探す時、チュチュ先輩は少し悩む様子を見せていた。もしかして、とても大切なものなのではないだろうか?そんなもの、本当に受け取っていいのかな…?


    dice1d2=2 (2)

    1:受け取る

    2:受け取らない


  • 17二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 00:58:50

    「いーから受け取れよ!ほらスレッタ!」

    「え、ええ~…?えっと…」

     押しが強い。チュチュ先輩らしいと言えばそうだけど、スレッタは…


    dice1d2=1 (1)

    1:受け取る

    2:受け取らない


  • 18二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 01:10:07

    「…よし」

     結局、スレッタが鈴を受け取った。チュチュ先輩は満足そうだし、いいってことにしておこう。ちゃんと返さないといけないけど。

    「じゃー気を付けろよ。何かあったら遠慮せずウチに来てもいいし…先生だってさすがに家の鍵がないって言えば納得してくれんだろ。大人には積極的に頼ってけ」

    「はーい」

     素直に返事したラウダの頭を撫で、チュチュ先輩が二ッと笑う。

    「そんじゃ、また明日な」


     そうしてチュチュ先輩と別れ、初等部の門の前まで引き返してきた。

     最終下校時刻を告げるチャイムはとっくに鳴っていて、本当なら学校には入っちゃいけない時間だ。門だって閉まっていて、どうやって侵入しよう…なんて考える間もなく、グエルとエランがひょいと門を乗り越えてしまった。

    「ちょ、ちょっと!」

    「だってしょうがないだろ。他に道がないんだし。ラウダ、登れるか?無理するなよ、俺が手伝うから」

    「ありがとう、兄さん!」

     ラウダまで門の向こう側に行ってしまったので、私とスレッタも慌てて追いかける。何となく、人数が不利なこちら側の方が不安になってしまった。どう考えたって門を無理やり乗り越えない方が正しいのに!

     そのまま校舎に向かおうとするグエルたちを捕まえ、人目につかない校庭の隅っこに引っ張っていく。

    「何だよ急に」

    「あのね…!私たち、本当ならいちゃいけない時間に学校にいるの!」

    「…確かにそうだよね」

    「でもしょうがないだろ。チュチュ先輩だって、先生に言えば分かってくれるって言ってたよ」

    「そうだけど…大事にするのも良くないでしょ。誰にも見つからずに解決するのがベストよ」

    「先生たちのお仕事の邪魔するのも良くないもんね」

     スレッタの言葉に頷き、私は決意を胸に宣言した。

    「これから始まるのはいわば、放課後の冒険よ。…つまり私たち、アスティカシア冒険隊ってことね!」

     おおー…と感嘆の声が聞こえ、グエルとラウダがぱちぱち拍手した。あんたたちのそういうノリのいいところ、けっこう好き。スレッタはぽかんと

    目と口を開けてて、エランは何とも言えない笑顔だったけど。



    次のぼうけんへ続く

  • 19二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:12:50

    「プロローグ終了。次のエピソード開始まで小休憩を」


    「いつもと形式が違うからか進行がゆっくりに感じるわね…」


    「何が起きているのか分かりやすいと言えばそうだけどな。人物の関係も地の文で説明できるし」


    「一度もダイスを振らずに終わっちゃいました…」


    「同じく。思った以上にミオリネが主人公なんだね?」


    「小学生らしい地の文を心がけた結果、明確な視点主がいる方がらしくなりやすいと判断した」


    「僕の扱いが割とマスコットのそれだな…」


    「本当に授業中以外はずっと一緒にいて誰もツッコミ入れないの、日常茶飯事なんだな~って感じがするよね」


    「…では、次章に入ろうか」

  • 20二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:16:25

    「っと、待った!」


    「何?」


    「チュチュが鈴の押し売りをしてたけど…あれって受け取るまで繰り返すタイプのやつ?」


    「(押し売り…)渡そうとして来るのは二度目まで。スレッタ・マーキュリーが断っていれば受け取らずに進んでいたよ」


    「へえ~。何か意味ってあるんですか?」


    「…シナリオが進めば分かるよ」


    (あるんだろうな…)


    (いい意味なのか、それとも…)


    「…では、今度こそ次章に入ろう」

  • 21二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:31:47

    ぼうけん そのいち

    『出発!放課後アドベンチャー』


    【放課後】

    ~廊下~


    「もう最終下校時刻は過ぎたはずなんだけどな?」

     早速見つかった。アスティカシア冒険隊の旅、完…ッ!

     …とはならず、シャディク先生は穏やかな笑顔で私たちの話を聞いてくれた。

    「鍵を失くしたなら仕方ないな。他の皆も、困ってるお友達のためについて来てえらいね」

    「そ、そうですか?えへへ…」

     怒られることはあっても褒められることなんてないと思い込んでいたので、当然私はびっくりしたし、他の皆もそうだろう。グエルは先生に褒められたのが嬉しいのか、ちょっと俯いて鼻を擦っている。照れてるんだろうね。グエル、先生のこと大好きだし。

    「でも、あんまり遅くまでお家に帰らないのは感心しないかな?

     鍵はきっと教室だろうし、見つけたらすぐに帰ること!」

     シャディク先生はちょっと真面目な顔でそう言ってから、にっこり笑って私たちを送り出してくれた。ついて来てくれないのかな、とちょっと思ったけど、先生は先生で校内の見回りってお仕事があるからしょうがない。それに、ついて来ないってことは私たちを信頼してるってことでもある。

    「シャディク先生って、いい先生だね」

     先生と別れて教室へ向かう途中、エランがぽつんと呟いた。それに反応して、スレッタがむむっと顔をしかめる。

    「いい先生ですけど…ちょっと苦手ですっ」

    「…どうして?」

    「何をしても勝てないっていうか…サイキョーでムテキ過ぎるので!」

     わかるようなわからないような理由に、エランが曖昧な笑顔になる。私はスレッタみたいに苦手だとは思わないけど、先生がサイキョーでムテキなのには同意。むしろちょっと憧れるかな。

    「エランさんはどうですか?先生、転校生だからっていっぱい気に掛けてくれてますよね?親切で好きですか?それとも――」

    「………さっきも言った通り、いい先生だと思ってるよ」

     スレッタの質問攻めにも、エランは曖昧な笑顔を崩さなかった。


  • 22二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:42:06

    ラウダがスレッタに懐いてるの珍しいけど可愛いな

  • 23二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 06:44:26

    ~ミオリネたちの教室~


     西日が差し込む教室は、いつもと違ってしぃんとしている。普段から帰りが遅くなることはあるけど、それでも外からは校庭で遊ぶ誰かの声が聞こえたりしていたから、私たち以外本当に誰もいない、誰の気配もない教室というのは新鮮だった。

    「こういうの、ちょっとわくわくするな。この時間の教室って、いつもと違う場所みたいだ。まさに冒険って感じ」

     グエルも同じことを考えていたみたい。床や机の中、ロッカーなんかを手分けして、私のお家の鍵を探す最中、弾んだ声でそう言った。ラウダが嬉しそうにそれに続く。

    「そうだね!なんだかおばけに出会えそう!」

    「おっ……おばけか。そうだな…」

     ぎくりと体を強張らせたグエルに気付かず、ラウダはにこにこしてる。時々お休みの日に私の家で映画を見て遊ぶ時も、ラウダは怖いお話を見たがることが多かったっけ。私でさえ怖いと思うのに、実は怖がりなグエルは相当頑張ってると思う。かっこいいお兄ちゃんでいたい努力、私はちゃんとわかってるからね。

    「…大丈夫だよ。何か出てきても、僕が一緒」

     ラウダには聞こえないよう、ひそひそっとエランが囁くのが聞こえた。グエルはちょっと悔しそうな、でも嬉しそうな顔をして小さく頷く。本当、仲良しだよね。いいことだけど。

     不意にエランが振り返って、私にも笑いかけて来た。

    「ね、ミオリネ」

    「何?」

    「怖いことがあっても…ううん。そんなことないように、頑張ろうね」

    「?…う、うん」

     よくわかんないけど、怖いことはないに越したことはない。だから否定せずにおくと、エランの笑顔がちょっと寂しそうなものに変わった気がした。


  • 24二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 07:00:37

    「…おかしい。ない、全然ない!」

    「落ち着けよミオリネ」

    「無理!だってお家の鍵だよ!?どうしよう、これじゃ帰れない…!」

     どれだけ探したって、お家の鍵は見つからなかった。頭を抱える私の肩を、ちょんちょんっとラウダがつつく。

    「なに…」

    「イインチョーなのにかっこわるい」

    「うっ」

    「こーら、ラウダ」

     慰めてくれるかと思ったらこの言い草。グエルも一応叱ってるけど、声が笑ってるし。鍵がないことの重みを考えてなさすぎると思う。

     エランも「困ったね」って本当に困った顔をしてて、それにつられてグエルも静かになる。するとラウダまで深刻ぶった顔をして、一気に空気が重くなった。…やっぱり、誰か一人くらいはふざけていてくれた方がよかったかも。だってこんな雰囲気、自分のしでかしたことの重みがのしかかってきて泣きそうになる。

    「ねえ、知ってる?」

     最後まで鍵探しを粘ってくれていたスレッタが、服についたホコリを払って立ち上がりながら言った。

    「この学園には神社があって、そこの神様はお願いを一つだけ、何でも叶えてくれるんだって。ミオミオ、こうなったら神様にお願いしてみようよ!」

    「なんだそれ」

    「…意味あるの?」

    「自分たちで頑張ってどうにもならないんだから、神様にお願いするしかないですよ!」

    「神社なんてあったんだ。僕、見てみたい!」

    「ラウダさんも乗り気ですよ。ねっミオミオ、行ってみようよ」

     グエルはあきれ顔だし、エランは読めない顔。ラウダは目をきらきらさせて、スレッタもにこにこ笑ってる。あれはたぶん、私を元気づけようとしてるだけじゃなくて興味のあった場所に行く理由ができてラッキーって顔だ。

    「…ま、いっか。行ってみよっか」

     私の返事にグエルが目を丸くして、エランがむっとした。でもラウダとスレッタは大喜び。多数決ならこっちの勝ちよ。

     それは二人も分かってるみたいで、顔を見合わせて溜息一つ。それから先に歩き出した私たちを追い掛けて来た。

    「ところで、神社ってどこにあるか知ってるの?」

    「図書室で聞いた噂なんだけど…初等部の校舎裏の、ちょっと草木の茂ったところ…その奥に祠があるんだって!」


  • 25二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 07:14:52

    ~校舎裏・祠~


    「本当にあった…」

     ラウダがぱぁっと明るい顔をして、祠の周りをぐるぐる回る。グエルが「危ないよ」って言ってラウダと手を繋いで、地面いっぱいの草に足を取られて転ばないように気を付けていた。

     スレッタも嬉しそうな顔をして神社――もとい、ちっちゃな祠を見つめている。噂が本当かどうか確かめられて満足したみたい。そこではっと思い出したみたいに私を見て、真剣な顔になる。

    「ミオミオ、一緒にお願いしてみよう?鍵、見つかりますようにって。せっかくだから他の皆も、何かお願いしましょうよ」

     スレッタに誘われて、それまで探検に夢中になっていたラウダが祠の前で立ち止まった。つられてグエルも立ち止まり、祠を見つめる。

     エランだけはちょっと離れたところにいたけど、振り向いたグエルに「エランは?」と誘われると、ためらいながらも近づいて来た。

    「エランさん、こういうの苦手なんですか?」

    「…どうかな」

     苦手なら苦手で、無理しなくてもいいよ。そう伝えようと思ってエランを見たら、向こうも私のことをじっと見ていてびっくりした。言いたかった言葉が出て来なくて固まってしまう。

    「ミオリネは?」

    「え?」

    「こういうの、どう?」

    「…別に、何とも?本当ならちょっと楽しいかな」

     視界の端でスレッタとラウダは分かる!と言いたげに頷いていた。グエルは真面目な顔をして祠を見ていて、これはきっと何をお願いしようか悩んでる顔だな、と推理する。エランは…

    「…そっか。本当に叶うといいね」

     そう言って、やっぱり曖昧に笑った。

    「それじゃ、お願いするよ」

     その笑顔を不思議に思いつつ、祠に向き直り、手を合わせ、目を瞑って…


    ミオリネ??(61~):dice1d100=73 (73)

    グエル??(81~):dice1d100=41 (41)

    スレッタ??(81~):dice1d100=41 (41)

    エラン??(16~):dice1d100=43 (43)

    ラウダ??(81~):dice1d100=8 (8)


  • 26二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 07:52:04

     何だか、ひんやりする。

     日が暮れて来たから?校舎裏は草木で日陰になるから?それとも…?

     よく分からない感覚にぶるっと肩を震わせると、エランがぐいっと顔を近づけて来た。綺麗な色の目がすぐ近くにあって、ちょっとドキドキする。

    「…今の、分かった?」

    「う、うん…?ちょっと、寒いね」

    「うん。…早く帰りたいね」

     そうだ。帰るためにも、お家の鍵を見つけないと。

     もしかしたら、と思って、いつも鍵を入れている袋の中をのぞいたけど、やっぱり鍵はなかった。

    「駄目かぁ…」

    「うーん…役に立てなくてごめんね、ミオミオ」

    「スレッタが悪いんじゃないよ」

     本当、私がうっかりしてただけだ。うっかり、どこかに鍵を落とすなんて…自分で自分が信じられない。

    「なぁ、今日って音楽の授業あったっけ?」

    「あったね」

    「じゃあその時かもしれないな。ミオリネ、失くさないようにずっと鍵を持ち歩いてるだろ?」

    「あ」

     そっか。なら音楽室に行ってみれば…?目の前が明るくなった気がする。

    「ありがと、グエル!」

    「お、おう。どういたしまして。気付いたこと言っただけだから」

     手を握ってぶんぶん振ると、グエルが照れ臭そうに笑った。ラウダがむすーっと見上げているのに気付いて、慌てて手を放す。これ以上ツンツンされたくない。むしろちょっとはデレてほしい。

    「じゃあ、音楽室に行こっか!」

     明るい声で号令をかけると、皆が声を揃えて返事してくれた。

     アスティカシア冒険隊の冒険は、まだまだ続く!…さすがに、鍵探しは次でおしまいにしたいけどね。



    次のぼうけんへ続く

  • 27二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 17:30:37

    ??ってなんかオカルト的な素養なんかな

  • 28二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 18:37:44

    ほのぼのスレたすかる

  • 29二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 18:41:41

    「エピソード1終了。ミオリネ・レンブラン、『??』の成功率を+5しておいて」


    「え」


    「ど…どうしてですか…?」


    「………その質問には答えられない」


    「予想はつく、が…何故5号はそのままなんだ…?」


    「…今の値が上限とか?」


    「………俺の出番、あれだけかぁ」


    「ま、そのうち出番があるって」


    「…次のエピソードはインタールード、幕間に相当する。

     だからといって後の展開に全く影響しないということもない。

     心してダイスを振って欲しい」

  • 30二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 18:51:09

    幕間『不思議な男の子』


    〜廊下〜


    「〜〜〜♪」

    「ラウダは本当に歌が上手だな」

    「えへへ…」


    「エランさんって前はどんなところに住んでたんですか?どんなお友達がいました?今も連絡取ってますか?あ、先生はどんな人でした!?シャディク先生よりやさしい?かっこいい?サイキョーでムテキですか?」

    「………さあ、どうだったかな?」


     手を繋いで仲良く歩く兄弟と、距離を取りたそうなエランに食らいつくスレッタ。

     無難に楽しそうな方に混ざるか、困ってそうなエランのためスレッタにブレーキをかけるか…。

     でもでも、これがきっかけで仲良くなるかもしれないし。

     …かといって、グエルと仲良くお話したら、またラウダが拗ねちゃうかも…。


     私はどうしようかな?


    dice1d3=3 (3)

    1:グエル・ラウダとお話する

    2:スレッタ・エランとお話する

    3:全員に話題を振ってみる。…たとえば、音楽のテストとか


  • 31二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:01:44

    「ねえ…次の音楽の、歌のテストなんだけど」

    「ん?」

    「兄さんならヨユーだよ!」

     隙あらば兄語り。私だってグエルなら余裕だと思うけど。

    「ミオミオ、ちょっと不安?」

    「…どうして?」

    「あ。そ…それは~…」

     エランの問いかけに、やっちゃった!と言いたそうな顔をしたスレッタが、きょろきょろと視線をさまよわせる。そういう反応をされると、話題に出しちゃいけないくらい…みたいで、余計に傷つくんだけど!

    「…私、下手だから」

     たぶん今の私、かわいくない顔してる。ほっぺを膨らませて、いかにも不機嫌ですって顔。

     案の定スレッタはおろおろして、グエルは苦笑して、ラウダは呆れたみたいな顔をして。

     エランはと言うと静かな表情の中に、ほんのり気遣わし気な雰囲気を漂わせて。

    「何か、困ってる?」

    「ん?」「え?」「あれ?…あれれ?」

     皆の反応に、エランが首を傾げる。するともう一人の…そう!もう一人のエランが、目を真ん丸にして、唇をわなわな震わせて、大きい声を出した。

    「誰!?」


  • 32二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:15:29

     暫くして。

    「そっくりな人って、世界に三人はいるらしいんです!だからきっとこちらのエランさんもそうで…むぎゅっ」

    「あんた、本当にここの生徒なの?エランにそっくりな子なんて、今まで見たことないよ」

     興奮して捲し立てるスレッタの口を押さえつけて尋ねると、エラン(偽物?)が頷いた。

    「うん。僕の名前は『エラン・ケレス』。君たちが困っていたみたいだから、声を掛けた」

     いいひと!だけど、やっぱり、途方もなくあやしい。だって、顔も、名前までエランと同じなんて!

     エラン(本物)は、警戒するようにエラン(偽物)を睨みつけて、ちょっとだけ怖いのか、グエルにぴたっとくっついている。グエルもグエルで、エラン(偽物)はユーレイかも!なんてラウダの発言を怖がってるみたいで、エラン(本物)にひっついてる。

     ちょっと面白くなさそうな顔をしたラウダは、それでもエラン(偽物)への興味は尽きないみたいで、目をぱちぱち瞬かせながら見上げた。

    「どのクラス?先生は誰?」

     問われたエラン(偽物)は、少し目を伏せ、顎に手を当てて…ふるふると首を横に振る。

    「忘れてしまった」

    「ニワトリですかっ!?」

    「やっぱ学校通ってないだろお前!」

    「うん」

    「『うん』!?」

    「学校にはもうずっと長い間通っていないよ。…ただ、『だいじなもの』を見つけたくて、時々こうして校舎の中を探している。

     君たちも、『だいじなもの』を探しているんだよね」

    「そうだけど…」

    「どこを探すつもりなのかな」

    「音楽室!」

     元気に答えたラウダ。素直なのはいいけど、ちょっと警戒心というものを持ってほしい。エラン(偽物)はと言うと「…音楽室なら、大丈夫か」と呟いてから頷いた。

    「よければ途中まで一緒に行こう。僕は夜の学校に慣れているから、暗くても迷ったりしないよ」

     …これって、信じてもいいのかな?


    ミオリネ??(56~):dice1d100=51 (51)

    グエル??(81~):dice1d100=35 (35)

    スレッタ??(81~):dice1d100=86 (86)

    エラン??(16~):dice1d100=91 (91)

    ラウダ??(81~):dice1d100=35 (35)

  • 33二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:32:25

    「…嘘はついてなさそう」

     不服そうにしつつ、エラン(本物)が言った。続いてスレッタも満面の笑顔を見せる。

    「エランさん…えっと、こちらの物静かで知的なエランさん、いい人だと思います!」

    「ちょっと待ってスレッタ?」

     …二人の感覚はよく分からないけど、一番警戒しても不思議のないエラン(本物)が言うなら…いいのかな?

     結局グエルとラウダも納得して、六人で廊下を歩くことになった。エラン(偽物)…なんていつまでも呼ぶのもおかしいから、何て呼べばいいかなって相談すると、「『氷の君』って呼ぶ人もいたけど」と返される。何それ、ちょっとかっこいいじゃない…。グエルとラウダの目もキラキラしていて、『氷の君』への尊敬の念を感じた。わかる。よくわかる。

    「じゃー氷の君は、何を探してるんだよ?俺たちはミオリネの『お家の鍵』を探してるんだけど…お前の探し物も、見つけたら教えてやるから」

     かっこいいあだ名を聞いてすっかり恐怖心がなくなったのか、グエルが自ら氷の君の隣を歩いた。いそいそとその背後にくっついていくラウダ。いいなあ、弟。

    「…こういう形のもの。色は違うけど」

     氷の君が左手の袖を引っ張ると、薄暗くて色はよくわからないけど、糸のようなものが手首に巻かれていた。「ミサンガですね!」とスレッタが覗き込む。さすがものしりさん。

    「何年か前に爆発的に流行して、今でも時々している人はいますけど…小学校でしてる人を見たのは初めてです」

     「これって…」と何か言葉を続けようとしたスレッタの声が止まる。見ると、ラウダがスレッタの服の裾を引っ張っていた。

    「ラウダさん?」

    「…トイレ行きたくなっちゃった」

    「あらら。この近くにトイレは…」

    「あるよ。こっち」

    「ありがとうございます、エランさん」

    「ちゃんと言えてえらいぞラウダ。じゃあ行くか」

    「うん!」

     グエル、スレッタに挟まれて手を繋いだラウダが、氷の君に先導されて歩いていく。その背に置いて行かれないよう歩きつつ、疑問が湧いて来た。

    「スレッタ、何を聞こうとしてたのかな?」

     エランも同じことが気になっていたらしい。「何だろうね?」と顔を見合わせた。


  • 34二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:41:04

    「――でさ、その時のグエルが…」

    「その話やめろって!なんで俺の恥ずかしい話ばっかり言おうとするんだよ~…」

    「えへへ。グエルさんったらおっちょこちょいですもんね~?」

    「ぐぬぬ…」

    「もー。あんまりからかうのやめなよ」

     トイレの前でラウダを待ちながら、転校してきてすぐのエランのため、これまでの学校生活で起きたおもしろエピソードを披露する。グエルのためを思ってか止めつつ、エランだって楽しそうに笑ってるし…顔を真っ赤にして俯いてるグエルは、自分のおもしろさを恨むべきだと思うな、うん。

    「…仲が良いんだね」

     ぽつんと氷の君が呟く。「エランさん?」ってスレッタが心配そうに見つめるのに気付くと、氷の君は「いいことだよね」と言った。笑ってるわけじゃないけど、雰囲気はやわらかい。

    「友達、大事にしてね」

    「…?はい!当然ですっ」

     ぎゅっと私の手を握ってスレッタが笑う。くすぐったいけど、嬉しい。氷の君はそれをちょっと眩しそうに見つめていた。その様子がちょっと気になって、「どうかしたの?」って聞こうとした時のことだった。

    「兄さんたすけて!」

     ラウダの悲痛な声に、私たちは慌ててトイレの中に駆け込んだ。



    dice1d4=1 (1)

    1:ミオリネ

    2:グエル

    3:スレッタ

    4:エラン

  • 35二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 19:49:47

     トイレの中、ラウダの入った個室からドンドンと扉を叩く音がする。

    「開かない!兄さん、兄さん…!」

    「待ってろ、すぐに…あれ、なんで…!?」

     涙交じりに助けてと訴えかけるラウダを助けてあげたいのに、扉は押しても引いても、果てには蹴ったり叩いても開かないどころか、びくともしなかった。

     途方に暮れる私たちに、氷の君が声を掛ける。

    「見て」

     言われるがまま指差された方を見ると、扉のちょっと高い位置、私たちの目線よりも上に張り紙がしてある。


    『あか・あお・きいろ、どれがすき?ミオリネちゃんがえらんでね』


     ちょっぴり拙い字で書かれたそれを見て、何故かぞっとした。エランも一緒みたいで、ちょっと顔色が悪くなった気がする。

    「選ばないと扉は開かないみたいだね」

    「そ、そんなこと急に言われても…」

    「…どうしても、選べない?それなら僕がどうにかするよ」

    「え?…えーと…」

    「ミオミオ、これってなぞなぞだよ!」

     ピンときた様子のスレッタが続けて何か言おうとすると、トイレの電気がチカチカ明滅した。ラウダが個室の中でぐすぐす泣いているのが聞こえる。

    「ラウダ!大丈夫、すぐ出してやるから…!」

     必死に呼びかけるグエルを横目に見つつ、氷の君が呟く。

    「答えは教えてはいけない。選ばれた人がクリアしないと」

    「…そ、そんな…」

     責任重大過ぎる。思わず体が震えたけど、ラウダのすすり泣く声を聞いていると少しずつ気持ちが落ち着いてきた。

     そうだ、一番不安なのはラウダなんだから、私がちゃんと解決してあげないと…!


    ミオリネ勉強(31~):dice1d100=89 (89)

  • 36二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 20:02:52

    「…あ、そっか!」

     トイレ、なぞなぞ。どこかで覚えがあると思ったら、前にラウダが読んでた本に、似たようなお話があったはず。それなら、正解は…!

    「黄色!」

     祈るような思いで扉を見つめていると、カチャンと音がして、開いた扉の向こうからラウダが飛び出して来た。扉の真ん前にいた私に抱き着いて、ぐすぐす泣いている。か、かわいい。…じゃなくて!

    「怖かったね。よく頑張ったね」

    「うぅ~…あ、ミオリネ?…兄さん、スレッタ!」

     こ、こいつ…!顔を上げて私と目が合った途端、ぴょんと離れてグエルとスレッタに抱き着き直した。二人がかりでよしよしと慰められる姿は、もはやかわいそうというより強かだ。

    「正解できてよかった」

     氷の君に声を掛けられ、深く頷く。私の想像していたお話と同じなら、もし不正解なら…。

     …その場合のことは、あんまり考えたくない。

    「何が起きてるの?」

     真剣な顔して尋ねたエランに、氷の君は困ったみたいに目を伏せる。

    「何だろう。正確にはよく分からない。でも、あまりよくないこと。

     …早く『だいじなもの』を見つけて帰った方がいい」


     あれっていわゆるシンレーゲンショーかな!?すっかり元気を取り戻したラウダがはしゃぐのを眺めつつ、廊下を歩く。

     音楽室までもう少しというところで、ぴたりと氷の君が足を止めた。

    「僕はあっちに行くね。そこはもう探したから」

    「そう?じゃあ、えっと…あんたもたまには学校来なさいよ」

    「またね、エランさん!」

    「エランは僕だよ。…君、一人で大丈夫?」

    「大丈夫」

    「トイレでのこと、ありがとな!お前が冷静だったおかげでラウダのこと助けられたんだし」

    「…ありがと、氷の君!」

    「どういたしまして。…君たちも、気を付けて。ここなら平気だと思うけど」



    次のぼうけんへ続く

  • 37二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 20:05:45

    ラウダくん、ロストするところだった…??

  • 38二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 20:07:38

    「幕間1終了。スレッタ・マーキュリー、『??』の成功率を上げておいてくれるかな」


    「わかりました!」


    「…急にホラーになったわね!?」


    「僕がヒロインすぎて困る」


    「ミオリネの判定に失敗したらラウダに何が起きるのかと不安で堪らなかったんだが…!?」


    「その場合は『氷の君』が何とかしたから安心してほしい」


    「出番」


    「どんまい」

  • 39二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 21:35:19

    ぼうけん そのに

    『遭遇!音楽室のセイレーン』


    ~音楽室~


    「おじゃましまーす…」

     ひそひそ声であいさつして、音楽室の中に忍び込む。あんなことがあったばかりだから、部屋に入る時はドキドキして、つい息をひそめてしまった。それはグエルとエランも同じで、二人とも神妙な顔をしてる。

     …一方。

    「音楽室って防音設備が整ってるから他の部屋よりもしぃんとしてますよねぇ!」

    「そうだね!床もふわふわだし、足音もしないから廊下より静か!」

    「良く気付きましたねえ。ラウダさんはえらいです」

    「えへへ~」

     いや、うるさ。余裕か?心臓に剛毛でも生えてる?

     二人の話し声にびくんと肩を揺らしたグエルがちょっとかわいそう。エランが手を繋ぐと、その手をぎゅっと握り返していた。ラウダが危険な目に遭った手前、あんまり怖がってる姿を見せることもできずにいたんだろうな。

     それに気付いてすぐに寄り添えるエランは、幼馴染の私がちょっと悔しくなるくらい、グエルのことをよく見ている。

     まあ別にいいけど?私にはスレッタって親友がいるし。そもそもグエルとだって十分に仲良しで――

    「あの」

     しん、と音楽室が静まり返る。知らない子の声。ギギギ、とぎこちない動きで皆の首が回り、声の発生源を見る。

    「…うるさいですよ、あなたたち」

     そこには、刺々した視線を容赦なく浴びせてくる女の子がいた。


    ミオリネ??(56~):dice1d100=84 (84)

    グエル??(81~):dice1d100=18 (18)

    スレッタ??(76~):dice1d100=32 (32)

    エラン??(16~):dice1d100=75 (75)

    ラウダ??(81~):dice1d100=43 (43)


  • 40二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 21:47:00

     音楽室の気温が、ぐんと下がった気がする。女の子の視線が冷たいせい?なんて思っちゃうくらい突然で、肌寒くてたまらず自分の腕を抱き込んでさすった。

     エランも同じみたいで、グエルと繋いだのと別の手で自分の腕をさすっている。不思議そうな顔をしたグエルが「大丈夫?」って言いながらエランの背中を撫でていた。

    「こんな時間に、こんな場所で。何してるんですか?」

     責めるみたいな口調だけど、こんな時間にこんな場所にいるのは女の子だって同じだ。でも、どうしてだろう。抗議する気になれない。ちょっと怖いっていうか…。

    「あなたも同じだろ。イッポーテキに責めるなんてヘンなの」

     一人いた、怖いもの知らずが…。真っ直ぐなラウダの言葉にも女の子は表情を変えず、じぃっと視線を送るだけ。暫くの間そうしてラウダを見ていたかと思うと、ふっと目を逸らして椅子に座り込んだ。

    「『だいじなもの』を探してるんでしょう。さっさと見つけたらどうです」

    「あの…えっと…あなたは?」

    「………」

    「お、お名前とか…どうしてここにいるのかなー…とか!」

     無視されてもへこたれずに質問を続けたスレッタに、女の子が顔を上げる。

    「お名前は教えません。どうしてここにいるのかは…言いたくありません。何を聞かれたって答える気はないです」

    「そ、そうですか…」

     スレッタ、撃沈。女の子は退屈そうな顔をして窓の外を見ている。日がすっかり沈んで真っ暗になった校庭は、人影どころか遊具の影さえ探すのが難しかった。

     女の子のことも気になるけど、今は鍵探し!早く見つけて、お家に帰らないと…。

     鍵を探しながら、誰かとお話ししようかな?


    dice1d5=1 (1)

    1:グエル 2:スレッタ 3:エラン 4:ラウダ 5:女の子


  • 41二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 21:57:34

    「ねえ、グエル…」

    「ん?」

     楽器の影に鍵が落ちてないかって、四つん這いで探してくれているグエルの隣にしゃがみ込み、同じように四つん這いになる。

    「あの子、どう思う?」

    「ちょっとこわい」

    「だよねー…」

     どういう意味での『こわい』なのかは分からないけど、とにかく怖いのは事実だ。何て言うか、怒ったら怖そう。というか既に怒ってそう?不機嫌です、って感じがして怖い。グエルはもしかすると、さっきの流れで「おばけだったらどうしよう…」なんて考えてるのかもしれないけど。

     ちらっと振り返ると、肩越しに女の子の背中が見える。足だってあるし、影もはっきりしてるし。おばけじゃないと思う…けど、やっぱりなんだかこわい。不思議な子だ。

    「…ごめんね。私が『お家の鍵』を失くしちゃったから、こんな…」

    「気にすんなって。ミオリネのせいじゃないよ。それに俺、自分で決めてついて来たんだし」

     にこっと笑いかけられて、ちょっとだけ視界が滲む。それを悟られたくなくて俯き、一生懸命鍵を探してるふりをした。

    「早く見つけて帰ろうな」

    「うん」

     …結局、鍵は見つからなかったんだけど。はぁ、と溜息を吐きながら立ち上がったその時だった。

    「あーっ!!!」

     ラウダの大声が響いて、皆ぎょっとして振り向く。もしかして、また何かあった!?

     …でも、見たところラウダは無事。ただ、ものすごーく驚いたような、怒ったような顔で、びしっと女の子を指差していた。

    「何ですか」

     女の子は退屈そうな顔をして、ラウダに視線も向けずに手元を見ている。白くてきれいな手の中には、何だか見覚えのあるキーホルダーがあった。

     どこで見たんだっけ?

     あれはたしか、毎日のように見ている…そう、誰かのランドセルにくっついてた…

    「…ラウダのキーホルダー?」

    「兄さんからもらった『だいじなもの』!返せよ!」

     ふー。長くて重たい溜息を吐いて、女の子が椅子から立ち上がった。

    「あなた、お歌は得意ですか?」


  • 42二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:13:46

     ラウダはお歌が大得意だ。だから女の子の質問に自信たっぷりに頷くと、女の子が「それは良かったですね」と呟いた。

    「お歌で勝負しましょうか」

    「へ…?」

    「あなたが勝ったら『だいじなもの』を返します。負けたら…私の『お願い』を聞いてもらいますから」

     女の子の言葉にラウダが慌て始める。だってこんな勝負を言い出すなんて、あの女の子、よっぽど歌に自信がありそうだもんね。…そもそも、どうしてあの子がラウダのキーホルダーなんて持ってたんだろう?

    「俺の弟をいじめんなよ。素直に返せ」

    「それはできません。お歌で勝負してください」

    「壊れたカセットテープですかあなたは」

     グエルとスレッタに詰め寄られても、女の子はどこ吹く風。キーホルダーを特に何の思い入れもなさそうに見て、それからラウダを見て、もう一度キーホルダーを見て。

    「大切な人から貰った『だいじなもの』、取り戻したいでしょう。お歌の勝負じゃないと返してあげませんから」

    「…いい加減に…」

     すっかり腹を立てた様子のグエルがそれ以上何か言う前に、エランがその腕を掴んで止めていた。

    「エラン?」

    「…言う通りにしてみようよ。単に意地悪…って感じはしないし」

    「…私もそう思うかも。ちょっとこわいけど、…約束は守ってくれるんじゃないかな」

    「ミオミオまで…」

     どうしてなのか自分でも分からないけど、直感的にエランに同調していた。グエルとスレッタは困ったように顔を見合わせていたけど、その二人の袖を引いて、ラウダが口を開く。

    「僕、やりたい。勝負して、取り戻したい。…でも、上手に歌えるかな…?」

     不安そうなラウダを見て、もう一度顔を見合わせたグエルとスレッタが、次の瞬間には弾けるような笑顔を浮かべていた。

    「「絶対、大丈夫!」」

     大好きな二人のお墨付きをもらったラウダは、こくんと頷き、一歩前へ出る。

    「僕と、勝負しろ!」

    「さっきからそう言ってるじゃないですか。じゃあ、お歌は好きに選んでいいですよ」


    ラウダ音楽(16~):dice1d100=67 (67)

    女の子音楽(??):dice1d100=48 (48)


  • 43二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:29:26

     正直言って。オーディエンスに回った私には、どちらがいいなんて決められないくらい、二人とも歌が上手だった。きっと他の皆も同じように思ってる。ラウダ自身もそうだと思う。だってすごく緊張した顔で、女の子が何て言うのか、瞬きもせずに見守っているから。

    「…私の負けでいいですよ」

     たっぷり数秒の間を置いて、女の子がそう言った。それからラウダの手にキーホルダーを乗せ、「もう失くしちゃダメですよ」と言う。

     その声がやわらかくて、私の直感も捨てたものじゃないなって思う。この女の子はたぶん、悪い子じゃない。

     …悪い子じゃないのに、年下の『だいじなもの』を取って、勝負に勝たなきゃ返してあげないって言うなんて、おかしな話だと思うけど。

    「『だいじなもの』は見つかりましたね。なら、早く帰った方がいいですよ」

    「…お前はどうするんだよ?」

     まだちょっと警戒しながらグエルが尋ねると、女の子は窓の外へ視線をやって、少し寂しそうに呟いた。

    「…私はここにいます」

     どうかしたの?って聞きたかったけど、聞いてもいいのか分からないくらい、女の子の雰囲気は重たかった。不用意に触れてしまったら、こっちまで引きずられちゃいそうな…。

    「あの」

    「…何ですか。早く帰ったらどうですか」

     とてとて近づいて来たラウダを見下ろす女の子の声は、再び冷たいものになっていた。それに怖じることなく、ラウダがぱっと笑顔を咲かす。

    「返してくれてありがとう!」

     ラウダの言葉にちょっと面食らってから、女の子が視線を逸らす。

    「…別に。そういう約束ですから」

     もしかすると、ちょっと照れているのかもしれなかった。

  • 44二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:30:21

     …廊下に出て、溜息一つ。もう諦めて帰るべきなのかな?いざとなったら、グエルのお家でお父さんとお母さんが帰るのを待たせてもらうしかないのかも…。

     悩む私の肩に手を置いて、スレッタが明るく笑う。

    「ミオミオ、大丈夫だよ!他にも探してない場所、きっとあるよね?私は見つかるまで一緒に探すから…」

     励ましの言葉に、嬉しさよりも申し訳なさが勝って来る。まさか、こんなに遅くなるなんて思いもしなかったから。それに何だか…トイレのことも、音楽室の女の子のことも、それから…それから、なんだっけ?何か、忘れているような…

     悩みながら歩いていると、急に目の前が明るくなって、思わず目を閉じた。

    「誰かと思ったら…まだ帰ってなかったのかい?」

     眩しい光が下ろされて、目を開ける。そこにいたのは、懐中電灯片手に見回りをしているシャディク先生だった。


  • 45二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:32:09

    「…判定を入れ忘れていた」


    ミオリネ??(51~):dice1d100=44 (44)

    グエル??(81~):dice1d100=55 (55)

    スレッタ??(76~):dice1d100=62 (62)

    エラン??(16~):dice1d100=1 (1)

    ラウダ??(81~):dice1d100=2 (2)

  • 46二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:34:54

    「………」


    「エランさんが困ってます…!」


    「さすがに誰も…というのはまずい。女神はこういう場合、どうしていた?」


    「諦めて描写を削るか開き直って誰か一人を確定枠として選ぶかしますかね」


    「では確定枠を一人。ファンブルを出した5号、ラウダ・ニール以外から選択しよう」


    dice1d3=3 (3)

    1:ミオリネ

    2:グエル

    3:スレッタ

  • 47二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:50:13

    「ふぎゃ」

     突然の先生登場に驚いたのか、エランが何もないところで転んでいた。ラウダもそれにつられて飛び上がり、二人してグエルにくっついてこわいこわいと言っている。グエルは呆れつつ、二人が転ばないようにと手を繋いでいた。

    「あらら。エラン、大丈夫?ラウダも、怪我してないかな」

    「大丈夫です」

    「全然平気です」

    「それはよかった」

     にこにこ笑っている先生に、何だか急に日常に戻ってきたような気分になって、どっと疲れが押し寄せて来た。

    「先生、鍵、まだ見つからなくて…」

     だから、ちょっと甘えたような、弱々しい声が出てしまって。恥ずかしくなって俯くと、大きな手が頭を撫でてくれた。

    「それは心細かったね。一度、お家の人に連絡しようか?そうしたらきっと、ミオリネのためにすぐ帰って来てくれるよ」

    「…うん」

     そうしてくれる、とは思う。でも、迷惑掛けたくない。自分で見つけて、何事もなかったみたいに二人に「おかえり」って言いたい。

    「まだ探していない場所で心当たりはある?」

    「…えっと……あ!図書室!」

     放課後に本を返しに行ったのを思い出した。図書室に落としたなら…もう鍵が閉まってるかもしれない。しょんぼり肩を落とした私に、先生が何かを差し出した。

    「じゃーん。これ何だ」

    「…鍵?」

    「そう、図書室の鍵。ミオリネなら絶対に悪用しないって信頼の証だと思ってね」

     そう言って、私の手の上に鍵と、懐中電灯も置かれた。「足元が見えないと危ないからね」って言うけど、先生の明かりがなくなっちゃってもいいのかな…?心配する私に、先生がくすっと笑ってポケットからもう一つの懐中電灯を取り出す。

    「備えあれば…って言うだろ?故障した時のために予備を持つようにしてるんだけど、役に立ったな。鍵は帰る時、ミオリネの靴箱に入れておいてね。わざわざ職員室に寄って、他の先生に怒られたら大変だ」

     ウインクしながらそう言って、先生が歩き出す。その背中に慌ててお礼を言って、それから。

    「あの!音楽室に、女の子が残ってました!」

    「ええ?さっき見回りしたはずなんだけどな…ありがとう、見ておくよ」


  • 48二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 22:57:44

    「先生って本当にやさしいよな~。俺たちの話もちゃんと聞いてくれてさ」

    「…そうだね」

     廊下を進みながら先生を褒めちぎるグエル。エランは静かに賛同して、ラウダはやきもちを妬いているのかリスみたいに頬を膨らませていた。

     スレッタはと言うと、ちょっと悩んでるみたいな顔でとぼとぼ歩いている。

    「スレッタ、どうかしたの?」

    「うん…。ねえ、ミオミオ」

    「何?」

    「…シャディク先生に会う前より、お外、明るくなったね?」

    「………そう?」

     窓から校庭を見下ろしてみる。誰の人影もないし、遊具の影だってうっすらとしか見えない。さっきも似たようなものじゃなかったかな?

    「気のせいじゃない?それか、建物の角度の問題とか…」

    「…そうだね」

     スレッタはあんまり納得していなさそうな顔をしていたけど、私にはそこまで気にすることには思えなかった。

     …それより、さっき先生に伝え忘れていたことがあるような気がしてきて、そのことばっかり気になってくる。

     音楽室の女の子のことだけじゃなくて…そうだ、トイレのこと!ラウダが閉じ込められたなんて大事件、どうして誰も言わなかったんだろう?

     それに、あの不思議な男の子…エランにそっくりの氷の君のことも。

     本当、今日の放課後は不思議なことばっかり。

     これ以上何も起きず、平和に鍵を見つけられますように…って心の中でお願いして、図書室までの道を歩いた。



    次のぼうけんへ続く

  • 49二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 23:03:27

    「エピソード2終了。ミオリネ・レンブラン、スレッタ・マーキュリー両名の『??』成功率が5%向上した」


    「どんどん上がって来てる気がしますね~!」


    「いいことなのかしら…?」


    「音楽室にいたのってどう考えてもノr…」


    「『謎の少女』」


    「…そっか~」


    「合流したと思ったら一瞬で別行動になる。それが俺です」


    「出て来ただけよかったじゃないか」


    「ちゃんと合流できる時が来るといいな…」

  • 50二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 23:11:33

    「…次の幕間を発生させるかどうか判定を行う」


    「判定が必要なの?」


    「君たち全員の『??』判定が失敗した場合は発生しない。心して振って欲しい」


    「わ…わかりました!スレッタ・マーキュリー、頑張ります!」


    「…本当に発生した方が良いやつ?これ」


    ミオリネ??(51~):dice1d100=85 (85)

    グエル??(81~):dice1d100=35 (35)

    スレッタ??(71~):dice1d100=84 (84)

    エラン??(16~):dice1d100=49 (49)

    ラウダ??(81~):dice1d100=68 (68)

  • 51二次元好きの匿名さん23/09/04(月) 23:15:24

    「…忘れていた」


    「何を?」


    「ラウダ・ニール。『??』成功率を+10しておいてほしい」


    「何故!?」


    「先程の判定結果により、ミオリネ・レンブランとスレッタ・マーキュリーの成功率もさらに+5される」


    「俺だけ初期値20のままなんだが…」

  • 52二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 06:26:30

    そのまま成功率上がらない方が幸せかもしれない…

  • 53二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 06:31:23

    幕間『おうたのレッスン』


    ~廊下~


     音楽室まで向かう途中、どこかから何か聞こえた気がして足を止める。振り返るとグエルとラウダは不思議そうな顔をして私を見ていた。けど、スレッタとエランも何か聞こえたみたいで、私と同じようにきょろきょろして音の出所を探していた。

    「何だろうね、今の?…まだ聞こえるかも」

    「や、やめろよそういう冗談…」

     好奇心が抑えきれないのか、目を輝かせているスレッタ。対するグエルは、スレッタの言葉にちょっと冷や汗を浮かべている。ラウダはというとスレッタの袖をぐいぐい引いて「なに!?なにが聞こえたの!?」と興奮気味に尋ねていた。ラウダの主目的、鍵を探すことじゃなくて冒険になってるような気がしなくもない。冒険隊としては正しい姿勢なのかな…?

     いやいや、鍵を探さなきゃでしょ。じゃないと私、家に帰れないし…。

    「まだ、帰らないの?」

     突然、誰もいないはずの後ろから声が聞こえる。ちょっとびっくりしながら振り返ると、もう一人のエランーー氷の君がいた。


    「そう、聞こえたんだね。…気になる?」

     音楽室に『だいじなもの』がなかったこと、図書室にあるかもしれないから探しに行く途中なこと、それから…どこかから何か聞こえる気がして立ち止まっていたこと。氷の君に話すと、彼はちょっと考えた後にそう尋ねて来た。

    「何か知ってるの?」

    「うん。気になる?なら案内する」

     それってどう考えても寄り道だし、これ以上帰るのが遅くなるのは…と思ったけど。

    「それに、このまま真っ直ぐに図書室に行くのは、あまりおすすめしない」

    「な、なんで?」

     そんなこと言われると、怖くなるじゃない…!トイレのことだってあるし、これ以上怖い目になんか遭いたくない。

    「…その子の言う通りにしてみようよ」

     悩んでいると、エランがそう言って背を押してくれた。「時間のことは気にしないで、ちょっと遠回りするくらい大して変わらないよ。…みんなもそれでいい?」とエランが尋ねると、皆がそろって頷いてくれる。

    「じゃあ、行こうか」

     そうして氷の君に先導され、ちょっと遠回りをして音楽室に向かうことになったのだった。


  • 54二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 06:51:20

    「あ…歌だ!」

     音の発生源に近づいて、ラウダが声を上げた。他の皆も耳を傾けて、うんうん頷いてる。…でも、何と言うか…

    「…あんまり上手じゃないね?」

     ひそひそ声でエランが言うと、他の皆も頷いた。…私は人のこと言えないって?言われなくてもわかってるし…。

     歌声の聞こえてくる教室を覗くと、中等部の制服が二つ並んでいるのが見えた。あれ?初等部の子じゃないんだ…ってびっくりしてると、女の子二人がこっちに気付いて駆け寄って来る。

    「ねえねえ!」

    「歌!一緒に練習してくんない!?」

     突然のお願いに面食らう。驚いてないのは何があってもほとんど表情の動かない氷の君と、二人に興味津々のスレッタだけだった。

    「どうしてこんな時間にお歌を練習してたんですか?どうして初等部の教室にいるんですか?どうして――」

    「わ、わ、ちょと、なに…」

    「い、勢い…!」

     わあ、お姉さんたちが押されてる。さすがスレッタ。たじたじなお姉さんたちを見てると、突然声を掛けられた驚きも落ち着いてきた。

    「スレッタ、ちょっと待って」

    「ふぎゅっ」

     お口を手で押さえて、質問攻めを物理的に止める。お姉さんたちは安心したみたいにほっと息を吐き出した。

    「た、助かった…」

    「…私ら、歌のテストに合格するまで帰れないんだよ。でも二人だけじゃ全然上手くならなくて…だから『お願い』、練習付き合って!」

     …だからってどうして初等部で?それにそんなの厳しすぎる。本当にそんなこと言ってくる先生がいるの?いろいろ疑問はあったけど、氷の君が「よければ『お願い』を聞いてあげて」と言ってきた。

    「ほんと『お願い』!一曲だけでいいから、一緒に歌ってくれない!?」

     二人とも、すごく必死だし…一曲だけなら、いいかな?帰れなくて困ってるならお互い様、だよね?みんなも私と同じ意見みたいで、結局私たちみんなで歌を歌うことになった。

     …氷の君だけは、ちょっと離れたところでそれを聞いていたけど。


    二人以上成功で『お願い』達成

    ミオリネ音楽(81~):dice1d100=65 (65)

    グエル音楽(41~):dice1d100=88 (88)

    スレッタ音楽(51~):dice1d100=1 (1)

    エラン音楽(51~):dice1d100=40 (40)

    ラウダ音楽(16~):dice1d100=1 (1)


  • 55二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 06:53:27

    「ラウダ?」


    「ごめん」


    「スレッタ…?」


    「す、すみません~…!」


    「………あとちょっとで成功だったんだけどな」


    「…仕方ないね。では…」

  • 56二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 07:02:16

    「わ、すっごく上手!」

    「…他の子は、まあ、うん…」

     …本当に残念だけど。お姉さんたちの助けになれたのはグエルだけで、他の皆の歌声はそれを邪魔しただけだった。ラウダまでもがあんなにとんちんかんな歌になるなんて、珍しい。ちょっと緊張してたのかな?

    「本当はラウダの方が上手なんだ」

    「うー…」

    「そっか。また機会があったら聴かせてね」

    「うん…」

     茶髪のお姉さんがしゃがんでラウダと目を合わせ、にっこり笑う。ラウダはちょっと照れたみたいで、グエルの背中に隠れながらちっちゃく頷いていた。

    「でもどーしよ~!?これじゃ私たち帰れないよぉ…」

     背の低い方のお姉さんが嘆くのを聞いて、ちょっと気まずくなる。私たち、もうちょっと練習に付き合うべき?でもこれ以上は…

    「練習、僕が付き合うよ」

    「え?」

    「でも…いいの?」

     お姉さんたち二人がちょっと心配そうに顔を見合わせる。どうして氷の君にだけそんなに遠慮するんだろ?

    「いいよ。君たちがそれで帰れるなら」

     やさしい。氷の君なんてあだ名なのに、実際はぽかぽかあったかい子のような気がする。

    「君たちは音楽室に行くといい。気を付けてね」

    「う、うん…ありがとうね、氷の君」

    「どういたしまして。…それじゃあ、練習しようか」

    「はいっす!」

    「よろしくお願いします!」

     氷の君だっていつまでも学校に残ってるわけにはいかないと思うんだけど…素直に甘えることにして、教室を出て音楽室に向かう。

     後ろからは、とってもきれいな歌声が聴こえて来た気がした。


    ??:3→2



    次のぼうけんへ続く

  • 57二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 07:07:35

    「幕間2終了。次のエピソード開始まで各自休憩を」


    「待って?」


    「な…何が減ったんだ?今のは減って大丈夫なのか!?」


    「誰もロストしないって言ったじゃないですか~!?」


    「誰もロストしていないよ。…何故そんなに興奮している?」


    「いや…明らかに駄目だろ今の流れは…!」


    「…あんまり『氷の君』に頼ると良くなかったりする?」


    「そんなことはない。気軽に頼って欲しい」


    「本当?信じてもいいやつそれ?」


    「出番」

  • 58二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 07:12:43

    >>56

    「『図書室』と『音楽室』を間違えていましたね」


    「ごめんね」


    「人は誰しも間違うものです。気にせず続けていきましょう」

  • 59二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 07:27:25

    ぼうけん そのさん

    『歓迎!なぞなぞライブラリー』


    ~図書室~


     シャディク先生から借りた鍵を使って図書室の中に入ると、中は真っ暗だった。懐中電灯は一つしかないし、これじゃ手分けして探すこともできない。

    「電気、つけてもいいかな?」

    「いいんじゃない?シャディク先生なら許してくれそう」

     私の不安に、エランが答える。「だよね」って返事しながら、入口すぐのスイッチをぱちんと押した。

    「よし。これで皆、別々の場所を調べられるけど…」

    「ミオミオは今日、どのあたりを歩いたの?…あ、それか図書室の忘れ物ボックスに入ってるかも!」

    「勝手に見ていいのかな?」

    「だって、そこに入ってたら見ないと見つからないよ」

     それもそうだ。スレッタは図書委員だけが入ることを許されているカウンターの向こう側に回り、忘れ物ボックスを見ようとして――

    「わあ~~~!?」

    「な、何!?」

     大きい声を出して、どしん!とその場に尻もちをついた。

     慌ててスレッタに駆け寄ると、口をパクパクさせてカウンターの下を指差してる。そっちに視線を向けると…

    「ふふっ!いい反応。…つい驚かせたくなっちゃった。ごめんね?」

     ごそごそと音を立てながら、女の子がカウンターの下から出て来た。


    ミオリネ??(46~):dice1d100=61 (61)

    グエル??(81~):dice1d100=68 (68)

    スレッタ??(66~):dice1d100=23 (23)

    エラン??(16~):dice1d100=36 (36)

    ラウダ??(71~):dice1d100=9 (9)


  • 60二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 08:08:13

    なんかこう霊感とかそういう感じの判定なんだろうけどほんとに全然成功しないなグエル
    わかる(わかる)

  • 61二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 13:40:08

    ノレ…謎の少女の「お願い」って何だったんだろう

  • 62二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 18:31:25

    「…お願いの内容、教えたっていいと思いますけど」


    「念のため、シナリオ終了後の解説としよう」


    「わかりました」

  • 63二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 18:46:17

     私たちが騒いでいると、なんだなんだとグエルたちも寄って来て、女の子を見てぎょっとしていた。立ち上がったところをちゃんと見ると、私たちよりも背が高くて、大人っぽい。服だって中等部の制服だった。

    「私はニカって言うんだ。よろしくね」

     やさしい笑顔を浮かべた女の子――ニカが手を差し出して来る。スレッタは反射的に、って感じで、差し出された手を握ってぶんぶん振っていた。

     私はと言うと、ニかは音楽室の女の子みたいに不機嫌そうなわけでもないのに、どうしてだか分からないけど怖くなって、一歩後退る。

    「大丈夫?」

     私が距離を取ったのに気付いたニカが、心配そうに声を掛けてくれる。本当に、とってもやさしそうで、穏やかなのに、どうしてこんなにこわいんだろう。さっきびっくりさせられたのが、尾を引いてるのかな…?

    「…スレッタのこと、放して」

     黙ってニカのことを観察していたエランが、私の隣に並んでそう言った。失礼な物言いだったけど、ニカは気を悪くした様子もなく素直に手を放してくれる。

    「エランさん、失礼ですよ」

     案の定スレッタが注意したけど、エランは返事をせずにじぃっとニカのことを見ていた。

    「もう…ごめんなさい、ニカさん。えっと…質問、いいですか?」

    「いいよ。答えられることなら何でもね」

    「じゃあじゃあ、どうしてニカさん、こんなところにいたんですか?中等部の人ですよね?それもこんな時間に、鍵だって掛かってたのに…」

    「うーん、それはね?」

     ちょっともったいぶって、ニカが間を置いた。スレッタは興味津々って顔で、ぐぐっとニカに身を寄せる。エランが眉をひそめて止めに入ろうとしたけど、それよりちょっとだけ早くニカが答える。

    「初等部のお友達と待ち合わせしてたんだけど、…ここから出られなくなっちゃって」

    「それは大変ですね…!そのお友達もひどいですっ」

    「そんなことないよ。そもそも、私が『だいじなもの』を失くしちゃったせいだから。…でも、スレッタはやさしいね」

     にこにこ。にこにこ。ニカは笑っている。それだけだ。

     …それだけなのに、どうしてこんなに、怖いんだろう?

    「ねえスレッタ」

    「何ですか?」

    「私、スレッタのこと、好きになっちゃったなぁ。『お願い』、私とずっと一緒にここにいようよ」


  • 64二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 18:58:35

    「何言ってん…ですか、ニカ先輩」

     きょとんとするスレッタや、背筋がぞわぞわして言葉の出てこない私に代わって、グエルが食ってかかった。グエルと手を繋いだラウダも「そーだそーだ」と言っている。

    「あなたたち、『だいじなもの』を探してるんだよね?」

     グエルの剣幕なんてまるで気付いていないみたいに、ニカは穏やかな表情のままそう言った。そして、「見て」と右手を顔の高さにまで上げる。

     その手には、とっても見覚えのある栞があった。

     あれは、そう。スレッタのもので、私が…

    「ミオミオのくれた『栞』!え、あれ!?どうして、私、ランドセルの中に…」

    「『だいじなもの』、取り戻したいよね?」

     やさしい顔のままそう言われて、スレッタが固まった。裏切られたみたいな気分、なのかもしれない。

     心臓がバクバク音を立ててる。私は不思議なことに、音楽室の女の子とのやり取りを思い出していた。


    ――大切な人から貰った『だいじなもの』、取り戻したいでしょう。


     何だか、まるで、私たち。次々に、『だいじなもの』を取られてるような…

    「…条件は?」

     「ふざけるな」とか「それはないだろ」って抗議するグエルとラウダを制して、エランが尋ねる。…私も、同じことが気になってた。

     音楽室の女の子は「お歌で勝負しましょうか」って言って、それに勝てばちゃんとラウダの『キーホルダー』を返してくれた。それなら、ニカも同じ…?

    「話が早いね。もう誰かと勝負したのかな?」

    「話を逸らさないでくれよ。…君は、どんな勝負をするつもり?」

    「ニカさん…?あの、それ、『だいじなもの』なんです。そんなことしなくても、返してくれますよね…?」

    「………」

     ショックを受けて黙り込んでいたスレッタが、ようやく口を開く。するとニカがちょっとだけ苦しそうな顔をした。


  • 65二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:13:39

    「…ごめんね、スレッタ。これはもう私のものなんだ」

    「ち…違います!私のです!ミオミオがお誕生日にくれて、それで、ずっと大事にしてて…!」

    「でもね、そういう『お約束』なんだ。だから、取り戻したいなら私と…そうだ!クイズで勝負しよっか」

     今にも泣きだしそうなスレッタを前に、ニカはやっぱり笑顔だった。

     なんで、どうして?スレッタの表情が見えてないみたいな反応で、こわい。

    「勝負に勝てば、『だいじなもの』は返すね。でも、負けたら…私の『お願い』を聞いてね」

     挑んじゃいけない、気がする。どうしてだろう。スレッタはとっても頭がいいし、本をたくさん読むから知識だってたくさんで…。なのに、この勝負は受けちゃいけない。そんな確信が、私の中にある。

    「スレッタ、栞ならまたプレゼントするよ。そうだ、もっといいものを一緒に探しに行こう?

     今度は二人お揃いで…」

    「ミオミオ…」

     私の声に顔を上げたスレッタが、ほっとしたみたいな顔をする。そうだ。『だいじなもの』って言ったって、無理に返してもらわなくたっていい。また新しく『だいじなもの』を作れば、それでいいんだから。

    「よし、さっさと帰ろうぜ」

    「ヤな人!放課後の学校って、ヘンな人しかいないの?」

     兄弟はさっさと図書室を出て行くつもりになったみたいで、扉の前で私たちを待っている。エランも「鍵はきっとここにはないよ。別の場所を探そう」って言って扉の方へ向かった。

     私もスレッタと手を繋いでそれに続こうとしたけど、ニカの声が追い掛けてくる。

    「スレッタ、私に勝てばいいだけだよ?なのに諦めちゃうの?

     これってそんなに『大切』じゃないものだったんだ」

    「………ねえ、ミオミオ。ごめん、やっぱり…」

     ひどい。あんな言い方されたら、やさしいスレッタは取り戻そうとするに決まってる。

    「そんなに睨まないでよ。それに、これがないと一番困るのはスレッタだよ?」

    「どういう意味?」

    「さあ、どういう意味でしょう。このまま帰ったら分かるかもね」

     エランの質問に、ニカはちゃんと答える気がないみたいだった。…このまま帰ろうとして、困る?栞がなくて困ることなんて、読書の続きがどこか分からないくらいしか思いつかないけど…。


  • 66二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:22:08

    「…このまま帰る?私はそれでもいいよ」

     どうせ、スレッタはここに戻って来るからね。

     ほんの小さな声で付け足された言葉が、怖くて仕方なくって。私はぎゅうっとスレッタの手を握って、自分の方に引き寄せた。

     やだ。私のだいじなお友達、とられたくない!

    「大丈夫だよ。皆、たくさんお友達がいるよね?でも私、ここで一人なんだ」

    「待ち合わせしてるお友達がいるんでしょ?」

     間髪入れず投げかけられた、ラウダの無邪気な質問。ニカは目を真ん丸にして、それからぐっと何かを我慢するみたいに唇を噛んだ。そして、ちょっと困った顔で笑う。

    「………もう、来てくれないから」


     結局、スレッタはニカとクイズ勝負をすることになってしまった。私は何度も「別にいいよ。帰ろうよ」って言ったけど、聞いてくれない。

     グエルは「スレッタなら勝てるだろ」って言うし、ラウダなんて「いけースレッタ!」って応援してるし。

     頼みの綱のエランは、何か考え込んでいるみたいで、何も言ってくれなかった。

    「じゃあ、始めよっか。私が出題するから答えてね」

    「…はい!」


    スレッタ勉強(16~?):dice1d100=99 (99)

    ニカ勉強(??):dice1d100=37 (37)






    「スレッタ・マーキュリー、先に言っておくよ。この勝負、勝利するには50以上出目に差をつけて上回る必要がある。頑張って」


    「へ…?え、ええええ~~~!!?」

  • 67二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:24:59

    つよい圧倒的につよい(確信)

  • 68二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:28:51

    勝ったな風呂食べてくるわ

  • 69二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:34:35

    「…そのなぞなぞの答えは、『おうち』です!」

     それまでの問題が何だったのかと思うくらい、最後のクイズ…もとい、なぞなぞは簡単だった。

     ニカはちょっとびっくりした顔でスレッタを見てから、つまらなさそうに天井を見上げる。

    「…あーあ。スレッタなら、ここに居てくれると思ったのに」

    「そんなわけないだろ。ほら、スレッタの栞を返してよ」

     とうとう先輩だろうと敬意なんていらないって思ったらしいグエルが、タメ口でニカを急かす。ニカは苦笑して栞を取り出すと、スレッタの手に乗せた。

    「ニカさん、どうして私にこんな意地悪したんですか?」

    「意地悪?本当に意地悪かな」

    「…どういう意味よ。どう考えたって意地悪じゃない!」

     むかむかして大きな声が出てしまった。ニカは「なんにも知らないんだね」って笑って、それが余計にむかつく!

    「だって、スレッタ。本当は帰るのが嫌なんだよね?」

     そんなわけないでしょ!…と思ったけど、スレッタの返事がない。

     どうしたのかな?あまりにもわけわかんない言葉すぎて、固まっちゃってる?

     心配になってスレッタの顔を見て、ぞっとした。

     ない。なんにも。いつも好奇心いっぱいできらきらの目が、空っぽの穴みたい。にこにこって丸くなってる唇も真一文字。怖くて、びっくりして、何の言葉も出て来なくて。

    「ほらね。私とここにいればよかったのに」

    「…それでも、私は」

     スレッタの唇が、ふにゃりと緩んだ。そこにあるのは、よく知ってる笑顔だ。

    「ミオミオや、皆と…一緒に帰る時間、好きだから」

    「…そっか。そうだね。お友達と帰るの、楽しいよね」

     ニカは…すごく寂しそうに笑って、私たちが図書室から出て行くのを見送っていた。…どうして、ニカはお家に帰らないんだろう。

     皆きっと不思議に思ってたけど、誰も言葉にしなかった。

     何だか、これ以上知っちゃいけないような気がしたから。


  • 70二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:37:37

    これ…可愛い冒険譚じゃなくて学校の階段とかぬーべー系ガチホラーじゃな?

  • 71二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:42:05

    「図書室を出て廊下を歩くシーンの前に各自判定を。

     それとスレッタ・マーキュリーは『??』の成功率を+20してくれるかな」


    「わかりました!まさか勝てるとは…!すごく嬉しいです!」

    スレッタ??(46~):dice1d100=95 (95)


    「…あっちの私はともかく、こっちの私としてはニカを連れて帰れないのが心苦しい…」

    ミオリネ??(41~):dice1d100=36 (36)


    「冒険隊に欠員が出なかっただけよしとしよう」

    グエル??(81~):dice1d100=15 (15)


    「…ロストしないとは何だったのか。負けたらロストしてたよな…?」

    ラウダ??(71~):dice1d100=4 (4)


    「しないよ」


    「しないの?…ならいいんだけど。この薄氷の上を進んでるような感覚、何なんだろうな…」

    エラン??(16~):dice1d100=91 (91)

  • 72二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:52:08

    ラウダファンブル多すぎない?お払いする?
    まあこの判定はいいのか悪いのか微妙だけど…

  • 73二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 19:56:54

    ~廊下~


    「図書室にもなかったね…」

     あの子のことには触れず、鍵探しのことだけ話す。グエルは深刻な顔をして頷いた後、「俺たちの家にいればいいよ」って言ってくれる。

     ラウダは「他に探してないとこないの?」って言うけど、そんなのいくらでも思いつくし、だからってどこも違うような気がする。…盗まれた?いつもポケットに入れてるのに…。

    「鍵を入れる袋はあるのに、鍵だけ落とすのも変だよね」

     袋に穴は開いてないし、中身が出ないようしっかり閉じてたはずなのに。

    「ねえ」

     三人で考え込んでいると、エランが声を掛けて来た。その隣ではスレッタが、ちょっとほっとしたみたいな顔をしてる。

    「ミオリネには悪いんだけど…もう帰ろっか。今、帰った方がいいような気がする」

    「え?…うーん…そうだよね。これ以上探したって…」

    「…それだけじゃないけど」

    「私も、それがいいかなって…ミオミオ、明日も頑張って探そうね!」

    「うん」

     正直、これ以上探していても見つかる気なんて全然しなかったし。ここで切り上げるのが一番って気がした。

    「やあ皆。今までずっと図書室で鍵を探してたのかな?」

    「あ、先生!」

    「皆のシャディク先生だよ。…その顔を見るに、見つからなかったか。うーん、どこに落としたんだろうね?」

     首を傾げるシャディク先生。その顔を見て、私は大事なことを思い出した。

    「あ!あの、ごめんなさい!図書室の鍵、掛けるの忘れちゃった…」

     そもそもあの子が…あれ?誰だったかな…?とにかく、中等部の女の子がいたから、鍵を掛けていいのか分からなかったんだけど。

     その話をするとシャディク先生は「今日は勝手に居残りしてる子が多いなあ」とぼやいて、私から図書室をの鍵を受け取った。

    「図書室は俺が見てくるよ。皆は…今日はもう帰るのかな?気を付けてね。外も暗いし、先生の仕事が終わるまで待てるなら送って行くけど…」

    「大丈夫です!ありがとうございます」

     先生だってこんな時間まで残って忙しいのに、迷惑掛けちゃダメだ。皆で帰るから大丈夫、と言うと納得してくれたみたいだった。

    「…あの、先生!」

     図書室へ向かおうとした先生の背中に、スレッタが声を掛けた。


  • 74二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 20:08:42

    「ん?」

     振り返った先生に、スレッタはちょっと悩んだ後、決心したみたいに口を開いた。

    「じ、実は…変なことが起きてる気がして。…神社、祠?とにかくその、校舎裏の…そこに行ってから、なんですけど」

    「…あー!あの祠!行ったの?どうして?」

     あの場所のこと、先生も知ってたんだ…。まあ、それはそうか。だって先生だもんね。

    「ミオミオの鍵、見つからないから…神様に『お願い』しようと思って」

    「そっかそっか。こんなかわいい生徒たちが一生懸命『お願い』したんだから、神様も聞いてくれたらいいのにね」

     ちょっと冗談っぽくそう言った先生に、私とグエルはくすっと笑って、ラウダは大真面目に頷いてた。

     でも、スレッタは真剣な顔のまま。

    「…先生。本当に、あの祠に行ってから、何か変なんです」

     エランがいつもより低い声でそう言って、先生も真面目な顔になる。

    「変って例えば?」

    「ラウダが…うまく、思い出せないけど。怖い目に遭ったり。変な子に、変な勝負を挑まれたり…」

     そういえばそうだった。こんなに衝撃的なこと、どうして忘れちゃってたんだろう。

    「あと、廊下を歩いてると時々出会う子もいて!その子はとっても親切で、クールな感じで、それから、えーと…そうそう!ミサンガを探してるって言ってたような…」

     スレッタの続けた言葉に先生がきょとんとして、それから。

    「…そっかぁ。今時ミサンガなんて珍しい気がするな。先生が小学生の頃は流行ってたんだけど」

     なんだか、寂しそうに笑った。


     「そんなに気になるなら、後で祠も見ておくよ」って言って、先生は図書室へ見回りに行ってしまった。

     私たちは、いまいち先生に伝えたかったことが伝わらなかった気がして、皆なんとなくとぼとぼ歩いて。

     …でも。ようやくお家に帰れるんだって、私は心のどこかでほっとしていた。



    次のぼうけんへ続く

  • 75二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 20:10:46

    「エピソード3終了。次のエピソードまで各自休憩…の前に、幕間を発生させるかどうかの判定をしておこう」


    ミオリネ??(41~):dice1d100=19 (19)

    グエル??(81~):dice1d100=21 (21)

    スレッタ??(41~):dice1d100=19 (19)

    エラン??(16~):dice1d100=10 (10)

    ラウダ??(71~):dice1d100=46 (46)

  • 76二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 20:12:08

    また全員失敗してる…

  • 77二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 20:13:43

    誰の幕間も!発生しないのである!

  • 78二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 20:15:21

    「次の幕間は発生しない。では改めて休憩を。そして一つ告知しておくと、エンドの分岐が一つ消滅した」


    「ま…待って?」


    「ど、どど、どんなエンディング…だったんですか…?」


    「いいのか?悪いのか?ロストは!?」


    「………これが『オカルト』的な判定なら、発生しないのはいいことでは?」


    「ただ…幕間の度に登場してる奴がいるんだよね~…どうにもそれが気になるっていうか…」


    「………あ、これ…もしかして…アッ…」


    「…?全員、何故そんな顔をするのかな…?」

  • 79二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 21:44:37

    「…幕間、ないならないで解説だけしておいてもいいんじゃないかな?」


    「そうだね。幕間が発生していた場合、タイトルは『お家へ帰ろう』。

     再び『氷の君』に出会った冒険隊は、玄関へ続く道の途中でうずくまっている少女に出会う。

     彼女から誰か一人が指名され、その人物がおんぶして玄関まで運ぶことになっていたよ。

     運動技能で判定し、失敗していた場合は『氷の君』が代わって対応する。

     その場合、「僕たちはゆっくり歩いて行くから、先に行っておいて」と言われ、冒険隊だけで進むことになる」


    「成功の場合はどうなったの?」


    「玄関について、低学年の靴箱まで少女を運ぶと「これで帰れる。ありがと」と言って少女の姿は光に溶け消えてしまう」


    「…そっか。ちなみにその子ってどんな姿なのかな?」


    「こんな姿だよ」

  • 80二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 21:47:41

    リアルで声出た

  • 81二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 21:59:33

    ぼうけん そのよん

    『圧倒!グラウンドの王者』


    ~校庭~


    「んぅ…」

    「ラウダ、今日はたくさん歩いて疲れたな。ほら、背中に乗れよ」

    「んー…だいじょうぶ、あるける…でも、手、つないでほしいな」

    「もちろんいいよ」

     玄関で靴を履き替えて、校庭を突っ切って校門を目指す。ラウダは歩き通しで疲れちゃったみたいでふらふらしてて、グエルはそんなラウダのちっちゃな手をしっかり掴まえると、すっごくやさしい顔をして笑ってた。お兄ちゃんだなぁ。

    「ねえ、スレッタ…」

    「ん?明日は絶対、鍵を見つけようね!」

    「…うん」

     図書室でのこと…詳しく聞きたかったけど、なんだか聞ける雰囲気じゃない。私も皆も疲れてるっていうのもあるし、聞くならもっとちゃんと、二人っきりで真面目な話ができる時の方がいい気がした。

    「ミオリネ、スレッタ」

     グエルの隣を歩いていたエランが、ちょっとだけスピードを落として、後ろを歩いていた私たちに並ぶ。前の二人に聞こえないよう、気を遣ってるみたいに小さな声だった。

    「今日、いろいろあったね。…二人は、何か気付いたこと、ない?」

    「え?えーと…」

     スレッタが困った顔をする。私も多分同じ顔。…気付いたこと、ないとは言えない。でも、口にしていいのか迷ってるような、そんな気持ち。

     どう答えようかなって悩んでいると、前から大きな声が聞こえてそれどころじゃなくなった。

    「兄さん、早く出ようよ!どうしちゃったの!?」


    ミオリネ??(41~):dice1d100=41 (41)

    グエル??(81~):dice1d100=57 (57)

    スレッタ??(41~):dice1d100=46 (46)

    エラン??(16~):dice1d100=33 (33)

    ラウダ??(71~):dice1d100=87 (87)


  • 82二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:01:31

    「俺以外全員成功してるんだが!?」


    「疎外感すごそう(笑)」


    「お前ほどじゃないと思うけどな」


    「   」


    「ラウダ、さすがにやめてあげなさいよ…」

  • 83二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:07:28

    シャディク泣いちゃうよぉ!

  • 84二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:14:16

     ――あ、だめだ、これ。

    「ミオリネ?」

     グエルが首を傾げて私を見てる。きっと、変な顔をしてるんだろう。

     先に門の向こう――シャディク先生が気を利かせてくれたみたいで、私たちが通れる分の幅は開いている――に出ていたラウダが、顔を青くしてグエルの手を掴んだ。そのまま門の向こう側に引っ張ろうとすると、ばちん!と何かに弾かれたみたいにグエルの手だけ押し戻される。

    「いてて」

    「兄さん…兄さん!早くこっちに来て!そっちにいちゃだめ!」

    「俺だって外に出たいんだけど…」

    「グエルさん、ふざけてないで行きましょう!ほら、ミオミオも!」

    「う、うん」

     スレッタもラウダも、私と同じで何か嫌な感じがしてるみたい。顔色の悪いスレッタに手を引かれ、私も門の向こうに出ようとして。

    「きゃっ」

    「え…ミオミオ?」

     ばちん!って、グエルと同じように弾かれて、私だけが学校の側に取り残された。学校の外に出たスレッタが、きょとんとして私を見てる。

    「…グエル、ミオリネ。僕と手を繋いで行ってみよう」

    「わ、わかった」

    「いいけど…何だよこれ。バリア?だったらすっごいな」

     どうしてそこでわくわくするのよこのバカ!って言ってやりたいのを我慢する。だってグエル、怖がりだし。あんまり怖がらせるようなことを言わず、このまま何も知らないままでお家に帰らせてあげたい。

     エランが差し出した手を握って、三人一緒に門の向こうに出ようとして――やっぱり、私とグエルはダメだった。エランが困り果てた顔でグエルを見て、私を見て、もう一度グエルを見る。

     どうしたらいいんだろう。私、鍵も失くしちゃって、学校からも出れなくて。もうお家に帰れないの?…最悪の想像に泣きそうになっていると、背後から声が聞こえた。

    「あれ?あれあれ~?こんなところで何してるのかな?」

     振り返ると、そこにいたのは。

    「『だいじなもの』でも失くしちゃった?」

     楽しそうに笑ってる、女の子。なのに、どうしてだろう。

     ニカの時もそうだったけど、この子はそれ以上。逃げ出したくて、足が震えちゃうくらい…こわい。


  • 85二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:32:13

    「学校から出ようとしても出られなくて困ってたんだけど…お前もこんな時間まで残って何してんの?一人じゃ危ないし一緒に帰る?」

    「あはは!門から出れなくて帰れないのに何言ってんの?」

    「うっ…」

     グエルだけは普通に女の子と会話してるけど、それ以外は全員、明らかに警戒したり怖がったりしていた。

    「グエル、その子から離れて。こっち来て」

    「だから、行きたくても行けないんだって」

     エランは焦って早口になってるけど、グエルはいまいち危機感がなさそう。それどころか女の子に歩み寄って、普通に会話してる。

    「それで、お前…お前って呼ぶのも何だな。名前は?」

    「わかんない!」

    「え?」

    「だから好きに呼んでいいよ。例えば…『クイーン』とか!」

    「何だそれ」

    「アタシ、かけっこクイーンなんだよね。すっごい速いんだから」

    「俺だって負けてないし」

    「へえ~?じゃあ勝負する?」

    「別に、」

     いいけど、って続きそうな気配に、残り全員で待ったをかける。一斉に名前を呼ばれたグエルはすっごく驚いた顔で固まって、女の子はつまらなさそうな顔をした。

    「なんで邪魔すんのよ」

     …この子、やっぱり。ニカや音楽室の女の子と同じだ。『勝負』をして、こっちが負けたらきっと『お願い』をしてくるつもり…!

    「ねえグエル、この子に構っちゃだめ。出られないなら一旦戻って、シャディク先生に話してみようよ」

    「…そうだな。俺たちじゃどうしようもないし。でも構っちゃだめって、なんでそんなひどいこと言うんだよ?」

     あんたにはわからないだろうけど、この子はどう考えてもやばいの!って言えればいいんだけど、にこにこしてる本人を前にしてそう言い切る勇気が私にはなかった。

     戻るなら一緒に行くよ、って外に出てた皆も戻ってきたところで、不機嫌そうに黙ってた女の子が声を掛けて来た。

    「ねえ。『だいじなもの』を返して欲しいなら返してあげよっか?」


  • 86二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:45:17

     別に低い声じゃないし、大きい声でもない。なのにその声を聞いて、びくっと体が震えた。

    「返すって…誰に何を返すんだ?」

     真っ先に振り向いたグエルが尋ねると、女の子がにこにこ上機嫌そうな顔になる。

    「さあ、誰のだろ?でも何となく、アンタのもの…って気がするんだよね」

    「俺の?」

    「グエル、駄目だ、相手しないで…!」

     エランの焦った声も間に合わず、女の子が手を掲げる。そこにはぴかぴかの『スニーカー』があった。

     …知ってる。あれはグエルが「大事な時にだけ履くんだ」って言ってたスニーカー。負けられない勝負のある時とか、楽しみにしてたお出かけの日とか。そんな時に何度か履いてるのを見た。

    「…な、なんで?家にあるはずなのに」

    「き、きっと偽物です!放っておいて行きましょう、グエルさん!」

     スレッタがぐいぐいグエルの腕を引っ張るけど、その逆の腕を女の子が掴んだ。

    「アンタので間違いないでしょ?細かい傷とか、汚れとか、ぜーんぶ見覚えあるよね?」

    「…うん」

     グエルが頷き、女の子の手からスニーカーを受け取ろうとして避けられる。

    「どうして避けるんだよ」

    「意地悪するなよ!」

     きゃん、と噛みついたラウダを一瞬だけ冷たい目で見て、女の子がグエルに笑いかける。

    「だって、そういう『お約束』なんだもん。アタシと勝負して勝てたら返してあげる。でも、負けたら…『お願い』、聞いてもらおっかな~」

    「どんな勝負?」

     何の警戒もなく問い返すグエルに、頭を抱えたくなる。あんた今まで散々お歌の勝負やクイズ勝負を見てたでしょ!自分が当事者になったら気付かない詐欺の被害者か!?

    「それはもちろん。アタシたち二人の得意な…かけっこで」


  • 87二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:53:12

    不穏な空気を察知!

  • 88二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:56:15

    『だいじなもの』を返してもらってないと学校から出られない?

  • 89二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:56:43

    「かけっこなら絶対負けないし、いいよ」

    「グエル…!」

    「だってさ、勝たないと取り返せないんだろ?じゃあやるしかないって」

     どうしてそう思い切りが良すぎるのかな!?どうにかして止めなきゃ、と焦る私の肩にエランが手を置いた。

    「…待って、ミオリネ」

    「エラン?でも、このままじゃグエルが…」

    「考えてたんだ。…今まで会った子、全員がやたらと『だいじなもの』を強調してたよね。で、学校の外に出られたのは…『だいじなもの』を取り戻したラウダとスレッタ。それと…」

     エランがポケットを探って、何かを見せてくれる。

    「なに?これ」

     暗くてよく見えないけど、手のひらに収まるサイズの何か。形は…長方形かな?

    「『お守り』。これが僕の『だいじなもの』だよ。つまり僕は『だいじなもの』を失くしてない。…取り戻した二人と、失くしてない僕はそれに出られた。

     外に出られなかったグエルは『だいじなもの』を取られてるし、ミオリネも鍵を失くしたよね?」

    「あ…!」

     つまり、そういうこと?

    「なーんだ、気付いちゃった?そういうことだよ。『だいじなもの』を取り戻さないと、ここからは出られない。

     取り戻すには勝負に勝たなきゃいけない。それが『お約束』」

     女の子がエランの推理を肯定して、グエルに向き直る。

    「で、勝負に負けたら『お願い』を聞くの!私のお願いは…どうせ叶っちゃうし、私が勝ってから教えてあげるよ」

    「…勝つのは俺だ」

    「走ってみればわかるよ。じゃあ、位置について。よーい…ドン!」


  • 90二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:58:51

    あれ?これじゃミオリネ帰れない…?

  • 91二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 22:59:31

    「これからダイスを振ってもらうけど…グエル・ジェターク」


    「何だ?」


    「…頑張ってね」


    「!?」


    「具体的には相手がファンブル、君がクリティカルでもない限り勝てないよ」


    「お…おまえはなにをいっているんだ」



    グエル運動(16~?):dice1d100=13 (13)

    女の子運動(??):dice1d100=73 (73)

  • 92二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:04:02

    わああグエルー!転んじゃった?

  • 93二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:08:00

     決着はあっけなかった。

     本当に、あっけなくて。私たち全員、言葉もないまま、それを見ていた。

    「アタシの勝ちぃ!」

     女の子がぴょんぴょん飛び跳ねて喜んでる。グエルは…。…グエル?

    「………」

     いつもなら、かけっこで負ければもっと悔しそうな顔をするのに。次は絶対勝つからな!なんて、強気なこと言って、本当に勝っちゃうのに。

     今のグエルは、どうしてだろう。

     そんなわけないのに。

    「…どーせ勝負するなら、もっと全力で走ってくれてもよかったんだけどね?」

     負けちゃったことに、安心してるみたいに見えるなんて。そんなの嘘だよね?

    「でもでも、それだけ私の『お願い』、聞いていいって思ってくれてたんだ?

     じゃあ教えてあげる!私はね、ずっと一緒にいてほしい!こんな広い校庭に一人なんて寂しいし!」

    「だ…だめ!そんなの絶対だめ!兄さんは僕と帰るんだから!」

     我慢しきれなかったのか、ぽろぽろ涙を流しながらラウダがグエルがしがみつく。グエルは今の今までラウダの存在を忘れてたみたいに驚いた顔をして、それからラウダの頭を撫でて、すごく悲しそうな顔をした。

    「『兄さん』?」

     一方、女の子は。

     きらきらっと目を輝かせて、グエルのことを見てた。


  • 94二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:15:13

    スレッタの場合を鑑みると帰りたくないって気持ちがあると難易度が高くなるのか…?

  • 95二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:17:54

    「じゃあ…『お兄ちゃん』なんだ?…へーえ!そうなんだぁ!」

     女の子が目をきらきらさせたまま、ぎゅうっとグエルに抱き着く。その拍子にラウダが突き飛ばされて、何とかスレッタが受け止めたから怪我せずに済んだ。

    「やっぱりさっきのやめた!『お願い』、アタシのお兄ちゃんになってよ!」

    「俺が、お前の…?」

    「そう!欲しかったんだぁ、アタシのこと大事にしてくれて、やさしくしてくれる家族!

     それもお兄ちゃんかお姉ちゃんならサイコー!って!」

     グエルにぴったりくっついて、すりすり、頬を寄せたりして。女の子はうっとりしてる。グエルは困惑してるけど、拒否するような素振りもなかった。

    「違う!兄さんは僕の…」

    「違わない。勝ったのはアタシ。だからアタシの『お願い』を聞くの」

     ラウダの言葉を遮って、女の子がぴしゃりと言う。冷たい声に怯んだラウダには興味何てなくなっちゃったみたいで、グエルに向き直ってもう一度強烈なハグをしていた。

    「…そんな…」

     どうすればいいのか分からない。だって、今まで一度も負けてこなかったから。

     グエルを取り戻すには、どうすればいいの?

    「…一目見て、分かってたんだ。お兄ちゃんは、アタシとここにいてくれるって。

     だって、本当は…帰りたくないもんね?」

     女の子がそう言った、次の瞬間。

     二人の姿は消えていた。


  • 96二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:30:27

    家族のことが大好きだ。

              「本当に?」

    ラウダは可愛いし、父さんのことは尊敬してる。

    母さんだって料理上手で、やさしくて。

              「それって本当に、お兄ちゃんに対してやさしいの?」

    父さんはすごい人なんだ!

    仕事もできるし、家族で出掛ける時だって頼りになるし。

              「だから『俺と同じようになれ』って厳しい?」

    …頑張ったら褒めてくれる。するとすごく嬉しくて、

              「結果が出せなくても、頑張ったら褒めてくれる?」

    全部俺のためにやってるんだ。

    だから俺は感謝しないといけなくて、

              「つらいよね」

    ちがう、すき、大好きだ、大好き、好き、すき、すき…

              「殴られると痛いよね。怒鳴られると苦しいよね」

    あ、…ごめんなさい、ごめんなさい…!

    ちゃんとするから、勉強もがんばる、一番になるから、

              「ならなくていいよ」

    だからもう、…え?

              「一番じゃなくてもいいよ。『お兄ちゃん』でいてくれるだけで大好き」

    ……………

              「だから、アタシのことも大好きになってね。お兄ちゃん」



    次のぼうけんへ続く

  • 97二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:34:52

    「エピソード4終了。次のエピソードまで各自休憩を。それとグエル・ジェタークは『??』の成功率を+30しておいてほしい」


    「   」


    「   」


    「   」


    「だれもろすとしないっていったのに(震え声)」


    「…まあ、技能成功率が上がってるあたりロストしてない気もするけどね?」


    「………うーん…どうなるんだろうな、次のエピソード…」


    「ちなみにこれ以降、幕間は発生しない。判定の必要はないよ」

  • 98二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:39:31

    だれもろすとしない(当事者の意識の上では)の可能性が浮上してきたんですがそれは

  • 99二次元好きの匿名さん23/09/05(灍) 23:47:41

    『帰りたくない』と思ってしまったらもう戻れないのかな…?

  • 100二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 06:27:19

    繝懊え繧ア繝ウ 繧ス繝弱ざ

    『邨カ蟇セ縺九∴縺励※縺ゅ£縺ェ縺』


    ~玄関~


    「連れて行かれてしまったんだね」

     グエルはいなくなって、女の子もいなくなって、私は学校から出られないままで。

     シャディク先生に相談しようって皆で校舎に戻って来たら、氷の君が私たちを待ってたみたいに靴箱の先で立っていた。

    「何か知ってるの!?」

    「教えて!このままだとグエルが…!」

     私とエランは必死になって氷の君に縋りついて、スレッタは泣きじゃくってうまく言葉の出てこないラウダの背中を撫でていた。

    「…『勝負』に負けてしまったなら、『勝負』に勝って取り戻す…というのも一つの方法だよ」

    「それは…」

     思わず俯いた視界の端で、エランが唇を噛んでいるのが見えた。あの女の子の速さはこの目で見た。私たちじゃ勝てっこない。…それこそ、全力のグエルが勝てるかどうか…って相手なのに。

    「もしくは、彼女の『だいじなもの』を見つけてあげて」

    「え…?」

    「君たちが放課後に出会ったのは皆、何かしらの『心残り』があって帰り道が分からないか、『だいじなもの』を失くして帰ることのできない子たちだから」

     彼女も同じだよ。そう言った氷の君は、私たちが靴を履き替えるのも待たずに歩き出した。

    「ま、待って!どこに行くの?」

     慌てて追いかけようとしたけど、氷の君は立ち止まらない。

    「…僕は僕で、彼女の『だいじなもの』が何なのか心当たりを探ってみる。

     でも、君たちはついて来ちゃいけない。他に何か気になる場所や…教えてくれそうな人がいるなら、当たってみて」

     そのまま、氷の君の姿は廊下の奥の暗闇に溶けていって見えなくなる。見捨てられたような気分になって、泣きたくなった。でも、立ち尽くす私の肩をエランが叩いて「あの子を信じて。僕たちも僕たちのできることをしよう」って言うから、黙って頷いた。


  • 101二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 06:49:33

     「私たちにできることを」って意気込んだのはよかったけど、そんなの一つも思いつかなくて、早速足踏みしてしまった。

     ラウダはずっと泣いているし。エランは難しい顔をしてるし。スレッタは…

    「…そうだ!」

     って急に顔を上げると、ラウダと繋いだままの手をぶんぶん振り回した。

    「ニカさんに話を聞きませんか!?」

     怖い思いをしたのに、わざわざ?って思うけど、もうニカからは『だいじなもの』を取り戻したし…勝負しなきゃいいのかな?

    「…わかった。私は賛成」

    「危険かもしれないよ?」

    「氷の君だってあの女の子のこと知ってるみたいだったし。ニカだって何か知ってるかも」

     …そういえば、氷の君。あの子は私たちに『勝負』を挑んだり、『お願い』をしてくることはなかったけど…何のためにここにいるんだろう?

     って、今はそんなことよりグエルが先!渋るエランを説得して、私たちは図書室へ急いだ。…廊下は走っちゃ駄目なんて言ってられる状況じゃない。シャディク先生も許してくれるはず!と、思っていたら。

    「廊下を走ってるのは誰かな?…って、そんな場合じゃないか」

     噂をすればなんとやら。本当にシャディク先生とばったり出会った。先生はグエルの姿がないことにすぐ気付いて、ラウダがずっと泣いてることにも、私たちみんながつらい顔をしてることにも気付いたみたいで。

     「行き先は?」と尋ねて答えを聞くと、一つ頷いてからラウダを抱っこして「じゃあ急ごうか」って走り出した。

    「…図書室に行ったけど、誰もいなくてね。先生に見つかる前に帰ったのかと思ったけど、皆の話を思い出して…祠に行ってみたんだ」

    「それで、先生も怖い目に遭ったんですか?」

    「皆ほどじゃないだろうけどね」

     苦笑する先生がどんな目に遭ったのかは気になるけど、その話は今じゃなくてもいい。私たちはとにかく知ってることを全部話して、グエルを助けるための糸口にしたかった。

    「そうか。その不思議な男の子には、後でちゃんとお礼を言わないとね」

    「あ、そうだ。それにその子はね…」

     すっかり見慣れて疑問も持たなくなっていたけど、エランとそっくり同じ顔、同じ名前なんて、不思議だよね?だから先生にも伝えたかったけど、それより先に図書室についてしまって、言い出す機会を失くしてしまった。


  • 102二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 07:03:50

    ~図書室~


    「あれっ?スレッタ、他の子たちに…だ、誰?どうして戻ってきたの?」

     図書室に入るとシャディク先生が消したって言ってたはずの電気がついていて、ニカが椅子に座って本を読んでいた。

     私たちに気付くとぱっと顔を上げて、目を丸くして驚いてる。不思議ともう怖いとは思わなかった。

    「あの、ニカさん!」

    「どうしたの、スレッタ。『だいじなもの』は返したよね?他に何か忘れ物でもしちゃったの?」

    「…はい。だいじなお友達を、置いて帰るなんてできません」

     スレッタの言葉にニカが息を詰まらせて、悲しそうに目を伏せた。

    「…誰かに取られちゃったのかな」

    「校庭にいた女の子に、グエルが…」

     エランが悔しそうに言うと、ニカは「あちゃー…」と片手で顔を覆った。

    「その反応、君は何か知ってるのかな?…自己紹介がまだだったね。俺はシャディク。この子たちの先生だよ」

    「先生がいるのなんて初めて見た。あなたも何か『お願い』したの?」

    「え?」

     ニカの質問に、先生がきょとんとする。それから何か答えようとしたけど、ラウダが涙交じりに「知ってるなら早く教えて」って言う方が先だった。

     目を泣き腫らしたラウダを見て、ニカもそれどころじゃないってわかったみたい。ちょっぴり好奇心を覗かせていた表情を引き締めた。

    「…私もここに来てすぐ…図書室から出られなくなる前に、あの子に声を掛けられたよ。かけっこなんて勝てそうもないから逃げたけど…」

     …何か分かると思ったのに、それじゃ何もわからなかったのと同じだ。落ち込んで黙り込む私たちを見て、ニカが慌てたみたいに付け加える。

    「あのね!私はあの子のこと、あんまり知らないけど…音楽室のあの子はどうかな?」

    「…あの、ちょっと冷たい子?」

    「そうそう。あの子にも会ったことがあるんだけど、ずっと校庭の方を見てたでしょ?暗くて何も見えないのに、何か探すみたいに…もしかすると、校庭の女の子を探してるのかもってずっと思ってて」

     やっと誰かに言えたぁ、ってすっきりしたみたいにニカが笑う。シャディク先生はちょっと考えた後で「他に心当たりもないなら、とにかく音楽室に行ってみようか」って言って、皆が頷いた。


  • 103二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 07:17:40

    「ニカさん」

     皆が足早に入口へ向かう中で、スレッタが振り返ってニカに向き直る。

    「どうしたの?」

     早く行きなよ、って笑って送り出そうとするニカに、スレッタはすぅっと息を吸い込んで、それから。

    「ありがとうございます!」

     って思いっきり頭を下げた。どさどさーっ!ちりんちりん、って音がする。頭を下げる勢いが良すぎて、ランドセルの蓋が開いて中身が出ちゃったみたいだった。

     「何やってんの!」って言いながら駆け寄って、中身を戻すのを手伝う。ニカも苦笑いして手伝ってくれていたけど、ふと手を止めた。

    「さっきの音…」

    「何?ぼーっとしないで!」

    「あ、ごめんね。ただ、さっきの…ちりん、って音。何だったのかなって」

    「ああ!?鈴まで落としちゃった…!?どこかな、どこに…」

     「先輩から借りたものなのに~!」って涙目になるスレッタ。私もさぁっと血の気が引くのを感じた。だってあれ、きっとチュチュ先輩の『だいじなもの』だ。失くしていいはずない!

    「…あ」

     慌てる私たちをよそに、ニカが何かを拾って、軽く手を揺らす。ちりん、って音がして視線を向けると、ニカの手の中に鈴があった。

    「これ……あ、ああ…そっか…そうだったんだ」

     ぎゅうっと鈴を抱き締めて、ニカが俯く。何してんのって言おうとしたけど、床にぽたぽた水滴が落ちて、何も言えなくなった。

    「思い出した、私の『だいじなもの』…それに、あの子の名前…」

     ニカは暫くそうしていたけど、スレッタが遠慮がちに声を掛けるとぱっと顔を上げて、カウンターに向かっていった。それから忘れ物ボックスを探って、ちりん、って音をさせながら手を差し出して来る。

     そこにはチュチュ先輩のものとよく似た、でも入っているラインの色が青じゃなくて桃色の鈴があった。

    「これ、チュチュに渡して。そしたら分かってくれるから。…だからこっちの鈴は、私にくれないかな。『お願い』」

     私とスレッタは顔を見合わせて、ちょっと悩んで…それから、同時に頷いた。人から借りたものを勝手にあげるなんていけないはずだけど、そうするのが正しいような気がしたから。

    「ありがとう」

     ニカは、今までで一番の笑顔でそう言って、それから…ふっと、明かりが消えるみたいに。瞬き一つする間に、図書室からいなくなっていた。


  • 104二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 07:25:46

     私とスレッタが廊下に出ると、ラウダが「おそいよ!」って怒った。その怒りももっともだから反論はできなかったけど、ニカにとっては…それに、チュチュ先輩にとっても、必要なことだった気がする。

     シャディク先生とエランは私たちのやり取りを見ていたのか、特に責めることもせず、ただ「急ごう」って言って走り出した。もちろん、シャディク先生は皆より小さいラウダを抱っこして。

     私はちょっと遅れがちなスレッタと手を繋いで、エランは真っ直ぐ前を見て。音楽室まで廊下を走って、階段を駆け上がって…

    「…まだ帰ってなかったんですか」

     扉を開けた私たちを歓迎したのは、やっぱりあの女の子の冷たい目線と声だった。


  • 105二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 14:56:40

    チュチュ先輩から頑なに鈴受け取ってなかったらニカは『だいじなもの』を思い出せなかったかもしれないのか…

  • 106二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 18:36:11

    〜音楽室〜


     私たちが事情を話すのを聞いて、女の子は窓の外を見た。真っ暗で何も見えない校庭に、何かを探すみたいに。

    「…ソフィ」

    「ソフィ?」

    「あの子の名前です。…私自身の名前は、もう忘れてしまったけど」

     そう言って、女の子が右の手首を左手で撫でる。そこには二色の糸で編まれたミサンガがあった。

    「………それは、ソフィって子とお揃い?」

     シャディク先生はじっとミサンガを見ていたかと思うと、女の子にそう尋ねる。女の子はこくりと頷いた。

    「私、怪我をしてしまって。大好きな絵がもう描けないんだって泣いてたら、ソフィが「大丈夫だよ」って。

     それから暫くして、奇跡的に怪我が回復して。…でも、ソフィは帰ってこなかった」

     女の子が俯いて、ぽつぽつと話すのを、私たち全員が静かに聞いていた。

    「ソフィがいてくれれば、怪我なんて治らなくても良かったのに」

     声が震えていて、泣きそうなんだってわかった。もしかしたらもう泣いてるのかもしれない。

    「…そんな時に、神様の噂を聞いたんです。なんでも一つだけ、『お願い』を聞いてくれるって。

     だから私は祠に行って、『ソフィを返してください』ってお願いして…」

    「…それで、ソフィには会えた?」

    「………いいえ」

     シャディク先生の問いかけに、女の子はとっても苦しそうな、悲しそうな、そして怒ってるみたいな…そんな声で答えた。

    「『あいつ』のせいで…!」


  • 107二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 18:50:51

    「『あいつ』…?」

     誰のことだかまるで分からなくて聞き返すと、女の子がごしごし目元を擦って顔を上げた。

    「この場所で、一番強い存在…。『お約束』を決めて、私たちの行動を制限して、いつの間にか『だいじなもの』を、記憶を奪って…」

     何度も右の手首につけたミサンガを撫でて、女の子は悔しそうに顔を歪めている。

    「ソフィがどこにいるかは知ってました。だから、校庭に向かおうとして…すると『あいつ』がやって来るんです。

     それで、『かけっこ』や『クイズ』を挑んできて…この勝負を受けたらきっと負けて、『だいじなもの』を奪われるって気付いたから、私は必死になって逃げました。

     学校中を逃げ回っていて気付いたんです。音楽室なら『お歌』の勝負しか仕掛けてこないって。私、『お歌』でなら負けないから、ここにいて。隙を見てソフィのところへ行こうと思うのに、絶対に『あいつ』は邪魔しに来て…

     何度もそうしているうちに、長い時間が経って、とうとう自分の名前も分からなくなりました」

    「…でも、ソフィのことだけは忘れなかったんだ。すごいな、君は。本当にお友達のことが大事なんだね」

     シャディク先生の言葉に、女の子はちょっと目を見開いて、それから、ほんの一瞬だけ笑った気がした。

    「私たち、つらい時もずっと一緒だったから…ソフィのことを考えて、長い間、ずっと耐えてて…」

    「なら、ソフィにも君のことを思い出させてあげたいね。きっとそれが彼女にとっても救いになる」

     女の子はこくんと頷いて、それからちょっと何かを考えて…

    「…あの。この『ミサンガ』、ソフィに届けてくれませんか」

     そう言って、右手から『ミサンガ』を外した。


    ミオリネ??(36~):dice1d100=78 (78)

    スレッタ??(36~):dice1d100=70 (70)

    エラン??(16~):dice1d100=63 (63)

    ラウダ??(66~):dice1d100=32 (32)

    シャディク??(??):dice1d100=3 (3)


  • 108二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:03:11

    サイキョーなシャディク先生…?

  • 109二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:04:49

    「ねえ、待って。それって大丈夫なの?」

     ミサンガを渡そうとしていた女の子が、ぴくっと眉を動かした。

     私に続いて、スレッタとエランも口を開く。

    「それ、『だいじなもの』…なんですよね。私たちに渡してしまったら、あなたはどうなるんですか?」

    「『だいじなもの』がないと帰れなくなるって聞いたけど。それ以外にも何かあるんじゃないの?」

     シャディク先生が顎に手を当て何かを考え始め、ラウダはおろおろと皆の顔を見回している。

     女の子はちょっと視線をさまよわせてから、諦めたみたいに溜息を一つ。

    「これを渡して、あなたたちが出て行った後は…きっと、『あいつ』が来ます。そして、私のことを…」

     そう言いながら、女の子がぶるっと体を震わせた。

    「『あいつ』、どうしてだか知らないけど…私と、それからもう一人。学校中を歩き回っている、不思議な男の子に会いませんでしたか?

     あの子、私がここに来てからずっと後…でも、今よりはずっと前に姿を見るようになったんですけど。

     私たち二人のことを、どうしても手に入れたいみたいなんです」

    「じゃあ受け取っちゃダメじゃないか!」

     わあってラウダが大きな声を出して、私たち全員が深く頷いた。グエルのことは助けたいし、ソフィにも…怖い子だけど、それでも、やっぱり『だいじなもの』は取り戻してほしい。でも、そのためにこの子がひどい目に遭うのはだめだ。

    「君も一緒に行くことはできないのかな?」

    「…できません。名前を忘れた頃から、音楽室を出られなくなったんです」

    「うーん…『だいじなもの』が君の言う『あいつ』から身を守るためのお守りになるなら…何か他の『だいじなもの』を用意することはできないかな?」

    「他の…?」

     女の子はそんなこと考えもしなかったって顔をして、暫くそのまま固まっていた。それから、ちょっと悩みながら頷く。

    「…少しの間なら、きっと誤魔化せます。でも、他の『だいじなもの』なんて…」

     用意できるはずないって言いたそうな女の子に、エランが何かを差し出した。

    「君、絵が好きなんだよね。じゃあこれはどう?」


  • 110二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:18:31

    「これ…あなたが描いたんですか?」

     差し出されたのは手帳で、それをめくった女の子の目がきらきらっと輝いた気がした。

    「そう。恥ずかしいから皆には内緒にしてたんだけど、好きなんだ、絵を描くの」

    「…こんな絵を描いておいて『恥ずかしい』ですか。人に見てほしいって気持ちが伝わってきますけど」

    「いろいろあるんだよ、僕にも。知って欲しい、でも知られるのが怖い。そういうこと、あるだろ?」

     エランの言葉に返事をせず、女の子はもう一度手帳の絵を見返しているようだった。何度も、何度も、夢中になってページを捲る音が音楽室に響く。

     そうしてパタンと手帳を閉じると、女の子はまたあのツンとした澄まし顔になっていた。

    「…まあ、いいんじゃないですか。これなら退屈しのぎにはなりそうです。『ミサンガ』の代わりにはなりそうもないですけど…少しくらいなら時間を稼げますよ」

    「やったぁ!」

    「すごいですエランさん!」

     女の子の言葉にラウダとスレッタがきゃあきゃあはしゃいで、互いに抱き着いてくるくる回っていた。あんなにいろんなことがあって、あちこち歩き回ったのに元気よね、まったく…。

    「それじゃあ、できるだけ急いでソフィに届けるよ」

     シャディク先生は女の子から『ミサンガ』を受け取り、いつものにこにこ顔で安心させようとしている。対する女の子は、じっと先生を見上げて、ちょっと戸惑いながら口を開いた。

    「どうして大人がここにいるのか、不思議です」

    「ああ、それ。図書室の子にも言われたよ」

    「…ここに入れるのは、『あいつ』に『お願い』した『子供』だけですから」

     先生はどう見ても子供じゃないから、確かに変。どうしてだろう?って思いながら見ていると、先生はちょっと寂しそうに笑った。

    「実は先生、ここの生徒だったんだ。だから、『子供』の頃に『お願い』したことがあるんだよ」

    「…そうですか。私から聞くことはもうありません。…ソフィのこと、よろしくお願いします」


  • 111二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:30:12

    ~校庭~


     先生は子供の頃、何を『お願い』したのかな?

     気になったけど、そんなこと聞ける雰囲気じゃなかった。先生もそうだし、皆もそう。

     今はソフィのところへ行って、グエルを返してもらうことに集中しなきゃ。頭をぶんぶん振って、余計な考えを追い出した。

    「…あれれ~?また来たんだ。諦めて皆で帰るの?…っと、知らない人もいる」

    「やあ。君がソフィだね」

    「………?」

     再び校庭に姿を現していたソフィは、先生に名前を呼ばれても不思議そうに首を傾げるだけだった。

    「これ、音楽室にいた女の子から預かってきたんだ。君のことを心配してたよ」

     エランが大事にここまで持って来た『ミサンガ』を、ソフィにも見えるよう差し出す。ソフィは「なになに?」と興味津々って様子でエランの手の中を覗き込んで、それから。

    「………あーあ」

     つまらなさそうに、溜め息交じりに声を吐き出して、ぱちんと指を鳴らした。

    「わあ!?」

    「兄さん!」

     すると突然グエルの姿が現れて、すぐにラウダが駆け寄ってぎゅうぎゅう抱き着く。グエルは目を白黒させてたけど、それでもラウダのことを抱き返していた。

    「ど、どうなってるんだ?」

    「あんな『お約束』なきゃよかったのに!」

     混乱するグエルをよそに、ソフィが腕を振り回して憤慨していた。何を言ってるんだろう、って思いながら見ていると、むすっと私たちを睨みつけてくる。

    「『ノレア』に頼るなんてさ!そんなの見せられたら、何かと交換してって『お願い』してでも欲しくなるに決まってるじゃん!」

    「ノレア…それが、あの子の名前?」

    「そう!…何、アタシの名前は教えたのに自分の名前は教えなかったの?それとも忘れてた?あはは、バッカみたい!アタシたちお揃いじゃんね!」


  • 112二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:48:40

    4号が探してたのもミサンガだったな…
    でもソフィノレとはちょっと世代が違うのか?それも誰かにもらったのかな

  • 113二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:51:51

    「それじゃあ…」

    「そ。『お願い』、お兄ちゃんと…おまけに『スニーカー』も。その『ミサンガ』…アタシとノレアにとって『だいじなもの』と、交換してくれる?」

     断るわけなかった。エランが『ミサンガ』をソフィに渡すと、ソフィはとっても嬉しそうに笑って校舎を見上げる。

    「これで校庭から出られる。すぐ会いに行くからね」

     このまま真っ直ぐ音楽室に向かうつもりみたい。ぴょんぴょん跳ねるみたいに駆けだそうとしたソフィが、急にぴたっと立ち止まって振り返った。

    「お兄ちゃん!」

    「僕の兄さん!」

    「べー!ちょっとだけアタシのお兄ちゃんだったもんね!…ねえ、お兄ちゃん」

    「…な、何?」

    「つらいこと、我慢しなくていいよ。嫌なら飛び出しちゃえ。その弟くんも、他のお友達も、どこにだってついて来てくれるでしょ。

     …だってアタシと同じで、お兄ちゃんのこと大好きだもん!」

     アタシもよくノレアと一緒に院を脱走したし!って笑って、ソフィは返事も待たずに駆けて行った。

    「兄さん、大丈夫?」

     くいっとラウダに服の裾を引かれて、ぽかんと口を開けてたグエルはようやく思考が回り始めたみたいだった。

    「体は何ともないし、大丈夫。心配かけてごめんな、ラウダ」

    「まったくですよ!グエルさんなら勝てるって思ってたのに!」

    「うっ」

     スレッタに叱られてグエルがしょんぼりする。「無事だったんだからいいってことにしようよ」ってエランが間に入って、シャディク先生はそんなエランを「お友達の喧嘩を止められてえらい!」って褒めてて。

     張り詰めていた気持ちが、落ち着いていくのがわかった。

     そんな中、ラウダはさっきのソフィの言葉を一生懸命考えていたみたいで。「あのね」とグエルを見上げた。

    「…兄さん、どこかお出掛けしたいの?僕も連れて行ってくれる?」

     グエルは返事をしなかった。ただすごく苦しそうな顔で、でもきっとその苦しさは、悪いものじゃない。

     大好きで、かけがえのないものを見ている時に、きゅうっと胸が締め付けられるみたいな。そんな苦しさなんじゃないかな。

     その証拠に、「わっ!ちょっとだけ苦しい…!」ってあのラウダが抗議するくらい強く抱き締めてたから。


  • 114二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 19:56:20

    「生還した…ッ!」


    「やったね兄さん!本当に良かった!」


    「これで後は帰るだけですね!」


    「いや、ミオリネの『お家の鍵』が見つかってないじゃん」


    「意味深なタイトルも回収されてないよな?」


    「思いっ切り文字化けしてたわよね…」


    「勘のいいPLは嫌いじゃないよ。では全員『??』ダイスを振って」


    ミオリネ??(36~):dice1d100=42 (42)

    グエル??(51~):dice1d100=32 (32)

    スレッタ??(36~):dice1d100=59 (59)

    エラン??(16~):dice1d100=59 (59)

    ラウダ??(66~):dice1d100=3 (3)

    シャディク??(??):dice1d100=98 (98)

  • 115二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:05:04

    ――ぜったい、かえしてあげない


    「え」

     何、今の声。

     体が凍り付いて、動かない。こわい、逃げたい。なのに、逃げられない。

    「今の、声は…」

     シャディク先生にも聞こえたみたいだった。子供みたいな、大人みたいな。男の子みたいな、おばあちゃんみたいな。よくわからない声が、何度も何度も言ってくる。


    ――邨カ蟇セ縺九∴縺励※縺ゅ£縺ェ縺


    「やだ、これ…!」

     耳を押さえたって聞こえてくる。どうして、やだ、やだ!

     しゃがみ込んだ私をぎゅっとスレッタが抱き締めて、「ミオミオ、しっかりして…!」って必死に声を掛けてくれる。その声に集中して、こわい声から意識を逸らそうとして、でも、やっぱりだめ。

    「先生、あんなの聞く必要ないよ!」

     エランが必死に先生に語り掛けているけど、そっちも効果は薄そうで。グエルとラウダは何も聞こえなかったみたいで、どうかしたの!?って慌てて私たちを見ていた。


    「…そう。君たち、『お願い』を二回してしまったんだね」

     突然、こわい声が聴こえなくなった。…ううん、違う。聞こえなくなったんじゃなくて、内容が変わったんだ。

     …『エランだ!』『エラン!』『みぃつけた』って。


  • 116二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:22:42

    「え…エラン…?」

     シャディク先生が『氷の君』を見て、ぱちぱち瞬きをする。あ、そっか。不思議な男の子がいるとは言ったけど、エランにそっくりって話はするのを忘れてたから――

    「久しぶりだね、シャディク。どうして二度も『お願い』をしてしまったの?」

     …あれ?

     氷の君は友達に話しかけるみたいにシャディク先生に声を掛けると、悲しそうに目を伏せた。

    「ミオリネもそうだ。確かに『あの子』は一度だけなら『お願い』を聞いてくれるよ。『だいじなもの』と引き換えに。

     けど二度目はない。二度目の『お願い』をすると、『あの子』は…」

     氷の君の目が、私とシャディク先生を見つめる。

    「『だいじなもの』を取り戻すまで、この場所に閉じ込めて、絶対に帰してくれなくなる。

     …おかしいと思った。グエル、スレッタ、ラウダは一度しか『お願い』をしていないし…」

     ちら、とエランを見る目線の温度は、ほんのりあたたかい気がする。

    「君は、えらいね。何も『お願い』しなかったんだ」

    「…そんなこと、見ただけでわかるの?」

    「分かるよ。僕は君と同じ…いや、君よりも、強いから」

     突然の強者宣言?わけわかんない。

     でも、エランには伝わったみたいだった。

    「じゃあ…どうすればミオリネや先生が帰れるかも、分かる?」

    「分かるよ。『あの子』と勝負して『だいじなもの』を取り戻せばいい」

    「そっか、なら…」

    「なあ、待ってくれエラン!どうして君はここにいるんだ!?」

     何か言おうとしたエランを遮って、シャディク先生が…きっと、氷の君に話しかけた。

    「君の『だいじなもの』を取り戻すため。でもうまくいかなくて、こんなに時間が経ってしまった。ごめんね、遊びに行く約束もしていたのに」

     氷の君は何てことないみたいな顔をしている。でも、全然なんてことない内容じゃない!だってそれってつまり、シャディク先生のお友達だったってこと…だよね?

    「俺は…『だいじなもの』なんかより、君が居なくなったことの方が、ずっと…」

    「…うん。ごめんね」

     声を震わせるシャディク先生に、氷の君が困ったような顔をした気がした。


  • 117二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:27:36

    これは…謎の転校生と不思議なお助け側どっちの『エラン』を言っているんだ?

  • 118二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:30:49

    ミオリネが二回お願いしたってのはいつのことだろ

  • 119二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:41:04

     そうやって話している間にも、あの声が『エラン』『ねえねえ、返事して』『遊ぼうよ!』って言うのが遠くで聞こえてる。

    「…ね、ねえ。氷の君?あの声…」

    「聞いてはいけないよ。返事をすれば一歩、あちら側に近づいてしまう。…僕は少し、『あの子』と話しすぎてしまった。

     『あの子』に見られて、声を掛けられて、影に触れられただけで、どんどんあちらに近づいていく」

     よく分からないけど、良くないことだってことだけはわかった。不安そうな…そう、不安そうなシャディク先生!こんな顔始めて見た。迷子になった小さい子供みたいで、何だか変な感じ。そんな先生を見て、氷の君がぽんと肩を叩く。

    「心配しないで。『だいじなもの』を取り戻せば、それで帰れるから。

     …でも、『あの子』が姿を現して、勝負に応じるかどうか。僕が呼べば、きっと来てくれるけど…」

     でもそれってきっと、氷の君にとっては良くないことだ。でも、でも…このままここでじっと待っていたら、きっとニカや、ソフィ、ノレアみたいに、大事なことを忘れて行って、本当に帰れなくなっちゃう…!

    「どこにいるか、わかんないの!?」

    「そ、そうだ!学校中を調べて、それで…」

    「無理だよ。『あの子』は影に隠れられる。…君たちでは行けない場所」

     グエルとスレッタは、氷の君の言葉にしょんぼり肩を落としてしまった。

    「じゃあ、どうすればいいの…?」

     ラウダが不安でいっぱいって声で呟いて、皆何も言えなくて。

     そんな中、エランがちょっとおどけた声を出した。

    「あのさ!何か忘れてない?」

     何を?って顔で皆に見られて、エランがにっこり笑う。

    「僕はまだ『お願い』、してないよ。…それを、今ここでする。この『お守り』と引き換えに…『お前の正体を見せろ』!」

     そう叫ぶと、校庭に風が吹き荒れた。びゅうびゅう激しい風音の中で、『エラン!』『エランの声!』って喜ぶ声がして、でも。

     『違う』『お前じゃない』

     それまでとまるで違う低い声でそう聞こえたと思ったら、ぴたりと風が止んだ。



    次のぼうけんへ続く

  • 120二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 20:44:56

    「エピソード5終了。次のエピソードまで各自休憩を」


    「あとは勝つだけね。エランを崇めよ」


    「そもそもミオリネさんが二度もお願いをしたせいでこうなったのでは…!?」


    「いつの間に二度も…?」


    「隠れてこそこそ何を願ってたんだミオリネ」


    「まあまあ…」


    「シャディクはまだ分かるんだけどね。皆に言われて祠を見に行って、『ミオリネの家の鍵が見つかりますように』とでも願ったんじゃないの?」


    「その認識で合っているよ。ミオリネ・レンブランに関しては…後に分かるはずだ」

  • 121二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 21:16:35

    こわー…
    お願い無効になるのかな?
    お守りの有無で判断できるか

  • 122二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 21:21:26

    シャディクは前にもお願いをしたことがあってその時に『だいじなもの』をなくして
    それを氷の君の方のエランがずっと探してたってことなのかな?

  • 123二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 21:37:16

    >>122

    「そうなるね」


    「めちゃくちゃ友達想いのいい子だね」


    「…ノレアといい、友達想いの子を気に入る習性でもあるのか?このラスボス」

  • 124二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 21:46:25

    ずっと君に憧れてた。

              「とっても素敵だなって思ってた」

    何でもできちゃう君。運動も、勉強も、音楽も。

              「何よりやさしくって、あったかい」

    そんな君が一番の友達って言ってくれるのが、何より自慢だった。

              「皆が怖がって逃げていくぼく/わたしとお話してくれたこと、嬉しかった」

    でも、不意に不安になったんだ。

              「君の目はきらきらしてて、髪だってとってもきれいで、太陽の下ならもっときれいなんだろうな」

    君の隣に立つのに、ふさわしいのかなって。

              「ああ、欲しいなあ」

    だから、『お願い』しちゃったんだ。

    その代償が、こんなに大きいなんて思ってなかった。

              「ほしいほしいほしいほしいほしいほしい」

    ごめんね、

         「エラン」



    「謝らないで。君は悪くない。

     ただ僕が、君のために何かしたかったんだ。

     …君のことが大好きだから」


    ぼうけん そのろく

    『終着!放課後アドベンチャー』

  • 125二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 21:56:11

    ~校庭~


     風が止んだ時、エランの手からは『お守り』が消えていた。

     そして、校庭の真ん中に、ぽつん。影法師みたいにはっきりしない、でも人の形に似た何かがいる。見ているだけで背筋がぞわぞわして、足が震えて、歯がガチガチ鳴って…。思わず目を逸らしてしまったのは、私だけじゃなかった。グエルも、スレッタも、ラウダも。

     ただ、シャディク先生とエランは、必死に歯を食いしばって、それを見ていた。

    『エラン、あそぼ』

    「………ごめんね」

     それと、氷の君。彼は真っ直ぐそれを見つめて、きっぱりと断って。するとそれが、ひたひた足音を立てながら氷の君に駆け寄って――

    「やめろ!」

     今まで聞いたこともない声でシャディク先生が怒鳴る。びっくりして先生の顔を見ると、すごく怒ったような、でも必死な顔で、それと氷の君の間に立っていた。

    「お前を呼んだのは僕だ」

     エランもそれに続いて、二人して氷の君を隠すみたいに立ちはだかる。…そうだ、私だって震えてばっかりじゃいられない。

     だって私、委員長だもん!クラスの誰よりも先頭に立って、皆のお手本になるんだから!

    「そ、そうだよ!『だいじなもの』を返して!勝負しなさいよ!」

     私も二人と一緒になって両手を広げ、それの前に立つ。やっぱり怖い、けど、皆がいるって思うと負ける気がしない!

    「俺のことも忘れんなよ!こんなとこに閉じ込められて、怒ってるんだからな」

    「そ、そうです!私たちのことも、ニカさんのことも…!」

    「ノレアやソフィだってお前のせいでつらかったんだからな!」

     グエル、スレッタ、ラウダも続いて、皆でそれを威嚇する。それは表情なんて存在しない顔で、真っ黒な穴みたいな目で私たちを見ていた。

    「…勝負してあげて」

     氷の君がそう言うと、それは観念したみたいに、ゆっくり頷いた。


  • 126二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:04:11

    『なにしてあそぶ?』

    「遊びじゃなくて『勝負』だ」

     シャディク先生が念を押して、それはじっと考え込んで。

    『…『だいじなもの』はみっつ。三回あそぼ』

    「…僕の『お守り』、ミオリネの『鍵』、それから先生の…」

    「『ミサンガ』だよ。…エランとお揃いのね」

     そういえば、氷の君もミサンガをしてたっけ。それにミサンガを探してるって…。

     …私たちより上の世代(と思しきノレアとソフィも)、ミサンガ好きすぎない?

    「お前の相手は俺が務めるよ。何であろうと負けるつもりはない」

    『いいよ。でも、ぼく/わたしが勝ったら、エランはぼく/わたしのね』

    「は?」

    「シャディクなら勝てるよ。気にしないで」

     それの言う『エラン』はきっと、『氷の君』のことなんだろうけど。

     言われた本人は本当に気にしていないみたいな口調で、シャディク先生のこと、とっても信頼してるのが伝わってきた。

     先生も、その信頼を前にして文句を言う気にはならなかったみたい。

     まいったな、って笑った。

    「負けるつもりはなかったけど…これは絶対に負けられないね」

    「うん。君ならできる。…できなかったとしても、僕がいる。二人なら勝てるよ」

     笑顔を交わす二人を、影がじぃっと見つめているのが、不気味だった。


  • 127二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:08:34

    「ではこれより『勝負』に入る。シャディク・ゼネリ、ダイスの用意を」


    「こ、心の準備が」


    「『勝負』は全三回。『音楽』、『勉強』、『運動』の順に行われる」


    「俺の反応そっちのけで説明するね?」


    「君はサイキョーでムテキなので余程出目が暴れない限り負けない。

     具体的には50程度の差なら覆して勝てる。では初戦のダイスを」


    「了解。…っすー…緊張する~…」


    シャディク音楽(1~):dice1d100=77 (77)

    ??音楽(??):dice1d100=45 (45)

  • 128二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:15:16

    「先生、すごーい…!」

     一回目の勝負、『音楽』は先生の圧勝!

     私たちの『だいじなもの』が掛かった真剣勝負だってことも忘れて聞き惚れそうになるくらい、先生の歌は素敵だった。

    『…じゃあ、これは返してあげる』

     よく分からない何かがそう言うと、エランの手元が一瞬ぴかっと光って、『お守り』が現れていた。

     大事そうに『お守り』を抱えたエランの背をグエルがばしばし叩く。

    「よかったな!」

    「いてて。…うん、本当に」

    「じゃあ…次の勝負、ですね!」

     ごく、と生唾を飲み込んでスレッタが言うと、空気が引き締まる。

     そうだ、まだ初戦。これから先の勝負にも全部勝たなきゃ、私たち全員帰れないんだ…!

    『次は『クイズ』にしよっか』

    「いいとも。何でも出題してくれ」

     何でもなんて軽々しく言うなぁ…って思ったけど、先生ならきっと大丈夫…だよね?

    「シャディクなら大丈夫」

     私の不安を見抜いたのか、氷の君がそう言った。

    「…そうだよね!」

    「ミオリネ、何不安になってるんだ。いつも先生のこと『サイキョー』で『ムテキ』って言ってるくせに」

    「うっ」

     ラウダの言う通りだ。先生はサイキョーでムテキなんだから!相手がわけのわからない…もしかすると、あの祠にいる神様なのかもしれなくたって、絶対負けたりしないんだから!


  • 129二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:17:53

    「ミオリネはどうしてフラグを立てちゃうのかなぁ!?」


    「早くダイスを振りなさいよ。ほらほら」


    「ファンブルしたらどうなるのか、私気になります!」


    「悪魔かな?」


    「シャディク・ゼネリ、早くダイスを」


    「…わかった。勝てばいいだけだ、俺ならできる!」


    シャディク勉強(1~):dice1d100=75 (75)

    ??勉強(??):dice1d100=17 (17)

  • 130二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:23:41

    「先生すごい!すごすぎる!天才だ!」

    「早押しクイズみたーい!」

     グエルとラウダが大はしゃぎしている。それもそのはず。

     なんと先生はクイズにも余裕の大勝利!影のような何かはさすがにびっくりしているみたいで、ゆらゆらとその場で揺れていた。

    「さすがだね、シャディク」

    「…エランに言われると妙な感じだな」

    「そう?君は昔から優秀だったよ」

    「…そっかぁ」

     ちょっと照れ臭そうに笑ったシャディク先生が、影に向き直る。

    「さあ、『だいじなもの』を返してもらおうか」

     それは無言のまま、私の方へ視線を向けた。ちょっと怖くて後退ったけど、次の瞬間ポケットがちょっと重くなる。まさかと思って鍵入れ袋を取り出してみると、中にお家の鍵が入っていた。

    「や…やったぁ!これでお家に帰れる…!」

    「よかったねぇミオミオ!」

     嬉しすぎて涙が出て来た。一緒に喜んでくれるスレッタと抱き合って喜んで、その場でぴょんぴょん飛び跳ねた。

    「…後は、先生の『だいじなもの』だけだね」

     エランがそう言って、氷の君が頷いて。

     先生が一歩、何かに向けて踏み出す。

    「さあ、最後の『勝負』だ」


  • 131二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:26:27

    「危なげなく勝ちすぎてつまらんな」


    「もっとエンターテイメント性を持て。僕たち兄弟のように」


    「俺は出目芸人にはなりたくない」


    「君の出目のエンターテイメント性についてのコメントは差し控えるけど…

     最後の勝負だ。運動技能を振って欲しい」


    「ああ。…後は、これに勝つだけだ」


    シャディク運動(1~):dice1d100=76 (76)

    ??運動(??):dice1d100=21 (21)

  • 132二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:27:58

    「…思ったんですけど。

     全部自力で勝ってますし、サービスしません?」


    「それはできない。既定の条件をクリアしていない状態でエンドを変えることはしない」


    「………エランさん、真面目ですね」

  • 133二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:40:18

    「俺の勝ちだ」

     影みたいな何かも、相当速いはずなのに。先生が速すぎて、ゆっくり歩いてるみたいに錯覚しそうだった。

     先生、本当に人間?ちょっと万能過ぎない?

     そんな疑いを持ってしまうほど、あっさり勝っちゃった。

    『………』

    「『約束』は守って。シャディクに『だいじなもの』を返してあげて」

     氷の君にそう言われて、黙って俯いたままの影が手を掲げる。そこには…

    「…俺の、『ミサンガ』…!」

    『エランとおそろいの、欲しかったのに』

     恨めしそうに言いながらも、それは勝負の結果を受け入れたみたいで。ぴかっと校庭が光ったと思ったら、シャディク先生の手首に『ミサンガ』が巻き付けられていた。

    「これで、みんな帰れる…!」

    「そうだね。…他に残っていた子も、皆いなくなったみたいだ。君たちのおかげだよ」

     え?と思って、氷の君が指差した方を見ると…真っ暗だった校舎が明るくなって、音楽室の窓からはノレアとソフィが手を振っているのが見えた。それと、図書室ではニカが手を振ってる。

     みんなも帰れるんだ!嬉しくなってぶんぶん手を振り返す。

    「僕も、ここから出て行くね。さようなら」

     氷の君が、何かにそう言って挨拶する。何かは名残惜しそうに氷の君を見ていたけど、やがてこくんと頷いた。

    「もう、誰もいなくなるんだから。君だって元居た場所に戻ればいいよ」

    『でも…』

     『だいじなもの』がないから、帰り道が分からないんだ。何かがそう言って、何だかそれがちょっとかわいそうに見えて。


    ミオリネ??(36~):dice1d100=45 (45)

    グエル??(51~):dice1d100=7 (7)

    スレッタ??(36~):dice1d100=37 (37)

    エラン??(16~):dice1d100=18 (18)

    ラウダ??(66~):dice1d100=66 (66)

    シャディク??(??):dice1d100=75 (75)

    氷の君??(1~):dice1d100=89 (89)


  • 134二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:42:45

    「グエル(笑)」


    「くっ…」


    「『この出目ならまあ成功だろう』みたいな口ぶりだけど、君も失敗しているよ、シャディク・ゼネリ」


    「!?」


    「シャディク(笑)」

  • 135二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:55:25

    「ないなら、作ればいいんじゃないかな」
     氷の君がそう言うと、スレッタも大きく頷いた。
    「そうです!例えば、えっと…」
    「あ、そっか」
     具体例が思いつかずに悩むスレッタの隣で、エランがごそごそランドセルの中を漁って、取り出したノートの1ページを破いて…
    「お別れの色紙代わり。君、寂しかったんだろ?じゃあ『お友達がいた証』にでも持って行けば」
     到底お友達に言ってる雰囲気じゃない、つんけんした声だったけど。でもま、それもそうだよね。散々ひどい目に遭わされたし。
     なんていうか、普通の顔して接してる氷の君やスレッタが特別なだけだと思う。
    「お別れの挨拶かぁ。えーっと…『もう人の『だいじなもの』は取るなよ』っと」
    「それお別れのあいさつじゃなくて文句だよ、兄さん」
    「だってこいつのことよく知らないし」
     それもそうなんだけど。仕方ないので私がいい感じの文章に直してあげようかな!ちょっとわくわくしながら紙を覗き込んで、皆でああでもない、こうでもないって話して…
    「いい子たちだね」
    「だろ?自慢の生徒だよ。…いい子過ぎてちょっと心配になってきたけど」
     大人たち(って括りでいいのかな?氷の君がシャディク先生と同年代なら、もう大人のはず…)が微笑ましく見守る中、私たちは寄せ書きを終えて。
    「人から取らなくたって、自分だけの大事なものを作ればいいんだよ」
     シャディク先生はそう言ったままの言葉を書きつけて、氷の君は黙って『元居た場所で素敵なお友達ができますように』って書いていた。
     こうして完成した寄せ書きを差し出すと、それは戸惑っているみたいだったけど。でも、ちゃんと受け取ってくれた。
    『…これが、ぼく/わたしの『だいじなもの』?』
    「あんたがそう思うことができればね」
     受け取った紙をまじまじ見て、何度も何度も繰り返し、そこに書かれた言葉を読み返して。そんな様子を見ていると、あれだけ怖かった何かが、怖くないような気さえした。
    『………ありがとう』
     ようやく寄せ書きから顔を上げて、それが笑う。…そう、笑ってるって、わかる!その顔は、男の子みたいな、女の子みたいな…とにかく、想像してたよりずっと普通の顔で…
    『さようなら』
     そう言ってその子がにっこり笑うと、周囲が光に包まれて、目を開けていられなくなって、それで――

  • 136二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 22:59:44

    「ねえ、エラン」

    「何?」

    「…ありがとう。ずっと、『だいじなもの』を探してくれていて」

    「僕がそうしたかったから、そうしただけだよ」

    「それでも、ありがとう」

    「…うん」

     二人の手が、ぎゅ、って繋がれて。

    「シャディク」

    「何?」

    「僕の友達になってくれて、ありがとう」

    「…これからもずっとだよ」

    「………うん。本当に、ありがとう。

     それから…」

    「うん?」

    「あの子たち。特に…『姉さんの子』のこと、よろしくね」

     するりと、解けた。


  • 137二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:10:32

    【放課後】


    ~ミオリネたちの教室~


    「…あれ?」

     気が付くと、西日の差し込む教室で机に突っ伏してた。わ、スレッタとグエル、床で寝ちゃってる…。

    「んー…」

     声が聞こえて振り返ると、斜め後ろの席で私と同じように寝てたエランが、ごしごし目をこすって欠伸をしてた。

    「にいさん…」

     ちっちゃな寝言が聞こえたから足元をよく見ると、ラウダが子猫みたいに丸まってグエルにくっついてる。

    「…夜だったはずなのに」

    「帰りが遅くならなくていいじゃないか」

     エラン、案外ノーテンキ。私の「そんな簡単に納得できる?」って視線もどこ吹く風。ふわぁって大きな欠伸をまた一つしつつ、ぐぐっと伸びをして、床に転がってるグエルを揺すっていた。

    「んぁ…あれ、なんで教室…校庭に居なかったっけ」

    「…はっ!ミオミオ、鍵は!?ちゃんとある!?」

     まだ眠たそうなグエルと対照的に、スレッタはすぐに意識が覚醒したみたい。大慌てで確認してくるから、私も慌ててポケットの中身を確認した。そして、安心の溜息を一つ。

    「ある!」

    「やったぁ!」

    「うー…うるさい、まだねむい…」

     ラウダは不機嫌そうにそう言って、べったりグエルにくっついてた。私たちの騒ぐ声ですっかり目が覚めたらしいグエルが、苦笑しつつラウダの頭を撫でる。

    「…じゃあ、帰る?」

     ぐずぐず言ってるラウダをどうにか立たせて、顔を見合わせ、ランドセルを背負う。スレッタは手の中の桃色のラインが入った鈴を見て、「チュチュ先輩のところに寄らなきゃ…」って言ってた。

     そうして私たちが廊下に出ると、見慣れた笑顔が一つ。


    「…おかえり、皆。疲れただろうし、早く家に帰ってゆっくり休むこと!」


    次のぼうけんへ続く

  • 138二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:14:32

    「エピソード6終了。各自休け――」


    「うわああああエランさあああん!!!!」


    「うるさっ」


    「あれは一緒に帰る流れじゃないのか!?」


    「…まあ…他の面々も成仏する流れだったし…仕方ないんじゃないかな」


    「…エンド分岐…エンド分岐かぁ…」


    「かなしい」


    「………各自、エピローグの開始まで休憩を取るように」

  • 139二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:22:27

    分岐いくつかはあったみたいだがシーシアちゃんの幕間はどう影響してるんだろ
    あと氷の君の残機というか回数制限みたいなあれ…

  • 140二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:24:52

    ぼうけん おしまい

    『すすめ!アスティカシア冒険隊』


    【登校時間】

    ~『パンランチモータース』前~


    「はあ!?あーしの鈴を失くしたぁ!?」

     朝から大きな声が出て元気だなぁ。…なんて言ってる場合じゃない。これはまずい!

     昨日の夜はお店が忙しそうだったから、鈴の話は次の日にしようって言って、今がその次の日。私とスレッタでちょっと早めに集まって、チュチュ先輩のお家に寄ったんだけど…

    「あ、あれは、あーしの大事な…!」

    「ご、ごごご、ごめんなさいっ」

    「じ、実はその、事情があってですね!」

    「事情もクソもあるか!なんつーことしてくれてんだ!?」

     あばばばばば何とかしなきゃ早く鈴を見せて怒りを収めてもらわなきゃ!


    dice1d2=2 (2)

    1:ニカに会ったことを伝える

    2:信じてもらえるかどうかわからないから鈴だけ渡す


  • 141二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:34:57

    「あの、こ、これっ」

    「………!」

     スレッタがへっぴり腰になって差し出した鈴を前に、今にも暴れ出しそうだったチュチュ先輩の動きが止まった。

     ちょっと悩んでから、スレッタの手のひらの鈴をそっと手に取って、ちりん、と鳴らしてみて。

    「…これ、どうしたんだよ」

    「え、えっとぉ…(素直に言っても信じてもらえないよね!?)」

    「そ、そのぉ…(そんな気がする!うまいこと誤魔化そう!)」

    「「………」」

    「いや、黙んなよ」

     うまい言い訳が思いつかなくて黙った私たちに、チュチュ先輩が「しょーがねえな」って言った。振り上げた拳は無事に下ろされた、みたい…?

    「…ったく。こっちも確かに探してたけど、一つ見つけて一つ失くすとか…はぁ」

    「…その鈴、えっと…どういうものなんですか?」

    「あん?…あーしが小学生の時、仲良かった先輩と一緒に買ったんだよ。お揃いで…

     …その先輩のこと、あーしは本当の家族…姉みたいに思ってたけど」

     …いろいろあったみたい。先輩にしては珍しく歯切れの悪い口調で教えてくれたことを要約すると…その大事な先輩は、病気がちで。大きな手術を控えてた頃、それが無事に終わったら一緒に遠出しようねって約束してたら…ある日の放課後、図書室で倒れていて、そのまま…だって。

     それが誰のことなのか、私とスレッタには分かってしまって。

     チュチュ先輩は私たちが黙ってるのをどう思ったのか知らないけど、わしわしと頭を撫でて来た。

    「ま、お前らが無事に家に帰れたんなら許してやるよ。…ただし、今度一緒にあーしの鈴、探せよな」

    「「はーい…」」

     腕組みしたチュチュ先輩の命令を断ることなんてできず、私たちはとぼとぼ初等部の校舎に向かって歩いて行った。


    「…今度、墓参りでも行くよ。ニカ姉」

  • 142二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:44:01

    【ある日の放課後】

    ~ミオリネたちの教室~


     それからも毎日、私たちの間に起きた大事件なんてなかったみたいに、日々は過ぎていって。

     このまま何事もなく成長していって、あのこともいつか忘れちゃうのかな…なんてナーバスになってたある日のこと。

    「ボーケンしたい」

     突然グエルがそんなことを言いだした。

    「いや、急に何?」

    「兄さんがボーケンするなら僕も一緒に行く!」

     私とラウダ、対照的な反応だった。

    「グエルはしょうがないなぁ。どこ行くの?付き合うよ」

    「もぉー!後先考えなさすぎです!行くならちゃんと計画立ててからじゃないとダメですよ?」

     エランとスレッタも温度差がすごい。

    「どこって考えてるわけじゃないんだけど…『アスティカシア冒険隊』、全然冒険してないからもったいなくない?」

    「え、あれ解散してなかったの?」

    「ミオリネが言い出したんだろ!?勝手に解散させんなよ!」

     それもそうだ。冒険し足りないって意見にも同意。

     前回のアレは冒険っていうより…事件よ、事件!もっとこう、心躍る…某考古学教授の大冒険みたいなのがしたい!

    「んー…大冒険になるかは分からないんだけど」

    「なになに!?」

     エランの言葉に皆して食いつくと、勢いにびっくりしたエランがちょっと仰け反りつつ答えてくれた。

    「今度の長いお休みに、田舎のおばさんの家に行こうと思うんだけど――」


     その『田舎のおばさんの家』に皆してお泊りに行った結果、またしても不思議現象に巻き込まれたり、何故か同じ地域に遊びに来ていたシャディク先生と合流したり、はたまた、不思議な空間で、不思議な男の子と再会したり――

     いろいろあるかもしれないけど、それはまた別のお話。

     とにもかくにも、こうして私たちの冒険は続いて行くのだ!



    おしまい

  • 143二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:49:36

    「オリジナルシナリオ『すすめ!アスティカシア冒険隊』終了。お疲れ様」


    「おつかれ。一応ハッピーエンド…なのかしら?」


    「本当に誰もロストしなかったね。…ロストしそうな展開の場合、どうなっていたのか気になるけど」


    「氷の君の言動を見るに、僕の家系そのものがその手の才能ありってことかな」


    「だろうな。『??』技能成功率100%とは…」


    「ううっ…エランさん…」


    「これ以上にいいエンディングも存在するのか?」


    「…そうだね。それらの解説も行おう」

  • 144二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:53:26

    スレ主さんよく次々話思い浮かべれるね凄い

  • 145二次元好きの匿名さん23/09/06(ć°´) 23:55:59

    「エンディング分岐は大まかに二つ。

     まず一つは『ニカ・ソフィ・ノレアを救済できているか』。

     もう一つは『氷の君の救済フラグを立てられているか』だね」


    「ニカ姉の救済フラグはあーしから鈴を受け取るだけで成立。

     ソフィ・ノレアの方は…」


    「…まず、『ニカの救済』または『最初のお歌の勝負に勝利』のどちらかを満たしていることが前提。

     それから私がミサンガを渡そうとした時の『??判定に誰か一人でも成功』することです」


    「前提がダメだとノレアが冒険隊を信じてくれなくて、無理やり勝負してミサンガを奪うことになってたよ!

     で、??判定に失敗した場合は…」


    「…『何か』に襲われ、冒険隊が音楽室からある程度離れたところで私の悲鳴が聞こえます」


    「後味わるーい!そうならなくてよかったよね!」

  • 146二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:00:20

    「これらの条件を満たして『ニカ・ソフィ・ノレアを救済』できている場合、トゥルーエンド…

     つまり今回見たような、『何か』を元居た場所に送り返してあげられる展開が開かれるよ」


    「おかげで祠は空っぽになって、今後誰かが何かお願いしても叶わなくなるらしいけど…

     でかい代償を払うよりはいいだろ」


    「で、氷の君については~…」


    「…そっちは本人に言ってもらうから、私たちの出番はここでおしまい」


    「ちぇ~」

  • 147二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:06:10

    「僕…もとい氷の君の救済フラグは以下の通りだ。

     ①すべての幕間を発生させる

     ②氷の君に助けられた回数が2回未満

     …②の方が、幕間・おうたのレッスンで減少した僕の残機のようなものだね」


    「じゃあ幕間が発生しなかった時点で詰んでたんじゃないの…」


    「詰んではいない。僕が現世に戻って来れなかっただけだよ」


    「それ俺にとってはバッドエンドなんじゃ…?」


    「そうかな。再会できただけでも幸せなことだと思う。

     …仮に救済フラグを達成していた場合、僕たちの最後の会話で繋がれた手は離れることなく…

     数日後に、ミオリネ・レンブランたちのクラスに新たな転校生が現れていたよ」


    「そのエンディングが…欲しかったです…!」

  • 148二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:09:02

    「以上で解説終了。…あ」


    「ん?」


    「ミオリネ・レンブランの最初の『お願い』について書くのを忘れていたね。

     本人から説明して欲しい」


    「………えっと。

     プロローグで私、一人だけ遅れて体育館に行ってたよね?

     実はあの時すでに祠に行った後だったの。

     で、内容は…『音楽のテストに合格できますように』」


    「しょうもなっ」


    「くだらなっ」


    「…小学生らしくていいと思うよ」

  • 149二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:12:32

    >>62

    「ここで言及していた、ノレア・デュノクが最初の勝負に勝っていた場合の『お願い』は…」


    「…『知らないお歌を教えて欲しい』です。

     私はソフィ以外を側に置くつもりがないですし、数十年前の子供という設定なので…

     最新の歌を聴きたがっているという裏設定があります」


    「さらに『たくさんお歌を教えてくれれば、キーホルダーも返してあげます』と言って返してくれる。

     親切なチュートリアルの相手といったところだね」


    「…他人の『だいじなもの』なんて持ってても仕方ないですから」

  • 150二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:17:20

    「…以上でおしまいかな」


    「そうね。それじゃあ次は私が進行役のシナリオの準備に入るわ。

     …そうそう、以前『協力型の探索ゲームや謎解きゲームにしたい』って言ったわよね?

     あれは嘘よ」


    「!?」


    「ど、どういう意味だ?」


    「ガッツリ二陣営に別れて争ってもらうつもりだからよろしく」


    「ちょっと待って?」


    「あとエランたちは半NPC扱いでいくわ。あんたたち顔が同じだから設定がある程度固定されるのよね…」


    「すごい勝手に話進めるじゃん…」


    「…気が変わって平和なシナリオになることを祈ろう」

  • 151二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:23:39

    ノレアちゃんツンデレだあ…
    もしかしたらと思ってたけどミオリネのもう一つのお願いはそれだったんだね
    エランはお願いしてなくてラウダはなんか可愛いお願いっぽいけどスレッタとグエルの願い事は…
    なんかスレッタのおうち事情も闇がありそうな感じだったしなあ…

  • 152二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 00:41:43

    ちょっと切なくて怖いけど楽しい話は青い鳥文庫でありそうだった 読み応え凄かったよありがとうスレ主

  • 153二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 01:20:31

    乙でした!次回作も楽しみです
    前作スレ最後の方で出てた設定の5号がミオリネにシンパシーを感じてた理由って何だったんですか?

  • 154二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 01:43:12

    ラウダ以外に渡された裏設定?って何だったんだろ
    キャラ達に先の展開を教えましたってことかな

  • 155二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 06:36:52

    「シナリオ進行中は中の人自我が見えることで没入感が削がれると思い反応を控えていますが…

     お褒めの言葉は毎回とてもありがたく頂戴しています。モチベアップにもなりますし、本当にありがとうございます!」


    「…受け取った疑問に答えるため、未開示の情報を開示しよう。

     各人物の願いを一覧にするよ」


    ミオリネ:『音楽のテストに合格できますように』(1回目)、『お家の鍵が見つかりますように』(2回目)

    グエル:『もっと褒めてもらえますように』

    スレッタ:『お父さんとお母さんが仲良くしてくれますように』

    エラン:なし

    ラウダ:『ミオリネの鍵が見つかりますように』

    シャディク:『エランみたいにサイキョーでムテキになれますように』(1回目)、『ミオリネの家の鍵が見つかりますように』(2回目)


    氷の君:『シャディクの『だいじなもの』を返して』

    ニカ:『手術が成功しますように』(1回目)、『大事な鈴が見つかりますように』(2回目)

    ソフィ:『ノレアの怪我が治りますように』(1回目)、『ミサンガが見つかりますように』(2回目)

    ノレア:『ソフィを返してください』


    「ラウダさん、いい子ですね…。それと失くした『だいじなもの』を取り戻したくて向こう側に引きずり込まれるの、マッチポンプ感がありますよね」


    「そうだね。そのマッチポンプ感はある程度意識したものだよ。

     『一度だけ願いが叶う』とわかっていても、一度叶ってしまえば二度目を望んでしまうものだからね」

  • 156二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 06:51:05

    「各々に渡した裏設定は…本人から簡単に語ってもらおうか」


    「私が受け取った情報は…私は少しだけ家に帰るのを寂しがっていること。両親が忙しくて、帰っても一人…って状況が多いみたい。

     でも責任感の強い私は、自分が家を守らなきゃ!って考えて我慢しているわ。

     …この寂しさが今回の騒動の原因だと思ってたけど、ミスリードだったわね。

     『音楽のテストが怖くて『お歌のテストに合格できますように!』とお願いしてしまった』の方が重要だとはね…」


    「俺が受け取った裏設定は…『あなたの両親は長子であるあなたに期待しているがゆえに厳しく接し、あなたは息苦しい思いをすることがある』だったな。

     それが原因で家に帰りたくないと思っているからこそ、ミオリネに付き合って遅くまで残っていることが多いらしい」


    「私が受け取ったのは『あなたの両親はあなたを愛するあまり意見を戦わせ、夫婦喧嘩が絶えない。そのことをあなたは心苦しく思っている』…です!

     だからお家に帰りたくないって思ってたみたいですね」

  • 157二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 06:57:24

    「僕が受け取ったのは『あなたには霊感がある。そのことが原因で以前の学校では騒ぎが起き、周囲の誰もあなたを信じてくれなかった』だよ。

     だから自分のことをあまり話したがらず、信頼していた教師にも信じてもらえなかったから大人への不信を抱えてたみたいだね。それとミオリネにシンパシーを感じていたのは、彼女にも霊感があると気付いていたから。

     当のミオリネは自覚なしだったけどね」


    「俺は『小学生の頃、親友を失った。親友のエラン・ケレスはある日の放課後、行方不明になって二度と帰ってこなかった』ことと、

     『親友を失う直前、あなたは校舎裏の祠に『あるお願い』をしていた』ってことを教えられていたよ。

     まさかサイキョーでムテキな理由が親友に憧れていたからだとはね…」


    「…そのことだけど。シャディク・ゼネリはそもそも才能もあり、努力もしていた。

     『お願い』などしなくても今と遜色ない能力を手に入れていたという設定が存在している」


    「願い損じゃないかなそれ?」


    「…とはいえ、小学生時代からサイキョーでムテキになれたのは『お願い』をしたからだ」


    「結果の前借をしたというわけか…。ちなみに僕は本当に何の情報も貰っていない。兄さんが厳しく躾けられていることにも気付かないとは…」

  • 158二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 07:04:30

    「『??』技能は結局霊感でいいんですよね、エランさん?」


    「そうだね。ちなみに伏せられていた各登場人物の技能成功率は以下の通りだ」


    シャディク霊感:10%

    ノレア音楽:100%

    ニカ勉強:100%

    ソフィ運動:100%


    「各『勝負』の時には、ラウダ・ニールは補正なし、スレッタ・マーキュリーは-35補正、グエル・ジェタークは-80補正がかかっていた」


    「グエルさんに勝たせる気がなさすぎますね…」


    「まことに遺憾」

  • 159二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 07:48:53

    ラウダミオリネにツンツンしてたのに自分のことじゃなくてミオリネの鍵のことお願いしてあげてたんか…いい子だなあ

  • 160二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 15:23:08

    >>158

    補正は帰りたくない度合いが影響してるのかな?

  • 161二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:33:53

    >>159

    「ミオリネさんにだけ明らかにツンツンするのもある種の甘えですからね。本当は大好きということなのでしょう」


    「僕がミオリネを…と言われると寒気がするんだが」


    「奇遇ね、私もよ」


    >>160

    「そういうことだね」


    「本当はものすごく帰りたくないのに願い事の内容は『もっと褒めてもらえますように』だったのか、俺…」


    「帰らないって発想がなかったのかもね?」

  • 162二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:37:21

    「さてと…Heyエランズ、ちょっと来なさい」


    「部分的に流暢な発音の英語、僕でなきゃ聞き逃しちゃうね」


    「何?」


    「どっちでもいいから1d2でダイスを振りなさい。次シナリオでの所属を決定するわ」


    「わかった。dice1d2=2 (2) 」


    「結果はどうなるのかな?」


    「1なら反体制側、2なら体制側よ」


    「…本当にガッツリ戦うことになりそう~」

  • 163二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:43:43

    「ふーん…4号が体制側で、5号が反体制側か。らしいっちゃらしいね。じゃあ次はメインになる4人の役割を決めていくよ」


    「どんな役割があるんですか?」


    「以下参照」


    「急に口頭での説明を面倒くさがり出したな…」


    1:『革命者/まだ愛を知らない者/キャリバーン』

    2:『復讐者/愛を失った者/シュバルゼッテ』

    3:『守護者/愛を求める者/ミカエリス』

    4:『信奉者/愛を信じる者/ダリルバルデ』


    「待て待て待て」


    「機体名で特定可能過ぎないかなあ?」


    「コードネームをつける上で役割に照らし合わせていくとこうなっただけ。別に誰かを固定でイメージしてるわけじゃないからさっさとダイスを振って決めるわよ」


    スレッタ:dice1d4=4 (4)

    グエル:dice1d4=1 (1)

    シャディク:dice1d4=2 (2)

    ラウダ:dice1d4=1 (1)

  • 164二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:48:28

    「スレッタ、喜びなさい」


    「ほえ?」


    「4スレ4の可能性が爆上がりしたわ」


    「えっ本当ですかぁ!えへへ~!」


    「素直…」


    「…ところで。役割1と4は1の方に性別を合わせようと思ってたんだけど、このままだとスレッタが男になるわね。

     さすがにむさ苦しいし…1になった方を女の子にしようかな」


    「!?」


    「なん…だと…?」


    「俺にも触れてほしいなあ」


    「1になるのはdice1d2=1 (1) (1:グエル 2:ラウダ)よ」

  • 165二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:54:05

    「グエルだ。よろしく(高い声)」


    「(笑)」


    「サクッと年齢も決めよっか。…にしてもあんたたち、おもしろいくらい機体名と搭乗者が被らなかったね。

     あ、スレッタの外見は中学生くらいの少女で固定よ」


    「了解です~。ダリルバルデで頑張ります!」


    「俺がキャリバーンか…妙な気分だな」

    17+dice1d13=10 (10) 歳


    「シュバルゼッテ…か。ガンダム搭乗者と非搭乗者が逆転したね」

    17+dice1d13=13 (13) 歳


    「ミカエリス…どんな役回りなんだ?…それに、兄さんとは別陣営になるのか…」

    17+dice1d13=9 (9) 歳

  • 166二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 18:59:27

    グエル:『革命者/まだ愛を知らない者/キャリバーン』

     備考:年齢27、女性


    シャディク:『復讐者/愛を失った者/シュバルゼッテ』

     備考:年齢30


    ラウダ:『守護者/愛を求める者/ミカエリス』

     備考:年齢26


    スレッタ:『信奉者/愛を信じる者/ダリルバルデ』

     備考:外見年齢は15歳程度?


    「…さて。役割に関する過去の設定や人物関係などはある程度できていましたが…本格的なシナリオ製作に入りましょうか」


    「そうね。…ああ、誰がどの陣営なのかだけ教えておこうか?」


    「むしろ今決まってる情報全部欲しいんだけど」


    「…仕方ないわね。軽く説明しよっか」


    「※製作中につき後に変更が入る可能性もあります。ご了承ください」

  • 167二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:24:14

    「まず世界観の説明よね…。

     近未来ディストピア系を想像してくれると分かりやすいと思うんだけど、

     舞台となる世界は『M』…通称『マザー』と呼ばれる管理者によって『完全に正しく』運営されている」


    「どこかで見たような設定ですね」


    「いいの。こんなの個人のお遊びシナリオなんだから!…と、自己正当化は程々にして続きを話すよ。

     マザーの運営する世界は管理と自由、どちらも存在しているわ。

     公人としての生活は職業から役職、通勤・通学ルートまで全てが管理されているけれど、私人として誰を愛そうと、誰に愛されようと自由。

     ただし『正しくない』『間違っている』と判断された場合は処分されることもある。公人としての価値もそうだけど…私人としてでも罪を犯したり、体制に歯向かったり…他にも例えば略奪愛なんかは『正しくない』わね。

     もちろん、きちんと手順を踏んで誠意を見せれば許してもらえると思うけどね?


     …それから。この世界では恋愛は自由だけど、生まれの自由はない。

     誰の胎から生まれようと、体制側の定めた人物と家族になる」


    「ちなみにどれくらい前から管理が始まったんですかね?」


    「そうね…おおよそ二十から三十年の間ってところかな」

  • 168二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:33:49

    「体制側には治安維持のための特殊部隊が存在してる。

     『ドミニコス』、通常魔女狩り部隊。反体制派の『魔女』を捕縛し、処刑するのが仕事。

     捕縛・調査に長けた者と、慈悲なき処刑者が部隊の統率をしているとの噂があるみたいね。

     部隊に所属する者は異端審問官とも呼ばれるわ」


    「そして、反体制側…レジスタンスとして活動するのが『フォルドの夜明け』ですね。

     体制側に異を唱え、管理の行き届いていないスラムに身を潜めています。

     家族を奪われた人や、価値がないと判断され処分されそうになった人が大多数を占めているようですね」

  • 169二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:36:43

    「そしてここからが本題だけど…以下参照」


    「便利ですね、それ」


    グエル:『革命者/まだ愛を知らない者/キャリバーン』

    年齢27、女性。フォルドの夜明けの首領。

    首領の座は両親から受け継いだものであり、彼女自身は体制側に弾圧された過去を持たない。

    高いカリスマ性を有している。


    シャディク:『復讐者/愛を失った者/シュバルゼッテ』

    年齢30。フォルドの夜明けのメンバー。

    過去、体制側に愛する人を奪われたことで復讐の道を選んだ。しかし情を捨てきれていない。


    ラウダ:『守護者/愛を求める者/ミカエリス』

    年齢26。異端審問官。Mの側近。

    過去Mに救われたことがあり、心酔している。


    スレッタ:『信奉者/愛を信じる者/ダリルバルデ』

    外見年齢は15歳程度。異端審問官。Mの愛娘。

    Mとの間に血縁はないが、母のことを無邪気に慕っている。


    エラン(5号)

    フォルドの夜明けに所属するメンバーの一人。

    シャディクに助けられた過去があり、彼の目的のため尽くす。


    エラン(4号)

    ドミニコスに所属する、スレッタ直属の部下。

    スレッタに助けられた過去があり、彼女のために自らのすべてを捧げる。

  • 170二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:39:52

    「ところでこのMの正体って…」

    https://bbs.animanch.com/img/2281267/158


    「一般的には『マザーコンピュータ、人間じゃない』派、『イカれた老婆』派、『永遠の美少女』派がいるみたいね。

     ちなみに愛娘であるスレッタもMの姿を見たことはないわ」

    https://bbs.animanch.com/img/2281267/95


    「でもこれどう考えてもミ…」

    https://bbs.animanch.com/img/2281267/158


    「いったいどんな正体が隠されているのかしらねー(棒読み)」

    https://bbs.animanch.com/img/2289859/63

  • 171二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:43:50

    「…また画像をミスしたわね。最近なくなったと思ってたのに。まあいいわ」


    「切り替え大事ですからね。それぞれの人物間の関係はどうなんでしょう?」


    「簡単に言うとレジスタンスは仲良し、魔女狩り部隊は仲が悪い」


    「わあ…」


    「どんな感じなのか、日常を切り取ってお送りするわ。あくまでイメージであって、シナリオ開始時には変更点もあることに注意よ」

  • 172二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:53:01

    ~『フォルドの夜明け』拠点~


    「グエルお姉ちゃん!あそぼあそぼ!」


    「ぐえっ!こら、背中に乗るなって…おりゃ!」


    「きゃー!あはは!たかーい!」


    「もう…何してるのソフィ。グエルも、ソフィに構ってたらいつまでも作業が終わらないよ」


    「ふっ…俺はお前たち二人を背負っていても、余裕で作業ができるぞ!」


    「え?…ちょっと!私はいいよ!」


    「今日も元気がいいな、彼女たちは」


    「シャディクも混ざれば?きっと皆大歓迎だよ」


    「…いや。あくまで目的のため共に行動する同士だからね。深入りしないって決めてるんだ」

  • 173二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 19:57:02

    ~『ドミニコス』本部~


    「ふん、ふふ~ん…♪」


    「…また『愛』についてご高説でも垂れていたのか?Mのお目溢しもいつまで続くか知れないぞ、スレッタ」


    「ラウダさん、ごきげんよう!また怖いお顔になってますね。…あなたのことも、私が『愛して』あげてもいいんですよ?」


    「…スレッタ」


    「ああ、そうでした!エランさんとお茶の約束なんです!

     大事な時間、ゆっくり過ごしたいですもんね。早く行きましょう!」


    「うん。…彼女のこと、あまり刺激しないで欲しい。

     特に今は…直後で気が立っているから」


    「…チッ」

  • 174二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 20:01:05

    「温度差」


    「これはひどい」


    「…この手の物語の定番なら、やっぱりレジスタンス側が善寄りに描かれるのかな?」


    「どうかしら?決めるのはシナリオ中のあんたたちだと思うよ」


    「僕はさっさとMに見切りをつけて兄さんの味方になりたい」


    「私は…せっかくなら『お母さん』とエランさんのいる側で頑張りたいです」


    「…全員で生還したい」

  • 175二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 22:12:57

    「シャディク、ダイス」


    「唐突だけど分かったよ」


    「結果によってあんたが失った大切な人との関係が変わるからそのつもりでね」


    「…了解」


    dice1d3=3 (3)

    1:家族

    2:親友

    3:想い人

  • 176二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 22:18:37

    「表面的には親友のように接していたけど、内心想いを寄せていた相手を失った…ってことになったわ」


    「…あの。もらった資料…これ…え?あれ…?」


    「ちなみにあんたが想いを寄せてた相手は男よ」


    「あ、うん。それはいいんだけどね…?…いや、いいのか?」


    「…何が書いてあったんだ?」


    「気になります~…!」


    「スレッタにもはいこれ。今出来上がってるあんたの…他の人には開示できない設定」


    「   」


    「ど、どうした水星女?」

  • 177二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:01:18

    「スレの残りも少なくなってきたし…でもすぐにはシナリオができそうにないわね。

     一旦以前のシリーズでも再開する?」


    「それもいいけど、シナリオ製作に専念するべきなんじゃないの?」


    「…スレタイが変わるのが恒例になってるから、続けて立てた方が見てくれてる人にもわかりやすいと思うのよね。

     とりあえず拾ってきた画像でも貼っておきましょうか」



    「この私、ヒロイン力が高いわね。実質天使じゃない」

  • 178二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:04:21

    「シリーズ再開するなら僕がメインのどこかにねじ込まれるんだよね?」


    「そうですね~。dice1d3=3 (3) (1:主人公 2:被害者 3:装備アイテム)にしましょうか」




    「ついでに私の笑顔画像も補充するわ。いいわよね、この穏やかな笑顔」

  • 179二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:07:04

    「装備アイテムになりましたね~。

     では主人公は…グエルさんとラウダさんは一応まだ抜いておいて…dice1d4=4 (4)

     1:私

     2:ミオリネさん

     3:シャディクさん

     4:エランさん(4号)

     にしましょう」





    「きょとんとした私もかわいい…なんて罪な美少女なのかしら…」

  • 180二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:24:07

    「強化人士コンビじゃん」


    「よろしく」


    「被害者は~…dice1d3=2 (2)

     1:私

     2:ミオリネさん

     3:シャディクさん

     です」




    「紛うことなくヒロインの私…」

  • 181二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:26:54

    「本当にヒロインポジになった件」


    「(笑)」


    「…190くらいまで画像で埋めて開始しよう」




    「号泣する私…使う予定は…あるかもしれないわね」

  • 182二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:28:34

    「すやすや…っていうより倒れてるわよねこれ」

  • 183二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:30:00

    「どや顔の私…」

  • 184二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:31:25

    「割と汎用性の高そうな横顔ね」

  • 185二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:32:39

    「目元が暗い…あまりポジティブなシーンじゃないかな」

  • 186二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:34:02

    「これって貼ったことありましたっけ…?」

  • 187二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:35:24

    「…この時は本当に…」

  • 188二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:36:06

    「こっちは笑顔ですね!」

  • 189二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:37:34

    「そしてこれは…。…使うこと、あるんでしょうか?
     ………ないといいですね」

  • 190二次元好きの匿名さん23/09/07(木) 23:39:36

    「最後にこの僕の画像を貼って…次スレを立てるとしようか」

  • 1914号MP:10023/09/07(木) 23:51:22
  • 192二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 00:23:18

    おつ!!新シナリオも面白そうで最高に楽しみなのに前シリーズまで再開してもらえるなんて!!

    画像は飄々とした5号

  • 193二次元好きの匿名さん23/09/08(金) 00:24:05

    驚く5号

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