と、常磐クン!ずっと前から好きでした!付き合ってください!

  • 1二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:15:54

    い、言っちゃった!本当に……言ってしまった。

    「くくっ、マジかよあいつ……」

    「本当に言ったわ、あはは」

    ……後ろから聞こえて来るのは、私に罰ゲームを強要してきた子たちの声。
    ああ、常磐クンも迷惑だろうな。顔だけが理由でこんな罰ゲームに巻き込まれて、申し訳なくて顔が上げられない。
    ごめんなさい、常磐クン。後で謝るからね……。

    「いいよ。じゃあ、付き合おっか」

    「え……?」

    え?待って。今、常磐クンは何て言ったの?
    思わず見上げると、僅かに微笑む常磐クンのいつも通りの表情が見えた。

    「今日から恋人、よろしくね」

  • 2二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:17:08

    受けそうでもあるけど「んー…、俺王様にならないとだからさ!臣下なら考えるんだけど…ごめんね?」とも言いそう

  • 3二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:17:24

    小姑が二人増える罰ゲーム

  • 4二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:18:32

    魔王の妃は生半可な気持ちでは務まらんぞってゲイツくんにビシバシしごかれてぇな俺男だけど

  • 5二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:18:46

    これは魔王ですわ

  • 6二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:21:45

    受けそうな気もするが、俺の中の我が魔王は「王様はみんなのものなんだ」って女の子を諭してる

  • 7二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:24:13

    俺の中の我が魔王は「うーん…俺王様になるからさ、王妃ってことになるけど大丈夫?」って確認してる

  • 8二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:24:51

    「で?それから常磐とはどうなの?」

    「あいつ顔だけはいいよね〜言ってることイミフ過ぎて無理だけど」

    「や、やめてよ……常磐クンは、ちゃんとした人だよ」

    あの告白から数日後、常磐クンと本当に付き合うことになった私は、私に罰ゲームをさせたカースト上位の友達に詰め寄られていた。
    でも、こうやって追求されても困るよ。だって私は、未だに常磐クンの彼女になったって実感が無いんだもん。
    だけど、ここ数日2人で下校するようになって、わかったことはある。
    常磐クンは、みんなが思っているほど変な人じゃない。常磐クンは優しい人だ。

    「手ぇくらいは繋ぎなよ〜、どうせ直ぐわかれるんだしさ。なんならキスとかしちゃえばぁ?あははは!」

    「やめてってば……不純な理由でそんなことできないよ」

    「なにカマトトぶってんの?アンタだってメンクイの癖にさ」

    思わず反論した私を、友達が強めに叩く。それから、低い声で言われた言葉に、私は黙っていることしかできない。

  • 9二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:41:47

    女王の私を差し置いて良い度胸だな女狐有罪だ

  • 10二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:45:02

    そんな自分が嫌になる気持ちが、ため息として出てしまう。
    今日の帰り道も常磐くんと一緒なのに、こんな姿を見せたら常磐くんも嫌な思いしちゃうかもしれないな。

    「ねえ、そろそろ帰らない?ファミレス行こうよ」

    「……うん、行こう」

    でも、常磐くんは本当に優しいな。人のことをいつも思いやっているのが、伝わって来るみたい。
    ファミレスに着くと、直ぐにドリンクを注いでくれるし。注文を進んで取ってくれるし。本当に良い人だ。
    だからこそ、不思議だ。なんで、こんな私の嘘告白なんかに付き合ってくれたんだろう。

    「ねえ、常磐クン。なんで私の告白、受け入れてくれたの?」

    「ん?う〜ん……君が、告白してくれたからかな」

    「それじゃあ、他の子が告白したら……」

    「その時はその子をOKするかもね」

    「……だよね」

    まあ、話したこともない私の告白だったしね。こうやって素直に答えてくれるだけ、やっぱり優しいよ常磐くんは。

  • 11二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:53:20

    「でもさ、君が告白してくれたのは、今だと変わらないじゃない。だからそんなもしものことを気にしなくてもいいよ」

    「いや……まあ、そうだね」

    「それにさ」

    目を伏せてメロンソーダを飲んでいると、常磐クンがコップ越しにこちらを覗いてきた。

    「君のこと、こう見えて結構好きなんだよ」

    「え……」

    「ふふっ、君は俺のこと好き?」

    何故だろう。
    覗き込んできた常磐クンの瞳に、吸い込まれるように目を離すことができない。

    「好き……だよ」

    「なら良かった」

    気のせいかもしれない。けど、常磐クンの笑みが前よりも柔らかく見えた。

  • 12二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:55:07

    何なのこの怪文書の皮被った文学何なの

  • 13二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:55:16

    あぁ…堕ちちゃった
    もう二度と抜け出せないぞ。コレ

  • 14二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 22:56:07

    ほんま我が魔王は魔性の男やで

  • 15二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:00:59

    コレっていつ頃かなぁ
    個人的にはライダーになる前だとゲイツとかとどう関わるか妄想するの楽しいけどこの余裕は『俺たちのゴール』終わってそうな勢い…いやそしたら即卒業になっちゃうけど

  • 16二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:03:59

    >>15

    ライダーの無い世界と思ってください……(逃げ)

    小説版見てないからライダーでない常磐ソウゴの可能性が無いって明言されていたらごめんなさい

  • 17二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:04:32

    >>9

    アンタ自分から振ったろうが我が魔王を

    「全人類の傘になれ」って

  • 18二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:07:33

    >>16

    あー、なるほど

    いやこの子が『魔王』に一歩、また一歩と近づいていくソウゴのそばでどうするかとか考えるととてもとても美味しくてですね

    その場合ゲイツとかツクヨミ、おじさんもウォズもだし、なんなら加古川とかとも関わるかもしれないと考えると…

    加古川に攫われて記憶消されて女王にされたこの子を『必死になって』取り返す魔王とか…おいしい。頭の中にセーラさんのことが思い浮かんでるとなおおいしい

  • 19二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:18:30

    それから、私と常磐クンはよく遊ぶようになった。
    まずは恋人としてではなく、友達としてだけど。でも、私に遊び相手が出来ただけでも嬉しかった。
    ゲームセンターに行ったり、遊園地に行ったり、その度に常磐クンのことを一つずつ知るようになっていった。

    「ねえ、常磐クン。いちご、食べないの?」

    「あ〜、苦手なんだよね、いちご。食べる?」

    「いいの?ありがとう、私はいちご、好きなんだ」

    「ふふっ、君が好きなら……俺も少しはいちごのこと、好きになれそうかも」

    今日はカフェテラスでお茶した後、私の買い物に付き合ってくれる予定。常磐クンは進んで荷物を持ってくれるから、やっぱり優しくてかっこいい。
    夏場だから袖を捲ったTシャツを着てる常磐クンは、少し汗ばんでいる。
    汗で透けたTシャツから見えた鎖骨と、荷物を持つ腕を見つめていると、常磐クンは照れたようにまた微笑む。
    常磐クンは、男の子なんだなあって思ったけど……なんだか、可愛い部分もあるんだね。

  • 20二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:20:54

    >>19

    えっっっっっろ

  • 21二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:27:38

    これこの時家臣たちは何してるの?

  • 22二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:30:22

    >>21

    >>16

    ライダーいないならゲイツたちも…

  • 23121/12/21(火) 23:31:05

    >>21

    いないと思うよ

    家臣いたら夢女にここまで肩入れしないからね

  • 24二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 07:32:25

    >>23

    ということはこの夢女とおじさんが大変なことになってオーマジオウ√になるのか

  • 25121/12/22(水) 14:01:17

    おい……なんでライダーの無い世界って明言したのに曇らせようとしてやがる……
    でもこの夢女がおじさんより優先順位が高いとも死んだからってオーマジオウになるくらい悲しむとも思えないんだよね
    既に解釈違い多発の元作ってるからね

  • 26二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:06:17

    いいや死んでオーマジオウに成る程深くは食い込めないにしてもウールとかミハルくらいにはソウゴくんの心に食い込んでもらうね
    何故かって?セーラさんの件を経たソウゴくんが色恋が原因でブチギレる絵面がたまらなぁぁぁぁぁくおいしいからだよ
    恋人が目の前で殺られて怒りよりも先にソウゴくん本人にも訳もわからない衝動で泣きながら相手に殴りかかりにいくソウゴくんがみたい…

  • 27二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:13:43

    >>25

    > おい……なんでライダーの無い世界って明言したのに曇らせようとしてやがる……

    我が『魔王』が、あの魔性の男が色恋に惑わされて心を強く揺さぶられる姿ってみたくない?セーラさんのアレコレを乗り越えて目の前にいるその子を強く欲して手を伸ばす我が魔王とか…みたくない?僕だけ?

    んで我が魔王って色々と欠けてるところありそうだしセーラさんの件もあるだろうから恋人が目の前で死んで初めて自分の心に気づくのかななんて自己解釈

  • 28二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:17:45

    我が魔王はそれこそ本編通り何度も死線を潜り抜けた相手じゃないと人間らしい感情を向けてくれなさそう

  • 29二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:26:24

    正直ライダーのいない世界でもウォズはいそう

  • 30二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:26:38

    >>28

    いや自分のことをちゃんとみて自分のことを想ってくれる人ならいけるんじゃないのかな

    おじさんはおじさんだからそりゃ夢女とは心の距離とか違うと思うけど色々知った上で本心から言葉を投げかければソウゴくんには響くんじゃない?

  • 31121/12/22(水) 14:34:10

    〈死亡IF〉

    「可哀想ね……バス停で待っていたら、事故に巻き込まれるなんて……」

    「恋人もいたっていうのにねぇ……こんなに若く、本当に可哀想だわ」

    彼女の家の近所に住んでいるおばさんたちが井戸端会議をしているけど、俺にはそれが酷く遠いことのように聞こえた。
    彼女の葬式は、静かに執り行われた。彼女の両親は俺を見ると辛そうな顔で泣き出し、彼女の兄が俺に殴りかかろうとするのを必死で止めていた。
    無理もないか、俺との待ち合わせ場所で事故に遭ったんだから。

    「ただいま、おじさん」

    「ソウゴくん……お帰り。大変だったでしょ、葬式」

    「ううん……来れて良かったよ。母さんたちの時は参加することも出来なかったし」

    「そっか……夕飯、消化の良いものにしといたからね。ここ最近、食べてないでしょ?倒れる前に、せめてちゃんと食べてね」

    「うん。ありがとう、おじさん」

  • 32121/12/22(水) 14:41:01

    おじさんはああ言ってくれたけど、結局ご飯はあまり喉を通らなかった。
    着替えるのも億劫で喪服のままベッドに寝転ぶと、まず思い出したのはやっぱり彼女のことだった。
    ここ最近、頭の中に靄がかかったみたいで自分のことがよくわからなくなっていたけど、彼女のことを考えると不思議と靄は晴れる。
    何故だろう、もう彼女はいないのに。彼女がいる時はこんなことにはならなかったのに。

    「はあ」

    バスに突っ込まれて潰されたらしく、彼女の遺体を見ることはなかった。でも、せめて最後にどんな顔をしていたか知りたくなる。

    「……俺を、待っていてくれたのかな。最後まで」

    もし、俺にバスを止められる力があったら。
    彼女は死なずに済んだのかな。

  • 33二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 14:59:30

    求めていたものがここにある…のに、この胃に走る痛みはなんだ
    我が魔王が曇ってる…これ東卍リベルートになりそう

  • 34二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 15:04:36

    クォーツァーの一員になって彼女のお兄さんをアナザーライダーにしてぇ。約束を守って妹が死んだわけだしアナザーセイバーが丁度いいかな。

  • 35121/12/22(水) 15:26:08

    翌日、学校に着くなり彼女とつるんでいた女子2人は、俺の顔を見て驚いたかのように言った。

    「常磐……アンタ、そんな顔もするんだ」

    「え?」

    「大丈夫……じゃないよね、うん」

    俺、そんなに酷い顔をしてたのか。自分じゃ全然気が付かなかった。
    その後の授業にも集中できず、ずっと俺の頭の靄は晴れないまま。
    結局、放課後の帰る時間になる。

    「ねえ、今日も迎えに……」

    「え?」

    「……あっ」

    彼女のいた隣のクラスに迎えに行くと、クラスメイトたちが悲しそうな目で俺を迎えた。
    ……そうだ。当たり前じゃないか、彼女は死んだんだから。

  • 36二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:35:49

    彼女が横にいない帰り道、俺は気が付けば彼女と巡った場所をなぞるように歩いていた。
    一緒に買い物したデパートを、一緒にお茶したカフェテラスを、一緒に歌ったカラオケを。
    入るわけでもないのに、ただそこに来て。また去って行く。
    すると、立ち寄った果物屋の店頭に、並ぶ商品に目を惹かれた。

    (いちご……彼女が好きって言ってた)

    彼女はいちごが好きで……バス停で死んだ。
    嫌な記憶が蘇るけど、不思議と心は落ち着いていた。
    あの日以来、目にするのも避けていたいちごを、俺は買った。玄関で出迎えてくれたおじさんは凄く驚いていたみたいだけど、俺の心は潮が引いた海のように落ち着いている。
    自室に入ると、俺はいちごを一口食べる。

    「……君が好きなら、やっぱ俺も少し好きになれたかも」

    ああ。もし、ここに君がいたら……またいちごが美味しいって思ったのかもしれないのに。
    すっぱいなぁ。しょっぱいなぁ。
    いちごって、こんな味だったっけ。

    終わり。

  • 37二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:42:47

    そうか、我が魔王はイチゴ狩りで…

  • 38二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:52:38

    おい…なんで我が魔王が曇らされてる…?

  • 39二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 03:27:48

    ほしゅ

  • 40二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 14:26:56

    保守

  • 41121/12/23(木) 16:43:06

    普通の高校生、常磐ソウゴ。彼は今、交際していた相手の事故死によって自身にもわからない感情を抱き、悩んでいた。
    そんな彼に降り掛かったのは、本来その世界にあるはずのない脅威。
    おっと……ここから先は、あなた方にも直接見ていただきましょう。



    「ああ……ああああ!!なんで、なんでなんだよ!なんでお前が死ななきゃいけなかったんだあああ!!」

    自室の枕を引き裂き哀しみに嘆くその男は、怒りのままに叫ぶ。

    「絶対に許さない、お前なんかと付き合ったから……常磐!!常磐!!常磐ァァァ!!」

    『なら、復讐するか?』

    喉が潰れんばかりの叫びに、答える声、一人きりの部屋。
    しかし、時計の秒針が11時を指したその時、男の前に謎の人影が現れる。

    「だれだ……!?」

    『お前の生きたい未来を選べ……』

    謎の人影が渡した小さな時計を、男は一瞬躊躇うも受け取る。
    その表情は、狂気の笑みとなっていた。

    《SABER……》

    「俺が……俺があいつを救うんだ」

  • 42121/12/23(木) 16:53:21

    「ごちそうさま……」

    「ソウゴくん、もういいの?」

    「うん、ごめんおじさん。ちょっと、食欲が無いんだ」

    午前10時。クジゴジ堂では遅い朝食を取る常磐ソウゴの姿があった。
    順一郎はそんなソウゴを心配するが、ソウゴはいつも通りの笑顔で返す。

    「ソウゴくん、辛いなら無理しなくてもいいんだよ。学校を休むんだったら、おじさんが連絡するから……」

    「ううん、おじさん。大丈夫だよ……いってきます」

    「ソウゴくん……」

    だが、笑顔の中にある暗い思いは隠し切れるものではなかった。
    学校に向かうソウゴを見送りながらも、順一郎は眼鏡を外しながら涙ぐんだ。

    「見ていられないよ、そんな顔をしてるんじゃ……」

  • 43121/12/23(木) 17:06:26

    遅い登校をするソウゴは、通学路をふらふらとした足取りで歩む。
    頭と心に掛かった靄は今も晴れず、ソウゴの瞳からは光が消えていた。

    (何も考えたくない……どこにも行きたくない。けど、おじさんに心配は掛けられない)

    足取りが重いまま、それでもソウゴは歩く。
    だが、なんとか学校に着いたその時、ソウゴの目に映った景色は異様なものだった。

    「な、なんだ……!?」

    いつもいるはずの用務員も、既に登校しているはずの生徒たちや先生すら見当たらない。
    代わりに、そこら中に本が点在し、その表紙には見覚えのある人々の写真が貼ってあった。
    その写真すら、服装で判別がつくだけで顔はのっぺらぼうだが。

    「本……?」

    「ようやく来たか……王様ってのは、随分と遅い到着なんだな」

  • 44121/12/23(木) 17:50:29

    夢女ちゃんの名前とか付けちゃっても良いものなのだろうか

  • 45二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 19:18:24

    >>44

    ノイズかけるのはどうかな

  • 46二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 19:19:44

    しかしこの限界突破度、それに文才、また貴方様か

  • 47二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 21:30:50

    「その声は……!?」

    「妹の命が失われたのは、お前のせいだ!!妹を返せ!!俺に返してみせろ!!」

    「──の……!?」

    ソウゴの前に現れたのは、両腕が血の滴った赤とオレンジ色の剣となっている霞んだ赤色の怪人・アナザーセイバーだった。
    右肩を竜のようなものに食い破られ、顔には剣が突き刺さってX状の切り傷から血が滲み、更に火傷するかのような痣のあるその怪人は、歯を食いしばった表情を縫合されていた。

    「お前の記憶を貰うぞ……妹を蘇らせるために!!」

    「──を、蘇らせる!?」

    「お前も本になれ、そこにいる奴らと同じようにな」

    「これ、あんたがやったのか!?」

    「──を生き返らせるためには!!記憶が必要なんだよ!!」

    叫んだアナザーセイバーの剣から炎が噴き出て、ソウゴに襲い掛かる。

    「うわっ!?」

    「お前の記憶を以って、──を蘇らせる!!」

  • 48121/12/23(木) 23:51:29

    しかし、炎が迫るその一瞬、身構えたソウゴは強く願った。

    (と、止まれ……!!)

    すると、炎はソウゴの顔を焼く寸前で止まった。
    いや、炎だけではない。世界の全てが今、常磐ソウゴの意思の下に止まったのだ。

    「な、なんだ……?」

    時計の針がちょうど12時を指した時、ソウゴの腰に金色の光が輝いた。
    その光は徐々に収まり腰に巻き付くベルトと化すと、ソウゴの手のひらに小さな時計が現れる。

    「これは……!」

    使い方は、既にわかっていた。

    《Zi - O》

    「変身……!!」

    《RIDER TIME!!》

    《KAMEN RIDER Zi -O!!》

    それは、新たな時の訪れを知らせる刻動だった。

  • 49二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 00:12:59

    『祝え‼︎この世界であり得るはずのなかった、我らが魔王の誕生の瞬間である』

  • 50二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 10:02:06

    ソウゴの変身が完了した瞬間、時間は元通りに刻み始めた。それはまるで、ソウゴの意志こそがこの世界の中心にあるかのような事象だった。

    「……はっ!?今のはなんだ!?」

    「あんたがみんなをこんな目に……!!」

    「その姿はなんだ!?あああクソォォォ!!お前はいつもいつも、俺を苛立たせる!!」

    変身したソウゴにアナザーセイバーは駆け出し、剣から炎の斬撃を放つ。
    対するソウゴは炎を拳で弾き、逆に近づいて来たアナザーセイバーに回し蹴りを叩き込んだ。

    「ぐあッ!?」

    「あんたの気持ちはわかるよ……俺だって、同じだから」

    「黙れぇ!!──を喪った苦しみは、哀しみは!お前なんかよりも!!」

    「けど、それで他のみんなをこんな風にするのは間違ってるだろ!!」

    技術も何もない滅茶苦茶な振り回し方で剣を振るって暴れ出すアナザーセイバーの攻撃を全て直前で躱し、逆にソウゴの拳がアナザーセイバーに全て叩き込まれる。

    「うぐっ!?」

    「悪いけど、あんたを止めなきゃならない」

  • 51二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 10:12:19

    ソウゴの猛攻によって壁に叩きつけられたアナザーセイバーの首筋に、ベルトを操作したソウゴがフロントハイキックを炸裂させる。

    《FINISH TIME!!》

    「はあっ!!」

    《TIME BREAK!!》

    「ぐはアッ!?」

    容赦ないその一撃を受け、アナザーセイバーは更に壁にめり込むと、痙攣の後に動きを止めて禍々しい時計を落とす。
    そして段々とその姿を変え、元の男の姿となる。

    「……やっぱり、あんただったんだな」

    「お前のせいだ……お前との約束なんてしなければ……!!」

    「そうかもね……でも、彼女を生き返らせるために多くの人を犠牲にするのは違うよ」

    「お前にそれを決める権利はない!!」

    「きっとあるよ。俺、王様になるから」

    ソウゴのその言葉に、男の心は一瞬揺らぐ。

  • 52二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 10:21:50

    しかし、揺らぎの中で唐突に、男以外の全ての鼓動が静止した。

    『お前の未来を決めるのは、お前だ』

    「はっ!?」

    『妹を救いたいんじゃないのか?』

    「そうだ、こんな奴の言葉に惑わされるか……!!」

    止まった鼓動の中で聞こえた声に従い、男は再びアナザーセイバーウォッチを手にすると、ソウゴの前から立ち去った。

    「……行っちゃったか」

    本だけが落ちた学校に立ち尽くし、ソウゴはため息を一つ。
    時刻は1時を指し、教師も生徒もいない学校にいても仕方ないので、ソウゴは学校を出て歩くことにした。
    特に何をするわけでもなく、順一郎に怪しまれないように帰るわけでもなく、たった今手にしたウォッチを握りしめてただ歩いた。歩けば何かが起きる気がした。
    それはソウゴにとって確信に近いものであり、必ず実現するものだった。

    「ねえ、君!今手に持っているそれ、見せてくれないか!」

    それを証明するかのように、帽子を被った青年がソウゴに話しかけた。

  • 53二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 13:46:45

    >>34の者だが、彼女のお兄さんがアナザーセイバーに本当になるとは思わなかった。

    それはそれとして今画像の気持ちになっている。

    スレ主さんありがとうございます。

  • 54二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 13:49:37

    もしかして小説家か?

  • 55二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 14:59:49

    ソウゴに話しかけてきた青年は、自分についての取材をさせて貰うようにソウゴに頼み込んできたため、ソウゴは快く青年の取材を受ける。

    「いやぁ、いきなりごめんね。俺は神山飛羽真、小説家を志しているんだ」

    「小説家?凄いなあ、俺の知り合いにも小説家志望の人、いるんですよ。挫折とか、色々繰り返しながらも小説を書くのが好きって言ってました」

    「ははっ、そうだよ!小説はこう……そう!作品そのものが、作家のエナジーなんだ!その人もきっと、自分だけの物語を書くのが好きなはずだよ」

    飛羽真と名乗った青年は屈託のない笑顔で笑い、ソウゴの姿を小さなノートにスケッチする。

    「物語っていうのは、作家が諦めない限りはずっと紡がれていく。それってとても凄い事なんだ、色々な人物が交差していく世界をたった1人、誰かの意思によってずっと進み続けることができるっていうのはね」

    「……なんとなく、だけど俺にもわかるな」

    「本当かい?」

    「おじさんが言ってたんだ。時計の針はぐるっと一周して戻ってきたとしても、それは前に進んでいるんだって」

    「成る程……!それは作品も同じだよ!」

  • 56二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:55:03

    飛羽真先生!

  • 57二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:48:38

    「同じ?」

    「そう、どんな作品も作者がやめない限りは続けることができる。けど、時代が進むにつれて同じテーマの作品を書いたとしても、その有り様は変わる」

    スケッチする手は止めずに、飛羽真は楽しそうに語る。

    「中にはそのせいで終わる作品もある。けど、そこに込められた意思は決して終わらないんだ。それって、とても素晴らしいことだと思わないかい?」

    「うん。俺もそう思うよ」

    「本当!?良かった、伝わってくれて嬉しいよ!」

    飛羽真はスケッチをし終えると、今度は口元に手を当てて考える。

    「うん、どんなに時間が経っても失われないものはある……時間、それは記憶にも等しくて……決めた!」

    「何を決めたんですか?」

    「デビュー作の題名は、ロストメモリーだ!君のおかげで……あっ、勢い任せで名前を聞いてなかったね」

    「ソウゴです。常磐ソウゴ」

    「ソウゴくんのおかげだよ!完成したら、是非君にも見て欲しいな!」

    心底嬉しそうな飛羽真は、ポケットから取り出した赤いウォッチをソウゴに手渡す。

    「これは……!」

  • 58二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 00:07:41

    「君の持っていた時計を見た時、ピンと来たんだ。大切な友達を失ったあの日、気付いたら握っていたこれは君に渡すために今まで持っていたんだってね」

    「いいの?」

    「取材とスケッチのお礼も兼ねて、ね?」

    「……うん、受け取るよ。あんたの思い」

    ソウゴがウォッチを受け取った瞬間、飛羽真の携帯に着信が掛かる。

    「あっ……ちょっと待ってね。はい、もしもし神山です」

    『神山さん!打ち合わせ、遅れてますよ!早く来てくださーい!』

    「ああ、ごめんね須藤さん!じゃあ、俺はそろそろ!約束を果たさなきゃ!」

    「約束?」

    「うん、幼馴染との大切な約束。今、編集者の人との約束。どんな約束も俺にとって全て果たすべき約束なんだ!」

    「約束……」

    「君も、約束があるならなるべく守るといいよ!じゃあね!」

  • 59二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 08:51:24

    主君と推し作家の交流、健康にいい…曇らせの傷に効く…

  • 60二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 16:54:23

    圧倒的光……美味しい……

  • 61二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 17:08:54

    これはこれは…何と美しい文章か…
    これもう本編だろ

  • 62二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 17:54:49

    須藤・・・まさかストリウスのことか

  • 63二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 18:19:23

    >>62

    芽依ちゃんの事。フルネームが須藤芽依なんじゃよ。

  • 64121/12/25(土) 18:33:38

    >>62

    >>63

    2018年時点だとまだ22歳だから小説家がまだ小説家じゃない感じで書いてます

    編集者と作家として仲良くなる前だからこんな感じです

  • 65二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:45:49

    時刻は午後9時。娘を亡くして悲しみに暮れた──の家庭にて、事件は起きた。

    「何故だ……何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ何故だ」

    瞳孔を大きく見開きながら紙に何かを書いては破り捨て、男の部屋は紙に埋もれていた。

    「何故──は蘇らない!?記憶は全て奪ったはずだ、再現できるはずなんだ!!」

    アルバムにある写真も手当たり次第に取り出しては違う違うと呟き、髪を掻きむしる。

    「足りないのか!?記憶が!?……うああああ!!」

    癇癪を起こした男は仰け反って倒れ、途端に力が抜ける。
    倒れた男はしばらく沈黙していたが、目に映った書きかけの小説の原稿に、何かの確信を得る。

    「そうか……蘇らせなくてもいいんだ」

    その目は、狂気に染まっていた。

    「俺の理想の──を作れば、いいじゃあないか」

  • 66二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 05:53:26

    ほしゅ
    時間がないから読めないけど応援してます。
    マジで頑張ってください。スキマ時間に保守しに来ますから

  • 67二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 14:14:27

    ほしゅに願いを

  • 68二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 14:20:16

    《SABRE……》

    「父さん、母さん……ごめん」

    男はアナザーセイバーに変身すると、意気消沈した両親のいるリビングに壁を砕いて現れる。

    「き……キャアアア!?化け物!?」

    「な、な……!?」

    「こうすれば良かったんだ……これで15年分の──の記憶が手に入る!!」

    腰を抜かして動けない自分の父に向かって剣を突き刺し、本へと変えてしまう。

    「キャアアア!?あなた!?」

    「待っていろ──、お兄ちゃんが救ってやるからな」

    「や、やめて……許して……息子が、息子がいるんです!息子だけは助けてください、お願いします……!!」

    「息子が、だと……?娘も!!娘もいるだろうが!!母さんまで──のことを忘れるのか!!いないことにするのか!!──は死んでないというのに!!」

    「いやぁぁぁ!!」

    目の前にいる怪人がその息子だとはわからず、男と──の母は息子の命の無事を怪人に懇願する。
    しかしそれが逆鱗に触れたアナザーセイバーは母を突き刺し、本にした後に踏みつけてしまう。

    「──を記憶の片隅に押し込むような家族はもういらない……俺だけが──の家族であればいいんだ!!」

  • 69二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 21:28:23

    いいなあ、記憶がどうの言ってる兄が一番妹の実像に向き合っていないの…

  • 70二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 22:58:51

    時刻は午前2時、眠れずに起きたソウゴが麦茶を飲もうとリビングに足を運ぶと、真剣な面持ちで時計の整備をする順一郎の姿が見えた。

    「あっ、ソウゴくん!どうしたの、眠れないのかな?」

    「うん……なんか、目が覚めちゃって」

    「そっか。おいで、ホットミルク作ってあげるよ。そうだ、夜食食べるかい?最近あんまり食べてないし、お腹空いて眠れなくなってるかもしれないよ?」

    「そうだね。食べたいかな、おじさんの夜食」

    「うん!座って待ってて!」

    起きたソウゴに気が付いた時は不安そうな面持ちでいたが、ソウゴの食欲が戻りつつあることを知ると順一郎はソウゴに似た笑顔を見せる。

    「おじさんね、ソウゴくんがご飯食べれなくなっちゃって、可哀想で辛かったんだぁ……お腹が空いちゃうって、本当にしんどいからね。しんどい時は、特にお腹が空いたままいっぱいになれないものだからねぇ」

    「うん、でももう大丈夫。おじさん、今度からはちゃんとご飯食べるよ」

    「ははっ!なら良かったよ、おじさんもお腹が空いて凄く辛かったことあるからね。今のソウゴくんには、美味しいものいっぱい食べて欲しいんだ」

    そう言って順一郎はほかほかのお茶漬けを差し出し、一口飲んだソウゴは冷えていた頬を紅潮させる。

    「美味しい!」

  • 71二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 10:11:36

    それから順一郎と談笑し、時刻は3時。眠りにつく前にソウゴは、──との思い出が頭の中に響いていた。

    「ねえ、常磐クン……今度のデートだけど、待ち合わせはバス停の前でいいかな?」

    「え?」

    嬉々として提案した彼女とは違い、ソウゴはバス停という単語にある苦々しい思い出のせいか少し顔を曇らせる。

    「えっと、もしかしてダメだった?ごめんなさい……」

    「ううん、いいんだ。俺、──のおかげでせっかく過去に向き合えそうだからさ。約束の場所はバス停にしようよ」

    「いいの?じゃあ、約束だよ!」

    あの時は心境の変化から快諾したが、当日に出てきた感情はやはり不安だった。
    ソウゴの苦しい思い出の記憶が、足取りを重くしていたのは間違いなかった。
    その結果なのだろうか、──が死んだのは。

    「……約束、今度は絶対に守るよ」

  • 72二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 17:03:06

    翌日、時刻は7時。
    順一郎の驚く声に目が覚めたソウゴがリビングに来ると、テレビには衝撃的な光景が映っていた。

    「おはようおじさん、どうしたの?」

    「ああ〜ソウゴくん!今ね、大変なニュースをやっててね!」

    『大変です!腕が剣となっている怪人が、各地の図書館を襲っています!』

    「なんだって……」

    ニュースで報道されていたのは、ソウゴが変身して倒したはずの怪人が本屋や図書館などの本に関連する場所を襲撃している光景だった。

    「……おじさん、俺、行かなきゃ!」

    「えっ!?ちょっと、ソウゴくん!?」

    駆け出したソウゴは、順一郎が作り置いていたおにぎりを持って現場へと急ぐ。

  • 73二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 18:03:37

    あらゆる本を焼き尽くすアナザーセイバーは、本から得たエネルギーを両腕の剣に溜めて放出した。

    「本よ、創作のエネルギーよ!俺の望みを形にするがいい!!」

    すると、空に巨大な本のエネルギー体が現出し、そこから物語を象徴する存在たちが飛び出して人々を襲い始める。
    世界を滅ぼす灼熱の超竜、世界を暗闇に包み込む神獣、蒼き鬣で支配する傲慢なる獅子王、古より伝わりし神秘の魔神、失われし禁術を操る疾風の暗殺者、北方より出し大地の闘神、森の迷宮の奥に潜む堕落の巣窟、幻想的なる蠱惑、生命を産み出した大海に刻まれし歴史、金剛の欲深い選択者、そして永遠を生きる夢見鳥。
    それは正しく、空想と現実が交わる不可思議なる光景だった。

    「そして蘇らせろ……俺の愛する者を!!」

    全ての物語は重なり合うと、本の中から紙が束ねられ、1人の女性を形作る。
    そう、アナザーセイバーの愛する──の姿が街の空に映し出され、ページが捲られるたびに異なる様相を見せる。

    『お兄ちゃん、おはよう!』

    『お兄様、いつもありがとうございますわ♪』

    『兄さんのおかげよ!』

    『あたし、お兄ちゃんのお嫁さんになる!』

    「アハハハ!!凄いぞ、──が俺の思いのままになる!!」

  • 74二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 18:17:30

    狂気的な高笑いを上げるアナザーセイバーだが、突然急に笑い声を止めると、半狂乱して赤黒い炎を吐き出す。

    「違う……違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!」

    炎を剣に纏わせると、それを上空の本に向かって放ち、アナザーセイバーは自らが産み出した本をその手で破壊する。

    「違あああう!!俺の妹は!!──はこんな奴じゃなあああい!!あいつは大人しくて!!優しくて!!俺を気遣って助けて!!そして、常磐ソウゴに……ぐあああ!!」

    両腕を振り回す度に剣から噴き出た炎が街をめちゃくちゃに破壊してしまう。

    「常磐ソウゴ、お前にならと思ったのに!!──がどれだけお前にぃぃぃああああ!!」

    怒り狂うアナザーセイバーの想いに応えるように、焼け残った上空の本から大口を持つ無色の怪物が大量に召喚される。

    「お前らぁ!!常磐ソウゴを俺の前に連れて来いいい!!」

    アナザーセイバーの命に付き従い、無色の怪物は笑顔のような気色の悪い声を上げて街中に散らばった。

  • 75二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 19:56:05

    アナザー元のメインライター繋がりのエグイところを煮詰めてきた…
    「──がいっぱいだ!!」

  • 76二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 20:28:43

    保守

  • 77二次元好きの匿名さん21/12/27(月) 22:58:06

    飛羽真のエミュとか上手えなホント

  • 78二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 01:02:56

    ソウゴが駆け付けた頃には、街に蔓延る無色の怪人が全身の大きな口で人々を喰らい襲っていた。

    「もう始まっているのか……変身」

    《KAMEN RIDER Zi - O》

    笑うかのような鳴き声を上げてこちらに向かってくる無色の怪人を素手で退け、変身したソウゴはアナザーセイバーの元へ向かう。
    しかし9体にも及ぶ怪人たちは突然物語を象徴する存在たちをその大口で食らうと、その姿と色を変えて剣を取り出す。

    「武器か……俺にもあるのかな」

    《ジカンギレード!!ケン!!》

    ソウゴも念じると文字の刻み込まれた剣をその手に召喚し、怪人たちに斬りかかる。
    あっという間に怪人たちを剣技で圧倒すると、今度は自らの顔を模した剣を召喚する。

    「はああ!!」

    そして2つの剣を合体させた大剣から巨大な斬撃を放ち、無色の怪人たちを一気に薙ぎ払った。

    《キング!!ギリギリスラッシュ!!》

    「でやぁ!!」

  • 79二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 08:14:04

    保守

  • 80二次元好きの匿名さん21/12/28(火) 19:24:52

    無色の怪人を打ち倒したソウゴは、遂にアナザーセイバーの元に降り立つ。

    「来たかぁ……常磐ソウゴォォォ!!」

    「守りに来たんだ、約束を」

    自らの顔を象った大剣を構え、ソウゴは仮面の内で瞳を閉じる。
    その耳には、アナザーセイバーの接近する音も、炎を剣に纏わせる音も鮮明に響いている。

    「うああああ!!」

    「フッ!!」

    アナザーセイバーの動きを全て読み切って弾き、大剣による2連撃。
    すかさず大剣を分解した二刀流での猛攻、更には顔の剣から時計の針のようなエフェクトの斬撃でアナザーセイバーの首に攻撃する。

    《ライダー!》

    《ライダー斬り!!》

    「ぐうおおお!?」

    既に満身創痍なアナザーセイバーに更に回し蹴りを叩き込み、倒れたアナザーセイバーを踏みつけながらソウゴは語る。

    「あんたの描くはずだった物語を守りたいんだ。──が好きって言っていた物語を」

    「どの口で言っているんだぁぁぁ!!仮面で表情を隠しているお前がぁぁぁ!!」

  • 81二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 00:07:13

    保守

  • 82二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 00:38:00

    激昂するアナザーセイバーが剣を光らせると、上空の本から世界を滅ぼす灼熱の超竜がソウゴに襲い掛かる。

    「行け、竜よ!!」

    「なにっ!?」

    超竜を弾くソウゴだが、続く傲慢なる獅子王の攻撃を避け切れずに吹き飛ばされてしまう。

    「くぅ!?」

    「俺は物語の力を操れる!そして、空想の世界の中で──に永遠の命を与える!!」

    「そんなことをしても、あんたの本当の望みは叶わないよ。俺たちの知る──には、出会えない!!」

    「黙れぇぇぇ!!」

    世界を暗闇に包み込む神獣と古より伝わりし神秘の魔神が暗雲でソウゴを拘束し、雷を纏った拳で殴りつける。

    「そんな力があるのなら、お前が約束通りあの場所に着いていれば──は死ななかったァァァ!!」

    「そうだな……そう思うよ」

    「何もかもお前のせいで、俺たちの物語は狂ったんだ!!この疫病神が!!」

    両腕の剣をソウゴの首筋に立てて攻め立てるアナザーセイバーに、ソウゴは静かに言い放つ。

    「疫病神、か……それは違う。俺は……王だ!!」

  • 83二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 09:42:20

    保守、生きがい

  • 84二次元好きの匿名さん21/12/29(水) 20:35:25

    ソウゴの言葉に呼応するようにベルトから刀身がマゼンタ色の剣が飛び出し、アナザーセイバーと暗雲を切り裂く。

    《ライドヘイセイバー!!》

    「悲しみしか生まない今のあんたの物語は、俺が終わらせるよ」

    《SABRE》

    そして、同時に腕時計から取り出した時計をベルトに装填して回転させ、ソウゴは更なる姿へと変身する。

    《ARMOR TIME!!》

    《烈火抜刀!!》

    《SABRE!!》

    紅い勇気の装甲を身に纏ったその姿は、アナザーセイバーとそっくりだった。
    ただ一つ違うのは、ソウゴの心の内にある覚悟だ。

    「あんたの結末は、俺が見届ける!!」

  • 85二次元好きの匿名さん21/12/30(木) 00:53:06

    「結末を見届ける」、実にジオウらしい

  • 86二次元好きの匿名さん21/12/30(木) 02:14:59

    保守

  • 87二次元好きの匿名さん21/12/30(木) 13:35:05

    保守あげ

  • 88二次元好きの匿名さん21/12/30(木) 22:47:47

    「常磐ソウゴォォォ!!」

    怒りを叫びと化して昆蟲と大海の生物たちを飛ばすアナザーセイバーを、マゼンタ色の剣から噴き出した剣でソウゴは一刀で叩き潰す。

    「でやぁ!!」

    「ああ!!どうしてだ!!どうしてお前は俺の望みを尽く潰すんだぁ!!」

    「……俺の話を聞いてくれ」

    「お前の口から出る何もかもが!!俺の心を逆撫でするんだ!!」

    金剛の剣と永遠の夢見鳥をソウゴの上空から召喚してけしかけるも、ソウゴはマゼンタ色の剣から同じように紅い不死鳥を呼び出して相殺する。

    《ヘイ!オーズ!!》

    《OOO!! Dual TIME BREAK!!》

    不死鳥と夢見鳥がぶつかり合って爆発すると、アナザーセイバーは爆風に紛れてソウゴに切り掛かる。

    「いい加減に……ウッ!?」

    しかしソウゴはまるでそれがわかっていたかのように、既に防いでいた。

    「自分勝手に──を描こうとするなら、あんたの意志にもう重みはない!!」

  • 89二次元好きの匿名さん21/12/31(金) 07:36:33

    剣の重みにも言及したりヘイセイバー使ったりとスレ主の好き度が見えるSSいいよね

  • 90二次元好きの匿名さん21/12/31(金) 19:05:18

  • 91二次元好きの匿名さん21/12/31(金) 19:27:55

    マゼンタの剣を振り抜いたソウゴは、顔の剣と文字の剣が合体した武器を召喚し、二刀流となる。

    《ライドヘイセイバー!》

    《ジカンギレード!》

    「あんたの未練は俺が斬り捨てる!!」

    《《FINISH TIME!!》》《SABRE!!》

    《サイキョー!! FINISH TIME!!》

    ベルトを必殺技発動待機状態にすると、更に剣も必殺技発動待機状態となる。

    「う、ああああ!!」

    対するアナザーセイバーも両腕に炎を燃やして斬りかかるが、ソウゴが頭の剣から発射した炎を食らうとその動きを止められてしまう。

    《必殺読破!! TIME BREAK!!》

    「うッ!?」

    「でやぁぁあ!!」

    《SCRAMBLE TIME BREAK!!》

    《キング!!ギリギリスラッシュ!!》

    そして、繰り出した二刀流の斬撃がアナザーセイバーを両断した。

  • 92二次元好きの匿名さん22/01/01(土) 00:46:55

    アナザーセイバーは斬撃を受けると膝をついて倒れ、その姿が元に戻ると同時にソウゴの足元に禍々しいウォッチが落ち、それは音を立てて破壊される。

    「くそ……こんなはずじゃなかった、こんなはずじゃ……」

    「こんな大勢の人たちを犠牲する形で蘇らせても、──は辛いだけだよ」

    「……わかってるんだよ、そんなこと!!でも!!」

    そして上空に浮かんでいた本は消滅し、無色の怪人に喰われていた人々も元に戻っていく。

    「けど、俺は……あいつのいない世界が耐えられない……」

    「……そうだよね」

    涙を流しながら声を殺す男を一目見ると、次にソウゴは自らのベルトからウォッチを取り外し、新たに起動する。

    「なら、この結末を変えようか」

    「え……?」

    《TIME MAJIRN!!》

    するとどこからともなく巨大なロボットが現れ、ソウゴはそれに飛び乗って男に告げた。

    「この物語の結末を決める力が、俺にはあるみたいだからさ」

  • 93二次元好きの匿名さん22/01/01(土) 11:56:22

    保守

  • 94二次元好きの匿名さん22/01/01(土) 21:23:54

    「お前は一体なんなんだ……」

    そう言って気絶する男に背を向け、ソウゴはロボを通じて時空間ゲートを開く。
    そして、変形したロボが時空間ゲートに飛び込み、その瞬間に世界が綻び始める。
    その様を、ローブを纏った1人の男が見つめていた。

    『やはり、お前は魔王……この世界を破壊する者か、創造する者か……』

    ローブの男はマゼンタ色のカメラを向けると、シャッターを切る。
    即座に取り出された写真はピントの合わず、それをつまらなそうに棄てるが、写真に写されていた巨大な本と灼熱の竜は徐々に歪み、そして先程のアナザーセイバーのように禍々しく変異した。

    『いずれにせよ……ここは俺の破壊するべき世界だ』

    ローブの男から微かに見えた瞳は、深淵を表すかのような紫色だった。
    そして、ローブの男は自分をオーロラで包み込み、その姿を消すのだった。

  • 95二次元好きの匿名さん22/01/01(土) 21:37:22

    そういえばセイバーってスペルはSABREなのか……SABERだと思ってた……

  • 96122/01/01(土) 21:44:51

    >>95

    間違えたな、これ……

    やだ恥ずかしい

  • 97二次元好きの匿名さん22/01/02(日) 01:44:08

    保守

  • 98二次元好きの匿名さん22/01/02(日) 07:47:27

    保守

  • 99二次元好きの匿名さん22/01/02(日) 19:18:58

    保守

  • 100二次元好きの匿名さん22/01/02(日) 22:49:58

    待機

  • 101二次元好きの匿名さん22/01/03(月) 00:02:48

    ──との待ち合わせの30分前。
    ロボに乗ったソウゴは時を超えてバス停の前に降り立ち、ウォッチを取り外す。
    すると、待ち合わせ時間にはまだ早い時間に、──は現れた。

    「常磐クン……!もう、来てたんだ」

    「──に、会いたかったから」

    ソウゴの姿を見ると──の表情は明るくなる。

    「う、嬉しいな……常磐クンにそう言って貰えるなんて」

    「ここ最近はいつも君のことを考えていたんだ。君がどんなことを考えていたのかな、とか……君が俺のことをどう思っていたのかな、とか」

    「え?」

    「だから、聞きに来たんだ。直接」

  • 102二次元好きの匿名さん22/01/03(月) 05:35:17

    結末を変えるって言うからスレタイ(告白された日)にターイムマジーンして当時のソウゴをどっかやって成り代わってフるのかとおもた

  • 103二次元好きの匿名さん22/01/03(月) 17:08:59

    「──と話がしたいな」

    悲しげな瞳を向けるソウゴに、──は一瞬だけ目を丸くするが、直ぐに微笑む。

    「うん、私も常磐クンと話がしたい。常磐クンとお話しするの、いつも楽しいから」

    「俺も同じだよ」

    はにかんだ笑顔の──を見て、ソウゴは優しく──を抱き締めて息を呑む。

    「どうしたの、常磐クン……?」

    「君と、もう2度と会えなくなる夢を見たんだ」

    「……常磐クン、常磐クンはその夢を見てどう思ったの?」

    「嫌だった。凄く嫌だったんだ。君がいない時間を生きるのは、辛かった」

    「常磐クン……」

    「君のことを少しずつ知って、少しずつ仲良くなって、最初はきっとお互い何も思っていなかったはずなのに……君がいなくなることが、耐えられなかった」

  • 104二次元好きの匿名さん22/01/03(月) 21:05:14

    保守

  • 105二次元好きの匿名さん22/01/04(火) 00:20:19

    「ねえ、君は俺がいなくなったらどう思う?俺が誰にも届かない場所に行っちゃったら、どう思ってくれる?」

    「私、私は……」

    耳元でそう囁くソウゴの声に目を細め、──は言葉を絞り出す。

    「私、それでも常磐クンの側にいたいって思うよ。常磐クンとずっと一緒にいられたら……」

    「君なら、そう言ってくれると思ってた」

    「常磐クン……?」

    ソウゴは優しく微笑むと、──の唇に指を当て、そして口づけを交わした。

    「俺も、君を失いたくない。もう二度と」

  • 106二次元好きの匿名さん22/01/04(火) 10:24:21

    そして、赤いウォッチを取り出して起動すると、ソウゴを中心に世界が本のページのように捲られる。

    《SABER》

    「だから、この結末は望まない。俺が……書き換える」

    ソウゴの手に時計の針を模したペンが握られると、それをページと化した世界に向け、文を一つ書き加える。

    「──は必ず……俺が守る」

    すると、本来──を巻き込んで事故を起こすバスに発生するはずだった異常が消え、事故は「無かったこと」に改変される。

    「心配しないで。変えるのは結末だけ。そこにいる人たちの記憶や意志は変わらない」

    ソウゴの身体は粒子となり、本来の時間軸のソウゴに吸収され、過去と未来が一つとなったソウゴは改めて──を抱き締める。

    「うん……これで、行ける気がする」

  • 107二次元好きの匿名さん22/01/04(火) 17:06:41

    保守

  • 108二次元好きの匿名さん22/01/04(火) 22:50:48

    保守

  • 109二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 00:53:42

    保守

  • 110二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 08:21:01

    おかえり夢成分

  • 111二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 18:40:07

    プリミティブドラゴン

  • 112二次元好きの匿名さん22/01/06(木) 01:56:39

    保守

  • 113二次元好きの匿名さん22/01/06(木) 01:58:53

    時刻は7時。
    起床したソウゴは欠伸しながらリビングに出る。

    「おじさん、おはよう……」

    「ソウゴくん!おはよう、朝ご飯出来てるよ」

    「ん……」

    丁度良く焼き上がったパンを運んでいる順一郎とすれ違い、そのままソウゴは席に着く。
    そして、スマホを取り出すとチャットアプリを起動する。

    「おはよう、──!」

    『おはよう、常磐クン!』

    「昨日は──の夢を見たよ。切ないけど楽しい良い夢だった」

    『本当?私も悲しい夢だったけど、常磐クンが助けてくれた夢なんだ』

  • 114二次元好きの匿名さん22/01/06(木) 10:39:58

    保守

  • 115二次元好きの匿名さん22/01/06(木) 14:11:59

    保守

  • 116二次元好きの匿名さん22/01/06(木) 20:55:24

    プリミティブ保守

  • 117二次元好きの匿名さん22/01/07(金) 01:25:53

    保守

  • 118二次元好きの匿名さん22/01/07(金) 10:05:39

    保守保守

  • 119二次元好きの匿名さん22/01/07(金) 10:24:02

    「ソウゴくん、楽しそうだね。最近はいつもその子とお話ししてるんでしょ?」

    「うん、楽しいよ」

    「ソウゴくんに彼女が出来るなんてねえ……おじさん感動しちゃうよ。この勢いで進路も決めてくれればいいんだけどねえ……」

    「もう決めてるよ」

    「あはは、王様でしょ?」

    「ううん。──と同じところに行くつもりなんだ」

    いつも通りの笑みを浮かべてそう言うソウゴに、順一郎は目を丸くする。

    「ええっ!?」

    「ああ、大丈夫だよ。王様になることは諦めてないから」

    「ま、まあそうだろうけど……え?大丈夫なの?同じ進路に行くったって……」

    「うん、なんか行ける気がする」

    「……そっか!じゃあおじさんは応援してあげるしかないね!」

    「ありがとう、おじさん」

  • 120二次元好きの匿名さん22/01/07(金) 21:19:02

    保守

  • 121二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 04:13:49

    保守

  • 122二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 12:08:49

    保守

  • 123二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 13:56:54

    普通の高校生、常磐ソウゴ。彼の運命はまだ、誰にもわからない。

    だけど、彼の“物語”はまだ始まったばかり。

    我々が見れるのは、ここまで。

    これからは、彼の。彼だけの物語になることでしょう……。

    そう、私が知り得るのも、ここまでです。

    さあ、次はどういたしますか?この世界の……我が魔王?

  • 124122/01/08(土) 13:59:46

    オチを付けるのが難しくてこんな終わり方にしてしまいました。ssを完走させるのはスラッシュライザーアバドンシリーズ以来だからもうわからんね。
    ダラダラ続けてお目汚し失礼しました。次こそちゃんとゼロワンssも完走させたいところ。
    長い間ありがとうございました。もう全然夢とか関係なくなっててほんとすいません。

  • 125二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 14:12:43

    おつでした!

  • 126二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 14:20:34

    感想乙です!
    スラッシュアバドンのスレ、よかったら教えて欲しいです

  • 127122/01/08(土) 14:22:07

    >>126

    https://bbs.animanch.com/board/2902/?res=116

    これです

    何個かシリーズ作ってるけど途中で打ち切りにしちゃったんですよね

  • 128二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 15:05:20

    >>127

    ありがとうです。

  • 129二次元好きの匿名さん22/01/08(土) 18:23:19

    おつでした!!
    正月にスレ見つけてから、新年早々いいもんみれました

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています