- 1二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:10:50
砂時計とメトロノーム。一定のリズムで時を刻む。だけど、その二つには明確な違いがある。
砂時計には終わりがある。誰かが止めることなく、砂が落ち切ったらもう終わり。ひっくり返してしまったら、それはもう別の時間。
好きな人に、砂時計を渡した。その意味を彼が知っているかは分からない。プレゼントを喜んでくれたのかも分からない。
「おはようございます」
「ええ、おはようございます」
彼の腕には、見慣れない腕時計があった。凝ったデザインでは無いけれど、間違いなく女物だ。
「時計、どうしたんですか?」
聞いてしまった。聞いちゃ駄目だと分かっていたのに。
「これですか? うちの担当がくれたんです。私だと思って身に着けていろ、って」
ああ、やはりそうだ。
担当のウマ娘を話すとき、彼の声音は少し弾む。それは私はめったに聞くことができない声。私にはけして向けてくれない声。
ウマ娘は、顔が良くて、スタイルが良くて、気立ても良いことが多い。私では勝てる要素が何も無い。 - 2二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:11:13
「そういえば、これ」
彼が渡してきたのは小さな包み。嫌だ、開きたくない。
「……開けてみても、良いですか」
「ええ」
中に入っていたのは、小さな振り子のインテリア。
「この間、時計を頂いたのでそのお返しに」
「ありがとう、ございます」
それは、失恋の合図だった。渡した分だけ、送り返されてしまった。ああ、なんて。私は馬鹿なんだろう。
メトロノームは、けしてそこから進むことはない。
私は、自分のトレーナー室に戻ってから、泣いた。仕事なんて手に付かなかった。泣いて、泣いて、担当の娘が来るまで泣いて、とても心配させてしまった。
トレーナーへの恋は実らない。トレーナーとウマ娘の強い絆は、時にとても残酷だった。 - 3二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:46:37
- 4二次元好きの匿名さん21/12/21(火) 23:55:36
シリウス許せねえ!
- 5二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 01:55:53
age