- 1千界樹の記録23/09/14(木) 22:38:57
- 2二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:40:08
うめ
- 3二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:40:13
乙です
- 4二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:40:31
建て乙
- 5二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:44:31
おつおつ
- 6スレ主23/09/14(木) 22:45:54
模造の聖杯戦争の軌跡
【悲報】どうして……|あにまん掲示板俺は幸運にも最優のセイバーを引き当てた。さらに幸運な事にとても強力なサーヴァントだ。けれど聖杯戦争で油断は出来ない。まずは他のサーヴァントと戦って各陣営の戦力を測った。真名迄は把握し切れていないけど戦…bbs.animanch.com千年樹を継いで挑む聖杯戦争代2局|あにまん掲示板俺はユグドミレニア再興を賭けて聖杯戦争に挑んだが、特に悪いことをして……して……ないのにいきなりアーチャー、ランサー、ライダー、キャスター、バーサーカーの5陣営に同盟を組まれてしまい、一気に四面楚歌に…bbs.animanch.com黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争 大3局|あにまん掲示板ユグドミレニア復興を目指して10年の月日を費やし、この聖杯戦争に挑むセイバーのマスターだ。戦いは過酷で、アサシンを墜としたばかりに他の陣営全てからロックオンされてしまう。何度も死にかけるが、キャスター…bbs.animanch.com黄金千界樹の未来を背負い挑む聖杯戦争 第3.5局|あにまん掲示板ユグドミレニア復興を目指して10年の月日を費やし、この聖杯戦争に挑むセイバーのマスターだ戦いの中、突如各陣営を襲撃した正体不明の魔獣共俺達は辛くもそれを退き、その正体と黒幕の調査を行うこととなるーーーbbs.animanch.com - 7二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:51:08
埋め埋め
- 8二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 22:54:48
ここまで来たか
- 9二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 23:02:38
そろそろ終盤かな?
気がつけばもう残り4陣営しか無いのか - 10二次元好きの匿名さん23/09/14(木) 23:17:19
取り敢えず10まで埋めよう
- 11二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 07:46:14
どうなるんや
- 12二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 08:01:17
今現在把握できる凌我君のスペックを纏めてみた
ユグドミレニアに所属する一族
魔術回路の数は86本
質/量ともに不明だけどそれなりにはある模様
属性は水
魔眼持ち(ランクは高くは無い?)
時計塔での位階は祭位
時計塔の中でもちょっとした革命を起こす発明をした(霊筒)
自身より圧倒的に優れた妹がいた(回想の限りで仲は良好(もげろ))
実力は傭兵の魔術使いに苦戦してルーナちゃんにはボコにされる程度
一流の魔術師ではあるけど高みには届かない、もどかしい立ち位置だな - 13二次元好きの匿名さん23/09/15(金) 19:56:58
セフセフ
- 14二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 07:15:04
保守
- 15二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 08:00:17
- 16千界樹の記録23/09/16(土) 08:04:08
「『霙』『車軸となれ』」
先制は凌我の魔術。彼の周囲の水分が収束し多量の雨粒を形成、急速に冷却され氷の混ざったみぞれとなり、矢の様に鶴瓶撃ちに放たれる
みぞれと侮るなかれ、その威力はそれぞれが拳銃のらそれに比肩しうる威力を備えている
それがレート換算で毎分800発もの速度で発射されている
それだけの数で放たれる水や氷の弾。正面から受ければたちまち蜂の巣になる事は想像に難くなく、特に真っ直ぐに突っ込んできている初老の男の末路は確定した様な物
いくら鎧を纏っていても、所詮は植物。その力はたかが知れた物。銃弾に匹敵する威力の雨の前には無力な物だーーー
等と、一瞬でも考えよう物なら、振り落とされる拳を避ける事は出来なかっただろう
紙一重で躱したその一撃は、磨かれた大理石の廊下を粉々に粉砕してしまった
この破壊力は身体強化だけでは無い。鎧として纏った植物を、鞭の様にしならせ振るう事で尋常で無い破壊力を引き出しているのだ
「チッーーー似合わない破壊力だな!」
「何千年前の地層から発見された蓮の花が咲いた逸話を知らないかね?或いはアスファルトを割って咲く花を見た事は?植物とは我々が思うよりも遥かに強靭いのだよ!」
毒付く凌我を横目に語るモーティマー。さらに驚くべきことに、サブマシンガンに匹敵する量の水の弾丸を浴びた筈のその鎧には、傷らしき傷が見受けられなかった事だ
多少の凹みやかすり傷程度の損傷は見受けられるが、逆に言うとそれ以上のものは無い。これは恐らく元々の強靭さに加えてあの曲面的なシルエットが水の弾丸を弾いていたのだろう
「だったら、遠慮はいらねえだろ!」
懐から霊筒を出して素早く投擲。投げられた霊筒はモーティマーの目の前に届いた所で光り輝く
「む!?」
「爆ぜろ!」
先ほどと同じ様に起爆する霊筒。攻勢手榴弾と同じ威力の爆発を前に、どれ程の効果があるのか。これは検証の意味があったのだがーーー
「この程度かね?」
「ノーダメージかよ」
植物の外骨格は多少熱で黒く変色している部分が見受けれたものの、防御姿勢を取ったこともあってかあの男には何の痛痒も与えられてはいない。寧ろあれだけの防御力を前に強引な突破を図られたらそれこそこっちが危ない
それをさせないために、此処は攻めに回るべきだろう。そう判断し、次の手に打って出た - 17二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 12:06:48
- 18千界樹の記録23/09/16(土) 22:51:15
「『五月雨/氷雨』『遣らずとなり/地を濡らせ』」
二重詠唱で発動させる二種の魔術は、それぞれ矢のように相手の頭上から降り注ぐ雨と凍り付くほどの冷気を纏う雨
威力は弱いが長時間振り続ける雨の矢とそれに紛れて地面を凍り付かせる冷水。この組み合わせで足止めし、強烈な一撃を叩き込む
戦術を汲み上げる凌我に対して、モーティマーはどう動くか
「成程、確かに厄介な魔術だ」
モーティマーは、植物の葉をまるで傘のように広げて雨から身を守っている。ただの葉ではないようで、先程の車軸の雨よりも威力は落ちるものの、それでもアーチェリーの矢程の威力はある。それを受けて物ともしない強度の葉は、魔術により強化されているのは明白
多少凍りつこうともそれを感じさせない程である
「接近する事は難しいな」
だが、同時に彼の周囲は少しずつ氷に侵食されつつもあった。表面だけを凍らせる程度の冷気である。フロアを覆い尽くす根の7割には大したダメージは無いが、細く弱いものは朽ちてしまうだろう。恐らく、表面でも凍らせて身動きを封じた隙に一撃をお見舞いする算段を立てている事はどうせマン見抜いたが、確かに見抜いたところで対処ができないならば同じだろう
此処で手を拱いていても結局はあの小僧に時間を与えることとなる
「だが、此処は私の拠点だぞ?」
あの男には油断はないが、未だ想定が甘いなと、モーティマーは纏う鎧の一部を解いた
それは宛ら鞭の様に凄まじい速度で凌我の手に握られていた赤く発光する霊筒を叩き落とした
「しまっーーー」
「発想は良いが、詰めが甘いぞ?」
霊筒は追撃の一撃で床に落ちる前に砕け赤い霊薬が飛び散る
「父君の魔術は厄介極まる。最警戒されているのは当然と思いたまえ」
「チッ。アウトレンジにも対応できるならそう言え!」
蔓の鞭で叩かれた右手を押さえながら毒付く。あのジジイ、あの鎧の一部を鞭の様に高速で振りやがった氷結の雨に対応する隙に蟒を出して決着と行きたかったが、霊筒を発動前に叩き割られたらどうしようもない
あの鞭の速さが瞬間、反応速度を超えてきた為にあっさりと目論みを崩された
あんな攻撃手段がある以上、動体視力の強化に魔力を割く必要が出てきた
このまま行くとまずい気がするーーー - 19二次元好きの匿名さん23/09/16(土) 22:56:08
お爺ちゃん狡猾な魔術師だなーって思ってたらめっちゃ肉弾戦できるスーパーお爺ちゃんじゃないか(歓喜)
- 20千界樹の記録23/09/17(日) 10:04:38
凌我とモーティマーの戦いが激しさを増す中、セイバーとランサーの戦いもまた、激化の一途を辿る周囲の壁面や床、天井は切り傷刺し傷焦げ跡が所狭しと刻まれ続け、高級ホテルの一角、スイートフロアの面影はすでに消えている
そんな些事には目もくれず、彼らの激突は止まることを知らず、むしろ加速していく
「ムンッ!」
セイバーは魔剣をランサーは目掛けて射出する。魔剣は魔力を放ちながら紅い軌跡を描きながらランサーへ飛来し、それを躱した所へ短剣2本を携えて斬り掛かる
「おっとォ!」
槍の柄で一撃目を防ぎ続く二撃目をセイバーの腕を蹴り上げて防ぐ。弾き飛ばされ天井に突き刺さる短剣には見向きもせずにセイバーは後ろに跳ぼうとするが、ランサーがすかさず攻めに転じ槍で横薙ぎに払う
手に残った短剣で流す様に捌く。対するランサーの攻撃は流れる様に次々と繰り出される
横薙ぎからの連続突き、突きから薙ぎ払いに行くと見せかけての足払い。そして姿勢を低く保ちながら打ち上げる様に放たれる刺突
反撃の一撃を柄で受け止めてから、槍を握ったまま拳で最小モーションで顔を殴りに行き、視界を遮り怯ませながら短い動きで急所を刺しに行く
これらの動きは悉くフェイント、騙しが混ざった、格上の戦士と退治したことを想定された槍術だ
例えAランクに匹敵する直感を持ってしても、致命傷となる槍撃には働いてもそこに織り交ぜられる蹴りやその全てを解析し対応するセイバー。彼の眼に叡智の結晶が輝く限り、彼に小手先の搦手は通じない
「甘い!」
セイバーは、射出した後自動的に戻ってきた魔剣を掴み取り再び攻めに転じる
セイバーの剣技もまた凄まじい。大剣と言っても差し支えない程の大きさの剣を自由自在、縦横無尽に駆りランサーの槍を掻い潜る様に剣戟を繰り出す
ランサーもまた、槍の穂先でそれらを捌いていく。魔剣の斬撃は短剣の時の様に柄で受けるわけにはいかない。戦闘が激化するにつれ、セイバーの魔剣からまるで太陽の様な輻射熱が放射され続けているからだ
「チィーーー」
下手に受けようものなら受けた柄諸共バッサリといかれかねない。それほどの圧力と魔力を感じているのだ
不毀の槍も、真に不壊なのは槍全体ではなく槍の穂の、後に聖剣デュランダルとして語り継がれる刀身部分だけで、持つ方の柄は伸縮機構があるだけの鋼仕立てなだけなのだから - 21二次元好きの匿名さん23/09/17(日) 21:33:39
⭐️
- 22千界樹の記録23/09/17(日) 22:52:31
セイバーの剣戟を悉く防ぎ切るランサーであるが、その額には冷や汗が滲み出ている。令呪の後押しを受けても、セイバーは強力無比であった
ランサー、ヘクトールはトロイア戦争に於いて、トロイア勢にて最大、かの戦争の中においても屈指の大英雄である。その彼が生前戦った最大最強の英雄は満場一致でただ1人であろう
アキレウス
ギリシャ神話においてその名を知らぬ者はいない大英雄にして最速の戦士。その速さはこの聖杯戦争に参加しているアーチャー、アタランテと肩を並べるどころか、上回りかねない韋駄天の丈夫
目の前の大英雄は奴の速さには到底及ぶべくもないが、その膂力は奴のそれを遥かに上回る。こうして鍔迫り合いすらもギリギリで、ほんの僅かでも力の流し方、受ける角度をしくじれば強引に押し斬られてしまうだろう
さらに、セイバーは竜の炉心を漲らせてただ剣を振るうだけでなく、凄まじい機動を見せる
セイバーは壁を蹴りながら、まるで飛んでいるかの様な凄まじい軌道を描きながらランサーへ切り込んでゆく。その動き方はチープな言い方をすれば3Dピンボールとでも言おうか、猛スピードで様々な角度からセイバーの斬撃が飛んでくる。純粋な速度は当然、かの韋駄天には負けている。だが、閉所である事と、噂に聞くルーン魔術で補助しているのだろう。正に眼にも止まらぬ速さで攻撃を繰り広げてきていた
「てぇい!!」
「ーーーッッグア!」
斬り上げられた魔剣の斬撃を受け流し、流した姿勢そのままに薙ぎ払うが、セイバーはその前に上に跳び、再び唐竹に魔剣を振り下ろす。その斬撃は流しきれ無いと判断して腰を落とし何とか受け止めるが、その重さと衝撃によって、大理石の床が、割れて足が沈んだ
「ーーームンッ!」
「グオぁ!?」
セイバーは魔剣の一撃を受け止めたランサーの腹に鋭い蹴りを叩き込む。両手で槍を持って魔剣を受けたランサーにそれを躱す術も防ぐ術もなかった - 23二次元好きの匿名さん23/09/18(月) 10:41:49
ほっしゅ
- 24千界樹の記録23/09/18(月) 10:46:30
槍撃と見まごう一撃を受けたランサーは地面を砕きながら後方へ飛ばされる
「ガハーーーッ!」
吹き飛ばされ、10m先ーーー廊下の終端の壁面に叩きつけられるランサー。その威力によって壁面はひび割れ、陥没しランサーもまた重く鋭い蹴りを受けたダメージは大きく喀血した
この戦い、初めてのダメージをら受ける事となったランサーだが、直ぐに体勢を立て直して追撃に備える。そこへセイバーが飛翔する短剣と共に襲ってきた
「ーーーちょ!?」
流石に投げたと思しき短剣と同時に襲ってくるのは想定外。廊下のら曲がり角へ避難する。短剣は壁に深々と突き刺さり、壁一面に電撃を奔らせる。もしも受けていたらあの電撃を自らが喰らっていたのかと思うと背筋が寒くなるが、同時にセイバーが壁を蹴って此方へ直角に折れ曲がりそのまま斬りかかって来るのを見逃すわけにはいかないと、肘の噴射口を起動する
噴射する炎の勢いを加えた反撃の突進に、セイバーの対応が一瞬遅れる
「オラァ!」
突き出された槍は躱されたが、本命はこっち。ジェット噴射によって加速している全身を捻る様にして加速度を乗せた回し蹴りがセイバーの頭部に命中。追撃を仕掛けたセイバーが、逆に廊下の壁面に叩きつけられる格好となった
ランサーはすかさず槍で追撃を仕掛けるだがーーー
「反則でしょこれ!?」
追撃の槍は虚空に出現した光の文字のよって防がれてしまう。これもまた原初のルーンがなせる術なのだろうか
逆に反撃兼牽制に投擲された短剣を躱して距離を取って仕切り直す
セイバーも床に着地して魔剣を構え直す
仕掛けるのは、やはりセイバーからだ。魔剣を携えたまま一直線に突進する。
小細工なしの力押し、ランサーはすかさず間合いのある槍で先手を打つべく刺突を放つが、セイバーは短剣でそれを受け流し、一息に間合いに踏み込む。ランサーはすぐさま槍を引くが、間に合わない。そう感じたランサーは魔剣を振り下ろすセイバーへタックルを喰らわせる。躱され無い様深く踏み込んだセイバーはそのタックルを諸に受けてしまい体勢を崩す。その隙に槍を短縮、剣に変えて逆に斬りかかるランサー。素早い動きにセイバーは防御は間に合わないと判断して崩れた大勢のまま回避に移る
「ーーーッ」 - 25二次元好きの匿名さん23/09/18(月) 20:26:36
保守
- 26千界樹の記録23/09/18(月) 20:42:42
「ーーーッ」
だが、ランサーの攻撃は躱しきれずに左腕に小さく無い傷を受けてしまう。この程度なら治癒のルーンでいかようにでも治せるが、そんな隙を与えてくれる相手では無い
ランサーの攻撃は未だ終わらない。此方を逃すまいと槍の時とは違う斬撃中心の連続攻撃を敢行する
「ホラよっと!」
ランサーは剣技に於いても優れた技量を発揮した。流石にセイバーのそれには劣るが、決して槍だけでは無い技量でセイバーを追い立てる。ランサーは本来武器を選ばない事を得意としていた。ランサーとして召喚されたのは偏に彼が持つアイアスとの戦いの逸話による物が大きいだろう
セイバーもまた、ランサーの剣の技量に内心舌を巻く。恐らく魔剣ではなかったら、ランサーの剣技の前にそのまま切り捨てられていただろう。だが、セイバーの膂力はランサーの上を行く
ランサーの斬撃は確かに素晴らしい。しかし、いくら傷を負ったとしても魔剣を有するセイバーの剣技はランサーを上回る。片腕に傷を負っていてもランサーと五分に渡り合う
「手負いなのになんでここまで強いのかなあアンタは!?」
「無論。当方は負ける訳にはいかないのでな」
ランサーは剣では勝ち目はないと判断し柄をを伸ばして再び槍に変形させる。そして巧みに先ほどよりも一歩引いた間合いに下がり、自身に有利な間合いに移行してゆく。対するセイバーは間合いが一歩遠ざかっても動ずることはなく金色の槍と魔剣で打ち合いを続けていく
ランサーは槍を連続して突きを繰り出していく。刺突という攻撃方法は一度駆り出してから次撃を繰り出すためには一度武器を手元に引かなければならない。その瞬間は明確に隙になる
だが、それを感じさせない程に疾くコンパクトに纏めた動きで、セイバーを近寄らせない様に急所へと次々に繰り出していた
だが、セイバーは動じる事なくランサーの攻撃を流し、弾き、時には槍の間隙を縫う様に反撃を繰り出してゆく
だが、現在はセイバーとランサーは互角。ないし僅かにセイバーが有利ではあるが、ランサーは防戦に於いては超一流だ。それこそセイバーの猛攻を凌ぎ続ける程に手堅く、それでいて柔軟に対応してくる
このままでは埒が開かないどころか、下手に長期戦に持ち込まれてしまってはマスター戦で此方のマスターが敗北しかねない - 27二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 08:01:05
(せめてマスターの位置さえわかれば……)
セイバーは自身の懸念をどう解決すべきか考える
恐らく、この事を踏まえて己とマスターを分断したのだろう。突然の襲撃であっにも関わらず状況のコントロールを巧にこなすとは、ランサーのマスターは相当の手練……
マスターが自身よりも数段格上の相手として警戒していたのも納得だ。彼は相手のマスターへの対策を講じていたがどこまで通用しているかは分からない
此方がランサーを斃して仕舞えばそれで終わる話だが、当のランサーの戦い方が巧い
防戦を中心にしているが、此方が戦闘以外に意識を向けようものならその瞬間に刺しにくるだろう
(マスター、武運を祈る……!)
セイバーはマスターの健闘を祈りつつ、解決の糸口を探し求めていた
セイバー達の戦いが激しさを増す一方で此方の戦いもまた、激戦の様相を呈していた
「フンッ!」
「ーーーっぐう!」
多少凍りつこうともお構いなしに蔓の鞭による打撃を繰り出してくるモーティマー。あれを何本も出されると手数の差でどうしようもなくなるが、此方の魔術を警戒してか数で押してくる気はない様だ
なら、その警戒に応えてやる!
「『瀑布/大河』『地を割り/氾濫しろ』」
二重詠唱で発動させる二種の魔術は、それぞれが強烈な水流の魔術であり自身の魔力と霊筒との組み合わせで使う術式である
「ほう」
モーティマーは感心したような声を上げる
彼の頭上から落ちるのは水の爆弾。天井付近で精製された多量の水が滝のように降り掛かる。その力は床を削り大理石の下のコンクリートを露出させる。しかし、その一撃を回避したモーティマー。サブマシンガンに匹敵する魔術を無傷で済ませる防御力でも迫撃砲には耐えられないだろう。回避を選択したのはそういう事だ
だがまだ終わっていない。二重詠唱で発動させた魔術のもう一つ、水が渦を巻き生き物の様にうねりながらモーティマーへと迫る。先程の魔術が水の迫撃砲ならば此方は水の擲弾砲だ。流石に現代のRPG-7とまではいかないがその前世代兵器くらいの破壊力は持っている。しかも追尾能力付きで、広い場所ならいざ知らずホテル内と言う閉所でこれを躱すのは難しいだろう
霊筒2本と自身の魔術回路を使って発動できる術式だが、霊筒を使っだとしても、精密なターゲティングや目標追尾を行う術式の維持等コストが少々重い
だがこれで奴の鎧ごと吹き飛ばしてやるーーー - 28二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 13:41:00
凌我の手数が多いなあ!
威力も現代兵器を例えに出来るくらいにはあるし - 29二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 15:14:58
こうやって見ると一流の魔術師だってのがわかるな、もし仮に凌我がアポ時点でこの実力持ってたら結果が少しだけ変わりそう…?いやないなぁ入れ替わるならカウレスかアサシンの人だろうしそこまで大局に変化はなさそう
- 30二次元好きの匿名さん23/09/19(火) 16:09:49
- 31千界樹の記録23/09/19(火) 22:49:08
放たれた水の擲弾は放たれたから徐々に加速しながらモーティマーへと向かう。直前の迫撃砲を躱した以上、この術式も回避せざるを得ないだろう
「なるほど。追尾式か」
躱した水の砲弾を見てモーティマーはその性質をすぐに見抜くどの様な形式の魔術かは分からないが、此方を正確に狙い追尾する様だ
モーティマーは素直に感心した
若い身の上、それも成人したか否かの年齢だろうに多くの魔術を巧みに操るものだ
特に性質の全く異なる魔術を同時に発動させる詠唱方式もさることながら、その技量もまた素晴らしいものがある
特にこれ程の水を操り、かつ精製することは簡単では無い
それも戦闘と言う環境においてこれだけの水を操ることは至難の筈
恐らく通常の魔術の他、東洋の呪術かそれに近いものを併用しているのだろう
魔力を触媒に神秘を熾す魔術と異なり、呪術は自身の身体の一部を触媒に物理現象を熾すもの
成程、短絡的だが効果は高い。事実として彼が魔術を行使するのに困窮した様子はなく、魔術自体も神秘が薄れたり瓦解する様子もなく共存している
実に見事な魔術師だ。だがーーー
「此処が私の工房であることは忘れていないだろうな?」
建物の壁面が割れ、巨大な食虫植物が姿を現した。しかも一つだけでは無い。モーティマーを中心に幾つもの壁を割って無数の食虫植物が出現した
「!!」
流石にこの対応には凌我も驚愕するが、何のことはない。モーティマーは建物の構造にまで植物を張り巡らせていただけの事だ。硬いコンクリート壁を突き破り現れた捕食者は眼前に迫る水の擲弾を捉えて飢えた獣の様に一様に襲い掛かる
その瞬間、擲弾は高熱を発し極端な圧力が掛けられたように表面が震え波打ちーーー
爆散する。極度に圧力が掛けられた水の塊は全方位に飛び散る水圧カッターの様に四散。同時に高熱により一気に相変化、水を砲弾状に形成していた魔力の容器が消失することで、所謂BLEVEに近い現象を引き起こした
爆炎が巨大食虫植物を覆う。だが、爆炎によって燃えているのは既に爆発の衝撃と先んじて四散した水圧カッターの如き飛沫によってズタズタにされた植物の残骸達だ
いくら奴の操る植物が頑丈であっても、諸共に吹き飛んでもおかしくは無いがーーー - 32千界樹の記録23/09/20(水) 07:58:45
「カカッ、いやはや此処までの威力とは」
ーーーそんな考えは、奴の声で霧散した。爆発時に生じた水蒸気が収まると、そこには植物を使って形成されたであろう盾を構えるモーティマーの姿があり、その周囲に散らばっている焼けこげた草木の残骸が散らばっていた
盾の方もだいぶ焼けており一部は炭化している。恐らく、こちらの魔術を迎撃したデカい化け物みたいな植物とは別に、緊急展開用のバリケードも用意していたに違いない
その辺りを戦闘区域に選んで、そして此方はまんまと誘導されてしまった訳だ
だが、今の一撃を耐え抜いた事は事実。ロケットランチャーに比肩する破壊力の一撃にも関わらず奴の命は全く奪えておらず、つまりは戦況は何も変化はない
「チッ」
多少は予測していた展開とはいえ、舌打ちの一つでもしなければやってられないと、凌我は次の手をすぐに思考する。戦いながら仕掛けた仕込みはあと2つ。どちらも工房内でやつに気づかれない様に仕込んだもの故、大掛かりなものでは無い。発動のタイミングを見誤れば何一つ効果を見込めないだろう
「だったら、こうするまでーーー」
「此処は私の工房だと言っはずだ!」
モーティマーの一喝と共に凌我の足元がひび割れる。しまったーーーそう思った時には遅かった
急速に現れた多数のイバラの蔦、食虫植物の花束は凌我を縛り上げる様に展開される
「ぐっ、ぁあああ!」
荊に全身を膾斬りにされ、更に食虫植物が襲い掛かる。ここまでは血みどろに斬り刻まれながら虫の様に植物の養分になるしか無い。そんなものはごめん被ると、全身を斬り裂かれながら咄嗟に懐から一本の霊筒を手繰り、即発動させた
「『水の徳よ、木を閉ざせ!』」
弾け割れる霊筒、そこから溢れ出る霊薬が白く光り、途轍もない冷気の渦へと変わる。それは極めて局所的な吹雪となり凌我を中心に周囲の物質を凍結させる。氷点下では、水に濡らしたタオルを振り回すと凍りつくと言う現象が起きるが、これもそれと同じ様に植物の中にある水分からあっという間に氷結してゆく。完成したのは俺の血が多量に混ざった、緋い氷に覆われた植物のオブジェだ
その中心にいる俺も、全身の傷の上から極寒の冷気を浴びた事で至る所が凍傷になり掛けたが、死ぬよりはだいぶマシかと、痛む身体を押し通して凍りついた植物を叩き割り、脱出した - 33二次元好きの匿名さん23/09/20(水) 19:32:17
ほ
- 34千界樹の記録23/09/20(水) 23:28:33
「やってくれたな一級講師」
体の至る所から血が流れているが、すぐに魔術で傷の応急処置を行う。凍傷になりかけた外傷と流血がかなり酷いが、何とか堪えている。やはり、奴の工房の中では勝ち目は限り無く薄いようだ。魔術戦に於いては現状ほぼ上を行かれている
「いや見事よ。他の魔術師なら今の攻撃は躱し切れまいて」
「ハッ!俺を他の箔付けに来た馬鹿どもとは違うんでな」
強がってはいるが、正直なところ立っている事も厳しい状況だ。今の攻防で完全に戦いの流れは彼方に傾いている。この状況では仕込みを解放はできないし、この場所では開放の意味は無い
此処で打つべき手はーーー
「ま、此処は不利だし、いっん引かせてもらおうか!」
三十六計、逃げるにしかず
指を鳴らして魔術式を編む。魔術の触媒に使用した水の一部、役目を終えて残留しているそれらを一気に加熱、水蒸気へ変化させる
変化した蒸気は視界を覆う程の白い水煙に変化する。魔術による欺瞞効果もあって俺の姿は奴には見えない
「これはーーー」
「仕切り直させてもらう!」
「ーーーさせん!」
逃げようとする凌我を阻止しようと植物のバリケードを展開するが、捉えた様子は無い。そして、煙が晴れた時には既に凌我の姿は無い
「逃げ足の速い……」
不利だと思えばスグに撤退、退散。臆病な事ではあるが、戦場に於いてそれは唯の卑怯な手段だけに留まらない
勇気ある決断であり、臆病であるが故に生存戦略における優れた一手でもあった
「だが、理解しているはずだがな」
此処が私の工房なのだから、彼が何処に行こうが手に取るように把握できる。何処へ逃げたとしても無駄な事
仕切り直し、と彼は言っていた
ならば、目的は時間稼ぎか。私が追い付くか、追撃を行うまでに何らかの術式を準備してこの工房の結界を破壊して己のサーヴァントと連絡を取る腹積りだろうがーーー
「だが……!」
先程も言った通り、この工房は私の手の中も同然であり、逃げ場も無ければ稼ぐ時間も無いのだと教授してやろう - 35千界樹の記録23/09/21(木) 08:15:49
セイバーの剣戟を捌き、一度仕切り直すべく距離を取ったランサー。セイバーは腕に傷を負ったまま、なおも此方を上回りかねない実力を発揮し続けていた
正直、令呪による対セイバーの補強が無ければ、ここまで互角に近い戦いは出来なかったかもしれない
圧倒的な膂力から繰り出される戦技の数々。
力はあれど技量の無い者、逆に技量はあれど力がない者。そう言った戦士は数多くあれども力と技量を兼ね備えた戦士は英雄の中でもそう多くはない。ましてやそれが、
英雄たちの中でも最高峰で両立する戦士ともなれば尚更だ
トロイアの英雄である自身も、力と技量を兼ね備えた戦士だと言う自負はある。だが、セイバーのそれは己を更に上回っている
それだけでも苦しい戦いを強いられると言うのにルーン魔術と言う詠唱の必要ない魔術を駆使している。端的に見ても、その技量は十分キャスターとして召喚されてもおかしくは無いレベルである
「ふぅ……」
呼吸整える。セイバーも仕切り直しに応じるつもりか、此方への追撃はしてこない。空中にルーン文字を刻んだと思ったら、彼が撃ち放った短剣が全てからの元へと戻って来ていた
これで状況は振り出しに戻る。現状、此方の敗北条件はセイバーがこのフロアの構造そのものを破壊しにかかると言う点だ
ここはマスターの拠点として入念な下準備を整えた要塞だ
その一つとして、強力な結界を張り巡らせセイバーとマスターの繋がりの一部を断ち切った。魔力パスや契約そのものを切る事はできないが、互いの位置を把握する事はできず、念話も繋げないはず。そのお陰でセイバーは、自身のマスターが巻き込まれる可能性を危惧し宝具の発動が出来ないでいる
魔剣グラム。あれの真名解放ははっきり言って滅茶苦茶だ。最強の魔剣を謳うだけのことはある。それに対する最大の対抗策は、撃たせないこと、これに尽きる
(ま、こっちも同じことが言えるんですけどね)
だが、宝具が使えないのは此方も同じ。此方は拠点に張られた結界の影響を受けることはないが、セイバーのそれに劣ると言えど此方もランクAの対軍宝具。迂闊に使用できる物では無い。使用するには少なくともマスターが近くにいないタイミングに限られる
その為、此方が発動の素振りを見せれば、此方のマスターと戦っているはずのセイバーのマスターも近くにいない事を悟られる恐れがあるのだ - 36二次元好きの匿名さん23/09/21(木) 19:29:43
保守
- 37二次元好きの匿名さん23/09/22(金) 07:22:05
追いついた
読み応えあって良いな! - 38千界樹の記録23/09/22(金) 08:01:33
そう言った観点から、ランサーも下手に宝具は使えず、セイバーにして見ても本来ならば即刻このフロアをブチ抜いて自身のマスターとの合流を果たしたい筈。いくら此方のマスターが拵えた要塞と言えども神代の英雄であるセイバーにしてみれば何のことはない結界でしか無い。その気になれば一瞬で結界毎このフロアを破壊できるだろう
それをさせないことも、己の仕事である。セイバーが破壊行動に出ようとすればその隙を此方が突いて阻止してゆく
この手の嫌がらせは生前において最大の敵であったアキレウスを相手にした時、嫌と言うほどにしてきた為、得意中の得意である
更に時間稼ぎの防戦は此方の十八番。最悪此方のマスターが相手のマスターを斃すのをこうして待ってやればいい
だが……
(やっぱ、違う疼くんですよねぇ)
戦いの前に受けた令呪、その内容がランサーを戦いへと駆り立てている
セイバーを斃す。ランサーは自分でもどうかと思うほどに戦意を激らせている
その理由は偏に令呪による命令だけではない。ないのだーーー
「ふむ、奇妙な事もある……」
セイバーが珍しく自分から口を開く。だが、何かを喋ったかと思えば唐突に辺なことを口走る
時間稼ぎのつもりかとも思ったが、それで有利になるのは此方だ。何のつもりかは知らないが問答に時間を割けるなら余計な消耗をせずに済む。何が目的かは分からないがとりあえず会話に応じることにした
「何がですかい?」
「貴殿の気質からして、このような場でここまで勝ちに来ていると言うことがだ」
唐突に突きつけられた言葉に、一瞬だけ意気込み詰まった
本当に、この英雄は……!
「そんなに変ですかね?」
「変ではない。だが奇妙ではある。貴殿は守護に優れた英霊であることは理解した。だが、貴殿は衛に優れた英霊だろう」
勝ち目の薄い戦いに赴くとはあっても
そこまであの手この手を駆使してでも勝ちに来る様な人間ではない筈。セイバーはランサーにそう告げる
セイバーの叡智の結晶の前に見抜かれるランサーの性質。その分析力と観察眼、ともすれば真名も知られているのではないかと戦々恐々物だろう
確かに、ランサーはトロイアの守護者。勝ち目の無い戦いの中で微かな希望を繋ぐために戦った英雄だが、ランサー自体は周囲の英雄たちと違い、戦場で戦い勝つことの栄光火はさほど興味はない。寧ろ戦いの無い平和にこそ価値を見出せる人間性を持っていた