- 1二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:58:47
ライスシャワーからの期待に応えるため常に気を張ってはいるお兄さまにも気を抜く時間は存在する。
お昼休みである。
時間や社会に囚われず幸福に空腹を満たすとき、つかの間、お兄さまは自分勝手になり、自由になる。
今日のお兄さまのお昼ご飯は手製のお弁当である。五段重ねの重箱と普通のサイズのお弁当箱が一つ。重箱がライスの分である。元々はライスの栄養管理のために始めたのだが一緒に作ってしまえば手間も省けるためお兄さま自身のお昼ご飯も一緒に作ることにしたのだ。お兄さまの主食は人間やウマ娘と同じである。血液はあくまで嗜好品であり、飲まずとも体調に影響はない。
お兄さまの鋭敏な聴覚はライスが校舎裏の木陰にいることを捉えている。
まずはライスのお弁当を彼女へ届けなければならない、のだが... - 2二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:59:34
『尾行されている?』
先程からお兄さまが歩を進めるたびに何者かがついてくるような気配がある。
確認のため校舎内の次の角まで歩き立ち止まる。
スタスタスタピタッ
ツイテクツイテクツイテクピタッ
間違いない。お兄さまは自分が尾行されていることを確信する。
1人ではない。少なくとも3人以上が背後の物陰に身を隠している。
何が目的だろう。足音からして尾行者はウマ娘に違いない。敵情視察が目的だろうか。
尾行者の目的は絞れないが尾行された状態でライスに合流するべきではない。
お兄さまは次の角まで走り、足音が消えるのを不審に思われない程度に霧化を繰り返し、尾行者をなんとか撒いて校舎裏の通用口付近にたどり着いた。
次の角を曲がってドアを開ければ校舎裏に――
そう思ったところで、声をかけられた。 - 3二次元好きの匿名さん21/12/22(水) 23:59:49
バンパイアお兄さまか…
- 4二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 00:01:02
「お兄さま!お弁当持ってきてくれたんだね!」
ライスシャワーだ。尾行者を撒くことに集中しすぎるあまりライスの位置の確認を怠っていた。
「ありがtムグッ、おおおおお、お兄さまにゃにぉ...」
ライスを抱き締めるようにして柱の影に隠れる。
『シッ、静かに』
「ミ°ッ!」
察してくれたのかライスはそれ以上喋らなくなった。
尾行者は撒いたはずだが油断はできない。そのままの体勢で周囲に尾行者がいないことを確認し、ライスを解放した。
ライスにお昼ご飯を食べるよう促したのだが...
「......お兄さまは一緒に食べないの...?」
ライスが上目遣いで見つめてくる。 - 5二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 00:02:41
午後からトレーナーの集合研修があるためお昼は研修室で食べるつもりだったのだ。
ライスとご飯を食べた後に研修に向かっても間に合わない。
しかし、もちろん一緒に食べるよ、お兄さまは一瞬の迷いもなくそう答えた。
研修会場へは霧化して移動すればギリギリ間に合うだろう。
「よかったぁ。あっちで食べよう!」
そう言って、ライスが木陰のほうへ駆けていく。追いかけてお兄さまも校舎裏に出ると、外を歩いていたウマ娘と衝突しそうになった。
相手に怪我がないか確認し、笑顔で丁重に謝罪を述べてから駆け足でライスのほうへ向かう。
ライスとおかず交換や談笑をしながらお昼ご飯を一緒に食べるという行為こそが、担当トレーナーに与えられた最高の癒し、と言えるのである。
ライスとお兄さまのお昼の風景は昨日も今日も明日も同じである。
明日以降変わったことといえば、翌日からお兄さまの後ろをついていくウマ娘が1人増えたことである。
うまぴょいうまぴょい - 6二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 00:03:53
辻斬りしてる…
- 7二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 00:05:49
ある意味ホラー。吸血鬼の魅了というやつか。
- 8二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 00:08:51
そういうとこやぞお兄さま
- 9二次元好きの匿名さん21/12/23(木) 06:31:57
最近人外トレーナー流行ってますね…