- 1二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 17:57:37
当たり前の話だった、僕は彼女のなんでもないのだ、僕は彼女に恋してから、ずっと彼女のことを考えていた、一方彼女は、僕のことを考えた時間など、人生の1%にも満たないだろう。彼女...スカーレットがレースで一着を取るたびに、祝福のメッセージを送った、彼女はいつも返信を返してくれていたが、最早僕とスカーレットの繋がりはそれだけだった。ある日から、その返信すら途絶えていた...。それでも僕は、彼女を諦めきれなかったのだろう、以来誰も好きになる気になれなかったし、事実ならなかった。
それでも僕は、スカーレットのレースを見ることをやめなかった。
僕は大学に進学した。偶然にも府中に近い大学だった、大学生活2年目の冬に差し掛かった頃、彼女のライバルたるウオッカの引退が報じられた。
奇跡というのは、本当に唐突に起きるらしい。大晦日の晩、バイトが予定外に長引き、げっそりした帰宅途中、駅に、彼女は立っていた、間違いなく、あのダイワスカーレットだ。お忍びなのか、帽子を深く被り、ウマ娘に特有の耳を隠し、また尻尾もロングスカートでカムフラージュしているようだが、あの瞳だけは見間違いようがなかった。 - 2二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 17:58:06
恐る恐る話しかけた。初めは僕が誰だかわからなかったようだ。それでも、名前だけは覚えてくれていたようだ。「ごめんなさい!勝つたびにメッセージ送ってくれてました...?よね?スマホの引き継ぎの時に連絡先消えちゃって...」
片やしがない大学生、片や圧倒的なファンを抱えるウマ娘、彼女がレースに勝つたびに手の届かないようなところに行ってしまった感覚があったが、小学校の頃とは違うよそ行きの口調は、至極当然のことながらこれまでのどんな事実より残酷に別世界の人間という実感を僕に与えた。そんなことを考えながら一言二言言葉を交わすうちに、彼女の待ち合わせ相手と思しき男性が現れた。
彼女がトレーナーと呼ぶその彼、彼が現れた時の彼女の表情といったら!
もう何もかもどうでもいい気分だ、人生最悪の大晦日だ、彼女が彼を僕に紹介してくれたようだが、最早右から左に通り過ぎるだけだった。
「...お二人は、お付き合いとかされてるんですか?」
普段なら僕はこんな不躾なことは言う人間ではないのだ、我ながらおかしくなっていたと思う。それでも聞かずにはいられなかった、とどめを刺して欲しかったんだろう。
返ってきたのは否定だったが、まぁアレを否定と取る奴はいないだろう、彼女が顔を真っ赤にして、必死で否定している様は最早滑稽だった。
彼女の引退と、ついでに元トレーナー熱愛報道が流れたのはその日から割とすぐだった。 - 3二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 18:01:16
いいゾ~
- 4二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 18:03:14
脳が破壊されて事により印象が良かった青年が心の中で悪態を吐くようになってしまって…
- 5二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 18:06:31
ウマ娘BSS流行らすのはやめろぉ!(建前)
- 6二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 19:17:51
いいやもっと流行らせてもらう
- 7二次元好きの匿名さん21/08/30(月) 19:20:36
会えてる間は何もしなかったのに、会えなくなってから何年もくすぶり続けるその情愛のしぶとさを俺たちは愛でたいんだ