【一口SS】「メインシステム――」

1二次元好きの匿名さん23/09/23(土) 22:21:37

「でちゅねモードを起動します」
「通常モードに戻りなさい。誰だ、君に変な知識を与えたのは」

　とある昼下がりにいきなりの爆弾発言。少々驚いたが、実のところ問うまでもないな。スーパークリークとその担当か。
　全く、あのコンビは恥じらいがなさ過ぎる。そろそろ修正が必要だな。

「ＡＰ（赤ちゃんポイント）、５％以下。危険です。私の元へ退避してください」
「むしろ安全だろうが。……手を広げたって駄目だぞ」

　普通の大人としては当たり前なのだが、強く拒絶する。途端、ブルボンは少しうつむき、悲しそうな表情を見せた。

「……他のウマ娘抜きでトレーナー室にこもるのも久々でしたから。トレーニングは逃げませんし、ゆっくり甘えてほしかったんです、マスター」

　やめてくれ、その顔には弱いんだ。

「……分かった。ほんの少し、ちょっとハグするだけだぞ？」

　この子に悲しそうな表情は似合わない。それがこの程度の歩み寄りで笑顔に変わるなら、妥協点としては良いところだろう。抱きしめられた瞬間、彼女の体温が伝わってきた。

「いいこ、いいこ」
「……」

　こうしていると、なんだか安心するな。共に長く戦ってきた彼女だが、随分と親しくなったものだ。
　まあ、なんだ。こうして身を寄せるのも、悪くは――

「ＡＰ、２０％に回復」
「はい、おしまい」

　前言撤回。担当との関係を崩しかねないイレギュラー要素は抹消しておく。そう心に誓ったのだった。