グラス受けが見たかっただけのSS

  • 1二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:32:08

    「ん…!?」
    突然だった。
    スペちゃんと唇が、触れ合った。
    腕の上に手を乗せてきて、静かに顔を近付けて。
    たった数秒程度の物が何十秒にも感じてしまって。
    嫌がるとか、嬉しいとか、そういう感情すら私の外側に出ていってしまう。
    呆気にとられるとかそういうものを凌駕するほど、私の頭は一瞬にしてシャットダウンしてしまった。
    「スペちゃん…どうし、て……?」
    私はただ、ただただスペちゃんの部屋で勉強を見ていただけのはずだ。誘ったりなんてしてはいない。
    もちろん彼女に対して悪い感情なんてものはないけれど、よくある友人の間柄だと思っていたものだから、今さっきされた行為の意図を理解するのに時間がかかる。
    というか、そもそも頭が働かない。
    あの一瞬だけでスペちゃんの唇の感触を感じ、匂いが漂ってきていた。そんな状態でろくに思考など巡らせられる訳がなかった。
    「グラスちゃんの所だと、こうやってありがとうってやるらしいから……ちょっと恥ずかしかったけど」
    ……スペちゃん?
    スペちゃんがしたかったのはキスじゃなくてハグでは!?確かに海外では挨拶代わりにハグはしますし、仲のいい人同士なら確かにキスもしますけどあれは頬を近付けてるだけでキスはするフリで止めますよ!?
    そう突っ込もうとしたけれど、口は動かなかった。
    それにしても、スペちゃんから予想外の不意打ちボディーブロー並の衝撃を食らったからか、まるでそういう像のように身体が固まってしまって。
    「と、とりあえずスペちゃん!今日はそこまでやれたなら十分ですね、また明日困ったところがあったら言ってください!」
    「う、うん!ありがとうグラスちゃん!」
    「ではまた明日!」
    「また明日ね、グラスちゃん」
    私はまるで逃げるようにスペちゃんの部屋を出て行った。
    「はぁ……はぁ……」
    スペちゃんの部屋から出て、寮を出て、美浦に帰ってきてまた自分の部屋に戻って。
    ようやくまともに頭が働くようになってきて、考える余裕が出来たけれど、到底冷静でなんていられるわけがない。
    「はぁ…」
    寮のベッドに身を投げ出す。
    そんな雰囲気でも言葉も合図もなかったはずだった。そもそもスペちゃんからあんな行動が出てくること自体がイレギュラーに近しい。
    「…とりあえず寝て起きたら、スッキリするでしょう」
    そんなお願いにも近しいことを呟きながら、目を閉じた。

  • 2二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:35:39

    『グラスちゃん』
    『なんです…ん…!?』

    「っ!?」
    変な汗と同時に飛び起きた。
    …まるで昨日の日のリプレイだった。
    昨日のことが衝撃的すぎて意識の処理が追いつかずあんな夢をみたのだろう。
    「はぁ……」
    ため息をついてベッドから立ち上がる。
    時刻はまだ5時半で、起きるにはまだ早いけれど、二度寝する気分でもなかった。
    …どうせ寝ても、さっきの光景がフラッシュバックしては悶えるだけだ。

    「おはようございまス…」
    「あ!グラスちゃんおはよう!」
    昨日のことがすぐ頭をよぎり歯切れの悪くなっている私に対し、なんの変哲もないスペちゃんが教室にいた。
    何ら様子に変わりのない、いつも通りのスペちゃん。
    「グラスちゃん?どうかしたの?」
    「……いえ、なんでもないですよ」
    ──昨日、あんなことをしたくせに。
    そう思いかけたが、踏みとどまった。
    スペちゃんの勘違いによる事故みたいなものだから、恨み言みたいなことを言ってもしょうがない。
    きっとスペちゃんも海外の文化を試してみたくてやっただけで、一度限りのことだろうから、問い詰めるのも違う。
    「今日も勉強しなきゃ!補習受けたくないし!」
    「……そうですね」
    無邪気に笑うスペちゃんの笑顔が眩しい。
    …引きずってるのは、私だけ。
    しゃっきりしなければ。今日もスペちゃんの勉学と格闘することになるのだから。
     
     
     

  • 3二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:39:12

    どうして。
    どうして、こうなった?
    「スペ、ちゃん…?」
    「グラスちゃん、こっち見て」
    頬を持って向き直された。
    腰あたりにスペちゃんの重みを感じる。
    つまり、私は押し倒されてスペちゃんに乗っかられているというわけだ。
    「グラスちゃん、知ってたよね」
    「え?」
    「外国の挨拶でキスするの、本当はするフリだってこと」
    「……まさか」
    私は昨日、試されてた。
    スペちゃんにキスされて嫌な顔をするのか。
    私が距離を開けてしまうのか。
    私の答えは当然NOだった、友人であるスペちゃんと日常を過ごそうとした。
    「私があんなことしたのに、グラスちゃんは避けるどころかいつも通りでいようとしてくれた、実はドキドキしてるのに」
    「な、んで…」
    「だってグラスちゃん目が揺れてたし、ビックリして昨日帰っちゃったから。今もグラスちゃん目が揺れてるよ?」
    スペちゃんの瞳に映る私は、確かにどこか怯えたような、動揺しているようなそんな感じだった。
    「でもグラスちゃんは来てくれた、あんなことしたのに」
    「それはっ、スペちゃんの勉強を…!」
    「本当に、それだけなの?」
    「っ!」
    「私、グラスちゃんのこと、好きだよ」
    「わ、私もスペちゃんのことは好きですよ?」
    それは本当だった。
    スペちゃんとは一番仲のいい友人で、ライバルでもあって。
    今回の勉強会だったものだって、補習にならずにスペちゃんと走りたいからであって。

  • 4二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:40:51

    「じゃあ、いいよね」
    「え──」
    スペちゃんが私を抱きしめる。
    「…嫌がるなら今のうちだよ?」
    私は嫌、なのか?
    どうだった?あの時の気持ちは、嫌悪感を抱いたか?
    文化を間違えて覚えていると思って微笑ましかっただけか?
    嫌なら怒れば良かった、私はそれが出来る子だと自負してる。
    じゃあなんであの時わざわざ私は逃げるようにスペちゃんの部屋から出た?
    ──嫌じゃないから。嫌じゃないのに、気持ちの整理がつかなくて、誤魔化すようにその時をやり過ごして。
    私の、本心は───?
     
     
    ──体温を感じる。スペちゃんの暖かさを。
    私の腕は、無意識のうちにスペちゃんの背中に回っていた。
    「……グラスちゃん」
    スペちゃんも抱きしめる力を強める。
    暖かさが、私の身体に伝わる。
    きっと、スペちゃんにも私の暖かさが伝わってるはず。
    「私……私もスペちゃんのことが……好き……」
    声は掠れていて、ちゃんと聞こえたかどうかは分からないけれど。
    お互い力をいっぱい入れて、お互いの胸が潰れてしまうぐらいに密着して、お互いの顔を肩に埋めて。

  • 5二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:45:17

    「ねぇ、グラスちゃん」
    「……良いですよ」
    そう言った瞬間、お互い静かになった。
    寮の中のガヤガヤとしたウマ娘たちの声。
    外で聞こえる気合の入った喧騒。
    窓の外から入ってくる風の音。
    そんな全てが私たちに無関係な音となって、耳から入る情報の全てが消えていく。
    唇が触れ合う前に私は目を閉じ、スペちゃんを迎える準備をした。
    「ん……」
    …唇が触れた。触れているだけで、唇と唇が接触しているという感覚しかないはずなのに、なんだかどんどん頭が鈍くなっていき、ふわふわとしたような、気持ちの良いめまいのような、色んな衝撃が私を襲う。
    とても長く感じる時間だったが、実際のところは10秒も無いだろう。
    だけどそれだけの時間でも私には余りある多幸感が溢れているのが分かった。
    「…ねぇ、グラスちゃん」
    「は…い……?」
    こんな鈍い頭の私に何の話だろうか。
    分からない、ふわふわとした幸福感でマトモに判断出来ない。どうしましょう。なんだか色々と頭に入ってこない。
    「テストの日までまだまだあるよね」
    確かに、まだ日はある。3日か4日はあったはず。
    「また、『勉強』…教えてほしいなーって……」
    「…私で良ければ」
    4日もこんな感覚になるのかと思うと身体も頭もおかしくなってしまいそうだけれど、なんでも良い。
    窓から光が差し込んで、スペちゃんの紫色の瞳が輝いて見える。
    この子らしい、キラキラとした輝きを持った瞳に私は飲み込まれそうだ。
    いつの間にかお互い握りあっていた手が暖かく感じる。
    明日も、明後日もきっと幸せだ。
    そう思わずにはいられなかった。

  • 6二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:47:27

    一方その頃、同室のスズカさんは何も知らないままグラウンドを走っていた

    終わり!クソ長い妄想失礼しました

  • 7二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 02:58:25

    ウソでしょ…私ヲチにされてる……

  • 8二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 03:04:15

    スぺグラですか…
    こう、文章の暴力がすご

  • 9二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 03:49:15

    こいつらうまぴょいしたんだ!!

  • 10二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 06:36:48



  • 11二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 07:31:44

    グイグイ行くスペって何かちょっとインモラルだよね

  • 12二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 12:16:59

    >>9

    うまぴょいはしてないかもだろ!!

  • 13二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 17:27:56

    グラスがスペにクソデカ感情ぶつけまくってるイメージだから逆パターンは新鮮だな

  • 14二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 19:35:00

    >>10

    これなんの略だ…?

  • 15二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 21:56:05

    純情故の行動かと思わせて裏では反応を見てたの策士過ぎるだろこのスペ

  • 16二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:07:09

    >>9

    このスペとよわよわグラスのうまぴょい色々ヤバそう

  • 17二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:11:52

    スペみたいな一見そういう方面について無知そうな子って案外攻め適正あるんだろうか、とこれを読んで思った。

  • 18二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:28:37

    >>14

    だ から

    う まぴょいは

    隠 語じゃねえっつってんだろ

  • 19二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:41:52

    >>18

    そういうことか草

    なるほど理解、ありがとう

  • 20二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 22:45:38

    >>17

    スペちゃんは田舎の子なのでむしろ…(ド偏見)

  • 21二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 23:00:01

    >>20

    最近エースについて〝そういう〟話題のスレを見るが、スペも〝そう〟なのか……。

  • 22二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 23:15:30

    >>17

    無知っぽい子が攻めに回る=そういうことを知ってるっていうギャップがいいんじゃない?

  • 23二次元好きの匿名さん23/09/24(日) 23:52:51

    クソデカ感情の因果応報だ、大人しくスペちゃんに食べられてね

  • 24二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 07:15:36

    ちなみにスペちゃんは天皇賞(春)勝ちウマ娘なわけだが…

  • 25二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 07:22:44

    グラスちゃん特有の圧がなくなったらただのかわいい女の子じゃん最高かよ

  • 26二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 13:25:19

    >>25

    元から可愛い女の子なんだが?

    ただちょっと強気なだけなんだが?

  • 27二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 23:30:09

    >>26

    ちょっと…?

  • 28二次元好きの匿名さん23/09/25(月) 23:46:13

    >>13

    一応全敗してて全部惜敗って感じだからそういう感情になりやすそうなのは普通スペちゃんなのよね

    無知でいい子ちゃんだからあぁなだけでもし知ってたら…

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