- 1二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 19:18:49
「お、この曲は……スカイ、聞いてもいいか?」
ある日のこと車のスピーカーからオルゴール調のイントロが聞こえてきた。
「どうぞー?」
リモコンから手を離して曲に耳をすませる。
オルゴールはアップテンポな曲が流れ始めた。
すこし時代を感じる曲。マルゼンさんが好きそうな曲だなと思った。
くれたものをいくつもあげていく歌詞、そのテンポのままサビにはいる。背筋がぞわっとあわ立った
「……これ、失恋ソングじゃん、しかも結構ひどい別れ方」
「ははは、そう思うよな。俺も始めて本家を聞いたときそう思ったよ。」
トレーナーさんがすこし音量を下げる。
「俺の母さんがさ、よく歌ってたんだこれ。」
「…………」
なんというか、すこし反応に困る。
「いや、父さんとは今でも仲がいいよ、ただ、からかうためというかな。サビに入らずに延々と繰り返すんだ。で、父さんが謝るって流れ。」
子供の前でそれやるんだよなぁ、と懐かしむように笑う。
曲は変わらず、くれたものをのべあげている。
「仲がいいですねー。」
なんとなくいいな、と思った。そういう仲のよさもうらやましい。
「あなたがわたしに、くれたものー」
小さく口ずさんでみる。もらったものは数え切れない。
勝利の喜び、勝つための策、楽しい日々。たしかに永遠と歌えそうだった。
サビが二回繰り返されて、曲が終わる。ラジオのパーソナリティが喋りだしたので、また、番組を変えた。
「──あの日生まれた恋心」
いつか、謝るまで歌い続けてやる。 - 2二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 19:19:42