- 1二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 20:02:26
ファインがにこにこと笑みを浮かべながらベッドに腰を下ろす。
胸元にはさっきまで行われていたクリスマスパーティーで交換したプレゼントが抱かれていた。
「そりゃよかったな。なにもらったンだ?」
「えっとね……おー!かわいい手鏡!」
ファインは花の紋様があしらわれた手鏡を掲げて見せた。
「へェ、普段使いするのにちょうどイイ大きさなンじゃねェか?」
「In Excelsis Deo!大事に使わなきゃだね!」
手鏡を見つめるファインの隣に腰を下ろす。
微笑みを浮かべたまま彼女がぽつりとつぶやいた。
「……プレゼント交換ってこんな感じなんだね」
「やったことなかったのか?」
「この時期は家族と過ごすことが多かったからね。だから初めてのことばっかりで楽しいんだ」
ぽすんとファインがオレの肩に身体を預けてくる。
お互いの熱を確かめるように二人の間で指を絡ませ合う。
今日は一際冷え込んだせいか、いつもよりずっと温かく感じた。 - 2二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 20:02:46
「クリスマスって、やっぱり特別だね。大切な誰かと一緒に過ごす夜なんだから」
ファインに触れているすべてから心地よい熱がオレの身体中に広がってくる。
「家族だったり友だちだったり……恋人だったり、かけがえのない時間だよ」
ファインの手を強く握る。
エメラルド色の瞳がこちらを覗き込んでくる。
オレはファインを見つめながら口を開いた。
「……お前にとって、オレはどの関係になるンだ?」
ファインはにこりと微笑むとオレに顔を近づけてきた。
そして唇と唇が重なる。
触れ合う間ずっと手はつないだままで、時々お互いの口から洩れた吐息が唇を濡らした。
長いような短いようなキスを終えて離れたファインの頬は、ほんのり赤く染まていた。
「……これで答えになった、かな?」
はにかむファインをオレは思いきり抱きしめた。
とくんとくんとファインの心臓の音が伝わってくる。
熱も鼓動も匂いも、全部が混ざり合うような感じがした。
もう一度唇を重ねようとするとファインに制止させられた。
「せっかくもらったプレゼントを壊したらいけないでしょう?」
ファインがまだ手鏡を持っていることにオレはようやく気づいた。
慌てて飛び退いたオレを見てファインがまた微笑む。
ファインが机に置いた手鏡は赤面したオレの姿をありありと映し出していた。 - 3二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 20:03:56