- 1二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:03:54
「ハローハロー、ネオユニヴァースだよ」
「うぇいよー! ダイタクヘリオスよろたんFuu! 二人揃って~……」
「“ギャル☆クシー”だよ」「ギャル☆クシーっしょー!」
「なあなあユニっち? 最近バイブスアガることってなんかあったん?」
「ネオユニヴァースは“RETY”、『納豆』をたくさん“受信”をしたんだ」
「マジ!? ヤバ!? 神! ユニっちのガチトレンドだもんね!」
「でも一人だと使い切るのが“EXDFF”だから、寮長に『お裾分け』をしたよ」
「あはは、朝ご飯ちょー映えそー! 寮長もテンションあげみざわじゃん!?」
「アファーマティブ、寮の“REPR”の“ハイパーゴリック推進剤”になりそう、と」
「そりゃ納豆じゃなくてナットやないかーい! ウェーイ!」
ある日のトレーナー室。
俺は担当ウマ娘のネオユニヴァースから、ダイタクヘリオスとの漫才を見せられていた。
見せられていたのだが、これは、その。
俺の何ともいえない感情を感じたのか、ユニヴァースは残念そうに肩を落とす
「……やっぱり“DENY”かな、トレーナーが“トワイライトゾーン”を見る顔をしているよ」
「いや、そんなことは」
「ナットだけでは“REPR”、修理は“IMP”だからね」
「……そこじゃないと思うな」
ユニヴァースによれば、この漫才は聖蹄祭で披露する予定のものらしい。
何故急に漫才なのかは語ってくれていないが、とにかく彼女の意思は固いようで。
「トレーナー、ネオユニヴァースは『漫才』を“成功”させたい、“IDE”が欲しい」
「あー……ダイタクヘリオスには悪いけど、組む相手を変えてみても良いかもしれない」
「……別のウマ娘と、“ランデブー”をする?」
「うん、君はどちらかというと静かなタイプだから、同じタイプの子と組んだ方が良いんじゃないかな」
「『りょ』、ネオユニヴァースは『いつメン』以外と“TRYS”をしてみるよ」
「混ざってる混ざってる」 - 2二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:04:08
「ハローハロー、ネオユニヴァースだよ」
「こんにちは、ヤマニンゼファーです。二人が共に吹き抜けて」
「“スペースストーム”だよ」「スペースストーム、です♪」
「ふぅ、見てくださいネオユニヴァースさん。今日は客席が饗の風の賑わいですね」
「ビックバン、こんなに“観測”してくれる人がいるなんて、とってもスフィーラだね」
「皆さん恵風を感じさせる方ばかりです、凱風さん、祥風さん、一人飛ばして清風さん」
「……ネガティブ、そうやって“評価試験”に差をつけるのは“ジェイムズ・ウェッブのヒビ”になる」
「あら……そうですね、皆さんに悪風を吹きかけてしまいました。ごめんなさい、今一度吹き返しを」
「“NOST”、だよ。ゼロ、イチ」
「黒南風さん、乾風さん、木枯らしさん、大時化さん」
「……『なんでやねん』」
別の日のトレーナー室。俺はユニヴァースから、ヤマニンゼファーとの漫才を見せられていた。
最後のツッコミとともに、ぺちっ、とヤマニンゼファーを軽く叩く音が、虚しく響く。
俺の何ともいえない感情を察したのか、ユニヴァースはがっくりと肩を落とす。
「“ブレークアップ”をしているね、“TAPO”には辿りつけてない」
「いや、そんなことは」
「ゼファーに“DOCMF”なことを言わせてしまったのは『ごめんなさい』だね」
「それは多分本人も、見てる人もあんま気にしてないと思うな……」
ぶっちゃけ何を言われているのか良く分からなかったし、台風速報が始まったのかと思った。
確かにゆったりとしたテンションはお互い共通しているかもしれないが、なかなかに難しい。
「“ANOI”、トレーナーからのアドバイスが欲しい」
「……そっ、そうだな、中等部の子よりも、高等部の子の方が上手くいくんじゃないかな」
「同じ“銀河”を過ごす“恒星”に“軌道”を合わせるんだね」
「うん、その方が練習もしやすいだろうし、君もやりやすいんじゃないかな」
「アファーマティブ、トレーナーからの『穀風』はいつも『真艫』よりなんだね」
「混ざってる混ざってる」 - 3二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:04:25
「ハローハロー、ネオユニヴァースだよ」
「ようこそ我が世界樹(ユグドラシル)へ、タニノギムレットだ。私達が世界(ガイア)に刻む名は」
「プリマ・マテリアだよ」「堕ちた原初の天空神(ウーラノス)だっ!」
「…………ネガティブ、“MEET”と違う、ネオユニヴァースが『じゃんけん』で勝ったはず」
「ククッ、気にするな。ワタシとオマエでは想う理想の姿(イデア)が違う、俺とは酩酊するカクテルが違うのさ」
「カクテル……ネオユニヴァースは“USF”に興味を持っているよ」
「ほう? ならワタシがオマエを理想郷(エリュシオン)を導いてやろう、さあ、可能性(デュナミス)を見せてみろ!」
「“REQU”、まず『豆乳』は外せない」
「ベースは豆乳か、ククッ、面白い。それで、運命(フェイト)の筋書(シナリオ)をどう書き換える?」
「“MgCl”を主成分とした“液体”を混ぜる」
「フフッ、これはまさにカクテルの概念の破壊(デストロイ)……! さあ、もっと混沌(カオス)をっ!」
「さらに“CaSO”の『粉末』を投入をするよ」
「アッハッハ! 審判(ジャッジメント)は下された! これこそまさしく白い女神(レウコテア)────!」
「……スフィーラ、『豆腐』の完成」
別の日のトレーナー室。俺はユニヴァースから、タニノギムレットとの漫才を見せられていた。
正直今までよりはちょっと面白かった気もするが、勢いに押し切られただけな気もする。
俺の微妙な感情を察したのか、ユニヴァースはしょんぼりと肩を落とした。
「……“ローンチ・フェイリァ”、かな」
「うーん、俺は嫌いじゃないけど、万人受けするかと言われると」
「あぅ……どうすれば良いのか、ネオユニヴァースは“困惑”をしているよ……」
「俺はこないだからずっと困惑しているんだけど」
「まるで『戦士の迷宮(エインヘリアル・ラビリンス)』、辿るべき『アリアドネの糸』を“消失”した」
「混ざってる混ざってる」
頭をふらふらとさせながら思い悩むユニヴァース。
そんな彼女の力になりたいと思って、俺はずっと気になっていた質問を投げた。
「……なんで、漫才なんだい?」 - 4二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:04:50
「……『ぼく』は、『あなた』の、皆の、笑顔を見るのが好きだったんだ」
ネオは語る、それは彼女が観測した、別の宇宙でのネオユニヴァースの話。
愛する人と一緒にいることができなかった、ネオユニヴァースの話。
「だから『わたし』は走りだけじゃなくて、言葉でも、皆を笑顔にしたいと思った」
ユニヴァースの弱点、それは普通の会話ができないこと。
しかし、それは俺が、彼女の友人達が、ネオのことを知ろうとして、克服しつつあった。
けれど彼女は、もっとたくさんの人に言葉を伝えて、笑顔にしたいのだろう。
……それで漫才という結論に至るのは、彼女らしいというか、なんというか。
俺は項垂れている彼女の頭を、そっと撫でた。
「大丈夫だよネオ、漫才に拘らなくても、いつも通り話しているだけで色んな人を笑顔に出来るよ」
「……そう、かな?」
「君と一緒にいる子達は、皆楽しそうにしているよ」
ゼンノロブロイも、ヒシミラクルも、エイシンフラッシュも、他のウマ娘達も。
ユニヴァースの行動や言葉に驚きながらも、笑顔で、とても楽しそうにしている。
ダイタクヘリオスも、ヤマニンゼファーも、タニノギムレットも、例外ではなかった。
そして、もちろん。
「俺だって、君と一緒に居る時間はとても楽しくて、幸せで────大好きなんだよ」
そう伝えると、ネオは目を見開き、少し頬を染めて、ピンと耳と尻尾を逆立てた。
しかし、すぐに耳と尻尾は穏やかな状態に戻って、彼女は口元を押さえながら、恥ずかしそうにはにかんだ。
「……『わたし』も、だよ…………えへへ、スフィーラ、とってもスフィーラだね」 - 5二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:05:05
「……でも『漫才』は生徒会に“送信”をしちゃったんだ」
「あー、でもまだ時間あるし、取り下げも出来るんじゃないか?」
「でもせっかくの“訓練時間”が『勿体ない』をしているよ」
「とはいえなあ……」
今回ユニヴァースが組んだ三人も悪いとは言わないが、他の観客の前でやるのは厳しい。
彼女達にも予定などはあるのだから、ここは素直に取り下げた方がお互いのためではないだろうか。
「────ワタシは巡り(フォーチューン)と宿命(ディスティニー)の気配を感じているぞ」
突然、差し込まれた言葉。
それは未だトレーナー室に残っていたタニノギムレットの言葉であった。
……いや、そっか、漫才終わってからそのままだったから、ずっといたのか。
彼女は少し芝居がかった動きで、言葉を続ける。
「ネオユニヴァース、オマエに酩酊する存在が、すぐ近くにいるだろう」
「……ダークマター、ネオユニヴァースには“探知”出来ない」
「同じ定めの鎖の重み(フェイト)を分かち合う存在、そいつと組め」
「…………!」
「オマエたちが記す破壊(デストロイ)と再生(ルネサンス)の喜劇(コメディア)を楽しみにしている」
そう言い残すとタニノギムレットは高笑いを上げながら、トレーナー室から去っていった。
……彼女が誰のことを言っているのかは、俺にもなんとなくは理解出来る。
出来れば俺の勘違いであって欲しい、そう思いながら、ユニヴァースに視線を向ける。
「ふふっ、トレーナーとユニヴァースが“ドッキング”すれば、『無敵』だね?」
ユニヴァースは目を輝かせて、尻尾をぶんぶん振り回しながら、こっちを見つめていた。
────聖蹄祭当日、宇宙交信系夫婦漫才という新たな伝説が生まれるのは、別の話。 - 6二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:05:48
- 7二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:10:24
- 8二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:18:23
短時間で出力されたとは思えないほどの凄まじいエミュ精度(しかも複数人!)で本当に脱帽です…
今日もユニちゃんが可愛くて生きる糧です
>「黒南風さん、乾風さん、木枯らしさん、大時化さん」
>「……『なんでやねん』」
ここテンプレですけど結構笑いました…普通にこの二人ならウケそう
- 9二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:23:12
謎言語の天丼芸で攻めるなら勢いで押し切るのがやりやすそうではある
いっそ趣向を変えて謎言語その2か普通に会話が成立するテイオーファインあたりでボケ2人体制、シャカール(解析)あたりをツッコミとして投入するとか
それはそれとしてエミュ力がすごくすごい... - 10二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:36:36
出たなマルチリンガルSSマン
毎度よくこいつらで書けるなってビビるわ - 11二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 00:40:52
納豆の人かな?
- 12二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 06:20:07
複数人でSSかけるのはすげえわ…
- 13二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 06:35:55
ギムと組んだときの豆腐のくだりだけちょっと面白くなってるの本当に笑う
高校生の文化祭の漫才感あって好き
そして“CONT”を起こしてるネオユニとかいうニッチすぎる存在のエミュがやたら精巧なのも笑うしこの展開からトレウマにきれいに持ってくのスゴイワザマエ… - 14二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 07:59:48
元のテーマから余計な要素生えてきてて草
- 15二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 08:06:44
元のテーマでも難しいのにエミュ難易度高い勢追加して成立させてるのすげえな。ゼファーの奴も見覚えのあるネタでもゼファーナイズされるだけで結構新鮮味感じるし。
- 16二次元好きの匿名さん23/09/29(金) 09:03:26
ゼファーのテンプレがよくわからなかった
- 17123/09/29(金) 18:31:30
感想ありがとうございます
”同期”をしているね
多分締めの台詞だけ学んだでしょうねえ……
本編のクリスエスとの絡み(ミラ子のイベントだけど)みたくボケ二人+ツッコミが良いんでしょうね
タニノギムレットが未所持なんでかなり難しかったです……
ちょっと前に書いた↓のやつですね
というかもうあれ五カ月前とか嘘でしょ……
(SS注意)自由、納豆菌、風|あにまん掲示板 都内、某所。 天を貫かんばかりのビル、溢れんばかりの雑音、濁流のような人波。 そんなありふれた喧騒の中、二人のウマ娘が共に歩いていた。「今日は共に風となってくれてありがとうございました。私一人でこの…bbs.animanch.com今回は複数人同時に喋らせてないので気楽な方でした
なんやかんやでギムレットだけはそれなりに形になるようにフォローしてくれそうな気がしました
漫才そのもののネタに自信がないので勢いで誤魔化そうという魂胆です
最近ゼファーは何やらしても面白いことがバレてきてますからね……
ネタの解説するのもアレですが『べっぴんさん、べっぴんさん、一つ飛ばしてべっぴんさん』のパロですね
ちなみに書く前までは綾小路きみまろの持ちネタだと思ってました