- 1二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:38:30
ーーニュースをお伝えします。巨大な虫型の未確認生命体が出没し、出版社複数件にミホノブルボンやメジロマックイーンなどの人気ウマ娘のファンクラブを襲撃する事件が多数発生しました。警察は未確認生命体の行方と正体については現在捜査中とのこと……
◇
「ライス……」
俺はライスシャワーの担当トレーナー。俺はとあることで頭が一杯になっていた。
数日前、菊花賞を征したライスはその功績とは裏腹に世間の風当たりは強いものであった。ミホノブルボン三冠を阻止したとしてライスシャワーは観客や出版社の記事によってヒールと扱われるようになったのだ。
当然、この扱いに彼女は悲しみの涙を浮かべた。俺はそんな悲しむ彼女に声をかけてあげたかったが、その時の俺は励ませる言葉を見つけられなかった。
「何で……勝った彼女が非難されなきゃいけないんだ……!」
人気のない場所でそう吐き捨てるように呟いた時、ふと何もない場所から謎の人物が唐突に現れて俺に声をかけてくる。
「契約をしないか?」
「何だ君は……?」
「キミは担当ウマ娘を笑顔にしたいだろ? まぁ、まずこれを見なよ」 - 2二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:39:01
そう告げられると突然、映像が視界に飛び込んでくる。春天の様子だろうか。ライスシャワーがメジロマックイーンを差しきって制した場面が写し出される。
「何だこれは……!?」
「ちょっと未来のキミの担当ウマ娘の姿さ」
視界にはレコードを叩き出したにも関わらず勝利した彼女への称賛の声がなかった春天の映像あった。
「嘘だ……またライスが辛い目に逢うなんて……!」
「まだまだ続きがあるよ」
続けて映像が飛び込んでくる。見る限り宝塚記念の場面だろうか。そこで信じられない光景を目にする。
「あぁっ……!! ライスがっ……!!」
コーナーに差し掛かり、スピードを上げた時に大きく転倒してしまったのだ。足を押さえて苦しむライスが救急車に運ばれて行く所で映像が途絶えて現実に戻される。
「これが未来の彼女さ。心ない奴らに嫌われ、最終的に二度と走れなくなる末路だよ。当然、キミはこんな未来を変えたいよね?」
「俺に何をさせるつもりだ……?」
「だから……運命を塗り替える変える力をあげよう」
すると、そいつは俺の身体に時計のような物体を起動させて埋め込んでくる。
「今日からキミが仮面ライダークウガだ」 - 3二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:39:26
トレーナー怪人路線は初な気がする
- 4二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:39:27
ライスシャワー、君の笑顔を守れるなら俺はどんなことでもできるよ。君を悲しませて泣かせる奴らを俺は絶対に許さないから。
君が笑ってくれる日まで、泣かなくてよくなる日まで、どんな奴が相手だろうと俺は負けはしないから。
恐怖も、痛みも、君に与えさせはしない。ヒールは俺だけでいい、君だけが笑顔であればいい。俺が君の運命を塗り替えてやる。
◇
世間が未確認生命体について騒いでいる時でもウマ娘達は休むことはない。春天前の大事な時期だ。彼女達は懸命に努力を続けている。
練習に励むウマ娘達が走るグラウンド。俺はそこを遠い目で見つめる。その視界の先には一走り終えた後のメジロマックイーンがいた。
その様子を見て、俺は自然とウォッチを取り出していた。
「……何で最初に思い付かなかったんだろうか。そもそも対戦相手が居なければいいんだ……これで彼女は……ライスシャワーはただ一人のヒーローだ……!」
ウォッチを起動させる。
クウガァ…… - 5二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:41:07
やめやめろ!
- 6二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:44:13
マックイーンに向かって一直線に飛んで向かって行く。それを見たトレーナー達やウマ娘達は恐れおののき逃げ惑う。あと少し……これでライスシャワーはーー
「止めてお兄さま……!!」
いざ襲いかかろうとしたその瞬間、目の前にあの子が両手を広げて立ち塞がってきた。ライスシャワーだ。
震えながらもへたりこむマックイーンを庇うようにしている - 7二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:48:09
「お兄さまなんでしょ……? 何でこんなことするの……?」
一目でで見抜かれ、俺は狼狽える。何故わかったのか。
「ライス……何で……わかったんだ?」
「だって……虫さんの中からお兄さまの声がしたから……」
ウマ娘の聴力を侮ってしまった。だがそんなことは大事な話ではない。
彼女は……ライスシャワーは大粒の涙を浮かべて悲しんでいた。 - 8二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:48:57
今日から君がライスシャワーだ
アナザーライスシャワー爆誕 - 9二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 13:54:11
「お願いお兄さま……皆をこれ以上傷つけないで……皆に痛い思いや悲しい思いをさせないで」
ーーあぁ、俺は何てことをしてしまったのだろうか。こうなることなんてすぐに気づけていたはずなのに、皆が傷ついて彼女が笑顔を浮かべられるはずがないのに。
「それに……お兄さまも辛いんでしょ? そんな虫さんの姿になって……」
「俺が……?」
「だってお兄さまずっと叫んでた……お兄さまの悲しい叫び声がしてた」 - 10二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:01:37
俺はトレーナー失格だ。彼女の為にと思い込んでとんでもない過ちをおかしてしまった。
到底許される罪ではないが、これ以上罪を重ねない為にもーー
「……うぐぅっ!?」
「お、お兄さま!?」
「ラ、ライスっ……! 離れろ……!!」
内側から力の暴走が始まった。俺に宿るウォッチが俺の願いを叶えようと制御が利かなくなっていた。
このままでは学園ごと破壊してしまいそうな衝動が沸き上がってくる。俺にはどうすることもできない。 - 11二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:03:52
ん我魔王の到来が待たれる
- 12二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:03:54
おウマジオウ!!助けてー!!
- 13二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:06:05
ライス、お前が変身しろ
- 14二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:13:37
暴走する俺は周りを滅茶苦茶に破壊するように暴れまわる。もう誰も止められないと思われたその時ーー
ライダータイム!
突然、背後から攻撃が飛んでくる。よろめいて振り替えると謎の仮面の戦士がそこにいた。
ライスシャワーや他のウマ娘を俺から避難させてその戦士は武器を手に取る。
「な、謎の仮面さん……! あの虫さんはライスのトレーナーさんなの! だからあんまり乱暴しないであげて……!」
「大丈夫、俺があの人を止めてあげるから」
フィニッシュタイム!
戦士は大きく飛び上がり俺に目掛けて蹴りを放つ。直後に大きな爆発が起きて俺の意識は一度途絶えた。 - 15二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:15:15
サンキュー魔王!
- 16二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:18:11
グッジョブ魔王!
- 17二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:21:05
やっぱ我が魔王さすがッスね
- 18二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:24:52
目が覚める。そこにはライスシャワーが心配そうに倒れる俺を見つめていた。
「お兄さま!」
「ライス……ゴメンよ……」
そしてそこにもう一人、青年が立っていた。
「君は……もしかしてさっきの仮面の戦士か?」
「うん、もう大丈夫。ウォッチは砕いておいたから」
「……だけど、あれがないと未来が……!」
「タイムジャッカーとどんな契約を結んだかは知らないけどさ、未来はこの瞬間にも変わって行くんだと俺は思ってるんだよね。だからトレーナーさんも未来を……その子を信じてあげたらどうかな?」
「信じる……」
ライスを再び見つめる。そうか、俺は信じられてなかったんだ。彼女の可能性を俺は勝手に決めつけていたんだ。
「その様子を見るともう大丈夫そうだね。じゃあ俺はもう行くよ」
「待ってくれ! 一体君は……」
「俺は常磐ソウゴ、最高最善の魔王になるのが夢だよ」
そういうと青年は立ち去って行った。 - 19二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:30:06
トレーナーアナザーライダー路線流行れ
- 20二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:41:47
その後、幸い人的被害がなく証拠となるウォッチは消滅した為、警察に御用になることはなかった。
しかし、このことを理事長に包み隠さず話して俺は自主的にトレーナーライセンスを返上した。自分なりのケジメというのもあるし、誰かを悲しませてしまった俺があの子のトレーナーを続ける資格はないと思ったからだ。
「お兄さま……!」
「ライス……」
「お兄さま……トレセン学園のトレーナー止めちゃうの……?」
「うん、ちゃんと自分の罪と向き合って胸を張って君の前に立てる日まで戻らない。ゴメンよライス」
「行かないでお兄さま……! ライス、お兄さまにずっと一緒にいて欲しい……!」
引き留めるライスに対して俺はそっと告げる。
「……いつでも君を信じてるから。君のことをいつも想って、応援してるから。君はライスシャワー……祝福という名の俺のヒーローだから。君なら未来を越えて行けると信じてるから」 - 21二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:51:54
ーー天皇賞春、
俺は客席で彼女の走る姿を目に焼き付けていた。周りからはライスシャワーをヒールと扱う声が響き渡る。そんな周りの声量に負けないように、俺は声を張り上げる。
「ライス、行けぇー!! 勝ち取れー!!」
いつか見た光景と同じようにライスシャワーはメジロマックイーンを征してレコードを叩き出した。そして、その観客の大多数は称賛の声が上がらなかったことも……
「よくやったぞライス!! 君は最高のヒーローだ!!」
周りの目を気にせずに必死に呼び掛ける。彼女にこの声援が届くと信じて - 22二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 14:55:01
我が魔王…(恍惚
- 23二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:01:57
ーーそして運命の宝塚記念
俺は彼女が宝塚記念に出ると知ってから気が気でなかった。あの時の光景が目に浮かぶ……コーナーを曲がりきれずに転倒して救急車に運ばれ、そして二度と走れないと告げられたあの光景ーー
そんな記憶を振り払って俺は客席に足を運ぶ。そして、いつの間にか彼女を応援する声が周りで響いてきた。
レースが開始される。心臓がバクバクと高鳴る。グングンとライスシャワーはスピードを上げてコーナーへと差し掛かって行き、そしてーー
「ーーゴール!! ライスシャワーが宝塚記念を征しました! そしてレコードです! 今ここに、伝説を塗り替えた一人のヒーローが誕生いたしました!」
大量の声援と共にライスシャワーはヒーローとなる瞬間を俺は見届けた。 - 24二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:03:07
これで終わりです。怪文書にお付き合いくださりありがとうございました
- 25二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:03:19
空っぽの星時代を0から始めよう
伝説は塗り替えるもの - 26二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:08:17
こういう皆幸せになるss好き
- 27二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:09:31
よかったー!
- 28二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:11:17
大切な人の最悪の運命を回避したくてその人が望まない手段を取った結果悲しませたり怖がらせたりする展開大好き侍でござる
- 29二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:40:27
- 30二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:46:46
アナザーでもクウガになれるような人は、多少歪んでようと誰かのためにならって戦える人なのがいいよね
- 31二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:50:40
アナザーライダーって事はこの世界ではゲゲルが行われてたのか・・・?
- 32二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 15:54:20
草
- 33二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 16:07:10
- 34二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 18:06:55
多分アナザークウガになってる時に情緒ぐちゃぐちゃになって暴れまわってるよねこのトレーナー。半ば無理矢理与えられたようなものだし
- 35二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 21:09:45
トレーナーライセンス失ったけどいつかまたライスに面と向かって再開できる希望がある終わりだな
- 36二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 21:17:58
アナザー小野寺ユウスケ感あるなこのトレーナー
大切な人の為に戦うけど方向性が真逆な辺が - 37二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 22:58:14
どこぞの事故起こして計画おじゃんになった奴と違ってすごくいい話だ
- 38二次元好きの匿名さん21/08/31(火) 23:05:29
仮面の中で涙を流すのはアナザーも同じなのがいいよね
- 39二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 09:32:39
トレーナー怪人路線流行れ
- 40二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 12:12:14
- 41二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 12:13:15
やっぱドーパントとヤミーじゃない?
- 42二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 12:23:59
我が魔王
本当にありがとう我が魔王… - 43二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 20:54:50
一応「暴走したクウガは黒目だけどアナザークウガはアルティメットになっても赤目だから、ティードにはクウガになれる素質があった」って説があるらしい
- 44二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 21:48:17