- 1二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:08:55
- 2二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:10:19
校舎がその先にあるという山道を歩きながらミオリは話す。
「"高等学校"とは言っても、とっくの昔に百鬼夜行に併合されて今や名前だけ高校の委員会なんですよね」続けて、
「そして今となってはその委員会でさえ私1人になっちゃいました。やっぱりこんな辺境にあるのが悪いんですかねぇ。」
と彼女はため息を交えながら溢す。
頭の中に砂漠の中で奮闘する生徒たちを思わず描いてしまった私は思わず苦笑してしまった。アビドスの彼女達は仲間と共に支え合って生きているが目の前の彼女はその仲間探しにさえ苦労している。彼女の逆境に抗い続けてきた心中はさぞ心細かったものだろう。 - 3二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:10:52
「でもね、もう心配しなくていいんです。
だって私の目の前には"あの"先生がいるんだから。
ですから先生、改めての依頼です。
この根堅学園に生徒が沢山来るような知恵を貸してください。」
ここまで言われてしまってはしょうがない
私は先生としての職務を全うするだけだ。
だが現場を見なければ何もできない。なので、
"とりあえず校舎に着いてから考えよう"と私は答えた。 - 4二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:11:41
「つきましたよ!先生!」
目の前には苔むした、歴史を感じさせる立派な鳥居とその奥に聳え立つ注連縄を幾重にも巻いた大樹を囲むように建てられた寝殿造りの校舎があった。
「さあ、どうぞ!いらっしゃいませ先生、我が根堅高校へ!」彼女の声が、山の木々に吸われて尚木霊する。それに釣られてか突如として人のような顔をした鹿によく似た生物が姿を現した。 - 5二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:12:29
"あ、あれは…?"
得体の知れない獣への恐怖を隠しきれない私の声に彼女は笑って
「大丈夫ですよ、先生。鳥居を越えたらあの獣はこっちに来られませんから」とあっけらかんと言い放つ。
"そういうことは早く言って!?"
私はそそくさと鳥居の中へ逃げるように入った。
「莠コ縺ョ蟄舌h縲??繧峨l縺ヲ縺ッ縺ェ繧峨〓縲ょシ輔″霑斐○」
まるで諭すような獣の鳴き声に耳も貸さずに。 - 6二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:13:43
"あれはなんなの!?"
私は取り乱しながら彼女に問い詰める。
「私にも分からないんですよね、昔にあったとされる根堅の書物庫を調べたら分かるかもしれませんが残念なことにわたしはその位置を知らないんです、こういう所がダメなのかも知れませんが…」
彼女は落ち込む素振り見せるも一転、
「アハハ、それにしても先生って結構怖がりなんですね」
彼女は腹を抱えてそう言った。
「一応、不安がなくなるおまじないあるんですけど
やってみます?」
"頼むよ"
迷うまでもなく即答した。
「では先生、両手の人差し指と親指をそれぞれくっつけて一つの輪っかを作ったあと、"え〜んがちょ"って言ってください」
"え、え〜んがちょ"
「はい切った」
ストンと彼女はチョップでその輪っかを壊した。
「これで安心ですね、先生。」 - 7二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:14:08
その言葉を受けて少し気を楽にした私は改めて辺りを見渡してみた。アロナにもこの荘厳な風景を見せたがったが生憎彼女はここ数日ずっと寝ていて起きない。
その後、ミオリと校舎を散策していると盛り塩があることに気づいた。
"なんで盛り塩なんかしてるの?"と彼女に問いかける。
「ただの伝統ですよ、昔いた先輩も意味を知りませんでしたし。あ、そういえば先生、そろそろ塩を変える時期なので変えるついでに色々見て回りません?」
"いいね" - 8二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:14:53
そして塩変えも残す所一つとなり私とミオリは最後の塩があるという大樹の巨大なうろに来ていた。
「これが最後の一つです、先生。
最後なので一つ特別なことをしてみません?」
彼女は少しはにかみながらそう言う。
「根堅に伝わる儀式なんです、
本来は結界の楔の役割を果たす盛り塩を一緒に振って撒き散らすことで結界を無くし、両者の堅い関係を取っ払おう!というものでして…」
"やろうか"
さ
「ほんとですか!?私、他の人とこれやるの夢だったんです!ではせーのでいきましょう!」
"せーのっ!"
パリン、そう何かが砕ける音がした。
急激に倦怠感を感じミモリの方を振り返ると彼女は、満面の、笑みで、
「先生、おつかれさまでした。」
ここからの記憶は、ない。 - 9二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:15:35
気がつくと、百夜堂の前にいた。
見にへばりつくような倦怠感に耐えながら百鬼夜行地区を歩いていると、遊び帰りであろうチセと出会った。
「先生…だいじょうぶ?顔色、わるいよ?」
"なんとかね…"
生徒に心配をかけまいとなんとか誤魔化そうとする。
「あ、そうだ先生。えんがちょして、えんがちょ」
"また…?"
少しうんざりしながらも輪を作る
「またって変なの、今日は今初めて私は先生と会ったのに。まあいいや〜、はい切った。」
体がスッと楽になる。
あまりにも急激な展開に呆気に取られていると、
「あなたも先生に迷惑かけちゃダメだよ、じゃあね先生〜」
チセはゆったりと帰っていくチセを見送って私もまたシャーレのビルへと歩き出した。 - 10二次元好きの匿名さん23/10/13(金) 22:17:34
後日、目を覚ましたアロナに平坂ミオリという生徒や根堅高校について調べてもらったところ根堅高校は20年前に併合どころか廃校となっており、平坂ミオリという生徒に当たっては存在すら確認できなかった。
ならばあの日の体験はなんだったのだろうか
アロナに提示されたあの鳥居の崩れかかった姿と
あの大樹の葉がひらひらと手の上で回るのとを見比べて今でも考えるのだ。 - 11123/10/13(金) 22:19:04
キヴォトスには元々無名の神やアーカイブ化を免れた神格が無数いるんだろうなという妄想を出力したものです