- 1二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:32:05
いつからこんなことになってしまったのだろう…
何度目かもわからない自問自答を繰り返す
「今日も頼むよ、トレーナー君」
「…わかったよハヤヒデ」
目の前の理知的な視線から逃れるように返答をする。
そして彼女は―――ビワハヤヒデはさも当然のように俺の膝の上に座った
いつものように彼女の重みと熱を直接感じる
膝に伝わる心地良い重みと彼女自身の甘い香りに惑わされないように気合を入れなおし、彼女が長年愛用している櫛を受け取る
「今日のトレーニングについてだが…君の感想を聞きたい」
「…ああ、うんわかった…そうだな…今日は雨上がりだったからかコーナーでバランスを崩していたな」
「む、やはり気づいていたか…そうだな私もその点について対策を話したかったんだ」
会話内容はいたって普通…我ながら『トレーナーらしい』内容だと思う…
これなら第三者にも大手を振って見せつけることができるだろう
ただしそれは…目の前の光景を考慮しなければ…の話だ
(いったいどうしてこうなった…)
再度思考を巡らせる…
少々はしたないが…ハヤヒデの尻の感触を意識しないように…
(あれはたしか…)
そうして俺は事の発端を想起する
この状況は…ハヤヒデで『提案』から始まっていたのだ… - 2二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:32:20
「俺ともっとコミュニケーションをとりたい…だって?」
「ああ、そうなんだよトレーナー君」
ハヤヒデの突然の提案を俺は聞き返した
「チケットはもちろん…タイシンも各々のトレーナーとのコミュニケーションを取っていると聞いてね」
「へえ…そうなんだ」
内心俺は驚いていた
彼女の友人であるウイニングチケットは感情表現が非常に…そう非常に豊かだ
そのため、スキンシップをとる姿はよく見かけていたが
「ナリタタイシンもそうなんだな…」
正直彼女のもう一人の友人…ナリタタイシンはそういったことと正反対に位置すると思っていた
「ああ意外だろう?しかし、彼女はああ見えて寂しがりでね」
ハヤヒデはいたずらが成功した子供のような笑顔を浮かべて続ける
「この前も対戦ゲームをしたが練習相手にもならなかったと…不満げな顔と裏腹に楽しそうに愚痴っていたよ」
一通り楽しそうに語った後、はたと口をつぐんだ
「ああ…トレーナー君、この話はくれぐれも…」
「ナリタタイシンには伝えないさ、わかってるよ」
そう伝えると彼女は目に見えて安心した
君子危うきに近寄らず…というやつだ
…もしかしたら『人の恋路を邪魔する奴は』というやつかもしれないが - 3二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:32:33
「それよりも私のコミュニケーションの話だ」
「ああ…本題はそっちだったな」
「私は…ほら…髪の手入れに…人より気を使っている…だろう?」
「んん…ああ…そうだ…ね?」
彼女の言葉には曖昧に返事をする…
事実としてハヤヒデの髪は…ボリュームがその…すごい…
現状は日々のたゆまぬ努力でなんとか保たれている、とは彼女の談だ
それこそ関西の美容院に足を延ばすことを本気で考えるほどに
「というわけで…君にも手伝ってもらいたいんだ!一人より二人の方が効率的だろう?」
「なるほど…?」
なんだか丸め込まれているのは気のせいではないだろう
しかし…
「君がそう言ったわがままを言うのは珍しいからね…もちろん協力しよう」
彼女のお願い事を聞くのは俺としてもかまわなかった
「そうか!ありがとう、トレーナー君!」
こうして嬉しそうな顔を見るだけでおつりが出るほど喜ばしいことだ
このときは…そう楽観視していた
まさか髪の手入れのため…膝に座ってくるだなんて俺は考えてもいなかったのだ… - 4二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:32:45
「ちょ…ちょっと待ってくれ!ハヤヒデ!」
「む?なにか問題があったかい、トレーナー君?」
椅子に座るように指示され…さも当然のように俺の上に座ろうとしてきた
…むしろ俺が間違っているとでも言いたげに彼女は首を傾げている
「スキンシップをとることはコンディションを整えることにもつながるんだ…合理的ではないか?」
「それは…しかしなあ…」
彼女の言葉には一理ある…あるのだが…
(いや、これはだめだろう)
彼女―――ビワハヤヒデはスタイルがいい
髪のボリュームもさることながら胸や尻に至っては同年代の中でもトップクラスといえるだろう
今も中腰の姿勢で…中腰だからこそ、その柔らかそうな尻が突き出されており、必死に目を逸らす…
そんな彼女を―――教え子とはいえ―――意識するなというのは無理というもの…なのだが…
「その…無理なら構わないんだ…私は…別に…」
ハヤヒデの悲しそうな顔と自分のちっぽけなプライド…
優先するのであれば間違いなく…
「まあ…うん…大丈夫だ…続けようか?」
こうして…トレーニング終わりのブラッシングが習慣づいてしまった
(がんばれ…未来の俺…)
そして俺は後悔を全力で未来に投げ捨てることにした… - 5二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:32:56
その結果が今に至るわけだが…
(まずいな…そろそろ限界だ)
これまでは必死に耐えてきたが…そろそろ理性が限界だ…
(触れるぐらい…構わない、よな?)
櫛を持つ方と反対側の手は、自由だ…
手が触れるくらいならばれないだろう…
我ながら最低なことを考えているのはわかっているが…もう無理だ…
目の前の果実に手を伸ばす…ああ、もう少しで触れ…
「…ナー君?…トレーナー君!聞いてるかい?」
「うわっ!すまない、ハヤヒデ!」
いけない…一瞬理性が飛んでしまっていた…
それもこれもハヤヒデの尻が柔らかいのがいけな…
(違う!…落ち着け、俺)
また意識が変な方向に飛んでしまっていた…
今日も耐えなくては…
(ああ…でも…触りたいな…)
そう覚悟したところで俺の醜い欲望は…限界に達していた - 6二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:33:07
「ふむ…そろそろ頃合い、かな」
ふと、彼女がこぼすと同時に『ふわり』と膝から重さが消えた
その直後…
「…ぇ?」
俺の口から妙な声が漏れると同時にハヤヒデが再び座りなおした
『正面を向いて』
「どうしたんだ、トレーナー君」
「ハ、ハヤヒデ!悪ふざけはやめてくれ!」
ギリギリで保っていた理性が『ドロリ』と溶ける音が聞こえる
こちらを見据える彼女の顔は…妙に艶っぽい…
「悪ふざけではないさ」
反射的に目を逸らしていると、彼女は確信をもって告げてきた
「トレーナー君は…私の『お尻』に夢中みたいだからね」
「なっ!何を…!」
とうとう気づかれた…羞恥心と罪悪感でどうにかなりそうだった
なんとか動く口で謝罪の言葉を紡ごうとする…
「その…すまな…」
「ああ、謝ることはないよ」 - 7二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:33:21
しかし、彼女はその謝罪を遮ってきた
それどころか嫌悪ではなく…達成感をにじませていた…
「トレーナー君がそうなるように仕向けたのはほかでもない…」
「この私だ」
熱に浮かされたような頭を必死に回転させる…
「何…を…」
「ふむ…伝わらなかったか…」
理解できない…しようとしない俺に微笑みかけるハヤヒデ
例えるなら授業中、返答につまった生徒をみつめる教師のように…
「つまりね…」
回答時間が過ぎてしまったのだろう…
「この状況は私の『計算通り』というわけだよ」
答え合わせが始まった… - 8二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:33:32
「私はね、トレーナー君…君のことが好きなんだ」
「そう驚かないでくれ…私も気が付いたら好きになってしまったんだから」
もはや話すことが出来なくなった俺にさらなる追い打ちをかけてくるハヤヒデ
「しかしそうなると問題が出てくる」
「君はトレーナーだ」
「いずれ君は私以外を担当することになるだろう…」
「そうなる前にどうしても決着をつける必要があったんだ」
「君に私を好きになってもらう必要が…ね」
気が付けば何やら甘ったるい香りが俺を包んでいる…
「さて、そうなると一番の敵は時間だ」
「効率的かつ効果的な方法を模索していたところ…思いついたんだ」
「…俗にいう『色仕掛け』…というやつさ」
ハヤヒデの言葉が耳から離れない…
「幸いなことに私の女性的な魅力はそれなりなものであると自負している」
「それに…無意識かもしれないが君は私のお尻をよく見ていた」
「トレーナーとしての職業柄かもしれないが…一番君の関心を引く可能性が高い部位が判明したんだ」
「そうなれば話は早い」
「使える武器は余すことなく使うことにした…」
「それが私の『勝利の方程式』だからね」
もはやこの重さも心地良い… - 9二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:33:44
「なあ、トレーナー君…覚えていてくれ」
一言一言…噛みしめるように…俺に言い聞かせるように彼女は続ける…
「私に火をつけたのは君なんだ」
彼女の言葉が…重みが…熱が…俺を逃がしてくれない
「…だから、ね」
目が逸らせなくなり、意を決して正面を見据える…
「最後まで責任は取ってもらうよ、トレーナー君」
そうして彼女は…『勝利』を確信した笑みを浮かべていた - 10二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:34:41
おわり
ハヤヒデの尻に敷かれたい…
そんな気持ちをSSにしました。 - 11123/10/17(火) 21:49:21
- 12二次元好きの匿名さん23/10/17(火) 21:56:50
おしりに着目してるの叡智すぎる…
- 13123/10/17(火) 22:07:00
ハヤヒデはスカートからのぞく尻も叡智ですからね…