- 1二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:14:49
- 2二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:31:01
- 3二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:31:07
村上春樹の作品の
窓の外で降る雨だけが僕らの沈黙を繋いでくれた みたいな一文がなぜか心に残ってる
そのシーンの雰囲気や関係性に合いつつ、あるある感もあって好き - 4二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:33:42
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- 5二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:37:24
「カラスの親指」
自分がえらくアホに感じられるくらい次から次へと騙されて楽しいよ - 6二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:40:58
山路(やまみち)を登りながら、こう考えた。
知に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安いところへ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生まれて、画ができる。
人の世を作ったものは神でもなければ鬼でもない。やはり向こう三軒両隣にちらちらするただの人である。ただの人が作った人の世が住みにくいからとて、越す国はあるまい。
あれば人でなしの国へ行くばかりだ。人でなしの国は人の世よりもなお住みにくかろう。
『草枕』の冒頭がたまらなく好き - 7二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:45:04
中学時代に読んだ夏の葬列で、仲良しの女の子が機銃掃射で撃ち殺されるシーンが異様に頭に残ってる
- 8二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:45:33
谷崎潤一郎の柳湯の事件
なんというかものすごいフェチズムを感じて良い - 9二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:48:29
森博嗣のスカイ・クロラ
青一色の表紙に白い字で作中の一節が書かれてるだけだったけど、こんな表紙があるのかと思った
一節も良かった - 10二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:51:22
「あのまた、歩きぶりといったらなかったよ。ただもう、すうっとこう霞に乗って行くようだっけ。裾捌き、褄はずれなんということを、なるほどと見たは今日がはじめてよ。」
泉鏡花 『外科室』
商人が名家のお嬢さんを褒めてるところだ
俺はこの人が天上の人のようだと思うよ - 11二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:51:59
古い小説だが、宮部みゆきの長い長い殺人というサイフ目線の小説で色んな持ち主のサイフが語り部になるが当たり前だけど全員無力なんだけど持ち主をめちゃくちゃ愛していて持ち主の気持ちに寄り添った語りが優しくて悲しい
特に探偵のサイフの章のラストの締めのセリフは涙がボロボロ出てきた - 12二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:52:55
- 13二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:10:31
水を両手で掬って、一くち飲んだ。ほうと長い溜息が出て、夢から覚めたような気がした。歩ける。行こう。肉体の疲労恢復と共に、わずかながら希望が生れた。義務遂行の希望である。わが身を殺して、名誉を守る希望である。斜陽は赤い光を、樹々の葉に投じ、葉も枝も燃えるばかりに輝いている。日没までには、まだ間がある。私を、待っている人があるのだ。少しも疑わず、静かに期待してくれている人があるのだ。私は、信じられている。私の命なぞは、問題ではない。死んでお詫び、などと気のいい事は言って居られぬ。私は、信頼に報いなければならぬ。いまはただその一事だ。走れ! メロス。
走れメロスのタイトル回収
水を飲んでから迷いを振り払うように短い文を連続させるのかっこいい - 14二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:34:46
文字表現って自由だなって思わされるようなやつすき
- 15二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:39:16
小川未明の「月と海豹」
「世界中のことが分るなら、他のことはききたくありませんが、私の子供は、いまどこに何うしているか教えて下さい。」と、海豹は月に向かって頼みました。
月はこの言葉をきくと、黙ってしまいました。何といって答えていいか分らなかったからです。それ程、世の中には海豹ばかりでなく、子供をなくしたり、さらわれたり、殺されたり、そのような悲しい事柄が、そこここにあって、一つ一つ覚えてはいられなかったからでした。
子を探す海豹に月が寄り添っているのだと思っていたところにこの突き放すような描写が来るのエグい 児童文学に登場する物差しが全く別の上位存在がすごく好き この話の「月が慰めとして海豹に太鼓を渡す」オチも怖い 神隠しに合った子供を探す時に鳴らす太鼓でしょうアレ 全く慰めになってねぇよ…… - 16二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:59:23
- 17二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 18:01:55
- 18二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 18:02:43
こんな夢を見た。
夏目漱石すごすぎない? - 19二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 18:06:22
円城塔「文字渦」
書き込むの無理なので調べてくれ - 20二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 18:12:52
文章表現とは違うけど「果てしない物語」と乙一の「The Book」のハードカバー版みたいなの好き
- 21二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 19:30:11
『おれは孤独で惨めだ。おれと交わる人間はいない。だがおれと同じくらい醜く恐ろしいならば、おれを拒否することはあるまい。伴侶となるのはおれと同じ生き物、同じ欠陥を持った生き物だ。』
フランケンシュタインからの一節
フランケンシュタイン博士に生み出された人間もどきが研究室を抜け出して人と関わろうとするんだけど
持って生まれた奇妙な容姿と人間離れした力のせいで誰からも受け入れてもらえず逆に拒絶されまくった結果
傷心と怒りの中で博士に自分と同じ存在を作れ、と迫るシーン
この生き物は方方で既に人をコロコロしてしまっているし博士への復讐も込みで博士の親族も手にかけようとしてるから善ではないんだろうけど
人との関わりの中で自分の価値を低く見積らざるを得なくなった結果
「自分と同じぐらい醜い」生き物と辛うじて繋がりを得ようとする切実さがなんとも言えない気持ちになるし
人から散々傷つけられたにも関わらず生まれ得たからには人(的な存在)で癒しを得ようとする様があまりにも人間で悲しい - 22二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 19:33:01
ということがむごいぐらい端的に表れた表現だなあ……と思う
連投すまん - 23二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 19:56:36
怪盗クイーン魔窟王編の
「サッカーゲームや野球盤。子供の頃はそれが欲しかった。
結局おもちゃは手に入らなかったけど、本物が手に入った」
って一節が好き - 24二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:10:57
『クラムボンはわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
『クラムボンは跳はねてわらったよ。』
『クラムボンはかぷかぷわらったよ。』
……省略……
『クラムボンは死んだよ。』
『クラムボンは殺されたよ。』
『クラムボンは死んでしまったよ………。』
『殺されたよ。』
『それならなぜ殺された』 - 25二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:14:09
このレスは削除されています
- 26二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:14:55
猫の地球儀
海が、 - 27二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:57:08
太宰治の「駆け込み訴え」
錯乱した男が語る支離滅裂な内容がず~~~~っと続いて一番最後に
「私の名は、商人のユダ。へっへ。イスカリオテのユダ。」 - 28二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 21:31:48
奈須きのこの「月の珊瑚」
『そうか。恋を知る為に、私は月に昇ったらしい。』
この一文がすごく好き。分かり合うことはなかったし意思疎通もかなわなかった、すれ違いで終わった一方通行の両想い - 29二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 21:40:38
芥川の『侏儒の言葉』の「処女崇拝」の文章が印象的
我我は処女を妻とする為にどの位妻の選択に滑稽こっけいなる失敗を重ねて来たか、もうそろそろ処女崇拝には背中を向けても好い時分である。
処女崇拝は処女たる事実を知った後に始まるものである。即ち卒直なる感情よりも零細なる知識を重んずるものである。この故に処女崇拝者は恋愛上の衒学者げんがくしゃと云わなければならぬ。あらゆる処女崇拝者の何か厳然と構えているのも或は偶然ではないかも知れない。
勿論処女らしさ崇拝は処女崇拝以外のものである。この二つを同義語とするものは恐らく女人の俳優的才能を余りに軽々に見ているものであろう。 - 30二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 23:47:49
夏目漱石の「三四郎」
三四郎が汽車の窓から弁当箱を捨てるシーン(女性が三四郎の前に座ってる)
『風が強くあたって、鬢がふわふわするところが三四郎の目にはいった。この時三四郎はからになった弁当の折を力いっぱいに窓からほうり出した。女の窓と三四郎の窓は一軒おきの隣であった。風に逆らってなげた折の蓋が白く舞いもどったように見えた時、三四郎はとんだことをしたのかと気がついて、ふと女の顔を見た。顔はあいにく列車の外に出ていた。けれども、女は静かに首を引っ込めて更紗のハンケチで額のところを丁寧にふき始めた』
直接は書いてないけど、「三四郎はとんだことをしたのかと気がついて、ふと女の顔を見た。顔はあいにく列車の外に出ていた。けれども、女は静かに首を引っ込めて更紗のハンケチで額のところを丁寧にふき始めた」の表現のおかげで、弁当箱が女性の顔に直撃したことが分かるんだよね。しかも「とんだことをした」のおかげで三四郎が恐らく内心パニックになってることも分かる
硬い文章なのにコミカルで大好きなシーン - 31二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 23:53:48
伊坂幸太郎の重力ピエロから
主人公の父親の
「俺たちは最強の家族だ」
強◯によって産まれた主人公の異父弟が自分の存在意義に苦悩した時にかけた台詞 - 32二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 00:41:20
- 33二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 01:01:36
- 34二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 02:02:29
- 35二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 04:45:41
「私たちの知っている葉ちゃんは、とても素直で、よく気がきいて、あれでお酒さえ飲まなければ、いいえ、飲んでも、……神様みたいないい子でした」
太宰治の『人間失格』の最後の一文
それまでの葉蔵は「人間失格」というべきめちゃくちゃな人間だしクズと言える人間なのに、実際に関わっていた女性から「神様」と呼ばれるほどにいい子だと言われるそのギャップが大好き
これは本当はこういういい面もありましたって話なのか関わる人の目を曇らせる魔性の一面を表しているのかわからんけど私は後者と思っている - 36二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 04:54:33
『砂の女』
紐の結び目をほどけなくて焦っているときに入る
「焦りが、指の太さを二倍にしてしまうのだ。」っていう地の文 - 37二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 08:51:04
その女の足は、彼に取っては貴き肉の宝玉であった。拇指から起って小指に終る繊細な五本の指の整い方、絵の島の海辺で獲れるうすべに色の貝にも劣らぬ爪の色合い、珠のような踵のまる味、清洌な岩間の水が絶えず足下を洗うかと疑われる皮膚の潤沢。この足こそは、やがて男の生血に肥え太り、男のむくろを蹈みつける足であった。
谷崎潤一郎の『刺青』
谷崎の変態さと文才が遺憾無く発揮されてる感じがして好き - 38二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 16:23:38
夏目漱石『こゝろ』
「もう取り返しが付かないという黒い光が、私の未来を貫いて、一瞬間に私の前に横たわる全生涯を物凄く照らしました。」
これを授業で習ったのが身内が自死した少し後だったのですごく響いた
自分の生涯もずっとこの黒い光が続いていくんだなあと思ったし実際続いてる - 39二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 17:42:18
芥川 トロッコ
塵労に疲れた彼の前には今でもやはりその時のように、薄暗い藪や坂のある路が、細細と一すじ断続している - 40二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 23:27:04
冷たい水は、喉に入る直前で温まってしまった。
寄せ集め部員たちが箱根駅伝を目指す「風が強く吹いている」という小説で、箱根駅伝当日に風邪を引いてしまった登場人物の描写の一文
そこまで深い意味のある文ではないと思うんだけど、喉が痛いときのあの違和感をめちゃくちゃ的確に表してるなと思った - 41二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 23:54:24
ロリータ、我が命の光、我が腰の炎。我が罪、我が魂。ロ・リー・タ。舌の先が口蓋を三歩下がって、三歩目にそっと歯を叩く。ロ。リー。タ。
ナブコフの「ロリータ」
掴みが強すぎる、まさにロリコンが書いた怪文書
ロリコンの解像度が高すぎて作者ロリコンなんじゃないかと思った - 42二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 04:27:58
きょう、ママンが死んだ。
もしかすると、昨日かも知れないが、
私にはわからない。 - 43二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 04:36:06
人間失格より
小窓があいていて、そこから部屋の中が見えます。電気がついたままで、二匹の動物がいました。
自分は、ぐらぐら目まいしながら、これもまた人間の姿だ、これもまた人間の姿だ、おどろく事は無い、
し、詩的NTRやんけ〜〜〜 - 44二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 04:45:22
- 45二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 04:53:41
- 46二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 06:53:13
どうしてこんなクソみてえなタイトルから感傷的に終われるんだよ本当
- 47二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 07:26:50
- 48二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 07:58:09
気が狂ってんのか?って感じの掴みが強すぎる
- 49二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:25:22
- 50二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:36:40
>女はごくんと頷うなずいた。
>その頷きは稚拙であったが、伊沢は感動のために狂いそうになるのであった。
>そのいじらしさに伊沢は逆上しそうであった。
「白 痴」から
坂口安吾のちょっとおかしい女に狂わされてる偏屈な男の表現はマジで気ぶれる
- 51二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:42:28
「与一、かぶらを取つてつがひ、よつぴいてひやうど放つ。(中略)かぶらは海に入りければ、扇は空へぞ上がりける。」
の直後の
「今度は中差取つてうちくはせ、よつぴいて、しや頸(くび)の骨をひやうふつと射て、舟底へ逆さまに射倒す。
平家の方には音もせず、源氏の方にはまたえびらをたたいてどよめきけり。
「あ、射たり。」
と言ふ人もあり、また、
「情けなし。」
と言ふ者もあり。」
扇を射抜けるなら首も射抜けるわな
扇を愛でて公家ごっこする平家と、戦時中の源氏の対比が、海の青さを背景に浮かび上がったようで美しい - 52二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:45:15
好き?好き?大好き?の一番最後
>そして嘘をつくくらいなら死.ねたらと思うよ
>(無言)
>ほんとうに、好き?好き?大好き?
こういう人種のもつエグ味みたいなものがここだけに全部詰まっているような気さえするわ
- 53二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:45:54
星新一の「ボッコちゃん」を久々に読み返したら、思ったよりも行間の余白を読ませる文章で驚いた
何もかも説明させる最近の小説とは文体が違う - 54二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:48:29
おもむろに、もったいぶって、スターは煙草をもみ消した。ヴァレリー艦長はその仕種に、なんとなく決断と最終的態度があらわれているように思った。彼は つぎになにがくるかを知って、すると一瞬、ひりりと刺すようなにがい敗北感が、このところ前頭部から消えぬ鈍痛のあいだをつらぬいた。が、それもほんの一 瞬だった。彼は疲れていた。意に介するにはあまりに疲れていた。
って「女王陛下ユリシーズ号」の書き出し。「おもむろに、もったいぶって」の重々しさが好き
というかこの小説全体的に文章が好き - 55二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 11:54:10
下品でごめんけど
スティーブンキングのファンタジー小説の「ドラゴンの眼」で
王様とお妃様の初夜シーンで、
「まぁ陛下、股間にぶら下がってる物はなんですの?」
「これは余の“鉄“じゃ」
「でも鉄なのに硬くありませんわ」
「お前の“炉“に入れたら硬くなるんだよオラァン」
主 人 公 誕 生
の勢いが忘れられない
あとアレソレを鉄と炉と表現するのは面白かった - 56二次元好きの匿名さん23/10/22(日) 23:18:11
保守