【ss】フリーレン「保存食しかない…」

  • 1二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 16:48:37

    「困ったな…街までは少し先だし…2人にこの周辺の調査を頼んでるんだから料理くらいはしたかったけど…。」

    そういうとフリーレンは袋の中に入った木のように硬い塩漬け肉と石のような音を立てるパン、そしてフェルンが作ってくれていた干し茸を見る

    「……この材料ならあれが作れるかな…。」
     
    そういうとフリーレンは手のサイズほどのナイフを取り出すのだった

    「なんか…ヒンメルたちと旅してたときを思い出すな。」
    ナイフで繊維に沿って削ぐように塩漬け肉を削いでいき、下においた鍋に落としていく

    「(私は食べ物なんてなんでも良いと思ってたけど…ヒンメルは「一つの鍋で温かいものを皆で分けるのが良いんじゃないか」なんて言ってたっけ…未だによくわからないけど)」

    肉を削ぎ終わり、鍋に水を注ぐと魔法で火を起こし、炊きはじめる

    「そういえばフェルンって、山の中で暮らしてただけあって茸とか食べられる野草に詳しいよね…」

    そんなことを独り言いながら、浮いてきた灰汁をすくい、干し茸をポチャポチャと投入する

    水面が小刻みに踊るような火加減で煮込み、茸がお湯を吸い元の形を取り戻し、ひどく塩辛く歯の立たない硬さだった塩漬け肉が柔らかくなったのを確認したフリーレンは、煮汁を一匙啜り、満足気に頷く

    「うん…塩味も肉からでてちょうどいい感じだね 後は…」

    そしてフリーレンはパンを保存している革袋をおもむろに杖の柄で殴りつけ、バラバラにしていく

    そうして粗めの粉のようになったパンをスープに入れた
    それを見届けると、フリーレンは辺りを見渡す

    「これで完成…と 辺りも暗くなってきたし、そろそろ帰ってくるかな…美味しいって思ってもらえればいいけど…」
    そんな言葉を発するフリーレンは、どこか楽しげな表情だった

  • 2二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:15:09

    「フリーレン様、戻りました。」
    「帰ったぜフリーレン。 あれ、なんかいい香りするな…。」

    「お帰り、シュタルク、フェルン 今日はパン粥だよ」

    「…フリーレン様って料理出来たんですね」

    「フェルン、私が何百年一人で冒険したと思ってるのさ」

    「いや~、たしかに意外だよな… にしてもパン粥か、あの村の婆ちゃんがよく作ってくれ…なんでもない」

    「シュタルク…いや、今回はカウントしないであげる」

    「…ごめんね。」

    「さ、食べよう ふたりとも。」

    フリーレンはそう言うと、器を取り出し、パンを入れたことで幾分ドロリとした感触を増したスープを注ぐ

  • 3二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:15:58

    「あの硬いパンばっかりじゃ飽きるからね こういう食べ方もありでしょ」
    どこか茶目っ気を見せたフリーレンがそういうのだった

    3人が鍋と火を囲むように座ると、祈りの言葉を述べ、匙を口に運ぶ

    フェルンが一口食べ、少し目を見開く
    (塩漬け肉がホロホロとした食感で口で解れる…それに茸が肉から出た塩気と味を吸ってとても美味しい…肉もその茸の旨味を吸って素朴だけど両者ともに引き立て合っている味です…)
    「フリーレン様…美味しいです」

    シュタルクは勢いよくかきこんでいたが、その言葉を聞き、少し手を止め、ほうと息をつく
    (スープだけでもうまいけど、あのカチカチで味気のなかったパンもスープを吸ってうまくなってる…師匠の作ってくれたような飾り気のない味で…村の人たちが作ってくれた料理みたいに優しい味だ)
    「うまい…フリーレン、ありがとな!」

    そうやって、感謝の言葉を向けられたフリーレンは一瞬手を止め、戸惑いの表情を見せる
    (そんなに美味しいかな…言っても余り物のごった煮みたいなもんなんだけど…)
    そう思いながらも、改めて一匙すくい、食べる
    「あれ…なんか…」
    (さっきよりも美味しい…かも なんでだろう…)
    味が変わったように思い、戸惑うフリーレン
    その瞬間、ヒンメルとのある記億が蘇った

    「フリーレン…どうしたんだい?」
    「なんか…ここの料理、味変わったかも…」
    「そうなのかい?」
    「うーん…でも、たった5年前、ヒンメル達と出会う前に食べに来たのにな…」
    まるで難解な魔法書を前にしたように悩むフリーレンを見、笑うヒンメル
    それに反応し、フリーレンが顔を見ると優しく語った
    「…ふふっ…それはね…きっと、」

  • 4二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:16:17

    (ーー仲間と分かち合う料理の味だから…か)
    あの頃は分からなかった言葉の意味、そして一つの鍋で作った料理を分かち合いたがったヒンメルの行動
    それに気付いた。

    その瞬間、フリーレンはフッと笑い、2人に向かって
    「うん…美味しいね…すごく。」と語りかけるのだった

  • 5二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:21:43

    以上です
    フリーレンってなんか民間魔法好きだし、家庭料理も作れそうという安易な発想で書きました
    コラボカフェで石みたいなパン食べたい

  • 6二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 17:51:44

    >>5

    原作の雰囲気あって好きだよ

    いいものをありがとう

  • 7二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 18:40:43

    フリーレンって食事シーン美味しそうだよね

  • 8二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:04:59

    アイゼンのでけぇハンバーグもいいよね…

  • 9二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 20:43:57

    じんわり暖かい気持ちになる良いSSだった
    ありがとう

  • 10二次元好きの匿名さん23/10/20(金) 21:17:59

    良SS感謝
    穏やかな暖かさとヒンメル達との思い出
    原作のような優しさがある素敵な作品良きでした

  • 11二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 07:02:16

    フリーレンって料理作る魔法持ってたよね

  • 12二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 15:27:50

    好きなタイプのSSだった

  • 13二次元好きの匿名さん23/10/21(土) 16:11:43

    なんかフリーレンらしい空気感で好き

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