おドウ「ドウすりゃいいんだ…」

1二次元好きの匿名さん23/10/30(月) 10:42:39

2023年、天皇皇后両陛下を迎えた天皇賞・秋
ジャックドールが57.4の大逃げ、おドウは末脚も勢いを見せず惨敗だった
スタジアムに響くファンのため息、どこからか聞こえる「種付け料は200万円だな」の声
無言で帰り始めるファン達の中、昨年のダービー馬おドウは独りで道草を食っていた
ダービーで手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できる騎手・・・
それを今の府中で得ることは殆ど不可能と言ってよかった
「どうすりゃいいんだ・・・」おドウは悔し涙を流し続けた
どれくらい経ったろうか、おドウははっと目覚めた
どうやら泣き疲れて眠ってしまったようだ、冷たい夕方のターフの感覚が現実に引き戻した
「やれやれ、かえってごはんたべなくちゃな」おドウは苦笑しながら呟いた
立ち上がって草を食べきった時、おドウはふと気付いた

「あれ・・・？おきゃくさんがいる・・・？」
ターフにいるおドウが目にしたのは、外野席まで埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに旗が振られ、地鳴りのようにユタカコールが響いていた
どういうことか分からずに呆然とするおドウの背中に、聞き覚えのある声が聞こえてきた
「おドウ、レースだ、早く行くぞ」声の方に振り返ったおドウは目を疑った
「ゆ・・・ゆたかさん？」「なんだおドウ、居眠りでもしてたのか？」
「ふ・・・ふくながちょうきょうし？」「なんだおドウ、かってに福永さんを引退させやがって」
「かわだ・・・」　おドウは半分パニックになりながらターフビジョンを見上げた
１番：アスクワイルドモア　２番：セイウンハーデス　３番：アスクビクターモア　４番：マテンロウレオ　５番：ピースオブエイト　６番：内川　７番：オニャンコポン　８番：ジャスティンパレス　９番：ビーアストニッシド...
暫時、唖然としていたおドウだったが、全てを理解した時、もはや彼の心には雲ひとつ無かった
「かてる・・・かてるんだ！」
前川助手からエールを受け取り、グラウンドへ全力疾走するおドウ、その目に光る涙は悔しさとは無縁のものだった・・・

翌週、栗東でトレーニングに励むおドウが発見され、ユタカとデットーリは現役を続行した