寝る前ぐらいしか言えないけど

「おじゃましま～す。あれ、トレーナーさんいないや。……じゃあちょっとソファーをお借りして、と」

　んん～……！　最近トレーニング頑張ってたから、ちょっとお疲れ気味かも？
　トレーナーさん来るまで、ちょっとお昼寝させてもらおっと。……いいよね？

「ミラ子～？　来てるか～？　……あれまぁ、これまたぐっすりお眠りだこと……」
　……んぇ？トレーナー……？

「……ホント、可愛い寝顔しおってからにこいつめ……」

「……えへへぇ……かわいいだって……。ありがとうございますぅ……トレーナーさんも……カッコよくて……大好きですよぉ……」
「聞こえてるぞ。おーい、起きろミラ子、トレーニングの時間だぞ～？」

「……うぅ～……んん……？　……あ、お疲れ様です、トレーナーさん……」
「お疲れ。いい夢見れたか？　例えば……また俺におだてられた夢とか」
「そうですねぇ。……ちょっと照れくさいんですけど、トレーナーさんに可愛いって言ってもらいまして」
「そうか。そりゃよかった。じゃ、おあいこだな」
　……おあいこ？

「……あの、もしかして……。私、何か言ってました……？」
「いやぁ？　別に俺がかっこいいだの大好きだのなんて、何も聞いてないけどなぁ……」

　――ッッ！　あれ、夢だと思ってたけど寝ぼけてただけ……！？
　どどどどどうしよ、わ、私トレーナーさんのこと大好きだって……！
　トレーナーさんずっとニヤニヤしてるし……！

「グ、グラウンド走って来ますぅぅぅ！！」

　……あ～……。鏡見なくても分かる、多分今の私、顔真っ赤っかなんだろうなぁ……。