- 1二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 04:12:18
物心つく前から仲が良かった人がいる。いたずら好きの自分とよくつるんでくれて、どんないたずらを仕掛けても笑ってくれた、気のいい少年だった。それこそ誰にでも優しかったが、私には特別甘くしてくれるような気がして、もはや恋心すら抱いていた。常に引っ付いて青春を過ごせるものだと思っていた。
中学校半ば頃までいつも一緒にいたが、家の都合で遠くまで越してしまった。保育園から今まで仲良く過ごしていたわけだから、いなくなってからは本当に半身を失ったような、そんな喪失感が自分を覆い隠した。
それからは大好きだったいたずらやドッキリに興味を向けることさえできず、そういったものを見ることすらも忌避するようになってしまった。
抜け殻のようになったまま大人になって、ふと彼の噂を耳にした。府中の中央トレセン学園でトレーナーの職に就いているらしい。府中ならあまり職場から遠いわけでもない。一度会いに行ってみるのもアリか。そう思い立った。 - 2二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 04:12:26
いざ府中に訪れて、トレセン学園を捜し歩いていると、ある葦毛のウマ娘に出会った。エキセントリックな言動や行動に昔の自分を重ねながら、人を探している、トレセン学園でトレーナーをしているらしいということを伝えたら、あっさりと彼に会あせわてくれることになった。
葦毛のウマ娘───ゴールドシップの道案内に預かり、振り回されながら数十分。気づいたら目的地へとたどり着いていた。校門前にはずっと焦がれていたあいつがいる。
やあ、久しぶり───そう声をかけようとした瞬間。
「待たせたなぁトレーナー!ゴルシ様のお帰りだぜーッ!!」
ゴールドシップが雄たけびと同時に、『親友』へ飛び掛かっていった。いつかと同じように、笑顔で強烈なスキンシップを受けるあいつは、昔と、何も変わっていなくて───。
じゃれ合う二人を見ていると、どうにも声をかけられない。何を言おうにも、喉の奥で玉のようになって呼吸を阻む。動悸がする。いつも一緒に遊んだあいつが、どんないたずらをしても笑ってくれたあいつが、怒られてしょげる自分に優しく微笑んで慰めてくれたあいつが、今更ぽっと出のウマ娘に搔っ攫われていたなんて。
呆然と、いろんな感情がないまぜになって立ち尽くすと、ふとあのウマ娘と目が合った。
なぜ一緒に遊ばないのか、とでも言うような不思議そうな目に自分は叫びそうになるのを抑えうつろに笑った。
あの時まで、ずっと隣にいるのは私だと思っていた。生まれた病院すら同じだった私よりも、共犯扱いで一緒に校長室に呼び出されこっぴどく絞られた私よりも、より親しい存在が現れるだなんて、私には耐えられなかった。
彼が引っ越す直前のやり取りを思い出す。私はあの時臆して、好きだといえなかった。友達よりも深い関係になりたいだなんて、言えなかった。
ああ、そうか。それこそが私の失敗だったのか。いたずらできる勇気はあるのに、もっと大事なことだけ告げられない。その臆病さが今の状況を招いたのか。
気づいたら、足元にはぽつぽつと、水染みができていた。 - 3二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 04:15:08
Aくんスレばっかり立つんでAちゃんの可能性を切り開いてみたいなと思い建ててみました
初めてのSS投稿なんでおん?ここおかしくね?とかゴルシはこんなことしねぇ~~~~~!!みたいなところもあるかもしれないです。精進します。 - 4二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 04:16:16
(脳破壊が気持ちよくなって股から水が零れたのかと思った)
- 5二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 04:24:24
うーむ……切ない
- 6二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 07:15:02
AくんスレはそれなりだったけどAちゃんスレに俺は心動かされている…
- 7二次元好きの匿名さん21/09/01(水) 09:12:58
多分この後Aちゃんとゴルトレはちゃんとした再開の後に「お友達」として仲良くすると思います
書いてて「やっぱ俺の性癖には合わねぇや……」ってなっちゃったので次やるとしたら純愛です覚悟してろ