【閲覧注意】絶対BLvsエラン 人形編

  • 1二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 21:59:43

     エラン・ケレスは理解している。

     この箱庭は大いなる存在によってつくられた世界であると。

     今も見てるんだよお前だよお前。お前たちのような人間に、監視され、見世物にされるために生まれた世界。しかもそのうえ管理人がこの世界に「BL」という運命を決定づけたと来た。おかげでエランの住むこのまちは、美しい男性形のドールと、それをメンテナンスするいくばくかの人間__ちなみにこちらも男だ__ばかり集められてきゃっきゃうふふのBL群像劇が繰り広げられている。

     __ドール。

     人間に使役される発条仕掛けの絡繰人形。とはいっても、命令されると遂行せねばならないよう一定の強制力があるが、基本は自由意志がある。素材に関しては相当特殊らしく、一日に一度、螺子を撒かないと動けなくなる他は、見た目や性能含め人間と大差なく、食事や睡眠を必要とする、人工生命__リプリチャイルド等と言った方が正しいかもしれないが、エランや、ついでに一緒に暮らしているエランや、それとエランもドールである。そんなドールたちを集めてBL展開をさせつづけるとかないと思う。いや別に好きにやればいいと思うのだが、町中でも外でもかまわずおっぱじめるのはちょっと引くし、エランもドールである以上いずれそうなるのかもしれないと思うと怖い。

     エラン・ケレスは決意した。

     必ずこの世界から脱出すると。

     そういうわけでエランはぐっと手を握り、

    dice1d3=2 (2)

    1:ジェタークんトコに向かうことにした。

    2:グラスレーんトコに向かうことにした。

    3:とりあえず下の二人の弟と話し合いをすることにした。

    ちなみに世界観はdice1d4=4 (4)

    1:アド・ステラ風 2:現代日本風 3:大正ロマン風 4:中世ファンタジー風

    ※誤字脱字が多く、執筆しながら管理するのが苦手です

    ※書いてる人の好み(ラウ→グエ強火、エラシャディ、おにショタおに他)で贔屓が入る可能性があります。あと単純に趣味の問題でスレミオとフェルペトは基本くっつきます。

    ※モブレ・廃人化・死亡・キャラ同士の殺し合いなどダイス次第で酷い状況になるかも。割と何でも許せる方向け!苦手な展開になりそうなら自己判断でブラバしてくださるとありがたいです!

  • 2二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:01:04

    立て乙
    遂に来たか様主人公

  • 3二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:03:45

    前スレで様主人公ならないかなと言った者だけどマジか…嬉しみありがとう

  • 4二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:09:49

    立て乙!
    様はなんか振り回されそうなイメージもあるけどどうなるかな

  • 5二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:11:32

     グラスレーのところに向かうことにした。

     人間であるサリウス・ゼネリが店主をつとめ、その作品であるシャディク・ゼネリが手伝いをしているこの店は、まちに一つだけある大きな時計塔の管理のほか、人形のメンテナンスや修理を主に請け負っている、いわば病院のような役割を持っている。蹴るようにして扉を開け、「いよっ」と言うと、玄関の近くで座っているシャディクと目があった。パット見た限りサリウスはいないらしい、人形師同士の会議でもあるのだろうか? コイツはそれを待っていたのだろうか。青いカメラ・アイの焦点が、こちらにあうのがわかる。

    「相変わらず辛気臭い店だねえ。機械油の臭いがする」

    「文句を言いに来たなら帰っていただけますか?」

    「まあ待てシャディク・ゼネリ。俺は提案に来た」

    「ていあん」

     エランが指をぴんと立てると、シャディクは目を丸くしてこちらを見る。掴みは上々。基本サリウスにしか興味がないコイツを振り向かせられただけでも上出来である。

    「俺はな、外に出ようと思う。そのために、人形にして人形師の技術を身に着けたお前は、有用だ。お前だっていつまでもこんな町にいたくはないだろ?」

    「僕は養父さんがいるだけで満足ですよ。花も風もきれいだ」

    「いいだろ?お前がいいんだよ」

     __ちなみにこの「お前がいい」は割とマジである。

     基本この街にはフリーの男が多い。その中でもシャディクは、サリウスのことが好きで__つまるところ、まだしもサリウスとフラグが立っている。基本的に一度くっついたら別れることがないルールにおいて、別で良い感じになっている男がいるというのは強い属性として存在している。コイツとなら、BL展開に入ることなく探索できるに違いない。もちろんサリウスがいるからと断られたら詮無いが__

     そういう考えのもとに誘ったのだが、シャディクはぱちぱちと目を瞬かせるばかりであった。そうして、

    dice1d3=3 (3)

    1:「……なら、わかりました。一緒に、いきます」とエランの手を取った。

    2:「……いやです。養父さんがいれば満足だし」と断られる。くっ……dice1d2=2 (2) (1:食い下がる 2:引き下がる)

    3:「俺が……僕がいないと、時計塔を管理する人がいなくなってしまうから、だめなんです」としょんぼりする。

  • 6二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:15:35

    これは時計台どうにかすればいけそうかな

  • 7二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:24:38

    「……僕が、いないと。時計塔を管理する人間が、いなくなってしまう」

     シャディクがぽつりと独りごちる。

     エランはしばらく考えた末に、部屋の隅で三角座りしたままのシャディクの隣にしゃがみこんだ。そこそこ体格差はあるはずだが、こうしているとそれを感じない。ぽつぽつと、声帯が錆びているのかとおもうほどとぎれとぎれの言葉を、じっと傾聴する。

    「だめなんです。養父さんの代わりに、時計塔を守らないと。養父さんはいつか死んでしまうから……その時にって」

    「あー……お前、親父大好きだもんな」

    「好きです」

    「でもさ、親父はどうおもってんの?」

     シャディクが「え」と素っ頓狂な声をあげてこちらを見た。エランはこれでも口先八兆の口から出まかせはかなりうまい。トリプルアクセルもびっくりの滑り方をするくちびるを動かして、たぶん詐欺師ってこんな感じなんだろうなあと自分でも思いながら話を続け、シャディクの脇腹を小突いた。

    「お前の父親は、アンガイお前に、自由になってほしいっておもってるかもしれねーよ? ほら、ジェタークんとこは家継げって口うるさく言われてるらしいけど、お前はどうなの?」

    「言われて……ないです」

    「それはさ、あの人__サリウスは、お前に、この街に縛られてほしくないからじゃねーの」

     シャディクの海色のカメラアイが、窓からの光を反射してきらりと煌めく。

     この反応をアーカイブしていないエランは「何?」と一瞬首をかしげるが、それより先にシャディクが、やや強引にエランの手を取った。どういう理屈か少しだけ上昇したらしい内部装置の温度が、表面にまで熱を伝えてくる。

    「僕……俺、ケレスさんと一緒に、やる。外に、出ます!」

    「あー……敬語はいらん。同い年だろ」

    「わかった。よろしく、エラン」

     シャディクが微笑んだ。

     エランは「あれこれBLフラグか?」と一瞬不穏当な考えが浮かんだが、とりあえずかぶりをふって振り払うことにした。

    dice1d3=2 (2)

    1:花屋ジェタークに向かう。

    2:中央広場に向かう。dice1d2=2 (2) (1:掲示板の前に人だかりがある……? 2:なんかシャディクが「デートみたいだね」と言ってきたんだが!?)

    3:いったん家に帰ってdice1d2=1 (1) (1:二人で 2:弟たち含めて)作戦会議。

  • 8二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:26:56

    きたぁぁあ!!!気付けてよかったぁああ!!
    楽しい週末をありがとう!!!

  • 9二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:31:16

    興奮して書き損ねた、新作絵も毎回可愛い!!
    お話いつも面白くて、イラストまで上手なの凄いです!!!

  • 10二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:31:17

    早速フラグが立ち始めてませんかね?様はグエルより強いと信じているぞ

  • 11二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:41:10

     中央広場は煉瓦で舗装されており、ドールたちの憩いの場になっている。大きな祭りやイベントなどはここで行われることも多い。ここにある時計塔は、それこそシャディクやサリウスが管理している、このまちで唯一時間を知らせる場だ。日に一度鐘の音が鳴り、ドールや人間に規則正しい生活をさせている。

     とはいっても、直近に大きな祭りがあるわけでもないうえ、真昼間なのであまり人通りは多くなかった。ちらほらと歩いている男二人__どうせカップルである__は見えるが、やや閑散としていることは否定できない……なんてことを考えていると。

     不意に、シャディクがエランの手を握った。

     びく、と肩が跳ねる。シャディクはこちらを見下ろして、白いお日さまの日差しに照らされ、ふわりと微笑む。なんだか背景にカケアミトーンが見える気がするのは気のせいだろうか。シャディクのくちびるが、小さく動いた。

    「なんだかデートみたい、だね」

     花が咲くような笑みを浮かべるシャディクの指先は、エランと同じ温度をしている。二人とも同じドールであり、二人とも同じ永遠の時を生きる存在であるのだから、当然だ。穏やかに笑って身を寄せてくるシャディクに、エランは__

     ビビった。

     はじめての『突然何の脈絡もなくぶちこまれるBL展開』にすごくびっくりした。だってこんな、なんというか、直接的に来るとは思わないじゃないか。もっと段階を踏むものではないのか!? というかなんだかこう、前世の記憶からして、エラン族が主人公の時のコイツ、異様に強くない? たぶん別人のはずの記憶を大真面目に持ち出してしまうくらいには、エランはビビッていた。ついでに早急な現実逃避を求めていた。怖くて。

    dice1d4=4 (4)

    1:「な、何を言ってるんだか。それよりホラ、dice1d2=1 (1) (1:時計塔 2:図書館)行こうぜ!!」と誤魔化す。

    2:「……うあっ、あ!なんかあっちにちょっと人だかりできてないか!?」と誘導する。

    3:「……あ、dice1d4=2 (2) (1:ロウジ 2:セド 3:ファラクト 4:ミカエリス)!」と手を振って呼ぶ。救世主いたわ

    4:「あ、あ、こ、こまる……」と俯く。ウワアなにかしら言い返せ俺!!

  • 12二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:42:53

    弱々すぎるエラン様

  • 13二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:50:46

    「……あ、えっと。こまる……」

     エランはたぶん血ではないなんらかの液体を体内でぐるぐる回し、顔を真っ赤に上気させて俯いた。

     だってその。困る。確かにエランはBLを回避したい、それは事実だし願望だ、認めよう。だけど具体的にどうやればいいかのノウハウなんて全くないし、無知も無知、経験ゼロ、殻のついたひよこどころか最早殻状態のエランは、この状況に、ひたすら混乱していた。

     シャディクがはっとしたような顔でエランの手を離し、「そ、そう、だよね。こまるよね……」と尻尾を垂らした大型犬のような顔をする。殊勝な態度ではあるが、エランはコイツがBLの使者であることをしっている。これはカタルシスのためのタメであり、次の頁への引きだ。理解しているのに、手は打てない。

    「でも、」

     シャディクが青いカメラ・アイでこちらを見つめてくる。見つめる色は、今しがた頭上で輝く空よりも、余程青い。蒼い。

    「嘘は、言ってない……から。もし、ここからでられたら、一緒にデートしようね」

    「そ……そう……だな……?」

     なんか死亡フラグ立った? いやこれはBLフラグ? エランには最早区別ができない。それができるだけの冷静さはそっくりなくなってしまったので。とにかく早急にシャディクと、えっとだから、誰か? 別の? イケメン? をくっつけないと。そうすることによってしかエランは助からないのだから!

     ……それってどうやるんだ?

     エランは著しく対人経験が少なかった。操縦技術と恋愛がCであった。

    dice1d3=2 (2)

    1:対消滅……そうだ花屋に向かおう!

    2:対消滅……そうだ自宅に向かおう!

    3:うん?あれは……dice1d3=2 (2) (1:図書館 2:人だかり 3:サリウス)か?

  • 14二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 22:55:44

    様ざっこ…ざーこざーこ
    弟にフラグ押し付けて対消滅させようとしてもこのザコさだとダメそう…

  • 15二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 23:03:15

    そうかあ、恋愛もCなんだ…
    何にでも自信ありそうに見えるのにね

  • 16二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 23:04:36

     シャディクを連れて、自宅に戻る。

     今まではシャディクの空間にいたから本来の力が発揮できなかっただけだ。ここにいれば本来のつよつよなエラン様の力が発揮できるはず__エランがそう思ってこくこくと頷いていると、シャディクが「おじゃまします」と委縮したように部屋に入ってきた。その声に反応したらしい、奥からエランとよく似た顔の少年がひょこっと顔を出す。

    「兄さん、と時計屋さんのシャディク? 珍しい! どうしたの?」

    「……おやつは?」 

     こちらを興味津々で伺うのが末っ子の五号、逆に清々しいほど興味なさげに本を読んでいるのが四号。見た目はそっくりだが、性質は大きく異なる。エランは「ああ、ちょっとデート」とあえてシャディクの発言を茶化すような表現をして『ガチ』度を下げる。そうしないとマジで誰にも追いつけないスピードでフラグを立ててグラスレーしそうだったので。なんだよグラスレー新しい動詞を作るな

     シャディクを椅子に座らせ、ついでに五号と四号も呼ぶ。適当に紅茶と茶菓子を用意して、エランは出来る限り、神妙な面持ちで三人を見回した。

    「シャディクには先にも話したが、俺はこの街から外に出ようと思っている。お前らは協力してくれるとしてだな」

    「ナチュラルに僕達が逆らわない前提なのヤダな」

    「……興味ないけど」

    「まあそんなこと言わずに。エランの計画なんだから」

     おっとりと笑うシャディク、クッキーを齧る五号、我関せずの四号、内三名は同じ顔。あれあまりにもハチャメチャ

    「……自由に、なろう。お前らだって、この狭苦しい街の中で一生を終えるより、外に飛び出してみたいだろう」

    dice1d4=2 (2)

    1:五号が「まあハネムーンは挿絵の場所いってみたいし」とか言い出した。ハネムーン? 挿絵? 四号が本を置いて「そうだね」と続ける。あっ(察し)

    2:四号も五号も「……兄さんがそう言うなら」「ま、兄さんの頼みならね」と微笑んだ。ふふん……兄力

    3:「……シャディクがいるなら、行くか」「そうだね」と従ってくれるらしい。これ対消滅いけるぞ!!

    4:「いいけど、花屋のジェタークも誘おうよ!」「あああそこの兄弟も外出たいって言ってたし」と情報が追加される。大所帯になるな……?

  • 17二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 23:10:53

    恋愛力Cの様、アリだな

  • 18二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 23:17:28

    様はトンチキ時空の話ばっかりに出てるせいもあってかさいよわの人の次位に押しによわい印象がある

  • 19二次元好きの匿名さん23/11/10(金) 23:41:28

    ひよこどころか殻状態の様、新鮮で可愛い

  • 20二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 00:20:17

    グラスレーしそうに草生えるw

  • 21二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 08:09:46

    「……ま、兄さんの頼みなら、手伝うよ」

    「僕も」

     五号がエランの左手を、四号が右手をとり、頬擦りをした。これが兄故の力、カリスマSS、人についてきてもらう信望というやつである。しばらく口の中で笑っていると、不意にシャディクが、むっとしたような顔でこちらを見た。

    「エラン。俺も、力になるよ」

     言葉は確かに芯を持っているのに、どこか硬く強ばっている。エランは状況を咀嚼し、飲み下し、たっぷりと時間をかけて消化して__

     これBLだ!!

     はっと、理解するのにしばらくを要した。これBLだ。高校生四角関係BLの方で見た。所謂エラン総愛されというやつになりつつある。エランは知っている、ここで誰か一人を選ばねばならないし、仮に誰か一人選んだとて選ばれなかった二人が幸せになるわけでもあるまいし、そもそも誰か一人選んだ時点で完全にルート確定、BL展開にまっしぐらで落ちていくことになる。だめだそういうのはよくない。というか血の繋がった実の兄弟にそういう意味で恋心を向けられているとか読めるかよ……!(ここら辺にワイプで膝から崩れ落ちるジェターク)

     ……それに。

     個人的な感想だが、エランは別に、弟たちに不幸になってほしいとは思わない。叶わない恋をしてほしくはないし、BL自体に忌避感があるわけではないので愛する人と幸せになってほしいと思っている。特段末弟の四号は、なんか本編で本当に酷い目にあってた記憶があるので特に。だから、

    (……俺以外の誰かとこいつらを、くっつけないと)

     エランがはじめてほんきで『対消滅』について考えた瞬間だった。

     殻から赤ん坊のひよこくらいには成長したかもしれなかった。

    探索場所dice1d3=3 (3)

    1:図書館

    2:中央広場

    3:花屋ジェターク

    dice1d3=1 (1)

    1:四号とシャディクってお似合いだと思う

    2:五号とシャディクって前世でくっついてたよな

    3:四号と五号はキテる

    現在時刻:dice1d3=2 (2)

    1:九時 2:十時 3:十一時

  • 22二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 09:26:00

    ここでお花屋さんに行くのか
    さいよわの人巻き込んだらなんとかなるか?

  • 23二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 10:52:27

     赤煉瓦の屋根に小さな木造の看板。軒先には無数の季節の花が溢れており、近づくだけでふわりとした甘い香りを感じる。

     花屋ジェタークは、こぢんまりとした愛らしい花屋だ。

     この街において花を装飾や娯楽として必要としている人物は、さして多くない。どちらかというと、特定の花を利用してドールの体内の機能を調節したり、もっと直接的に花しか摂食できないドールがいたりと、薬屋のような役割を持っている。あるいはこれはBL的なアレなのだが、複数種類の花の香を組み合わせて嗅がせると、ドールの記憶や行動を自由に操作できるなんてことがあるとかないとか……これぜったい媚薬とかそういうのにもなるやつだ。BLで見た。

    「あ、ケレスさん! 何かご入用ですか」

    「エランに、シャディク……? 父さんなら、今日もいないけれど」

     店の中からこちらに声をかけてくるのは、ドールのグエルとラウダである。二人の父__ヴィムは人間であり、基本的にはこの街の外で、この二人のような実用向きのドールを制作・販売しているらしい。伝聞形なのは今までその姿を見たことがないからだ。本人たちがよく「花屋を継ぐなんて嫌だ」「僕騎士さんになりたい」と話していることから、そう呼ばれる存在がいることだけ辛うじて知っている程度だからだ。

    「いや、今日は__」

    「グエル、催眠の香を」

    「ラウダ僕誘惑の香ほしいなあ」

    「お前ら何に使うんだそれ!?」

    「……ふふ、仲良しだね」

     心なしか四号も五号も何かを張り合うようにしている気がするし、シャディクの視線がじっとりとしている気がする。エランはしばらく考えた末に、はっとしてぱちりと視線を巡らせ、「四号!ちょっとシャディクと一緒に花を選んでいてくれ!!」と指示を飛ばす。これで対消滅してくれたら幸いであるが__

     五号が「どうしたの?」とぱちぱち瞬きをする。エランはそれを、一瞥だけくれて留めた。__この店に来た時から、ずっと、気になることがあった。そのためにはとりあえず、

    dice1d2=1 (1)

    1:……グエルに話しかける。

    2:……ラウダに話しかける。

    四号とシャディクはdice1d3=2 (2)

    1:↑で話しかけられなかった方と三人で駄弁ってる

    2:二人で駄弁ってる

    3:「シャディク……」「四号……」

  • 24二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 11:10:23

    「なあ、グエル。少し気になることがあるんだが」

    「……? どうしたんです、ケレスさん」

     グエルが持っていたブリキの鉢植えを戸棚に置いて、目を丸くしてこちらを見る。エランは横目で駄弁っているらしい四号とシャディクの様子と、戸棚で花の手入れをしているらしいラウダの様子をちらりと確認して、グエルの方に視線を向ける。

     __ずっと、気になっていた。これがBL特有の察しの良さによるものなのか、それとも別の何かによるものなのか、わからないが。どちらかというとエランの心理学的なアレであると信じたい__

    「……お前さ、なんかラウダのことを無意識に避けていないか?」

     グエルが目を見開く。

     前に会った時はこんなことなかったはずなのに。妙によそよそしいというか、距離を感じた。逆にラウダはいつも通りであるように感じたのに、グエルだけ。ほんの些細な引っ掛かりでこそあるが、ささくれのように皮膚に突き刺さって痛む。グエルはしばらく視線を巡らせたあと、ぽつりとつぶやいた。

    「……される、のは……だから」

    「え?」

    「あ、えっと、なんでもないです!気のせいじゃないですか?」

    「そーぉ? 僕も兄さんが言う通り、グエルの様子、ちょっとヘンだと思ったけどなぁ……?」

     五号がエランの手に取りすがったまま、じっとグエルを見る。お? 対消滅チャンスか? ……なんて、茶化している場合でもない、かもしれない。

     ……何かが、おかしい、ような気がする。

     グエルはしばらくぐるぐると目を回した後、ぱっと青い顔をあげてエランを見て、「違う……悪いのは俺なんです」と呟く。

    「ラウダは、何も、悪くない……」

    dice1d3=1 (1)

    1:「何だよ。洗いざらい吐け」とぶっきらぼうに聞き出す。dice1d2=1 (1) (1:教えてくれる 2:ラウダが「ちょっと!営業妨害なら帰ってください」と主張)

    2:「ところでお前五号のこと気にならないか?」と無理矢理押し付けてみる。dice1d2=2 (2) (1:何言ってんですか? 2:……)

    3:「……大丈夫か?辛いなら別に無理して話さなくても」とグエルの背を撫でる。

  • 25二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 11:23:08

    「……ンだよ。力になってやるっつってんだよ、洗いざらい吐け」

     エランがつんと言うと、グエルはしばらくしどろもどろにくちびるをもごもごと動かした。それからぐっと手を握り、握った拳を胸にあてる。

    「ドールはどうやってうごいているか、知っていますか」

    「は?それは__」

    「食事をする。睡眠をする。螺子を巻く。どれも重要な工程です、だけどもっと本質的なものがある。俺達の花は、ドールのそこに働きかける香りを持っている」

    「……何がいいたい?」

    「たぶん、それなんです。ラウダのは、それだった」

     グエルが瞼を伏せる。穏やかな風が吹いて、店の中にふわりと甘い香りが広がった。混ざり合って、思考力を溶かしていく。グエルは未だ、言葉を続ける。

    「俺は__せめてラウダだけは忘れてほしいって、あいつの記憶を……奪った。自分勝手に……それが、恨めしいんです」

    「……話が読めないな」

    「あはは。俺も、どうして……何が、あれを引き起こしたのか、わからない。ただ、無意識に避けているというのなら……あの日のことが、たぶん、ずっと……俺だけは、忘れられずにいる」

     グエルが力なく微笑んだ。

     エランが閉口する。ドールを操る? 記憶を奪う? 自分勝手に、あの日のこと、一体、何が。「もう少し__」と聞き出そうとするが、グエルはそれきり何も語らない。ただ、エランの手を取って、震える声で呟く。

    「もしまたああなったなら、」

    dice1d2=1 (1)

    1:__一緒に逃げてくれますか。

    2:__「何もなかった」ことにしてくれますか。

     エランはよくわからないまま、ぱちぱちと視線を瞬かせた。横にいた五号が、「弟をおもう兄ってどうしていつもこうなんだかねえ」と言って、エランの手を取り、自分の頬にこすりつける。

    「自分の思う幸福であることが、相手にとっても幸福なのだと勘違いしてるんだもん」

     時計塔を見る。

     気が付けば、もう十一時になっていた。

    dice1d4=3 (3)

    1:図書館に行こう!ドールについて調べるぞ

    2:ドールについて詳しそうなやつ……dice1d3=3 (3) (1:シャディク 2:機械屋ドールのロウジ 3:にんげんのオルコット)に話を聞いてみよう。

    3:中央広場に向かってみるか

    4:このまま花屋にいる!ラウダにも話を聞くぞ

  • 26二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 12:19:10

    ケレスさんめっちゃ吸引力強くて草
    フラグまみれじゃねーか

  • 27二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 12:34:45

    ケレスさんは恋愛Cなのにフラグ建設はSだったのか…

  • 28二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 13:23:08

    ケレスさんが対消滅を考える理由が弟たち思いで優しい…さすが慰安ケレスさん
    それにしてもグエルからも矢印向けられてるぞ、もうなんか歩く媚薬じゃん

  • 29二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 13:37:57

    全方位フラグばら撒き男になってるよ!

  • 30二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 13:48:56

    ジェターク兄弟に何があった…?
    五号の台詞が耳に痛いよ
    でも五号もラウダもそんな兄ちゃんの、そーゆうとこが好きなんだよね!(世界の強制力からはそっと目を逸らす)

  • 31二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 14:34:05

    ケレスさんが驚きの吸引力なんだが対消滅チャンスは増えるのか…?

  • 32二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 18:29:53

    様総受けの表紙になるかもしれない!?

  • 33二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 22:56:13

     中央広場には人だかりができていた。

     エランはわいわいと話している四号とシャディク、ついでにエランの腕に縋りついてにこにこと笑っている五号をちらりと確認した後、頭の中でグエルの言葉を反芻する。

    「……一緒に逃げてほしい、か」

    「あれを真に受けているの? 僕心配だなあ。兄さん変なとこで騙されやすいし」

    「いや。ただ、……」

     確証はない。ただこれは、多分そう、五号が言うような「兄」としての肌感覚、察し、あるいは、そう、本能的な理解なのかもしれない。微かに視線を伏せると、赤煉瓦で舗装された地面が見えた。

     ……グエルは、たぶん、100%自分のためにかの提案をしているわけではない、と思う。

     どちらかというと。二度と『あれ』が起きないようにしているような__

     __『あれ』って、なんだっけ?

    「兄さん? 顔色、悪いよ」

    「ああ、ごめん」

    「心配だなあ。ねえ兄さん、一緒に甘いもの食べようよ! 確かこの近くにカフェがあったよね」

    「あー……もし行くにしたら、四人で__」

    「失踪事件って、マジか!?」

     二人であれこれ話していると、不意に人だかりの方からそんなことばが聞こえてきた。エランははっとしてそちらを見ると、どうやらドールたち__男二人__が話し込んでいるらしい。エランは「なあに?」と不思議そうな顔をする五号の口許を塞ぎ、そちらに耳を欹てた。

    「ああ。なんでもドールが次々失踪しているらしい」

    「それって最近、人形師の人間がいなくなってるのと何か関係あるのか?」

    「さあ。騎士団や自警団に聞けば何かわかるかもしれないが__」

     二人組が去っていく。エランはじっとそちらを見て、「失踪事件……」と繰り返す。五号が「せっきょくてき?」と言ってエランの手に頬を擦りつけた。頼むから今はおちついてほしいなと思った。

    dice1d4=4 (4)

    1:五号と「失踪事件」について話す。

    2:四号と「失踪事件」について話す。

    3:シャディクと「失踪事件」について話す。

    4:二人組を追いかけて「失踪事件」について尋ねる。

  • 34二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:14:13

    「すまん。少し聞きたいことがあるんだが__」

    「うん?」

     近づいてみれば、二人組は胡乱な表情をした。背の高い方がエランの顔を覗き込んで「マイク、こいつと知り合いか?」と言い、もう片方が大きな目をぱっと見開いて「知らないよ、ジョン」と両手を振って否定した。「俺が好きなのはジョンだけだからさ」「……なら、いい」と言うところまで完備である。不要不急のBL展開であり、胸やけが起きそう__だが、とりあえずエランに何ら危害が加えられないのであればそれでいい。エランはこほんと咳ばらいをして、二人を順に見やった。

    「ドール失踪事件って、なんだ? そんな話は聞いたことない」

    「今朝掲示板に貼ってあったよ。ここ最近、ドールたちが失踪する事件が起きているんだと。人間の方は__知ってるかもしれないけど、最近『人形師』の人間が町の外に出たっきり、帰ってこない。ヴィムさんとか、サリウスさんとか」

    「あー……そういえば、グエルんとこもシャディクんとこもなかったっけ。いつからだ?」

    「さあ。数か月は帰ってきてないくらいじゃないかな」

     ジョンの方が考え込むようにくちびるに手を当ててそんなことを言う。芝居がかった動作だが、それを鬱陶しくは思わない。むしろなにかこう、具体的には吹き出しか何かで台詞が表示されてそうなくらいには様になっている。この場合の様はエランのことではなく、風体のことを表す方の様である__

    「……もういいか? すまないがデートの途中でね」

    「じょ、ジョン!」

    「あー……引き留めて悪かった。んじゃ」

     エランが困ったように片手をあげる。そうしてドールを見送るために、適当に愛想笑いを浮かべた__

     ……瞬間だった。

    dice1d3=3 (3)

    1:シャディクがこちらに駆け寄ってくる。

    2:四号と五号がこちらに駆け寄ってくる。

    3:……ふと、誰かの視線を感じる。

    dice1d2=1 (1) (1:成功 2:失敗)

    失敗の場合:dice1d3=3 (3) (1:心の鍵 2:人形偏執 3:しかしなにもおこらなかった)

  • 35二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:19:57

    サスペンスになってきた…
    グエルの『あれ』も気になる

  • 36二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:20:00

    ドヤ顔で愛想笑いしてるみたいな画像チョイスだ

  • 37二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:31:00

     ……ふと。

     どこかから、視線を感じる。不思議に思って視線を巡らせる。シャディクたちは撒いたので、近くにはジョンとマイク以外の人は見られない。では一体どこから? そうおもって、エランは__『地面』を見る。そこには、

     碧色に輝く、カメラ・アイの目玉がおちていた。

    「は__」

     十二時。

     ごおん、ごおおん、ごおおおん……

     はっとして顔をあげる。時計塔の鐘の音だ。耳を塞いでも、どこにいても必ず届く、重い鐘の音だ。誰が鳴らしているのかはわからない、しかしその鐘の音は身体の奥、エランでも関与できない場所に浸み込んで、どくりと鳴らす。心臓の音がうるさい。なにかが狂い、壊れようとしている。

     音がやむ。

     はあ、と息を吐くと、なんとかおちついた。一体なんだったんだろう、今までこんなことはなかったはず__と、未だ混濁する記憶の整理を行おうとしていたところで、

     硝子の割れる音がする。

     振り返る。先ほど五号と行こうと話していたカフェが、ごう音と共に崩れた。それだけじゃない。断続的に、聞こえてくるのは、これは、そう、悲鳴だ。怒号、泣き叫ぶ声、弾けるような笑い声。それから時たま、やや粘着質で、どろりとした、これは、この音は__

     ……エランの目の前にいたドール、マイクとジョンのカメラ・アイから、すうと光が失せる。

     エランが何事かの声をかける前に、彼等は、ふらふらと何かに操られるように、互いの、身体を__腕を引きちぎり、足を潰し、躊躇いなく。

     破壊、し始めたのだ。

     エランの目の前で、二体のドールだったものが、肉と歯車の塊に変わっていく。溢れた錆色の機械油が、血のようにエランの靴に浸み込んできた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「こっちへ!」とシャディクの声が聞こえる。そうだ、逃げなきゃ!

    2:「兄さん!」「無事?」と五号や四号の声が聞こえてくる。そうだ、弟たちの無事を確かめなければ!

    3:……呆然と、立ち尽くす。

  • 38二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:36:07

    風向き変わりすぎて風邪ひいちゃうよぉ!

  • 39二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:41:29

    サスペンスかと思ったら、いきなりホラーが始まったんですが!!

  • 40二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:41:35

     ……エランは、動くことすらできず、ただ立ち尽くしていた。

     くちびるを半開きにさせ、ついで手で覆う。つんと鼻につく臭いが何なのか理解したくない。どうしてこんな、突然に。何故?つい先ほどまで二人は仲睦まじく話していたのに、どうしてこんな急に、殺し合い__なんて、はじめてしまったんだ。

     そして。

     エランの目の前で起きた惨劇は、マイクがジョンの心臓にあたる部分を破壊し、もはやジョンが動かなくなったことをもって幕を閉じる。そうしてマイクはこちらを見ると、今にも崩れそうな肢体をひきずって、襲い掛かってきて__

     パン、と。

     乾いた音がする。

     同時に、マイクが倒れた。はっとしてそちらを見ると、よくわからない、煙を吐き出す筒状の……武器? をもった壮年の男性が、こちらに視線を向けていることに気づく。すみれ色のひとみにはセンサーが内蔵されていない、人間だ。それに気づくのと、男がこちらを見るのとは同時だった。

    「……人間……では、ないな。ドールか?」

    「あ、……ああ、これは、一体……あいつらは……」

     男は躊躇うことなくこちらに近づいてくると、エランの足元で重なるように倒れるふたつの肉叢を改めた。それから「こっちはもうだめだな、コアが壊れている。こちらはもしかしたら直せるかもしれないが、コアの大部分がこっちの記憶になっているから、改竄は難しい」と端的に言う。

    「一体__これは……」

    「あまりここで長居をしない方がいい。お前のような者は特に」

     安全な場所に退避するといい、目覚めれば全てが元通りだと。

     男はそれだけ言って、ゆっくりと歩き出した。

    dice1d3=3 (3)

    1:……男に、ついていく。

    2:そそそそそうだ!シャディクや四号や五号を探さないと!!

    3:なんか嫌な予感がするんだが一旦花屋いっていいか?

  • 41二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:46:01

    もしかしてシャディクの時計台を守る選択肢あたりからもうこのシリアスルートに行きつつあった?!

  • 42二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:57:48

    映画みたいで面白い…
    落ちてた碧色の目玉何?
    オルコットさん頼りにしたいのに、もうお別れして花屋に戻っちゃうんだね

  • 43二次元好きの匿名さん23/11/11(土) 23:58:05

     エランははっと、グエルの言葉を思い出す。

     ……されたく、ないから。あるいは、ラウダには忘れてほしいから。なにかがそれを引き起こした、一体何が? それがもし__『これ』なのだとしたら__

     どこかに向かったらしい男に背を向け、エランも歩き出す。砂埃が視界を覆う。花壇は踏みつぶされ、煉瓦の舗装はところどころ剥がれてしまっている。中央広場は__見えるところに殺し合いをしている輩はいないが、ところどころにばらばらになったドールがおちている。あまりにも凄惨な光景に、エランは思わず吐き気を催して、くちびるを覆った。でも、……だけど。

     エランの耳に、どこかで聞いた事のある声が聞こえてくる。

     泣いている声だ。方向はわかっている、花屋ジェターク。エランは出来る限り他のドールと遭遇しないようにしながら、慎重にそちらに歩をすすめる。どうやらこちらにはドールの数も少なかったらしく、可愛らしい店構えの店、木の看板やブリキの鉢植え、花の香は、そっくりそのまま残っていた。

    「……なさい、ごめんなさい、ごめんなさい、おきて、おきて兄さん、おきて、おきて、おきて……」

     中から壊れたラジオのような声が聞こえてくる。視線だけで、そちらを見やる。店の中は日が差し込まず薄暗いが、暗視モードに切り替えたカメラ・アイであれば、視認することも難しくない。そうして、……予想通りの光景に、しかし、顔を歪ませた。

    「どうして、どうして僕、あ、ああ、あああああ……」

     泣きじゃくるラウダ、ぐったりと動かないグエル、花の香に混じる微かな鉄のにおいに、地面に広がる赤。先程の鐘の音、突然殺し合いをはじめたジョンとマイク、グエルがちらりと話していた、「ドールを操るもの」__

     何がどうしてそうなってしまったのかまではわからない。

     ただ、何が起きたのかは、すぐに理解した。

     ……理解してしまった。

    dice1d3=2 (2)

    1:……花屋の中に入って、dice1d2=1 (1) (1:ラウダ 2:グエル)に声をかける。

    2:四号や五号は大丈夫なのか!?この感じ……探すぞ!!

    3:__不意に、足音が聞こえる。

  • 44二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 00:17:44

    「四号! 五号!」

    「兄さん」

     探せばすぐに__おそらくBL的な強制力なのであろうが、この場合はむしろありがたい__こちらに向けて困ったような顔を向けている四号と、その腕に取りすがって小さく嗚咽を漏らしている五号が見つかった。エランはすぐに駆け寄って、二人の体を確認する。見た限りではどこもけがはない。二人まとめてぎゅっと抱きしめてから、一旦近くの遮蔽物に隠れて、声を潜めて伺う。

    「大丈夫だったか? どこも悪いところはないか?」

    「特には。強いて言うなら爆風で飛んできた破片で、多少服が破れたくらい」

    「ひっ、ひう、うううう、こわかったよお、にいさあああん……」

     四号が分析し、五号がわんわん泣きながら今度はエランにすがりついた。エランは「怖かったな」と軽く五号の背を叩いてあやしてやりながら、どうやら冷静さを辛うじてたもっているらしい四号の方に話しかける。

    「これって……どう考えても、あの時計塔の鐘の音……のせいだよな」

    「うん。どうして時計塔の鐘をきいて突然こうなったのかまではわからないけど、昨日までも鳴っていたけど、こうはならなかったわけだし」

    「時計塔の管理って……シャディクがやってるよな、シャディクに聞けば……あれ、シャディクは?」

     エランはそこで、ぐるりと周囲を見回した。

     三人で残してきたはずなのに、今ここにいるのは二人しかいない。五号がぐす、と鼻をすすりながら、エランの体をぎゅっと抱きしめて、その胸に頭を軽くこすり続けてきた。

    「どこかにいっちゃったの。僕達は安全な場所にいるようにって、いって……」

    「……兄さん、シャディク、明らかにおかしいよ。もう関わらない方がいいよ」

     四号の声が、少し震えている。

     二人とも憔悴しきっているらしいことに、今更気付いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:とりあえず二人を慰めて落ち着けてやろう……

    2:二人をdice1d2=2 (2) (1:つれて 2:おいて)シャディクを探すぞ!dice1d3=1 (1) (1:路地裏 2:広場 3:花屋)にいる……気がする

    3:二人をdice1d2=1 (1) (1:つれて 2:おいて)シャディクを探すぞ!時計塔に向かうか……

  • 45二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 00:39:12

    グエル…悲しい…
    わんわん泣いちゃう五号が可愛い、声が震えちゃう四号も
    BLに構ってる場合じゃ無い気がしてきましたけど

  • 46二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 01:14:27

    「……いや、だからこそだろ」

     エランは立ち上がり、弟たちの頭をぽんと撫でる。そう、「だから」だ。この街で時計塔に関わっているのは、サリウスを除けばただひとり、シャディクだけである。だから、この謎を解明するためには、シャディクを問い詰めなければならない。

     逃げるわけには、いかない。

     呪いと__向き合う、覚悟が、ある。

    「ごめん、俺いく。四号、五号のこと、頼ん__」

    「待ってよ!僕も行く!」

     口を挟んだのは五号だった。目を見開いたエランの腕を取り、涙目でこちらを見つめてくる。四号も、無表情ではあるが、確かにじっと、こちらを見つめている。

    「兄さん……変なところで、騙されやすいし……」

    「二人が行くなら、僕も」

     五号が腕で顔を拭いながら立ち上がる。ついで四号も、ぱんぱんと自分の脚についた土埃を落として、エランを見つめた。

     誰かの悲鳴が聞こえる。

     たぶんまたひとつ、ドールが機能を停止した。


     時計塔には常ならば鍵がかかっているのに、今日は扉が半開きになっていた。とはいえ今は「扉をあけて、階段をのぼる」という段階すら満足に踏めない者が多いらしく、中には人気がない。

     違うのは、ただ一人。

     時計塔の天辺の小部屋、窓から垓下の惨状を見下ろして、無感情な笑みを浮かべる青年__シャディク・ゼネリだけであった。

    「……やあ。ここは安全だよ」

     彼はこちらに一瞥をくれることもなく、そうつぶやく。その声は、どこか冷たく、無機質だ。あの時路地裏に転がっていたのと似た色をした青いカメラ・アイが、ぼんやりと窓の外を見つめていた。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……どうして、何が……どうなっている」と尋ねる。

    2:「お前がやったのか、シャディク・ゼネリ!」と詰問する。

    3:「ラウダが、グエルを……殺して……」と呟く。

    dice1d2=1 (1)

    1:仕事だからね

    2:……君は、とくべつ

  • 47二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 01:32:19

    「……シャディク」

     エランは一歩、そちらに向けて近づいた。

     シャディクは座り、頬杖をついたまま。エランは立ち尽くして、シャディクを見つめている。

    「なあ、お前は何を知っている?あの鐘の音はなんだ?どうして皆突然殺し合いはじめた?俺は、……お前は……何が、どうなっている?」

    「ごめん」

    「何故謝る」

    「君に、こんな光景を見せてしまった事。本来なら『大丈夫』なドールは、十一時に家に戻るように誘導しているのだけれど。前回も、今回も、間違えてしまった」

    「何を__」

    「ごめん、ごめん、ごめん」

     仕事なんだ。

     ごおおおおおん、と。

     シャディクが立ち上がり、鐘を鳴らす。とたんに、頭の奥で何かがかすみがかっていく。呆然と。消えていく。うすれていく、惨劇の記憶が、衝撃が。身体から力が抜けて、意識がおちていく。はっと見れば、四号も五号も、同様に崩れ落ちていくのが見える。

     待て、と呟く。まって、まって。まだおちないで。手をのばす。のばした手をシャディクがとって、優しい、やわらかな感触があったのが、何故だか鮮明に理解できた。ごめんね。

    「……『次』はきっと__」

    ジェタークのとこの処遇はdice1d2=1 (1)

    1:『前回』と同じ 2:dice1d2=2 (2) (1:グエル 2:ラウダ)の希望に従う

     __エラン・ケレスは理解している。

     この箱庭は大いなる存在によってつくられた世界であると。

     今も見てるんだよお前だよお前。お前たちのような人間に、監視され、見世物にされるために生まれた世界。しかもそのうえ管理人がこの世界に「BL」という運命を決定づけたと来た。おかげでエランの住むこのまちは、

     ……あれ?

     エランは窓の外を見る。いつも通り、うつくしい街並みがひろがっている。硝子は曇りなく、赤煉瓦は欠けなく、花はきれいだ。なのに、どうしてか、

    (__ひっかかりを、覚える?)

     エランの胸に、奇妙な違和感のとげがちくりと突き刺さった、ような気がした。

    dice1d3=1 (1)

    1:花屋ジェタークに向かう。

    2:とりあえず弟たちと朝食を食べる。

    3:時計屋のシャディクのところに向かう。

  • 48二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 01:32:35

    碧色、調べたらシャディクと似た色だなと思ったもんな
    しかしシャディクの両目のカメラ・アイは揃ってるようだし、これはどういう事だ?

  • 49二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 01:41:38

    え?え?何が起こったの?
    もしかしなくてもループした?

  • 50二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 08:47:35

     やはり、綺麗な街並みにどこか違和感を感じる。

     違う。本来こうあるべき姿であるはずなのだが、エランは確かに、この街がぐちゃぐちゃに蹂躙された姿を知っている。では一体、いつ?どうして?ずっと平和だった、はずなのに。

     なにとはなしに花屋ジェタークに向かう。あそこの兄弟は父が人形師であるし、人の記憶に作用する花をいくつか売っているから、なにか事情を知っているのではないかと思ったからだ。

    「……めっ、……ごめっ……」

    「や、……や、や、や……!」

     近寄ってみると、花屋の中から、愛らしい店構えに相応しくない悲鳴が聞こえてきて、困惑する。慌てて店の中に入ると、異様なほどに顔を真っ青にさせたグエルが、同じく顔を青くしたラウダを押し倒し、なにかの花のにおいを嗅がせようとしていた。ラウダはどうやら拒んでいるようだが、相手が兄だからかなんなのか、はっきりと抵抗できている訳ではない。エランは花に詳しくないのでパッと見でそれがなんなのかはわからないが、なんにせよマズいことがおきてるのは確かだ。

    「ちょ……ちょっと、お前ら、何やってるんだよ!落ち着けって!!」

     思わず飛びこんで割って入ると、ラウダが泣きそうな顔でこちらを見た。ついでグエルが、ゆらりと、立ち上がる。手には花を握ったままだ。

    「あんたも……お前も、俺を……」

    「にいさん、ごめん、あれは、ちがう、僕は……」

    「何が違う!知らない……信じない!!」

     グエルが青い目を血走らせ、こちらに掴みかかってくる。ウワア!なんか知らんけどBL回避しようとしたら戦闘始まったんだが!?

    dice1d3=2 (2)

    1:エランの勝利!とりあえず二人を落ち着かせることに成功する。ステゴロCががなんぼのもんじゃい

    2:ラウダの勝利!グエルは気絶するが、ラウダのやることに口を出せるわけではない

    3:グエルの勝利!2vs1で圧勝とかフィジカルエリートのゴリラすぎんだろ

  • 51二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 09:05:08

    「お、おい、何し__」

     エランがこちらに向かってくるグエルにビビり散らかしていると。

     跳ね起きるように飛び上がったラウダが、そのままグエルを羽交い締めにし、うつ伏せに地に押し倒す。そのまま両手をひねりあげて、「あっ、」と悲鳴をあげるグエルの顔に、先程までグエルが持っていた花を近づけた。混乱していたらしいグエルは、その花の香をまともに吸いこんでしまったのか、しばらく四肢をばたつかせたのち、がく、と脱力して気絶する。

     凄まじい早業であった。

     なんというかアサシンの系譜を感じた。

     ビビり散らかしていると、ラウダはゼエゼエと息を切らしてグエルの片手を両手でにぎった。「ごめん、ごめん、ごめん」。よく見ると、グエルの腕の関節のあたりに、継ぎ目のようなものが見える。

    「……グエル、こいつ……」

    「あいつに……頼んだ。ほんとは、操られてないのに自衛すらできないドールなんて廃棄されるとか、言われたけど……僕がお願いして、兄さんを、『修理』してほしいって」

    「修理?」

    「いちばん、大事な部分が。傷ついていなかったから、壊れた部品を接合して、失った体液を補充すれば、また動けるって……でも、今朝起きたら、兄さん、前のこと、覚えてた、みたい、それに兄さん、僕から『グエルという兄がいた』って記憶を奪って、逃げようとしたから……」

     ラウダの声が震えている。「だから、兄さんから、あの記憶を、奪った」。話が読めない。前?一体、なにがあった?一体何が、グエルを__いや、『この二人』を、致命的に狂わせてしまった?

    「ごめん、ごめん、ごめんなさい……」

     ラウダは泣きじゃくっている。

     なんかBL!(笑)とか囃し立ててる場合じゃなさそうだなあと思った。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……シャディクを、尋ねるといい」と冷たく言い放つ。

    2:「……これで共犯者だ。誰にも、内緒だよ」よ人差し指をたてる。うわBLっぽい(笑)(ヤケクソ)

    3:「……ごめん、僕らにはもう関わらないでくれるかな」と言いながらどこからか花を取り出す。dice1d2=1 (1) (1:脅しか? 2:お、おお……そうだな)

  • 52二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 09:40:04

    BLどころではなくなってるけど最後はBLになるんだろうな…

  • 53二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 10:46:25

    BLなれるの?いや、回避したくて様は頑張ってんだけどさ
    シリアスに片足どころか両足突っ込んでますね…
    それも息を呑むタイプの面白さの…
    アサシンイメージがラウダに似合ってて笑う

  • 54二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 10:51:32

    一緒に逃げてくれますか。って言ったグエルの事はグエル自身や様どっちも忘れてる?んだろうか

  • 55二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 13:31:12

    「エラン・ケレス。もう僕たちには関わるな」

     ラウダがどこからか、花をひとつかみとる。

     パッと見がグエルにつかったものとおなじだから、多分これも忘却の香だ。ただし量が明らかに多い。これを直に嗅いだら、どれだけの量の記憶が失われてしまうのだろうか。どれだけのことを、忘れてしまうのだろうか。もしかしたら自分が『エラン』だということも__

    「……それは、脅しか」

    「話が早いね」

    「だめだなBLなのかスリラーなのか判別つかない」

    「び……?すり……?」

     ラウダは一瞬きょとんとしたような顔をするが、すぐに抜け目なくこちらを睨んでくる。チャカでも突きつけてくる犯人みたいだ。しかしエランは、一歩。そちらに向けて近づいた。

    「残念だが、聞いてやれない」

    「何故?」

    「約束したんだ」

    「何を」

    「さあ?ただ」

     エランは肩を竦めた。いつだったかはわからない。なにと言ったかも分からない。ただ確かに、あの日あの時、エランは約束した。

     ラウダの腕の中で、ぐったりと力無く倒れるグエルを見下ろす。

    「こいつを、助けたい、って」

     __BLではなくブロマンスってことで片付けてくれないか?

    dice1d3=2 (2)

    1:消耗していたラウダを倒し、グエルを一旦家に連れ帰る。

    2:普通に敗北する!フィジ強ジェタークには勝てなかったよ……

    3:「……そこまでだ」とdice1d2=2 (2) (1:シャディクの 2:低い)声がする。

    ちなみにグエルの記憶状況:dice1d100=34 (34) (100ほど「殺された」ってのが消えただけで十分に残ってる。1に近いほどたくさんのことを忘れている。80以上なら一緒に逃げようの約束も覚えているが、30以下でエランなどの存在を忘れ、20以下で記憶喪失ボブ化する)

  • 56二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 13:41:33

    グエルはNPCでも弱き生き物……(BL回避として)と思ったがそれ以上にエラン様が弱かった(生き物として)

  • 57二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 14:13:34

    グエルは色んな理由で敗北するけどフィジカルは基本的に強いからな…様はフィジカルも弱い…何らかのピラミッドの底辺にいってしまう…

  • 58二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 14:22:37

    「薄々勘づいてたけどこの世界のダイスって俺やグエルが弱いんじゃなくてラウダに対して甘いだけじゃないか?」

    「っはー……ダイスって、何」

    「まあ待て落ち着けギブだ。俺は腕の関節が外れそうで辛い、お前は明らかに精神のトリガーが外れていて苦しい、一旦停戦条約を結ぼう」

    「何の話をしている!」

    「あっ待て痛い痛いギブギブギブ」

     やっぱりラウダがアサシンだったよ!というか明らかにおかしいだろ。エランは腕をひねりあげられながらおもった。なにかこうなんらかのスキルを使ってはいないか?幸運A筋力A++じゃないか?宝具は漆黒の騎士より送る祝福(シュバルゼッテ・ガーディアン)とかなのか?Fateにわかのくせに適当なことを言うな

     これ以上無駄な抵抗をしてもどこぞのインチキダイスばりの強制力をもってしないとラウダを破ることは出来ないかもしれない__しばらくそんなふうにぎゃーぎゃー騒いでいると、不意に。

     ……むく、と。

     倒れていたグエルが立ち上がる。「いたた……」と言いながら腕をぐるぐる回して、しばらく呆然とあたりを見回したあと、こちらを見てはっと顔を青くした。

    「ちょ、ラウダ、なんでケレス家の当主様に暴力を……!?すんませんケレス様、なんか好きな花まけとくんで、ラウダ離せ!」

    「グエル__」

    「兄さん。うまく、忘れられたんだね」

     それは、あるドールの記憶を自在に操り、洗脳、あるいは矯正させる、おぞましい技術。

     ラウダがどこか、安心したような、口角が引きつったような笑みを浮かべた。

    「よかった」

    dice1d3=1 (1)

    1:……俺の関与していいことじゃない。家に帰ろう。

    2:ドールに関する知識……シャディクに頼めば、グエルの記憶を直してくれないか?

    3:「ケレス様って……」ちょっとショックで呆然として動けん

  • 59二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 14:28:05

    これ「エランなど」って事はみんなの記憶が全体的に昔に戻ってるなら自分の記憶も昔に戻ってそうだけどラウダはそれでいいのか?

  • 60二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 15:36:41

    兄さんの記憶はdice1d2=2 (2)

    1:精神年齢4+dice1d10=1 (1) 歳程度であり、記憶もそこまでしかない

    2:精神年齢14+dice1d7=2 (2) 歳程度であり、記憶もそこまでしかない

    dice1d3=3 (3)

    1:僕は……あの人といた幸せな過去を取り戻したいだけだから……(執着)

    2:それがあの人を壊した罰なら、甘んじて受けるよ(諦観)

    3:?それが何か不都合なの?(ノーダメ)

    「……そうかよ」

     エランはぐるりときびすを返し、二人に背を向けた。グエルが「ケレスさま?」と不思議そうな顔をするが、「何もいらない」とだけ返す。

     なんだかじくじくと、胸が奇妙に、膿を孕んだような痛みを訴える。くちびるを噛んで赤煉瓦を踏みしめると、なぜだか肺の奥が冷たく感じた。


    「あ!兄さん、おかえり」

    「朝からどこに行ってたの?」

    「ああ、いや……ちょっと……」

     二人はどうやら朝食を食べていたらしい。五号が椅子に座り、足をぱたぱたと動かしている。エランが席につくと、四号が朝食のプレートをはこんできてくれる。白パンに果物にコーヒー。この街では一般的な食事だ。

    「兄さん?どうしたの」

     ぼーっとしていると、五号がエランの肘を軽く叩いた。エランははっとして、「なんでもない」といい、朝食を口にする。美味しいはずのそれが、なぜだか酷く、胃に重かった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……俺はこの街の外に出たい」と何もなかったことにして続行する。

    2:「……この街の謎を、解き明かしたい」と無意識につぶやく。

    3:「グエルがラウダ押し倒してた……そのあとラウダがグエルを押し倒した……」と事実だけ陳列する。

    四号:dice1d100=18 (18)

    五号:dice1d100=76 (76)

    ※100ほど様に協力的。1ほど「ヤダ!イチャイチャしよ」

  • 61二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 15:39:43

    4号落ち着いてるように見えてお前…

  • 62二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 15:46:40

    物語的にはシャディクが鍵なんだろうな

  • 63二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 16:12:14

    ※グエルはオラオラなホルダー状態(ただし見た目と肉体はいわゆる三年後グエル)になりますが、ラウダは別にこれぐらいギラギラな兄さんの方が懐かしくていいそうです。再登場あるといいね!!


    「……俺、この街の外に出たい」

     エランは二人の顔を順に見回す。そうだ、この街から出たい。この世界から、脱出したい。とりあえずグエルのことはなかったことにしておく。新ルールなかったことにする それありにしたらもうなんでもありだろ

     五号は「えー」と声をあげ、頬を膨らませる。むっとしたような顔でエランの手を取り、むにむにとその皮膚の感触を確かめながら、末っ子特有のどことない図々しさというか、自分が甘やかしてもらえるのが当然であるという前提ですりすりとすり寄ってきた。

    「なんで外に出たいの?別にこの街でずっと、僕たちと一緒に楽しく暮らせばいいじゃん」

    「……協力はする」

     四号が無表情のまま、こちらを見つめる。だけど、と続けて、対面に座った。瞳は真っ直ぐで、エランと同じ翠色のカメラ・アイ。センサーの焦点が、こちらにぴったりとあう。

    「だけど、『何故外に出たいのか』をはっきりさせない限り、僕だって、五号と同じ気持ちでいるよ」

    「俺は、……」

     どうして、外に出たいのだろう?

     この外に出て、何をしたいのだろう?

     ……エランはどうして、外に出るって、いつ、だれに誓ったのだっけ?

    dice1d3=1 (1)

    1:「……自由になりたいんだ。飼い殺しなんてごめんだからさ」と誤魔化す。dice1d2=2 (2) (1:それならいいよ 2:だめ。イチャイチャしよ)

    2:「だめ?兄さんのおねがいきいてくれないのか?」と甘えてみる。dice1d2=1 (1) (1:しかたないなあ 2:だめ。イチャイチャしよ)

    3:……dice1d2=1 (1) (1:思い出す 2:なんもわかんねえ!ちょっとこうだまりこんでしまう)

  • 64二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 16:20:46

    ピンポイントでだめなやつ引いてるあたりやっぱ素質あるわエラン様

  • 65二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 20:22:55

    様がカッコいいこと言ってると思ったら、速攻負けちゃうとこw
    フィジカルジェタークには勝てないよ…ブロマンス…新たな世界観を発見した

  • 66二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 20:26:21

    四号はむっつりスケベと…メモメモ…
    エラン三兄弟もそれぞれに可愛いなあ、会話の攻防戦が続きそう?

  • 67二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 23:04:39

    イチャイチャ箱庭生活で終わっちまう

  • 68二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 23:43:08

    「……自由になりたいんだ」

     エランは小さく呟いた。

     膝の上で手を組み合わせる。たぶん嘘は言っていない。エランの頭の中の最も大事な部分は『BLを回避すること』に向けられていて、それは何故かといえば何か大いなるものに行動を縛られたくないから、操られたくないから、という意味である、と思う。わからない、自分でもそれが真なのかわからずにいる。違う、確かに正解ではあるはずなんだ、しかし本当に『これ』であっているのか?

    「箱庭の中で飼い殺しなんてごめんだね。俺は俺の力を上手く扱える場所に行きたい」

     __わからない。

     疑念を持ちながらそうつぶやいたことは、残念ながら弟たちにはお見通しであったようだ。四号がため息をついて、「もういい」とエランの椅子に座った。先に記載しておくがエランの座っている椅子は普通に一人がけのスツールだ。つまるところ半ば無理矢理乗り上げてきたことになる。一つ分のスツールにふたつはちょっと入れないんだが!? エランが抗議の声を上げるより先に、今度はエランが「ずるーい!」とエランの膝に乗り上げてくる。「ぇぐ」とつぶれた蛙が発するような悲鳴をあげた。

    「おい馬鹿お前ら、どけってば」

    「兄さんがそんななら、僕だってやりたいようにやるだけ」

    「えへへ、兄さんのお膝、あったかいね」

    「う、ぐぅ、重いぃ……!?」

     ぎゅうぎゅうにつめてくる四号。容赦なく体重を預けてくる五号。

     エランの頭に「兄弟BL」という言葉が浮かんできた瞬間であった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「重いだろやめろって!」と無理矢理引き剥がす。つよいぞ

    2:ウワコイツらこのまま寝落ちしやがった!!dice1d2=1 (1) (1:しゃーねー俺も寝るか…… 2:なんとかしてベッドに移動させてやるか……)

    3:……う、こ、こまる……

  • 69二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 23:56:40

    「重いだろ、やめろって!」

    「あう」

    「みぎゃ」

     こいつらはどこぞのゴリラ一族とは違う。エランと筋力的には大差ない。そりゃもちろんスポーツが好きな五号や、趣味で多少鍛えているらしい四号と比べて、引きこもり・運動音痴・理系のエランが多少フィジカルで劣っているのは否めないが、それでも気合いを入れれば引き剥がすことくらい容易である。そもそもあまり抵抗をする気もなかったのか、二人は簡単にころりところがっていった。そもそも一つ分の陽だまりに三人ねじ込もうとしたあたりから間違っていたのである

    「にいさん、ひどいよう、僕のこといじめるの?」

    「五号嘘泣きはよくない」

    「……お前らが協力してくれないなら、俺は一人で行く」

     エランは机を手で押して、立ち上がる。

     見下ろせば、五号は一瞬ぽかんとしたあと、「どうしていっちゃうの!?」と怒るような、泣くような声で言った。弾けるような叫声に、エランは一瞬、当惑する。

    「僕も一緒がいい。なんでだめなの?僕はただ、いつまでも仲良く、兄弟一緒に、幸せに暮らしたいだけなのに……」

    「……兄さんが五号泣かせた」

    「ダブスタ中間子!?」

     こちらをじとっとした目で見る四号に一瞬気圧される。いつまでも、なかよく。一緒に、幸せに……エランは__

    dice1d3=3 (3)

    1:……二人を置いて、外に出る。

    2:とりあえず二人を慰めることにした!おにいちゃんなので!!

    3:外に出……あれ?鍵?あかない??

  • 70二次元好きの匿名さん23/11/12(日) 23:58:56

    これはダメかもしれないね

  • 71二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 00:19:36

    表紙に同じ顔が三人いるタイプかあ

  • 72二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 00:56:13

    ここのダイス神、弟属性に甘くない???

  • 73二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 01:38:44

    この弟たち、鳴き声も反応も可愛すぎて飼いたくなってくる…

  • 74二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 06:51:10

    弟たちに愛されて夜も眠れないエラン様か…

  • 75二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 07:13:45

    「……知らない、俺は……自由……に?」

     扉に手をかけてひねる。がちゃがちゃと音がする。

     恐る恐るひねる。

     がちゃがちゃと音がする。

     おもいっきりタックルするいきおいでつっこむ。

     がちゃがちゃと音がする。

     もしかして引き戸だったかと思い出しひっぱってみる。

     がちゃがちゃと音がする。

     明らかに『鍵がかかっている』。どうして内鍵が鍵がないと開かない作りになっている!?え今朝からこんなだったか!?今朝もこうだったけど気づかなかっただけだよな、俺ジェタークのとこ出かけてる一瞬の間にこうなったとは流石に思いたくねえよ!!そもここはエランの家のはずで、なんで仮にも家主にあたるエランの意図を無視しておそらく弟たちの好き勝手に改造されてるんだよ!

    「……兄さん、どこいくの?だめだよ」

     五号がぷくーとむくれながら、エランの背後から抱きついた。抱きつく__というより、違うこれは、拘束だ。「なっ……」と悲鳴じみた声を上げるより早く、四号が近寄ってくる。

    「兄さん。外に出たい?」

     その手にはおそらく外に出るためのものなのであろう、紺色の金属でできた一般的な形の鍵が握られていた。無表情にこちらを見つめる瞳は、やはりエランと同じ色をしている。すり、と。五号がエランの肩口に顔をこすり付けた。金色の髪がふわふわこすれて、すこしくすぐったかった。

    「なら僕たちのそばにいて、いいよね」

    「……逃がすつもりも、ないけど」

     前門の四号、後門の五号。

     せめて前門(意味深)や後門(意味深)が無事ですめばよいなあと思った。

    dice1d3=2 (2)

    1:うおおおお鍵を奪って逃げる!ペイル神拳を喰らえ!!dice1d2=2 (2) (1:逃げられた 2:無理)

    2:……とりあえずこいつらの気が済むまでこうしているか、くっ……

    3:「で、でも、ほら、俺たち、男同士だし、兄弟だし!」と説得する。dice1d2=2 (2) (1:それは……そうかも 2:前回までの見なよ)

  • 76二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 07:25:55

    逃げる選択肢でさえも逃げられない!
    ラウダ1人相手でも勝てなかったし2人相手はエラン様にはきつかったか…

  • 77二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 07:32:11

    弟という存在があまりにも強い

  • 78二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 07:33:59

    様……もしかしてグエルに匹敵する逸材なのでは?(このシリーズとの相性的な意味で)

  • 79二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 07:34:08

    ここのダイスはラウダに甘いんじゃなくて弟に甘いとう気付きを得た

  • 80二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 12:35:39

    捕われちゃったねぇ…
    この世界の弟たちは鍵の工作に長けてるなw
    フィジカルエリートのグエルですら弟一人に手こずるんだから、様が前門も後門も無事に守りきれる気がしない…

  • 81二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 12:49:32

    くっ……とか言っちゃうのがダメ
    そんなグエルみたいなこと言ってたらBLに絶対敗北する弱き者になるぞ

  • 82二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 18:32:30

    苦労人ケレスさんからでしか得られない栄養素ありがとう

  • 83二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 21:44:02

    「……わ、わかった。わかったから、一旦離れてくれ……」

     羞恥と恐怖とに__決してBL的なものではなく、あくまで『年頃の兄弟がこんなに仲良くするなんて』ということに対する困惑と、単純に自分よりつよいいきものに抵抗を封じられていることに対する生物的な本能を示していっている。繰り返すがBLではない__頬を上気させ、やんわりと押し返すと、弟たちはやや不服そうなそぶりをしながらそっと離れて行った。

     四号が紅茶を淹れに、五号がクッキー缶を取りに台所に向かう。エランは行き場なく椅子に座って、断罪を待つ罪びとか何かのような、あるいは単純に俎上の鯉がごとき恰好で座り込んでいた。

     あたまのなかがぐるぐる、混乱してくる。何がどうしてこうなったのだろう。だってこれってあれだよな。監禁だよな。手錠も首輪もかけられていないけれど、自由に動くことはできそうにない。それにこの感じ初期によく見た。なんだよ初期

     __どうして?

     エランの頭にうかんできたのは、単純な疑問だった。BLとは文脈を、話の流れをある程度重視するもので、エランが「回避」と主張するフラグが、つまるところ予兆となる行動がある前提であったはず。今までは、少なくとも兄弟BLというジャンルにくくられるようなことは、なかったはず。それでは一体、何がきっかけで?

    (俺は何を忘れている?)

     ゆるゆると息を吐きだせば、四号と五号が戻ってきた。暖かな紅茶やお菓子からは、ふわりと甘い香りがする。

    「それじゃあ、お茶会をはじめよう!」

    「……永遠に」

     笑顔は、無邪気だ。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……なあ、俺は、何かを忘れてはいないか?お前らは何を知っている?」と直球で尋ねる。dice1d2=2 (2) (1:教えてくれる 2:教えてくれない)

    2:あ。時計塔の鐘の音だdice1d2=1 (1) (1:……? 2:いつも通りだな)

    3:「お、おお、そうだな!」ととりあえず一緒にお茶会する。

    dice1d2=1 (1)

    1:四号「まあ」五号「食事といえばみたいなところあるじゃん?」

    2:四号「人聞きの悪い」五号「僕達は可愛い弟なんだよ!」

  • 84二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 21:47:06

    弟属性食い物にナニかを盛りがち

  • 85二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 21:58:41

     十二時。

     ごおん、ごおおん、ごおおおん……

    「あ、鐘……」

     はっとして顔をあげる。時計塔の鐘の音だ。耳を塞いでも、どこにいても必ず届く、重い鐘の音だ。誰が鳴らしているのかはわからない、しかしその鐘の音は身体の奥、エランでも関与できない場所に浸み込んで、どくりと鳴らす。しかしそれも、家の中にいれば、安心感と共に拒絶することができる。ぱちぱちと瞬きをしている間に、音がやんだ。

    「……鐘?」

     エランの頭に、何かが引っかかる。記憶が混濁する。ぐる、と巡る。心臓が、どくりと高鳴る。混濁していた記憶の整理が行われると同時に、ようやく、辿りつく。

     思い出す。

     そうだ、自分はあの時。どうして忘れていたんだろう、あんなに鮮烈な光景を。悲劇を。どうして修復した? どうやって元通りにした? シャディクを説得して、グエルと一緒に逃げる約束をして、鐘が鳴って、皆が殺し合い始めて、街が破壊されて、あの時、ラウダが、グエルを、壊し__

     どくん

     突然、胸がぎゅんと悲鳴をあげた。どくどくと血が巡り始める。思考がどろりと蕩ける、明らかな興奮状態、アドレナリンの活性化、それなのに逆に、全身から力が抜ける。違う、逆に体が緊張しすぎて満足に動けなくなっている。

    「よかった、きいたんだ」

    「流石ジェタークの花だね」

    「よ、んごう。五号、お前ら、何を__」

     横目で確認すると、二人の分は、紅茶が減っていなかった。目を見開いていると、四号がこちらの体を押さえつけてくる。そんなことしなくても抵抗なんてできないのに。五号が、うっとりと微笑んだ。

    「兄さん、助けてあげる」

    「……僕たち、なかよしの、兄弟でしょう?」

     __あれこれ詰んでね?

     ないのかビギナーズラック。ないのか初心者優遇。ないのかチュートリアル! 早々になかなかこう、不味い状況に押し込まれてしまったエランは、

    dice1d3=3 (3)

    1:「嫌……嫌っ、助け、誰か!」と叫ぶ。dice1d2=2 (2) (1:あれは……!? 2:無理)

    2:「ままっままままままあ待て。話し合おう」と説得。dice1d2=2 (2) (1:成功 2:無理)

    3:「うあっ、うああああ!!!!」と抵抗(物理)dice1d2=2 (2) (1:成功 2:無理)

    ちなみに効き目の程は:dice1d100=7 (7)

  • 86二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:00:13

    全部失敗してて草

  • 87二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:02:24

    効き目が低くてよかったね

  • 88二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:04:47

    全部無理!!へちょいぞ様!

  • 89二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:10:50

    「ぐ、あう、や、め、やめっ……」

    「ふふふ、兄さん、それで抵抗しているつもり?」

    「……ひんじゃく、ひんじゃく」

    「ウワア見た目同じなのに筋肉量が違う!?」

     正直薬がきいているかきいていないかでいえばほぼ全くきいていない。エランはつよいので。だがきいてるきいてないは別として、ふつうに自分と同じくらいの体格かつ自分より力の強い人間にふたりでおさえつけられたら動けなくなる。というか今他の選択肢を観測したけど他の選択肢も全部失敗してなかったか? 何故だ? 一個くらいは成功して然るべきじゃないのか? そろそろこの画像が過労死しそうなんだが……

     五号がそっと、エランの手の甲にくちびるを落とした。祈るように、希うように。その瞳は、どこか悲し気な色を纏っている。それが何なのか理解できなくて、エランは一瞬、困惑、する。

    「ずっとこの箱庭にいればいいんだよ。そうすれば平和だ。傷つくこともない、自由と引き換えに、安全と幸福な日常を手にいれることができる」

    「……僕達二人で、兄さんのこと『共有』しようって、そういう話になったの」

     ウワBLで聞いたことある語彙出てきた! エランは咄嗟に身をよじって逃げようとしたが、それより先に四号がエランの頬にキスする。共有ってアレだ。表紙に三人うつってるタイプのBLで大義名分として扱われるアレだ。ヤダよほぼ全く同じ顔が表紙に三つ並んでるBL!!

    「兄さん」

    「にいさん」

    「「永遠に、ここで、お茶会していよう」」

     翠色がよっつ、並んで近づく。

     エランはぐっと、唇を噛んだ。

    もうあきらめて(暗転)しろダイスdice1d3=2 (2)

    1:ほんとうにただただイチャイチャしただけ 全年齢

    2:キスくらいはしたし、きわどいところに触ったかもしれない R15くらいではある

    3:疑いの余地なく完璧で幸福なフィックス・リリースだァ~!!

  • 90二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:23:02

    このレスは削除されています

  • 91二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:23:24

     紅茶が冷め切っていた。

     エランはゆっくりと身体を持ち上げる。寝台には可愛い弟たちがこてりとエランの周囲を囲って眠っていた。ちらりと鏡を見る。今日外に出るとしたら襟の詰まった服を着て行った方がいいかもしれない。それにしてもよかった。少なくとも今回の世界線が意外とコンプラとかそういうのに厳しくてよかった。よかった……のか? いやよかったということにしよう。この程度まだまだ兄弟の範疇。全くのセーフである。普通にするじゃん!キスってするじゃん!兄弟で!エランがするかどうかではなく一般的な基準として兄弟でキスはセーフだ!!

     こほんとせきばらいをして、努めて音をたてないようにし、ベッドからするりとおちる。あたたかなブランケット、体温でぬくもりを与えられた柔らかな箱庭から、ゆっくりと抜け出す。ひやりとした床に足をつくのは少しの痛みを伴ったが、しかしそれに構っては、いられない。

     エランは、あの鐘の謎を解き明かさなければならない。

     悲劇を食い止めたい。

     __やっぱり、外に、出たいんだ。

     一瞬ちらりと振り返る。エランは嘆息して、再び歩き出した。

    dice1d3=2 (2)

    1:……まずは鍵を破らないとな!!

    2:花屋ジェタークに行く。ラウダは記憶を持っているっぽいから、何かわかるかも

    3:逆に時計屋グラスレー以外に行くとこあるか?

    2、3の場合エラダイス(これ以上の数が出たら再登場)

    四号分:dice1d100=19 (19)

    五号分:dice1d100=62 (62)

  • 92二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 22:51:36

    「……あー、ただいま?」

    「お、らっしゃませ~、ケレス様」

    「もう関わらないでと言ったのに」

     花屋ジェタークにたどりつくと、髪を乱雑に崩して普段よりやたら自信満々な__というよりはどこか幼い表情をしたグエルと、苦虫をかみつぶしたような顔をしたラウダが出迎えてきた。グエルはニコニコ笑いながらエランに近づいてきて、いくつかの花を握らせる。

    「この前よんごーとごごーが来たんですよ!うちの花を買いたいって!どうです!?いいでしょ~、うちの花!?」

    「薄々勘付いてたけど犯人ここか……!」

    「……かえっては、くれないか。今度こそ記憶を奪うぞ」

    「こっちはこっちで脅してくるし!この世界の弟属性って何かしらの特権階級に属しているのか!?」

     エランはゼエゼエとツッコミをいれたあと、ぐっとくちびるを噛む。……気になることはたくさんある、だが最も気になったのは、やっぱり『何故あんな殺し合いが起きたのか』だ。見た所、ジョン(モブ)やマイケル(モブ)とは違い、ラウダは完全に正気を保っていた。同様に、ラウダがグエルを殺して__壊していたのも、確かに目撃した。

     であれば本人に聞くのが一番てっとりばやい。エランはラウダに向けて、一歩、近づいた。ラウダの眉がぴくりと跳ねる。エランはじっと、見つめて、くちびるを、開いて、

    dice1d3=3 (3)

    1:「……何故グエルを殺した?」と直球で尋ねる。dice1d2=1 (1) (1:ここは兄さんいるから……と後ろに通される 2:ウワキレた)

    2:「……あの鐘の音。おかしいとおもわないか?一緒に調べに行かないか?」と誘う。dice1d2=1 (1) (1:いいよ 2:ヤダ)

    3:「花の犯人お前かよ!ヤダ俺BLになりたくなぃい……対処法とかないのかよぉ……」と泣いてみる。dice1d2=1 (1) (1:いいよ 2:そんなものはない)

    4ダイス:dice2d100=10 30 (40) (19)

    5ダイス:dice2d100=34 69 (103) (62)

    ※両方とも超えたら登場

  • 93二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 23:08:52

    「……あの花に対する対処法とかないのか?俺BLになりたくないぃ……」

    「びーえ……が何かは、わからないけど。花の力にあらがいたいということ?」

    「まあ」

    「単純にそれは、触れない、嗅がない、身体に入れない、認識をしないことが、一番だ」

     ラウダは腕を組んで、そう答えた。それから静かに視線を伏せて、続ける。

     そもそも何故、せいぜいが人造の皮膚や臓器の塊でしかないドールが、まるで人間のように動くか。それは、ドールの体内にある『コア』と呼ばれる部分が、記憶の集積や感情の再現など、人間でいうところの脳にちかしい役割を果たしているからだ。人間のそれとの大きな違いは、コアは簡単に、外部で操ることができること。例えば花、香りや効能など特定の作用が体内に入ると、それが感覚器官を通してコアに影響を与える。これによって記憶や感情、感覚を自在に操ることができる。逆に人間とは異なり、コアさえ無事なら身体を修理することで半永久的に動くことができる__

    「ドールは作用にあらがえない。ドールである以上、絶対に」

     ラウダが呟いて、そうっと自身の胸を撫でた。自由になることなんて、本質的には不可能だ。ドールは本来道具で、人間に操られるものなのだから。

    「でも……せめてこの箱庭の中でだけは、幸福に生きたいと、願うのは……いけないことかな」

     隣にいたグエルが、不思議そうに首をかしげてみせた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……いや。それでいいなら、俺は別にその生き方を否定しない」と肯定する。

    2:「……グエルは、逃げたがっていた」と呟く。dice1d2=1 (1) (1:……そ、っか 2:……)

    3:「え?待て、じゃあもしかして、あの鐘の音って__!」

    4ダイス:dice2d100=80 70 (150) (19)

    5ダイス:dice2d100=97 80 (177) (62)

  • 94二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 23:09:29

    ダイス値たっか

  • 95二次元好きの匿名さん23/11/13(月) 23:14:40

    渾身のドヤ顔からのエラダイス

  • 96二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 00:39:17

    真相に気づいた(=シャディクふらぐ??)瞬間シュバってきたな弟よ

  • 97二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 00:50:11

    エラン様ってBL回避もCだったんだなぁ

  • 98二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 05:41:57

    絶対BLスレにおいて、弟とはシュバってくるもの

  • 99二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 06:31:16

    シャディフラグ立って役に立たなさそうな花への対処法聞けたけど無駄になりそうっすね…

  • 100二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 07:05:37

    「……え、じゃあ、まさか、あの鐘の音って……!」

    「鐘の音?」

     ラウダがきょとんとしたような顔をする。エランの予想が正しければ、あの鐘の音は、コアとやらに作用する特定の周波数の音を発している?それを認識したから、ラウダや周りの多くの人形たちは、あんなふうに殺し合いをはじめたのか。いや、それにしてはおかしなことがある。もしそれが正しいなら、何故エランたちには効果がなかった?仮にそれが正しかったとしてこのループ__といっていいかわからないが__現象はどんなふうに説明する?

     そもそも、どういう目的で、こんなことを?

     確かめに行かないと。「ありがとラウダ!」と半ば叫ぶように言って、「よくわかんないけどまたこいよ!」「もう来ないでいい」と真反対の反応を示す声を背に、ぽてぽてと走り出した。

    「にいさん、みいつけた」

    「だめじゃないか。家に帰ろう」

    「ウワこの世界ではやたら強い弟!!」

     早かった。

     背後からぎゅっと抱きしめられて、エランは悲鳴じみた声をあげる。おかしい。この世界には技術的にGPSとかその類のものはないはずだよな。だよな?なんでこんなソッコーで居場所を特定できているんだ?もう諦めてほしい

    「ねえ。ラウダともグエルとも話さないで、どこにもいかないで、側にいて」

    「……さっきのつづき、したい」

     甘えるように囁きかけてくる、二人に。

     エランは「ヒェ……」と情けない悲鳴をあげながら、頭の中で最難関関数を三度唱えた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……わ、わかった……」と家に帰る。

    2:「まあ待て。俺は少し調べたいことがある。まさか監禁したいわけでもあるまいに、少しついてきてはくれないか?」と言いくるめを試みる。dice1d2=1 (1) (1:「……わかった」 2:「監禁したいんだけど……」)

    3:無理矢理ひきずっていけばいいんだよ!助けろシャディえもん!!dice1d2=1 (1) (1:ついた 2:「どこ行くの兄さん?」「おうち帰るよ」)

  • 101二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 07:21:16

    弟達にみつかるの早すぎやん?
    愛の力は偉大だねw

  • 102二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 07:28:54

     晴れの日は嫌いだ。外が眩ければ眩いほど、室内の影は色濃くなる。機械油の錆びたにおいが、感覚器官を揺らす。

     不意に、扉が開いた。

     玄関に三角座りで待っていたシャディクは、思わず碧色のカメラ・アイを輝かせ、「父さ__!」と声を上げた。しかしその、歓喜とも安堵とも呼べる感情は、

    「おいお前ら、一旦離せ」

    「やだ!」

    「兄さんがシャディクに取られちゃう」

    「……」

     シャディクが脱力する。エランがこちらをみて、「あ」とやや引きつったような笑顔を見せた。その右腕には四号が、左腕には五号が抱きついて__というよりはぶら下がっていて、こちらをじっと見つめてくる。というよりは睨んでくる。そうだ、この二人は、たしか__

    「……相変わらず辛気臭い店だねえ。機械油の臭いがする」

    「文句を言いに来たなら帰っていただけますか?」

    「まあ待てシャディク・ゼネリ。俺は質問に来た」

    「しつもん」

     エランが指をぴんと立てると、シャディクは目を丸くしてそちらを見た。三つならんだよく似た顔、順に無表情、顔の上半分に影を落とした古典的な闇堕ち笑顔、引きつった笑みを眺めながら、シャディクはぱちぱちと瞬きをした。

    「__あの鐘の音はなんだ?どうしてドールたちを殺し合わせる?お前は何を、しようとしている?」

    dice1d3=1 (1)

    1:「……」沈黙する。押せ押せ押せ!!dice1d2=2 (2) (1:……話すよ 2:だめ)

    2:「……あなたは、とくべつ、じゃない。話せません……」と言われる。押せ押せ押せ!!dice1d2=1 (1) (1:……いいよ。俺の特別になってくれるなら 2:だめ)

    3:「ところで御三方はどんな関係で?」と言われる。dice1d2=1 (1) (1:「んなことどうでもいいだろ」 2:「んなこ「恋人だよ」ウワア割り込み!」)

  • 103二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 07:31:41

    表紙に同じ顔が3人並ぶか違う顔が2人並ぶかの瀬戸際だな…

  • 104二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 12:44:57

    この弟らマジで可愛い癖になる
    さっきの続きてなんなんでしょうかw
    シャディクはまだ話してくれそうにないな…

  • 105二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 12:48:22

    ラウダは怖い言われてるのに同じようなことやってる4号と5号は可愛いと言われてるの笑ってしまう

  • 106二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 12:54:08

    そういやそうだw
    何が違うんだろな?人徳か?

  • 107二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 13:56:09

    実績数の差じゃないかな…

  • 108二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 14:19:04

    うるせーラウダだって可愛いだろうが!!可愛いと怖いは両立するんじゃ

  • 109二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 14:38:50

    4号5号は何だかんだ可愛い弟だという様の視点で見てるからだろうか?

  • 110二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 15:04:51

    今更だけど2人を引きずって移動できるのすごいな様…火事場の馬鹿力というやつかな?

  • 111二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 20:51:21

    「……」

    「何とか言えよ、シャディク・ゼネリ」

    「……言えない、だめです」

    「何故」

    「言えないんです。俺は時計塔を守らなければならないから」

    「は。ガーディアン気どりかよ」

    「そうですね」

     シャディクはエランの皮肉交じりの言葉を、存外簡単に肯定した。「そうかもしれません」と繰り返され、少し当惑する。その笑顔が、あまりにも悲しかったから。……あまりにも、何かを失ったような、恐ろしい虚無のようなものを、感じてしまったから。

     シャディクが立ち上がり、「帰ってください」と言う。その手には、時計塔を開けるために使うのであろう、小さな金色の鍵が握られている。碧色の瞳は、あの日地面でおちていたあのカメラ・アイのように無機質だ。

    「どうか帰ってください。俺はあなたに、幸せに暮らしてほしいだけ」

    「飼い殺しなんてごめんだ」

    「違う。外に出なければ、知らなければよかった、と。そんなふうに後悔するくらいなら、はじめから鍵付きの檻の中でじっとしているのが一番なんです」

    「__意味が、」

    「俺は、」

     あんたのことを、思って言っているんだ。

     言葉の端に、何かが引っかかった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……それでも、俺は外に出たい。たとえ翼を折られることが自由でも、自分の意志で決めたい」と続ける。dice1d2=2 (2) (1:…… 2:よろしいならば戦闘だ)

    2:四号と五号が「兄さん帰ろう」「こんなやつと話すことないよ!」とひきずってくる。ウワア!dice1d2=2 (2) (1:引きずられる 2:粘る)

    3:「質問に答えろ。何故、【殺し合い】をさせた?そうしてその状況を、【修理】したんだ?」

  • 112二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 20:58:57

    「……それでも俺は外に出たい。俺は、俺のものだ。他の誰のものでもない」

    「わかりあえないんですね。俺達、どうしようもなく」

    「お前は箱庭の中に閉じ込められていることが幸福だと思うのかもしれないけれど、それが幸福ではないヤツだって、いるんだよ」

    「__わかった」

     シャディクが、構えをとる。

     エランが立ち向かうようにそちらに向けて構えると、弟たちが心配するように一緒にファイティングポーズをとった。エランはそれを、片手で制する。「にいさ__」と何事か続けようとする二人に微笑みかけて、ぐっとくちびるを噛む。手出しはさせない。させられない。

     これは、エランの戦闘である。

     エラン・ケレスと、シャディク・ゼネリの、単純なエゴのぶつかりあい。決してわかりあえないから、こぶしを交えるしかできない、悲しくて、原始的なやり方。どちらが勝とうが負けようが、ただお互いの存在を削りあうことでしか決定することができないのなら。

     せめて自分一人の手だけ汚すのが、矜持ってやつだろう。

    「……エラン・ケレス」

    「シャディク・ゼネリ」

    「「ただ、結果のみが真実」」

     残念ながらモビルスーツもフェンシングもここにはない。ただ、どれだけ壊れても修理できる限り決して死ぬことのないモノのような体が、厳然と存在するだけだ。

    dice1d3=1 (1)

    1:シャディクの勝ち!「よわいですね」「うっせぇ!!」シャディク→様BLフラグ:dice1d100=75 (75)

    2:エランの勝ち!「……この鍵は、もらってく」「……お好きに」

    3:戦闘が白熱する。そして、からだが__千切れて……dice1d3=1 (1) (1:くび 2:あし 3:うで)

  • 113二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:00:51

    うーんこれは体育D

  • 114二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:06:34

    BLフラグがビンビンすぎます

  • 115二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:07:27

    3じゃなくてよかった!!!3じゃなくてよかった!!!

  • 116二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:14:54

    「なんていうか……フィジ弱過ぎじゃないです?ケレスさん」

    「まあ待てシャディク。俺は実は朝もラウダに捻られており、腕が痛い。一旦離してはくれないか?」

    「……まあそういうことなら……」

    「隙ありッ……みぎゃ……!?」

    「ほんとうによわい 生物として」

    「兄さんは弱くなッ……弱……」

    「…………」

    「弟たちよ下手に気を遣うな。余計虚しくなる」

     徹頭徹尾ステゴロだと敗北する。どっかのまほうつかいボブくんとか勝敗の算出方法違うとはいえ負けなしだったけどマジでつよかったのだなあ。「みぎゃ」で投げられそのまま見事なパラダイスロックをかけられて、ついでにシャディクが腰のあたりを上からおさえつけているらしいためもがくことすらできなくなったので、そっと抵抗をやめることにしたエランが、ぼんやりとそんなことを考えた。誰だ今肉体操縦技術Cとか言ったヤツ!あの技かけられたらマジで自力では抜け出せないんだからな!

     四つん這いで動けなくなったエランの顔を覗き込んで、今まで終ぞ無表情だったシャディクが、不意に、少しだけ口許を緩めた。

    「やっぱり君は、僕の手の中で飼われているのが一番幸せなんですよ」

    「なんか平成の攻めみたいなこと言い始めた」

    「ね? だから、早く諦めて」

    「なんで俺の周りのやつら全員監禁指向があるんだ?」

     酷い話である。エランBL初心者なのに!BL初心者ってなんだよ!!とにもかくにも俎板の上の鯉、据え膳、鴨がネギしょって鍋の中でまるまってるがごとき状態になったエランは__

    dice1d3=3 (3)

    1:「……dice1d3=1 (1) (1:四号 2:五号 3:ふたりとも)、たすけて……」といってみる。

    2:「……何をしているんだ」と入口から低い声がした。

    3:とりあえずここは一旦諦めて機を伺うか。クッ……

  • 117二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:32:07

    「近所のソフィとノレアがこの前くれたんだ。さくらんぼ、おいしいでしょう?本当はパイでも焼こうとおもったのだけど」「そういえばさくらんぼのヘタを口で結べるとキスがうまいってよく言うよね! やってみよ……んぐっ……」

    「……五号、のんじゃったの……?ん」

    「わあ、できてる。すごいんだね、四号」

    「えっ、うえっ、あぇっ、シャディクも、四号兄さんもできてる……!?兄さんは!?」

     四角関係BL時空で見た。

     これ四角関係の高校生時空で見た。ツンデレ平凡・廃スぺ生徒会長・げんき男児・関西弁転校生の番外編漫画で見た。正確に表すと今この状況は超ハイスペ天井天下唯我独尊最強ハイパーエラン様・闇深時計屋・無邪気末っ子・無表情中間子であり、内三名が同じ顔である。画面の3/4を同じ顔が占有しているなんてなんとも酷い表紙だ。かき分けできてねえのかよ

     ちなみにエランは器用さSSなので普通にさくらんぼのヘタは口の中で結べた。五号が「がーん!」と言っていた。それをオノマトペではなく実際に口にする人間は初めて見た。キスなんてもうしないので、今後一切使いどころがない無駄な技術である。……ないよな?

     四号とギリ見分けがつかなくなりそうなほどの無表情で黙々とさくらんぼを食べて、視線だけで抜け目なく、このBL時空を回避するための糸口を探すのだった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……それでも、殺し合いをさせる理由にはならないだろ」と小さく呟く。dice1d2=2 (2) (1:さくらんぼおいしいね 2:……おしえてほしい?)

    2:「……ジョンとマイケルや、グエルとラウダは、幸せそうだったよ」とこれ見よがしにちくちく言ってみる。

    3:「時計塔の鐘って、俺達のコアに作用するんだよな」と確認しておく。

    dice1d2=1 (1)

    1:シャディク「何の想像したのかな?これはただの青果だけど」

    2:シャディク「警戒心がないよね。」

  • 118二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:36:38

    表紙に四人いるタイプになっちゃうのか
    しかも一人を三人が求めるタイプなのか

  • 119二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:41:06

    様の比較画像に異様にツボってしまった。なぜその画像にwww

  • 120二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:46:34

    「……でもさ、殺し合いをさせる必要は、ないだろ」

     シャディクの瞼が、ぴくりと動いた。

     エランはぱく、とさらにもう一つ、さくらんぼを食べる。口の中に甘酸っぱい風味がひろがる。種をぺいっと吐き出してから、くちびるを赤く染めたままの顔で、シャディクに向き直った。

    「あの時お前は、鐘の音によって、ドールを__ドールたちを、殺し合わせていた。なんだったか……『十一時に家に戻るように誘導しているのだけれど』だったか? まるでドールの選別でもしているようだな、シャディク」

     ……ドールは道具、なんだったか?

     エランが続けると、シャディクは「敏いですね」といってハンカチを取り出し、エランのくちびるを拭った。されるがまま口許の赤を落とされて、ふたたび無垢な姿に戻る。半目で睨むと、そのまますい、と顔を近づけられた。真っ青な瞳に、至近距離で見詰められる。少しだけ、ドキリと心臓が跳ねる。

    「おしえてほしい?」

    「……そうでなければ、俺は何のためにここに来たんだろうね」

    「俺にあいにきてくれたんだと思った」

    「冗談」

     軽い調子で言えば、シャディクは「結構本気だったんだよ?」と頬杖をついてみる。四号と五号はどうやらふたりでさくらんぼを食べさせ合いっこするのに夢中らしいので__空気を読んでくれてありがたいのか、なんなのか__今この瞬間、世界から自分たち二人だけが切り離されたような錯覚に陥る。

    「教えて、ほしいんだね」

    「……」

     瞳を伏せて、傾聴する。

     シャディクは__

    dice1d3=3 (3)

    1:「……かくしても、無駄だね。全部、話してあげる」

    2:「……決してどこにもいかないと約束してくれる?そばにいてくれる?……おいて、いかないよね」

    3:「教えてほしいなら、君からキスしてほしいなあ……?」

  • 121二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:55:18

    みんなえらく鬱陶しく進んでくるじゃん…

  • 122二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:58:47

    ちょっと、様の画像が間違い探しみたいになってますが!?
    なんぞコレww

  • 123二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 21:59:12

    「……教えてほしいなら、君からキスしてほしいな?」

     すい、とさらに距離をつめられて、エランは目を見開いた。

     拭われたばかりの無垢なくちびるが、生娘のように震えた。今朝方弟たちに蹂躙されたはずの部分は、しかし未だそれを信じたくないとばかりに、さくらんぼの色素が微かに沈着した薄い色を残すばかり。すぐそばにあるシャディクの瞳の碧色が、猫のように細められる。エランが瞬きをして、それから__

     現実逃避のためにそっと目を閉じた。

     しらん。こんなBLみたいな展開は、知らない。なんか俺に対して厳しくないか?世界。なんか明らかに殺人に関しては既定路線だったっぽいし。初手から謎パロ時空だし。改めてなんだよドールって。二重の意味で優しくない。エランはじめてなのに。エラン、はじめてなのに!

    「ねえ、いいでしょ?」

     これは覚悟だよ。

     ユダの接吻、死神のくちづけ。致命的なものを示す熟語には、どうしてかkissという単語が使われがちだ。それだけ組織と組織の接触は、深い意味を与えられている。特別で、ある。シャディクは兄弟じゃない、キスなんて、してしまったら、「兄弟だから」では、誤魔化せない。んく、と生唾を飲む。

     __ああ、

     無意識に、コイツやけに睫毛長ェな、と思った。

    dice1d3=2 (2)

    1:えやっぱヤダ……

    2:頬!頬で!頬でいけば!!ノーカン!!!!

    3:……くちに、触れるだけのキスをする。

    dice1d2=1 (1)

    1:……まあ、いいよ

    2:舐めてるの?

  • 124二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:14:23

    クソ雑魚ナメクジのくせに足掻くじゃん

  • 125二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:17:20

    負けては一旦引いて押しに出るの一生懸命考えてる感じがしてかわいい

  • 126二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:36:58

     __頬に、触れるだけのキスをする。

     これはそう、契約だ。対価で、自らはお前を裏切らないのだという意思表示だ。共犯者になる持ち掛けであり、BLじゃない。そう、BLではないのである!いわば煮付けを食わせるようなものであり、多少カプになる一人一人の解釈・多様性はあるかもしれないが、少なくともエランの主観ではセーフだ!!なんだよ煮付け 一応ここ中世風なんだよ 世界観を守れ

     柔らかい。

     よく見ると彼は、童顔につくられているのか、頬の隆線がふわりとあまいまるみを描いている。ゆっくりと離れると、シャディクがにこりと微笑んで、「ありがとう」と言った。すいと顔を近づけられる。エランの背に、じっとりと汗が浮かび上がる。

    「嬉しいよ」

    「約束だ」

    「そうだね。教えてあげる。お前らも聞いておくといい」

     ああ、お前らは、覚えているかもしれないけれど。シャディクがわやわやとさくらんぼのヘタであそんでいた四号と五号に声をかけた。そうして再びエランに向き直り、どこか仄暗い、無機質な瞳でこちらを見つめる。

    「__【選別】とは、よく言ったね。そうだね、ここでやっているのは、それだ」

    「……は?」

     エランが虚を突かれたような声をあげる。シャディクが、椅子にもたれかかって続ける。

    「不思議には思わなかった? この街にはほとんど人間がいない。いたとしてもあまり常駐しない。例えばヴィム・ジェターク、彼は基本外の世界で暮らしている。例えばオルコット、彼は傭兵だ、鐘が鳴るときにだけ。それに__俺の、養父さんも__巻き込まれないように、逃げてる」

    「は、」

    「この箱庭は大いなる存在によってつくられた世界なんだよ」

     今もこの世界を監視している人間たちの、見世物になるために生まれた世界。いつだったかエランが考えたことを繰り返されて、エランは思わず、「あ」と悲鳴じみた声を漏らした。

  • 127二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:37:34

     __そもそも、ドールの『コア』の材料は、死体である。

     かつて死んだ人間の精神を再現し、肉と螺子で復活させた__ように、見せるのが、ドールという技術だ。ドールたちが幸せに暮らせるように、街は適切な温度で、適切な湿度で、花の香も風の色も清潔に、きれいに保たれている。基本的には、この世界は平和だ。外敵もなく、内乱も起きず、永遠に平和なまま、半永久的に『人間たちの望む幸福な故人たち』が再現される。押し付けられ続ける。

     しかしその目的は、『もうなくなってしまった誰かに幸福になってほしい』なんてものではない。そもそも墓を暴いて人の生命を弄ぶような輩が、そんな殊勝な心掛けをもっているはずがない。彼らの目的は、『亡くなった大切な人を、復活させる』ことである。そして__今となっては、誰とも知れないが__この箱庭の管理者は、決定的に、やり口を間違えた。

     『殺し合い』を命じる鐘の音。

     ……端的に言えば、蟲毒である。

     シャディクはその開始を任された。サリウスは「すまない」とだけ言って、去った。できる限り抵抗したくて、コアが完全に安定しきっている__つまり、精神的に安定しているドールには作用しないように周波数を調整したけれど、それだっていつまでもつものか。ここまで語ったところで、シャディクはゆっくりと息を吐き出して、泣きそうな顔でこちらを見る。

    「今だって……見られてるって、わかるんだ。半月ごとかな、十二時が過ぎるたび、何度も街が破壊されては、神様気どりの人間の手ですぐに修復されるのを、見てきた」

    「……俺って、死んでたのか?」

    「死んでるよ。俺も、君も、皆。もう覚えてもいないだろうけど」

     シャディクが、困ったように微笑んだ。

    dice1d3=1 (1)

    1:「生前の、俺は__」確か、dice1d4=4 (4) (1:四号 2:五号 3:シャディク 4:グエル)と……

    2:「逃げて一つを得れば全然そんなこと関係ないな!一緒に箱庭から脱出しようぜ、シャディク!」とサムズアップ

    3:「……許せない、そんなこと……!その管理者とやら、一発ぶん殴る!!」とキレる。

  • 128二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:41:15

    なんかグエルとのフラグも追加されてる…?

  • 129二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 22:52:34

    「前の、俺は__」

     思い出す。

     エランは、思い出す。そう、違う。前回の「あれ」は、最初のループじゃなかった。それより前にも、数え切れないほど何度も繰り返しては、数え切れないほど何度も失ってきた。その中で何度もグエルと、「一緒に逃げよう」って約束したっけ。何回目だったか、今回と同じように「答え」にたどりついて、その時。「この箱庭から一緒に脱出しよう」って、約束した。何度も殺されて、何度も壊されて、だからエランは、無意識レベルで「外」に執着していたんだ。結局その願いは、一度も達成されなかったけれど。それは、どうしてだったか。

     __生前。

     享年21歳、グエル・ジェターク。彼は死に際、エランに告げた。

    『地球にはさ、想像もできないほど大きな花畑があるんだって!一緒に見よう、エラン!』

     結局グエルは、その話をした帰りに事故に巻き込まれ、帰らぬ人になった。ほどなくしてエランも、弟たちを残して死んだ。ああ、遅かった。……遅かった、ドールが「感情や記憶の再現」なら、十六歳の精神しか持っていないらしいグエルは。「十六歳の精神に巻き戻るようにコアを弄られた」グエルは__

    「あの鐘の音は安定しているドールにはきかない。では何故、ラウダにはきいたのか?」

     シャディクが頬杖をつく。独自に調べたんです。それでわかった。最初にラウダがグエルを殺したのがどの回だったかはわからない。だけどその後、グエルはラウダに強い花の香を嗅がせつづけた。それからずっと、ラウダは「きく」と「きかない」と中間にあり続けている。こんな仮説がたてられます。

    「日常的に記憶を弄られていると、コアが不安定になるんじゃないかって」

     『記憶』は、不可遡のものなんです。

     もうグエルは、あの約束を、思い出せない。

     __項垂れた。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……俺は、外に出る」と繰り返す。「こんな悪趣味なごっこ遊びをしているやつらを、全員締め上げる」

    2:四号が「兄さん、わすれよう、全部」と囁いてくる。五号が「花屋に忘却の香を買いに行こう」と抱きしめてくる。dice1d2=2 (2) (1:嫌だ!! 2:……)

    3:待てシャディクが「エラン……」と抱きしめてくるんだが!?

  • 130二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 23:14:07

    肉体はよわきものでも抗う精神は強いぞエラン様!!

  • 131二次元好きの匿名さん23/11/14(火) 23:24:21

    ラウダ以外全部フラグ立ってんの?!強い!!いや弱い!!

  • 132二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 00:01:01

    うーむえぐい世界だった…エラン様の反骨精神がまぶしい

  • 133二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 06:31:24

    BL回避の裏でこんな悲しいループが繰り返されてきたのか…もう約束を思い出せないってのが辛すぎ…そりゃ項垂れちゃうよね…
    様頑張れ!とっちめてやれ!

  • 134二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 12:43:56

    シャディクの言う『見ている』のは誰?
    最初の方に出てきた通りすがりのオルコットさんは、何かを知っていたんだろうか…?

  • 135二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 12:47:38

    見ているのは我々というオチはないだろうか
    次元の壁越えちゃってるが

  • 136二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 13:17:01

    それはそれでゾッとするな…

  • 137二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 19:59:21

    「……それでも、俺は、外に出たい」

     エランが立ち上がる。シャディクはじっと、こちらを見ている。

    「誰かに操られるのも、見世物にされるのも御免だね。俺は俺のまま、生きていきたい」

    「……強いね」

    「お前もだ」

    「え」

     手を差し伸べれば、シャディクが虚をつかれたような顔をした。エランはにこ、と歯を出して笑い、こちらに諦めたような視線を向けるシャディクに向かって、共犯の提案でもするかのような__いや事実、誘いかけているのだ、共に、世界に対し反逆しようと。かつての約束を奪われた憎しみを、安寧の眠りから叩き起されたいらだちを、存在を、全てを弄ばれた、怒りを。叩きつけることができるなら。

     共に、戦おう。

     手をとりあえば、そばにいれば、一人じゃなければ__何も、怖くない。

    「……お前も一緒にBLに抗わないか?」

    「びー……える?」

    「兄さんシャディクにかまいすぎ!」

    「ほっぺたむにむにしちゃうよ」

     どことなくしまらないなあとおもった。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……勿論。君と一緒なら。怖くない」と抱きしめられる。

    2:「……みんななら、怖くない」と手を取られる。

    3:「……むりだよ……」と項垂れる。

    ちなみに弟たちのスタンスは

    四号:dice1d3=1 (1)

    五号:dice1d3=1 (1)

    1:重婚に積極的でない

    2:兄弟3人がいい

    3:シャディクをいれてやるのもやぶさかではない

  • 138二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 20:01:46

    風向きかわりつつある…!頑張れケレスさん!

  • 139二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 20:08:02

    なんてこった…

  • 140二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 20:40:00

    いい感じに共闘出来そうな感じなのに、兄弟喧嘩が勃発しそうになってないか?

  • 141二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 20:46:03

    どっちも同担拒否なんやね…兄さんの隣にいられるのは一人だけなんだ

  • 142二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 21:37:09

    「……みんなと一緒なら、」

     こわく、ないよ。

     シャディクが少し迷った末に、エランの手を取った。その指先が少しだけ震えているのが、よくわかる。エランはすぐさま両手を重ねて、ぎゅっとにぎった。祈るように。安心させるように。触れ合った温度を分け合えば、胸の奥に残っていた一抹の恐怖も、ゆっくりと氷解していく。ちなみにこの描写は誓ってBLではない、ブロマンスであり、燃える展開というやつである、萌えるではなく__

     どれほど時間が経ったか。

     窓の外から、今日の鐘の音がまた、聞こえる。よくきいてみれば、確かに記憶にあるあの音よりも、少しだけ音が高い……ような、気がする。あくまで気分でしかないが。シャディクは顔をあげて、エランと視線をあわせる。

    「……どれだけ『町の外』に向かって歩いても、外に出られることはない。時計塔にある、『外の世界との連絡口』に向かう必要がある」

    「なるほど。それなら__」

    「や!!」

     不意に五号が、むっとした顔でエランの手をシャディクから引き剥がした。酷く傷ついた小動物のような、裏切られた、捨てられた子犬のような目で、こちらをじっとみつめてくる。

    「兄さん僕もいく。ぼくもいく! おいていかないで、僕だって、兄さんの特別になりたい……」

    「……僕も」

     もう片方の手は四号がとった。どこか寂しそうな顔で、こちらを見つめていた。

    「ほんとは、兄さんのこと、僕ひとりのものにしたいよ」

     いまそういう展開だったか?

     不要不急のBLいいから。エランは心底、そう思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:ソッコーで時計塔に向かう。

    2:……花屋に向かう。グエルをdice1d2=2 (2) (1:連れていく 2:別れを告げる)

    3:戦力を整えたい。あの、オルコットとかいうやつと接触できないか?

    現在の様へのフラグのつよさ(一番高かったヤツが東条くん枠な!)

    シャディク:75

    四号:dice1d100=71 (71)

    五号:dice1d100=81 (81)

    (グエル※ただしグエルは完全に忘れている:dice1d100=62 (62)

  • 143二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 21:53:06

     そうと決まれば善は急げである。

     油断して行動を遅らせれば遅らせるほど、BLフラグが立つ可能性も高まる。であればできる限り迅速に動くべきだ。シャディクの言う通りなら今この瞬間だって『監視』されているのだから。

     __時計塔に足を踏み入れる間際、不意に振り返る。

     遠くに赤煉瓦の花屋が見えた気がして、ため息をついて、もう一度、視線を戻す。もう終わったことだ。文字通り。あの時の思い出は墓の中においてきてしまった。そうしてもう二度と取り出せない。それでも、少し名残惜しいのは確かであった。こンの軒並み数値が高いBLフラグげきつよ三人衆に挟まれているよりグエルという存在を無意識に求めてしまうのはよくないことであろうか?

    「……こっちです」

     シャディクが先導する。五号がぎゅっと、エランの手を握っていた。あの天辺の小部屋、窓のある小さな場所、巨大な針の根本に、よく見ればちいさな鍵穴のようなものがある。シャディクは立つ。あの、鍵を手にもって。

    「この『時計』を開ければ、俺たちは外に出られます。きっと一度出てしまえば、二度と元には戻れない。言いたかった言葉はありませんか?やり残したことはありませんか?……覚悟はできていますか?」

     エランはしばらく俯く。それからゆっくりと、顔を挙げた。シャディクの手に自身の手を添え、鍵穴に、導く。

    「上等だ。最初からずっと、こうしたかった」

     エランの目的は自由になることだ。

     世界なんかに縛られず、自分の意志で生きることだ。

     ……そのはず、なのだから。

    dice1d1=1 (1)

    1:鍵を、挿し込む。

    dice1d3=2 (2)

    1:……研究所?

    2:……外、か?

    3:……誰かの部屋?

    サイズはdice1d3=2 (2)

    1:ぬい

    2:ショタ

    3:おとな

  • 144二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 21:58:01

    ぬいの可能性あったのヤバ

  • 145二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:10:12

    「ここは……」

     真っ暗に眩んでいた視界が、光を取り戻していく。

     適切ではない温度の風を感じる。異様な生温かさ、やたらべたついている。ここは、どこだろう。外か?そういえばシャディクや四号や五号は、とぐるりとあたりを見回した__ところで。

    「……ヒッ!?」

     思わず、悲鳴を上げる。

     エランの足元におちていたのは、無数の人体__いやたぶんドールの__パーツであった。おそらく破壊されたドールから回収したのであろう、よく見れば「ジョン」と「マイケル」らしきものも見つけることができる。それらが無造作に放置されて、いるのだ。呆然としていると、ふいに背後から、抱きしめられた。

    「兄さん、無事?」

    「五号……」

    「よかった。僕達、自由なんだね」

    「どうやら廃棄場につながってしまったみたいだ」

     いや、『回収した部品』をそのまま捨てるために、こっちの方が効率よかったのかな。それとも廃棄物をポイ捨てしたからこうなったのかな? そういえば僕達の体やけに小さいけれど、あの扉をくぐるとき変な作用でもかかったのかな、と。次いで話しかけてきたのはシャディクだ。四号もぱちぱちと、目を瞬かせる。「へんなにおい」。そう、先程からずっと、饐えたような、墓場のにおいがする。

     __待ち望んでいた外が、『花畑』が、これなのだとしたら。

    (あいつを連れてこなくて、正解だったかもな)

    「行こう、兄さん」

     五号がエランの手を引いて、歩き出す。

     ……振り返りは、しなかった。

    dice1d3=2 (2)

    1:とりあえず逃げるぞ!

    2:この箱庭を作った輩を探してとっちめる!!

    3:……あれ?この部屋は……

  • 146二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:30:31

    「……元凶を、探す。そんでもってとっちめる。協力してくれるな」

    「エランってさ、フィジカル弱いのにやたら好戦的だよね」

    「みのほどをわきまえるべき」

    「ぼ、僕は兄さん強いと思うよ!うん!すっごく!」

    「否定はしないけどもっと言い方ってやつがあるとおもう!!」

     エランが主張すると、三人は口々にそんなことをいった。言いながら、どこかやれやれとばかりに肩をすくめて、エランの手を取って、笑った。

    「助けるよ。エランに協力したい。俺に『自由になっていい』って言ってくれた君を、自由にしてあげたい」

    「兄さんは僕がいないとだめだからね!ふふんっ、一緒に戦うよ、僕に任せて」

    「まずは武器を探すべき。流石に生身はよくない」

    「……シャディク、五号、四号」

     エランはしばらくぱちぱちと目を瞬かせたあと、「そうだな」と言って立ち上がった。あのオルコットが使っていた筒状の武器、あれとかないだろうか。無意識に笑みがこぼれてくる。こんな状況なのに。危機感を持つべきなのに。どうしても、うれしくて。

    「必ず、俺達を貶めた輩を倒そう。そして、」

     ……そして。

    dice1d3=1 (1)

    1:__再び、墓の下で眠りたい。

    2:自由に生きるぞ!一人で!

    3:……とりあえずそのあとのことはその時考えるか!!パッションで生きようぜ

    dice1d3=2 (2)

    1:なんもみつからねーわ たはは

    2:武器庫を見つけた!それっぽい武器を見つけたぞ

    3:この部屋明らかにラスボスの間じゃないか?

  • 147二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:33:30

    エラン様…

  • 148二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:39:21

    死んだ奴は死んでないといけないよな…

  • 149二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:46:54

    矜持ある様だ
    グエルのことは残念だったが

  • 150二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:47:11

    「……お、ここって、武器庫か」

    「そうみたいだね、銃がある。弾薬も」

    「じゅう?」

    「僕これつかいたい。やたら手になじむ」

     エランはしばらく考えた末に、オルコットがつかっていたのと同じ、小さなサイズ感のものを選んだ。シャディクも似た形のものを選ぶ。五号は「多い方がいいよね!」と二つ手に取り、四号は逆にやたらでかくて長いものを選んでいた。邪魔にはならないのだろうか?

     シャディクは「外の世界の武器だよ」と簡単に説明する。ここの引き金を引けば、中から弾が射出されて、それで攻撃する仕組み。かなり威力が高いうえに、大きな音が鳴るから、むやみやたらに撃たないように、という指摘つきで。

    「……殺せるのか?」

     震える声で尋ねれば、シャディクは存外簡単に「殺せるよ」と言った。「俺はこれで殺されたから」。思い出せないけれど、エランもこれに関わったことがあるのだろうか。「殺すんですか?」尋ねられる。エランは、うつむく。

    「必要があれば、殺す、かも」

     殺人に忌避観がないといえば嘘になる。しかし、それ以上に。目を閉じる。思い返す。『今まで』の記憶を。墓を暴かれ、蹂躙されてきたドールとしての生を。ぐっと、胸の前で手を組めば、黒い鉄がやけに重い。

    「……早く、楽になりたい」

     安堵したい。

     __五号が、こちらを見て、ぴくりと眉を動かした。

    dice1d3=3 (3)

    1:オラアッ ハイスピードラスボス対峙!!

    2:五号が「……兄さん、ううん、エラン」と手を握る。

    3:不意にdice1d2=1 (1) (1:シャディク 2:四号)の視線を感じた、気がした。

  • 151二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:49:27

    5号独走かと思いきやシャディクも諦めずに攻めてくるか

  • 152二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 22:56:51

     ……ふと。

     どこかから、視線を感じる。不思議に思って視線を巡らせる。そちらを向けば、碧色に輝くカメラ・アイが、じっとこちらを見ていた。

    「……、どうした、シャディク」

    「ううん、なんでもない。ただ、君が何か不穏当なことを考えている気がして」

    「そうか、不穏当か!」

     けらけらと笑う。どうやらBL特有の察しの良さは、シャディクにも発揮されることであるらしい。

     こうして『終わり』を選ぶことが。そうしてそのために、最後に一花咲かせることが、誰にとっても幸福であるとは、エランは想わない。例えばグエルとラウダは、あれで十分幸せそうだった。だから、おいてきた。それだけだ。エランはつとめて快活な笑顔を作り、シャディクを見上げる。

    「もし嫌になったら、いつでもにげてくれよ」 

    「……俺は、逃げないよ」

    「ううん。逃げてほしい。四号や五号を連れて。あいつらを自由に__幸福に生かしてあげるためには、人形にして人形師であるお前のメンテナンスや助けが、必ず必要になるだろうから」

    「エラン、」

    「シャディク」

     頼んだぞ。

     言葉を封じるように念を押せば、シャディクが押し黙った。エランは引き金に手をかけて、廊下を再び、ゆっくりと歩き出す。

     死人が墓場にいるべきだとは思わない。四号や五号には、もしそちらの方が幸せなのであれば、ぜひとも生きてほしい。

     ……巻き込むわけには、いかないのだ。

    エラン様の生への執着:dice1d100=51 (51)

    dice1d3=1 (1)

    1:おっしゃあ ラスボス!

    2:五号が「……兄さん?」と声をかけてきた。

    3:四号までこっちを意味深に見るんだが!?

  • 153二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:07:54

    生への執着が強いわけでもなく弱いわけでもない
    死んだ者は生きていてはいけないって考え方かな

  • 154二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:14:09

    「……薄々そんな気はしてたよ」

     そういえばヴィムやサリウスの話は出ていたのに、こちらの話は出ていなかった。もしかしてルートによっては大人組の登場パターンとかあったりしたのだろうか? いやそんなこと、今はどうでもいい。大切なのは今だ。今、目の前に横たわる現実だ。

     エランは息を整える。つとめて冷静に笑みを形作り、そちらを見つめる。

    「ばあさんたち」

    「こちらにお越しになったのですか、エラン様」

     四人を代表するように喋りはじめたのは、ニューゲンだ。

     彼女たち背後に護衛らしき人間を携えて、不気味な笑みを形作り、こちらを見ている。記憶はないはずなのに、こうして対峙していると胃がむかむかしてくる。無意識レベルで彼女たちへの怒りが、あったのかもしれない。

    「先に聞いておこう。何故俺を__いや、『俺達』を蘇らせた?」

    「多くは知りません。私たちは世界を整えただけ。そこにあとからあの愚かなヴィム・ジェタークや、サリウス・ゼネリが自身のご子息の『ドール』を投入したのは、何故だか知りませんが」

    「答えになっていないな。『世界』を作った目的は?」

    「……最初はあなたの頭脳が惜しかったからですが。金になるのですよ、美しい男たちが、殺し合い、愛し合う滑稽劇は」

    「趣味が悪いね。反吐がでる」

    「あと一抹の趣味です」

    「……趣味が悪いね。反吐が出る」

     肩を竦める。

     どうやら、分かり合うことはできないようだ。話が通じている気がしない。それが彼女たちに問題があるのか、それともエランが既に死んだ人間で、コアが機能不全を起こしているのかまでは、わからないけれど。とにも、かくにも。

     分かり合えないのなら、仕方ない。

    「グエルを、シャディクを、ラウダを、俺達皆を、弄んだこと」

     その身で、後悔するといい。

     銃口を、向ける!

    dice1d3=3 (3)

    1:ウワア!反動でひっくり返った ついでに周りのSPに取り押さえられた

    2:「……サリウスやヴィムは、『生き残った一人は人間になれる』と信じていたよ」と精神攻撃を試みる。dice1d2=2 (2) (1:ちょっときいた 2:それが?)

    3:__撃ち抜く。dice1d2=1 (1) (1:狙うは急所!戦闘だァ~!! 2:威嚇射撃だよ!脅す)

  • 155二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:21:12

    覚悟ガンギマリ・ケレスさん

  • 156二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:29:49

     エランが撃った一発が、そのまま鬨の声となった。

     急所を狙ったはずが、流石に初めて扱う武器だけあって、狙いを外してしまう。跳弾した弾が、モニターにあたってばちりと弾けた。SP達が俄かにざわめきはじめる。誰かが放った弾は、まっすぐにエランの腹のあたりを抉った。弾丸がめりこんで、服に赤黒い染みが広がる。だけど、痛くない。死にもしない。そうだ、だって。

     エランはもう、死んでいるのだから!

     くふ、ふふふ。ははははは。弾けるように笑って、何発も弾を打ち出す。シャディクが肩を竦めて、エランに近づいて取り押さえようとしてきたSPを蹴り飛ばし、数発の銃弾をお見舞いした。四号ははじめてにしてはややおかしいレベルの精度でぱしゅぱしゅと撃ち抜いていくし、五号も「えっ!?えーっと、えっとぉ!」と慌てながらも正確に撃ち抜いていく。エランは一応これ以上体液を失ってしまわないように傷口を庇いながら、撃つ。撃つ。玉切れになる。リロードをして、もう一度。言いながら、エランは低く、叫ぶ。

    「人の生命を弄ぶなんて、倫理観ってもんがないのかなあ?死人は大人しくくたばっているべきだと、どうしてわからないかね」

    「大人しくくたばっていればよいではありませんか。あの箱庭の中で、そうとも知らず」

    「かりそめの安寧、見せかけの平和の舞台装置に閉じ込めることを『くたばる』っつぅんなら、一旦辞書引き直したほうがいいな」

    「おや、あなた一人で決めた定義が、我々の勘案したものより正しいと?」

    「正しいさ、俺にとっては」

     叫んだ瞬間、エランの撃った弾もまた、人間を撃ち抜いた。

    「だからこうして、戦ってるんだろ!」

    dice1d3=2 (2)

    1:大勝利!その場に立っているのはエランとエランとエランとシャディクの四人だけ

    2:なんとか相手の無力化には成功したけど、エランたちもかなり傷を負ってしまったな……

    3:ウワア!取り押さえられた!!

  • 157二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:41:03

    「……」

     最後の一人に、銃弾を撃ち込む。

     どさ、と脱力する。よくわからないけど腕の中身とか壊れてる気がする。断続的に溢れる体液のせいで、徐々にからだから温かさが失われていく。床に倒れこむと、こちらを向いた五号と、不意に目が合った。

    「……巻き込んで、ごめんな」

    「……」

     五号が微かにこちらにすり寄ってきた。エランはしばらく考えた後、その背をとんとんとさすってやる。あたたかなはずのそこは、かすかにぬかるんでいた。

     シャディクも四号も、完全に壊れてはいないだろうが、おそらくしばらく動くことはないだろう。であれば最後の仕上げは、一つ。

     自身のコアを、停止させること。

     最後の気力を振り絞って、立ち上がる。弟たちにみっともない姿は見せたくなかったし、何よりここでいらんことすると死別BLとかそういうジャンルになりそうだったので。五号がこちらを向いて、「どこにいくの、兄さん?」と目を丸くした。エランは振り返り、目許だけで笑ってみせた。

    「五号、お前は幸せになってくれ」

    「……」

    「お前たちは、幸せになってくれ」

    「……、」

    「逃げて。自由に、生きてくれ」

     繰り返せば、エランとよく似た色の瞳が、重たげに瞬いた。

    dice1d3=2 (2)

    1:……死に場所くらいは、選ばせてもらうか。

    2:五号が立ち上がり、「dice1d2=2 (2) (1:僕も行く 2:僕と来い)」と真っ直ぐ見詰めてきた。

    3:シャディクも四号も立ち上がり「行かせないよ?」「なにしてるの」とこっちを見てくるんだが!?

  • 158二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:43:23

    完全にフラグが立ったわね…

  • 159二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:51:07

    「……僕と、来い」

    「へ」

     突然、五号が立ち上がる。

     低い声、いつもの弾けるような無邪気で甘い声じゃない、どろりと縋りついてくるような、重い、呪いめいた声。いや違う、突然じゃない。ゆったりと、緩慢な動作だ。それなのにエランのカメラ・アイは、動きが鈍っているのかなんなのか、その動きをやたら鮮明に記録する。立ち上がり、エランの両手を握る。指先は同じ温度だ。冷たさも温かさも感じない、全くの同じ温度だ。

    「兄さんがの心が壊れかけていることも、あいつへの未練を捨てきれずいることも、それゆえに生きるのに疲れたことも、全部、わかってる。伊達にあんたのこと見てきたわけじゃないよ。僕達、兄弟なんだよ?」

    「……五号……」

    「生きるのはそんなにだめなことか。墓場の下で再び眠るんじゃない、今まで蹂躙された分だけ幸せになるのはだめか。なあ、あんたの思う『自由』の隣に、僕がいてはいけないか」

    「でも、俺。死んで。ひとを、殺して__」

    「僕じゃ、だめか」

     抱きしめられる。

     肩口が、血ではない体液で微かに濡れた。カメラ・アイから水滴を発する機能はなかったはず。エランは目を見開いて、五号の方を見た。五号はエランの背に手を回して、静かに、呟いた。

    「僕を選んでよ、兄さん。ねえ、僕、エランのことが、好き__」

    dice1d3=1 (1)

    1:……やんわりと、五号の体を押し返す。(ノーマルエンド)

    2:……五号を、抱きしめ返す。(BL抵抗失敗エンド)

    3:ここでシャディクと四号が立ち上がり「そうだね」「わかる」と口々に言ってくる!?(ハッピーエンド?)

  • 160二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:53:22

    ノーマルエンドかー!BLには逆らえたかな!?

  • 161二次元好きの匿名さん23/11/15(水) 23:56:45

    一応世界には抗えたのか?ラウダと違って最後の一押しは甘かったおかげで助かったか

  • 162二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:01:19

    あれだけのフラグを全て折ったのすげぇ…
    さす様

  • 163二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:03:52

    (エンディング)


     __やんわりと、五号の体を押し返す。

     「ごめん」と。「自由になりたい。お前も、幸せになってほしい」と。今まで何度も言った言葉を繰り返せば、五号は、存外抵抗しなかった。ただ少しだけ目を伏せて、エランの頬にキスをする。「しょっぱい」と泣き笑いのような声で言われて、ようやく自分が、泣いていたらしいことに気づく。

    「どこに行くの?」

    「地球? の花畑。一面の花が咲いているらしい」

    「いいね。僕もついて行ってあげた方が、いい?」

    「……いや、俺が解放されたいだけ。お前はお前のまま、幸せになれたらいいと思う。シャディクにデート行けなくてごめんって謝っておいてくれ。四号に勝手に置いて行ってごめんって謝っておいてくれ。それから、五号、……ごめんな」

    「そっか。……あーっ、振られちゃった!」

     五号がどこか、からりとそう言った。

     エランは困ったように笑い、「ごめんな、わがままな兄さんで」と五号の頭を撫でる。五号はふるふると首を振り、「ううん、そんな兄さんだから大好きになったの」と微かに首を下げた。最期なのだから、たっぷり撫でてやらないと。しばらくわしゃわしゃと撫で繰り回した後、ゆっくりと、離れる。

    「ねえ、兄さん。地獄の底でさ、また会えるかな」

    「さあな」

    「会えたらいいな。ちゃんと待ってね。おいしいものあるなら探しといてよ」

    「……ああ」

     くるりと踵を返し、歩き出す。扉の先、外には、光が広がっている。これが安堵の光なのか、空へと導く破滅の光なのか、エランには判別できない。振り返ると、四号やシャディクに声を掛けたり、そのへんにおちてた布で手当てしたりする五号と、目が合った。目があった、ほんの一瞬。微笑みを交わすことができた、気がした。

     __扉が閉まる。

     エランは壊れた身体を引きずって、死に場所を探しに歩き出した。


    【エランは世界にあらがえた が…… エンド】


    改めてみると表紙詐欺で草

  • 164二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:05:14

    弱き肉体とダイス運でフラグを建設し、強き精神でそれらを回避し続ける様!!
    そこに痺れる憧れるゥ!!!

  • 165二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:05:47

    「どうもおみなさんこんにちわ ゆっくりしゃでぃくだよ」

    「えらん しんでしまうとはなさけない…… あ 次回は消去法で余程のことじゃないとしゃでぃくが主人公になるそうだよ ゆっくりしていってね!」

    「ちなみにしゃでぃく主人公はどうやらリアリティショーTRPG『キルデスビジネス』を下敷きにしてやる予定らしいよ」

    「キルデスビジネスは、簡単に言うと自分の願いを叶えるためにデスマッチ系テレビ番組をやるTRPGだよ!護衛天使とターゲットと他の参加者を殺すよ(生き返れるよ)。正直知らなくても全く問題ないけど、もし気になったらゆっくりリプレイ動画などを検索していってね!」

    「それで、しゃでぃくに関してちょっとした決め事をするらしいよ。仕方ないのでだいすをふっていくよ」

    護衛天使dice1d4=1 (1)

    1:すいせいちゃん(ターゲット:ミオリネ) 2:ミオリネ(ターゲット:スレッタ) 3:だりるばるで(ターゲット:グエル) 4:ふぁらくと(ターゲット:エラン)

    職業:dice1d10=8 (8)

    1:無職 2:芸術家 3:研究者 4:家事手伝い 5:学生 6:ゴロツキ 7:労働者 8:探偵 9:大物 10:医師

    小道具:dice1d10=7 (7)

    1:ピアス 2:髪飾り 3:銃 4:ネックレス 5:ベルト 6:眼鏡 7:帽子 8:時計 9:剣 10:リング

    衣装:dice1d10=8 (8)

    1:ネイキッド 2:アウトドア 3:エスニック 4:ミリタリー 5:トラッド 6:ゴシック 7:ヒップホップ 8:フォーマル 9:パンク 10:アイドル

    「ちなみににんげんさんは頑張って絵柄を本家に寄せてるらしいけれど、僕だけは手癖が出そうで怖いらしいよ。ゆっくりはんせいしていってね!」

    「なんで俺ゆっくりやってるの?(冷静)」

  • 166二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:06:16

    BL回避の目的ならハッピーだけど、物語としてはビターエンドだったね
    そういうの好きです

  • 167二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:10:30

    次回シャディク×キルビジやったー!
    楽しみにしてます!

  • 168二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:12:41

    世界にも未練にも抗って自由になった男 生物としてはあまりにもかよわかったけど強かった!すき!
    エラン様がvsBL世界にこんなになじむなんて発見でした ありがとうございました

  • 169二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:13:02

    命かBL回避かの2択…
    抗い続けたケレスさんに祝福あれ…

  • 170二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:13:28

    「次回の俺はスーツ着て帽子被ってる探偵らしいよ!かっこいいね」

    「それで、ミオリネが【絶対シャディク受けになる世界】を作ろうと願ったらしいね。それですいせいちゃんがそれを叶えるためにせかいの ほうそくを みだした! と……」

    「待って?俺ただでさえ絶対BLになる世界に幽閉されている上に更に番組の都合上絶対右固定までされかけてるの?ゆるせない…… せめて攻めとして生を全うしたいし、そもそもBLになどなりたくない」

    「とりあえずこれで決めごとは終了!デスマッチに参加するのは俺含めてdice1d3=2 (2) (1:四人 2:五人 3:六人)、にんげんさんはできるだけ多くのキャラを登場させたいなってゆってた!」

    「時間とっちゃってごめんね!じゃあ枠のしゃでぃくは引っ込んでエランたちに視点をもどすよ、ばいばーい!」

     ……なんだったのだろうさっきの生命体(?)。

     五号は四号とシャディクに事の次第を説明しながら思った。人が真面目に向き合っている時に酷い話である。それで、五号たちは__

    dice1d3=2 (2)

    1:最 終 鬼 畜 全 員 後 追 い

    2:……シャディクと四号は元々いい感じだったし、失恋をきっかけにいい感じになってるみたいだね。僕は……

    3:表紙三人 絶対BLはつよい

  • 171二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:15:07

    他は世界に抗えてなさそうで草

  • 172二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:16:44

    1だったら"転生ごときで"始まりそうだな
    セーフセーフ

  • 173二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:22:00

    グエルとはどこまでの仲だったのだろうか お互いに何かが始まる直前ぐらいな印象だったけど

  • 174二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 00:29:46

    周りに振り回されツッコミまくりながら、ラストは1人消えちゃうのほんと罪
    エラン様主人公もおもしろかった!

  • 175二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 01:06:31

    エラン様は最後まで一人勝ちってことか
    五号といちゃいちゃしてもええんやで

  • 176二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 01:11:41

    すごく面白かったです!

  • 177二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 01:18:17

    次回のキャラはダイスじゃないんか
    楽しく読ませて頂きました!

  • 178二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 01:19:57

    様は生き物として弱かったけどメンタルは強かったね…5号に敗北してるところも見たかったよ

  • 179二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 01:22:49

    やっと追い付いた…
    フィジカルよわよわなのに、進む力と心の力、言葉の力だけでカッコよくなる様が凄い!
    ラスボスの正体は盲点だった…登場してくれただけでなんか嬉しいのは何故なのか?
    ドンパチシーンもカッコいい!
    様の生き様が最後までカッコいい!!
    様イラストカッコ可愛いし、シャディクもとっても可愛いですよ!!!
    ありがとうございます、今回もとても面白かったです!!!
    息継ぎ出来ないほどの文章量で大満足…

  • 180二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:19:30

    このレスは削除されています

  • 181二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:19:55

    このレスは削除されています

  • 182二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:20:31

    ↑焦って画像リンクじゃなくてスレリンク貼ってたわ 許して…

    グエルとはdice1d3=2 (2)

    1:BL特有のやたら距離が近い親友状態だった

    2:両片想い状態だった

    3:生前恋人だった

    ちなみに現在のグエルはラウダとはdice1d100=25 (25) (1に近いほど兄弟 100に近いほど恋人 50近くなら兄弟BL特有のやたらベタベタしてる兄弟)


    「……そっか」

    「四号……俺……」

    「泣かないでシャディク。僕がそばにいるよ」

    「四号……」

     二人がそっと、抱き合っている。

     五号は肩を竦めた。そういえばこの二人って元からなんだか距離が近かったっけ。ならなによりだ、幸せになってほしい、せめて、君たちだけは、彼が言ったように。

     __五号は。

     やっぱり、五号はひとりじゃ幸せになんてなれない。彼の隣でなければ幸せになれない。ごめんけど、エランといっしょじゃないと、だめだ。五号は、だめなんだ。

    「……おしあわせにね」

     心からの祝福。

     微笑めば、五号の声なんて届いていないみたいに、二人がわいわいと話していた。

    dice1d3=2 (2)

    1:……花畑、探そうかな。

    2:……二人がくっつくまで見届けよう。

    3:でも、兄さんは……僕に生きてほしいって言ってたから……生きないといけないんだ……

    五号の生への執着:dice1d100=69 (69)

  • 183二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:22:50

    グエルとラウダはかなり健全だね!
    うーん…遺された5号切ねぇな…

  • 184二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:30:45

     ……ふたりがくっつくまで、見届けよう。

     死にたくないと言えば嘘になる。生きていたいというのが本音だ。でもおなじくらい、あの人のそばにいられない生に意味があるのか、と思う気持ちもある。

     だから、いっしょに行こうって、説得したのだけれど。

     五号は肩を竦めて、立ち上がる。二人に向かって、問いかける。

    「ここには長居しない方がいい。どこか平和に暮らせる場所を探そうよ」

    「わかった」

    「う、うん」

     三体の死体は立ち上がる。

     惨劇の舞台を置き去りにして。


     五号は生前の記憶を取り戻していた。

     なぜかは分からない。たぶんなんかこうそういったアレで。だから生前のエランとグエルがお互いに好きあっていたことを知っていたし、何度も一緒に逃げようと約束していたのを知っていたし、それに対してラウダが「にいさんがとられちゃう!」と不安や嫉妬心を抱いていたのも知ってる。わかるよラウダ。同じ弟だから。結局エランは、グエルへの未練も五号からの告白も捨ておいて、一人で墓場に戻る道を選んだのだけど。

     __だから本当に振られたし、終わったのだ。

    「やりなおせたから」

     指先を見つめる。ドールの、人工の皮膚。

    「今度こそ、手に入れられると思ったんだけどなあ」

    dice1d3=3 (3)

    1:一緒に、生きたかった……

    2:まずは二人をくっつけないとね!(現実逃避)

    3:……ねえシャディク、四号にいさん、今はおっぱじめないでほしいな?

  • 185二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 07:33:39

    情緒も余韻もあったものじゃねえ…

  • 186二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 12:24:29

    え?続きがあった!嬉しい…

  • 187二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 12:29:48

    見届けようとした矢先がコレだよ!!!!

  • 188二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 12:32:08

    五号の切ない胸の内が語られる、その背景でw

  • 189二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 12:37:32

    ホラー?スプラッターか?と思えばBLに堕ちかけたり、背筋の凍る奴だったり、アクションだったりどこに転がり落ちるか分からない、そんなスリルがたまらない
    最後はそうなちゃうのねw
    こうなったら、もういっそ五号も混ざるかw

  • 190二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 21:46:03

    くっつくのがはやい!ところで見届けたら5号はどうなるんですか…?

  • 191二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 22:55:11

    「……四号」

    「シャディク……」

    「別にいいんだけど今ここではおっぱじめないでほしいな?」

    「失礼な。そんなことしない」

    「疑わないでよ。弟でしょう」

    「兄のそういう事情はあまり知りたくなかったよ……!」

     主張してみると、四号は無表情のまま少しだけ口許を緩めた。シャディクもこちらに向けて手を差し伸べてくる。……そうだ、ここは『絶対ハッピーエンドになる世界』。BLという言葉を五号は知らなかったが、薄々勘づいていた。いや記憶喪失花屋コンビと余り物爆速暗転コンビと失恋(ド直球)のどれがハッピーエンドなんだという話ではあるが__

     五号がのぞめば、きっと彼らは拒まない。

     そばにいることを許してくれる。家族で居続けることを許してくれる。一緒に生きてくれる。ひとりじゃないから、きっと、怖くもない。ああでも、なんでだろう。満たされない。心にぽっかりと穴がうかんでいて、そこから万物がするりと抜けていく。掴むことすらできない、雲のように。

    (……やっぱり、)

     彼がいいな。

     生きたい。彼と共に生きたい。だけど彼はどうしようもなくいなくなってしまって。終わってしまった。だのにそう思ってしまうのは、……わがまま、なのだろうか。

    dice1d3=2 (2)

    1:……手を取る。

    2:「ごめん。僕行くよ、お幸せに」と立ち上がる。

    3:やんわりと、押し返す。

  • 192二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 23:16:53

    四号とシャディクのBL度(?):dice1d100=16 (16)

    ついでにグエルはdice1d3=1 (1) (1:普通に花屋してる 2:兄弟BL度dice1d100=94 (94) 3:最近別キャラとのフラグが立ちつつある)


    「ごめん、僕行くよ」

    「行くって、どこに」

    「さあ。どこだろう」

     五号は立ち上がる。

     お誂え向きに、謎の__最早困った時の駆け込み寺・そこそこ恒例・不定期建設の謎の山小屋、食料も水も安全もあるよ! にふたりを置くと、そのままゆっくりと外に向かって歩き出した。

     五号はまだ生きていなければいけない。誰かさんに「幸せに生きてほしい」なんて呪いをかけられてしまったから。それならせめて、彼の分まで生きてあげないと。振り返れば逆光になるから、笑い方が下手くそなのは誤魔化せるだろう。

     幸いにもドールだ、多少の機能不全を起こすことはあっても、最悪飲まず食わずメンテナンスいらずで歩ける。死んだらまあ、その時はその時だ。きっと義理堅い兄が地獄の観光名所、ハネムーン候補を探してくれていると信じよう。まずは『自分』たちのお墓参り。それから、

    「地球に花畑なんて幾つあるとおもってるの?全部をめぐるとなると、さすがに骨が折れるかもね」

    「……五号、」

    「いらないよ。僕はひとりで大丈夫。あいつだってそうだったんだから」

    「また、帰ってきてね」

    「……気が向いたらね」

     ひらりと手を振り、一歩足を踏み出した。

     穏やかな陽だまり。三人で仲良くお茶会をしたあの頃を思い出す。後悔がないといえば、未練がないといえば、嘘になる。それでもどうやらその辺は不可遡のものらしいので、五号は、先に進まなければならない。生きている限り、時間が流れ、万物は変化する。共にエランに愛を捧げていた四号とシャディクはお互いに抱いている仲間意識を恋心にすり替えていくだろうし、あの世界ではグエルやラウダが兄弟BLとかいうジャンルになっている可能性もある。たぶんきっとおそらくメイビー。それでいい。彼はみんなが幸せになることをのぞんでいたから。

    「……兄さん」

     空を見上げる。

    「僕、幸せになってやるから。どうか見ててね」

     ゆびをさして、祈るように宣言した。

  • 193二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 23:19:21

    五号はどこまでも強かでいいな~!

  • 194二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 23:26:19

    色々あったけどこれでこそ5号
    ほろ苦い爽やかエンド好き
    そして選ばれなかったけど兄弟のBL度高すぎて草
    また裏でひっそり負けなくてよかったよかった

  • 195二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 23:36:39

    5号と来世のエラン様に幸あれ

  • 196二次元好きの匿名さん23/11/16(木) 23:53:27

    やっぱりタフで爽やかボーイで、いいなあ五号のも…
    選ばれなかったけど、花屋兄弟の親密度が振り切ってて笑っちゃった、さすがだね!
    何故かそこにある不定期建設の謎の山小屋、便利やつだw
    切ないけれど、希望に胸湧くエンドでした。巡るお花畑はきっと綺麗だ…
    イラストもありがとう!!とても楽しかったです!!!

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