- 1GMトンタッタ23/11/17(金) 19:48:51
- 2二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 19:49:50
待ってたぜこの瞬間を
- 3GMトンタッタ23/11/17(金) 19:50:19
前スレの内容はここにまとめてあります
夢見るオバケじゃいられないおいでおいで 一緒に遊ぼうここには ひどいことする大人はいないよ
あの音色を聴いたら さあおやすみ
夢の中で遊ぼうよ 永遠に
ご近所メルヒェンRPG ピーカーブー
「夢見るオバケじゃいられない」
はじまり はじまり
━━━━━━━━━━━━━━━
今宵は満月、百鬼夜会。シキ族のリングに所属するキラーも例に漏れず、学校裏のシンセカ山にその足を運ぶ。
(……今日は何やら騒がしいな)
町中のオバケが一堂に会するだけあって、普段から百鬼夜会は大盛り上がり。だが、今夜は異様と言えるほどだった。ただでさえ賑やかなシンセカ町のオバケたちが歌えや踊れのお祭り騒ぎで、収集がつきそうにない。
「キラー、お前も来たのか。それにしてもすげェ騒ぎだよなァ」
「コラソン。……一体何事だ?」
足元から声をかけられ下を向けば、ピエロメイクを施したアザラシと目が合う。シキ族とX族、リングの異なるオバケたちが交流することは珍しいことなのだが、契約するイノセントが友人同士である彼らだけは例外だった。
……最も、彼らにそんなことを言えば“友達じゃねェ!!”と一喝されてしまうこと間違いなしなのだろうが。
「隣町から来た新入りが盛り上げてるんだ。ほら、あそこ」…telegra.phあと現在のステータスれす
- 4二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 19:50:52
おれは正当なスレの読者
前スレのローとコラさんのピーカーブーが好きでルルブを買った - 5GMトンタッタ23/11/17(金) 19:52:21
待ってる方がいてくれて嬉しいれす!
ピーカーブーにも興味を持ってくれて感謝しかないれすね
一応前スレも貼っておきます
【TRPG/閲覧注意】キッドとキラーでピーカーブー!|あにまん掲示板bbs.animanch.com - 6二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 19:53:40
うわあああああありがとう帰ってきてくれてスレ落としてごべーーん!!!
- 7GMトンタッタ23/11/17(金) 19:54:06
そーっと、そーっと。
音を立てないようにドアを開き、抜き足差し足で教室に侵入する。晩御飯のつまみ食いを企んだときのような、買い物かごにこっそりお菓子を入れるときのような、そんな動きで席へと忍び寄る。後はこのまま席に着くだけだと思っていた。自身のスプーキーが我が物顔で椅子に座っているのを見るまでは。
(……何やってんだ、こいつ)
“早くどけよ”と目配せすれば、キラーは面倒くさそうにゆっくりと視線を背ける。図体の大きなキラーにとって小学校の教室は狭く、何かの拍子で物にぶつかりでもすれば雪でできている身体が崩れてしまう可能性もある。そのため、立ち上がる気にはなれなかった。
……しかし、キッドを邪魔するのも本意ではない。渋々と席から立ち上がり、授業参観中の保護者のようにロッカーへ背を預けた。 - 8GMトンタッタ23/11/17(金) 19:54:57
「あそこがお前の席だ。……ドレーク、委員長として面倒を見てやれ」
「はい」
2人がそんなやり取りをしている間に、自己紹介は進んでいたようだ。
転校生は相変わらずふらふらとした歩みで己の席へと向かう。隣の席に座る学級委員長(といってもほぼ無理矢理押し付けられたに過ぎないが)が“よろしく頼む”と声をかけたが、彼はただ小さく会釈をするだけだった。
(キッドとは反りが合わなそうだな)
“もしかしたらキッドに友人が増えるやもしれない……”
キラーがそう思っていたのも束の間。あの枯木死灰な転校生には己のイノセントは荷が重いだろう。アプーには仲良くするようにと頼まれたが、そもそも関わりすら持たないような予感があった。 - 9GMトンタッタ23/11/17(金) 19:56:56
- 10GMトンタッタ23/11/17(金) 19:59:43
学校イベント8
今日の体育はハードだった! GMは、「運動」の分野の中からランダムに特技を1つ選ぶ。イノセント全員は、その判定を行う。失敗したキャラクターは、【眠気】が1D6点増える。
運動分野 dice2d6=3 1 (4)
- 11GMトンタッタ23/11/17(金) 20:17:49
「今日の体育はマット運動を行う!」
(マット運動か……)
精一杯動きたい盛りのキッドにとって、マット運動はあまり好ましくない。競い合うような運動でもなければ、派手な動きが期待できるわけでもない。しかし、一気にやる気が削がれるキッドの横で、楽しそうに笑う男子が一人。
「おっ! おれ、これすっげー得意なんだよなー!」
「ルフィは体が柔けェもんな。まるでゴムみてェによ」
「しししっ! 任せろ!」
新学期の体力テストでは長座体前屈で見事学校首位を叩き出したルフィにはマット運動などお茶の子さいさいらしい。ぐにょんぐにょんと身体を動かしながら、意気揚々とマットの用意をしている。
(……あいつに負けるのは癪だ……とでも言いたげな顔だな)
体育館の隅で授業の様子を眺めていたキラーは、密かに対抗心を燃やすキッドを見つめていた。
キッド 判定 《柔らかい/運動4》
dice2d6=6 3 (9) (がまんから判定、7以上で成功)
- 12二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 20:26:08
すげーキッド
- 13GMトンタッタ23/11/17(金) 20:36:49
(マット運動というか柔軟運動になってる気がするれす)
「ぐ、ぎぎ……!!」
「なんだァ? ギザ男、いつにも増しておっかねー顔してんぞ!」
「意地張ってるだけだ、付き合ってやってくれ」
「言ってろ、てめェら……ッ!」
無理矢理伸ばされた膝の裏が悲鳴を上げていても我慢。ぷるぷると震える太腿がはち切れそうでも我慢。必死に課題をクリアするキッドを横目に楽々と身体を伸ばすルフィに怒りを覚えても我慢。相棒がやれやれと呆れていても我慢。
キッドはマット上での痛みに耐えに耐えて、ルフィの記録に喰らいつく。
「は、ハハ……! おれだってマット運動くらい余裕なんだよォ!」
高らかに笑いつつ、彼は本日のカリキュラムを完了するのだった。……一方で。
「ホーキンス、背中押してやろうか?」
「…………頼む」
ドレークに背中を押されても尚、微動だにしないホーキンスがいた。
個別学校イベント
dice2d6=1 3 (4)
- 14GMトンタッタ23/11/17(金) 20:39:40
個別学校イベント4
今日の給食には、どうしても苦手な食べ物が出てきた。《勇気/友達9》で判定を行うこと。成功すると、苦手な食べ物を克服し、気分爽快! 【眠気】を1D6点回復するか、【元気】を1点回復することができる。
来たれすね……カレーうどんイベント!! - 15二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 20:42:16
帰ってきてくれてありがとうスレ主
続きが読めて嬉しいよ - 16二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 20:43:24
このレスは削除されています
- 17GMトンタッタ23/11/17(金) 20:58:44
(うげ……!!)
(……よりにもよってこのメニューか)
待ちに待ったはずの給食の時間、キッドは苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。彼の幼い頃の苦い思い出を知っているキラーも同じく、気まずそうにカレーうどんから目を逸らした。
「あ、カレーうどん。ちょっとキッド、今日は汁飛ばすんじゃないわよ!」
意気消沈としていたキッドの肩を叩き、揶揄うような笑みを浮かべるのはクラスメイトのドルヤナイカだ。幼馴染でもある彼女は、キッドがカレーうどんを嫌いになった元凶だった。“アレ”がきっかけで淡い初恋が消え去ったのも、今となってはいい思い出……なわけもなく、彼のトラウマとなって脳裏に刻まれている。
「誰が飛ばすか!!」
「はァ? ……言っとくけど、昔のこと忘れてへんからな?」
怒ると関西弁になるのも昔と変わっていない。しかも、奇しくも今日の彼女のコーディネートは真っ白なワンピースだ。この服を汚しでもしたら、トラウマの再来になること間違いなしだろう。
(……今は今、昔は昔だろ! 綺麗に食ってやる!!)
キッド 判定 《勇気/友達9》
dice2d6=2 3 (5) (5以上で成功)
- 18二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:03:49
ぴったりやないか!!
- 19二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:05:20
過去のトラウマを勇気で乗り越える。いい話だ
- 20GMトンタッタ23/11/17(金) 21:17:55
眠気、元気共に満点のため回復無し
ちゅる……ずるるるっ……
恐る恐る麺を啜り、汁を飲む。味は悪くない、というか美味しい。そもそもの話、キッドがカレーうどんを嫌いなのはトラウマに起因しているだけであり味覚によるものではない。勇気さえ振り絞れば完食するのも容易かった。
「……ご、ご馳走様でした」
「へェ? 綺麗に食べられるんじゃない」
「言っただろ、飛ばさねェって……」
「前もこうやって食べてくれればね〜?」
「………………」
いつもは猪突猛進で、ルフィやローと競い合うように給食を食べているキッドがたじたじになっている。まるで借りてきた猫のような彼にクラスメイトたちは目をぱちくりとさせる。また、それと同時にドルヤナイカの女傑ぶりに僅かに恐れを感じていた。……一方で。
「……綺麗に食べるな」
「マナーはうるさいほど叩き込まれたからな」
うっとりするほど綺麗な所作でカレーうどんを食べるホーキンスがいた。 - 21GMトンタッタ23/11/17(金) 22:05:04
ここから放課後サイクルれす
今回はそれぞれ2回行動とさせていただきます
キッドの行動 dice2d4=2 1 (3)
①転校生と話でもするか
②あァ? スモーカーから呼び出しだと?
③買い物にでも行くか
④とっとと家に帰るか
キラーの行動 dice2d4=1 4 (5)
①転校生のことが気になるな
②アプーと話してェ
③適当にぶらぶらしてみるか
④やることがねェな……
- 22GMトンタッタ23/11/17(金) 22:18:16
「おいユースタス、少しいいか」
放課後になり児童たちが一斉に学校から飛び出していく中、キッドはスモーカーに呼び止められる。彼の眉間にはいつもよりも深い皺が刻み込まれており、怒りを隠す気も無さそうだ。少なくとも小学校教諭がしていい表情ではない。
恐らくただの世間話ではなく、今朝の遅刻に関することで説教があるのだろう……。
(…………面倒くせェな、どうにか誤魔化せねェか?)
自分が悪いのは自覚しているが、怒られたくはない。キッドは悪知恵を働かし始める。
キッド 判定 《ズル/不良8》
dice2d6=4 3 (7) (かけっこから判定、8以上で成功)
- 23GMトンタッタ23/11/17(金) 22:29:23
キッド
MP 1→2
眠気 dice1d6=4 (4) 点上昇
「今朝は転校生のことでバタバタしてたから言ってなかったが、てめェは前々から遅刻が多すぎる」
「……」
「遅刻してたんじゃもし登校中に事故や事件に遭ってもすぐ対応できねェ。明日からはギリギリでもいいから間に合うように来い」
言い訳することもできず職員室に連れてこられ、懇々と説教を浴びせられる。しかしスモーカーの言っていることは真っ当であり、キッドに反論することは許されていない。普段であれば左から右に聞き流す話だが、今日ばっかりは一応真面目に聞き入れることにした。
「……ワカリマシタ、スミマセンデシタ」
慣れない敬語を口にし、頭を下げる。“遅刻しても無事に来れてるからいいじゃねェか”という減らず口は流石に飲み込むことにした。
- 24GMトンタッタ23/11/17(金) 22:37:29
- 25二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 22:50:26
お疲れ様なのれす
そしてキラーが大きい!地の文でもでかいって書かれるわけだ - 26二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 01:06:54
うわデカっ でも大人になったら見えなくなるんだっけ……
- 27二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 05:02:44
ローランドから遡って一気に読んできた
おもろい - 28GMトンタッタ23/11/18(土) 14:50:22
キッドが叱られている間、キラーは転校生と接触しようとしていた。
(アプーの話によると、ホーキンスはオバケが見えるイノセント……。おれの姿が見えるし声も聞こえるはずだ。しかし……)
放課後になるや否や、ホーキンスはクラスメイト……主に女子によって囲まれてしまった。ホーキンスが趣味とする占いが目当てなのだろう、彼が机に広げるタロットカードを興味深そうに見つめている。
「ねえねえ! 私の金運占ってよ! 金・運!!」
「恋愛運を教えて欲しいの! 私とサン……いややっぱりなんでも!」
「今週末に家族旅行するんだけど……旅行運とかって占えたりすんのか?」
怒涛の注文に眉一つ動かさず、ホーキンスは淡々とカードを机に並べては結果を呟く。その結果に一喜一憂しながらも、女子たちは満足気に小さな占い師に礼を告げる。それが波紋し、いつの間にか他クラスの児童も集まってきてしまった。
……近づこうにも勢いよくぶつかられたら体が崩れてしまうかもしれない。
(今日は諦めて、数日後に再び接触するか……)
そう思い、キラーがその場から去ろうとしたときだった。 - 29GMトンタッタ23/11/18(土) 14:55:05
ガターンッ!!
「ッゲホ! ……ごほッ、ガハッ……」
「ホーキンス!」
突如椅子から転がるようにして、ホーキンスが床に崩れ落ちる。激しく咳き込み苦しそうに肩で呼吸をしている彼にクラスメイトたちは慌てて駆け寄った。
「ちょっと大丈夫!?」
「私、マルコ先生呼んでくる!」
「ッ待て、呼ぶな。…………家に帰れば治る」
そう言って今にも走り出しそうな女子を引き止め、ホーキンスは力無く立ち上がる。未だに小さく咳を繰り返しており、顔色も悪い。だがその苦しげな状態のままにも関わらず、彼はランドセルを背負う。
心配そうにその背中を見つめるクラスメイトを振り返りもせず、ホーキンスは教室を後にしてしまった。
(…………追いかけるべきか?)
キラー オバケ判定
dice2d6=5 3 (8) +1(9以上で成功、魔力使用により+1の補正)
- 30二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 15:15:54
すげぇピッタリださすキラ
- 31GMトンタッタ23/11/18(土) 15:48:27
キラー 魔力15→14
(変な奴だ。……全く気配を感じねェ)
ともすれば見失ってしまうほどの気配の無さだ。学校を出た直後、すぐにでも声をかけてしまえば済む話ではあるが、何故かキラーにはそんな気が起きなかった。それどころか、このまま黙って着いていく方が吉とさえ思えた。
ホーキンスは足早に歩みを進め、シンセカ町の中心部からどんどん離れていく。歩いて、歩いて、歩いて、辿り着いたのは。
(……洋館? しかも……)
真裏に墓場がある洋館だ。シンセカ小学校の児童たちには“幽霊屋敷”と噂される所。しかも、オバケであるキラーにはわかる。この場所は……。
(……魔力の匂いがする。こんな場所に住んでいるのか……? 何者なんだ、こいつもアプーも……!) - 32一旦抜けるれす23/11/18(土) 16:35:37
ホーキンスは大きな玄関扉に手をかける。金属製の飾り細工が施された木製扉が、ゆっくりと開き──────
「……誰だ?」
生気のない顔がゆらりと動き、血のように赤い瞳がキラーを射止める。黒ずんだ隈が以前よりも暗くなっているような気がした。その表情はあまりにも無であり、子供らしさなんて欠片も感じられない。まるで人形のような容貌だ。
「今朝、遅刻してきた奴のスプーキーだな」
「……その通りだ」
「名前は」
「キラー。……アプーからお前のことは聞いている。……随分占いが得意なんだな」
キラーは慎重に言葉を選びながら、ホーキンスに声をかける。彼と言葉を交わす度、館から感じる魔力の匂いが濃くなっていく。
「…………占いくらいお前もできるだろう」 - 33二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 19:12:52
そういやホーキンスから見たら教室の一席にクソデカ大男が鎮座してたことになるのか…よくリアクションせずにいられたな…
- 34二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 19:20:01
オバケ見えるときっと日常茶飯事なんだろうな⋯1教室にでかいのが3匹とか
- 35二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 22:19:12
ホーキンスはイノセントでなくても見えそう
- 36GMトンタッタ23/11/18(土) 23:18:20
“占いくらいお前もできるだろう”
その言葉を、キラーは頭の中で反芻する。確かに自分は占いができる。だがそれホーキンスが行っているそれとは訳が違い、オバケの占いは未来が見えることだってあるのだ。ほぼ“予知”のようなもので、当たるかも外れるかもわからない人間の占いとは比べ物にならない。
「占いは占いでもお前のものとは全くの別物だがな」
「…………さあ、それはどうだろうな。少なくともおれの占いは外れない。お前のことも占ってやろうか?」
「悪いな。おれは占いは信じねェ」
「……そうか。残念だな」
フ、とほんの僅かに笑みを零し、ホーキンスは館の中へ消えていく。初めて見た彼の笑顔は、不器用で不気味なものだった。 - 37GMトンタッタ23/11/18(土) 23:24:20
殺戮ランドとのイベントにより藁ランドが帰宅したので2サイクル目は2人ともパスになります
キッドの眠気
dice1d6=2 (2) 点回復
キラーの魔力
dice1d6=5 (5) 点回復
- 38GMトンタッタ23/11/18(土) 23:52:06
「ふぁーあ……おいキラー、寝るから電気消せ」
「ああ。わかった」
照明のスイッチを切り替えると夜もすっかり更けていることもあり、部屋は真っ暗になる。体育の時間に張り切りすぎたキッドはすぐに寝息を立て始めた。
一方でキラーは暗闇の中、今日のことを思い出していた。帰宅してからというもの、あの二人のことが気になって仕方がなかったのだ。“イノセントをよろしく”と言っていた割に一日中姿を見せなかったアプーのこと。占いをしたホーキンスが息苦しそうにしていたこと。ホーキンスが住んでいるらしき館に魔力が満ちていたこと。
(あの魔力は異常だ。アプーだけの魔力ではないだろう、他のオバケも棲みついているのか? それとも家族全員がスプーキーと契約している? もしくは……)
考えても与太話の域を出ない。だが嫌な予感がするのは確かで、放っておく気にはなれない。ならばこのまま勘ぐっていくのもありだろう。どうせ二人が無害な存在だとしても、警戒しておくに越したことはないのだがら……。 - 39二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 01:38:20
藁ランドで草
アプーはアプランドかな - 40GMトンタッタ23/11/19(日) 10:45:39
…………音楽が聞こえる。
夢現の中、キッドの脳内に響く音。瞼の裏の暗い世界の中で、音楽が鳴り響く。幼い頃に聞いたことがあるような、ないような。懐かしくて楽しい音楽だ、このまま聞いていたい……。
『遊ぼう、遊ぼう。こっちにおいで。ここならうるさい大人も宿題も何も無い』
誰の声だ?
キッドにはわからない。ただ一つわかるのは、このまま目を閉じていればきっと楽しい世界に連れて行ってもらえるということだった。
キッド 判定 《音楽/遊び6》
dice2d6=2 2 (4) (がまんから判定、7以上で成功)
- 41GMトンタッタ23/11/19(日) 11:34:13
キッド
MP 2→3
眠気 dice1d6=4 (4) 点上昇
「起きろ! おい、いつまで寝てやがる!」
「………………」
「キッド? おい、おい!!」
日が昇り、眩しい朝日が降り注いでいる。キッドの顔を照らす光は、容赦なく輝いている。それなのに、彼の瞼はぴくりとも動かない。いつものいびきも聞こえない。それどころか、寝息すらも……。
キラーの首筋に雪解け水の滴が伝う。思わずキッドのパジャマを掴み、ぐらぐらと揺さぶった。
「キッド! 起きろ!!」
「……ぅ、う゛……」
「キッド!!!」
「……っうるせェな!!! ……ぁ、あ? おれ、寝てたのか?」
きょとんと呆気にとられた表情を浮かべ、キッドは周囲を見渡す。見慣れた自分の部屋だ。おもちゃのロボットも新品同然の勉強机もいつもの通り。
(さっきまでおれは……)
- 42GMトンタッタ23/11/19(日) 12:12:02
楽しく遊んでいたはすだ。どこでなのかは検討もつかないが、キッドは確かに誰かと遊んでいた記憶がある。
(でも誰とだ? それにどこで……)
もそもそと朝食のパンを齧りながら、夢の記憶を思い出す。
『何して遊ぶ? 他の子もいるからみんなでできることにしようか? あ、外に出るのはだめだよ!』
『……ああ……』
『音楽が気になる? あの音楽を聴いてると楽しい気持ちになるんだよ! ほら、遊ぼ!』
言われるがままに積み木やおままごとをしたのを覚えている。小学五年生のキッドには幼すぎる子供遊び。それなのに楽しくて、ずっとやっていたいと思うほどで。
(気色悪ィ……)
あんな夢、さっさと忘れてしまおう。そう思いたくてもキッドの脳裏には昨晩の賑やかな光景が焼き付いてしまっていた。 - 43二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 19:22:16
がまんできないマン
- 44GMトンタッタ23/11/19(日) 22:04:55
- 45二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 22:06:36
かわいい
- 46二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 23:06:10
GMおつかれ
舌しまい忘れコラさんかわいいね - 47GMトンタッタ23/11/20(月) 08:49:42
- 48二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 18:10:40
かわいいトリオだ!
ベポが一番大きいから遊園地の着ぐるみと写真撮ってるみたいだな…ってちょっと思っちゃったごめん - 49GMトンタッタ23/11/20(月) 19:51:09
「キッド、そんなゆっくり食ってたら遅刻しちまうぞ」
「……また先生に叱られるんじゃないか」
「ンなこといちいち言われなくてもわかってんだよ……」
夢のことを考えるあまり朝食を食べる手が止まってしまったキッドを、高校生の兄たちが急かす。好きなバンドの影響でツギハギ風の化粧をしているヒートと、大きなシルエットのフーディーを着ているワイヤー。どちらもキッドと歳が離れているということもあり、小学生にして遅刻気味な弟のことを気にかけていた。
(……そういえば)
兄たちはあの“音楽”を聴いたのだろうか。あのおかしな夢はともかくとして、音楽は確かに鳴り響いていたはずだ。そう思ったキッドは、二人に疑問をぶつけた。
「音楽? ……何の話だ?」
「少なくともおれは聞いていないな」
「……そうかよ」
“なんの当てにもならねェ”と失礼なことを考えながら、キッドは牛乳を飲み干した。 - 50二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 19:58:59
ヒート達が兄貴なのか
- 51GMトンタッタ23/11/20(月) 20:18:34
「音楽と、変な夢?」
「あァ。顔は覚えちゃいねェが、誰かと遊ぶ夢だ」
ワックスでピカピカになった廊下を歩きながら、キッドはキラーに夢の話をする。音楽が聞こえたことも話したが、どうやらキラーにも覚えがないようで首を傾げられた。
(おれの夢見が悪かっただけか? だがそれにしちゃあ……妙にリアルだったような……)
もやもやを抱えながら教室のドアを開ける。
……普段であれば楽しげな声で溢れる教室内。しかし、登校してきたキッドとキラーを迎えたのは、ほとんどが空っぽの席と眠たげに目を擦るクラスメイトたちだった。 - 52GMトンタッタ23/11/20(月) 20:56:09
いつも遅刻ギリギリで登校するキッドにとって、それは異様な光景だった。うるさいとも思えるほど賑やかで、邪魔だとも思えるほど元気いっぱいなクラスメイトがほとんどいない。
「……んだ、これ……」
「風邪でも流行った……というわけではなさそうだな」
こくりこくりと船を漕ぐクラスメイトを見ながら、キラーは冷静に状況を分析する。その横で、キッドはきょろきょろと教室中を見回す。昨日自分をからかい女傑ぶりを見せつけた、あの幼馴染もいなかった。
(……ドルヤナイカもか) - 53GMトンタッタ23/11/20(月) 20:58:03
これから学校フェイズに移ります
イベント決定ダイス dice2d6=6 2 (8)
- 54GMトンタッタ23/11/20(月) 21:00:08
>>10と同じイベントれす
運動分野 dice2d6=5 1 (6)
- 55GMトンタッタ23/11/20(月) 21:13:31
今日の体育の授業は走り高跳びだ。通常であればクラスメイトたちと記録を競い合ったり足を引っ張り合ったりしたはずだが、今日に限ってはそんな気分にもなれない。これだけ休みが多く、眠たげでやる気のない面々に囲まれては気力も湧き上がらなかった。
「次、ドレーク」
「はい!」
しかし、そんな中でも真面目なドレークは淡々と種目をこなしている。教科書通りのやり方に沿い、綺麗なフォームで踏み込み、跳んでいる。
「次、ユースタス」
ぼーっと宙を眺めていると、いつの間にか自分の番が来ていたようだ。キッドは怠そうに首をゴキゴキと鳴らした後、充分な助走を取り、地面を思い切り蹴飛ばした。
キッド 判定 《とぶ/運動6》
dice2d6=1 3 (4) (かけっこから判定、6以上で成功)
- 56GMトンタッタ23/11/20(月) 22:16:38
キッド
MP 3→4
眠気 dice1d6=5 (5) 点上昇
体が宙に浮いて、後は足を地面につけるだけだ。しかしキッドが感じたのは足の裏への衝撃ではなく、尾てい骨へのダメージだった。
「い゛って!!」
「大丈夫か、ギザ男〜?」
「ふっ……この程度のことができねェなんてだせェな」
「あ゛ァ!? こんなのたまたまだ! たまたま!!」
着地が上手くいかず、足が滑って尻餅をついてしまったキッドの顔をルフィは心配そうに覗き込む。その後ろでローが鼻で笑う様子が見え、キッドはお尻についた砂を払うのも忘れ、顔を真っ赤にして怒鳴り散らす。
「次はてめェらの記録なんか楽々に越してやるから見てろよ!!」
「おう!また尻餅つかねェように気をつけろよ!」
「怪我したら保健室連れてってやる」
(相変わらず仲がいいな……)
喧嘩を始めた三人を眺めながら、キラーはやれやれと肩を竦めた。
個別学校イベント dice2d6=5 3 (8)
- 57GMトンタッタ23/11/20(月) 22:28:41
キッド 眠気 11(ねむねむ)
個別学校イベント8
クラスでオバケの噂を耳にする。《うわさ話/友達3》の判定に成功すると、GMからそのセッションで出てくるオバケの外見や情報を教えてもらうことができる。
キッド 判定 《うわさ話/友達3》
dice3d6=2 1 3 (6) -1(がまんから判定、7以上で成功、ねむねむにより出目-1、MPを消費し振るダイスを1増やす)
- 58GMトンタッタ23/11/20(月) 22:38:19
普通に失敗したれす……ここで情報を出してショートカットしたかったれす……
MP 4→3
「ねえ、今日休みが多いのってもしかして……」
「うん……私もそうだったもん……」
クラスメイトの女子二人がこそこそと何かを話し合っている。キッドはその話に耳をそばだてようとしたものの、二人の声は一瞬にして掻き消されてしまう。
「何言ってんだ!! ソラが一番かっこいいに決まってるだろうが!!」
「いや、かっこよさならジェルマだって負けてない」
「正当な読者はジェルマなんかじゃなくてソラを好きになる!」
(そもそも正当な読者ってなんだ……?)
ヒートアップした海ソラ論争が教室中に響き渡り、キッドの思考もそちらに攫われてしまった。ローたちの不毛な言い争いに脳内でツッコミを入れているうちにキッドは噂話を聞くことなど忘れ、次回の海ソラに思いを馳せるのだった。 - 59二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 22:40:45
次回の海ソラに思いを馳せちゃったか…
- 60二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 03:26:41
ドレークとローかな?
そのうち隠れ海ソラーのホーキンスも混ざるんだろうなあ - 61GMトンタッタ23/11/21(火) 12:25:03
- 62二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 19:42:21
確かに一緒にしてたら喧嘩とかして授業どころじゃ無くなりそう
- 63GMトンタッタ23/11/21(火) 22:41:56
今日は帰宅が遅くなってしまったので更新は無しれす……毎週火曜日はお仕事の都合上更新が難しいかもしれません
ゆっくり更新でも見てくれてる人がいるだけで励みになるれすありがとうございます - 64二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 01:17:15
- 65二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 01:18:29
- 66二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 08:33:01
無理ない範囲でやってほしいのれす
健康第一なのれす - 67二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 13:56:43
一応保守!ちゃんと席バラバラなの凄い好き
- 68二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 14:49:31
コーザがやたら女子に囲まれててコーザめ…てなった
あとまあまあ女子の多いドレークとボニーの前にいるパウリーが心配になる席順だな…
マリアンヌ?まあ彼女は大丈夫たろ - 69二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 22:47:33
皆さん保守と暖かいお言葉ありがとうございます
今日も遅くなってしまいましたが少しだけ更新します
あとドレランドの周りに女子が多いのはわざとれす
そこだけは適当に決めませんれした - 70二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 22:47:57
キーンコーンカーンコーン……
放課後を知らせるチャイムが鳴り、堅苦しい授業を終わらせた皆は一斉に立ち上がり始める。だが、早く友達と遊ぼうと走り去る者もいる中で、やはり元気の無さそうな者が多い。楽しい放課後のはずが、朝と同じく眠そうに目元を擦るものばかりだ。
今にも目を閉じて眠りに落ちてしまいそうなクラスメイトを後目に、キッドはランドセルを背負い家に帰ろうと歩き出す。しかし、その背を担任の低い声が引き止めた。
「待て、ユースタス」
「あ? ……んだよ、今日は何もしてねェ……だろ?」
“そうだよな?”と伺うようにキラーを見上げたが、ゆっくりと首を横に振るだけだ。どちらもスモーカーに声をかけられた理由に見当もつかず首を傾げる。
「別に叱りゃしねェよ。これを頼みてェだけだ」
「頼み……?」
そう言われ差し出されたのは“ヴィクトリア・C・ドルヤナイカ”と文字の書かれた茶封筒だった。A4サイズの大きめの封筒だが、複数枚のプリントしか入っておらず、嵩張るだけで重くはない。
「幼馴染だろ? 見舞いついでに届けてこい」
“じゃあ頼んだぞ”と捨て台詞を吐きながら、スモーカーは教室を出ていく。その手には残りの欠席者用の茶封筒が抱えられていた。 - 71GMトンタッタ23/11/22(水) 23:16:07
名前変えるの忘れてたけどこれはGMれす
「頼まれてしまったものは仕方ないな。ドルヤナイカの家に行くぞ。……お前も心配だろう、キッド?」
「誰が心配なんてするかよ……。別にあいつなら平気だろ」
そうは言うが、彼の顔は浮かない。実の所、キラーの言う通りであった。いくらカレーうどんの件で辛酸を舐めさせられた相手とはいえ、甘酸っぱい想い出もある幼馴染が病欠とあれば流石のキッドも冷たくはなれない。
ただ、それを本人や周りに悟られたくないためか、キッドは冷たい言葉で体裁を取り繕うのだ。
(それに、これを渡さなきゃ後でスモーカーがうるせェだろうしな。……しょうがねェから……本当にしょうがねェから持っていってやるか)
そんな言い訳じみたことを思いながら、キッドはキラーを連れてドルヤナイカの家に向かうことにしたのだった。
- 72GMトンタッタ23/11/22(水) 23:51:38
ここから放課後フェイズ兼調査パートれす
調査パートなので3サイクルとさせていただきます
「ドルヤナイカ、入るぞ」
ゴンゴンといい加減なノックをし、ドルヤナイカの部屋に入る。もちろん勝手に入ったわけではなく、ドルヤナイカの母から許可は貰っていた。幼い時分に見た記憶のままのシンプルな部屋だ。代わり映えしない景色に安心感にも似た呆れを感じ、キッドはつい口元を緩める。
……しかし、ベッドに寝転がったままどこか虚ろな目で宙を見つめるドルヤナイカを見て、すぐに真顔に戻った。
「ああ……キッド……来たん、だ……」
「スモーカーに頼まれただけだ、他意はねェ」
「ふーん……そういうことねえ……」
「……随分眠そうじゃねェか、まさかそれで学校に来なかったのか?」
彼女の服はパジャマのまま、髪はボサボサで全く整えられていない。如何にも寝起きといった風貌だ。
「しょうがないでしょ……。眠くて眠くて……仕方ない、のよ……」
「眠い?」
「ああ……だめ、また……」
キラー オバケ判定
dice2d6=3 4 (7) (9以上で成功)
- 73明日の昼間にまた更新するれす23/11/23(木) 00:17:00
キラー MP 0→1
彼女の様子をキッドの隣で見ていたキラーは、すかさず魔力の反応を感知する。すぐにそれが誰のものなのか調べようとするが、結果は空振り。それらしい魔力の痕跡がすっかり隠されているあたり、どうやら相手のオバケはかなり慎重な性格らしい。
(だがこれでわかった。……恐らく他の子供もこの魔法で眠らされている、もしくは眠らざるを得ない状況にさせられているんだろう)
しかし、なんのために眠らされているのかはわからない。ただのイタズラなら可愛いものだが、最悪のケースを考える必要もあるだろう。
眠るドルヤナイカをキッドが起こそうとし、体を揺すっている。しかし彼女は目を瞑ったまま身動ぎもしていない。この様子はまるで朝の自分たちのようで……。
「ッ! まずい! キッド、今すぐドルヤナイカを起こせ!」
「はァ!?」
狼狽えるキッドを急かし、ドルヤナイカを起こさせる。今朝のことを思い出したキラーは、現状が相当まずい方向に向かっていることに気がついた。
「呼吸をしていない可能性がある!」
……今朝のキッドと同じように。 - 74二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 02:11:18
ここのダイス神は出目を渋めにして展開を焦らすのが好きだなー
- 75二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 11:12:29
保守
- 76二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 20:04:01
ほっ
- 77GMトンタッタ23/11/23(木) 21:49:19
保守感謝れす!昼間に更新できると思ったけどだめだったれす……ごめんなさい
「どういうことだよ、息してねェって!!」
「いいから無理やりにでも起こせ!」
「……クソッ、取り敢えず起こせばいいんだな!? おいドルヤナイカ! 起きろ!!」
キラーに急かされるまま、キッドはドルヤナイカを力のままに揺さぶる。しかし、どれほど揺さぶって名前を呼び続けても彼女の穏やかな寝顔は変わらない。普段なら少しでも乱暴にすれば彼女の鉄拳が飛んでくるのが定石だったはずだが……。
二進も三進も行かない状況にキッドの心臓が激しく拍動を繰り返す。キラーもドルヤナイカに触れることもできない自分自身にヤキモキし、悔しげに歯を食いしばる。
(チッ、どうすれば起きるんだよ……!)
キッド 判定 《勇気/友達9》
dice2d6=5 6 (11) -1(5以上で成功、ねむねむのため出目-1)
- 78GMトンタッタ23/11/23(木) 22:17:22
「起きろ! おい!」
キッドは無我夢中だった。ただただ、ドルヤナイカに声をかけ続ける。彼女の小さな耳に向かって、叫ぶように。耳鳴りがするほどの大きな声に思わず隣にいるキラーは顔を顰めたが、それでも構わずキッドは声を上げた。
「起きろよ、ドルヤナイカ!!!」
「……〜〜〜っ! うっさいねん、このドアホ!! 鼓膜破れてまうやろがァ!!!」
「いでっ……!」
キッドの顎に拳が飛んでくる。あまりの威力に立っていられず床に転がってしまう。綺麗なフォームで繰り出されたアッパーをモロに喰らい、視界が揺れ、一瞬だが視界がブラックアウトした。
「もう、人が折角楽しく…………あれ? ここ……私の部屋?」
「……お、おう……どう見たってお前の部屋だろ……」
「おかしいわねー、さっきまでオシャレな部屋でみんなと遊んでたのに」
「ちっとは心配しろよ、てめェ……」
未だじんじんと痛む顎を摩りながら、キッドは眉をひそめる。だがドルヤナイカは一切省みずに首を捻っていた。
(……恐ろしい子供もいるもんだな……)
二人の様子を眺めるキラーは、自分がオバケであることを幸運に思うのだった。 - 79GMトンタッタ23/11/23(木) 23:01:15
「……んで、遊んでたってのはなんだ。さっきまで寝てただろ」
「そうよね、寝てたはずなんだけど……。私、みんなで遊んでた気がするのよね」
「みんなで?」
「うん。クラスの子たちが何人かと……あと一人、誰かいたはず」
ドルヤナイカが語る夢の内容は、今朝キッドが見たものと酷似していた。……というよりも、ほとんど一緒だった。偶然にしては有り得ない。
『何して遊ぶ? 他の子もいるからみんなでできることにしようか?』
当時は気づかなかったが、あの夢の人物が言っていた“他の子”とはクラスメイトのことなのだろう。あのときキラーが起こさずにいたら、キッドもその一員に仲間入りしていたことは想像にかたくない。
夢の中の楽しい気持ちのまま、ままごとに興じていたかもしれない……。そう考えるだけで、キッドは気色悪さを感じた。あまりにも自分には似合わなすぎる光景だった。
「ま、あんたがうるさい声を出すから起きちゃったんだけど。良いのか悪いのか、もう全然眠くないわ……」
“一応お礼でも言っておこうかしら、ありがと”と雑な礼を受け取った二人は幼馴染の部屋を後にした。“見舞いのつもりだったが何やら面倒なことに巻き込まれている……”と思いながら。 - 80GMトンタッタ23/11/23(木) 23:45:19
「どうやら面倒なことが起こってるみてェだな」
「……だな」
「どうする、キッド。助けるか?」
「助けるゥ? んな気持ち悪いことやってられるか」
“クラスの奴らなんて別に助ける義理もねェだろ”と、つんけんした態度をとって道端に転がる石を思い切り蹴飛ばす。だが、そんなキッドを見てキラーは薄笑いを浮かべた。彼にはわかっているのだ。助ける義理がないだなんだと言っておきながら、キッドがこのままじっとしていられるはずはないということくらい。
「まァ、おれに手ェ出した身の程知らずをぶん殴るぐらいはしてやってもいいがな」
「ファッファッファッ……! そうだな、キッド」
……相変わらず血気盛んで頼もしい相棒だ。子供らしくないニヒルな笑顔を作るキッドに、キラーは高らかに笑い声を上げた。 - 81二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 03:06:16
スカッとバトル路線になりそうなキッド
- 82二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 08:31:00
楽しみ
- 83二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 16:07:36
保守
- 84GMトンタッタ23/11/24(金) 22:30:13
- 85二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 22:33:10
アプーが思ったよりモコモコだ!おやすみGM
- 86二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 01:19:10
ボンボンそうなホーキンス良い
- 87二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 01:28:17
スレ主前より絵上手くなったな……すげぇ
- 88二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 08:57:09
保守
- 89GMトンタッタ23/11/25(土) 17:11:10
保守ついでに1個だけ更新れす
21時くらいに帰ってこれると思います
「……だが、おれらには情報が無さすぎる。ぶん殴るっつっても犯人がわからなきゃどうしようもねェ」
犯人についてわかっているのは、魔力を持っていることとクラスメイトたちと遊ぼうとしていることの二つだけだ。探そうにもこの情報だけでは到底不可能に近い。
「確かにな……じゃあ、まずは情報集めからか?」
「そうなるな。おれは適当なオバケを当たってみる。ハグレオバケが犯人の可能性もあるしな……」
「わかった。ならおれはクラスの奴らにでも話を聞いてくるか」
ここに来て地道な情報収集をしなければならないとは。早く犯人を見つけてとっちめてやりたいと思っていたキッドには面倒なタスクだったが、やらないわけにもいかない。
まずは今日無事に登校していた生徒から話し始めることにしたキッドは、学校へと逆戻りした。 - 90GMトンタッタ23/11/25(土) 22:20:34
(……ん? あれは……)
学校へ向かう途中にある駄菓子屋に見覚えのある顔がいた気がして、キッドは立ち止まる。古びてはいるがきっちり清掃されている店内を覗くと、糸引き飴の入った容器の前ではしゃぐ三人組がいた。
「あー! まーたちっちゃい飴だ!」
「婆さん、絶対ズルしてるだろ!?」
「こんなことなら海ソラチョコエッグを買うんだった……」
「誰がズルなんてするもんか、お前たちの運が悪いだけさね! もう買わないなら帰んな!!」
十円玉サイズにも満たない大きさの飴に頬を膨らませていちゃもんをつける三人組を、店主が怒鳴りつけ追い立てる。慌てた様子で駆け出す彼らはローとペンギンとシャチ。いつも一緒に登下校をする仲の良い三人組だ。
仕方なく小さな飴を口に含ませ店を後にする彼らの前に、キッドは立ちはだかった。
「よォ、トラファルガーと取り巻き共」
「げっ……ユースタス・キッド」
「おれらに何の用だ、ユースタス屋」
「ちっと聞きてェことがあるだけだ、精々役に立つ情報を寄越せ」
キッド 判定 《うわさ話/友達3》
dice3d6=4 4 6 (14) -1(がまんから判定、7以上で成功、ねむねむにより出目-1、MPを消費し振るダイスを1増やす)
- 91GMトンタッタ23/11/25(土) 22:57:43
MP 4→3
「しっかたねェな、おれらが話を聞いてやるよ!」
「そんなに頼りにされちゃあ……なァ?」
(本当はこいつらに借りを作りたくはねェが……背に腹は変えられねェからな)
我慢だ、我慢。
そう思いながら情報を引き出す。しかし、クラスの違うペンギンたちからは役に立ちそうな話が出てこない。というよりも、そもそも夢自体を見ていないようだった。ドルヤナイカが“クラスメイトがいた”としか言っていなかったことからもわかるように、犯人は他クラスの子供には用がないらしい。
一方で、やはりと言うべきか夢を見ていたローは事細かに説明し出す。かなり記憶に残っているのだろう、すらすらと言葉が出てくる。
「クラスの奴は……確かにいたな。あと古めかしい調度品が揃っている割には流行りの音楽がかかってちぐはぐしてたのも覚えてる。…………それに」
「それに?」
何やら重要そうな情報が手に入りそうだ。彼のあまりの神妙な顔に、キッドはごくりと唾を飲み込む。ローはゆっくりと口を開き、その言葉を紡ぐ。
「初代海ソラのフィギュアがあった! 30年前の物でプレミア化してるはずなのに……!!」
「…………クソどうでもいいな」 - 92二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 23:20:52
キッド冴えてるゥー!
- 93GMトンタッタ23/11/25(土) 23:43:13
キッドが海ソラグッズの話にうんざりしている頃、キラーはオバケたちに話を聞いていた。奇しくもそのオバケたちはコラソンとベポ。あの三人組と深い縁のある、アザラシと白熊の姿をしたオバケだ。
「夢を見せるオバケ……。そいつに心当たりはねェが、確かに昨日から町に魔力の匂いがするな」
「うん。ところどころに満遍なく匂ってる感じだよな」
「そんなにか……?」
キラーがすんすんと鼻を鳴らし匂いを嗅いでみるが、残念ながら何も感じ取れない。しかしコラソンたちは動物故か、鋭敏に匂いを拾えるらしい。他オバケの魔力の匂いになんとも居心地悪そうに眉をひそめている。
すぐ近くで魔法を使われるのならまだしも、遠くの魔力を感じ取るのは容易ではない。彼らのように簡単に魔力を感知できたら楽になりそうなものだが……。キラーは目を閉じ、意識を集中させた。
キラー オバケ判定
dice2d6=2 2 (4) (9以上で成功)
- 94二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 23:44:19
だめだめ
- 95GMトンタッタ23/11/26(日) 00:22:58
ピーカーブーは失敗しても物語が進むので問題無しれす!
キラー MP 1→2
「いや……お前ら本当にこれでわかるのか?」
結局何も得ることができず、キラーは肩を落とす。それを見兼ねたべポは懸命に嗅覚を稼働させ、元気づけるように笑いかけた。
「一番匂いの濃いところはわかってるよ! えっと……北海区の方かな」
「それ以上はよくわからねェな。相手も警戒してるんだろう」
「北海区か……」
北海区といえばローたちが暮らす「つばめの里」や今は廃院となりホラースポットとなった「トラファルガー医院」がある場所だ。他にも子供たちにも人気な「うそつきノーランド」や「海の戦士ソラ」の作者の出身区でもあることで有名で、シンセカ町ではいい意味でも悪い意味でも一目置かれる区だった。
それに……あのとき、ホーキンスが入っていった館がある区でもある。
「なるほどな……やっぱりあいつが関わってるか。それにしても……」
ホーキンスのスプーキーだと話していたアプーは、あれきり姿を見せていない。それが喉の奥に刺さった小骨のように気になってしょうがなかった。 - 96二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 10:37:47
保守ーワクワクする
- 97二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 18:27:56
早めに
- 98GMトンタッタ23/11/26(日) 22:04:02
「うちにあるのは三代目だもんな〜。そりゃ初代のフィギュアなんて夢に見ちゃったらローさんが大はしゃぎするわけだよ」
「おれらの小遣いじゃあ買えねェしな。お年玉何年分貯めればいいんだろ」
(いつ終わんだこの話……)
いつまで経っても終わりが見えない海ソラグッズ談義に、次第にキッドにふつふつと苛立ちが湧いてくる。やれ“初代はマントの色がどうだ”やら“カモメ帽子の角度がどうだ”やらと興味のない話が右から左に流れていく。
(……もうこのまま放っておくか)
深く深く溜息をついて、冷めた目つきのキッドは三人に背を向けた。道端に転がっていた小石を蹴りながらその場を後にする。
「あと少しで触れたはずなのに……耳元でアラーム聞かせて無理矢理叩き起しやがって」
「まあまあ、それで遅刻回避できたんだからいいじゃないですか」
「良くねェ!!!」
そんな会話は、まだ続いていた。 - 99GMトンタッタ23/11/26(日) 22:33:58
「……つまり、北海区に行きゃあ敵をぶん殴れるってわけだな?」
「そう簡単に上手くいくかはわからねェがな」
無事三人の話から抜け出せたキッドは、相棒と情報を共有する。敵が北海区にいることがわかり、彼の闘志はメラメラと燃え、今にも走り出しそうな勢いだ。
しかし相棒は極めて冷静だった。キッドが持ってきた情報によると、敵の狙いはクラスメイトのみ。ターゲットが特定されているということは、それ相応に目的があるはずだとキラーは考えていた。
(怨恨? ……いや、ただの小学生を……しかもクラスメイト全員を恨む理由なんて早々無いはずだが……)
考えても結論は導き出せない。そもそも自分はキッドに比べ幾分か考えることに長けているくらいで、本来は頭を使うより動く方が得意だ。それに、今優先すべきは企みの全貌を知ることではなく犯人の凶行を止めることだろう。
そう半ば乱暴に片付けたキラーは相棒の目を見つめ、こくりと頷く。キッドもまた相棒に頷き返すと、北海区へと続く道を歩き始めた。
あと1つ行動が残ってるので磁気ランドの眠気を回復するれす
殺戮ランドは魔力が満タンなので行動は無しとします
キッド 眠気 dice1d6=3 (3) 点回復
- 100GMトンタッタ23/11/26(日) 23:29:24
キッド 眠気 11→8
ねむねむ(今まで間違ってだるだる表記にしてました)→だるだる
「……ん? あいつは……」
「ドレーク?」
北海区に来た二人は、とある人影を目撃する。クラスの学級委員長のドレークだ。彼は北海区出身であり、ここにいるのは何らおかしくはない。……が、その挙動にはどこか違和感があった。
どうやらドレークは周囲を警戒しているようだ。きょろきょろと忙しそうに視線を動かしては、人目を避けるようにして道を進んでいく。サイズの合っていない帽子を目深に被り、如何にも目立ちたくないようだった。
「……怪しいな」
「後ろをつけていくか? 現状犯人の明確な居場所はわかってねェし、少しでも可能性は潰しておきたい」
「…………それもそうか」
キッド 判定 《隠れる/不良9》
dice2d6=6 2 (8) (お買い物から判定、7以上で成功)
- 101GMトンタッタ23/11/26(日) 23:42:28
この感覚は覚えている。遅刻を誤魔化すために教室に忍び足で入った、昨日の朝と同じだ。あのときと同じようにしてドレークをつける。晩御飯のつまみ食いを企んだときのような、買い物かごにこっそりお菓子を入れるときのような、そんな動きで。
そして辿り着いたのは、今度はキラーに覚えのある場所。ホーキンスが入っていった、古めかしい洋館だった。
「……違いない、ここから一等強い魔力を感じる。……だが、昨日よりもずっと濃い匂いだ」
先程はコラソンたちと違い、魔力を感じ取れなかったキラーも、ここまで近くに来ればわかるようだ。しかし、昨日に比べ感じ取れる魔力の量は段違いだ。明らかにオバケ屋敷へと変貌している、たった一夜を越しただけで。
ドレークは音を立てないように慎重に大きな扉を開く。そして、ほんの少しだけ空いた隙間に身体を滑り込ませるようにして館の中へと侵入していった。
「……おれらも続くぞ」
「ああ」
無事ドレークに勘づかれなかった二人は同じようにして扉を開くのだった。 - 102GMトンタッタ23/11/26(日) 23:46:37
次からオバケ屋敷フェイズれす
オバケ屋敷イベントのダイスを振って今日は終わりにします
dice2d6=2 4 (6)
- 103GMトンタッタ23/11/26(日) 23:48:37
オバケ屋敷イベント6
まっくらで、何も見えない部屋だ。一行は不安におちいる。未行動のキャラクターは、《仕切る/友達11》の判定を行うことができる。判定したキャラクターは行動済みになる。誰かが成功すれば、イベントはクリアできる。 - 104二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 03:14:58
キラーの運が全部キッドに行ってるな
- 105二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 10:46:34
今更だけど大人になったら確かお化けが見えなくなるし相棒とお別れになるの辛くないのかな…
- 106二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 18:48:07
考えただけでさみしい
- 107GMトンタッタ23/11/27(月) 20:47:14
「……チッ、随分暗い部屋だな。ドレークはどこ行った?」
ドレークを追いかけた先にあったのは、一寸先も見えない暗闇。隣にいる相棒の表情すらもわからない状況に二人は焦りを覚える。しかし、それはほんの数秒のみ。キラーはキッドを目線だけで見下ろすと、至極落ち着いた声で話しかける。
「キッド。懐中電灯は?」
「あ? ……あァ、確か持ってきてたはずだ」
やんちゃで遊びや喧嘩に夢中になるあまり家の門限を破ること多いキッドは、親から懐中電灯を持たされている。なかなか使う機会はないが、オバケ屋敷に侵入するには打って付けの道具だ。
……ただ、それを家に忘れていなければ、の話だが。
キッドの弱点【忘れ物】発動
dice1d6=6 (6) (1か2であれば懐中電灯を家に忘れている)
- 108GMトンタッタ23/11/27(月) 21:02:59
(よし、あるな。電池も切れてねェはずだが……)
カチッ
懐中電灯のスイッチを上げると、無事明かりが点く。オレンジ色の丸い光が辺りを照らした。
部屋には外国のホラー映画で見るような甲冑や絵画が飾られているが、そのどれもが埃だらけだ。壁紙も剥がれかけており、どう見たって人が生活できる環境ではない。キッドは思わず袖で口を覆う。長時間こんなところで過ごしていては、呼吸器官にも悪影響を及ぼしそうだ。
「……早いとこ抜けるぞ」
「ああ」
まるで雪景色のような埃の積もり具合に心躍らせられるわけもなく、二人は足早にその場を離れようとした。
キッド 判定 《仕切る/友達11》
dice2d6=3 1 (4) (5以上で成功)
- 109GMトンタッタ23/11/27(月) 21:05:10
- 110GMトンタッタ23/11/27(月) 22:13:36
無事暗闇を通り抜け、二人は次の部屋に向かおうとドアノブに手をかける。しかし、ふととある絵画がキラーの目に留まった。
(…………あれは?)
上等な額縁に収まった一枚の絵。よく見ればそれは絵画などではなく、クレヨンで描かれた拙い家族の絵だった。子どもと両親、そして隅で丸くなる黒猫の姿が描かれており、決して綺麗とは言えない文字でそれぞれ「ぼく」、「おかあさま」、「おとうさま」、「ふぁうすと」と示されている。
明らかに幸せそうな家族の絵。だというのに、何故ここはこれほどまでに廃れてしまったのか。キラーには知る術はない、今はまだ。
懐中電灯
dice1d6=3 (3) (1で使えなくなる)
次のオバケ屋敷イベント
dice2d6=2 4 (6)
- 111GMトンタッタ23/11/27(月) 22:14:42
被ったれす
2回連続は変わり映えしないので振り直します
dice2d6=4 3 (7)
- 112GMトンタッタ23/11/27(月) 22:17:24
オバケ屋敷イベント7
ジメジメした通路だ。特に何もしなくても、イベントはクリアだ。誰かが望むなら、自由行動を1回行うことができる。 - 113GMトンタッタ23/11/27(月) 22:26:04
「……特に何もないな」
「んだよ、つまんねェ」
何も無いことに越したことはないが、どうも血の気の多いキッドには物足りないようだ。不服そうに舌打ちをし、さっさと次の部屋へ行こうと先を急ぐ。キラーもそれに続き、嫌に湿度のある通路を通過したのであった。
懐中電灯
dice1d6=6 (6) (1で使えなくなる)
- 114GMトンタッタ23/11/27(月) 22:53:58
館の廊下は老朽化が進んでおり、床がぎいぎいと軋んだりところどころ穴が空いたりしている。めくれた床板に足を取られそうになることもあったものの、二人はずんずんと先へ進んでいく。
「だめだ、ここも開かねェ」
「クソッ……また空振りかよ」
時折閉まった扉を開けようとドアノブを捻ってみたが、内側から打ち付けられているのか一向に開く気配はない。いよいよノブを捻る回数が両の指の数を越え始める頃、やっとそれはキッドたちに応えた。
「……あ? 開きやがった」
……そこは子供部屋のようだ。ぼろ布で作られたキッズテントに、キッドが眠れそうなくらいの小さなベッド。その上には目玉の取れかかった猫のぬいぐるみが大事そうに寝かせられている。ぬいぐるみに着せられている洋服には「Faust」と刺繍が施されていた。
そして、その傍らには分厚いノートが一冊。
「……これは?」
好奇心に負け、キッドたちはそのノートを開いてしまった。 - 115二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 23:25:50
ホーちゃん家族いるよな…?
- 116GMトンタッタ23/11/27(月) 23:25:59
○月✕日
お母様に うらないを 教えてもらった。
早速 明日のばんごはんを うらなおう。
お肉じゃないと いいな。
○月○日
部屋の中に ひみつき地を 作った。
お父様にも お母様にも ひみつの 場所だ。
9月9日
お父様は ソラのフィギュア お母様は ぬいぐるみを くれた。
もう 人形で遊ぶ としじゃない と言ったのに 聞いてくれなかったのは 不満だが。
楽しい たん生日だった。 - 117GMトンタッタ23/11/27(月) 23:26:52
三年に渡って綴られているその日記は、子どもらしい日常がひたすらに記されている。しかし、9月9日を最後に空白が続く。それ以降は日記を書くのをやめてしまったのだろう。
「……これ以上見る必要もなさそうだな」
「待て、キラー。……一番最後に何か書いてある」
キラーが日記を閉じようとしたとき、その手をキッドが制す。今まで延々と白が続いていたそこに終止符を打つようにして、最後のページに書かれていた言葉は。 - 118GMトンタッタ23/11/27(月) 23:46:12
早くだれかと 遊びたい。
- 119今日はここで終わりれす23/11/27(月) 23:47:30
「そこで何してる」
「ッ!!」
不意に背後に感じた気配に息を飲む。日記に没頭していたせいか、人が接近するのに気づかなかったようだ。ゆっくりと視線だけ動かせば、見慣れたクラスメイトの顔が映る。
…………ドレークだ。
「キッドとスプーキーの……キラーか」
「……おれを知っているのか」
ドレークはキラーに驚きもせず、ごく自然に話しかけてくる。普通の子どもはオバケ屋敷にいるとき以外はオバケを見ることができない。つまるところ、キラーの名前や“スプーキー”という単語を知りようがないのだ。
これらの状況から辿り着ける結論はただ一つだけだった。
「お前……普段からおれのことが見えていたのか」
「お前たちの目的はなんだ? 悪巧みをしているわけじゃないだろうな?」
ドレークはキラーの質問に答えない。いや、答えるつもりもないのだろう。ただ彼はこちらを睨みつけるだけだった。 - 120二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 23:55:19
二重の意味でドキドキする展開だ
- 121二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 07:40:49
このドレークはあの可愛いおかっぱドレークなのか
- 122二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 18:06:38
ワクワク
- 123二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 23:12:44
6時は危ないので保守
- 124二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 02:32:11
一応保守
- 125二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 11:17:23
早めの保守
- 126GMトンタッタ23/11/29(水) 17:12:02
昨日は来れなくてごめんなさい!保守感謝れす!!
まだ予定があるので23時にまた戻ります!
「悪巧みなんてしてねェ。むしろおれらはそれを止める側だ」
「止める? …………お前がそんな正義の味方みてェなことを?」
日頃の行いの所為か、ドレークは半信半疑といった様子だ。二人の顔を熟視し、悪意が表情に出てはいないかと訝しんでいる。
しかし、キッドたちからすればドレークの方が怪しく思えた。何の力も持たないイノセントがたった一人でオバケ屋敷に侵入し、何をしようというのか。もしかしてハグレオバケに手を貸しているのではないか。疑問は尽きなかった。
……が、先程の様子からして何を言ってもドレークは答えてくれないだろう。こちらが訳を説明しない限りは。
「……おれたちはここにいる敵を倒したい。正義の味方じゃねェ、ただ迷惑な奴をぶっ飛ばしたいだけだ」
「…………そうか」
キラー オバケ判定
dice2d6=6 1 (7) +1(9以上で成功、お助け力使用で+1の補正)
- 127二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 18:27:48
キラーさんほんま…
- 128二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 20:31:30
補正があろうと駄目な時は駄目。それがサイコロというものよ
- 129GMトンタッタ23/11/29(水) 23:46:16
MP2→3
魔力15→14
ドレークは二人の話を聞き、じっと考え込む。一ミリたりとも動かず、俯き加減に思考を巡らせる様子はまるで地蔵のようだった。身動ぎする素振りも見せない姿にキッドが苛立ちを覚えた頃、彼は最後にゆっくりと首を横に振った。
「お前たちの考えはわかった。……だが、ここのオバケとお前らを接触させるわけにはいかねェ」
「あァ? なんだと……!」
「悪いことは言わない。さっさとこの館から出ていけ」
“お前たちに拒否権なんてない”と言わんばかりにぶつけられた言葉。ドレークはそれを捨て台詞に部屋を立ち去ってしまう。
あんなことを言われては、聞き分けが良く臆病な子供なら彼の言う通りにしてしまうだろう。だが、生憎ここにいるのはシンセカ小学校でも一、二を争う負けず嫌いとそれをずっと隣で見てきた相棒。二人がこのまま大人しく帰るわけもなく、むしろ更に闘志が湧いてくる。
「いくらあいつが止めようが関係ねェ。そうだろ、キラー!」
「あァ。俄然やる気が出てくるな、キッド!」
ギラギラと目を光らせながら、二人は館の探索を再開し始めるのだった。 - 130GMトンタッタ23/11/29(水) 23:46:50
子供部屋にはもう用は無い。そう思い、二人は部屋から出ていく。扉を閉めようとしたそのとき、キラーはふとあることに気がついた。
(なんだこれ、刃か何かで引っ掻いたみてェな……)
扉に引っ掻き傷があるのが見えた。どうやらそれは刃物でできた跡らしく、ドアノブ付近が執拗に傷つけられている。誰かが無理やりドアをこじ開けようとしたのだろう。なんの目的かはわからないが、恐らく物騒なことが原因でつけられたもののはずだ。そうでもなければこんなに傷がつくわけがないが……。
「キラー? 早く来いよ」
「…………ああ、わかってる」
ゆらりと視線を動かし、キラーは顔を上げる。本当はもう少し観察したかったのだが、急かされては仕方ない。ドアノブのことは後回しにしておこう。ふう、とこっそり溜息をつき、キラーは既に先を歩き始めているキッドを追いかけた。
オバケ屋敷イベント
dice2d6=1 2 (3)
- 131二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 23:48:41
グッドエンドフラグをどんどん取りこぼしてる気がする……
- 132GMトンタッタ23/11/29(水) 23:52:30
オバケ屋敷イベント3
天井から血の雨が降ってくる! この雨に触れると火傷しちゃうみたいだ! 防御力が0のスプーキーとイノセントは、《かけっこ/運動7》の判定を行う。失敗すると、イノセントは1ダメージ。スプーキーは1d6ダメージを受ける。成功失敗にかかわらず、イベントはクリアできる。
短くなってしまいましたが今日はここまでれす
殺戮ランドはそろそろ来るであろう戦闘フェイズにダイス運を取っておいてるんだと思います たぶん - 133二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 01:09:09
ドレークの立ち位置気になる
取り込まれてるのか正常なのか - 134二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 10:50:43
たしかにスプーキーもなく単身オバケ屋敷に乗り込むって普通じゃないよな
何が目的なんだ… - 135二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 16:58:34
キッドはかけっこの特技持ってるから2d6の5以上で成功。
キラーは防御力があるからそもそも効かない。
余裕ですね(慢心) - 136GMトンタッタ23/11/30(木) 22:44:40
サイクル経過によりキッドの眠気dice1d6=3 (3) 上昇
二人が辿り着いたのは、妙に壁や床が赤く染まった部屋。天井を見上げれば血のような雨が降っており、水滴が床にぶつかる度にじゅうじゅうと嫌な音が鳴っている。不幸中の幸いか降水量はそれほど多くなく、数秒に一滴が垂れるくらいだった。
「キッド、お前なら走っていけるか?」
「ハッ、当たり前だろ。舐めんじゃねェよ」
「聞くまでもなかったな」
余裕綽々に準備運動を始めるキッドを横目に、キラーは悠々と歩き始めた。
キッド 判定 《かけっこ/運動7》
dice2d6=5 1 (6) +1(5以上で成功、懐中電灯の効果で+1の補正)
- 137GMトンタッタ23/11/30(木) 23:28:16
「あの程度の仕掛け、障害でもなんでもねェ」
「楽勝だったな」
素早い身のこなしで雨を避けたキッドは自慢げに笑顔を浮かべる。しかし、ゆったりと歩いていたキラーの肩や髪には赤い水が染み込んでしまっていた。普通のオバケであればダメージがあるのだろうが、キラーは取り分け頑丈な体を持つ。全くダメージが無いのだろう、気にもとめず二人は部屋を抜けた。
そして二人は、とうとう最奥の部屋へと繋がる扉を見つけてしまった。薄暗い洋館には似つかないEDMが扉の隙間から漏れていた。
「……この音楽」
「聞いたことがあるのか?」
「あァ、うんざりするほど聴いた。夢の中でな……」
夢の中ではあれほど楽しげだったミュージックが、今は途轍もなく忌まわしげに聴こえた。 - 138GMトンタッタ23/11/30(木) 23:58:10
本当は今すぐにでもこの扉を蹴破り、騒動を引き起こしている犯人を引きずり出したかったのだが、キッドはそうするほど短絡的ではない。密かに扉を開け、僅かに空いた隙間から中の様子を伺った。
「ふふふ、楽しい、楽しい」
「もっと遊びたぁい」
数人の子供が部屋の中で遊んでいる。どの顔も今日学校を休んだクラスメイトたちだ。目の下に煤のような隈を浮かべているのにも関わらず、ただ一心不乱に遊び続けていた。夢の中でキッドがしていたことと同じだ。
「あいつら……なんでここに」
「連れてこられたのか? だが、キッドもドルヤナイカもただベッドで寝ていたはずだ……」
だとしたら、考えられるのは。
(体から抜けた魂が攫われてきた……?) - 139二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 00:12:10
ミュージック(不吉)
ハーメルンの笛吹き男ぽい - 140GMトンタッタ23/12/01(金) 00:21:12
そうだとすると、寝ているキッドたちの呼吸が止まっていたことにも説明がつく。魂の無い抜け殻が生きようとするわけがない。つまり、ここにいる子供たちも……。
「誰?」
不意に背後から声をかけられた。
それは部屋の中に気を取られていた二人にとって、完全に思考の外からやってきた刺激だった。戸惑いで言葉を返せないでいると、声の主は朗らかに笑う。
「君たちも遊びたいの? この音楽、聴いてるとすっごく楽しい気持ちになるもんね!」
「お前は……」
「あっ、そっか! 先に名前を教えなきゃいけなかったね!」
“忘れてた!”と照れくさそうに言いながら、彼はキッドたちの手を取り、ぶんぶんと上下に振る。
「僕はファウスト。ホーキンスの小さな友達だよ、よろしくね!」
その黒猫はキラキラと目を輝かせながら、新しい友達の訪れに心を踊らせていた。 - 141GMトンタッタ23/12/01(金) 00:23:47
本当に今更れすが諸々の捏造注意れす
今日はここまでにして眠ることにします
明日は戦闘フェイズにいきそうれすね〜 - 142二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 01:13:29
もしかしたら大人キッド見れるかもしれないのか!!
ワクワク - 143二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 11:58:54
ほしゅ
- 144GMトンタッタ23/12/01(金) 21:44:50
「ファウ、スト……?」
その名前を覚えていた。先程知ったばかりのそれは、子供部屋のベッドで寝かされていたぬいぐるみに刺繍されていた名だったはずだ。
改めて見てみると、確かに目の前にいるこの黒猫とあのぬいぐるみは瓜二つだ。着せられている衣装も、毛並みの色も酷似している。だが、見過ごせない大きな違いが一つ。ここにいるファウストはぬいぐるみなどではなく、れっきとしたオバケだということだ。
「ほら、入って! みんなで遊ぼうよ!」
そう言ってファウストは遊んでいるクラスメイトたちの輪の中へ紛れていく。その姿にキッドは既視感を覚えた。
「…………そうか、お前か」
夢の中で自分やドルヤナイカと遊んでいた……あの夢を見せた敵は。 - 145二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 21:55:07
ドレークにもスプーキーがいる可能性出てきた
- 146GMトンタッタ23/12/01(金) 22:48:42
「待てキッド!! まだ様子を見て……!」
「様子なんて見る必要ねェよ!」
敵がファウストとわかった今、キラーの静止も虚しくキッドは脇目も振らずに部屋の中へ突っ込んでいく。相棒の無鉄砲な行動にキラーは呆れ顔を隠せない。
(聞いちゃいねェ……)
しかし、今まで姿形も見えなかった犯人が現れたのだ。血気盛んなキッドがそうなるのも無理はない。……それは自分も同じだが。
クラスメイトたちを掻き分ける相棒の背に続き、キラーも大部屋へと突き進む。一足先にファウストの元へと辿り着いたキッドは、標的の襟を掴み、子供らしからぬ表情で凄む。
「おい黒猫。てめェ、何を企んでやがる」
「え? え? や、やめてよ、苦しいよ! 離して!」
「いいから答えろ。まさか、ただ遊ぶためだけにこいつらを集めたわけじゃねェだろ?」
「な、何の話? 遊んでるだけだよ! 他のことは何もしてない……!」
うるうると目にいっぱいの涙を溜めて、ファウストはひたすらに首を振る。黒銀の毛並みを涙に濡らし、短いしっぽを足の間にしまって怯えている。そのときだった。
「ッやめろ! ファウストは関係ない!」
ひりついた空気を引き裂くように、悲鳴じみた声が部屋に響いたのは。 - 147GMトンタッタ23/12/01(金) 23:39:59
「ホーキンス!」
「ファウスト!」
ホーキンスはキッドからひったくるようにしてファウストを奪い返し、庇うように立ちはだかる。彼の血のように真っ赤なその目は、威嚇する獣のように獰猛だった。
殺伐とした雰囲気を纏うホーキンス。今日昨日と学校にいたときとは違い、感情を剥き出しにしている。その後ろから、手を叩きながら笑っているオバケがやってきた。百鬼夜会のDJブースで盛り上がっていた笑顔とは似ても似つかない、邪悪な笑みを浮かべたオバケ。
「なんだか物騒な雰囲気じゃねェか。……おれは仲良くしてやってくれって言ったはずだぜ、キラー?」
「…………アプー、久しぶりだな。今まで何してた?」
「あァ? んなこといちいち聞かなくてもわかってんだろうが」
“めんどくせェな”と溜息を漏らしながらも、アプーは愉しげに語気を弾ませる。
「ちょっとした人間狩りだ」
そう言って、アプーは鋭い爪をギラリと光らせた。 - 148GMトンタッタ23/12/01(金) 23:48:21
ここから戦闘フェイズ開始れす
……の前にオバケと出会ったので磁気ランドの恐怖判定れす
キッド 判定 《友達/勇気10》
dice2d6=1 6 (7) (5以上で成功)
短いれすが一旦ここまでにして明日から戦闘フェイズの描写に入ります
明日の昼間に来ると思います
- 149二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 00:11:09
ピーカーブーとは思えないぐらい殺気に満ちてる…本当にご近所メルヘンRPGか?
- 150二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 09:51:33
この恐怖判定はアプーに対してかな
- 151GMトンタッタ23/12/02(土) 15:53:18
「人間狩りだァ……? 気味の悪ィことしやがって!」
「とにかくこいつらを止めるしかねェ! 行くぞ、キッド!」
「あァ! こんな奴らになんか負けるつもりはねェ!」
と傍から見れば喧嘩っ早い言い方はするが、二人は決して考え無しではない。あくまでも冷静に、自分がするべきことを見極める。
(弱点さえわかればあんな奴ら屁でもねェな)
(攻撃して少しでも体力を奪う……!)
キッド 判定 《推理/6》
dice2d6=5 6 (11) (お買い物から判定、8以上で成功、ねむねむにより-1、お助け力使用により+1の修正)
キラー 攻撃
dice2d6=3 3 (6) (9以上で成功)
- 152GMトンタッタ23/12/02(土) 16:17:59
アプーの弱点《音楽/6》
キラー 魔力 15→14
「おいおい話し合いもせずいきなり乱暴か!? ひでェ奴らだぜ」
素早い身のこなしで攻撃を避けながら、アプーは嘲笑う。ひらりひらりと曲芸のような動きで舞う彼には攻撃の一つも当たらなかった。キラーは思わず舌打ちをし、魔力を込め直す。
「どっちがだ。人間狩りをやってる奴にそんなこと言われる筋合いはねェ!」
「アッパッパッ! ……まァ、そいつは否定できねェな」
そう呟いて、アプーも魔力を込め始める。その目はしっかりとキラーを狙っていた。 - 153GMトンタッタ23/12/02(土) 16:45:36
(あいつの弱点はわかった……が)
「ねえ遊ぼう? キッドくんも楽しくなれるよ」
「遊ぼー」
思案するキッドの周りを、クラスメイトたちが囲む。どこか正気を失っている彼らは、口々に“遊ぼう”とキッドを誘う。もちろんそんな気は一切起きず、彼らを振り払おうとするが、7人以上の子供にまとわりつかれては手も足も出なかった。
「クッソ! 邪魔すんなよ、てめェら!! 状況見えてねェのか!!」
??? 判定 《力持ち/運動12》
dice2d6=3 5 (8) (5以上で成功)
- 154二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 18:16:58
殺戮ランド…
- 155GMトンタッタ23/12/02(土) 18:41:52
「……全く、お前らには出ていけと言ったはずだろうッ!!」
「わあっ!?」
「キャーッ!!」
突如現れた少年が、クラスメイトたちを薙ぎ払う。その衝撃で、彼の白いぶかぶかの帽子が館の床に落ちる。茶色の髪と青い瞳。力づくでクラスメイトを退けた彼は、先程自分たちと別れたばかりの少年だ。
「ドレーク!」
「キッド、これを。こいつらに付けさせろ」
「は、はァ? ……んだこれ、耳栓?」
何の変哲もない、ただの耳栓を渡される。困惑してもドレークは目で促すのみでろくな説明もない。
(……付ければいいんだな?)
促されるまま、キッドは耳栓をクラスメイトにはめた。 - 156二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 22:07:07
- 157二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 09:11:38
保守
- 158二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 16:39:02
念の為
- 159二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 19:53:52
- 160二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 19:55:25
こう見るとキラーが1番人型に近いんだな肌真っ青だから親しみやすさはあれだけど
- 161GMトンタッタ23/12/03(日) 20:36:55
続き書く前にダイス振っておきます
アプー 攻撃
dice2d6=4 2 (6) (9以上で成功)
成功の場合 dice1d6=6 (6) +2のダメージ
- 162GMトンタッタ23/12/03(日) 20:39:23
(これで何が変わるんだ……?)
キッドは訝しむ。しかし、どうだろうか。先程まであれほど鬱陶しかった子供たちが急に押し黙り、次々と床に倒れ込む。その顔をよく覗き込むと、どうやら目を瞑って寝息を立てている。そしてどういうわけかその体が透け始め、クラスメイトたちは大部屋から消えていく。
「はァ!? これって……!」
「音楽が聞こえなくなったからだ」
「……音楽ゥ?」
……そういえば。
キッドは思い出す。自分が起こされたときとドルヤナイカを起こしたとき、二人に共通していたのは“うるさい”という言葉。ローも“目覚まし時計で無理矢理叩き起された”と言っていた。つまり、夢の中の音楽よりもキッドたちの声や目覚まし時計の音量が上回ったから夢から覚めることができたということ。
元凶の音楽さえ聞こえなければ、そもそも夢を見ることもないのだ。
「てめェもなかなか役に立つじゃねェか」
そう言って、キッドはドレークに笑いかけるのだった。 - 163GMトンタッタ23/12/03(日) 21:03:26
イノセント二人が喜び合うのも束の間、悲痛な叫び声が耳をつんざく。小さな子供が泣き喚くような声だ。
「あ、ぁ、うわぁあああん!! ひどいよ! 僕とホーキンスの友達、みんないなくなっちゃった……!!」
その姿は、欲しい玩具を買って貰えずに駄々をこねる幼児のようだ。ファウストは大粒の涙をぼろぼろと零し、傍らに寄り添うホーキンスに抱きつく。ホーキンスの上等なシャツが涙と鼻水に塗れてしまうも、彼は特に気にもせず己の腕の中にいる黒猫の頭を撫でている。
「…………大丈夫だ、ファウスト。おれがあいつらを懲らしめてやる」
彼はそう言って二人を睨みつけると、こちらに向かって手をかざしてきた。
ホーキンス 魔法《エナジードレイン》使用→キッド
相手の生命力を奪う魔法です。5m以内の1人のキャラクターを対象に選びます。対象は、《がまん/友達5》の判定を行います。失敗すると1点のダメージを受け、魔法使用者は、【魔力】が1D6点回復します。
キッド 判定 《がまん/友達5》
dice2d6=4 4 (8) -1(5以上で成功、ねむねむにより-1の修正)
- 164二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 21:07:24
大成功さすがキッド
- 165GMトンタッタ23/12/03(日) 21:10:44
「なっ……!」
なんとか耐えることができたものの、その攻撃はキッドにとって想定外のものだった。ホーキンスから放たれたのはオバケが使う魔法そのもの。ただの人間が使うことはできないはずだ。
「どういうことだ。……てめェ、人間じゃねェのか」
人間でなければクラスメイトやスモーカーが教室でホーキンスを視認できたことに説明がつかない。だが、オバケでなければ魔法は使えない。戸惑いを隠せないキッドに対し、ホーキンスは鼻で笑う。
「おれは人間だ。そして、人間じゃない」
不敵に笑う彼の言葉の意味を、キッドは理解できなかった。 - 166GMトンタッタ23/12/03(日) 21:35:39
「あっちは大分盛り上がってんじゃねェか!! こっちもどんどん盛り上げていこうぜ、なァキラー!」
アプーの鋭い爪が襲いかかり、すんでのところでキラーは攻撃を避ける。さらりさらりと肩や頭に振り積もっていた雪が大部屋の床へと落ちていき、小さな水溜まりを作る。
「折角の獲物が逃げたというのに余裕だな。標的の子供がいなくなった以上、人間狩りの計画は終いだろう」
「終いだと? 笑わせんな、おれは生命力を奪えりゃ別に誰だって良かったんだよ!」
(……誰でも良かった、か)
それはおかしい。だったらクラスメイトだけを狙うのではなく、無作為に狙ってもいいはずだ。それに計画に気づかれる可能性を加味すれば、キッドやローなどのオバケが見える子供は避けたいはず。
(だが、何故かアプーはこのクラスを狙った。他に理由があるのか? それとも……誰かがわざと選んだのか?)
「考え事か? 随分余裕じゃねェか!」
考え込むキラーの頬を斬撃が掠め、はらりと粉雪が舞う。どうやら敵は考える隙も与えてはくれないようだ。
(……なら、とっととぶちのめしてから考えればいい!)
キラー 攻撃
dice2d6=4 2 (6) +2(9以上で成功、お助け力使用により+2の補正)
- 167GMトンタッタ23/12/03(日) 21:36:09
殺戮ランド!!!!!どうしてれすか!!!!!!
- 168二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 21:38:21
特殊才能表のまじり者か…?それとも魔法使いの弟子…?
- 169二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 21:39:30
いちたりねえ!!!!
- 170GMトンタッタ23/12/03(日) 21:58:40
キラー 魔力14→12 MP2→3
「残念、当たらねェよ!」
キラーが放った氷のつぶてをアプーは軽々と躱す。キラーは歯噛みし、もう一度攻撃態勢を整える。そのときだった。アプーの背後から、小さな影が飛び出す。
「お前の敵はそのオバケだけじゃないぞ、アプー!」
「あ!? 誰だよてめェ!」
ドレーク 攻撃 《けんか/不良12》→アプー
dice2d6=4 4 (8) (7以上で成功)
成功の場合 1のダメージ(固定)
- 171二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 21:59:15
つよい
- 172GMトンタッタ23/12/03(日) 22:15:39
「痛ッ! 」
ドレークの拳がアプーの後頭部へと直撃する。ダメージは与えられたが、それも微量。こんな攻撃をちまちまと重ねていてはアプーを倒すのに時間がかかりすぎてしまう。少しでも戦力が欲しいところだ。
「キッド! ホーキンスには構うな、アプーだけに攻撃しろ!!」
「あ? ふざけんな、おれに指示すんじゃ……」
「頼む! ホーキンスとファウストはまだだ!」
本来であれば特に親交のあったわけではないドレークに従う道理は無い。しかし、こんな状況で(暫定ではあるものの)味方に反発するのは意味が無いということをキッドは理解している。
「……さっきから説明不足すぎんだろ、クソが!」
「待て!!」
引き留めようとするホーキンスの手から逃れ、キッドはアプーに向かって拳を突き出した。
キッド 攻撃 《音楽/遊び6》→アプー
dice2d6=2 6 (8) -1(7以上で成功、がまんから判定、ねむねむにより-1の修正)
成功の場合 1のダメージ(固定)
- 173GMトンタッタ23/12/03(日) 22:28:49
- 174二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 23:57:19
このレスは削除されています
- 175二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 23:59:02
キッドすげぇ
- 176二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 00:09:23
コラランドのダイスを数えてきた
ここのダイス神は相棒スプーキーに出し惜しみするのが好きなのかもしれない
コラさんダイスカウント結果コラ成功…合体攻撃の一回回復…123→回復(小)、456→回復(大)としてカウントtelegra.ph>>174 普通に貼ってしまったので削除しました
- 177二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 07:38:26
ドレークの口下手良い
- 178二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 16:02:58
アプーの誰だよテメェに何故か笑っちゃった
この戦場初対面のやつら多いな… - 179二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 21:44:48
ぬすむ以外の特技がめちゃくちゃドレーク
- 180GMトンタッタ23/12/04(月) 22:43:05
- 181二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 00:09:47
- 182二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 10:18:07
次回も楽しみ
- 183二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 18:05:38
ワクワク早めの保守
- 184GMトンタッタ23/12/05(火) 21:03:52
「あァ〜……うぜってェ!!」
キッドの拳をもろに食らったアプーは苛立った様子で地団駄を踏む。その苛立ちはどうやら己のイノセントに向かったらしく、彼はホーキンスを叱咤する。
「ホーキンス、お前もとっとと攻撃しろ!! お友達を悲しませたくねェんだろ!」
「ッああ、わかっている……!」
命令されたことに一瞬表情を歪めたものの、ホーキンスは手に魔力を込め、先程自分から逃げたキッドに牙を剥いた。
アプー 攻撃→キラー
dice2d6=6 2 (8) (9以上で成功)
成功の場合 dice1d6=2 (2) +2のダメージ
ホーキンス 魔法《エナジードレイン》→キッド
成功の場合 dice1d6=3 (3) 点の魔力が回復
キッド 判定 《がまん/友達5》
dice2d6=4 2 (6) -1(5以上で成功、ねむねむにより出目に-1)
- 185二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 21:08:46
キッドスゲェ!
- 186GMトンタッタ23/12/05(火) 22:30:24
「ハッ、そんなヘナチョコな攻撃が当たるかよ!」
キッドはいとも簡単に攻撃を避け、ニヒルな笑みを浮かべて相棒に目配せをする。それが二人の反撃の狼煙だった。キラーが空から落ちてきて、キッドの頭にぶつかったあの日。そんなひょんな出来事がきっかけで、相棒として背中を預けてきた二人。彼らの間に余計な言葉はいらなかった。
二人は互いに頷き合うと、声を合わせて言の葉を放つ。
「「ピーカーブー!!」」
キッド&キラー 合体攻撃!《音楽/遊び6》
dice2d6=3 1 (4) -1 dice2d6=3 5 (8) (7以上で成功、がまんから判定、ねむねむによりキッドの出目に-1)
成功の場合
dice2d6=4 1 (5) のダメージ
- 187二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 22:32:06
成功か?これ
- 188GMトンタッタ23/12/05(火) 23:05:22
キッドの出目3-1 キラーの出目5 合計7 成功
キッドの元気5→4
心臓が熱い。耳の奥でどくどくと波打つ音が聞こえる。敵の動きがやけにゆっくりに見えて、容易に照準を定められる。息を合わせた二人が放ったその攻撃は、確かにアプーを貫いた。
「ガッ……!! クソッ、仲良しぶりやがって……!!」
「そんなに悔しいんだったら、お前もイノセントとやってみればいい」
長い前髪と笠で表情は見えにくいものの、アプーの目にはしっかり映り込む。口元が三日月のように釣り上がっている、実に人外らしいキラーの笑顔が。……しかし、彼は怒るでも挑発に乗るでもなく、それを鼻で笑う。
「誰があいつと合体攻撃なんてするかよ! ホーキンスと心を通わせるなんざ馬鹿らしいぜ!」
「……それに関しては完全に同意だな」
そんな言葉とは裏腹に、冷えた心は同じ向きを示していた。だが、同じ向きを示していてもそれが交わることはない。
ドレーク 攻撃 《けんか/不良12》→アプー
dice2d6=5 6 (11) (7以上で成功)
成功の場合 1のダメージ(固定)
アプー 攻撃→キラー
dice2d6=5 2 (7) (9以上で成功)
成功の場合 dice1d6=6 (6) +2のダメージ
ホーキンス 魔法《エナジードレイン》→キッド
成功の場合 キッドに1のダメージ、dice1d6=3 (3) 点の魔力が回復
キッド 判定 《がまん/友達5》
dice2d6=3 6 (9) -1(5以上で成功、ねむねむにより出目に-1)
- 189二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 23:09:25
ドレイン全然効かなくて草
- 190GMトンタッタ23/12/06(水) 00:17:59
「おれがいることを忘れてもらっては困る」
音もせず忍び寄ったドレークは、アプーの長い腕を掴み背負い投げを繰り出す。オバケにとっては小さなダメージ。しかし塵も積もれば山となるとも言うし、雨垂れ石を穿つとも言う。小さな小さな綻びはそのうち取り返しのないことに繋がるのだから。
「あと魔力は残り半分と言ったところか? そろそろ焦りが出てきたんじゃないのか、アプー」
「んだよ、三人して寄ってたかってオバケいじめかァ? さっきからおればっかり狙いやがって!」
“アッパッパ!”と余裕そうに笑うものの、アプーの額には汗が滲んでいた。三人の攻撃を一身に受けては、弱肉強食であるシッポ族だとしても一溜りもないのだろう。
「今のところ“許可”が出てるのはお前だけだからな、お前を狙うしかねェ」
「…………許可だと? ……なるほどお前、海鴎家の野郎か……!」
眼鏡のレンズの奥、彼の鋭い目がドレークを射止める。その目には嫌悪の色が反映していた。 - 191二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 02:33:26
ダメージ全然入らないのはキッドが速くて硬いんだな
- 192二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 10:50:28
タフだなあ
- 193二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 20:52:10
ほしゅ
- 194GMトンタッタ23/12/06(水) 23:26:22
ドレークには幼い頃より、義父に口酸っぱく言われてきた教えがある。一つは“人に害をなすオバケだけを退治する”こと。一つは“関係の無いオバケや人間を危険な目に遭わせてはいけない”ということ。そして最も重要な教えは、“オバケも人間も大切なものを喪うと哀しくなるのは同じ”ということだ。
(おれはおれの任務を全うする。それだけだ……!!)
そして、それに必要なピースも揃っている。
初めは義父の教えを守るため、彼らを追い出そうと冷たい態度をとった。クラスメイトとそのスプーキーが物見遊山感覚でオバケ屋敷に侵入してきたものだと勘違いし、邪魔だとすら思っていた。
だが、今は違う。先程の合体攻撃は二人の長年の信頼の賜物だということをドレークは痛感した。“自分に与えられた任務”を遂行するためには、彼らの助力が必要だということに気づいた。
「キラー! 気合い入れろ、さっきの攻撃もう一回だ!!」
「ああ! 次こそ仕留めるぞ、キッド!!」
「「ピーカーブー!!」」
キッド&キラー 合体攻撃!《音楽/遊び6》
dice2d6=3 3 (6) -1 dice2d6=5 5 (10) (7以上で成功、がまんから判定、ねむねむによりキッドの出目に-1)
成功の場合
dice2d6=3 6 (9) のダメージ
- 195二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 23:52:44
結構大ダメージだな
- 196GMトンタッタ23/12/07(木) 00:03:15
キッドの出目 3-1 キラーの出目5 合計7 成功
キッドの元気 4→3
(……いける)
それを心の中でぽつりと呟いたのは、キッドの方だろうか、キラーの方だろうか。どちらにせよ、確信があった。
自身の魂と相棒の魂とが業火の如く燃え上がる感覚。どこまでも熱く燃えたぎる赤い炎とどこまでも冷たく生命を奪う青い炎が、敵の身を焼き尽くすことを未来。二人分の命と魔力を薪にくべて、魂の烈火が巻き上がった。
「絶対ぶちのめす!くだらねェ野郎なんかに負けていられねェだろ!!」
「これで終いだ、アプー!!」
迫り来る魔力の塊に、彼は口を開けていた。
「……あー」
アプーの口から漏れ出たのはたった一つの音。意味をなさない、感情もない、音階にもならない、身体のどこかに置いてきぼりだった音だった。苦笑を禁じ得ない。あっさり罠に引っかかる子供を集めたと思いきや、オマケに厄介なイノセントたちがやってきてしまった。
(こいつらさえいなければ楽勝だったのによォ!! でしゃばりやがって、たかが人間が!!)
悔しさに歯噛みしながらも、彼は逃げることもせずに大いなる魔力に飲み込まれていった。 - 197GMトンタッタ23/12/07(木) 00:07:05
短いですが今回はここでストップれす
明日の20時もしくは21時頃に次スレの用意をして続きを書こうと思っています
できれば案内置きたいので最小限の書き込みで抑えてくれると幸いれす - 198二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 00:08:31
適当な次スレ案内とか書いたテレグラフを置いておいて次スレ立てた時にそのテレグラフにはるのおすすめだぞ
- 199GMトンタッタ23/12/07(木) 00:13:13
- 200二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 10:35:54
うめうめ。どんなエンディングになるのかな