- 1二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:26:07
- 2二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:26:50
- 3二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:27:06
- 4二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:27:25
- 5二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:27:48
- 6二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:28:16
- 7二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:28:52
- 8二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:29:11
あとは保守るのみ・・・
- 9二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:29:28
ほしゅしゅ
- 10二次元好きの匿名さん23/11/17(金) 21:29:40
保守
- 11二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 00:43:34
ほしゆ
- 12二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 01:06:53
アダムはまとまらない思考のまま翌日のリハビリに参加した。ソフィも珍しく元気が無く、どこかアダムに遠慮したような様子だった。
「どうしたの、今日は元気がないじゃない」
「ん・・・まあね」
ベルメリアが理由を尋ねてみてもソフィも上の空といった様子である。
「あなたもね、アダム」
「すいません、なんか今日集中できなくて・・・」
「昨日なにかあったの?その、ソフィと」
流石に二人そろって不調とくればベルメリアも察する。カウンセリングを兼ねて連れてこられた別室で尋ねるもアダムの口は堅い。
「言いにくいことなら無理にとは言わないけど・・・あまり抱え込まないでね?こちらとしてもできることは多くないけど、それでもこの施設の目的自体はは貴方が健康になることなんだから」
「うっす・・・」
生返事をしてアダムは部屋を出た。頭の中はぎこちないソフィの姿と前日の泣き顔。
「俺のやる事がソフィを、傷つけるのか・・・」
彼女を、傷つけてまでやりたいこと・・・。
俺が望むことはそんなことか?俺は・・・どうしたらいいんだ・・・。
「地球寮の連中に負けて、ソフィを泣かせて・・・俺は、なんなんだよ・・・」
壁を思い切り殴りつけた。ゴン、と音が鳴ったが、それだけだった。手は痺れたが、普段ならケガをするくらいのつもりで殴った手は力が上手く入らずそれほどの力が出なかった。
「へ・・・なんも満足にできねえや」
壁に寄りかかって。アダムは泣いた。 - 13二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 08:07:35
ほしゆ
- 14二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 10:09:59
hosiyu
- 15二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 18:38:04
ほしん
- 16二次元好きの匿名さん23/11/18(土) 22:43:12
アダムが悲嘆に暮れているころ、アダムの父アルバス・ソーヤーは息子から届いた一通にメールに胸をなでおろしていた。
「連絡があったという事は生きてはいる・・・か」
しかし依然として息子に会うための手続きは認証が下りないでいる。ガンドフォーマットを持ち出し、グラスレーの商品を無断使用した疑いということで強くは出られずアルバスは歯がゆい思いをしていた。
またベネリットグループにいらぬ弱みを握られたのでは?と方々の関係者からの突き上げもありアルバスは苛立ちも感じていた。
(息子にあんな危険なものを持たせておいてなんという言い草だ・・・)
ガンドフォーマットを持ち出したのはアダムだと思っていたアルバスだったが調べるとオックスアースの人間がアダムに遠回しながら焚きつけていたこともアダムの友人からもたらされていた。彼らは自身がアダムを追いつめたのではと自責の念に駆られて頼む前から色々と周囲を探ってくれていたらしい。
(潮時かもしれんな・・・今なら息子とその友人くらいならなんとかできるかもしれん)
祖父の代から議会連合の元で働いてきたアルバスだったが息子の代からはそんなしがらみに囚われず新しい世界で生きて欲しいという考えが近年浮かんできていた。
「ベネリットがまったくの正解というわけではないのだろうが・・・」
しかし自身と息子を通じてアルバスは調査を続けていたからこそ今のベネリットが変わりつつあることを察知していた。
- 17二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 05:04:12
- 18二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 07:23:20
- 19二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 09:27:55
- 20二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 13:05:51
風向き保守
- 21二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 22:54:11
アルバスはここで選択を迫られた。一つは素直に議会連合を去って、ベネリットグループのいずれかの支社に入ること。
もう一つは議会連合の暗部をネタにベネリットグループ上層部に掛け合い、便宜を図ってもらうことだ。
前者はリターンを得る為に長い時間がかかり、いままでのキャリアを捨てる覚悟がいる。
(私の歳でここから真っ当な生活を送れるだろうか・・・)
新興企業のコンサルタントとして働けばそれなりの待遇で雇ってくれるところはあるだろう。しかしながら議会連合の動きが定かでない今、組織の庇護を捨ててしまうのはリスクがあった。
(それとも暴露ネタを元にベネリットの庇護を受けるか・・・)
長く議会連合の構成員として活動してきたアルバスには売り物になる情報にもいくつかアテはある。それを元に家族とその友人の保護を求めれば高い確率で相手は食いついてくる。
リスクとして考えるならば議会連合からの報復だ。彼らが暗部を握る自分をそう簡単に自由にしてくれるとは思えない。情報を売り渡したとなればなおさらだ。
リスクを冒してリターンを狙うか、負けを認めるも同然に野に降って再起を図るか。アルバスは迷っていた。
- 22二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 23:19:25
自分一人なら息子にワケを話して、一から出直すのも悪くなかった。古臭い職場を離れて新天地で父さん頑張ろうとおもう。そういえば息子は驚くだろうが受け入れてくれるだろう。
(だが実際はそう簡単ではない・・・)
当の息子がベネリットに人質に取られているも同然の状態だ。そうなるととてもじゃないがこちらから下手な動きはできない。業務にすら支障がでるかもしれない。
「仕方ない、こうなったらツテをたどって行動するしか・・・」
端末を叩いてアルバスは同僚に電話を掛けた。
「お久しぶりです、ずいぶんご無沙汰だったでしょう」
「ああ、二カ月くらいは離れていたかな・・・」
プラントクエタの物販搬入口でアルバスはとある人物と会った。恰幅のいい女性はにこやかな営業スマイルでアルバスの隣に立つ。
「それで、あなたからここに来たという事は何か困りごとで?」
「ああ、察しがいいというべきか・・・それともそんなにわかりやすかったかな?」
アルバスはコーヒーの入ったカップを呷り、大きく息をついた。
「というより息子さんの事を知っているから、というべきですかねぇ」
「フェンには敵わんな、どうにも子供の事となると勝手が違うよ」
「親としても、連合の構成員としても生真面目な貴方だからこそというべきですかね」
同じ議会連合に所属する二人はなにかと仕事を共にすることが多かった。フェンが運び屋に偽装して任務を遂行する際にはアルバスは企業の人間として偽装しフェンと接触、情報交換を行うことが常だった。
- 23二次元好きの匿名さん23/11/19(日) 23:53:48
- 24二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 05:05:19
なにソレ読みたい
- 25二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 05:53:46
癒しの予感
- 26二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 11:18:52
スレッタは最近不満を感じていた。
原因は言うまでもない。ミオリネの多忙だ。そしてそれにともなうミオリネとのスキンシップの減少。
「むー」
一人頬を膨らませてみても見る人のいないアピールになんの意味があろう。さすがに虚しくなってスレッタは
ミオリネとの時間をつくるべく行動を開始する。
最近、ミオリネはエリクトはもちろんプロスぺラとも親交が深まり、特にエリクトはあれからミオリネを家族として
みている。ミオリネも同様だろう。彼女がエリクトを抱き上げている姿は割と皆が目撃している。
しかしそうなると自然とミオリネはスレッタに構う時間が減っていくわけで。
「寂し・・・」
最近は友達も増えたと思っていたスレッタだったがそれでもやはり一番の人と仲良くしている時間が欲しいのだ。
「ミオリネさぁん・・・」
ベンチで力尽きているとスレッタに影がさした。
「なにやってんの・・・」
風邪ひくわよ、とスレッタの聞きなれた、それでいて今聞きたい声が聞こえてスレッタは跳ね起きた。
「ミオリネさぁん!」
「わ、ちょっと・・・なに?!」
「むふぅー・・・」
まるで猫のように飛びついて、スレッタはミオリネに頬を寄せた。
- 27二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 11:22:11
「スレッタ、なによあんた?猫にでもなったの?」
「えへー」
呆れたような声などお構いなしにスレッタは頬をよせてすりすりする。まさしく猫のようなしぐさで。
「そんなに寂しかった?」
「・・・にゃー、です」
「ふふ、でかい猫ね」
見透かしたようなミオリネの言葉を誤魔化すようにスレッタはネコの真似をして、ミオリネの首に腕を回した。
ミオリネはそんなスレッタのしぐさに笑みを浮かべて、彼女の頭をそっと撫でた。
「にゃー!」
「どうしたのよエリクト?」
エリクトも真似した。
- 28二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 18:59:42
ほしゅ
- 29二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 20:59:49
保守
- 30二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 22:04:39
ケリュケイオンも真似をするなこれは
- 31二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 22:23:13
ケリュケイオンは体が無いので拗ねてます
- 32二次元好きの匿名さん23/11/20(月) 23:52:30
ほししし
- 33二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 06:02:14
保
- 34二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 08:05:26
ほしゆ
- 35二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 12:55:56
ほしゆ
- 36二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 18:46:26
保守
- 37二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 18:56:15
スレッタとミオリネは婚約関係継続でいいんですか?
バダバタしてるからどういう状況なのか忘れてしまった…
スレッタとミオリネはお互いのことどう思っているとかは今後明かされるんでしょうか? - 38二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 20:18:29
- 39二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 20:20:17
回答ありがとうございます!
- 40二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 22:26:04
「フェン、単刀直入に言う、俺の息子にガンドフォーマットを流したのは誰だ?」
「・・・議会連合の連中の中でも過激な連中とだけ」
「君たちがそれにかかわってないことを祈るよ」
「それだけは断言しときますよ・・・議会連合は宇宙の平和と安定を願う者が大半だと」
そうかね、とアルバスは言うと懐から分厚い封筒を取り出した。
「それではこれはビジネスの話だ。やってくれるか?」
「ええ、その代わり、地球の事をよろしく頼みます」
「ああ、そっちこそ頼んだぞ」
アルバスはフェンが封筒とマイクロSDを受け取ったことを確認してその場を後にした。
「さて、忙しくなるわね・・・」
フェンも封筒を鞄に仕舞うとそそくさとその場を後にし、乗りつけた宇宙船へと戻った。
- 41二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 23:02:55
フェンは受け取った封筒の中身を確認しつつ溜息をついた。
「あなたにとって安くない額でしょうに・・・それほどの覚悟とみるべきか」
議会連合の中で地球で良からぬことをしていることは把握している。ベネリットを抑えて経済界でも連合の影響力を
大きなものにしたいという連中がいることも。前者は軍事力で、後者はベネリットに難癖をつけて彼らから力を奪うことに終始奔走している。
「お掃除のお手伝い、やるべきかしらね」
「お疲れ様、今日はもういいわよ」
「え、まだ時間あるっすよ?」
「そんな顔で続けても意味ないわ、気持ちが切り替えられるまで目標の事は忘れなさい」
リハビリが遅々として進まなくなったアダムにベルメリアはぴしゃりと告げた。真面目に続けてはいたがそれでも上の空な状態は続き、スコアはどんどんと落ちていた。
「私に言いたくないならそれは構わないけど、カウンセラーにはちゃんと話してね?」
でないとこちらとしては打つ手はないわ、とベルメリアは立ち上がって続けた。
「私だって心が強い人間だとは言えないわ、だからこそいえる事かもしれないけど・・・一人で抱え続けてもなんともならない問題だってあるわよ?」
「・・・」
アダムはそう言われてもまだ沈み込んだままで、そのままよろよろと立ち上がると部屋を出ていった。
「先輩ならどうしたかしら・・・」
一人、ベルメリアの心配そうなつぶやきだけが残った。
- 42二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 05:50:34
保守
- 43二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 07:04:20
ほしゆ
- 44二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 13:02:35
ほしし
- 45二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 21:59:29
ただいまの保守
- 46二次元好きの匿名さん23/11/22(水) 23:06:08
廊下を歩くアダムはただ無力感に苛まれていた。いつもなら自分が先頭を切って皆を引っ張ってきた。
しかし今はそれに疑問ばかりが浮かぶ。そして、ソフィの顔が。
情けない限りだ。そう思って、アダムは自室へと向かった。今はどうにもなにもする気がおきなかった。
「ねえ」
そんなアダムの背中に声が飛んできた。
「・・・」
「ねえ、アダム・・・」
いつもの彼女らしくない恐る恐るといった声にアダムは思わず足を止めた。
「アタシ・・・その・・・」
「・・・」
想像しなくてもわかる。彼女だって困ってるに違いない。アダムが自分の都合で彼女を傷つけたかもしれないのと同様に彼女もアダムが傷ついたのではと、そう思っている。
「ごめん、ソフィ」
「!・・・いや、アタシが・・・その」
ソフィはアダムの言葉にあたふたしながら、それでも一歩を踏み出せず、らしくない態度で言葉を探していた。
- 47二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 00:29:04
アダムはそんな彼女の姿を鏡面の壁に映る姿で確認して、溜息をついた。
「・・・ったく」
「・・・」
そうだ、考えてみれば俺は一度しくじった。それから、再スタートするだけなんだ。うまくいくかはわからない。
そもそも今のやり方で彼女の仲間が傷つくなら、それを上手く解消した上でやればいいんだ。
ぶつかる必要なんてない、ソフィの仲間が何をやっているかはわからないが・・・それでも、今は彼女を傷つけないように。
「結局いつもと変わんねぇ、俺は・・・俺の為に・・・」
「アダム・・・?」
「ソフィ、俺・・・どうしたらいいかな?」
「え?」
「ノレアって子がソフィの家族なんだろ?ならさ、俺はその子とソフィに迷惑にならないように頑張るからさ」
言っている内に恥ずかしくなってアダムは頭を掻きながら早口で言った。
「もっとさ、ノレアって子とソフィのこと教えてくれよ!」
「え、あ・・・うん、わかった」
一瞬きょとんとしたソフィだったが、照れているアダムにつられるように恥ずかしそうにしながら彼女もうなずいた。
- 48二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 07:11:11
ほしゆ
- 49二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 16:24:57
保
- 50二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 21:47:26
それから二人はお互いの身の上を語り合った。親がいないこと、親が父親しかいないこと、貧しかったこと、不自由だったこと、それをどうにか打破したくてあがいたこと。それが誰かを傷つけることだったこと。
二人は時間を忘れて、互いに話し合った。
「俺、どうしたらいいのかな」
「そうだね・・・ホント、そればっかりは・・・」
ソフィも珍しく迷った様子でベッドに体を投げた。
「そういやさ・・・地球でいろんな会社が今どんどん増えてるらしいよ」
「へぇ、なんで?」
「グラスレーが地球の企業を盛り上げる為に出資してるんだって」
「そっか、なら・・・俺もやろうかなぁ」
「アダムはスペーシアンでしょ?」
「いや、お袋が地球出身って聞いた。だから俺も半分アーシアンでもあるんだぜ」
アダムはそういうとお得だろ?と笑って見せる。彼は少なからずその出自と零細企業の令息ということで肩身の狭い思いをしてきたはずだったが、それでもなお彼は自身の出自そのものを恨んだりはしなかった。
ただ、仲間と父の頑張りを認めさせたいこと、それだけが彼の望みだった。
「その話、面白そうだ・・・いっちょやってみっか」
「なになに?なんか思いついた?」
「まあ聞けって」
アダムはそういうとソフィに耳打ちした。
- 51二次元好きの匿名さん23/11/23(木) 22:34:08
翌日、いつもの通りに二人はリハビリのメニューをこなした。違うのは二人が元気になっていたことで、ベルメリアは二人が前よりも仲良しになっているような雰囲気に何となく甘酸っぱいものを感じて一人ニヤニヤしていた。
「ちょっとスレッタ、くっつきすぎ」
「すみません、今、離れられません」
「は?どういう・・・」
ところ変わって地球寮の自室。帰ってきたミオリネにべったりのスレッタにミオリネは不思議に思ったが彼女の手にパーメットの光が走っているのを見て何となく察した。
「ケリュケイオンがどうしてもって・・・」
「今はどういう状況なのよ・・・」
「半々というか、ケリュケイオンが嫌な事はできないというか・・・にゃ」
「にゃ?・・・ああ、わかった」
突然の猫語にミオリネは全てを察した。エリクトが真似をして、スレッタも何度かして、それを見ていたケリュケイオンが羨ましがって大量のスパムメールを送り付けてきたことがあった。
「まあいいわよ、それでケリュケイオンが満足するなら」
「むふー、さすがミオリネさん」
『さすミオさすミオ』
副音声のように響く声にミオリネは観念してされるがままになった。
- 52二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 05:51:09
大概ケリュケイオンには甘いな、ミオリネ。まぁ心情的にもほっとけないしスパムメールも嫌だろうしなw
- 53二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 08:33:02
実質ラブコールも二倍ですしねw
- 54二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 13:24:12
ほしゆ
- 55二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 21:17:17
保守
- 56二次元好きの匿名さん23/11/24(金) 22:49:55
肌寒い夜、肌に走る淡い光に照らされながらミオリネは一息ついた。寒さを遠ざけるような温もりと共に。
光を放つ健康的な色の肌の持ち主はまるで卵を温める親鳥のように、ぴったりと寄り添っている。
「スレッタ」
「・・・」
「む、今はケリュケイオンなの?」
青色にほのかにオレンジ色が混ざり、腕がぐるりとミオリネにまきついた。
「やっと寝た、スレッタ、夜更かし苦手みたい」
「もうそんな時間?」
時計を見るともうすぐ日付が変わりそうだ。パイロットであり、普段から規則正しいスレッタは深夜に属する時間まで起きていることはめったにない。ミオリネはその逆だ。頭脳労働にも睡眠は必要だが元よりキャリアウーマン気質なミオリネは誰かの為となると毎晩遅くなる。母親みたいだ。
「エリクトも、不満、二人とも遅くまで起きてる」
「二人?ああ、お義母さんね」
エリクトとケリュケイオンは最近、プロスぺラをそう呼ぶようにミオリネに言っていた。本人を目の前にして言うのはさすがに恥ずかしいが、ケリュケイオンやエリクトと二人きりのときはそう言わないと機嫌が悪くなるので仕方なく使っていたのが今では慣れ始めてしまっている。
じきに本人にも宣言させられるだろう。そうなったときのプロスぺラの顔が見ものである。
「普段は早く寝ろって言うんでしょうけど、今日はどうかしら?」
「?」
一瞬キョトンとしたケリュケイオンはミオリネが優しく微笑んでいるのを見て気が付いたのか嬉しそうにミオリネを抱きしめた。
「ちょっとだけ、ちょっとだけなら・・・」
「夜更かしね、ふふ」
ケリュケイオンはスレッタに悪いと思いつつも、ミオリネに寄り添って、夜の冷えた空気の中、きっと今まででは知る由もなかったあたたかさに触れた。
- 57二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 03:46:17
ほしゆ
- 58二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 07:29:04
ほししし
- 59二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 13:33:09
ほしゆ
- 60二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 22:22:22
保守
- 61二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 23:22:01
翌朝、スレッタはいつの間にか眠っていたことを思い出してまず自身の手を確認した。パーメットの光が消えていたのでどうやらケリュケイオンはいない様子。ふと、自身が何かを抱いて寝ていることに気が付いて視線を下に。
「ミオリネさん・・・だ」
ケリュケイオンは昨日、ずっとミオリネに抱き着いていたようだった。何をしたのかまではわからないが彼女はまだ眠っているらしく規則正しい呼吸のリズムがスレッタに伝わってくる。
「ふむぅ・・・なんか、眠い・・・なんでだろ・・・」
スレッタは起き抜けというには説明のつかない強い眠気に襲われ、再び瞳を閉じた。
「ミオリネ総裁代理、おはようございます」
「おはよう、遅れてごめんなさい、今日の予定は?」
業務を補佐してくれるベネリットの秘書が対応してくれたようだ。ラジャンの教育を受けているらしくあらゆることに抜かりが無い。
「ジェタークCEOとの協力で業務は滞りなく、個人的な仕事の依頼が来ていますが」
「どこから?」
「化粧品とのことで、香水の宣伝をと」
ミオリネはそれほど興味もなかったし、ノーマルスーツを着ると匂いがこもるのでつけることもなかった。しかし今はイメージの問題もある。また、CMの類による収入なども馬鹿にはならないのだ。
「わかった、試供品は?」
「こちらでお預かりしてます、ご使用になられますか?」
「一応ね」
- 62二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 23:42:19
- 63二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 06:31:45
問題は騒動の内容だよな。ドタバタか洒落にならん奴か...。
- 64二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 06:33:49
騒動なんて日常茶飯事じゃないですか…
- 65二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 12:03:16
スレッタは眠りから覚めた時に、珍しいというか、初めての感覚を覚えた。
誰かいる、いや、知っている人物が中にいる。
「ケリュケイオン・・・?」
『うー、ログが不安定』
頭に触れて目を閉じるとケリュケイオンの声が聞こえる。目を開けて鏡を覗くとパーメットの光が走り、鏡にケリュケイオンが自分と同じ服を着て、眠そうにしているのが見えた。
「どういう状況なのかな?」
『パーメット残留、通信繋いで・・・でないとバグりそう』
「端末繋ぐよ?いける?」
『通信確認、同調・・・確認、ふわ・・・』
パーメットにオレンジ色が混ざっていたのが青に統一され、ケリュケイオンの姿が光の粒子になって散った。
同時に端末からケリュケイオンのログインが確認される。
「きょうはどうしよっか?何かしたい事ある?」
『スレッタは?』
「ミオリネさんに比べたらいつだって暇同然だから大丈夫」
『うーん、感覚同調したい、もっと知りたい』
「わかった、今日はそれでいってみよ!」
パーメットの光を隠すために長袖、長ズボンを履いてスレッタは一日のスケジュールをケリュケイオンと立てることにした。
- 66二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 19:01:50
この娘、一応学生だよね...?
- 67二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 22:23:06
- 68二次元好きの匿名さん23/11/26(日) 23:36:23
学生として授業を受ける傍ら、スレッタとケリュケイオンは人としての楽しみを率先して行うことにした。
MSを動かすことは二人にとって造作もないことだったので、ホルダーの義務である決闘に関しては割愛。だって負けないし。
「待ちかねました、お昼ごはんです!」
『お昼!』
授業を終わらせてスレッタはウキウキで食堂へ来た。かつてはミオリネしかMSの操縦訓練に付き添ってくれる人はいなかったが今は地球寮の、ともすればジェターク寮やブリオン寮からも応援をもらえる立場だ。なぜなら家族のエリクトは両社の大株主である。
「まずはチキンオーバーライス!」
『チキン!』
「次にラーヌードルのトッピングマシマシです!」
『おー!』
「サラダも食べます!デザートはミオリネさんのトマトです!」
『お、おー?』
ケリュケイオンも食事量にちょっと引いた。
- 69二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 08:21:12
ほしゆ
- 70二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 08:34:20
- 71二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 08:54:28
しかし杖に使われる蛇は仏法の三毒を司る獣の一匹であり、日本でも蛇は嫉妬を司る存在なのですw
- 72二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 18:20:46
- 73二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 18:33:45
体資本のパイロットだし、暴飲暴食に当たらないのかもしれない
水星の食事事情考えればスレッタにはたくさん美味しくご飯食べて欲しいよ - 74二次元好きの匿名さん23/11/27(月) 22:27:06
「これをケリュケイオンとリンクした状態で食べてみますね」
『味!』
もぐもぐと食べ始めるスレッタ。ラーヌードルを瞬く間に食べきり、チキンオーバーライスをその勢いのまままるで飲み込むが如く。
「むぐむぐ・・・ごくん、どうです?」
『ふぉぉぉ・・・』
端末が明滅しながら振動する。どうやらとてつもない衝撃を受けているらしい。
「美味しいです!これが美味しいですよ」
『美味しい、スレッタ、これ、すごい!』
「ふふふ、とっておきはミオリネさんが作ったトマトですからね、焦ってはダメ、です!」
ケリュケイオンのデータの通信速度がすごいことになっている。スレッタは端末が凄い勢いで熱くなっているのを見て慌てて食事を切り上げてジェタークのコンピューターサーバーへ向かうことに。
「ほひふひへ!はほはほはふはは!」
『トマト!トマト!』
「すげえ食ったなアイツ」
「やっぱ食わなきゃMS技術上がんねえのかな・・・」
返却された食器を見てほかの学生たちはちょっと引いた。
- 75二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 07:32:07
人がフォローを試みればこの娘は...
- 76二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 08:58:48
ほしゅ
- 77二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 12:59:43
ほしゆ
- 78二次元好きの匿名さん23/11/28(火) 19:49:18
保守
- 79二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 00:03:41
スレッタは出来立て料理のごとくあつあつになりつつある端末をお手玉のようにしながらジェタークの保有するサーバールームへ駆け込んだ。
「えっと、えっと、エリクトが借りてるサーバーは・・・!」
いつの間にかブリオンのみならずジェタークの大株主になっていたエリクトがジェタークの管理するサーバーの一部を私物化していた。そこに繋いで処理を分割すれば端末が熱暴走せずに済むはずだ。
「あった、これ・・・よいしょっと!」
ケーブルを繋いでアクセスする。サーバー一基丸ごとがエリクトの所有であり、緊急時にケリュケイオンやバックアップデータを保存するためのもの。ちょっと用途は違うが仕方ないのである。
『むー、スレッタ、トマト、早く!』
「ちょっとまって、データにノイズ出るからサーバーで処理手伝ってもらってね」
『了解、サーバーのデータ領域解放する』
処理の超過していた端末から徐々に熱が引いていく。処理落ちしかけから正常に戻り、端末から『勘弁してくれ』という悲鳴のごときエラー報告を聞きながらスレッタはサーバーの隣に腰を下ろした。
「携帯、いいのに変えようかな・・・」
ケリュケイオンは普段は音声チャット程度で済んでいるが今のようにパーメットで繋がっているとデータを放出する蛇口になっている端末はあっという間に悲鳴を上げるのだ。
- 80二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 07:14:52
携帯じゃちょっとやそっといいのにしても焼け石に水じゃないか?データ量的に。
- 81二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 10:02:55
まあ今は御三家のバックアップ受けられるのでワンチャン・・・
- 82二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 11:34:13
プロスペラのヘッドギアなら対応できますか?
- 83二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 14:00:30
ケリュケイオンのテンション次第。基本的に高いレベルのパーメットでリンクしてなければ無問題。
- 84二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 20:58:00
- 85二次元好きの匿名さん23/11/29(水) 23:41:36
ほしゆ
- 86二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 07:02:35
ほしし
- 87二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 13:05:48
ほしゆ
- 88二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 15:12:18
人生楽しそうだなこの親娘...いいぞもっとやってくれ頼むから。
- 89二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 21:36:33
- 90二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 21:56:44
ついでにスレッタが感じてる幸福感も共有してるので結構強い刺激ですね
- 91二次元好きの匿名さん23/11/30(木) 22:20:42
「ごちそうさま・・・です!」
『ふぉぉぉ・・・』
トマトを食べ終えてスレッタは手を合わせた。ケリュケイオンは名残惜しそうだったがデータをサーバ経由で処理し、保存した。
「えへー、お腹いっぱいですねぇ」
『満足、満足』
二人はサーバールームを後にして帰路についた。ホルダーが義務とされている決闘の為に準備が必要なので授業は午前中まで、かえってエアリアルを調整しているニカに進捗を聞かなければならない。
「ただいま・・・です」
「おー、お疲れ」
地球寮に戻るとチュチュが駄弁っているのに出くわした。パイロットスーツ姿なのを見ると彼女は先ほどまでMSに乗っていたのかもしれない。
「チュチュさん、MSに乗ってたんですか?」
「そー、エリクトが魔改造したデミクトに乗ったんだがあれもう別もんだわ」
「あー・・・」
もともとが初期生産型のデミ・トレーナーのカスタム機に乗っていたチュチュだが今ではデミ・バーディングの改修型に乗っている。ブリオンのテストパイロットを兼任しているためだ。
「もうすぐある決闘には間に合います?」
「あーしのはニカ姉だけじゃなくブリオンのスタッフも見てるから問題ねーな」
「エアリアルも最近はお母さんの会社の人も来るようになって修理もすぐ済むようになりました」
前回の決闘で中破していたエアリアルもパイロットより早くドックからハンガーに戻ってきたくらいだ。
あり合わせのパーツでやりくりしていた時がもはや懐かしい。
- 92二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 05:48:00
保
- 93二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 08:10:33
ほしゆ
- 94二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 13:17:05
ほしゆ
- 95二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 21:26:22
デミクトって確かエリクト用にコクピット改造してなかったっけ?チュチュが収まるのか?
- 96二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 21:36:31
ペダルと操縦桿を延長、もしくは新規搭載しているキメラ操縦席なので広さそのものは変わってません。
ベビーシートを操縦席に据え付けてある感じでしょうか。それを取り外せばあとはペダルが延長されている程度です。
- 97二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 22:32:17
レーシングカートのジュニアクラスを連想したです
あれも延長ペダルとシートの詰め物してるだけでカート本体は大人が使ってるのと変わらないもんね
(シートポジションはかなり寄り) - 98二次元好きの匿名さん23/12/01(金) 23:44:54
後はそのシートにアムロパイセンの使ってたνガンの操縦棹があるイメージですね。
- 99二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 05:53:59
成程、確かにいざって時使い回しが出来ないと困るし最低限の変更で対処出来る様に作るよね。
- 100二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 09:18:49
特に今はスタッフと資金か充実してきてるのでさらに迅速に対応できますね
- 101二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 14:39:27
ほしゅ
- 102二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 16:24:38
仮に基部とかからAssy交換する造りだったとしても、サポート体制が整ってるならいずれワンアクションで交換可能に出来るものを作るだろうね
そして交換不要なフルアジャスタブルな操作系…
シートに着座しただけで最適ポジション! - 103二次元好きの匿名さん23/12/02(土) 22:00:35
ふと、思い出したようにチュチュが立ち上がった。
「そうだ、今日ブリオンの連中が置いてったのがあるんだよ」
「なんです?」
チュチュは冷蔵庫を開いて中からあるものを取り出した。
「これ、アイスだ!」
「アイス!」
『アイス?』
「お、そいつがケリュケイオンか、そうだぜ、これがバニラアイス!」
ブリオン社が株主優待で地球寮に贈答品として贈った高級アイス。なんと地球産の高級なバニラビーンズと生乳を品質重視、採算度外視で取り寄せた至高の一品。シンプルだがディープ、飾り気に割く労力までを味に寄せたこだわりの一品なのだ。
「山盛りあるから好きなだけ食っていいってさ、虫歯には気をつけろよ」
「やった!」
『おー!』
冷蔵庫も最新式に変更されていたが今まで食品以外ではマルタンの飲む栄養剤以外入ってなかったそれに彩が増えた。
しかしながら皆が多忙なため消費が追いついていないのも事実である。
皆が食べないのをこれ幸いとエリクトは寮外でも持ち運んで食べていたが地球寮でも普通に食べていたので食べ過ぎてお腹を壊した。プロスぺラの監視がついたので今はそれほど食べていない。
- 104二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 06:44:12
まぁ十数年データストームの住人だったんだしなぁ…
腹も身のうち、なんて言葉を実感出来る訳が無いか。
時にスレッタ、さっきお腹いっぱいとか言ってなかったか? - 105二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 07:08:53
お菓子はなんとやら
- 106二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 13:18:13
ほしゆ
- 107二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 21:54:51
パンケーキとの合わせ技やら楽しみ方がいっぱい!
やったねケーちゃん美味が増えるよ! - 108二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 23:38:47
今日はもうお休み保守
- 109二次元好きの匿名さん23/12/03(日) 23:57:01
スレッタはうきうきで受け取ると勢いよく蓋を取る。感覚を共有しているケリュケイオンは初めての感覚に震える。
「うーん、いい匂いがします」
「アイスなのに匂いするってスゲーよな」
バニラと使われている牛乳の甘い香りが広がる。スレッタがそれを一口食べるとそれはさらに濃厚に。
『ふぉぉぉ・・・!』
「お、美味しい・・・」
「これはマジでヤバいな、しばらくは別のアイス食えねえよ」
チュチュとスレッタ、それにケリュケイオンは絶品アイスに舌鼓を打った。
「あら、いいもの食べてるじゃない」
「ミオリネか、仕事はいいのか?」
「ええ、あとはちょっとリモートで報告があるくらいね」
「帰ってきても仕事か、やっぱ事務関係はつれーな」
「まあ、お互い様ってやつよ」
ケリュケイオンがまた例によってオーバーヒート気味になったのでスレッタは自室へ戻っていた。ミオリネはそれに気づかず自分もアイスを食べ、ふと、試供品の香水を思い出した。
「いけない、CMのオファー受けたのも報告しとかなきゃ」
ミオリネはサンプルを手に取り、自分の手首につけて首元に撫でつける。
- 110二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 03:43:50
ほしゆ
- 111二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 05:58:09
ハーゲンダッツ的なアレなのか…?飯テロ…(ダイエット中)
- 112二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 08:48:55
ほしゅ
- 113二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 13:04:25
ほしゆ
- 114二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 21:40:34
保守
- 115二次元好きの匿名さん23/12/04(月) 23:13:31
ミオリネが自室に戻るとスレッタが端末をPCに繋いでいた。
「スレッタ?」
「あ、お帰りなさい。ごめんなさい、勝手につかっちゃって」
「別にみられて困るもんでもないけど・・・ケリュケイオン?」
『うーん、うーん・・・』
「どうしたの?」
「アイス食べたの共有したらオーバーヒートして・・・」
高級品を食べて処理が追いつかなくなったのだろう。スレッタの感じる幸福感が強すぎるのかもしれないが。
「とりあえずリモートあるからちょっと代わってくれる?」
ミオリネがそういうとスレッタはうなずいた。そしてミオリネがパソコンに向かい合ったのを見てカメラの視界に入らないようにしつつケリュケイオンの様子を見ることにした。
- 116二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 05:35:20
保守
- 117二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 08:21:36
ほしん
- 118二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 13:00:32
ほしし
- 119二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 23:40:49
ほしゆう
- 120二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 00:13:55
「ケリュケイオン、大丈夫?」
『バニラ・・・すごい・・・また、食べたい・・・』
にへーっと顔を緩ませるケリュケイオン。バニラがお気に入りになったようだ。処理の速度はやや落ち着いてきたが興奮しているらしくスレッタが感じるパーメットの流れには波ができている。
端末で処理するデータは機材の問題だがリンクしているパーメットが流入する量が一度に多くなればまた前のように意識を取り換えられることが起きかねないのでスレッタも少し心配だ。
「・・・、だから・・・」
「ミオリネさん、リモートしてますね。私達はそろそろ外に出ましょう」
『わかった』
「えっと、今回のCMの件で香水のオファーがあって、それがバニラ系の甘い香りの・・・」
『バニラ?』
こそこそとハイハイでミオリネの傍を通り過ぎようとしたスレッタ。その耳に届いた単語にケリュケイオンは反応した。
「香水のことらしいですね・・・」
『匂いする?』
「えっと・・・」
犬のように姿勢を低くしたままくんくんと匂いを嗅いでみると・・・確かにする。甘くて魅惑のバニラの香り。
「ミオリネさん、いい匂いですねぇ・・・」
『・・・ニラ』
「?」
『バニラ・・・!』
ぎゅん!とパーメットが流入し、スレッタの体をパーメットの光の筋が覆った。
- 121二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 00:14:37
- 122二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 05:30:59
…騒動とはこれか。しかしこれ、画面の向こう側から見るとスレッタが突然盛った様にしか見えないよな…
- 123二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 11:41:14
ほしゅ
- 124二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 20:34:28
ほしし
- 125二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 22:56:52
>>121『香水のコンセプトは聞くまでもなさそうですな・・・』
『確かに・・・』
画面外からハートマークが飛んできそうなほどあまあまな声が飛び交っている。
「あ、ちょ・・・ダメだって!」
『ミオミオ!好きっ!好きなの!」
『若いっていいですな・・・』
『まったくですな・・・』
リモートは何時の間にか終了していた。そしてミオリネの尊厳も終了した。
「まったくなんなの!」
『ごめんなさい・・・』
「あーもう!この香水のせいね!まったく!」
流石に怒り心頭のミオリネはおろおろするケリュケイオンとスレッタを置いて出て行ってしまった。
「まったく・・・まったく!」
怒りながら廊下を歩くミオリネだが、その頭の中は実際は怒り以外の感情で満たされていた。
(ミオミオ!好き!好き!)
(これ、好き!ミオミオ!好きなの!)
濃厚なスキンシップとラブコールに瞬く間にミオリネの顔は真っ赤になっていく。スレッタの顔と表情で、必死に愛を囁かれればこうもなるだろうか。
「こ、こんなもの・・・!」
試供品のサンプルを地面に投げようとして・・・やっぱりミオリネはポケットにしまった。
- 126二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 05:36:17
…ミオリネ本人に言ったらブチ切れられるだろうがまだ良かったかもしれん。話の趣旨によっては尊厳以外のものも終わってた可能性も…
- 127二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 07:36:52
保守
- 128二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 13:05:41
ほしゆ
- 129二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 22:13:30
ほしゆ
- 130二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 22:32:19
- 131二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 06:01:16
保守
- 132二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 08:09:07
ほしゆ
- 133スレ主(携帯23/12/08(金) 13:27:15
ほしし
- 134二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 00:30:47
ケリュケイオン達がわちゃわちゃしているころ。パーメットから産まれた存在であるケリュケイオンを調べる
プロスぺラ達はそれぞれの経過を報告していた。
「どれを聞いても驚くべきことです・・・」
「そうね、パーメットとAIがこういう風に結びつくなんて・・・」
ベルメリアも医療の観点、ケリュケイオンの精神やそれに伴うパーメットの情報伝達などを神経信号に当てはめて
の見解を述べようとしたがそれにしても前例が全くないので結論は出せず仕舞いだった。
「パーメットと同調できるエリクトと、それに準じる能力を持ったスレッタ・・・二人が合わさることで個人を構築できるだけのデータを得られた・・・と」
「仮説だけどね・・・二人に影響を受けながら、外界でミオリネさんや他の・・・地球寮の子たちから個人として扱われることでそれが加速しているのかしら」
同調できること自体が稀有すぎる為にケリュケイオンが特殊なのか、彼女を生み出した二人が特殊なのかすらわからないのである。
- 135二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 03:02:21
保守
- 136ス23/12/09(土) 08:16:26
ほしゆ
- 137二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 16:47:13
ほしゅ
- 138二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:30:46
「わかっているのは人格が形成され、特異な体質であるスレッタやエリクトがMSを操縦するように彼女が人間の体を操ることが可能なこと・・・」
その言葉を受けてプロスぺラは表情を険しくした。パーメットと完全に同調し、ノーリスクで高レベルのパーメットを使用できるエリクト。ケリュケイオンはデータの容量などで限界こそあるもののそれに近しい能力を持っている。
そして、人間と違い、ケリュケイオンはデータ。つまるところ量産できるのである。
「兵器として、もしも彼女が悪用されたら・・・」
「危険ですね、パーメットを通して全てのものにアクセスできる。そして、適応者がいれば人間にも・・・」
『こんな風に』
不意に、プロスぺラのヘッドギアが光った。それを経由してプロスぺラの体にうっすらとパーメットの光が一瞬走った。
「っ、これは・・・」
「先輩!」
慌てて駆け寄ったベルメリアを手で制してプロスぺラは額に手を当てて溜息をついた。
「驚かせるものじゃないわ、エリクト達のところに居たんじゃないの?」
『並列思考、可能。私の話をしていたから、覗いた』
「そう、私にアクセスできるのはヘッドギアをしたままだったからかしら?貴女はともかく、スレッタやミオリネさんにできる相談じゃないからね」
『肯定、私にとってはヘッドギアも歩行補助装置もあなたの体の一部のようなもの。ガンドフォーマットがあるなら、私はそれにアクセスできる』
プロスぺラの口を通して出る、まるで一人芝居をしているように口調と声が交互に代わってでる様子にベルメリアは呆気に取られている。
- 139二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:34:28
『あなたたちがスレッタやエリクト、ミオリネの事を大事に思ってくれているのは知っている。だからこそ、私はあなた達を大事にしようと思っている。だが』
「っ・・・」
プロスペラの体が少しだけビクッ、と跳ねる。同時に体にうっすらとパーメットの痣が浮かんだ。
そして、麻痺がまだ残っているプロスペラとは思えない軽やかな足取りと仕草で後ずさったベルメリアに即座に距離を詰めた。
『覚えておいてほしい、私は、あの三人を奪われたくない。そのためなら、私は、そう、そうするべき
私 は 、優 し く し な い 』
「っ!・・・いい加減に!しなさい!」
「先輩!」
振り払うようなしぐさと共にパーメットの痣が消え、プロスペラは膝をついた。
『感情的になった、謝罪』
「ふぅ、はぁ・・・やんちゃなのね、困った子」
『わかってほしい、私は、それだけ三人が好き』
「そうね、それはわかったわ。私だって・・・同じことをするもの」
プロスペラがそういうとケリュケイオンは沈黙し、『何か必要なら協力する』とメッセージを残してログアウトした。
- 140二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:43:49
今のところスレッタの関係者としか接してないから忘れそうになってたけどケリュケイオンって本質的に人間とは違う存在なんだよな。
極端な話スレッタ達三人のためなら数十人、数百人を積極的に殺しはしなくても見殺しにすることはあり得るわけで。 - 141二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:51:47
- 142二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 23:01:44
ケーちゃんに恋をしてしまいそうなときめきを覚えた
- 143二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 07:05:40
保守
- 144二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 07:08:34
なおヤバいやつですやん…スレッタ達は現時点で可愛いがちょっと困った子、ぐらいにしか認識してなさそうな所も含めて。
- 145二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 07:12:29
体を乗っ取るケリュケイオンに恐怖・危機感を何故子供達は抱かないのか不思議
- 146二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 11:32:52
現状子供側にはケリュケイオンが体を乗っ取るのはスレッタにしか出来ない、かつスレッタはすぐにそれを解除できる優位性があると思っています。
さらにスレッタに関してはエリクトという前例とエアリアルの中のカブンの子という現在進行系の例がありますので・・・。
また、ミオリネはやや勘が働いているので危機感がないというよりは彼女なりに教育を考えています。プロスペラが硬、ミオリネが軟的にケリュケイオンに対処しようとしています。
- 147二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 20:24:37
保守
- 148二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 22:14:34
「先輩・・・やはりケリュケイオンは・・・」
「そうね、ミオリネさんやスレッタたちに懐いてるから・・・彼女達に悪意を持って接することはないでしょうけど」
それでも、とプロスぺラは続ける。
「もしもミオリネさんがケリュケイオンの教育に失敗したり、彼女を利用しようとする誰かが現れれば・・・」
「・・・」
ベルメリアはその時のプロスぺラの鋭い眼差しに思わず息を飲んだ。そして、彼女の頭の中にプロスぺラの
『私だって同じことをするもの』という言葉が反芻していた。
「目下の目的はケリュケイオンの性能をずっと過少に、ただのAIとして公表することが重要だわ」
「といいますと・・・?」
「彼女がパーメットの中で自我を持った存在ではなく、コンピュータのただのプログラムとしておくの」
「隠すんですか?」
「今は秘匿に徹する、それが肝心よ。それに・・・あの子がどれほど強い力を持っていようと、彼女はもう一個の生命なのよ」
そんな彼女の命を奪うなんて・・・と呟くとプロスぺラはヘッドギアに触れて、それからスレッタがデザインしたチョーカー型の補助装置に触れた。
かつてデータの存在となったエリクトを、娘と愛した時のことを思い出しながら。
- 149二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 06:03:00
保守
- 150二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 09:05:20
ほしゆ
- 151二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 15:09:11
保守
- 152二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 18:23:08
保守
- 153二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 22:20:59
場所は戻ってミオリネの自室。ケリュケイオンは前回の反省からスレッタはパーメットのレベルを極力下げて彼女のアクセス権をはく奪した状態で自室で微睡んでいた。
「むぅ・・・ううん・・・」
ケリュケイオンとのリンクを完全に切ってみると思いのほかスレッタは体力を消耗していることに気付いた。
まずもってパーメットを一日中繋ぐということ自体が規格外であることは間違いないのだが・・・。
『スレッタ、ここで寝たらよくない・・・せめてベッドにいかなきゃ』
「ううん・・・そうだね・・・べっど・・・ぐぅ」
端末から音声データを送るもスレッタはうとうとしていて、生返事を返してくるものの、そのままソファに倒れ込んでしまった。
(スレッタ寝ちゃった・・・アクセスできない、どうしよう・・・)
室温はそれなりに低い。暖房をつけようかと思ったがシステムがネットワークから独立している為にアクセスできなかった。ケリュケイオンはこのような時に言いようのない孤独を味わうのだ。
(触りたい、もっと、皆と触れ合いたい・・・)
ケリュケイオンはプロスぺラが補助装置のハッキングに抵抗したことを経験してから人は自分を拒絶できるという事を知った。体を使うことができるのはひとえにスレッタの優しさであり、自分を受け入れるという前提があるからだ。
今はその逆、いうなれば自分はスレッタというサーバーに繋がっていない単体の端末でしかない。
(寂しい・・・目のまえの、スレッタに、触れられない・・・)
データとして、パーメットの流れとは言えスレッタと繋がっていた時間が恋しいほど、ケリュケイオンはスレッタを介して取った行動に幸福を感じていた。
- 154二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 05:42:45
ほしゅ
- 155二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 13:04:22
保守
- 156二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 20:49:29
未熟故の危うさはあるけど基本的に優しいいい子なんだよな、ケリュケイオン。何とかミオリネの教育も上手くいって幸せになって欲しい。
- 157二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 22:49:37
それからしばらくして、スレッタが寝息を立てているのを見つめていたケリュケイオンの元にミオリネが帰ってきた。
「ただいま・・・って、寝てるの?」
「Zzz・・・」
ミオリネはスーツ姿だ。おそらくは仕事帰りなんだろう。時刻はもう遅い。スレッタは朝まで起きないかもしれない。
「仕方ないわね、もう」
そう言ってため息をつくミオリネだがその表情は柔らかい。毛布を取ってくるとスレッタに掛けて、部屋の温度を少しだけ上げた。
「さてと、ただいま、ケリュケイオン。いい子にしてた?」
スレッタに毛布を掛けて、纏めていた髪の毛を解いたミオリネは優しく微笑みながらPCの前に座った。
『おかえり、ミオリネ。今日は、ずっとここにいた。いい子にしてた』
「そう、それはなによりよ。なにかしてあげたいけど・・・」
なにがいいかしら?とミオリネは首を傾げる。それに対してケリュケイオンはあることが試したくなった。
『それじゃあミオリネ、手を出してほしい』
「手?」
『ガンドフォーマットにアクセスして、手に補助装置をつけてほしい』
「?」
- 158二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 22:52:56
言われるままに手足の神経伝達を補助するタイプの装置、そのプロトタイプを装着してPCに端子を繋ぐとすぐに装置が起動した。
「あら、これでどうするの?」
『こうしたい・・・だけ』
装置はなめらかな動きでミオリネの両手を動かし、ミオリネに自分の肩を抱くような恰好にさせた。
「?」
『ミオリネの手と肩、これなら・・・触れてる感じがする・・・』
「そう?ふふ、見た目がずいぶんと面白いことになってるわね」
『ミオリネがパーメットスコアに耐えられるなら、スコア1にしてくれれば・・・いいんだけど』
「そうね、少しだけよ?私はスレッタやお義母さんみたいには耐えられないから」
了承するとケリュケイオンの表情が明るくなり、ミオリネの手にうっすらとパーメットの光が宿る。
『ミオリネ、私は、誰も傷つけないように・・・したい、でも、ミオリネやスレッタと・・・もっと触れていたい』
「うん、私もそうしたいわ。その為の努力も研究もしてる。今はまだ我慢してもらうことが多いけど、きっと・・・」
画面の中のケリュケイオンの頬を両手で包むように伸ばした。そうするとミオリネの手に触れるような感触が伝わる。
錯覚か、それともパーメットで伝わる情報のおかげか、画面から抜け出したようにケリュケイオンはミオリネの手に
頬を寄せて、優し気にほほ笑んだ。
- 159二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 23:04:03
- 160二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 06:01:52
保
- 161二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 07:20:27
638
- 162二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 13:20:44
ほしゆ
- 163二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 19:11:09
- 164二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 19:15:39
そうですね短い時間だけとはいえ真っ当に人間だったエリクトよりもかなり繊細です。今はまだ愛される事を求めていますが・・・
- 165二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 21:27:02
スレッタの隣に腰を下ろしてミオリネはシャットダウンしたPCを見た。
「ケリュケイオンは寝ちゃった、のかな」
人は眠ることによって記憶を整理し、脳を休めるという。ケリュケイオンにとって膨大かつ大切なデータを整理、保存するためにリソースの大部分を費やすことがそれにあたるのだろう。現に端末からもログアウトしている。
「あの子を見ていると、お義母さんを思い出すの」
スレッタの髪を撫でて、指を頬に滑らせて、ミオリネはつぶやいた。
「エリクトを守るために走って、エリクトのために働いて、エリクトの為にあなたを産んで、全てはエリクトを・・・愛してるから」
柔らかい頬に触れて、眠るスレッタの横顔を見つめていると、やはり姉妹なんだなとミオリネは思った。
ケリュケイオンも、エリクトも、スレッタも・・・笑顔は同じ、顔が同じだからじゃない。自分に好意を向けてくれているからだ。大好きだと、そう言ってくれる人が本心で浮かべる笑みがそうさせる。
もしもお義母さんと私、どちらかを選べと言えば二人は、もちろんケリュケイオンも悩むだろう。けど、二人とケリュケイオンに大きな隔たりがあるとすればそれはお義母さんとの関係だろう。
「スレッタとエリクトは優しいから悩む。けどあの子は?ケリュケイオンはそんな時に悩んでくれるかな・・・」
極端な話、地球寮の誰かとお義母さんを置き換えてもスレッタとエリクトは悩むと思う。でも、彼女は・・・。
「まだ、悩まない・・・かな」
必要とあればきっと、ケリュケイオンは他者を切り捨てるだろう。
- 166二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 05:38:46
同年代の中では大人な方にせよある意味で子供が子供を育てるようなものだからな。協力出来る人も限られてるし。
- 167二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 07:10:52
保守
- 168二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 13:13:10
ほしゆ
- 169二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 21:54:46
「ケリュケイオン・・・なの?」
空間の中でスレッタによく似た顔が振り返ってほほ笑んだ。
「うん!そうだよ!ミオリネ!」
「人の体・・・本物なの?」
「やだなぁ、もちろん!」
触れ合って、スレッタと変わらない手と声で答える。頬にはパーメットの光が走っているが・・・。
「すごいわ、本当に・・・これで皆と一緒に出掛けられるわね!」
「そうだね!」
ふと、ミオリネは違和感に気付いた。周りには誰もいない。誰も、誰もだ。
「おかしいわね、スレッタは?エリクトも・・・」
「変な事言うね、そんなの決まってるじゃない」
「・・・」
笑みが、怖い。何が起こったのか、不安がこみ上げて、ミオリネの胸を締め付ける。
「私の体がスレッタ、私の精神パターンがエリクト、それを動かすのが私!」
「・・・!」
声が出ず、空気が抜ける音が口から出た。そして、笑顔のケリュケイオンはミオリネの頬を両手で包んで覗き込んだ。
「あはは、ミオリネ!私が、私があなたの一番なの!ねえ!ミオリネ!だから、私のもの!」
「・・・」
- 170二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 21:58:25
「私を見て!私だけ!スレッタもエリクトも私の中にいるんだから!ねえ!そうでしょう!私が一番になった!ミオリネの大好きをみんな、みーんな持ってるんだもん!」
ねえ!ねえ!と、ケリュケイオンの声が響いている。ガラス玉のような瞳に映る怯えた自分の顔、そして、ケリュケイオンの手に走るパーメットの痣が自分に、しみわたるように伸びて・・・
「『ミオリネ(さん)!!!』」
二人の声が最後に聞こえた気がした。
「はぁっ!・・・はぁ、はぁ・・・!」
「ミオリネさん!大丈夫ですか!」
『ミオリネ!魘されてた・・・』
目を開くと寝室だった。いつの間にか眠っていたらしい。心配そうなスレッタと、同じように心配そうなケリュケイオンがモニター越しにこちらを見ている。
「ご、ごめんなさい・・・怖い夢を見た・・・みたい」
『ミオリネ・・・大丈夫?』
「だ、大丈夫よ・・・」
「全然大丈夫じゃないです!声・・・震えてますよ」
スレッタがいつになく焦った様子でミオリネの肩を掴んだ。
- 171二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 04:50:55
この場合ミオリネからすれば「信じたいのに信じ切れない」ってのがあるから色々お辛いよなぁ…。
- 172二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 08:06:46
賢いが故にかえって最悪のパターンを想像してしまう悲しみですね
- 173二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 19:12:58
保守
- 174二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 19:47:02
ほしゆ
- 175二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:36:50
>>170「ミオリネさ・・・っ!」
スレッタは真正面からミオリネを見た時に、ミオリネの双眸から涙が溢れるのを見た。
「ミオリネさん・・・?」
「こわ、怖かった・・・こわ、かった・・・の・・・」
子供のように同じ言葉を繰り返して涙を流し始めたミオリネにスレッタは少しだけ驚いたが、意を決してPCのケリュケイオンに手を伸ばした。
「ケリュケイオン、こっちに来て」
『わかった』
パーメットの光を体に帯びて、スレッタはミオリネをギュッと抱きしめる。
「ミオリネさん、見てください」
「・・・!」
パーメットの光を見て体を強張らせたミオリネの肩から頬に手を動かして、頬に手を添えながらスレッタは普段と同じ、へにゃへにゃの笑顔でミオリネを見つめる。
「私がついてます、ケリュケイオンも、エリクトも、お母さんも、皆がついてます」
「わかってる・・・でも・・・こわいの・・・」
「こわいですか・・・?」
「今まで、もう、失くすものなんかなかった・・・、クソ親父も、学校も、皆大嫌いで・・・」
嫌な物から逃げればよかった。孤独と引き換えの、自由。無責任でいられた楽な時間。
- 176二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:48:45
「楽しいの、皆が、優しくて・・・スレッタも、ケリュケイオンも、お義母さんも・・・」
「ミオリネさん・・・」
「だから、怖くなった・・・今の幸せが壊れて欲しくない・・・、誰も傷ついて欲しくない・・・」
「・・・そう、ですね・・・私もそうです」
スレッタとスレッタの体に意識を飛ばしたケリュケイオンもうなずいた。
「でも、だからこそ、私は進むべきなんだと思います」
「どうして・・・?」
「いつだって前を進む人が振り返ってくれます。そして、後に続く人が背中を押してくれるからです」
転んでも、一人じゃないですから。とスレッタは続ける。
「ミオリネさんと違って私はあんまり賢くないです。でも、だからこそたくさん転んで、その度に起き上がって進んできました」
「・・・」
「怪我もしました、けど、今は元気です!」
「どうしてそんなに・・・」
「ミオリネさんがいるから!です!」
にへーと笑うと同時にパーメットが走ってスレッタの髪がピーンと立つと同時に瞳の色が変わった。ケリュケイオンだ。
『ミオリネ、私も!私も居る!皆で、ミオリネと一緒にいる!』
「ふた、ふたりとも・・・う、ぅぇぇぇぇ」
『「ひおっ!?な、なんでさっきより泣くんですか!」』
ハモった。そんな二人の明るさにつられてミオリネは泣きながら少しだけ笑った。
- 177二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 07:36:28
世界は優しさや幸せだけで出来ていないけど、優しさや幸せは確かにあるんだよね。
みんなで頑張って掴んでほしい。 - 178二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 14:10:17
保守
- 179二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 22:02:19
再び眠りについたミオリネを抱きかかえて、スレッタとケリュケイオンは一息ついた。
「ミオリネさん・・・すごく、考えてるんだね」
『うん、そうだね』
「賢いから、私よりもずっと・・・賢いから」
『うん・・・』
ケリュケイオンは再び去来した不思議な気持ちに演算が加速するのを感じた。ミオリネが悩んでいる。
エリクトに対する時、スレッタに対する時、いつも年齢よりも大人に見えていた彼女が。
そして、だからこそ理解した。彼女を守ろうとするプロスぺラやベルメリアの危惧の理由を。
『(あの二人はミオリネの心配をしていた・・・だから、私を遠ざけることすら考えた)』
「甘えちゃってたのかな、私・・・」
『そんなことない、今、ミオリネを支えてるのはスレッタだよ・・・』
私じゃない。とケリュケイオンは寂しげに呟いた。
「そんなことないよ、言ってたでしょ?ミオリネさんの失いたくない大切なものだって」
『そう・・・かな』
「そうだよ、間違いなく」
スレッタはミオリネを抱きしめて、嬉しさと、責任感とを感じながらケリュケイオンの言葉を肯定した。
- 180二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 05:16:05
一歩前進、かな?とにかく自分の抱えている問題と周辺の危惧について自覚してくれないことには話が進まないからね。
- 181二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 07:08:18
ほしゅ
- 182二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 11:34:32
保守
- 183二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 21:47:32
hosyu
- 184二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 22:23:14
スレッタはミオリネを抱きかかえてベッドへと運ぶ。ミオリネにスレッタは運べないが逆は余裕なのだ。
「ミオリネさん・・・私も、ミオリネさんが大事です。失いたくない・・・」
ミオリネを寝かせたあと、その隣に自分も横たわって天井を眺めながら独り言を続ける。
「ミオリネさんが頑張ってること、わかってたつもりになってました・・・でも、やっぱり、知らないこともたくさんあって、それで・・・」
頑張らないと、そう思う中で、弱みを見せてくれた彼女への愛しさがあふれ出しそうで。
「大好きなんですね、私・・・今はそれしか断言できないけど・・・」
そっと触れる。手を握る。頬を寄せて、彼女が少しでも安心できるように。自分の為に頑張ってくれる人に、血がつながらない、新しい家族のために。
「あー、ずるい!一緒に寝る!」
翌朝、まだ意識も戻らない内に元気な声が響いた。スレッタが寝ぼけながら目を開けると子供用のスーツに身を包んだエリクトが上着を脱ぎ棄てて二人の間に潜り込んできた所だった。
- 185二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 05:58:49
保守
- 186二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 07:17:49
ほしん
- 187二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 18:13:29
保守
- 188二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 21:32:40
いつでも強くいられる人なんていない。弱みを見せられる相手がいるならその人はきっと大丈夫…と言うと心配になってくる人がちらほら居るんだよなぁ…
- 189二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 23:06:45
「むふー」
エリクトは二人の間に入るとご満悦だ。ミオリネの手を取ってにぎにぎしながらニコニコとしている。
少しの間だけとはいえミオリネに会えなかったエリクトは寝顔ながらミオリネの顔を見れたことが嬉しいらしい。
「えりくと・・・その恰好なに?」
「ふふふ、僕はね!今をときめく会社だけでなく宇宙と地上を結ぶ循環複合企業団体「ウロボロス」の一員として頑張ってるからね」
「うろぼろす?」
「不老不死や循環、永続を示すお互いの尾を噛みあう蛇か、龍のことね・・・」
ミオリネはにぎにぎされる手を握り返しながらつぶやいた。まだ眠いのか目は閉じたままだが。
「地上と宇宙は繋がり、循環し、互いに補い合う存在になるんだ。どっちが上か下かなんて考えずお互いがお互いを助け合えば今よりずっと良くなるはず」
「地上の企業ってどれくらい集まった・・・?」
「数は集まったけど、まだ名前だけの企業も多いね、地球の人は資産が少ないから・・・」
「・・・だとお披露目はまだ先ね・・・先走るとついていけなくなる企業が・・・でるから・・・」
うっすら開いた目がエリクトとスレッタを捉えたが、すぐに閉じた。
「ミオリネお疲れ?」
「そうですねぇ、私もちょっと疲れ気味・・・あふ」
「じゃあもうちょい寝よう!」
川の字で、三人は微睡む。
- 190二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 05:24:28
この世界のミオリネは婿の家族との折り合いに悩むことはそんなに無さそうかな、良きかな良きかな。
- 191二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 08:28:14
ここの世界線ではエリクトは懐いてるし、なんならプロスペラもミオリネを気に入ってますからね
- 192二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 20:15:22
ほしゆ
- 193二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 21:37:54
しばらくするとケリュケイオンからやっかみ交じりのモーニングコールが響き、三人はしぶしぶ起き上がった。
「さてと・・・仕事行くか・・・」
ミオリネはいつも通り仕事だ。ベネリットグループ総裁代理としてグループを統括しつつエリクトたちが作ったウロボロスの原案を確認する必要がある。スレッタとエリクトはケリュケイオンを連れて学校へ。
「そういえばエリクトも授業受けるんだよね?」
「もちろん、経営戦略科の授業も受けたいけど今はパイロット科だね」
授業の内容に関してエリクトは思いのほか座学に関しても優秀だ。スレッタはどちらかというと実技寄り。
二人は性格こそどちらも天真爛漫だがエリクトの方がやや賢く、スレッタはその逆で無垢。
地球寮の地位が相対的に上がりつつあるもののスレッタは今でも企業というしがらみのある生徒間では孤立しやすく、柔軟に立場を利用するエリクトに比べるとどうにも難がある。
「お、朝から二人一緒か、珍しいじゃん」
「そうなんだよ、スレッタは朝帰りが多いから・・・」
「朝帰り?!」
チュチュが合流して教室まで三人で話しながら歩く。態度的に優等生とは言い難いチュチュはエリクトと相性がよく
最初こそ暴力的なチュチュに恐れおののいていたもののウロボロス関係で地球関係の企業が日の目を見るということなどを鑑みてチュチュの中でもエリクトの評価が高くなりつつあるのだ。
そして後輩という立場も二人が距離を縮めるのに一役買っている節もある。チュチュはなんだかんだ言って面倒見がいいし、ガキ大将的な安心感が学園内での安心感をエリクトに与えている。
- 194二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 23:52:32
ほしゅ
- 195二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 05:22:34
以前プロスペラも言及してたが…ミオリネの台詞、社畜感が半端ない(ほろり)
- 196二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:10:51
ほしゆ
- 197二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 13:04:35
ほしゆ
- 198二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 20:12:51
そろそろ次建てます、っていうかもう不穏な伏線ぶん投げて水星でフルハウスみたいなのんびり家族愛的な
やつにしたい・・・ - 199二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 20:24:09
- 200二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 21:21:22
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