(SS注意)ヴィルシーナがトレーナーに甘える話

  • 1二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:55:02

    「トレーナーさん、甘えるということは、どういうことなのかしら?」

     トレーニングを終えた後のトレーナー室。
     シャワーを浴びて、制服に着替えた担当ウマ娘のヴィルシーナは脈絡もなく、そう問いかけた。
     質問の意図は理解出来ないが、その目からは冗談の類でないことは伝わってくる。
     彼女にその言葉の意味がわからないとは思えないが、少しばかり考えてから、俺は答えた。

    「かわいがってもらったり、優しくしてもらったり、ということだと思う」
    「……なんだか抽象的で、難しいわね」
    「具体的な話するなら、キミが妹達、特にヴィブロスにしてあげていることじゃないかな」
    「あの子に?」

     ヴィルシーナは目を丸くして、首を傾げる。
     ……まさか甘やかしている自覚がないのか。
     恐らく本人的には飴と鞭で接しているつもりだろうが、傍から見れば飴と飴と飴と飴と鞭くらいの割合だ。
     まあ、小さな頃からそういう関係だったという話だし、あれが自然な状態なのだろう。
     甘えるがわからない、というよりは、甘え方がわからない、ということだろうか。
     何にせよ、話の全貌がまるで掴めない。
     俺は彼女に、余計な探りなどは入れずに、ストレートに聞くことにした。

    「キミが急にそんなことを聞くなんて、何かあったのかい?」
    「ええ、この間、タルマエさんから怒られてしまって」
    「……そりゃ珍しい話だね」

     ヴィルシーナが怒られるということも、同室のホッコータルマエが怒るということも。
     彼女は悲しそうに少しだけ眉をひそめながら、話の続きを語り始める。

  • 2二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:55:31

    「先日、先生からお手伝いをお願いされて、その量が少しばかり多かったのよ」
    「うん」
    「それをこなしていたら、タルマエさんが通りがかって、手伝おうかと言ってくれて」
    「……大体わかった、それでキミは『私の仕事だから大丈夫』とか言ったんだろ?」
    「……見ていたの?」
    「見てないよ、ただ、彼女から怒られたって話とキミのことを知っていれば何となく想像はつくよ」

     そう言うと、ヴィルシーナはバツの悪そうな表情でそっと目を逸らした。
     大方、その後にホッコータルマエから『たまには人に甘えた方が良い』みたいなことを言われたのだろう。
     自分の成すべきことを、責任を持って成し遂げる。
     それはヴィルシーナというウマ娘の持つ、美徳の一つではある。
     しかし、彼女は妹達の模範になるという意識が強すぎて、無理をし過ぎるきらいがあった。
     要は、たまには頼って欲しい、くらいの意味合いだったとは思うのだが。

    「でも、そうね、私が妹達にしてあげていることを、やってもらえば良いのね」

     話がどうにも面倒な方向に転がってしまった。
     これは俺の話の持って行き方に問題があったかもしれないなあ。
     ……とはいえ、まあ、相手はホッコータルマエ。
     困惑しながらも受け入れてくれて、仲良くやっている光景が目に浮かぶよう。
     実際の光景を見れないのはとても残念だが、円満に解決するならそれが何より。
     そんな風に気を抜いている俺に対して、ヴィルシーナはにこりと微笑んだ。

    「それじゃあ、トレーナーさん、よろしくね?」
    「えっ」

     まさしく、寝耳に水、といったところ。。
     一瞬脳がフリーズしかけて、その言葉の意味を理解するのに時間がかかってしまう。
     やがて、ヴィルシーナが俺に甘える、という理解不能な状況が導きだされた。

  • 3二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:55:47

    「……何で俺?」
    「甘えるという行為は、基本的には目上の人や、信頼する人に対してする行為だと思うの」
    「…………まあ、あくまで基本的には、だけどさ」
    「それを私が遠慮なく出来る相手は、少なくともこの学園には貴方しかいないわ」
    「それは、うん、光栄だけどさ」

     ド直球の言葉に、俺の頬が熱くなって、言葉が詰まってしまう。
     対するヴィルシーナの表情は、なんてこともない、普通の表情。
     先ほどの彼女が発した言葉は、彼女にとっては当然で、なんてこともない言葉なのだろう。
     小さく息を吐いて、思考を巡らせる。
     俺としても、少しくらいはこちらに甘えて欲しいと思うことがあるのは事実だ。
     彼女が上手に気を抜くことを身に付ければ、まさしく鬼に金棒という状態になるだろう。
     ヴィブロスにしていること、というのが少し気にはなるが、良識ある彼女なら大丈夫のはず。
     ……しばらく頭を悩ませながらも、俺は意を決した。

    「わかったよヴィルシーナ、思う存分、俺に甘えてくれ」
    「……ありがと、そうさせてもらうわね」

     ヴィルシーナはぺこりと頭を下げながら、礼を告げる。
     そして、顎に手を当てて目を閉じて、考え込むようにじっと口を閉じた。
     一分ほど時間が経過した頃、彼女は目を開き、ぽんと両手を合わせる。

    「そうね、まずは頭を撫でてもらおうかしら」
    「……頭を、撫でる?」
    「ええ、ヴィブロスは小さい頃から頭を撫でられるのが好きなのよ」

  • 4二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:56:02

     ────そうしてあげると、とっても幸せそうな笑顔を見せてくれて。
     ヴィルシーナは幸せそうに顔を緩ませながら、妹との思い出を語り始めた。
     が、俺としてはそれどころではない。
     彼女の、頭を、撫でる?
     光り輝くように艶やかで、走れば美しく風にたなびく、彼女の紺色の長い髪。
     そんな宝石のような存在に、俺みたいな男の手が触れても良いのだろうか。

    「じゃあトレーナーさん、お願いするわ」

     いつの間にか語り終えたのか、ヴィルシーナは一歩前に進み、ひょいと頭を差し出した。
     ふわりと漂うシャンプーの香りが、鼻先をくすぐる。
     すぐ目の前にある彼女の髪を見て、緊張のあまり、身体は硬直してしまう。

    「……トレーナーさん?」

     やがてヴィルシーナは、ちらりと上目遣いにこちらを見つめる。
     そして催促をするように、耳をピコピコと動かして始めた。
     これは、やるしかないのか。
     大きく深呼吸、手汗をかいてないかが不安になって、ハンカチで手を無駄に拭いてしまう。
     俺は、恐る恐る、ゆっくりと、高級品にでも触れるような手つき、そっと彼女の頭に触れた。

    「……んっ」

     ぴくんと身体を震わせて、小さく声を漏らすヴィルシーナ。
     手のひらで感じる彼女の頭は、まるでカイロにでも触れているかのように温かい。
     軽く手を動かしてみると、俺が想像した以上にサラサラとした触感であった。
     そのまま、奥のつむじのところや、手前の特徴的な流星、耳の付け根などを撫でていく。
     新鮮で、心地良い感触に気を取られている最中、彼女が難しい表情をしていることに気づいた。
     ……いかん、不愉快だっただろうか。

  • 5二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:56:14

    「えっと、大丈夫?」
    「……トレーナーさんの手はごつごつしていて、触り方もなんだかぎこちないわ」
    「……ごめん」

     どうやら、お気に召さなかったようだ。
     俺はヴィルシーナの頭から、若干の名残惜しさを感じつつも、手を離そうとした。
     ────しかし、それは他でもない彼女自身の両手によって、阻止される。

    「ヴィルシーナ?」
    「でも、嫌ではないのよ、むしろ何故か嬉しくて、だから、もう少しだけ」

     ヴィルシーナは顔を少しだけ赤らめて、困ったような表情をしていた。
     尻尾は音が出そうなほどにぶんぶんと揺れ動き、だらんと横を向いている。
     ……じゃあ、良いんだろうか。
     俺はそのまま、先ほどと同じように、彼女の頭を優しく撫で続ける。
     すると彼女は、気持ち良さそうに目を細めて、口元を緩ませるのであった。

  • 6二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:56:28

    「……とりあえず、一旦終わりにしようか」
    「ふぇ……? あっ、こほん、そっ、そうね!」

     とろんとした目になっていたヴィルシーナは、慌てた様子で取り繕った。
     彼女の頭から手を離し、赤くなっているであろう顔を隠すため、口元を手で覆う。
     すると、手に染み付いた彼女の髪の、とても良い匂いが鼻に入り込んできた。
     ……顔を隠すのを諦めて、俺はその手を降ろす。

    「『甘える』について、理解は出来た?」

     俺は、助けを求めるような気持ちで、ヴィルシーナにそう聞いた。
     ただ頭を撫でていただけのはずなのだが、なんだかとてもいけない行為だった気がする。
     出来ればこの辺りで切り上げたいと願っていたのだが。

    「ダメよ、まだ足りないわ」

     ヴィルシーナの無情な宣告に、俺の希望はばっさりと切り捨てられた。
     まあ、仕方あるまい、一度付き合うと決めたのだから、ちゃんと最後まで付き合わなければ。
     そして、次に彼女が提案した『甘える』行為は。

    「ヴィブロスには、良く手でお菓子を食べさせてあげるのよね」
    「……ええ」
    「そんな立派なお菓子じゃなくても、そうすると、何故か美味しそうに食べてくれて……!」
    「……ところで、お菓子なんて持ってるの?」
    「…………ごめんなさい、トレーナーさんは何か持っていないかしら?」

     申し訳なさそうにするヴィルシーナの言葉を聞いて、俺は鞄や机の中を漁ってみる。
     数分後、机の上にはいくつかのお菓子が広がっていた。

  • 7二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:56:43

    「酢昆布、ココアシガレット、柿の種、チョコ、素甘……」
    「その一貫性のない組み合わせはどうしたのよ?」
    「買ったわけじゃなくて貰ったんだよ、それで、どうする?」
    「……チョコでお願い」

     わかった、と言いながら俺はチョコの包みを開ける。
     一口サイズの板チョコが複数枚入っているタイプのチョコレート。
     先ほどまで頭を撫でていたので、手を洗ってから、実行に移す。
     ……しかし、現実を見ないようにしていたが、食べさせる、ということは。

    「あっ、あーん」

     ヴィルシーナは、遠慮がちに、小さく口を開けた。
     まあ、こういうことだよなあ。
     真っ赤に濡れている彼女の口の中が、俺の目の前で、晒されている。
     歯並びの良い白い歯、見惚れるほどに綺麗な少し長い舌。
     健康そのものの口内を見ているだけのはずなのに、その様子はどこか妖しく、扇情的だった。
     どきどきと、心臓が早鐘を鳴らす。
     俺は首を振り、あまり直視し過ぎないように、取り出したチョコを慎重に口へと運んだ。

    「あむ」
    「……っ」

     ヴィルシーナは、チョコを持つ俺の指先ごと、ぱくりと口を閉じた。
     そしてチョコを掻っ攫うように、彼女の舌先が、俺の指先をちろりと舐める。
     ぞくりと背筋が走って、次の瞬間には摘まんでいたチョコは切れて、指も解放される。
     てらてらと濡れそぼった、自身の指先。
     そこからは目を逸らして、俺は彼女の方へ視線を向ける。
     彼女はゆっくりと味わうようにチョコを咀嚼すると、やがてこくりと飲み込んだ。

  • 8二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:56:56

    「……トレーナーさん、このチョコ、少し甘すぎないかしら」
    「えっ、これハイカカオなんだけど」
    「……っ!」

     目を大きく見開いて、耳をピンと立ち上げるヴィルシーナ。
     やがてその耳はへにゃりと垂れて、頬を赤く染め上げて、視線を彷徨わせる。
     右往左往していた視線が俺の視線とかち合った時、彼女はそっと目を閉じた。

    「……あーん」

     そして、誤魔化すように、また口を開いたのであった。

  • 9二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:57:08

    「……ご馳走様でした」
    「……ああ」

     俺達は、空になったチョコの箱を見ながら、静かに言葉を発した。
     ヴィルシーナの顔は依然とじて赤いままで、恐らくは俺の顔も同じように赤くなっているのだろう。
     ふやけてしまった指先を拭いながら、再度、彼女に向き合う。

    「それで、まだやるのか」
    「……ええ」
    「そっかあ」

     俯きがちに告げるヴィルシーナ。
     その言葉に軽い絶望感を覚えつつも、気を取り直す。
     もうこうなればヤケである、毒食わば皿まで、行けるとこまで行ってやる。
     パチン、両頬を叩いて気合を入れて、彼女に問いかけた。

    「わかった、じゃあ次は何をすれば良いんだ?」
    「ハグよ」
    「……は?」
    「ヴィブロスはね、何か辛いことがあると、私に抱き着いて来るのよ」
    「いや、それは」
    「何も言わずにただぎゅっとして、そして少し晴れやかな顔で、ありがとうお姉ちゃんって言うの」
    「それは感動的かもしれないけどさ、流石にハグってのは」
    「……ダメ、かしら?」

     ヴィルシーナはくいっと、俺の服を摘まんだ。
     じっと俺のことを、期待と、信頼に満ち溢れた目で、見つめている。
     ……この目には弱かった、この目で懇願されると、どんな無理難題も頷いてしまう。
     大きく諦めのため息をついて、俺は両手を大きく広げた。

  • 10二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:57:28

    「……どうぞ、でも短い時間だけだからね」
    「ふふっ、ええ、わかったわ」

     ヴィルシーナは小さく微笑むと、軽い足取りで俺に向かって飛び込んでくる。
     ぽすんと、彼女の身体が俺の腕の中に入り込んだ。
     重量感のある柔らかな、丸みを帯び膨らみが、俺の身体の上にむにっと形を変える。
     ほっそりとした両腕が俺の背中に回されて、さらに密着する形となり、高めの体温に包まれた。
     彼女の頭は俺の胸の上に置かれて、先ほど感じたシャンプーの香りと、彼女自身の甘い匂いを感じる。

     ……あれ、ヴィルシーナって、こんなに小さかったっけ。

     普段はいつも背筋を伸ばして、凛としているから、もっと大きいとばかり思っていた。
     今俺の腕の中にすっぽりと収まっている彼女は────まるで年相応の女の子のよう。
     いや、違う。
     元々、彼女は年相応の、女の子だったはずなのだ。
     俺がただ、気づかないうちに、そう見てしまっただけで。
     思わず、彼女を抱きしめている手に、力が入ってしまう。

    「……トレーナーさん?」

     耳をぴょこんと反応させて、不思議そうな表情で、ヴィルシーナはこちらを見上げた。
     力が強すぎたのかもしれない、俺は慌てて、彼女の抱き締める力を弱める。

    「ごめん、痛かった?」
    「……それは、ないけど」

     ヴィルシーナは少しだけ残念そうな口振りで、そう否定した。
     冷静に考えれば俺の力程度でウマ娘である彼女にどうこう出来るはずもなかった。
     そして冷静になってしまったことにより、今の状況を思い出して、心臓がバクバク鳴り響いてしまう。

  • 11二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:57:43

    「トレーナーさん、緊張をしているの?」

     突然、図星を突かれて、俺は反射的に視線を下に向ける。
     そこには、俺の胸の、心臓があるところにぴとりと耳をくっつけているヴィルシーナの姿。
     その顔は、まるでヒーリングミュージックでも聞いているかのように、穏やかな表情だった。

    「トク、トク、トク、って早い鼓動で、でもなんだか、聞いていて落ち着くの」
    「……まあ、それで落ち着くなら、いくらでも聞いてくれて構わないよ」
    「……なんだか不思議ね、ヴィブロスみたい柔らかくないし、むしろ固くてごつごつしているのに」

     今度は、ヴィルシーナの方が腕の力を強めた。
     彼女の身体の感触が、匂いが、体温が、より強く、直接的に伝わってくる。
     
    「温かくて、優しくて、安心して────とっても、居心地が良いのよ」

  • 12二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:57:58

     しばらく、ヴィルシーナとハグを続けた後。

    「……とりあえず、参考にはなった?」
    「ええ、おかげ様で、甘える側にどれだけのメリットがあるのかは、理解出来たわ」

     そう満足そうに言うヴィルシーナは、俺の膝を枕にして横になっていた。
     これが、最後の『甘える』。
     今は少なくなったが、小さい頃はシュヴァルグランやヴィブロスのこうしてあげていたらしい。
     時折頭を撫でてあげたりすると、彼女は気持ち良さそうに身動ぎをした。
     ハグやらなんやらをしていたせいか、膝枕も結構な行為のはずなのに、穏やかが時間が過ぎていく。
     ふと、彼女は少しだけトーンを落とした声で、ぽつりと呟いた。

    「シュヴァルには、悪いことをしたかもしれないわね」
    「……急にどうしたの?」
    「今日、私が思い返した『甘える』は、殆どがヴィブロスの行動だったわ」
    「まあ、そうだったけど」
    「だから、シュヴァルは、私にあまり甘えることが出来ていなかったことが、わかってしまって」

     ヴィルシーナは心の底から後悔しているような声を出して、身体を縮こませた。
     俺と彼女の付き合いは、三姉妹が過ごした時間には遠く及ばない。
     彼女達は、俺の知らない彼女達を、お互いたくさん知っていることだろう。
     けれど、そんな俺にも、確かに言えることがあった。

  • 13二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:58:13

    「ヴィルシーナ、それは違うよ」
    「……そんなこと、ないわよ」
    「あるよ、例えばさ、こないだキタサンブラック達に誘われて困っていたシュヴァルグランに助け船を出してあげてただろ?」
    「アレが、少しだけ押しに弱いあの子を、フォローしてあげただけで」
    「甘えるって言葉にはさ、他の人からの好意を遠慮なく受け取ることも含まれているんだよ」
    「……」
    「確かにヴィブロスみたく直接的に甘えるのは苦手みたいだけど、そういうフォローは割と素直に受けるでしょ?」
    「……それは、そうね」
    「それだけキミを頼りにしている、『甘えている』っていうことなんだと、俺は思うよ」
    「頼る……『甘える』……」
    「きっとさ、ホッコータルマエも、そういう意味で、キミに甘えて欲しかったんだよ」

     どういうことか、話がおかしなところへ行って、多大な寄り道をしてしまったけれども。
     
    「……そう、そうなのね、そういうことだったのね」

     ヴィルシーナは心の底から納得したように、そして安心したように、俺の膝の上で頷いた。
     
    「ありがとうトレーナーさん、ようやくわかった気がするわ、タルマエさんにも謝らないとね」
    「キミの役に立てたのなら、何よりだよ」
    「それと、ヴィブロスを、そしてシュヴァルを、甘えさせることが、ちゃんと出来ていたことも」
    「うん、キミは立派に、彼女達のお姉さんが出来ているよ」
    「……それと」

     膝の上の重みが、ずっしりと増していく。
     それは、ヴィルシーナが力を抜いて、自身の身体を俺に預けている証左でもあった。
     彼女は嬉しそうな微笑みを浮かべながら、目をそっと閉じて、言葉を紡ぐ。

    「私がずっと前から────トレーナーさんに甘えていたことも、ね?」

  • 14二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 01:59:34

    お わ り

    下記のスレに影響を受けて書きました

    ……のはずなんですが書き終わってみると全然違う話になってましたね、不思議だ


    この娘に|あにまん掲示板ハグされた状態で「家だといつもお姉ちゃんだったから…もう少しこうしていても良いですか?」って甘えられたいbbs.animanch.com
  • 15二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 02:04:03

    ブラボー
    深夜に素晴らしいものを見せていただきありがとう😭

  • 16二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 03:35:41

    >>14

    このスレのスレ主です…!

    こんな良いssが見れるとは…!

  • 17二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 03:53:32

    なんだいここ最近ヴィルシーナのSSラッシュは
    ありがとうございますありがとうございます

  • 18123/11/21(火) 13:10:39

    感想ありがとうございます

    >>15

    そう言っていただけると嬉しいです

    >>16

    良きスレをありがとうございました

    >>17

    色々と刺さりますからねえ

  • 19二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 13:17:14

    ジェンティルドンナが見たらどう思うのか

  • 20123/11/21(火) 18:26:28

    >>19

    ウマ娘世界だときっと普通だから……

  • 21二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 19:00:26

    しゅき

    あまあま全部入りって感じ!

  • 22123/11/21(火) 19:49:34

    >>21

    書きたいこと全部ねじ込みました

  • 23二次元好きの匿名さん23/11/21(火) 19:50:18

    この後も定期的にこんな感じのことしてて欲しい…

  • 24123/11/21(火) 20:40:19

    >>23

    永遠にイチャイチャしていて欲しい

オススメ

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