【🎲/閲覧注意】日常にそっとホラーを忍ばせる

[1 1 23/11/21(火) 13:40:04]

スレタイ通り一味の日常にスレ主がホラーを一滴混ぜていくだけのスレ
誰が当たるかはダイス次第その結果が後々に響くかもしれない
時間軸はジンベエ加入後～エッグヘッド前くらいのはずもしくは謎時空
ゆっくりまったり進行

[2 1 23/11/21(火) 13:45:18]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=5 (5)

[3 1 23/11/21(火) 13:59:07]

※多少の一味の日常に捏造が入る予定
　スレ主は原作と映画数本とアニワン半分程度しか見てないのでそれ以外の媒体の情報はスレ内に入らない

[5 1 23/11/21(火) 14:28:02]

1.サンジ

くぁ、と欠伸しながらキッチンに向かう途中に、海を眺めながら煙草に火を点ける。見張り台の上にはジンベエがいて、サンジに気づくと挨拶代わりに片手をあげた。煙草を咥えたまま、サンジも同じように返す。
今の時期は日の昇りが早い。既に空はだいぶ明るく、けれどまだ空気は冷たかった。朝の一服はその冷えた空気と潮の匂いによく馴染む。いつもの…。
「…ん？」
ふと、馴染んだ匂いの中に慣れないものを嗅ぎ取った。サンジか、もしくはチョッパーのような優れた嗅覚がなければ気づかなかったかもしれない程度の違和感。
咥えていた煙草を一度離してよくよく見てみるが、特におかしなところはない。
「気のせい…か？」
一度違和感をもってしまえばそれ以上吸う気にはなれず、まだ吸い途中の煙草を消す。ガシガシと頭をかいたサンジは気を取り直してキッチンに向かった。

まだ寝ぼけているのか、それとも少し前のワノ国での記憶が脳裏に過ったか。
一瞬塩と煙草の匂いの中に嗅ぎ取ったのは、あの国で死者を弔う時に立てる線香のそれだった。

[6 1 23/11/21(火) 14:31:02]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=1 (1)

[7 1 23/11/21(火) 15:29:50]

2.ルフィ

真夜中、ふとルフィは目を覚ました。眠くなったら寝て目が覚めたら起きるのが常なので珍しいことではない。特に腹具合には多大な影響を受けるから腹が減れば目も覚める。時によっては寝てても食う。
とはいえ今のルフィは腹が減って目覚めたわけではない。昼間にチョッパーとがっつりしっかりたっぷり昼寝をしたのでそのせいだろう。チョッパーはすやすやと夢の中だが。
起きてしまったものは仕方ない。うにゃうにゃと言葉にならない音を零しながら、目を擦り起き上がる。起き上がってしまえばますます目が覚めてきた。手近なボンクを揺らしてみるがウソップの呻き声が返ってくるだけ。また眠くなるまでの暇潰しに遊んでもらうのは難しいようだ。
男部屋の誰を起こそうとしても同じようにロクな反応が返ってこないか蹴り出させるかするのをルフィは経験で知っている。ならば見張り台の上に誰かいるはずだから話し相手くらいにはなってくれるだろうとルフィは男部屋を出た。

「ぅわっ、寒ィ…！」
外に出た途端、ひゅうっと夜中の風が全身に吹きつけた。寒い。まるで冬の風だ。寝起きで温かかった体から一気に温もりが抜けていく。
とっとと見張り台に上がって…今夜はジンベエだったか…そいつの毛布の中にもぐりこもう。そう考えて体をそちら側に向けた時、甲板に佇む長身の骸骨に気がついた。

[8 1 23/11/21(火) 15:32:05]

「…ブルック？」
一瞬、そう錯覚した。世界広しといえどアフロ骸骨の音楽家を抱える海賊団は麦わらの一味だけ。そしてブルックが甲板に立つ姿など一味には見慣れた光景なのだから。
けれど口に出すと同時に違うと察した。まずあの骸骨にはアフロがない。あと服を着ていない。人骨の白さが夜の甲板にぼんやりと浮かび上がっているのだ。ブルックは紳士だから、ミダシナミにはこだわる。少なくとも裸で出歩く事はない。
誰だ、とルフィが口にするより先に、海を眺めていたらしい骸骨がルフィの方に顔を向けた。少し遠いが、やっぱりアフロはないしブルックのような表情豊かな感じがしない。本当にただの骨だ。その無機質さをルフィは本能で感じた。
その骨が、カタ、と音をたてた。カタカタカタ、と笑っているような軽快な音を。
それが止むと今度はボッと燃え上がる。青い炎が骸骨の足下から全身を包み、ルフィが見ている間に燃え尽きてしまった。
ぱちぱちと瞬きするルフィの目の前には、もういつもの夜の甲板と海しかない。ひゅうとまた冷たい風が吹いて、ルフィは思いっきりくしゃみをした。

「おうルフィ、そんなところで何しちょる？」
上から呼び声がかかる。見張り台にいたジンベエがルフィに気づいたようだ。びよん、と腕を伸ばしてルフィは見張り台に飛ぶ。
「なんじゃお前さん、そんな薄着で　風邪をひくぞ」
ほれ、入れと促されるまでもなくルフィはジンベエが身を包んでいた毛布に潜り込む。あったかい。生憎夜食はもうないようで、ジンベエは酒ならあるぞと勧めてきたが首を振る。ルフィは酒が好きではない。
「ジンベエ、何か見たか？」
「今夜か？いや、何も異常はないが…何ぞあったか？」
あの位置であんなに派手に骸骨が燃えて、ジンベエが気づかないはずがない。ならそういう事なんだろう。
「いんや、なんも」
寒ィ、と呟くルフィの向こうで、朝の気配が空を焼き始めた。

[9 1 23/11/21(火) 15:34:26]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=3 (3)

[10 1 23/11/21(火) 16:21:13]

カモメが飛び立つのを見送ったナミは買ったばかりの新聞をバサッと広げた。多少操作されているとはいえ世界の情報は海賊としても必須だ。特にこの船の船長はそういった世情にあまりにも疎いので自分たちがしっかりしなくては。
相変わらず世界は物騒で、並ぶ記事もそんなものが目につく。そうして一面、二面、と読み進めていって、次を読もうと紙を捲った時だった。
バサッ
「きゃっ」
思いもよらないものが目に飛び込んできて、反射的にナミは手を放した。当然新聞は芝生に落ちる。それを聞きつけたらしいロビンが顔を上げた。
「ナミ、どうしたの？」
「びっくりしたぁ…何よ、これ」
ナミの視線は芝生に落ちた新聞…の間に挟まっている、白い紙。白い紙？買ったばかりの新聞に挟まるような物ではない。なにかしら、とロビンはそれを新聞とともに拾い上げた。
「…あら」
ロビンをしても、間があった。それは新聞紙よりも厚い画用紙だった。買った新聞を受け取った時点で気づかないのがおかしいくらいには、新聞紙とは質が違う。
その画用紙には、クレヨンらしきもので絵が描かれていた。いかにも子どもが描いたらしいぐちゃぐちゃの絵だ。港と、船と、子どもだろうか。それだけ見れば微笑ましいはずの絵でも、何の前触れもなくいきなり目の前に突きつけられたら驚く。改めて見れば本当にただの子どもの絵で、怖いはずもないのだが。
「どうしてこんな絵が紛れ込むのよ！明日来たら文句言ってやる！」
「そうね　社員の誰かのものかもしれないし、返してあげましょう」
大げさに驚いてしまった事に羞恥を感じたらしいナミが矛先をニュースクーに向ける。ロビンは微笑みながらその反応を愛でた。

[11 1 23/11/21(火) 16:23:20]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[12 1 23/11/21(火) 22:29:31]

3.ゾロ

一味の殆どが眠りにつく時間帯。夜間前半の見張り番のゾロは酒とつまみ―今夜は昼間にウソップが釣った肴のたたきだ―を携えて見張り台に登った。ワノ国を出る際に貰った日本酒と、それ用のとっくりと盃は最近のゾロのお気に入りだ。
ｻﾞｰｰｰﾝ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…
荒れてもおらず敵船や海獣の影も見えない、ただただ静かな夜。白く輝く月を眺めながら、ゾロは一人月見酒に興じた。うまい酒、満月、波の音と揺れ。悪くない。
しかし次を注いで盃を口に運んだ時、ふと血生臭いものを感じた。今飲んでいるのは辛口で香りも後味もすっきりした酒のはずだが、その香りが鼻孔の奥に届いたところで血生臭さが僅かに花開く。
なんだ？と盃を見ると、僅かに揺れる酒の水面に月が映っていた。それだけ見ればこれぞ風流といったところだが、当のゾロはその月を見て唖然とした。
映った月は空のそれとは異なり、血のように真っ赤だった。どろりと溶けそうな生々しい赤。当然映った月の色が違って見えるなんて洒落た仕掛けのある盃ではない。反射的にゾロの手が愛刀にかかった。
ｷﾞｼｯ　ｸﾞﾗｯ
「うぉっ」
突然大きめの波がきて船が揺れた。転覆を懸念するようなものではないが、思わず盃を取り落としそうになるほどの揺れだった。
危ねェ、と改めて持ち直した盃を見る。水面の月は、白く輝いていた。
「…？？？」
目を擦って見るが変化はない。数秒前までは赤かったはずの月は何のことだとばかりに白く揺れている。鼻を近づけて匂いを嗅いでみれば鋭い酒精が舌を誘った。
酒に舌をつけてみる。ぴり、と心地よい刺激があり、ゾロはそのままぐいと中身を煽った。飲み込んでも特に異常は感じない。
「…気のせいか」
少なくとも今は何もおかしな事などない。なら問題ないなとゾロは交代のジンベエが来るまでそのまま月見酒を堪能した。

[13 1 23/11/21(火) 22:40:20]

全体的に長いな　もうちょっと短くするか

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[15 1 23/11/22(水) 00:02:44]

2.ゾロ

真っ昼間。甲板でゾロは刀の手入れをしていた。今日暑い。ルフィ達はぐてんと寝転がっているしナミ達はパラソルの下にビーチチェアを並べている。
ゾロは上半身裸になって愛刀に打ち粉をあてていた。古い油を取り除き、また新しい油を塗るために。刀の手入れには剣士として手を抜けない。ワノ国で手に入れた手入れの品々はさすがにものが良かった。紙で拭き取ると汚れの落ちた刀身がぎらりと太陽光に輝く。と。
ｸﾞﾆ~
「ぶっ！！」
その刀身に我らが船長の体質を活かした変顔が映り込んだ。何してんだと振り返れば案の定ただの暇潰し。そしてあまり楽しくなかったらしく、すぐに飽きてどこかへ行ってしまった。まったく…とゾロが溜息一つ零して刀に意識を戻したところで。
ﾖﾎﾎ…♪
「止めろ！！」
「痛ァ！！」
今度はブルックがにゅっと映り込んできた。しかもご丁寧に魂の状態で。お前のは洒落にならねェんだと一発拳骨を見舞ってやれば「ちょっとォ！ルフィさんの時と対応違いません！？」と文句をつけてくる。知るか。
「ったく…ゆっくり刀の手入れもできやしねェ」
刀の手入れは繊細なものだ。うっかり打ち粉で傷でもついたらどうしてくれる。そう吐いて座り直し、丁子油を手に取った時だった。
ｶﾀ…ｶﾀｶﾀ…
「なんだ？」
閻魔が僅かに震えた。元より刀が鳴いたり震えたりという現象は剣士であれば希に目にする。それが妖刀であればなおさら、そして妖刀ではないとはいえこれは閻魔だ。
とはいえ見聞色には何も引っかからない。仲間達も何か感じている様子はない。周囲を一度警戒したものの異常は感じられず、ゾロは視線を閻魔に戻し隅々まで観察した。
ﾎﾞﾜ…
「！？」
閻魔の刀身にゾロの顔と、その後ろに首のない男が映った。瞬間、振り向きざま背後に刀を走らせる。少し離れたところでこちらに気づいたルフィが「ゾロ？」と声をあげるのが聞こえた。
「どうした？」
「…いや」
手応えなし。震えの止まった閻魔の刀身を覗いても、自分の顔が映るだけだった。

[16 1 23/11/22(水) 08:38:54]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=9 (9)

[17 二次元好きの匿名さん 23/11/22(水) 19:55:44]

ほっしゅ

[18 二次元好きの匿名さん 23/11/22(水) 19:58:27]

おもしろい

[19 1 23/11/23(木) 02:02:25]

書き方間違えた

>>7が　1.ルフィ　で

>>10が　1.ナミ

>>12が　1.ゾロ　ですわ

以下それに倣って続ける　すみません

[20 1 23/11/23(木) 03:39:48]

1.ブルック

音楽家・ブルックの朝は早い。今日もまだ日が昇りきらないうちから身だしなみを整え、バイオリンを片手に甲板に上がる。清々しい朝の潮の匂いとまだ夜の気配が色濃い海。夜中ほどではないのだろうが風もまだ冷たい。反対方向を向いているのか見張り台の上にいるはずの誰かは、ブルックの位置からは見えなかった。
いつもはブルックと同じかともすれば早くキッチンに入るサンジは、今日はまだ眠っている。毎日朝から晩までクルーの腹を満たす手間を惜しまない彼だ。もう少しゆっくり眠っていてもいいだろう。
「では…」
そうなれば静かで穏やかなメロディが好ましい。ブルックは慣れた手つきで馴染んだ曲を奏で始めた。
♪～♪♩～♬～
しかしそうして引き続け、水平線の彼方に朝の気配が滲み始めた頃。
「…はて？」
おかしい。こんな時間になってもサンジが起きてこない。いつもなら、ロビンもそろそろダイニングに来る頃だ。
まだ眠っているのだろうか？サンジが寝坊など珍しい事だが、あり得ないことではない。それでもそろそろ起こさないと、朝の支度は間に合うまい。いや、たまには寝坊した彼に自分達が何か用意して待っていてもいいのかもしれない。問題は、体調を崩して起きれなくなっている場合だ。
念のため、ブルックはサンジの様子を見にいくことにした。朝食の方をどうするかはサンジの様子を見てからでもいいだろう。キッチンは彼の領域だから、不躾に立ち入るつもりはないが、それはそれ。そうして男部屋の前まで来た時、ブルックは再度首を傾げることになる。
静かなのだ。いつもなら誰かしらの鼾が聞こえる男部屋が、妙に。
ルフィはブルックが起きた時点でいなかったから、おそらく見張り台にでも行ったのだろう。ジンベエもいなかった。夜から朝方にかけての見張りが彼だったはずだ。
「失礼しま～す…皆さん、朝ですよ～」
こっそり声をかけながら扉を開ける。開けて、数秒。
「…えっ！？」
思わず声を上げた。静かな男部屋には、誰もいなかったのだ。
まさかとボンクを見て回ればどれにも誰も寝ていない。あのゾロまでもが。完全に蛻の殻だった。しかもシーツが冷たい、寝ていた者が起きてボンクを抜けてからそれなりに時間が経っている。

[21 1 23/11/23(木) 04:18:40]

いつの間に？皆が起きていて、ここに来るまでに誰にも遭遇しないなんて事があるか？ダイニングでさえブルックが丸窓から見た限りまだ暗く誰もいなかった。あそこにいないなら、あとは？
「…なんでしょう、この感じ　寒気がして鳥肌がたつような…私、肌ないんですけど！」
ヨホホ、と敢えて陽気に振る舞ってみても返ってくるのは波の音だけ。
胸騒ぎがして、ブルックは船内を走り回った。図書室、風呂、アクアリウム、倉庫、その他船内を隅々まで。しかしどこにも、誰もいない。痕跡もない。
ふいに少し前までの絶望的な孤独の気配が蘇り、ブルックは心底ゾッとした。そしてすぐに首を振る。何か船に異常がおきているのなら尚のこと、冷静に。
「そうだ、見張り台…！」
まだ見ていない場所を思い出し、ブルックは表に出ると身軽さを活かしてマストを駆け上がった。
「ジンベエさ――」
ん、の音は出なかった。見張り台にも、誰もいない。
ない心臓が痛いほど脈打つ。あり得ない。こんなに短時間で、陸地も見えない大海原で、クルーが全員姿を消すなんて。
しかし経験上幻覚には強く、異常事態にも冷静でいられる自負がブルックにはある。この時も動揺こそしたものの、長く一息吐いて気を取り直した。見張り台からすとんと降りて、顔を上げる。
水平線が明るい。もう朝がくる。そうだ、今一度船内を探そう。申し訳ないが今度は女部屋にもお邪魔し…あ、いいですねそれ。大声で皆を呼んで、楽器を鳴らして、躍り出ずにはいられないような音楽を奏でながら―――。

「あ、いた！ブルック！」
水平線から太陽が鮮烈な光を覗かせたのと同時。ブルックの思考を断ち切るような溌剌とした声が飛んできた。振り返ればそこにいたのは我らが船長…なにやらちょっとお怒りだ。
「ルフィ、さん？」
「お前どこ行ってたんだよ、探したぞ！サンジがお前が来なきゃメシにしねェって言うんだ！」
行くぞ！とブルックの腕をぐいぐい引っ張る。ぐぎゅるる、と聞き慣れた腹の虫までもがブルックを急かした。
「…ッは～～～～～～…」
がくん、と思わず座り込む。よくわからないが、どうやら夜明けと共にブルックの日常が戻ってきたらしい。
「どうした？腹でもいてェのか？」
くりっとした大きな目でルフィが空洞の目を覗き込む。ブルックは辛うじて一呼吸おいて、いいえ、と笑みを返した。

「なんでも…えぇ　なんでもありませんとも」

[22 二次元好きの匿名さん 23/11/23(木) 11:16:07]

各キャラごとに番号振るってことはそれぞれのストーリーがあるってことか？

[23 1 23/11/23(木) 12:43:14]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=5 (5)

>>22

全ては🎲次第

[24 二次元好きの匿名さん 23/11/23(木) 23:00:40]

保守

[25 1 23/11/24(金) 01:02:26]

2.サンジ

コックであるサンジは多忙だ。朝昼晩とおやつに夜食、さらに＋α。クルー全員の胃も心も満たし健康面もフォローする料理を習得したサンジの作る料理は航海の醍醐味といっても過言ではなく、毎日のそれをクルー達は皆楽しみにしていた。特にルフィは常人の十倍は食べるのだから大変だ。
とはいえそこは海の一流コックであり仲間を愛する献身的な彼のこと。毎食うまいうまいと笑顔で食べる仲間の顔を見るのはサンジの喜び(特に麗しき女神2人！)。よってサンジは今日もキッチンに立ち、鮮やかな手捌きで食事の用意をしていた。

ﾄﾝﾄﾝﾄﾝ…ｼﾞｭﾜ~ｯ…
小気味よく食欲をそそる音と匂いがダイニングに響く。切り、炒め、刻んで、包んで、煮込んで。リズミカルな音はサンジの機嫌を表しているかのように軽快だ。そこに。
「うまそ～～な匂いがする！！」
「なんだ！今日のメシなんだ！？」
腹ペコ男子共が飛び込んできた。今日はルフィとチョッパーだけ。ギラッとサンジの目が光る。
「まだだっつの！大人しくしてろ！コラ、暴れんな！！」
この船のコックが人一倍屈強でないと務まらない理由がこれ。つまみ食いを狙う奴らの多いこと。こういう時は…と、サンジは用意しておいた大皿をドン！とカウンターの上に置いた。おおー！！と元気な声が綺麗にハモる。
「何だこれ！？」
「金色みたいだな～！キレ～だな～！」
「干し芋だ　他の野郎共にも持って行けよ」
わーい！！と来た時の勢いのまま大皿を掲げて飛び出していく。ちなみに当然だが、レディ2人には綺麗に盛り付けトッピングしたものを既に出している。
「さて、今のうちに仕上げるか」
ﾄﾝﾄﾄﾝﾝ…ｸﾞﾂｸﾞｯ…
「…？」
ふと、サンジは違和感を覚えて眉を顰めた。何か、妙な感覚が。
ﾄﾄﾄﾄﾄﾄ…ｼﾞｬｯ…ｶﾁｬｶﾁｬ、ﾄﾄﾄﾝ…
「(…音？)」
違和感は包丁を使っている時に潜んでいた。音が、多い？10回刻んでいる時に12回音が聞こえるというか。微妙にズレた音が混じっている、気がする。
「いやいや」
なんで音が増えるんだよ。サンジは緩く頭を振った…寝不足かもしれない。そういえば昨夜は少し遅かった。理由？ルフィが例によって食料庫を狙ったからだ。
そう、その船長の腹を満たすには一分だって気を抜けない。サンジは改めて包丁を握る。

やはり気のせいだったようで、その後は音の違和感はなかった。
たぶん。

[26 1 23/11/24(金) 12:02:59]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=6 (6)

[27 二次元好きの匿名さん 23/11/24(金) 17:31:55]

取り立てるほどでもない日常の違和感の不気味さよ
良スレ　ハート百回押したい

[28 二次元好きの匿名さん 23/11/24(金) 18:14:59]

経験を踏まえたブルックの動揺と事態への対応速度いいなぁ
ドキドキしたし、（女部屋にもお邪魔し…あ、いいですねそれ）の下りがいかにも原作にも出てきそうなブルックの思考で笑った

[29 1 23/11/25(土) 05:08:14]

1.チョッパー

最初はたぶん、図書室から医学書を何冊か重ねて保健室(医療室)に運んでいた時だった。途中で廊下でフランキーと会ったのだ。
「おうチョッパー、その本は勉強用か？」
「あ、フランキー　うん、この辺りの本は買っただけでまだちゃんと読んでないんだ」
「勉強熱心じゃねェか　頼もしい船医だぜ」ｱｳｯｩ
「た、頼もしい…！う、嬉しくねェぞこのやろー！」
わたわたしたために落としかけた本をサラッと受け止めたフランキーは手伝ってやろうとチョッパーを担いだ。
「で、こいつは何の本なんだｨ？」
「えっとな、SMILEってあっただろ？」
「あぁ、ドレスローザに工場ﾄがあったアレか」
「そういえばフランキー達は、工場を破壊しに行ったんだよな」
「あァ　まさかあんな代物たァ思わなかｯったぜ」
「うん　結局ワノ国ではおこぼれ町の人たちに何もできないまま出航しちゃったから…この本は薬物についてのものなんだけど、なんとかする手はないのかなと思ってさ」
「ッか――――ｧ！！チョッパー、おめェってヤツァ…！！ｫ」ｳｫｫｫｫ…！
「うわ、なんだよフランキー！」
おいおい泣かれて揺さぶられたせいで、この時気づくのが遅れた。保健室に送り届けられてフランキーと別れ、今の事を反芻しているうちにチョッパーは「あれ？」と思った。
「(なんか…フランキーの声、変だったような…？)」
その時は具体的に何がおかしかったのかわからなかった。気のせいかな？でスルーした。
わかったのは、その少し後。バタバタという足音に続いて保健室の扉を勢いよく開け放ったのはウソップだった、
「おいチョッパー！釣りしようぜｫ釣り！やっとできたんだフランキーにも協力ｸしてもらった新型の釣り竿！！」
「おおお――――！✨」
勉強はしたいが釣りもしたい。聞けばルフィとジンベエも甲板にいるという。読んでいた本をパタンと閉じて、チョッパーはウソップについてくことにした。ぴょこんと椅子から降りる。ウソップは扉の前で自慢げに胸を反らして語った。

[30 1 23/11/25(土) 05:14:21]

「今回の改造はﾀなかなか苦労しｹたんだよ　何ﾃせ新世界ときたｵら場所や天候、あとｺ狙う魚で使うﾁ釣り竿の強度ﾉとか仕ﾏ掛けの種類とかﾆ色々変えなきゃねらねェからﾊな　だがしかしそこはｷおれ様！発想の転換でこの難題ﾖを見事クリアし…」
「…？？」
おかしい。ウソップの声が微妙にダブって？聞こえる…ウソップの声に隠れて別の誰かの声が聞こえる？けれど耳を澄ませてもはっきりと聞こえるわけじゃなくて…なんだろう、音の名残が聞こえるような、奇妙な感じだ。まるで誰かもう一人いるかのような。いや、でもまさか。だってここには今2人しかいないのに。
いつもの船になぜかひどい閉塞感をおぼえて息を呑む。そして甲板に続く扉を開けたウソップが動きの止まっているチョッパーに気づき、不思議そうな顔でしゃがみこみ、覗き込んだ。もちろんウソップ自身には何もおかしいとことはない。
「どうした？チョッパー」
「う、ううん、、なんでもない！」
たぶん気のせいだ。だって今はなんともない。閉塞感だってもう――…あ、そうか！
「(中だから声が反響してそう聞こえたんだ)」
だからウソップが扉を開けた途端に違和感がなくなった。そう気づいたチョッパーは心底ホッとして笑顔を見せる。そういえばフランキーと会ったのも廊下だった。
「それよりウソップ、見せてくれよ新型の釣り竿！おれも使ってみてェ！」
「お！ノッてきたなチョッパー？あっちだ、ルフィに交代してもらおうぜ」
「ルフィはもう何か釣ったのか？」
「いや、さすがにまだだな　まあ焦る事はねェよ」
ニヤリと笑ったウソップは甲板の向こうにいるルフィと様子を伺うジンベエの方に踏み出した。
「ほら、行こうぜチョッパー！今夜は魚だ！」
「うん！」

「サンジがビビﾂるﾚくらいのﾃ大物を釣ってやｸろう！」

[31 二次元好きの匿名さん 23/11/25(土) 10:16:26]

日常がかわいいのにじわっとホラー…
良いな

[32 1 23/11/25(土) 11:11:33]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=10 (10)

[33 1 23/11/25(土) 18:16:43]

1.ジンベエ

「なあジンベエ、一つ相談があるんだが」
「うん？どうした」
見張り番の翌日、ルフィ達の釣りを眺めていたジンベエはサンジに声をかけられた。
「ミネラル補給のために海藻が欲しくてな」
「ああ、なるほど　そういうことならわしに任せい」
あれば貝も採ってこよう。快く引き受けたジンベエにサンジの表情が明るくなる。
「助かるぜ　おれも泳ぐのは苦手じゃねェんだが、さすがに海底まではな…」
「わっはっは！泳ぎにかけて並ばれてはわしの立つ瀬がないわい！何よりお前さんはいつも忙しいんじゃ、そういう手伝いならいくらでもするぞ」
ドンと胸を叩いて言えばサンジは「頼もしいな」とニッと笑う。
「じゃあ頼んだぜ」
「うむ　早速行ってこよう」
「ん？ジンベエどっか行くのか？」
釣りに興じていたルフィが耳聡く気づく。ウソップとチョッパーもそろって振り返った。
「海藻を採ってきてくれるとよ　お前らもしっかり釣れ」
「おう！海藻は任せるけど負けねェぞジンベエ！」
「ほう、言ったなルフィ？」
船長の挑戦を受けて、ジンベエはニヤリと笑う。手摺に足をかけると「楽しみにしとれよ」とそのまま海に飛び込んだ。大きな飛沫があがる。
「いーなー、ジンベエは泳げて」
「そりゃあ魚人だからな　泳ぎにかけちゃエキスパートよ」
「おれ昔っからカナヅチだからな〜　泳ぐのって楽しいんだろ〜な〜」
「おれも泳いだことねーなー　ジンベエすげーなー」
「まあ聞けお前ら　実はな、この世には食べれば誰でも一時間泳げるようにるグミがあってだな…」
海面を羨まし気に見下ろす2人にウソップがいつものホラ話を始める。やれやれとそれを見ていたサンジは「ほらお前ら、気合い入れて釣れ！」と言葉で3人の背中を叩いた。

[34 1 23/11/25(土) 22:33:20]

ルフィ達が釣りに勤しんでいる頃、ジンベエは早くも海底に泳ぎ着いた。ジンベエにとって海を泳ぐのは人間が歩くのと変わらない。よほど海が荒れていればまだしも今サニー号が進んでいる海は比較的浅かった。ただしかなり凸凹があるので海流は安定しない。
「(この辺りじゃな)」
通常海藻といえば太陽光が届かない深さの海底では育ちにくいものだがそこは新世界の植物。比較的高い位置まできている海底や岩場などから伸びた巨大な海藻が揺れていた。小魚が揺れる海藻の中を泳いでいる。
「(すまんがちと貰っていくぞ)」
小魚達がくるくる回って泳いで避ける。ある程度を採りこれくらいか、とジンベエは海藻を腕に抱えた。さらに少し降りるとちょうどいいところに牡蠣と類似の貝もいた。なかなかの豊漁。
では戻るかとサニー号の方角を振り返ったところ、少し遠くにもう一つ大きな岩礁を見つけた。あちらも中々大量の海藻が揺れている。どうせ大食漢と一流コックのいる船だ、無駄にはなるまいしもう少し採っていくかと進行方向を切り替えた。
「(…ん？)」
しかしある程度岩肌が目視できる距離まで来て、ジンベエは眉を顰めた。ごつごつしたその割れ目に、ころんと白っぽくて丸いものが見える。暗い色合いの岩礁に、その白は目立った。
「(あれは…　――――ッ！！)」
それが何か気づいた時、ジンベエはハッとして動きを止めた。穴の空いた丸いもの。
「…」
ジンベエはその場で黙礼すると、身を翻して浮上していった。

真昼のサニー号の甲板は大騒ぎだった。ジンベエが大量の海藻と牡蠣を持ち帰り、ルフィ達が5mを越える海獣を釣り上げたのとで急遽海鮮バーベキュー状態。
仲間の大騒ぎを背に既に遠くなった海を眺めていたところ、そんなジンベエに気づいてブルックが近寄った。
「何か気になることがおありで？」
「うむ…」
ふと、そういえばこの骸骨剣士は音楽家だったなと思い出す。ブルック、と呼べば心得ているという様子でサッとバイオリンをどこからともなく取り出した。
「わかったか」
「えぇ」
♪～♬♩～♫♪～
太陽の船の音楽家が奏でるのは明るい曲調の葬送曲。どこかの国では死者を送り出す際に祭りをするらしい。天国への旅路に幸あらん、と。アップテンポで時にエネルギッシュな曲で、知識が無ければ宴で奏でられていてもおかしくない曲。
その一曲が終わるまで、ジンベエは静かに黙祷していた。

[35 二次元好きの匿名さん 23/11/25(土) 23:17:58]

その白い丸いものはブルックの顔と似てた感じ…？

[36 1 23/11/25(土) 23:34:05]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[37 二次元好きの匿名さん 23/11/26(日) 07:33:21]

チョッパーのとこの最後のセリフ半角片仮名つなげたら怖いことに

[38 二次元好きの匿名さん 23/11/26(日) 17:34:01]

待機

[39 二次元好きの匿名さん 23/11/26(日) 18:53:59]

宴の雰囲気を壊さず要望に応えるブルックの気の回し方好きだな
ジンベエの話の落ち着いた雰囲気、親分らしい

[40 1 23/11/26(日) 21:53:25]

3.ゾロ

チラッ、と視界の端に何か見えた気がしてゾロは右目を向けた。ちょうど丸窓を通り過ぎたところで、そこに映った自分の影を見たようだ。
修行を経て今の状態になったが、今はもう困ることもない。今は。当初は距離感も掴めず、しょっちゅうあちこちぶつけたものだが。
そんな事を思い出したせいか僅かに左目に痒みのような疼きを覚えた。目がこうなって以来時々おこることだが、さほど気になることではない。実際ゾロは何か考える事もなく、トレーニングルームに向かった。

「606…607…」
重りを背負って片腕立て伏せをするゾロ。天候は安定しているらしく集中して筋トレを終え、汗を拭いて長く息を吐く。ふと左に感じるものがあり視線を向ければ窓があり、その向こうに青空と海が広がっていた。窓を開けると仲間の騒がしい声、潮の匂いと共に風が入ってくる。火照った体に海の風が心地よい。…いやうるせェなあいつら、何してんだ。
ふと潮にあてられたのかまた左目が疼いて軽く擦る。と、その時波音に紛れてバシャンと何かが水に落ちるような音が聞こえた。そして。
「うわああ――――！！ルフィ――――――！！！」
「ル、はァッ！！？」
やたらでかい魚と釣り道具やら何やらが散らばっているのを見るに、釣り上げたと同時にルフィが海に落ちたらしい。ジンベエの姿は見えない、サンジはおそらくキッチン…などと考えるまでもなく、ゾロはそのまま海に飛び込んだ。

「なにしてんだお前は！！」
幸いにもそこまで深く沈んでいなかったルフィを掴んで浮上しザバッ、と引き上げたゾロは開口一番に船長を叱りつけた。海水で弱り切ったルフィは情けない声ですびばせん…と芝生に転がっている。そこに騒ぎを聞いて駆けつけた仲間達の中で、ナミが大きく溜息を吐いた。
「まあでもちょうどいいわ　アンタ達、お風呂入ってきなさい」
「はァ？」
「ええ～～～…おれ今水浴びたから風呂いいよ」
「海はお風呂じゃないのよ！アンタもう4日入ってないでしょ！それにゾロ、アンタ筋トレしてたわね？ついでにルフィお風呂に入れて来て！」
「なんでおれが！」
「ルフィ一人だと、溺れちゃうかもしれないものね」
ロビンがナミの後ろから補足する。さらにサンジが釣った海獣を吟味しながら風呂入らなきゃおやつと酒はやらんと言うものだから、ゾロは悪態つきながらルフィを担ぎ荒い足音をたてながら風呂に向かった。

[41 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 05:26:10]

ホラーに無縁そうなキャラが違和感覚えるのってなんかぞわっとするな

[43 1 23/11/27(月) 08:43:46]

頭から湯をかけられた後湯船に放り込まれたルフィはうへぇ～…と脱力している。それを横目にゾロはやれやれと一仕事終えて短く息を吐いた。短い髪を石けんでがしがし洗う。サンジなどは信じられないというような顔をするが汚れが落ちりゃなんでもいいじゃねェかというのがゾロの意見だ。石けんって汚れを落とすものだろ。
これについては意見の分かれるところで、例えば意外にもルフィはシャンプー派だったりする。理由？もちろん泡で遊べるからだ。男風呂大会の時なんかはウソップが泡の技巧を披露しフランキーが湯船でも遊べる簡易の玩具を浮かべたりする。ミニサニー号(模型)とか。
大騒ぎだった前回の男風呂大会を脳裏に過らせながら泡を流しにかかる。髪から垂れた泡が目に入りそうになり雑に擦り、薄目を開けると当然だが鏡が目の前だ。
「(…ん？)」
鏡に映った自分に、ゾロは違和感を覚えた。僅かに左目が疼いて擦る。何だ？と右目を瞬かせたところで。
バシャンッ
「ぶわっ！」
後ろからけっこうな量の湯がゾロの後頭部を直撃した。ぽたぽたと水滴を飛ばして振り返れば、ルフィがしてやっったりという顔をしている。ぴき、と米神に青筋が浮かぶのがわかった。
「ルフィ、てめ…この野郎！！」
「わ―――――――――ッ！！」
悪魔の実の能力者のくせに風呂場で非能力者に挑むとは愚かなり。ゾロは暴れるルフィを存分に湯に沈めてやった。

ゾロはルフィほど風呂が苦手ではないが、毎日入るのは面倒だと思うタイプだ。とはいえ入ってしまえばなかなか気持ちいいものであるのもわかっている。あとはここに冷えた酒でもあれば文句もないのだが。
しばらくするとルフィがもう限界だと目を回しそうになったので担ぎ上げて脱衣所に連れて行ってやる。バスタオルを放リ投げてやるが、あの茹でダコみたいな状態からしてしばらく時間がかかるだろう。
自分も満足したのであがることにした。脱衣所の洗面場で蛇口を捻って出た冷たい水を両手で掬って顔にバシャッとかける。ああ、気持ちいい。そう思って目を開けると目の前の鏡に自分の顔が映った。
そこでハッとゾロは気づく。さっきの違和感。あれは。
「(さっき…風呂場で見た、鏡に映ったおれは…)」
左右逆に映るはずの己の傷が、同じ位置にあった。鏡に映るのではなく、同じ顔の別人と向き合っているかのように。

じく、と閉じた左目が疼いた。

[44 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 09:00:45]

夜中に見つけて追いついたと思ったら更新来てハッピー
どれもめっちゃ好き

[45 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 09:06:38]

日常に潜むじんわりした違和感が背筋にぞわぞわきてめっちゃ好き、なんとなく不安になる感じが上手い

[46 1 23/11/27(月) 10:24:15]

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=2 (2)

[47 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 10:37:56]

ゾロ多いな！？

[48 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 17:43:17]

当たるたびに進行してるっぽいのは気のせい？

[49 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 18:21:27]

ゾロ：4回
サンジ：2回
ルフィ、ナミ、チョッパー、ブルック、ジンベエ：1回
ウソップ、ロビン、フランキー：0回

偏ってんねぇ

[50 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 22:37:20]

冬の夜にお風呂入る直前に読むホラーは最高
誰か着いてきてくれ⋯

[51 二次元好きの匿名さん 23/11/27(月) 23:09:03]

>>50

なに言ってるんだよ　もう後ろにいるじゃん

[52 二次元好きの匿名さん 23/11/28(火) 02:00:05]

ホラー始まってて草

[53 二次元好きの匿名さん 23/11/28(火) 06:30:11]

ダイス神はゾロがお好き
妖刀とか使ってるせいかな

[54 二次元好きの匿名さん 23/11/28(火) 06:37:51]

スレタイが五七五のリズムで読めることに気付いてなんかダメだった
それはそれとして何だかゾクッとする空気感が好きだ

[55 二次元好きの匿名さん 23/11/28(火) 09:55:45]

>>50

>>51

スレでホラーを始めるんじゃないよ

[57 1 23/11/28(火) 16:02:18]

4.ゾロ

目を擦るゾロを見て、チョッパーは眠いのかと声をかけた。ゾロやジンベエ、フランキーは夜中の見張り番になる事が多く、特にゾロは2年前からずっと昼寝が習慣だ。チョッパー自身もだが。
ああ、ともふぁ、ともとれない返事を欠伸でしたゾロは芝生に向かう。昼寝をするつもりなのだろう。
一緒に昼寝しようかと思ったものの邪魔しちゃダメだよなと思い直したチョッパーは、ルフィ達のいる船の前方に走って行った。

可愛い足音が去っていくのを聞きながら、そういえばチョッパーに目を診てもらえばよかったかという考えがチラッと脳裏を過ぎる。
どうも昨夜から妙なものが見えている、気がする。どれもこれも一瞬で、気のせいだと言われたらそうかと思える程度のものだ。仮に怪談的なものだとしても、見えるだけで何もしてこないなら放っておけばいい。困るのは、それが目や脳の異常だった場合だ。そういう意味で念の為、診てもらうべきかと考えた。
が、元より危険性を然程感じない現象。麗らかな陽気に睡眠欲をずるずる引き出され、芝生に寝転がったゾロの意識は呆気なく眠りに落ちた。かぱ、と口を開けた、平和な様で。

心地よい昼寝を堪能しているゾロに、ひたひたと近寄る気配があった。本能が無意識のままに相手を探る。慣れ親しんだ仲間の気配ならともかく敵の多い海賊稼業。必須の能力だった。
さて件の気配だが、ゾロの本能が反応しているということは仲間ではない。起きろ、と本能が警鐘を鳴らすがゾロの意識はまだ眠りから抜け出せていなかった。気配があるのはわかるのに動こうとしなかったというか。

目を閉じていても見聞色があれば周囲のことはある程度把握できる。今もそうで、ゾロは眠りながらもその気配が見えていた。しかもいつも見聞色で見ている時とは違う。気配どころか姿が見えた。
まるで夢をみているようだった。この気配でなければ夢だと思っただろう。けれどこの気配は、あまりに生々しかった。

ひた、ひた、と寄ってきた気配はゾロの目の前で止まった。ナミやロビンのような女の、裸足だった。女がしゃがみ込んでゾロを覗き込む。なんだか火事場から着の身着のまま逃げてきたような格好だった。焦げた嫌な匂いがした。
女の細い手がゾロの首に伸びる。ひたり、と冷たさを感じたと同時に、女の体が肉風船のようにぶくぶくと膨張しーーーー。

[58 1 23/11/28(火) 16:36:51]

「ッ　はッ！！」

膨らんだ肉風船に圧しかかられあわや潰されるーーというところで、ゾロはバチッと目を覚ました。フランキーなら機械の電源をブチッと引っこ抜いたような…と表現しそうな、唐突で衝撃的な目覚めだった。
「はっ…！？ッ、ぐぇ、っ」
目覚めたはずなのに圧迫されるような重さを感じ、ゾロの寝起きの脳は混乱した。圧迫感に呻きながら周囲を見るとーー。
「zzz…」
「zzz…」
「zzz…」
「…は」
圧迫感の正体は折り重なって自分の上で寝こける仲間達だった。ルフィ、ウソップ、チョッパー。なにがどうしてこうなった。
「…〜〜〜〜ッ… はァ…」
込み上げてきたものをグッと飲み込んで、深く大きく息を吐く。色々言いたいことはあるが、とりあえず。

「なに人の上で寝てんだてめェら！！！」

ゴンッという重い音が3連続、一拍おいて悲鳴。

「相変わらずバカやってるわ…」
呆れた、というナミの一言に、他の仲間たちが笑いを返した。

[59 1 23/11/28(火) 22:21:34]

ゾロ最大値までいっちゃった…

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=3 (3)

[60 二次元好きの匿名さん 23/11/28(火) 22:32:16]

最大値ってなんだろ不穏

[61 二次元好きの匿名さん 23/11/29(水) 07:15:58]

最大値超えたらどうなるんだ？

[62 二次元好きの匿名さん 23/11/29(水) 15:36:02]

各キャラの話同時進行っぽいね

[63 二次元好きの匿名さん 23/11/29(水) 22:05:50]

ゾロ選択肢から消えちゃった・・・
これ他の一味とも話つながってたりする？
続き楽しみ

[64 二次元好きの匿名さん 23/11/30(木) 07:35:45]

ウソップはいい反応してくれそう

[65 1 23/11/30(木) 14:42:49]

1.ウソップ

「ウソップ何してんだ～？」
「ん～？」
作業中に後ろから声をかけられてもウソップは動じない。ドレスローザで見聞色の覇気に覚醒して以来、気配には人一倍敏感になった。仲間が近くにいればわかるし、事前に存在を察している相手に声をかけられても驚きはしない。
実際ひょこ、とウソップの手元を覗き込んできたのは声の通りルフィだった。何やら難しい事をしているようだと首を傾げる。
「何作ってんだ？」
「これか～？前に釣りの仕掛け改良するって話しただろ？」
ちょうど細かい作業に差し掛かっていたから中断せず会話を続ける。視界の端にチラッとルフィが見えた。ちゃんと見ていなくてもその表情がパッと明るくなったのがわかる…これは見聞色関係ないな。
「仕掛け！新しいやつか！」
「おうよ　昼前にはできそうだから、期待しておれ様の超大作を待ってろよ」
ルフィが目を輝かせているのがわかり、思わずニヤリとしてしまう。こうも期待に満ちた目をされては自尊心を擽られる。ついでに待ちきれない様子のルフィが何かやらかす前にサンジのところへ行かせる。以前何か手伝おうとして力余って大事なパーツを悉く折られてしまった事を忘れちゃいない。
「(あいつにはこの繊細な作業は無理だからな)」
一人うんうんと頷きながら作業を続ける。ちなみに今は外殻の塗装中で、何本かの筆で塗り分けているところ。釣りの仕掛けにそんな色分けが必要か？とゾロならいいそうだがプロとは細部にまで手を抜かないものなのだ。
それから間もなくまた誰かが近くに来た。ちょこちょこした足取り、考えるまでもなくチョッパーだ。忍んでいるつもりのようで、これは作業に集中しているおれを驚かせる気だな？と思い至る。
「(だが甘いぜチョッパー　見聞色に目覚めた今のおれ様はお前の存在を感知しているからな！)」
そうなると逆に驚かせてやろうという気になる。息を潜めているらしいチョッパーが一歩、さらに一歩と近づいたところで。
「そこにいるのはわかってんぞ、チョッパー」
振り向きもせずにそう言えば、驚いたような反応とともにチョッパーは慌ただしく逃げていった。どうやら驚きのあまり逃走したようだ。
「まだまだだな、チョッパーくん」
ふふん♪と、ウソップは機嫌良く次のパーツを手に取った。

その頃図書室
「これとー、これと…あ、これも持って行こう！今日は勉強がんばるんだ、おれ！」

[66 1 23/11/30(木) 14:59:55]

短く書ける予定のキャラに当たらない…

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=1 (1)

[67 二次元好きの匿名さん 23/11/30(木) 17:34:17]

>>65

足音の主誰だよお前...！！！！！

[68 1 23/11/30(木) 18:02:59]

2.ルフィ

「んん、ねみィ…」
目の前に漂ってきた小さな虫を反射的に払い落とした手で、ルフィは目を擦る。昨夜の眠りは浅かった、気がする。
「あらルフィ、早いわね」
ロビンに呼ばれたがロクな返事もできず行き過ぎる。ふふふ、と笑う声に見送られて扉を開け、甲板に出ると鮮烈な太陽光がルフィを迎えた。眩しい。それでも照準は確かでびよん、と特等席へと飛ぶ。
「あったけェな～～～…」
サニーの頭の上は日当たりがいい。しばらくゴロゴロしていると、ナミがカモメに文句を言っているらしい声が聞こえた。それで意識が浮上し、同時に微かに流れる匂いを嗅覚が捕える。
「メシ！」
パチッと目を覚ましてパッと起き上がる。匂いは当然キッチンから。サンジが朝食を作っているのだろう。その美味さを知っているルフィの口内に、じわっと唾液が溢れる。そうなれば我慢できるルフィではない。腕を伸ばしダイニングの入り口までひとっ飛び、バァン！と大きな音をたてて飛び込む。
「サンジィ！メシィ～～～！！」
「だ――――ッ！！待てルフィ、こら食うな！！」
鈍い音と共にテーブルの皿に乗った料理に伸ばした手ごと蹴り飛ばされる。ふぎゃっ、と倒れるルフィにサンジはダイニングの入り口に仁王立ちしながら宣言した。
「ブルックがまだ来てねェんだ！揃うまでメシにはしねェからな！」
「ええ～～～～～～～！！」
抗議の声を上げたところでサンジは許さない。となればブルックを探してくるしかないと、ルフィは急いで駆け出した。それを見届けたサンジは、さて朝食の仕上げだとキッチンに戻っていった。サニー号のコックは忙しい。

「ブルック～～～～～～！！」
船内を駆け回ってルフィは音楽家を探した。が、見当たらない。最初はどこだよ～～！と叫んでいたが、船内を一周した辺りでんん？と首を傾げる。
ブルックは騎士然としているのもあって、ルフィにはわかりやすく忠実だ。呼べば大抵すぐ返事してくれる。それがこんなに呼んで全く反応がなかった事なんてあっただろうか。
「んん～～～…？」
何かおかしい。だが何がおかしいのかはわからない。
ところで捜し物をする時に高いところに登るのは基本だ。最初に一度登ったマストにルフィはまた飛び登る。見張り台に降りるとフランキーが驚きの声を上げた。

[69 1 23/11/30(木) 22:15:44]

「ルフィ、お前ェどっから来た！？」
「下から！」
下…と呟くフランキーをおいてルフィは見張り台から船を見渡す。やっぱりいない。フランキーが「どうした？」と訊いてくる。
「ブルック探してんだ　サンジが皆揃わないとメシにしねェって言っててよ」
「もうそんな時間か」
じゃあおれも降りるかと見張り台を降り始めたフランキーがふと呟いた。「そういやァ、今日はまだあいつのバイオリンを聞いてねェな」と。
あれを聞かねェと朝になった気がしねェな。そう言ってフランキーは降りていった。
ブルックは朝甲板でバイオリンを弾くのがほぼ習慣になっている。あれで目覚めることが多いルフィとしては納得しかない。うん、早くブルックを見つけよう、と風に乗って飛んできた砂を払って顔を上げたルフィの目に。
「…ん？　あ」
ぽつんとマストの下に立つ、見覚えがありすぎる骸骨…ブルックがそこにいた。
「あ、いた！ブルック！」
えっ、と顔を上げるブルックめがけて飛び降りる。ブルックはかぱっと口を開けて呆けていた。
「ルフィ、さん？」
「お前どこ行ってたんだよ、探したぞ！サンジがお前が来なきゃメシにしねェって言うんだ！」
ぐぎゅるる、と腹の虫が大きく喚く。ほら、早く！とぐいぐい引っ張ると、ブルックは急にしゃがみ込んで大きく大きく溜息を吐いた。
「…ッは～～～～～～…」
「どうした？腹でもいてェのか？」
覗き込んで問えばなんでもないと返してくる。何かあったようだが、追求しない方がいいような気がしてルフィはふぅん？と首を傾げるに止めた。何より今はもう腹が限界だ。
「よくわかんねェけど大丈夫なら行くぞ　おれもう腹へって限界だ！」
「えぇ、そうですね　サンジさんのごは、ん…」
ぴた、とブルックの足が止まる。振り返ればブルックは今度は辺りを、太陽を見て呆然としていた。
「おい、ブルッ…」
「ねェ、ルフィさん…」
カタ、とブルックの顎の骨が鳴る。
「太陽って、今昇ったばっかりですよね…？」
「は？何言ってんだブルック」

「おれ朝一回寝て起きてからお前探してたんだぞ？」
けっこう時間経ってるよ。
自分の言葉に顔を覆うブルックを、業を煮やしたルフィは担いでダイニングに飛び込んだ。

[70 1 23/11/30(木) 22:22:08]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=7 (7)

[71 二次元好きの匿名さん 23/11/30(木) 23:06:20]

おお丁度フランキーだ

[72 1 23/12/01(金) 01:20:39]

1.フランキー

フランキーの朝は、いつもは仲間達より少し遅い。とはいえ毎日変わらずというわけではなく、例えば今日のように船の見張り番の交代で早めに起きることもある。
「ア―――――ァ…」
ようやく陽が昇り始めたかという時間帯。フランキーは欠伸しながら夜間見張り番を務めたジンベエと交代するために見張り台に向かった。
「あらフランキー、早いわね」
「お前ェこそ、だ」
途中でロビンとすれ違った。そういえば彼女はブルックやサンジに次いで朝が早い。
寝ぼけ眼を覚ますためにコーラを片手にマストを昇る。
「おうジンベエ、交代だ」
「む、そんな時間か」
「ああ　朝飯まで時間があるから一眠りして来いよ」
「そうさせてもらおうかの…っと」
よいせとジンベエが腰を上げる。夜食がのっていたのだろう皿と空の酒瓶片手に、もう片方にはやけにでかい毛布…と。
「あン？ルフィじゃねェか」
「夜中に目を覚ましてしもうたようでな」
「それでルフィが眠るまで付き合ってやったのか？人がいいなァ、お前ェも」
「なァに、いい時間つぶしになったわい」
わははは、と笑いながらジンベエがマストを降りていく。あのままルフィも所部屋に連れて行って寝かせるのだろう。まったく、うちの奴らはどいつもこいつも船長に甘い。
「さて、異常はねェか…」
ジンベエを見送って後、フランキーは見張りの任についた。昇ったばかりの朝日が海に反射して眩しい。
「(そういえば…今朝はブルックのやつがいねェな)」
以前この時間に見張りをした時には甲板で朝の一曲を奏でていたものだが。まだ寝ていたか？…ダメだ、男部屋を出るときに誰がいたかいなかったかなんて確認していない。
でもまぁ、そんな日もあるだろう。フランキーはそう結論づけてコーラの栓を開けた。

[73 二次元好きの匿名さん 23/12/01(金) 11:20:38]

続きとラストが気になりすぎる…

[74 1 23/12/01(金) 13:59:50]

朝の一本とばかりに瓶を一気に半分、ぷは！と空ける。美味ェ、と満足して目を開けたところで…。
「…は？」
そこはサニー号のアクアリウムバーだった。フランキーは何度か瞬きしてなお事態を飲み込めず「？」を浮かべる。自分はついさっき見張り台に登り、コーラ瓶の栓を開けた。もちろん寝ぼけちゃいない…はずだ。
「どうなってんだ、こいつは？」
呑み込めないがともかく一度外に出ようとアクアリウムバーから外へと繋がる扉を開いた。
扉の向こうは普通にいつものサニー号だった。だよなぁ、とフランキーは頭を掻く。自分が寝ぼけていたにしてはジンベエと会っているからまずないだろう。
となるとなんだ、どこぞの能力者の襲撃か？
人を一瞬で別の場所に移動させる能力。それをフランキーは知っている。つい先日まで同盟を組んでいたハートの海賊団の船長、トラファルガー・ローだ。もちろんあの男がそんなことをする理由はないし、そもそも今は全く違う航路をとっている。だが悪魔の実の能力は、そういうことができてしまう。1人できる奴がいるなら2人も3人もいておかしくない。
もしかするとマズい事態か…！？と、フランキーは急いでマストを登った。なにしろ今や麦わらの一味のトータルバウンディはとんでもないことになっている。いつどこから誰の襲撃を受けてもおかしくないのだ。正直言って、油断していた。
しかしこれは杞憂だったようで、船周辺には怪しい影も何もない。相変わらず海は穏やかで朝日は眩しく空は青い。フランキーはしばし黙り込んで、呟やいた。
「…今日はおれのメンテナンスでもしてみるか」
ワノ国での戦いのダメージがどこかに出ているのかもしれない。そう考えていたフランキーは直後、下から飛んできたルフィに驚きの声を上げるハメになる。

[75 1 23/12/01(金) 15:09:29]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=3 (3)

[76 1 23/12/01(金) 22:27:38]

2.ウソップ

「あとはこれを組み立てて…」
細部の塗装を終えていよいよ組み立てに入る。これが緻密な作業で、パーツも細かいし組み立ての角度も大事だ。本体を支えたままパーツを差し込んだりはめ込んだりしていると、一カ所に集中するあまり別のところの意識が散漫になる。結果、ロクに見もせずに手を伸ばしたせいで取ろうとした次のパーツを転がしてしまった。
「あ」
小さなパーツが揺れる船の上で転がっていく。やべ、とウソップが腰を上げかけたところで。
ﾆｮｷｯ　ﾋｮｲ
「あ」
見慣れたたおやかな手がパーツを拾い上げ、ウソップに手渡してくれる。顔を上げれば少し離れたところでナミと談笑して―なんかナミが怒ってんのを宥めてんな―いるロビンがこちらに向かって微笑んだ。
気の利く仲間だ。ウソップは片手をあげて謝意を示すと、再び作業に戻った。

しばらく集中して作業していると、突然船が大きく揺らいだ。
「おわっ！」
幸い急な天候の変動などではなく一度の揺れで済んだから大きな被害はなかったものの、ナミ達のテーブルに置いていたカップは中身をまき散らしたようだしどうした、と船の中からフランキーが顔を出した。ブルックは楽器を取り落としそうになり笑っているのはルフィくらいのものだ。
「あ～あ、道具が…」
そしてウソップは、パーツは死守したものの道具が散らばった。やれやれと拾い集めていると、またも芝生から生えた手が道具を拾ってくれる。
「お、サンキューなロビン」
手が拾った工具を取って工具箱に仕舞う。使い終わったものはすぐに仕舞っておくべきだった。全て拾い終える頃にはナミ達のテーブルも片付きサンジが新しい紅茶を淹れていた。素早い。後で自分も何かもらいに行こう。
「よし、じゃあ気を取り直して仕上げだ」
そうしてまた座り直す。そのウソップの後ろに、またひょこ、と床の上から腕が生えた。つんつん、と後ろからつついてくるがこれくらいならじゃれているで済む。だが今度は目の前の床に突然目が咲いた。これにはさすがにぎょっとして、ウソップは抗議の声を上げた。
「ロビン！」
「あら」
怒られちゃった、と楽しげに笑うロビンを、ナミは「ロビンってば…」と呆れ気味の苦笑で、サンジは「悪戯っ子なロビンちゅわんも素敵だァ～～～～♡」とメロリンしている。
まったく…と三度座り直すウソップの前で、床に咲いた目がひらりと消えた。

[77 1 23/12/01(金) 23:36:40]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=8 (8)

[78 二次元好きの匿名さん 23/12/02(土) 08:23:55]

ウソップのがちょっとわからん…

[79 二次元好きの匿名さん 23/12/02(土) 10:49:26]

>>78

最後の1行、床の目は消えたと書かれてるから間違いなくロビンのだろう

じゃあその前の背中つついてた手は？ってことだと

[80 1 23/12/02(土) 13:30:26]

2.ブルック

今朝の事を思い出しながら、ブルックはため息を吐いた。
「どうしたの？ため息なんて吐いて」
「あ、ナミさん…いえ、少々夢見が悪かったもので」
奇妙な体験を、ブルックはそう表現した。大丈夫？と眉を寄せるナミに「いえ…」と小さく頭を振る。
「ちょっと、本当に大丈夫？話くらい聞くわよ？」
「いえいえ、とてもそんな…ああ、でもナミさん　一つお願いしてもよろしいでしょうか？」
いつになく神妙な様子のブルックに何よ、とナミが返すが。
「パンツ…見せてもらってm」
「見せるかァ！！」
近くにいたフランキーが一瞬うおっ！？と声をあげるほどの音。当然ナミの蹴りが炸裂した音だが、ブルックはいつものように「おやおや、手厳しィー！」と戯けた。まったく、もう！と足取りも荒めにナミは去って行く。
わかっている。もちろんわかっているのだ。あの心優しい航海士は本当に心配してくれたのだろう。
だからこそ、言い難い。
思い返しても奇妙としか言えない体験だった。それも気がついたら船に誰もいないなんて、笑えない悪夢だ。
けれどブルックはあれが現実だったと確信している。寝ぼけていたとか白昼夢だったとか、そう思えるほど若くもなければ経験も浅くなかった。
とはいえ、そうなると必然的にあれはいわゆるお化け的な話になるわけで…。ヒェ、とブルックは身を震わせた。生物みんな死んだら骨だけではあるが、それとこれとは話が別。怖いもんは怖い。
「(どこか奇妙な海域にでも差し掛かってしまったんでしょうか…)」
さっきもいきなり激しい揺れに見舞われたし、一見穏やかなこの海になにか恐ろしいものが潜んでいるような予感がしたブルックはもう一度溜め息を吐いた。雰囲気だけなら自分が長年過ごしたあの海域の方がよほど恐ろしいのだが。
「(鎮魂歌でも奏でてみましょうかねぇ…)」
そう考えたブルックはさっそく、バイオリンを手に取った。

[81 二次元好きの匿名さん 23/12/02(土) 22:09:58]

神隠し…？

[82 1 23/12/03(日) 00:03:10]

♪～♫♩～.•*･
穏やかで静かな曲を弾いていると自分の気持も凪ぐ。海に沢山の悲劇が沈んでいることは知っている。でもそれに触れたとして、呑まれなくてもいい。悲劇も喜劇も泡沫と変えて、そのただ中を笑って進むのが海賊だ。
.•*¨*•.¸¸¸♪♬..
「大した腕じゃな」
「あら、起きたの？」
「ルフィ達の声でな」
朝食後に一休みしていたジンベエが甲板に出てきて、ルフィ達の釣りを眺め始めた。一味年少組は賑やかで、見ているだけで笑顔になる。なんという光属性。わかる。わかりますよジンベエさん、とブルックは一人頷いた。
ｼｬﾝ
ふいにブルックの演奏に紛れて鈴の音がした。気のせいかと思ったが、二度、三度と聞こえてくるものだから「はて？」とブルックはバイオリンを弾いたまま視線を走らせる。
.•*¨*•ｼｬﾝ.¸¸♩*ｼｬﾝ¨*•.¸¸ｼｬﾝ.:♪
「(あ、あそこですね)」
音の発信源はルフィ達。ウソップが新しく作成した釣りの仕掛けの中に鈴をつけたものがあるようだ。今回は極端に見た目がカラフルだったり極端に動きが激しくなったり…というものが多いらしい。後でぜひ見せてもらおう。ウソップの発想力はブルックの予想外の方向に発揮されるのでいい刺激になる。
少し後、ふいに騒がしくなったと思ったらジンベエが海に飛び込んだ。どいうやらサンジが何か頼んだらしい。海の中は魚人であるジンベエのフィールドだ。
ところがそれからしばらくして、さっきより騒がしくなった。思わずブルックが曲を中断するほどの大物を3人が釣り上げたのだ。それはいい。いいのだが、釣り上げた反対にルフィが勢い余って海へ落ちた。どうして。
「うわああ――――！！ルフィ――――――！！！」
「えええ――――！？ルフィさ――――――ん！！？」
間髪入れず、どこからかゾロが海に飛び込んだ。素晴らしい飛び込みフォームだった。当然ルフィはほどなく救助されて同時に叱られた。
「はぁ…びっくりしたァ…」
海の恐ろしさは我が身をもって知っている。ナミの指示で風呂場に運ばれていくルフィを見送って、ブルックはホッと息を吐いた。ルフィが海へ落ちたときは心臓が飛び出るかと思ったのだ。心臓ないけど。
「ったく、いくらおれ様の作った仕掛けが面白いからってあんなにはしゃぐとは…」
仕方のねェ奴だな、と苦笑するウソップの手の中で、仕掛けについた鈴が鳴った。
ﾁﾘﾝ

[83 二次元好きの匿名さん 23/12/03(日) 00:32:30]

仕掛けの音とﾁｷﾞｬｳ…

[84 二次元好きの匿名さん 23/12/03(日) 00:37:52]

微妙に繋がってるのがゾワゾワして良い

[85 二次元好きの匿名さん 23/12/03(日) 00:45:03]

鈴の音聞いて「え？」って振り返ってる感じの画像だな

[86 1 23/12/03(日) 01:22:10]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=7 (7)

[87 1 23/12/03(日) 09:48:39]

2.フランキー

「…」
「どうしたフランキー？」
「サンジか　いやな、おかしいんだよ」
「何が」
「ちっと調子が悪ィ疑惑がおれの中で浮上したからメンテしてたんだが」
「何か異常でもあったのか？」
「いや、メンテは順調に終わったし特に異常もなかった」
「うん？じゃあ何がおかしんだよ」
「ネジが2つ余った」
「えっ」

[88 1 23/12/03(日) 09:49:08]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=6 (6)

[89 1 23/12/03(日) 12:28:51]

1.ロビン

ブルック～～～～！！と、ルフィが船内を駆け回る声と音を聞いて2回目、ナミとロビンはサンジが淹れた紅茶のカップから口を離した。
「まだ見つからないのかしら」
ナミの言葉にサンジも「そういえば遅ェな」と顔を上げる。片手にもったフライパンの上では目玉焼きが、一味それぞれの好みの焼き方で焼かれていた。
朝食前のダイニングにはナミとロビン、チョッパーがいて、今はウソップが仮眠中のゾロとジンベエを呼びに行っている。あとは見張り台にいるフランキーだがこっちは時間になったらロビンが見張り台に手を咲かせて呼ぶ予定だった。
基本的に一味の起床時間はバラバラだが朝食はそれなりの時間内にすませる。その中でもサンジに並んで朝の早いブルックは朝食第一陣組なのだが、今朝はまだ姿が見えなかった。
「そういえば今朝はブルックのバイオリンまだ聞いてないわね」
「珍しいなー　おれが起きた時って、いっつもブルックが甲板にいるのに」
ぷは、と朝のミルクを飲んでチョッパーが言う。いよいよ違和感が濃くなってきたところで、ロビンは両手を交差させた。
そもそもルフィがあれだけ呼んで探してブルックが出て来ない事がおかしい。ブルックがルフィの呼びかけに応えない姿なんて見た事がない。まさかとは思うが何か不測の事態だろうか。
「(倉庫…図書室…あら、見張り台にも誰もいないわ　フランキー、もう降りてきてるのかしら)」
各部屋に目を咲かせて探すが見当たらない。逆に走り回るルフィは3回見たしウソップが起こしに行ったジンベエとゾロも見た。なんならゾロは二回目に見た時は一人でダイニングとは逆の方向に歩いていた。ウソップ早く迎えに行って。そう思いながら次の部屋に目を咲かせた時。
「あら…？」
真っ暗で何も見えない、咲かせる場所を間違えたか。改めて咲かせると船底の倉庫で、そこにもブルックはいない。というかこのよくわからない工具や玩具の山はフランキーか、ウソップか。ロボット的なものを中心に見覚えのある物からない物までが詰め込まれた木箱がある。蓋をしていないから船の揺れで、時折箱の中でがちゃがちゃ音をたてていた。あ、これは以前男風呂大会で大盛り上がりしたというお風呂用の玩具。
「なぁロビン、ブルックいたか？」
「いないわ…どこにいるのかしら」
ロビンの言葉に「おれも探しに行こうかな」とチョッパーがそわそわし始める。

[90 1 23/12/03(日) 13:37:51]

こんなに探していないなんて本格的におかしい、と思いながらもう一度見張り台に目を咲かせる。上から船の周辺まで含めて見るために。けれどそこには。
「(あら、フランキー？)」
さっきいなかったフランキーが戻っていた。何やらぽかんとした顔をしているのは気のせいか？しかし声をかけようとしたところで突然下から飛び出してきた影に驚いて能力が解けてしまった。
「きゃっ」
「ロビン？どうしたの？」
「何かが飛び出してきて、驚いて解けちゃったわ…待って」
もう一回咲かせてみればそこにはルフィがいた。あぁ、ゴムゴムで見張り台まで飛んできたのか。ルフィと言葉を交わしたフランキーが見張り台を降り始める。と、彼はロビンの目に気づいてニヤリと笑った。隠れていたわけじゃないが見つかった。
ほどなくフランキーがダイニングに入ってくる。その頃にはウソップ達も揃っていた。あとはルフィとブルックだけだ。時間差で焼き上げた目玉焼きと同時に大量焼きした焼き魚を並べながら、サンジが「まだ見つからねェのか？」と呟く。それに今まで関わっていなかったゾロが寝ぼけ眼を開いた。
「何かあったのか？」
「ブルックがいねェんだよ　ルフィがさっきから探し回ってんだけど」
「あぁ、それでルフィがブルック呼んで走り回って…え、それでまだ見つからねェのか？」
「探し方が悪ィんだろ　仕方ねェな…おれが行って」
「「待て待て待て待て」」
立ち上がりかけたゾロをサンジとウソップが両側から肩を押しロビンが床に咲かせた手で足を掴んで座らせた。ナイス連携。ゾロがそれに「何だよ！」と抗議の声を上げ、サンジとウソップの反論の声があがる。
それはそうと本格的に異常事態だ。ゾロにはともかく人数を出して船内を探した方が良いのでは？各所をショートカットで探せるロビン、鼻の利くチョッパー、ブルックは落ちたとしても海を走れるが万が一を考えてジンベエと…。
ふいに何人かが揃って「あ」と呟いたり顔をあげた。直後に大きな音をたてて扉が開く。
「ブルック見つけた！！サンジ、メシ！！！」
「おお…おぉ？」
ルフィがブルックを抱えて飛び込んできた。あ、見つかったんだという安堵の空気と共になんかブルックぐったりしてね？という懸念が同時に湧く。
「サンジ、早く！」
「へいへい」
ともあれこれで全員が揃ったわけだ。まあよかったよなとそれぞれが席に着き、騒がしい朝食が始まった。

[91 1 23/12/03(日) 18:41:08]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=4 (4)

[92 二次元好きの匿名さん 23/12/03(日) 20:22:19]

こんな感じの変なことが定期的に起こってそう

[93 二次元好きの匿名さん 23/12/04(月) 02:01:19]

じわじわと怖さを感じて続きが気になる

[94 二次元好きの匿名さん 23/12/04(月) 12:20:08]

ゆっくり物語が繋がってきてるの怖いな…

[95 1 23/12/04(月) 16:27:44]

3.サンジ

朝食の片付けを終えて昼食の前。サンジはキッチン内をくるくると動き回っていた。そろそろ小腹が空いてくる時間、今日のおやつは干し芋だ。仕込んでいたものがいい感じに仕上がっている。野郎共用には大皿にどっさりと、レディ達にはさらに一手間かけて軽く焼く。こうすると甘味と香りが増すのだ。
サンジは一味の中でも特に多忙だが、料理人にとって作った料理を美味しい美味しいと食べてもらえるほどの誉はない。それか麗しの美女達となればなおさら。
周知の通り、サンジは女好きだ。レディを愛するために産まれてきたと公言するほどに。
だってレディ達はかわいい。かわいくて美しい。見ているだけで幸せだし、微笑みかけられたら天にも昇る気持ちになる。なんなら同じ場所にいるだけでそわそわする。ナミとロビンは既にダイニングを出ているのに、そわそわするのもそのためだ。まだほんのり果物のような甘い残り香を感じる。
野郎共用の大皿をそのままに、盛り付け終わった2皿をトレイに乗せて美女2人の元へ。サンジの足取りは軽い。今日はなんだか、いつにも増してそわそわするのだ。

「へぇ、面白い食感！美味しい！」
「焼き芋ともスイートポテトとも違うわね、美味しいわ」
「幸せ〜〜〜♡♡！！」
おやつは好評。美女2人に給仕しながらサンジは目をハートにしていた。
ああ、幸せだ…♡花も羨む美女2人の微笑みと楽しげな声、柔らかな香り…。そこでサンジは「ん？」と目を瞬く。
「ナミさん、香水変えた？」
「えっ、わかる？」
「もちろ〜〜〜ん♡すっきり爽やかで似合ってるよ〜〜〜♡」
「さすがね、サンジ」
一流のコックは嗅覚も一流。ロビンの香水だってサンジにはわかる。すっきり爽やかなシトラス系の香りと花のようなフローラル系の香りの間で、サンジは一時の幸せに浸っていた。

[96 1 23/12/04(月) 17:25:52]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=8 (8)

[97 二次元好きの匿名さん 23/12/04(月) 18:16:42]

追いついてしまった………続き気になるし徐々に繋がっていくの怖い

[98 二次元好きの匿名さん 23/12/04(月) 18:17:22]

保守

[99 1 23/12/04(月) 23:17:52]

3.ブルック

大騒ぎの昼食を終えて、ブルックは見張り台で一息吐いていた。皿の片付けを手伝った後、サンジはキッチンで皿洗い、ルフィは解体した海獣の骨で遊び始め、フランキーとウソップは何かに使えないかと検証、チョッパーは骨の観察、ゾロは甲板、ジンベエは船内で昼寝を始めた。ナミとロビンは海図と読書のためにそれぞれの部屋へ。ただただ穏やかな午後だった。
とはいえそこは新世界。そんな平穏がいつまでも続くわけがない。海がどれだけ凪いでいても空がどれだけご機嫌でも、そこに生きる者もそうとは限らないのだ。
ﾊﾞｻﾊﾞｻﾊﾞｻ…
遠くからサニー号方向へ飛んでくる鳥の群れが見えた群れと言っても数は多くなく、せいぜい数十羽。それだけの数でも一塊になれば小さな雲に見えるもので、実際ブルックは最初にそれを見た時は小さな雲が動いていると勘違いした。
「おや、渡り鳥…――え？」
気のせいか、と思えばそうではなく、その鳥の群れは飛行速度をどんどん上げて…まるでこっちに突っ込んで来そうな――いや来そう、じゃない！来る！
「皆さん！！鳥の群れが突っ込んできます、お気をつけて！」
甲板にいた連中が「え？」と顔を上げる。その時には迫っていた鳥達がバサバサと――ルフィ達の元へ突っ込んでいった。
「うわっ！！」
「ちょ、何だてめェら！」
にわかに騒がしくなる甲板。しかし鳥達の急襲はほんの数秒だった。
「ぎゃ――――…　って、あれ？」
一度急降下してきた鳥はそのままルフィ達の間をすり抜けるようにして再び急上昇していった。白い鳥たちはそのまま雲に溶けるように姿を晦ます。
「な、何だったんだ？」
「びっくりした…おい皆、無事か？」
ウソップの言葉にそれぞれが応える。特に怪我もなく済んだのは幸いだが、何だったのだろう。そう思っているとルフィが「あ――――ッ！！」と叫んだ。
「骨！！あいつら持って行きやがった！」
「えぇ？つまりあいつら…骨が目当てだったのか？」
ルフィ達が遊んでいた海獣の骨。全部ではないがそれなりの数を奪われたようだ。怪我を負ったり食料を奪われるよりは遙かにマシだが我らが船長はお冠。そしてあの鳥たちの目当てが骨だと知って、もう一人お冠の者がいる。
「骨が目当てなのに私を無視するって、それちょっと失礼じゃないですかァ――――――！！？」
そこかよ、と船大工と狙撃手のツッコミが綺麗にハモった。

[100 1 23/12/04(月) 23:29:12]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=5 (5)

[101 二次元好きの匿名さん 23/12/04(月) 23:53:45]

>>95

これの鍵は香りか？

[102 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 00:42:47]

ルフィが見た骸骨から始まったのかな？

[103 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 01:43:26]

>>102

そういえばこの骸骨燃えたんだよな……

[104 1 23/12/05(火) 03:03:58]

2.チョッパー

ウソップの新しい仕掛けを使った釣りは、直前に湧いた違和感を吹き飛ばした。3人がかりで釣り上げた5mもある海獣。最後の最後にルフィが海に落ちるというハプニングはあったが、そこは頼れるゾロがフォローしてくれたのでヨシ。甲板の騒ぎに気づいて出てきたサンジの料理人魂がドタドタ跳ねる海獣を見てブチ上がり、その後ジンベエが採ってきた海藻や貝も一緒に海鮮バーベキューが始まったのは当然の流れ。
「うんめェ～～～～～～～！！」
「なんだこの肉、めちゃくちゃジューシーで美味ェ～～～！！」
大騒ぎの中でルフィ達を見て口に詰められるだけ詰めようとするチョッパーは案の定喉を詰まらせた。
「おーいチョッパー、大丈夫か？」
「あらあら、そんなに一気に詰め込まないの　はい、お水」
「ッ…！ッ！！」
ｺﾞｸｺﾞｸｺﾞｸｯ　ﾌﾟﾊｯ!
「ハ―――ッ！死ぬかと思った！ありがとうロビン！」
「ふふふっ」
そんな思いをしてもこれも美味いあれも美味いと目の前でルフィ達がバクバク食べていればついつい釣られて同じようにたくさん食べたくて、また詰め込んでしまう。その都度ロビンやサンジがフォローするのもいつもの一味の日常だった。海獣の肉はジューシーで肉汁がたっぷり溢れて美味い。貝は半分に割ったまま貝殻ごと網の上に、じゅうじゅうと汁が沸騰し、身自体も肉厚で、磯臭さは焼かれると香ばしさに変わる。サンジがサラダにした海藻は、合間に食べると口から喉がさっぱりした。
そうして宴のような昼食を終えると、残ったのは貝殻と海獣の骨。ルフィはさっそく大きな骨を被って長い骨を持って遊び始めたし、ウソップとフランキーはこれを何かに使えないかと思案し始めた。チョッパー自身はというと、ふと雑多に散らばる骨を拾って観察し始めていた。
釣り上げた海獣は海洋哺乳類ではあったが、さすがに新世界の生物だけあって常識では図れない骨格をしていた。独特の尺骨や胸骨、長く曲線を描く指骨にあたる部分はイカの軟甲のようだった。成分も違うのだろうか？
そんな事を考えながら色々な形の骨を手当たり次第に見ている最中、見覚えのある形の骨を見つけた。今まで医学の勉強の中で、図鑑で一番多く見てきた骨。なんなら今も毎日――。
「これ…」
まさか、とその骨に手を伸ばした時だった。

[105 1 23/12/05(火) 03:14:46]

「皆さん！！鳥の群れが突っ込んできます、お気をつけて！」
突然ブルックが見張り台の上からそう叫んだ。えっ、と思っている間に大きな白い鳥が何十羽もサニー号の甲板に突っ込んでくる。いや、多い！
「うわっ！！」
「ちょ、何だてめェら！」
「ぎゃ――――…　って、あれ？」
しかし騒ぎは長く続かず、鳥たちは特に危害らしい危害を加えるでもなくすぐに浮上して去って行く。そうして甲板が落ち着いた頃、ルフィが真っ先に気づいて叫んだ。
「あ――――ッ！！骨！！あいつら持って行きやがった！」
その通り目当ては海獣の骨だったようで、遊び道具を奪われたルフィは当然として骨目当てだったのに無視されたブルックは別の意味で怒った。まあ怪我がないなら何よりだというところだが、チョッパーはというと呆気にとられていた。
「あいつら…なんて言ってたんだ？」
さっきの鳥たちの言葉、あれを何一つ理解できなかった。チョッパーが動物の言葉を理解できないなんてそうそうある事ではない。しかも異国語的な意味での「理解できなかった」ではなく、それこそ人間が動物の言葉を理解できないような…いや、波の音を言葉として理解できないような、そんな次元の「理解できなかった」だった。こんな事は初めてかも知れない。ひどい違和感だった。

また、この時のチョッパーは気づいていなかった。
さっき拾おうとした骨があの鳥たちに奪われて無くなっていた事に。

[106 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 06:44:34]

人？人なの？

[107 1 23/12/05(火) 09:42:33]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=6 (6)

[108 1 23/12/05(火) 14:48:38]

2.ロビン

バーベキューの昼食を終えて、ロビンは図書室に来ていた。ここには各クルー達持ち寄りの本が並んでいる。数としてはやはりロビン、チョッパーの物が多い。ロビンはここで静かな時間を過ごすのが好きだった。
とはいえ、今はそのために来たのではない。少々気になることがあり、それを確かめに来たのだ。
腕を交差させて船内の各所に目を咲かせる。朝食前、ブルックを探した時に何か引っ掛かるものがあったのだ。はっきりしないそれを、今から確かめる。
「(船底の倉庫…廊下…甲板…)」
注意深く探すが特に異常はない。いや、いきなり目を咲かせたものだからまたウソップと、そこにいたフランキーを驚かせてしまったが。ナミは海図に集中していて気づかなかった。けれどそれ以上、収穫らしい収穫はなかった。気のせいだったのだろうか？
「(気にしすぎかしら)」
そう思い咲かせた目を閉じようかと考え始めたところで、ふと甲板の手摺から続く水跡を見つけた。今日海から船に上がったのは海に落ちたルフィを助けたゾロと海藻を採ってきたジンベエだけだが、それにしてはそれは妙だった。
「(水跡というより…泥？)」
茶黒く濁った泥のような汚れ。海から上がっただけでつく汚れではない。明らかな違和感に、ロビンは図書室を出た。この時ちょうど甲板では、鳥の群れによる急襲が起こっていた。

[109 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 16:17:35]

帰ってきたら更新されてるやったー！

[110 1 23/12/05(火) 16:20:36]

「何かあったの？」
着く前に聞いた騒ぎと着いてから見た甲板の惨状に、ロビンは目を瞬かせた。昼に食べた海獣の骨はやけに少なくバラバラに飛び散っているし、ルフィとブルックはお怒り気味、フランキー達はどこかぐったりしている。
「おう、ロビンか…いなくてよかったな、お前ェ」
「？？そうみたいね」
「おーいチョッパー、しっかりしろ」
「なんであの騒ぎで寝てられるんだよ、ゾロは…」
「よーっし、こうなったらおれ達も寝よう！」
「そりゃいい　いっそあいつを枕にしてやんな」
「お、いいなそれ」
気にはなったが今はもっと気になるものがあり、ロビンは先ほど見た手摺の方へ向かう。大した距離でもなくすぐに着いたが…。
「…？」
そこには何もなかった。他の部分と変わらず、汚れも水跡もない。確かについさっき、咲かせた目で見たのに。
「どういうこと…？」
そっと撫でた手摺は、滑らかで綺麗だった。

[111 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 16:24:02]

どんどんちょっとじゃなくなってく
めちゃ怖くなってく
面白いもっと見たい

[112 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 16:24:20]

保守

[113 1 23/12/05(火) 16:42:45]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=1 (1)

[114 二次元好きの匿名さん 23/12/05(火) 22:36:24]

船になにか紛れてそうで怖い

[115 1 23/12/05(火) 23:54:49]

3.ルフィ

太陽がそろそろてっぺんにとどこうという頃、晴れ渡った空の下。垂らした釣り糸がぴくんと動いた瞬間にルフィはパッと顔を上げた。
「きたきたきたァ―――――――！！ウソ――――ップ！！！」
「おお！ついにきたか大物ォ！！」
ウソップの作った仕掛けを使っての釣り。朝食後一眠りしていたジンベエが海に潜ってさらに時間が過ぎ、それだけ待った甲斐あってやっとかかった獲物の引きは強かった。普通の釣り竿なら折れてしまっていただろう。だが仕掛けがウソップ作なら釣り竿はフランキー作だ。海王類だって釣らせてやると豪語した通り全く折れる気配はない。つまりここからは純粋な力の勝負。
釣り竿を両手で掴むルフィを左右からウソップと人型になったチョッパーが支える。助太刀は要るかァ？とニヤニヤ見てくるフランキーに「まだだ！まだイケる！！」と足を踏ん張って叫ぶ様は少年の意地で、見ていて微笑ましかった。実際フランキーはもちろん見張り台の上からブルックもテンポのいい曲を弾きながらヨホホと眺めている。
「んぎィ～～～～～…！！」
「おいィ…！ルフィ、手ェ放すなよ…！！」
「ひ、引っ張られる～～～～～！！！」
ずりずりと引きずられながらもなんとか踏みとどまっていると均衡状態になった。3人揃って力みすぎて顔が真っ赤だし腕はぷるぷるしている。そして。
「「「うおおおおおぉぉぉぉぉ～～～～！！！」」」
ｻﾞﾊﾞｧﾝ!!
「！！」
「キタ――――――――ッ！！！！」
海から飛び出したのは大きな影。本当に大きい。いやちょっと大きすぎる。釣り上げた獲物はドォォン！！とい音を立てて甲板に落下した。船が大きく揺れるほどの衝撃。期待以上の大物だ。
それはよかった。本当によかったのだが。
「あ」
釣り上げきった時に一瞬力が抜け、獲物が甲板に叩きつけられた反動で。
「うわああ――――！！ルフィ――――――！！！」
「えええ――――！？ルフィさ――――――ん！！？」
ｻﾞﾊﾟｧﾝ!
釣り竿から手がすっぽ抜けたルフィが、呆気にとられたぽかん顔のまま船の外に放り出され、そのまま海に落ちた。

[116 二次元好きの匿名さん 23/12/06(水) 00:05:42]

すごい才能！めちゃくちゃおもしろい！

[117 二次元好きの匿名さん 23/12/06(水) 00:21:33]

保守

[118 1 23/12/06(水) 00:46:33]

空の遠い青が秒で濃い海の青に飲まれた。
「△＄×※＆％＃！」
やべェと思った時にはもう遅く空気が全て海水に替わる。波の飛沫で歪んだ太陽光を最後に息もできなくなった。体中からごっそりと力が抜けていく。風船から空気が抜かれるように全身が脱力していった。仲間がいるから溺れ死ぬことはないが、苦しいものは苦しい。
ｺﾞﾎﾞｺﾞﾊﾟ…
力を抜けば人体は浮くはずだが悪魔の実の能力者は沈んでいくだけだ。元よりルフィはカナヅチだったからまともに浮けた記憶も無い。
脱力して藻掻くこともできなくなった時、ふいに体を引っ張られた。誰か助けに来てくれた――わけではない。
ｸﾞｲｸﾞｲ　ｺﾞﾎﾟ…
それは海藻のように海の中で黒々と揺れていた。腕に、足に、首にも絡みついて、ぐんぐん下へ引いていく。まるで引きずり込もうとしているかのように。落ちて沈んで波に揺れる海藻に引っかかって流れのままさらに沈んでいく。
苦しい。息ができない苦しさでルフィはなんとかそれを振り払おうとした。海の中でなかったら、こんなもの力ずくで引きちぎってやるのに。意識も危うくなってきた頭にそんな思いが過り、薄く目を開く。
その目がそのまま見開かれた。海水が目に染みる。ルフィは海の底から伸びる黒々とした『海藻』と…そのさらに下の下、暗い暗い海の下にギラギラとした赤い二つの月を見た。
ｺﾞﾎﾟｯ
胴体に巻き付いた海藻が肺を圧迫して口から空気が大量に溢れる。ヤバい。
けれど耐えきれずぐっと目を閉じたと同時、今度は上からぐっと体を引っ張られた。よくよく知った力強い腕、硬くて無骨で誰より信頼できる掌。
「ゴボ(ゾロ)」
海の中だからロクに見えないけれど、しかめっ面してるんだろう。ルフィはホッとして、そのまま意識を手放した。

「なにしてんだお前は！！」
よく通る声に怒鳴られて、ルフィはハッと覚醒した。遠い青い空、自分を見下ろす仲間、しっかり抱えてくれているゾロの腕、ひどい倦怠感。助かった。喋るほどの力も入らない体でもなんとか謝る。割と本当に危なかった。気がする。もうしばらく水には浸かりたくない。
しかしそう思った側からナミに入浴を命じられる。抗議はしてみたものの、結局ゾロに担がれて湯に浸かるハメになった。そしてゾロにちょっかいかけて湯に沈められた後、ふと思い出す。
「(そういえばさっき、海の中で何か見たような…)」

なんだっけ？

[119 二次元好きの匿名さん 23/12/06(水) 07:24:12]

黒々とした海藻に赤い2つの月かぁ…

[120 1 23/12/06(水) 09:20:25]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=2 (2)

[121 二次元好きの匿名さん 23/12/06(水) 19:33:55]

本当に海藻か？それ

[122 二次元好きの匿名さん 23/12/06(水) 23:36:46]

保守

[123 1 23/12/07(木) 00:03:48]

2.ナミ

賑やかな昼食を終えたナミは測量室に向かう前に女部屋に戻った。ルフィじゃないがバーベキューにした海獣の肉が美味しくて、つい勢い込んで食べてしまった。2年の修行を経たサンジの作る食事は前にも増して美味しくて困る。体に良いものでもあるとはいえ自重を忘れてはいけない。
ドレッサーの鏡を覗き込めばやはり化粧が少々崩れている。それこそルフィやゾロからすれば「何が違うんだ？」と言われそうな程度だが化粧は女の武装、崩したままでなどいられない。ついでに香水も一吹きしておこう。サンジがすぐに気づいた爽やかな香り。
一度リップを落とした後、引き出しを引いて幾つも並んだリップから朝と同じ色を抜き出す。下地を塗り直してからリップを開ける。お気に入りの、オレンジ味のある薄いピンクベージュ。パステルカラーの柔らかい色味で、今日の春気候にはぴったりだ。
慣れた仕草でつい、と引いて―――。
「ッ、えっ！？」
瞬き一つの後にナミは驚きの声を上げて仰け反るように後ずさった。座ったままだからガタッと椅子がズレる。鏡に映った薄いピンクベージュがのるはずの唇は、毒々しいほど濃く赤黒い色になっていた。まるで、血のような。
「やだ、なにこれ…気持ち悪い！」
慌ててティッシュで唇を拭う。しかし。
「あれ？」
ティッシュについたのは毒々しい赤黒ではなく薄いピンクベージュ。恐る恐る鏡を見てみると、見慣れた唇には何の色ものっていなかった。
「なに…見間違い？」
そんな事があるだろうか？あんなにはっきり主張する色を？しかし現実に、ティッシュにも鏡にもあの毒々しい色は見当たらない。もちろんあってほしいわけではないが。
「…あぁ、ヤだヤだ！見間違いよ見間違い！気分悪いったら！」
まだ動揺している自分を力強く否定するようにナミは敢えて声を出しドカッと座り直した。そうして敢えて鏡をしっかり見ながらリップを塗り直した。今度はちゃんと、思った通りの色になった。幾分手早く化粧直しを終えて、よし！と立ち上がる。予定通り測量室へ向かうのだ。
イヤなことがあった時はいつまでも気にせず、振り切って別のことに没頭する方が良い。測量室に着くとすぐに必要な物を並べる。
「さぁ、やるわよ！」
バサリと広げた資料と紙に、ナミは挑むように臨んだ。

[124 1 23/12/07(木) 00:52:44]

1.ルフィ　2.ナミ　3.ウソップ　4.サンジ　5.チョッパー　6.ロビン　7.フランキー　8.ブルック　9.ジンベエ

dice1d9=1 (1)

[125 二次元好きの匿名さん 23/12/07(木) 01:48:02]

もしかしてゾロに続いてルフィも最大値出しちゃったか…？

[126 1 23/12/07(木) 08:44:35]

4.ルフィ

いつものサニー号の船首の上。ゾロの上で寝ていたら本人に叩き起こされ、結局バラバラに散った。ウソップはポップグリーンの世話、チョッパーは勉強。となるとルフィと遊んでくれる仲間はいなくなる。暇を持て余したルフィは一人サニーの頭の上で昼寝の続きと決め込んだ。
「ん――――――…」
ごろ、ごろ。本当なら気を紛らわせるために誰かに遊んで欲しかったが、それぞれやりたいことがあるしそれをルフィが必ずしも一緒に楽しめるとは限らない。だから"これ"は、自分でどうにかするしかないのだ。
どき、どき、どき…
どうにもちょっと前から、心臓がおかしい。いつもは意識しないのに今日はやけにどきどきしている。最初に気づいたのがお風呂の時だったから体温が上がったせいかと思ったのだが、どうもそういう訳じゃないらしい。風呂からあがっても昼食が終わっても、ずっとどきどきが続いている。心臓がどきどきするたびに胸の傷にじわ、じわ、と何か染みるような感覚もある。これはチョッパーに言うべきだろうか。痛みがあるわけでもないし、本当にちょっとした違和感でしかないのだが。
「う～～～ん…」
あぁ、でもあの元同盟相手にはそういう事こそちゃんと医者にシンコクしろと言われた。ドレスローザの後だったか。医者でもねェのに勝手に判断するなと。チョッパーにもよく小さな怪我でも言えと言われるし、それなら。
「ん～～～…」
あったけェ。春気候の今日の海は昼寝にはもってこいで、ルフィの思考はだんだんぼんやりしていく。眠い。いい感じに眠い。このまま寝れそう。
「…Zzz」
ほどなくルフィの体は完全に弛緩し、すやぁ…と眠りに落ちていった。


「なんだ、静かだと思ったらここにいたのか」
「危ないのう　どれ、移動させるか」
「過保護…といいたいところだが、能力者だからな」
穏やかな午後、手のかかる船長をそっと抱えて甲板に寝かせるクルーの姿があった。

ｻﾞｰｰｰﾝ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…
ｷﾞ…
その後、わずかに船の進行方向がズレ始めた事には誰も気づかなかった。

ｻﾞｰｰｰﾝ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…

[127 1 23/12/07(木) 10:53:48]

1.ナミ　2.ウソップ　3.サンジ　4.チョッパー　5.ロビン　6.フランキー　7.ブルック　8.ジンベエ

dice1d8=6 (6)

[128 二次元好きの匿名さん 23/12/07(木) 11:02:08]

船の進路ずらされてるー！！！？
ナミさーん！フランキー！気付いてー！！

[129 二次元好きの匿名さん 23/12/07(木) 18:22:48]

アニキー

[130 二次元好きの匿名さん 23/12/07(木) 18:43:53]

>>101

ダイニングに残ってたのは果物のような甘い香りなのにその日二人が付けてたのはシトラス系とフルーツ系

[131 1 23/12/07(木) 23:54:03]

3.フランキー

甲板が鳥の急襲を受けた後、ルフィ達がゾロと共に昼寝を始めた辺りでフランキーは手洗いに向かった。昼食の海獣バーベキューが美味すぎて少し飲み過ぎた。途中ロビンが海を眺めているらしい後ろを通り過ぎる。何かあっただろうかと声をかけようとしたところで、フランキーの耳に微かにでんでん虫のコール声が聞こえた。
ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ…
「んん？誰だァ？」
扉を開けて中に入るとサニー号のでんでん虫がぷるぷる言いながら震えていた。フランキーはそれを見て怪訝な顔をする。電伝虫の様子がおかしい。通常受話器を取るまでは閉じられているでんでん虫の目が開いている。
ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ…
「…」
フランキーはしばらくじっと鳴り続けるでんでん虫を見ていたが、ふいに躊躇いを振り切ってパッと受話器をとった。
ﾌﾟﾙﾌﾟ…ｶﾞﾁｬｯ
受話器をとった途端、でんでん虫の目が閉じる。それを見てフランキーは「誰だ？」と言おうとしていた口を咄嗟に閉じた。
『　―…―　…――　…――ｻﾞ…――　』
「…」
何やら向こうからは人がざわめいているような背景音がする。何だ？とフランキーが少し耳を近づけると。
『　…―ｻﾞ…―ｻﾞｻﾞ…――…　』
『　――――　ｲ　』
ﾌﾞﾂｯ
「うぉッ」
ノイズがかかったようなしゃがれた声が聞こえたと思った瞬間、通話は突如切れた。それは意図して切ったというよりも何かに邪魔されて無理矢理切られたような突然さで。
「通信障害かァ？」
でんでん虫は生き物だし、通信範囲だって限りがある。本虫達の体調や気候によっても通信状態は変わってしまう。ただ一つわかるのは、このでんでん虫に念波が届く範囲の誰かがおそらく無差別にかけた電話をサニー号のでんでん虫がキャッチしたということだ。パンクハザードの時のように。
普通に考えたら深刻になるほどのことではない通信障害による通話切れだったが、フランキーはしばらくの間沈黙したでんでん虫を見下ろし顎を摩りながら考え込んだ。

[132 二次元好きの匿名さん 23/12/08(金) 00:03:14]

ホラーとしての完成度の高さ文章の読みやすさキャラエミュの上手さも素晴らしいが「本虫達」みたいな細かいとこも好き

[133 1 23/12/08(金) 00:46:44]

>>132

気づいてもらえると嬉しいこだわり

1.ナミ　2.ウソップ　3.サンジ　4.チョッパー　5.ロビン　6.フランキー　7.ブルック　8.ジンベエ

dice1d8=1 (1)

[134 二次元好きの匿名さん 23/12/08(金) 02:46:59]

でんでん虫のホラー現象怖いな

[135 二次元好きの匿名さん 23/12/08(金) 11:53:20]

>>130

誤字ったせいで不思議がない状態になってた

フルーツ系じゃなくてフローラル系

[136 二次元好きの匿名さん 23/12/08(金) 21:12:12]

ナミさんどうなるか

[137 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 00:56:27]

保守がてら今のとこ起きた異変
・線香の匂い
・燃える骸骨
・ぐちゃぐちゃの絵
・血のような月
・首のない男
・ブルックが迷い込んだ太陽が昇らない異世界(？)
・包丁の音に混ざる妙な音
・ウソップ・フランキーの声に混ざる誰かの声
・海底の髑髏
・鏡に映ったゾロ
・焼けた女
・チョッパーに似た足音
・フランキー瞬間移動
・ウソップの背中をつつく手
・バイオリンに混ざる鈴の音
・フランキーのネジが余る
・真っ暗な場所
・出処不明の花の香り
・チョッパーが言葉を理解できない鳥の群れが海獣の骨(なぜかあった髑髏も？)を奪う
・手摺の泥汚れ
・海藻(？)に引きずり込まれるルフィ
・血のようなリップ
・舟の進路がずらされる
・電伝虫の異変

[138 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 01:26:35]

>>137

まとめすげぇなと思うと同時にフランキー瞬間移動でなんか笑ってしまった

[139 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 01:47:02]

>>137

>>138

フランキーの瞬間移動は、マイクラなんかの座標ずれに似たモノを連想するのだがどうだろう。もし座標ずれならブルックの時間ずれも説明が付くし

[140 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 10:25:27]

全員最大値までいったらどうなるんだ…？

[141 1 23/12/09(土) 19:33:43]

3.ナミ

記録を海図におこそうとしてこれまでにメモがてら書き付けた紙を何枚も広げては新しく記していく。そうしてまた一枚広げたところで、ナミは思わず声を上げた。
「わっ！…って」
公開の記録が書き付けられた用紙には、その上から見事に落書きされていた。この下手さはルフィに違いない。ウソップは絵はうまいしチョッパーの絵はもう少しかわいげがある。見た瞬間思わず恐怖さえ覚える下手さはルフィだろう。なぜか一部からは理解されているのが解せない。これに至っては可愛げすらない。まさかと見てみればまだまっさらな紙にも何枚か、見覚えのある画力の絵が描かれていた。
「あいつら…！」
いつもならまだしも、今日は朝の新聞に挟まっていた画用紙の件があるからかなり驚いた。推定(ほぼ確)犯人のルフィ達に向ける怒りで用紙がぐしゃっと握りつぶされる。お説教決定。
「ったく…集中きれちゃったわ　ちょっと休憩にしようかしら」
気分転換、とナミは辺りを軽く片付けて測量室を出る。そういえば喉も渇いた。サンジくんがダイニングにいたら飲み物を貰おう、と考えて。
外に出ると気持の良い風が吹いていて、思わず深呼吸する。風と潮の匂いから安定した気候を感じた。
「気持いいー…この辺りの海域は穏やかでいいわ～」
一頻り潮風を堪能して後、そのままダイニングへ行くとサンジがちょうど紅茶を淹れているところだった。
「ナミさん、ちょうどよかった　ずいぶん集中してたみたいだけどちょっと一息いれないかい？今持って行こうと思ってたんだ」
「さすがねサンジくん　まさに今休憩しに来たところよ」
サンジが気取った仕草で紅茶とフィナンシェを出す。もちろんどちらも美味しい。紅茶の種類はともかくカップや温度までナミ好みなのはさすがである。
サンジはこのおやつセットをナミはもちろんロビンにも持って行くつもりだったようで、一人分がトレイに乗っていた。ロビンは図書室だったはず。あのトレイの上の紅茶もロビン好みになっているんだろう。サンジは自分たち女性2人には特に気を配ってくれる。とはいえ野郎共相手に提供するものだって間違いなく一流だ。

[142 1 23/12/09(土) 19:35:42]

紅茶を飲んで、ナミはほう、と息を吐いた。
「今日は集中して作業できるわ」
「さっきは騒いでたみたいだけど、今はルフィ達も大人しいしね」
仕込みをつまみ食いで邪魔されがちなサンジも頷く。食材の管理は航海において重要で、だからこそ船の台所を預かるサンジとしては一番美味い状態で食べて欲しいのだろう。毎度ルフィ達がうめェうめェ食事を平らげていくのを実に嬉しそうに見ているのもナミは知っている。実家とビッグマムの一件を経て前よりわかりやすい。なんなら最近はつまみ食い襲撃用にちょっとつまむものまで用意している。甘い。
「気候の方は問題なさそう？」
「ええ、この辺りは割と穏やかみたい　まぁ、今のところはだけど」
何せ新世界。荒れ狂う波と異常気象が当たり前の海だ。これまでも散々な目に遭ったのは一度や二度じゃない。明日どころか5分後に晴天が暴風雨になっていてもおかしくない。そうでなくてもこの船にはトラブルメーカーがいるのだから、それもサンジの言う通り(比較的)大人しい今日は本当に珍しい。いや、そういえばそのトラブルメーカー達はどうしたのだろう。あまりに何もないとそれはそれで、嵐の前の静けさのようで多少不安が過る。念のため様子を見ておこうか。
休憩を終えた後、ロビン用のおやつを乗せたトレイを持ったサンジと共にダイニングを出て甲板を見渡してみると。
「あら？あれは…」
「ジンベエ、と…」
ジンベエがサニー号の船首から降りてきた。と、その腕にルフィを抱えている。ぐったりしてるから眠っているのだろう。
「まーた船首で寝てたのね、あいつ…」
悪魔の実の能力者なのに不安定な場所で眠るなんて。抱えられたルフィを見てその平和そのものの光景に叱ってやろうと思っていた心が解れてしまう。まったく、あの人たらしめ。
やれやれと肩を竦めたナミは再び測量室に戻ることにした。こんなに平和な日は珍しいのだからできるだけ作業は進めておきたい。芝生にころんと転がされるルフィを最後に、ナミはサンジと別れ船内に戻っていった。まったく、今日は本当に平和だ。

ｻﾞｰｰｰﾝ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…
ｷﾞ…

[143 1 23/12/09(土) 19:59:04]

1.ナミ　2.ウソップ　3.サンジ　4.チョッパー　5.ロビン　6.フランキー　7.ブルック　8.ジンベエ

dice1d8=8 (8)

[144 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 20:14:59]

じわじわと後ろから忍び寄るような怖さが…
それにしてもキャラのエミュが上手い

[145 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 20:50:15]

>>78

>>79

なんならその前のパーツや道具を拾ってくれた手も本当にロビンかちょっと怪しいと思ってる

[146 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 21:07:56]

>>145

ﾋｪｯ……ってなった

[147 二次元好きの匿名さん 23/12/09(土) 21:11:52]

>>145

おぉう…

[148 二次元好きの匿名さん 23/12/10(日) 08:43:25]

うおお保守

[150 1 23/12/10(日) 08:46:34]

2.ジンベエ

昼食後、ジンベエは一眠りするため男部屋に向かった。深夜から朝まで見張りを務め、その後朝食の後に僅かに仮眠しただけなので眠い。甲板で寝ようかと思ったが、サンジとナミにルフィ達が騒ぐからちゃんと寝るなら部屋の方がいいと忠告されたのだ。仲間の声を子守歌代わりに眠るのはなかなか良さそうだったが、子守歌どころの騒ぎじゃない確率が高い事は推して知るべし。ジンベエは東の海からの古参2人の言葉を素直に聞いた。
「さて…」
寝転がるとぎし、と音が鳴る。目を閉じると波による揺れと遠くに聞こえる音が、ジンベエを心地よい眠りへと誘った。
ｻﾞｰｰｰﾝ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…
ｻﾞｻﾞｰﾝ…

夢の中でジンベエは海の中にいた。魚人であるジンベエにとっては特別な光景ではない。見覚えがあるのは昼食前に泳いだ海の記憶が反映されているからだろう。夢の中でも数時間前と同じように、海藻を採り終えてサニー号に戻り、ざばりと海から上がる。手すりを乗り越えて甲板に下りると濡れた足がびちゃりと音をたてた。ぴちゃ、ぺた。あぁそうだ、サンジが大きな海獣を捌いていて、よくこんな大物を釣り上げたと感心したものだ。
それから宴のような食事になった。その輪を少し外れてブルックに鎮魂歌を奏でてもらって。それを聞きつけた仲間達がそういう曲だとは知らず盛り上がっていた。いや、雰囲気的にロビンはわかっていたかもしれない。
それにしても、昼は年甲斐もなくはしゃいでしまった。口の周りにこんなに肉の脂をつけていたなんて気づかなかった。ルフィ達に引きずられたか。
浮かれすぎてはいかんなと夢の中でまで自分を咎めながら、けれど眠るジンベエは笑っている。傍から見たら楽しい夢を見ているんだろうなと丸わかりの寝顔。実際楽しい夢なのだが。

ﾋﾟﾁｬ　ﾍﾟﾀ　ﾍﾟﾀ…
楽しい夢の中にいるジンベエは、濡れた足音が部屋の前を通った事に気づかなかった。

[151 1 23/12/10(日) 12:38:44]

1.ナミ　2.ウソップ　3.サンジ　4.チョッパー　5.ロビン　6.フランキー　7.ブルック　8.ジンベエ

dice1d8=7 (7)

[152 二次元好きの匿名さん 23/12/10(日) 14:02:03]

泥で汚れた手摺とかこの濡れた足音と関係ある……？

[153 二次元好きの匿名さん 23/12/10(日) 16:39:36]

ふと思ったんだけど親分て泳いでる時にゲタ脱がないよね？ならサニーに戻った時の音はびちゃりにはならないんじゃねーかな
そんで「口の周りにこんなに肉の脂をつけていたなんて」ってこれ誰の視点？夢って普通自分で自分の顔見えなくない？
ひょっとして海から上がった誰かさんの視点を親分は夢で見ているんじゃないかと思うなどした

[154 二次元好きの匿名さん 23/12/10(日) 17:09:37]

>>153

うわほんとだそうじゃん…仮に下駄脱いでたとしても「ぺちゃ、ぴた」は親分にしては軽すぎるもん

[155 二次元好きの匿名さん 23/12/10(日) 20:52:54]

最大値3人目か

[156 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 00:22:57]

保守

[157 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 07:33:47]

わー追いついちまった、続きが気になる……！

[158 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 13:13:44]

怪異が紛れ込んでるのかな

[159 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 17:38:13]

2つ目のブルックの同じ骨なのに狙わないの失礼じゃないですか！？で笑ってたら直後のチョッパーの人骨でゾワッとなった
話の順番タイミングはダイス神の計らいだけど話の組み立てが上手過ぎる…

[160 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 21:37:23]

あかんめっちゃ怖い

[161 1 23/12/11(月) 22:45:30]

4.ブルック

ウソップと交代して見張り台を降りたブルックは、さてこれからどうするかと考えた。
「(少し本を読みましょうか…図書館で借りて、アクアリウムバーで)」
そう思い立ち図書館に向かう。ロビンとチョッパーほどではないが、ブルックも図書館の利用は多い方だ。
「おや？」
そうして図書館に向かう途中、ブルックは床に残った何かの跡に気づいた。点々と続いている微妙な幅からして…足跡？乾きかけで足らしい輪郭はなくなっているが、この小さめの幅はチョッパーしかいない。あの小さな船医がちょこちょこ歩いている姿は大変愛らしいが、なるほどこうして見ると足跡すらも微笑ましい。
足跡らしき水滴は図書館に入って、出て行っていた。勉強熱心な彼のことだ、本を保健室に持って行ったのだろう。
ブルックが扉を開けるとロビンが本を広げていた。傍らのおやつセットはサンジが持ってきたようだ。
「あら、ブルック」
「どうも　ちょっと失礼しますね」
もちろん、というロビンの微笑みを目の保養にブルックは本を抜き出す。
「今日のおやつはフィナンシェですか、美味しそうですねェ」ﾖﾎﾎ
「えぇ、サンジが用意してくれてるはずよ」
「では一度ダイニングに寄ってみましょう」
ロビンの微笑みに見送られてダイニングに向かう。アクアリウムバーとは上下位置なので方向は変わらない。そういえば足跡が残っていたという事は、チョッパーが図書館を訪れたのはほんの少し前のはず。彼もロビンのおやつセットを見て、ダイニングに向かったのだろうか。
実際ダイニングの扉の前には足跡があった。入って、出て行っている。その通り中にチョッパーの姿はなかったが、サンジがちょうどおやつを大皿に盛っているところ。女性用と違って大皿に盛られることが多い男性用のおやつは端的に量が多い。山盛りだ。
「これはなんともいい匂い！美味しそうですね！いくつかいただいても？」ﾖﾎﾎ
「ん？あいつらと一緒に食わねェのか？」
「えぇ　私これからちょっと下で、本を」
「あぁ、なるほど　じゃあ分けて紅茶と一緒に降ろしてやるよ」
「よろしいんですか？お手数をおかけしまして」
任せろ、と見送ってくれたコックに甘えてダイニングを出る。サンジは料理はもちろん給仕まで一流だ。

[162 1 23/12/11(月) 22:51:26]

さてダイニングを出て階段に差し掛かると、そこにも足跡はあった。
ことここにきてブルックは「はて？」と首を傾げる。最初に足跡に気づいてからそこそこ時間が経っているが、この陽光の下で足跡がまだ乾いていないなんてあるだろうか？
そもそもチョッパーが足跡を残すとしたらルフィが溺れて助けられた時だ。いや、仮にあの後何かしら足が濡れる事態に至ったとしても、自分が気づいてからだってそれなりの時間が経っている。というか…。
「(心なしか、水滴が減るどころか増えているような？)」
最初に見つけたそれの、倍くらいの大きさに見える。気のせいかな？と思いながら階段を降りてアクアリウムバーの前に来ると、足下でぐちゃっと音がした。
「え？」
その部分だけ、芝生がびしょ濡れだった。
この瞬間、ブルックは何やらゾッとするものを感じた。僅かに水量が増えて大きくなった跡、自分の行く先々の部屋に出ては入ってしている形跡。
けれど、そう。扉の前が芝生であるアクアリウムバーは足跡が残らないので、出て行ったかどうかはわからない。
「…」
もしかすると、もしかするだろうか。ブルックは気配を潜めてドアノブに手をかけると、一息にパッと扉を開けた。
「…」
見慣れたアクアリウムバー。生け簀の投入口が空いているようで陽の光が美しく差し込んでいる。水の揺れが部屋全体に網模様のように揺らめていてなんとも美しかった。けれど、誰もいない。思い過ごしか？とそれでもブルックが慎重に室内を確認していると、小さな機械音と共に紅茶とフィナンシェがダイニングから降りてきた。湯気の立つ紅茶と綺麗な狐色の焼き菓子の香り。日常を目の前にして、ブルックはホッと息を吐いた。鈴の音といい、今朝の事があってからどうも神経が過敏になっている気がする。
「はァ…いけないいけない、せっかくの穏やかな海だというのに」
一つのことを警戒するならともかく囚われていては。もっと心に余裕を持たねばと、ブルックはサンジのおやつセットに手を伸ばした。ズズ、と音を立てて紅茶を飲みながら。
「んん～～～～！さすがサンジさん！美味し～～い！！」
殊更元気にそう言うブルックの背後で、アクアリウムバーの扉が小さく開いて閉まった。

ｸﾞﾁｬｯ

[163 1 23/12/11(月) 22:55:37]

一つ重大なミスに気づいた
ナミの測量机って図書館にあったんじゃなかったけ
つまり測量室と図書館は兼用…

違う部屋って体で書いたけどなんか別の部屋で作業してたってことでお願いします
いつかのOPかEDでナミが測量机で作業してる絵があったと思ったけどあれ図書館だったんだな…

[164 1 23/12/11(月) 23:46:07]

1.ナミ　2.ウソップ　3.サンジ　4.チョッパー　5.ロビン　6.フランキー　7.ジンベエ

dice1d7=3 (3)

[165 二次元好きの匿名さん 23/12/11(月) 23:46:56]

あーーーーーー！！！！こんな時間に読むんじゃなかった！！！！！！怖い！！！！！！！！

[166 二次元好きの匿名さん 23/12/12(火) 08:24:11]

こわい

[167 1 23/12/12(火) 09:05:35]

4.サンジ

「ありがとう　美味しかったわサンジくん」
「幸せ～～～～～～～～♡♡」
ナミがダイニングを出て行った後、一頻りメロリンしたサンジは今度はロビンのために紅茶を淹れていた。フィナンシェも新しいものが焼き上がったところ。4つをロビン用の皿に重ね、後は既に焼きあがっている分の上に追加。貝殻の形のフィナンシェはナミとロビンの分にはチョコソースをかける。野郎共の分には余っていたドライフルーツを乗せた物を何粒か混ぜた。あいつらはこういうのを喜ぶ。そのうちの一つを山盛りのフィナンシェの上に。
「ん？」
何か気配を感じて持っていた大皿をテーブルに置く。が、船の中になれた仲間の気配は幾つも感じるが異常はない。と思う。気のせいか。しかしふと山のてっぺんに、おいたはずのドライフルーツつきのフィナンシェがない事に気づいた。
「(あれ、崩れて下に落ちちまったか？)」
山の下の方を確認しようとしたところで、扉を開けてブルックがダイニングに入ってきた。
「これはなんともいい匂い！美味しそうですね！いくつかいただいても？」ﾖﾎﾎ
「ん？あいつらと一緒に食わねェのか？」
ここに大皿に盛った分を置いてロビンにセットを持って行く途中に甲板にいる野郎共に声をかける予定だったのだが。どうやらブルックはアクアリウムバーで本を読むつもりらしい。それならここで紅茶を淹れて下に降ろしてやる、と言えば喜んでアクアリウムバーに降りていった。
2人分の紅茶を淹れ、一つを下へ。ロビンの分を持ってダイニングを出て、甲板に声をかけようとして。
「…ん？ルフィの奴寝てんのか　匂いで起きないのも珍しいな」
すやぁ…という様子で芝生の上に転がる我らが船長。ジンベエはフランキーと何か話していて、ゾロは寝ている、ウソップは見張り台。サンジはジンベエ達にフィナンシェのことを伝え、図書館に向かった。
「ロビンちゅわぁ～～～ん♡おやつ持ってきたよ～～～～♡」
「あら、嬉しい」
本から顔を上げて微笑むロビンにまたも一頻りメロリンする。少し談笑した後、サンジは図書館を後にした。ロビンも勉強熱心な女性だ。邪魔はしたくない。幸せ気分で目をハートにしたまま出て行ったサンジを見送ったロビンはおやつセットを見て躍る心のままに笑った。
「フィナンシェが3つも　綺麗な色…美味しそうね」
ちょっと休憩しましょう。ロビンは分厚い本を閉じて横に置いた。

[168 1 23/12/12(火) 11:04:24]

1.ナミ　2.ウソップ　3.チョッパー　4.ロビン　5.フランキー　6.ジンベエ

dice1d6=1 (1)

[169 二次元好きの匿名さん 23/12/12(火) 12:41:27]

>>167

フィナンシェの数減ってんだよなあ

[170 二次元好きの匿名さん 23/12/12(火) 21:16:00]

気配は感じてるのにそれを異常や脅威に感じてないってのが怖い

[171 二次元好きの匿名さん 23/12/12(火) 21:44:54]

ナミも4回目だしこれで4人が最大値なんだよね

[172 二次元好きの匿名さん 23/12/12(火) 21:47:10]

全員最大値になったらどうなるんだろう
こわい…

[173 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 01:32:21]

保守

[174 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 10:50:43]

✨

[175 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 12:39:40]

>>172

怪異が本気出してきそう

[176 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 22:13:14]

>>1じゃ「ホラーを一滴混ぜていくだけ」って言ってたのに最早一滴どころじゃない件

続き待ってる

[177 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 22:23:10]

>>176

もしかするとスレ主にとってはこれが一滴の可能性

[178 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 22:40:04]

>>177

スレ主巨人族か？？

[179 二次元好きの匿名さん 23/12/13(水) 23:34:56]

>>176

実は(色んな異形の)ホラーを一滴だけ垂らしてるかもしれない件

というか複数の怪異に襲われていませんかね？(震え)

[180 二次元好きの匿名さん 23/12/14(木) 01:01:20]

保守

[181 1 23/12/14(木) 03:51:10]

4.ナミ

「よし、こんなところね」
一通りキリの良いところまでメモや情報をまとめて書き込みきって、ナミは満足気に息を吐いた。なかなか順調だ。
今日は天候の荒れもない。トラブルメーカー達も大人しくしている。ダイニングを出た時にはルフィは眠っていたようだが、まだ寝ているのだろうか。サンジの焼いたフィナンシェの匂いは嗅ぎつけているだろうに、珍しい。
「一回片付けて様子見ておこうかしら」
海もルフィも。どちらもちょっと目を離すと何が起こるかわからないもの筆頭で、小忠実に様子を気にかけるのはもはや母親が生後間もない我が子を見るレベル…などと本人に言ったら雷一発は覚悟しないといけない。
「これと、これはこっち…これはもう仕舞っちゃっていいわね」
それから…と束に混じった落書きされた紙だけを避ける。ナミはなんとなしにその絵を見た。
絵は船を…というかルフィが描いているのだからサニー号なのだろう、緑が大部分でおそらく芝生が描かれたもの、太い棒の先の方に丸い何かが刺さっているのは見張り台？それにダイニング、風呂場…。ルフィの絵にしてはわかりやすい。ウソップの指導の賜だろうか。それによく見ると角に番号も振ってある。描いた順番？最後の数字は見張り台の絵で10。
しかし見ているうちに、ナミは何か既視感と違和感を同時に覚えた。既視感はあって当然だ、この船の絵なのだから。でも違和感は。
何度か見返して、ナミは唐突にハッとした。この絵、人の視点がそのまま絵になっている。そして番号を繋げると…。
「廊下から芝生に出て、ダイニング…これ…」
ナミの推測が正しければ既視感は当然だった。番号が振られた絵、1，2，3と、どうやら測量室からダイニングまでの道順になっているのだ。つまり、少し前にナミ自身が辿って、ナミ自身が見た光景。
「ううん…なんか気持ち悪い」
ルフィには悪いがこれは捨てよう。そう思った時、ナミの手から一枚の紙がひらりと落ちた。あ、と拾おうとしてその手が止まる。
それはどこかの扉の絵。角の番号は、0。
この時になってナミは違和感の理由に気づいた。ルフィの絵には高確率で人が描かれる。というかルフィは人を中心に描く。それなのにこの絵はどれも、人がいない。これはルフィの描いた絵ではない。そして数字は1から10ではなく、10から…。

ｺﾝ､ｺﾝ

測量室の扉が、ノックされる音がした。

[183 1 23/12/14(木) 04:01:10]

突然巨人族疑惑浮上してて笑った

さて最後のダイス(一回選択肢間違えた)

最大値5人で確率1/2

1.ルフィ　2.ゾロ　3.ナミ　4.ウソップ　5.サンジ　6.チョッパー　7.ロビン　8.フランキー　9.ブルック　10.ジンベエ

dice1d10=10 (10)

[184 1 23/12/14(木) 04:06:48]

風来・バースト成功！！

[185 二次元好きの匿名さん 23/12/14(木) 07:31:11]

最後のダイス！？
もしかしてバッドエンドになるところだった…？

[186 二次元好きの匿名さん 23/12/14(木) 17:05:54]

>>184

クードバースト…緊急脱出ってこと…！？

[187 二次元好きの匿名さん 23/12/14(木) 23:10:10]

先の展開が全く読めない
楽しみすぎる

[188 1 23/12/15(金) 01:56:38]

0.？？？


ｻﾞｻﾞｰﾝ…ｷﾞ…
ｻﾞｰｰｰﾝ…ｷﾞｨ…ｻﾞｻﾞｰﾝ…

揺れる波音に混じる船に軋音に反応したかのように、眠っていたルフィが唐突にパチッと目覚めた。バッと上半身を起こすと寝ぼけ眼のままキョロキョロと辺りを見渡す。そこにフィナンシェを山盛りにした皿を片手にサンジがやって来た。起きているルフィを見て「お」と目を瞬く。
「起きたのか　珍しいなァ、お前がコレの匂いで起きないなんて」
「これェ…？　…あ～～～～～！！おやつ！んまそ～～な匂い！！」
サンジが持ってきたフィナンシェを認識するとすぐさま目を輝かせて文字通り手を伸ばす。それをサンジはひょいと避けた。
「何すんだ！」
「うるせェ」
いつもなら匂いが漂い始めた時点でダイニングに突っ込んでくるのに今日は焼き上がっても他の仲間に配り終えても寝こけていたからちょっとばかしサンジの意地悪心が擽られた。むくれる顔で気が済んだので目の前にどさりと皿を置いてやると瞬時に目を輝かせてガツガツ食べ始める。ふふん、と心持ち得意げな顔をしているサンジは自分が温かい眼差しで見られていることに気づいていない。
そこに、見張り台の上からウソップの声が聞こえた。
「お～～～～～い！！島が見えたぞ～～～～！！」
「えっ？」
甲板に出てきたナミがウソップの言葉に驚きの声を上げる。まさか、と進行方向先の水平線とログポースを確認してさらに訝しげに眉を寄せた。どの針も、あの島を指していない。
「そんなはずないわ！次の島はまだまだ先よ！」
「でも実際見えるんだぜ！？そんなでかくなさそうだけど、確かに島が！」
ほら、と上からウソップが投げ落とした双眼鏡をキャッチしたナミが覗き込むと、なるほど確かに島らしき影が見える。改めて進路や太陽の位置や方角を確認して、ナミは「あっ」と声をあげた。
「進路が少しズレてる…！？やだ、気候が穏やかだからって油断したわ…海流が緩く逸れてたのね」
「寄っちゃマズい島なのか？」
「さぁ…大して大きくない島みたいだけど…磁場が発生しない、シャボンディ諸島みたいなマングローブの群生だったりするのかしら」
望遠鏡を覗き込むが、緑以外あまりはっきり見えない。磁場が発生しないなら寄っても航路の都合上困ることはないが。ナミがルフィにどうする？と訊こうとした時。

[189 1 23/12/15(金) 03:00:44]

「だめだ」
意外なほど静かなルフィの声が一瞬波の音もかき消した。皆が驚いてルフィを見る。ルフィはこれまでどんなに危険な島でも喜び勇んで上陸してきたのに、こんなにバッサリ却下？
「おい…いいのか、ルフィ？」
「そうだぜ　仮に無人島でも猛獣でもいれば食糧を確保できるんだ」
「というか冒険大好きなお前が島に上陸しないって、どうしたんだよ」
いつもはこっちがどれだけ止めろ頼む考え直してくれと懇願しても楽しそうな笑顔で封殺してくるくせに。若干文句交じりに言うウソップにも何の反応も示さない。ただじっと、近づいてくる島を瞬きもせずに見つめている。
次の瞬間にはサンジが、ウソップが、ゾロが、ジンベエが何かに気づいてパッと島に視線を向けた。さらにナミが船底からの震動を感じ取る。いや船底ではない、これは、海からの震動―――？
「ッ！海流が変わる！！」
ナミの叫びの直後、それまで穏やかだった海に急激な海流が発生した。船体が大きく揺らぐ。
「フランキー！ここから逃げるぞ！」
「！おう、任せとけ！」
ルフィの言外の指示を読み取ったフランキーが船の前方に走る。大きく揺れる船の手すりに必死に捕まりながらナミは不自然な突発海流の先を読んだ。
「この海流…吸い込まれるみたいにあの島に向かってる…！？」
詳しいことはわからないがいい事であるはずがない。フランキーとゾロがコーラ樽のセットを終え、よし！と叫ぶ。
「行くぞおめェら！全員しっかりつかまってろ！風来…バースト！！」
激しい海流を爆煙のような飛沫にしてサニー号が飛ぶ。1kmの飛距離はギリギリで、突如荒れた海流の範囲から脱した。

「あー、びっくりした…なんだったんだ、ありゃァ」
「なんか、あの島、変だった…でっかい獣が唸ってるみたいな…」
無事あの海流から逃げ切って、緊張疲れでぐてんとしたチョッパーがそう呟く。なにそれ怖い。
それにしても、とサンジはルフィに尋ねた。
「ルフィ、お前なんであの島がダメだと思ったんだ？」
「んー…おれ、あんな感じの見た事あるんだよな」
どこで！？という声が重なる。少し考え込んでいたルフィは、ふいに思い出して「あっ」と声を上げた。

「地面じゃなくて海だったけど、あれだ！　蟻地獄！」
思い出してすっきりしたらしいルフィは、仲間達がしん、と沈黙しているのにも気づかず満足気に死守したフィナンシェを食べていた。

[190 1 23/12/15(金) 03:17:02]

ということで無事脱出、これにて終了！ﾍﾞﾍﾞﾝｯ

>>183のダイスで最大値4に到達したキャラとしてないキャラのどっちに当たるかで最後の展開が変わる予定でした

最大値に達したキャラに当たってたらなんかホラーな島に上陸することになってた感じ

いやさすが主人公一味、無事脱出したね

無事脱出した代わりにあの島がなんなのかとかサニー号でのおかしな諸々はすっきり解明しないまま終わる

ここまで読んだり感想くれたり保守ってくれたりありがとうございました～！

[191 二次元好きの匿名さん 23/12/15(金) 04:34:25]

真相知りたいなこれ、お疲れ様です

[192 二次元好きの匿名さん 23/12/15(金) 05:43:56]

マジでクードバーストだった
面白かったよ！ありがとう！

[193 二次元好きの匿名さん 23/12/15(金) 07:12:13]

無事に逃げ切れて良かったけど真相が不明なの悔しくもあるー！！
アニワンでありそうな日常回っぽさと一滴のホラー感、キャラエミュと細かいこだわりがほんと素敵で楽しかった
お疲れ様でした、ネタバラシとか次回作とかあればお待ちしてます

[194 二次元好きの匿名さん 23/12/15(金) 08:51:18]

お疲れ様でした！ずっと読み応えあって楽しかった！
気が向いたらでいいんで上陸IFお待ちしております

[195 二次元好きの匿名さん 23/12/15(金) 15:26:55]

一味逃げ切ってよかったという気持ちともっと読みたかった気持ちがある…心か２つある〜〜〜！

[196 二次元好きの匿名さん 23/12/16(土) 01:26:04]

おもしろかった　謎の島編とかないですか

[197 二次元好きの匿名さん 23/12/16(土) 10:30:13]

感謝うめ

[198 二次元好きの匿名さん 23/12/16(土) 11:50:38]

お疲れ様です
謎と恐怖が少しずつ蓄積されていくのが読み応えがあってとても面白かった！

[199 二次元好きの匿名さん 23/12/16(土) 15:05:24]

お疲れ様です
話が繋がってくる展開とかおもしろかった！

[200 二次元好きの匿名さん 23/12/17(日) 00:28:31]

ｷﾞ…　ｷﾞ…