- 1二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:46:59
いつも通りトレーナー室で雑務をしていると、扉からコンコンとノック音が聞こえた。今は昼休みで、この時間に誰かが来ることはあまりない。珍しいな、と思いつつ「どうぞ」と声をかける。
すると勢いよく扉が開き、来客が姿を現した。
「お邪魔しま〜す…あ、トレちトレち〜〜!」
こちらを見るとぱあっと笑顔を見せ、近づいてくる。彼女はヴィブロスーー俺の担当ウマ娘だ。
「こんな時間に珍しいね、どうしたの?」
「えっとね、この前話してたテストなんだけど〜…」
そう言いながらカバンを漁り、一枚のプリントを見せてくる。
「じゃーん!私満点取ったんだ〜〜♡」
それは、少し前に頑張らなきゃと話していた数学のテスト。ヴィブロスの名前の隣に、完璧の証である「100点」の文字が刻まれていた。
「満点か、すごいなヴィブロス!」
「えへへ〜〜♡」
俺が努力の成果に賛辞を送ると、ヴィブロスは少し顔を赤くしてはにかんだ。天使のような笑顔に心が温まる。
「あ、それでねそれでね!」
するとヴィブロスが話を切り替えた。
「どうしたの?」
「今日いーっぱい頑張ったから〜…トレちからご褒美が欲しいなーって…」
彼女は少し控えめな表情で、ご褒美を所望してきた。
「ご褒美か…でもそういうの、君のお姉さんたちから貰えたりしないの?」
「シュヴァちとお姉ちゃんもくれるけど、トレちからも欲しいの!」
「うーん…」
「だめ、かなぁ…?」
彼女は目を潤ませ、上目遣いでこちらを見てくる。この目に弱いんだよなぁ…
「わかった、何が欲しいの?」
「…!やったやったぁ〜〜♡ えっとね、このお店なんだけど、今クラスで流行ってて〜」
結局、彼女のおねだりに負け、流行りのスイーツ店に行くことになった。 - 2二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:48:02
「はぁ〜美味しかったぁ〜〜♡ トレち、ありがとね!」
「これぐらい、お安い御用だよ」
ある程度スイーツを楽しんで、俺たちは店を出た。どのスイーツも見た目と味が凝っていて、値段も手頃。たまたまヴィブロスと来た店ではあるものの、また行きたいと思える店だった。
「シュヴァちやお姉ちゃんに、トレちにも褒めてもらえて、一緒にパフェも食べて…テスト、頑張ってよかったぁ♡」
彼女はすごく満足したようで、ステップを踏みながら歩いている。
「それならよかった」
俺がそう言うと、彼女はステップを止めて、少し真剣そうな顔でこちらを見てきた。
「…どうしたの?」
「あのね、私…これからもテスト頑張るから、」
「うん」
「また満点取ったら、ご褒美、貰ってもい〜い…?」
さっきまでの上機嫌なトーンとは一転、少し落ち着いた、真剣なトーンで今後のご褒美をお願いしてきた。
「うーん…」
少し考えて、俺は答えを出した。
「いいよ、また満点取ったら教えて」
「…!!やったぁ♡ 私、頑張るからね!」
承諾の返事をすると、真剣な顔がいつもの明るい顔に戻った。
元々ヴィブロスは気遣いができる子で、そこまで(金銭的に)実現が難しいご褒美を要求してくる訳でも無さそうだし、それにこのご褒美がモチベーションになるなら、いい投資だと考えたのだ。
今後のご褒美契約を結んで、俺たちは帰路についた。
…このとき、このご褒美が後にとんでもないものになるなんて、俺は一ミリも考えていなかった。 - 3二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:49:26
それから数週間、彼女は絶好調。何度も満点を取り続け、その度に俺に見せてきた。
俺も彼女の努力に応え、彼女が要求してくるご褒美を与え続けた…のだが、
「満点おめでとう、ヴィブロス。それで、今回は何が欲しいの?」
「え〜っとね…」
彼女は少し考えーー
「ぎゅ〜〜ってして欲しいんだけど…ダメ?」
「は、ハグ!?」
ーーまさかのハグを要求してきた。
今まで彼女のご褒美は、スイーツやコスメなどの「モノ」だったのだが、今回はなんとスキンシップをご所望のようだった。
いや、正確には少し前に満点を取った際、「頭を撫でて欲しい」と言われた。そのときは「まぁ頭を撫でるぐらいなら」と迷うことなく承諾したが、今回はワケが違う。
俺とヴィブロスはトレーナーと担当で、しかもヴィブロスは中等部の女の子。そんなセクハラみたいなこと、できる訳がない。
「いや、流石にそれは無理だよ…そういうのはお姉さん達にーー」
「うぅ〜〜…」
断ろうと思ったが、彼女は泣きそうな顔を向けてきた。
「私、今日のテストすっごい頑張ったんだよ…?満点、私だけだったんだよ…?」
「うっ…」
「トレちがぎゅ〜ってしてくれたら、もっとも〜っと頑張れる気がするの…」
そう言われると、こちらとしては物凄く断りにくい。自分の中で理性と本能がリアルファイトを始めている。トレーナーの今後を懸けた戦いはーー
「ね、ね、お願い…トレちにぎゅ〜ってして欲しいの…」
ーー彼女の一声で、本能が理性を叩きのめして終結した。
「…少しだけだよ」
「…!!わ〜い♡♡」
さっきまで泣きそうな顔だったのが、いつもの、いやいつもより明るい、天使の笑顔に変わった。 - 4二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:50:12
「ほら、おいで」
俺が両手を広げると、
「じゃあ〜…ぎゅ〜♡♡」
彼女はすぐに胸元に飛び込んできた。彼女の背中に手を回し、体を支える。
支えた彼女の体はすごく軽くて、柔らかかった。胸元に彼女の顔が収まったことで、彼女の髪から甘い香水の香りと酸っぱい汗の匂いが漂い、俺の回復しかけた理性を刺激してくる。
「えへへ…トレちの体、温かいね♡」
そう言って彼女も俺の背中に手を回す。
「えへへ、トレちトレち〜〜♡♡」
「ちょっ、ヴィブロス!?」
彼女は抱きついた上で、胸元に顔を擦り付けてマーキングをし始めた。胸元に感じる柔らかい触感と、香水と汗の香りがさらに俺の理性を削ってくる。
気付けば、俺は背中に回した手に力を入れていた。頭ではもう止めなきゃと思っているのに、体は彼女を離したくないと言っている。
もう戻れなくなる…そう思ったとき、
「…ふぅ〜〜、ありがとうトレち♡もう離してもいいよ〜」
「…えっ」
どうやら彼女は満足したようで、回していた手を離し、俺の胸元から離れた。
「すっごくドキドキした〜〜♡ これで次のテストも頑張れるよ〜〜!ありがとう、トレち♡」
いつもの笑顔で感謝を伝えるヴィブロス。だが、俺にもうこの日使える理性は残ってなくて… - 5二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:50:45
「ひゃっ!?と、トレち!?」
気付けば自分から彼女の体を抱いていた。
「どうしたの?もうぎゅ〜はいいんだよ?」
「ごめん…もう少しこうさせて」
ヴィブロスと離れたくない。このまま彼女を感じていたい、ずっと一緒にいたい…そんな思考が俺を支配していた。
「〜〜っ♡♡そっかぁ、トレち、私のこと大好きなんだぁ♡」
彼女は顔を上げ、熱っぽい目線を送ってきた。その目は、まるで恋人を見るような目で…
「じゃあ〜、今まで、トレちにい〜っぱいご褒美貰ってきたからぁ〜…♡」
「今度は私が、トレちにご褒美あげないと、ね?♡♡」 - 6二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 15:53:11
おしまい
歪んだヴィブロス愛が抑えきれずに書いてしまった…
解釈不一致、クソイナゴ等の叱咤激励は甘んじて受け入れる所存 - 7二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 16:06:10
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- 8二次元好きの匿名さん23/11/25(土) 16:07:19
自分はこの作品を書いた作者クソイナゴとは言えないな
素敵なSSをありがとう!