- 1二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 23:18:29
「え?僕を君の実家に・・・本気かい?カメハメハ。」
何を言ってるか理解できなかった。しかし、僕の担当ウマ娘は何時ものニヤッとした笑みでは無く至極、真面目な表情で僕の事だけをしっかりと見据えていた。
「そうよ、私のお父さんが改めてトレーナーさんに会いたいって、」
「別に会うのは構わないけど、そりゃまたなんで・・・」
先輩から一部のトレーナーは担当ウマ娘の両親に紹介される事があるから気を付けろと言われていた。事実、先輩の同期が何人もそれで退職するか結婚していた。その時、自分は『まさかそんな事・・・』なんて内心、笑い飛ばしていたが現実として自分の目の前にそれが現れると何とも言い難い気持ちになった。とりあえず、上手く理由を付けて断らないと。付き合っている訳ではないのに女の子の実家に足を踏み込むのは流石に不味いだろう。と、思っていたがどうやらそうとは行かないようだ。
「私のお父さんは、ウマ娘にとって不治の病と知られている屈腱炎を克服させ、再び走らせる様にさせてくれたトレーナーさんに是非ともお礼をしたいみたいなの・・・親族一同の前で。」
「・・・」
不味い・・・これは事実上の『お前を一族に迎い入れる事を認めた』という意思表示だ。実は、カメハメハの両親は甚く彼女の事を溺愛していて、初めて会った時など言葉にこそしていないものの『お前みたいな新入りに私の愛娘を任せられるのか?』と疑念の目で見られたものだ。
それから三年間、いかなる時も彼女の傍を離れず、二人三脚で走って来たことがやっと実を結んだようなのだが、こんな結果になるとは思っても見なかった。恐らく、僕がこのままカメハメハと一緒に彼女の実家に足を踏み込めば、再び家を出る時には僕の苗字が変わっているだろう。 - 2二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 23:18:36
「どうしたの?トレーナーさん。ボーッとしてたけど・・・」
「あっ・・・いやぁ・・・なんでも無いよカメハメハ。別に・・・」
勘のいい彼女の事だ。多分、今ので僕が色々思慮を巡らせていたことがバレただろう。多分、このまま考え込んでも椅子に優しく押し倒せれて、うんと言わざるを得なくなるのだろう。いや、そうでは無い。僕は・・・自分の意志でカメハメハと新しい世界に行くのだ。
「行くよ。君と一緒に僕は・・・君の実家に・・・」
その瞬間、カメハメハの目元が少し笑ったような気がした。
ー了ー - 3二次元好きの匿名さん22/01/05(水) 23:24:23
良い幻覚だ……
- 4122/01/05(水) 23:28:45
実装されてない上に、ここではあまり語れることの少ないウマ娘の幻覚でしたけど、満足して頂けたなら幸いですね