- 1スレ主23/12/05(火) 19:52:17
- 2スレ主23/12/05(火) 19:56:40
玲王「言いたくないことは言わない。でも、それ以外で俺にできることある?」
と、玲王は凪に聞いた
いくら凪の頼みでも、いくら宇宙一優しい玲王でも
聞けない頼みは聞けない
たとえば女装コスしてとか、変な写真撮らせろとか…凪のことを罵倒しろ、とか
玲王「冗談でも、そんなコト言いたくない」
凪「なんで。お願い、言ってくれたらちょっと鎮まるから…(誠士郎の暴走が)」
玲王「だって、思ってもないこと言ったら、それ嘘じゃん…俺、凪に嘘つきたくないから…」
「嘘つきたくない」
玲王はそう言いつつ、嘘はついていないけど隠し事はしていた
今日ここに凪を誘った理由をまだちゃんと言えてなかった
でもそれは、玲王にもまだよくわからない答えの出せない感情だから - 3スレ主23/12/05(火) 19:59:52
凪「(それ以外でレオにできること…?そりゃ、いっぱいあるよ。いくらでもある。お弁当あーんして欲しいし、今ここで膝枕してもらって昼寝もしたいし、出来ればチューだってしたいし、ああ、そうだ…ミニスカチアの写真撮らせてくださいって…ダメか、これはさすがにアウトか)」
凪「…」
玲王「…凪?」
黙り込む凪を心配した玲王が、その俯いた顔を覗き込むようにして見てくる
玲王に触ったらストップがきかないどころか無意識に暴走する、話したらきっと、要求がエスカレートする
でもせっかくの二人きりの時間に玲王と話さないのは嫌だ
凪「(軽く…そう…軽くいこう。まずはジャブからだ。レオを驚かせないように、嫌われないように…軽く手を繋ぐところから頼んでみよう)」
凪は屋上に吹く秋の風を肌で感じ、火照る心を抑えながら極めて冷静に玲王に言った
凪「ミニスカチアガールの写真を撮らせてくださいッッ!!ていうか俺の家で俺だけのために応援してくださいッ!!」
誤爆…!口からあまりにも誤爆ッ…!!
軽いジャブどころか右ストレートでぶっ飛ばしてしまった凪…
(聞くのも怖い)玲王の反応を下3レスから🎲 - 4二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 20:22:55
応援ならいっつもしてるだろーが
- 5二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 20:39:28
応援ってなんの応援だよ
- 6二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 20:40:56
またそういう感じかよ…心配して損した
- 7二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 21:01:35
塩…!
- 8スレ主23/12/05(火) 21:07:41
- 9スレ主23/12/05(火) 21:47:10
玲王「…」
凪「うぇっ!?(ヤバッ!)」
凪は焦り散らかした
先程から無自覚に腰は触るわ、今もエゴが口から飛び出すわ、やることなすこと全てが逆の言動
這い上がれない底なし沼である
凪は玲王の顔を見るのも怖くなり、恐る恐る薄目を開けてその反応を見た
凪「(チラッ)」
玲王「応援ならいっつもしてるだろーが」
凪「(塩…🧂)」
そう、玲王の返答はあまりにも塩だった
玲王「?」
しかし玲王本人にはその自覚はない
ただ凪の求めるような答えではなかったと言うだけのこと
玲王「つーか、凪知ってたんだ。俺が応援団すんの」
凪「え?あ、うん…まぁ…あ、いや、別にレオ目当てで応援団入ったワケじゃないんだケドね?あと、衣装のことは昨日団長から聞いて初めて知ったし…」
凪「(あれ)」
ここで凪はようやく重要なことに思い至る - 10スレ主23/12/05(火) 21:54:45
凪「(つーか…待てよ?よく考えたらミニスカチアって、体育祭当日色んなやつがレオの生脚見るってコト!?)」
そんなの冗談じゃない。玲王の生脚が見られてしまうなんて、絶対に許せない。誰にも見せたくない
メイド服は脚が隠れていたから気にしなかった。でもミニスカはダメだ!
凪は「俺以外がレオの生脚見るのは断固拒否!」の構えであった
凪「(えっと…あのミニスカって、脚どこまで見えちゃうんだっけ…サッカーのユニフォームとかよりも見えちゃう、よね。しかもレオって腰の位置高いから超ミニにならない…?はぁ?ウソ、そんなの、絶対無理…嫉妬で狂いそう)」
凪「…ねぇ、マジで当日履くの?ミニスカ…」
玲王「履くよー。凪もだろ?写真撮れたら一緒に撮るか」
玲王はいつまでも凪が自分の作った弁当を開けないので、黒色のランチトートから紫のクロスに包んだ弁当箱や箸を取り出していく
凪「じゃあ前の日に太ももにキスマつけてもいい?」
凪「(だったらミニスカ履かないじゃん)」
いや、考え方…!
玲王の脚が全校に見られるショックから、凪はもう頭がバグってしまい極端な発想しかできなくなっていた
(また聞くの怖いが)玲王…返事を下3レスから🎲 - 11二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 22:14:04
ダメに決まってるだろ
- 12二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 22:16:27
本気で怒るぞ(冷ややかな目)
- 13二次元好きの匿名さん23/12/05(火) 22:30:48
凪お前やっぱ疲れてんぞ
今日は早く帰って寝ろ - 14スレ主23/12/06(水) 03:00:56
- 15スレ主23/12/06(水) 10:09:30
玲王「本気で怒るぞ」
先程から度重なる凪の失言に玲王は冷ややかな目を向けた
それも当然のことだろう
急にこんなこと言われたら誰だって怒りたくもなる
凪「(美形の真顔はダメだって…怖いんだって)」
ホラーにはピクリとも震えない凪だが、玲王の真顔は本気で恐れていた
そうさせているのは自分なのだが
凪「いやいや…だってさ、俺が応援団入ってなかったらレオがチアすんの知らなかったんだよ?そんなのもし当日見てたら『お前ら!見るんじゃねえーッ!!』って、脚隠すためにレオの腰に抱きついてたかも…確実に!」
玲王「ハハ…ありえるわ」
玲王はその様子がありありと目に浮かんだ
もしそうなったら、今のように笑ってはいられなかっただろう - 16スレ主23/12/06(水) 10:15:18
玲王「だってミニスカでチアするとか言ったらお前がまた変なこと言ってくるんじゃねえかな、って思って黙ってたけど…たしかに体育祭の日に暴れられても困るし、今バレてんのは結果オーライかな」
凪「いや、だから全然結果オーライじゃないんだって…」
凪「(どうしよう、全然俺の心配伝わってない…)」
凪は絶望すら感じながらも玲王に食い下がる
凪「ねぇ、なんとか言ってさ、レオだけ長ズボンとかに変えてもらえないの?」
玲王「は…?いや、おかしいだろ。全員女装なのに俺だけ長ズボンとか。つーか俺が何しても自由じゃん?お前、マジで俺の親父かよ」
凪「へ?」
玲王「ホテルの部屋でも言っただろ。俺がクラスのやつと何話そうが、応援団で何着ようが…好きにさせろよ、そんなの」
父親から自由になったあとは凪から束縛されるのだろうか
誰かの描いた世界の中で生きたくはない、と玲王は思う
玲王「俺のこと信用してよ、もっと」
信用してないとかじゃなくて…
他人に玲王の『自分にしか見れない部分』を見せたくない感覚が、玲王には伝わっていない
凪はなんと言ってこの気持ちを伝えよう?
下3レスから🎲 - 17二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 13:43:18
好きな子の可愛い姿を他の奴らに見せたくないだけだよ
- 18二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 15:32:44
キラキラした笑顔とか俺にだけ向ければいいのにとか体のえっちな部分を俺以外に見せないで欲しいっていう好きな子への独占欲ってそんなにダメなこと…?
比較にならないかもしれないけどレオは俺がクラスのやつとすげー仲良くしたりとか太もも晒しても微塵も嫉妬しないってこと? - 19二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 17:41:12
俺がレオのことだいすきだから、レオの可愛い姿独り占めしたくなっちゃうの。レオもそういう気持ちになることあるでしょ?
- 20スレ主23/12/06(水) 18:59:55
- 21スレ主23/12/06(水) 20:31:31
凪「俺がレオのことだいすきだから、レオの可愛い姿独り占めしたくなっちゃうの。レオもそういう気持ちになることあるでしょ?」
玲王「…凪の、可愛い姿?」
凪「ん?うん…」
玲王「へぇー、いいじゃん。みんなに見せたら」
凪「は?」
玲王「可愛いのとか、カッコイイのとか…お前が凄いってこと、俺はもっと色んな人に知って欲しい。だからお前が有名になるのは嬉しい。俺は」
凪「(そ、そーじゃない!そーいうんじゃないのっ!)」
凪は再び玲王へ話が通じていないことに狼狽える
玲王「だって、それってつまり俺の見る目が間違ってなかったってコトだろ?」
玲王は出逢ったあの日、階段で凪のトラップを見てサッカーに誘った自分の目利きを思い出し、誇らしそうにしていた
凪「(こ、これは…もう、俺の気持ち分かってもらうのは無理かもしんない)」
最初から皆の羨望を集める学園の王子様であり、大抵の欲しいものを手にしていた玲王の心の中には、嫉妬や独占欲という感情は存在しないのかも知れないと凪は思う
むしろ自分の宝物が他の人にとっても価値があると思われるのが嬉しいことのようだった - 22スレ主23/12/06(水) 20:40:35
凪「…レオってさぁ」
玲王「ん?」
言いかけて凪は止める
凪「(嫉妬とかしたことないのかな…とか、独占欲あるの?とか…いや、ないか。物も才能も何でも持ってる人だし。俺がまずレオよりモテてなきゃ、そんなこと思われないもんね…)」
凪「クソ…モテたい…」
凪は口から独り言が飛び出してしまう
凪「(それで… レオにヤキモチ妬いてほしい…!)」
玲王「え、何言ってんの?」
凪「あ、(やべ)なんか今…無性にモテたくなっちゃって」
玲王「…俺がいるのに?」
凪「あ」
玲王「…まぁ、いいやもう。昼休み終わるから早く食えよ」
玲王が紫のクロスに包まれた弁当箱を掴み、凪の胸の辺りにグイッと押し付けてくる
凪「…ねぇ、これ食べ終わっても、俺と別れたりしない?」
玲王「いや、意味わかんねーって…どこの世界にこれから別れるやつに弁当作るやつがいるんだよ」
凪「じゃ、開けてみていい?」
玲王は黙って頷く
凪がクロスを解くと、中から曲げわっぱの弁当箱が現れる
そしてその蓋をパカッと開けると、中にはおにぎり数個と簡単なおかず(可愛いタコさんウインナー付き)が入っていた - 23スレ主23/12/06(水) 20:46:48
凪「(こ、これが愛妻弁当か…ッ!!)」
凪は玲王の手作り弁当に感動して言葉が出ない
玲王「朝あんま時間なくて…簡単なモンしか作れてなくて、ごめん」
凪「え(これが…簡単な、モン…?)」
おにぎりと言えども、十六穀米に梅や高菜を混ぜたり、炊き込みご飯など三種類全部が違う
おかずも唐揚げに野菜の炊き合わせなど、ほんとに男子高校生が作ったのかというくらいに凝っていた
凪「おにぎりとかも…凄いじゃん、これ。色々あって。もしかして俺のために食べやすくしてくれたの?」
玲王は黙って頷きながら水筒から温かいお茶を注いでいる
凪「こんなの俺、絶対作れないよ」
玲王は完璧主義で自分に対する基準が厳しい
頑張る玲王はキラキラしていて好きだけど、ずっとそんなのじゃ疲れないのかと凪は少し心配になる
凪「このタコさん可愛いね」
そのウインナーにはご丁寧に黒ゴマで目まで付いていた
他にもどうやって作ったのか分からないような細かいカットが施された花のような形のウインナーとか、とにかく凝り性の玲王らしい弁当だった
玲王「楽しそうな見た目にした方が凪が喜ぶかな、って思って」
凪「ありがと。でもお子様ランチにはしゃぐ幼児じゃないんだからさー」
玲王「いや、お前ぜってー好きじゃん?お子様ランチ」
二人きりになれる時間が少なくたって、別に玲王の気持ちが離れた訳じゃない
それどころか自分のために栄養や見た目を考えてこんなお弁当まで作ってきてくれている
これが愛情じゃなかったらなんなのだろうか - 24スレ主23/12/06(水) 20:51:52
凪「うぇーい!いただきまーす」
テンションの上がった凪は、昨日の白組応援団のウェイ系の盛り上がり方を見せる
玲王「…何、キャラ変?」
凪「あ、これは応援団の人達のノリでー、みんな凄いんだよ。元気良すぎて別世界の人みたいな」
玲王「なんだっけ…。お前、前にもクラスの子の影響で『ヨイショー』とか言ってたよな」
凪「あー?だっけ」
玲王からそんなことを言われても、凪からしたらその場の気分で話す自分の口癖など特に気にも留めないようなことだった
凪「ウマいよこれ。もしかしてふりかけとかも手作り?」
玲王「仲良いんだやっぱ」
凪「え?」
急に玲王から話を遮られたことに凪は驚いた
凪「仲良いって?」
玲王「お前のクラスの女子と」
凪「(な、何で今クラスの女子の話になんの…?)いや、全然。アイツら俺のことナメてるから。寝太郎とか呼ぶし、多分俺の名前も覚えてないんじゃね?」
玲王「…」
凪「あと、机囲んでパワースポットとか言って拝んでくるしさ。うるさくて寝れないからマジで迷惑だよ?」
玲王「じゃあさっきモテたいって言ったの、どーいう意味だよ」
凪「え…(こ、これって、もしかして…?)」
もしかして:嫉妬🔍
凪はここでようやく玲王が自分のクラスの女子に嫉妬しているのかも知れないと悟る - 25スレ主23/12/06(水) 20:58:39
凪「(嫉妬…え、マジか。これってレオからのヤキモチってコト?やった!あ、でも待って…ここで簡単に喜んじゃうのはダサいから…『お前に妬かれるくらい別に俺には日常』ってくらいの余裕ある男ムーブしなきゃだよね…!)」
ここで最悪の解を導き出すのが恋愛、人間、ともに一年目の男である
凪「レオ?」
玲王「ん?」
凪「あのね、そんなの気にしてたらやっていけないよ?」
玲王「何が?」
凪「だって俺、この先レオと一緒に二人でもっと有名になるんでしょ?」
玲王「うん。俺とお前で、絶対一緒にそーなるつもり」
玲王が久しぶりに可愛い笑顔を見せて凪に笑いかけた
凪「(か、可愛い〜ッ!)…おほん、だったらさ。この先俺、スゲーモテちゃうかもね」
玲王「え」
凪「どーしよっかなー?可愛い女子アナとか?グラドルとかに声かけられちゃったら」
玲王「…」
こ、これが凪の考えた余裕ある男ムーブ…?
でも、大丈夫か…?
玲王の反応を下3レスから🎲 - 26二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 21:00:39
…凪もそういうのが好きなんだ
- 27二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 21:04:07
凪は俺よりそっちを選ぶの?
- 28二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 21:47:19
………ヤダ
- 29二次元好きの匿名さん23/12/06(水) 21:50:35
凪には俺がいるのに…
凪は俺のもんってわかるようにしとかねーとな! - 30スレ主23/12/06(水) 23:17:03
- 31スレ主23/12/07(木) 00:55:09
凪「(ま、俺はそーいうの全然キョーミないしレオが世界で一番綺麗で可愛いに決まってんだけど。それよりどーよ?この俺の余裕のある大人の男ムーブ!)」
その表情筋は相変わらず動作しないままだが、凪は「もしかして妬いてんのー?」とかいうDSの冷やかし暴走ムーブをすることもなく、自分の描いた大人の男ムーブがちゃんと出来たことに内心ではドヤ顔をキメていた
「もぉ、そんなイジワルいこと言うなよ!」とか可愛く言われるのかなー、と軽く期待をしつつ、凪は玲王の顔を見る
凪「(えっ!?)」
玲王「…凪もそういうのが好きなんだ」
凪「(うおおおおいっ!!)」
凪は顔面からズッコケそうになる
凪「(ななな、何で顔超曇ってんの!?)」
先程まで秋晴れに顔を覗かせる太陽のように優しい微笑みを自分に投げかけていた玲王はどこにいったのか
その麗しい顔は悲しげに眉を寄せ、溌剌と輝くいつもの大きな瞳は精気を失くしていた
曇り。ガン曇りである
…ギュッ
凪「!?」
しかし玲王はその表情とは反対に、なぜか凪の腕に抱きついてきた - 32スレ主23/12/07(木) 00:58:23
凪「何!」
玲王「寒い」
凪「え、」
玲王「さっき、結局あっためてもらってねーし…シャツも出されて、余計寒くなった…」
凪「あ、ごめ…???」
いつもの玲王なら逆鱗に触れたら「もう知らない」と言ってサッサとどこかへ行ってしまうのに
今日に限ってはなぜかいなくなるどころか自分の腕に抱きついてくるという謎の行動に、凪は頭が混乱する
凪「(え、今…もしかしてイチャイチャしたい気分なの?)あ、じゃあレオ〜、この可愛いタコさんウインナー食べさせてよ」
玲王「自分で食えよ」
凪「ッ!?(いや、こんだけくっついてんのにあーんもしてくれないとか…どっちなの!?)」
せっかく玲王がイチャイチャしたいなら、お言葉に甘えて次こそは誤爆しないように…と手始めに軽く「あーん」をお願いをしたのに
それを断られてしまったことで、ますます凪の頭は混乱する
凪「(えっと…待てよ。たしかこのパターンは…)」
人付き合い、恋愛経験ともに浅い凪は、その天才的頭脳に詰め込んだ情報(提供元:LI◯Eマンガ)から、今の玲王の反応に最も近いモノを掘り起こそうとした - 33スレ主23/12/07(木) 01:10:37
『そっけないくせに腕に抱きついてくる恋人』
その結果は…
もしかして:ツンデレ🔍
凪「(ツ…ツンデレかよッッ!?)」
その予想外の検索結果に凪は慌てる
凪「(いや、いらない、いらないから…!超優秀で超美形で元メシマズの猫舌、雷苦手(+ホラー←New!)な御曹司がこの上さらにツンデレ属性持ちとか、もう色々と盛りすぎだろッ!これ以上レオにヒロイン属性盛らなくてイイ!DTで恋人いない歴=年齢だった俺にはこれ以上は対処しかねますッ!!)」
凪「…」
玲王「…」
凪が黙々と一人で弁当を食べているのを見るでもなく、会話をするでもなく、玲王はずっと凪の腕に抱きついて、その肩に頭を乗せたままだ
凪「(まじで…何考えてんのか全ッ然わかんねえ…)」
しかし、いつまでもこうしてはいられない
凪「(たしか、ヒロインのツンが強くなるのは、大抵素直になれないヤキモチとか嫉妬が原因だったはず。ここは一個ずつ状況確認していこ…)」
凪「レオ…もしかして、ヤキモチ妬いてんだよね?」
玲王「は?バカじゃねえの」
そう言いながらも玲王はギュッと凪の腕に抱きつくのをやめないどころか、その手の力をさらに強めて顔を腕に寄せてくる
凪「(うわ…マ、マジでツンデレムーブじゃん。えっと、ツンデレにはどう対応すんのが正解なんだっけ…。あ!クッソ〜たしかそこまではまだ連載が進んでねえんだよ…参った…誰か…!ツンデレへの正しい対処法、プリーズ!)」
ツンデレにはどう対処するのが正解なのか…?
さすがのLI◯Eマンガにも肝心のその部分はまだ連載されてはいなかった!
教科書抜きで自分で答えを出さなきゃいけないぞ
ツンデレ玲王に凪は自己流でどう対処した?下3レスから🎲 - 34二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 01:19:55
世界一可愛いレオ以外目に入らねーよ!!!
クソデカボイスで主張 - 35二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 01:26:29
レオ…かわいい…すき…
ギュッと包み込むように抱きしめる - 36二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 01:53:54
とにかく可愛い玲王を褒めてあげよう!
「お弁当すごく美味しいよ、ありがとうねレオ」 - 37スレ主23/12/07(木) 02:00:44
- 38二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 02:03:40
バレ怖くてX開けなくなるのあるある…
- 39スレ主23/12/07(木) 04:23:16
凪「(あー、もう。正解とかわかんねぇ、わかんねーけど…とにかくこのツンの状態を溶かさないとだよね…。多分レオも、素直になれないのはツラいと思うから…)」
玲王の心を溶かすため、凪はとにかく可愛い玲王を褒めてあげようと思う
凪「えっと…レオ?」
玲王「…」
玲王は凪の呼びかけに返事をすることもなく、ただじっと前を見つめていた
凪「お弁当すごく美味しいよ、ありがとうねレオ」
玲王「…ん」
凪「あと、今日も可愛いよ。スッゲェ可愛い。ほんと、俺のレオは世界一かわいい」
スリ…
凪「?」
横にいる玲王が、抱きついている腕の後ろに自分の顔を隠すようにしてすり寄せてくる
そしてそのまま、ポツリと自分の心境を話し出した - 40スレ主23/12/07(木) 04:37:02
玲王「あのな…実は、昨日お前が応援団の練習してるとこ…俺、外廊下から見てた」
凪「えッ!!嘘っ!?見てたんなら声かけてよ…!?(超恥ずいじゃん…!)」
知り合いに「実はあの時見てた」と後から聞かされるのは、どうしてこんなにも恥ずかしいものなのだろうか
凪「(あんな風に踊り狂ってるところとか、絶対レオに見られたくなかったんだけど…!?レオが見てるって分かってて踊るのとそうじゃないのとは、全っ然違うからっ!なんかもう、そこは精神的に全っ然違うからッ…!)」
凪はムダに精神的ダメージを喰らっていた
玲王「そん時に見た凪がさ、なんか…俺の知らない人みたいで」
玲王『(ああ、もし俺と凪があの階段で出逢ってなかったら…きっとこんな感じなんだ)』
玲王「俺が知らないあの人達の中で、お前が楽しそうにしてる姿見たら…別に、俺がいなくても、凪は人の輪の中に入って、ちゃんと周りとうまくやっていけんだって思ったら…そしたら、急に…寂しくなった…」 - 41スレ主23/12/07(木) 04:40:19
凪「へ?(いや、全然うまくやってませんでしたけど…!?)」
自分のどこを見て玲王がそう思ったのか凪にはサッパリ分からなくて戸惑う
玲王「しかもあの日さ、昼に俺から凪に『くっつくのやめよう』とか言ったじゃん?なのに、そんなお前見たら…やっぱりこうして触りたくなったし」
一貫性がなくて、気持ちが毎日ブレまくってる
言ったことと、やりたいことがまるで合っていない
そのことに玲王は昨日からずっと悩んでいた
そしてろくに寝れず、気付けば台所に立って凪のために弁当を作っていた
玲王「自分からくっつくなとかお前に言ったくせにさ、俺の方が触りたくなってるとか…そんなのって、一番ダセェよな…」
凪にずっと変な風に誘われたり、触られるばかりするのは嫌だと思っていたのに、でも離れてほしくない
今日凪の教室に行った時だって、他の誰かと親しげに話す姿を見たら、やっぱり胸が苦しくなった - 42スレ主23/12/07(木) 04:42:37
恋愛において問いがあって、そこに明確な答えがあるならこの気持ちも簡単に解けるのに
ぐちゃぐちゃになって乱れて解けない気持ちの答えは玲王にも分からなかった
玲王「凪…もっかい、ぎゅってしていい?」
凪『俺のこと充電しないとレオも動けないくらい俺のこと好きになって欲しい』
あのゾンビデートの時の凪の言葉が、ようやく玲王の腑に落ちる
玲王「やっぱ、凪に触らないと、俺も動けない」
凪「…へ?」
玲王が弁当を持ったままの凪の首に腕を回し、甘えるように顔をすり寄せて抱きついてくる
凪「ねぇ、いや、弁当落ちるし、一回離れてっ」
玲王「ムリ、離れらんない」
玲王は凪の首に腕を回したまま、その首元に顔を埋めて動かない
凪「ちょ、分かったから、離してって(やばい)」
玲王「凪…すき…」
無自覚だろうが耳元で甘えた声で玲王にそう囁かれて、凪は一気に自分の体温が上がるのが分かった - 43スレ主23/12/07(木) 04:44:58
凪「(なんでこんなトコでそんな可愛いこと言うのッ…!?今触ったら、もう止まんなくなるじゃん…!外なのに!昼休みももう終わんのにッ!)」
凪…いや、誠士郎のピンチである
しかし凪はその天才的頭脳である打開策を閃いた
凪「(そうだ!『あー、もうタコさんウインナーその口につっこんじゃうぞ!』とかなんとか冗談ぽく言って話変えよ!)」
凪「こーら、レオ?」
玲王「?」
凪の首元にスリスリと猫のように抱きついていた玲王が、その声に顔を離して凪を見つめる
玲王「…何?」
コテンと首を傾げるその瞳は、少し興奮したように赤く潤んで揺れていた
凪「(クッソ可愛いです)」
凪「あのね…」
玲王「うん…」
凪「あんま俺のこと困らせたら、その可愛いお口に俺の誠士郎つっこんじゃうよ?」
誤爆ッ…!!
またしても誤爆回避ならず…!!
可愛すぎる玲王がいけません(責任転嫁)
言葉の意味が玲王に通じていないことを願う
玲王の反応を下3レスから🎲 - 44二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 06:26:06
??誠士郎をつっこむ…って何?どういう意味?(首を傾げながら)
- 45二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 09:09:29
どういう意味...?また俺の勉強不足でわかんない...ごめん凪...(涙目上目遣い)
- 46二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 10:20:39
お前がいつも言ってる誠士郎って何のこと?
俺にもわかるようにちゃんと言ってくれよ… - 47二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 11:53:28
む、無知○チュ…
- 48スレ主23/12/07(木) 15:27:21
- 49スレ主23/12/07(木) 19:05:50
玲王「お前がいつも言ってる『セイシロー』って何のこと?俺にもわかるようにちゃんと言ってくれよ…」
瞳を潤ませた玲王が凪の首に腕を絡めたまま顔を覗き込んでくる
凪「(そんなの、無理だよ…今は、ムリ…)」
弁当箱を持ったままの状態で凪は選択を迫られていた
ここで正直に説明したら必ず玲王と”そーいう”雰囲気になってしまう
もしうっかり手を出し始めたら、確実に五限はサボりになるだろう
自分だけならまだしも、学園の王子様である玲王にまで授業をサボらせるわけにはいかない
屋上からビラを撒いたりと、普段はめちゃくちゃな暴走する凪だが、なぜだかそういうところには気を遣うらしかった
玲王「なぁー、セイシローって…?お前の名前だろ?それを俺の口に突っ込むってさ、どーいう意味だよ?」
凪「(どうもこうも…そんなモン、自分で察してよ…?日本人らしい心の機微とか、もののあはれとか。それがあればなんとなく察するんじゃないの?俺の言う誠士郎が、ナニを喩えているかなんて…)」
自らの誤爆発言により勝手に追い込まれている凪は、玲王の国語能力に対して八つ当たりを始める - 50スレ主23/12/07(木) 19:08:54
凪「レオって…国語苦手だっけ?」
玲王「え?いや。俺、苦手科目とかないけど」
凪「だ、だよねー…(さすがハイスペック、属性盛り盛りキャラ。なのに、なんでソコだけ気付けないの…?)」
玲王「…」
上手く説明出来ずに言い淀む凪の様子をおかしいと感じた玲王は、首に巻き付けていたその手をそっと離す
玲王「…なぁ、もしかして。それってちょっと恥ずかしいコトだったりとか…する?」
凪「え?うん…まぁ、恥ずかしいって言うか…(突っ込むって言っちゃったのは、ちょっと恥ずかしいかも知んないけど)」
玲王「…大丈夫」
凪「?」
玲王「実は俺も、前にそーいうコト考えたことあるから!」
凪「ブフッ!?」
玲王からの突然の告白に、凪は口に入れかけていたタコさんウインナーを危うく地面に落としそうになったのを、すんでのところで弁当箱でキャッチした - 51スレ主23/12/07(木) 19:15:31
玲王「…大丈夫?」
凪「だ、大丈夫、大丈夫…。え?つか、何?レオも考えたことあんの?俺と同じコト…」
玲王「うん。暇してる時とか、一人でいて寂しい時に、考えたコトあるよ?俺も」
凪「(は…?)」
そう告げる玲王は、冗談などではなく、内緒話を打ち明けるような神妙な面持ちである
凪「(そ、それって…マジで、レオが俺の口にレオの玲王を…?)」
玲王の思うコトと、自分の思うコトがもし同じだった場合
それは凪からしたら完全な解釈不一致だった
玲王「(『セイシロー』って名前をつけて何かを呼ぶってことは、いわゆるイマジナリーフレンドとかってやつだよな…?俺も一人っ子だったし、小さい頃とか寂しい時に、ちょっと考えてみたことあるけど…凪は俺に出逢うまでは一人だって言ってたから、空想の自分と今でも頭の中で会話してたとしてもおかしくないよな)」
御曹司は例の如くとんでもない思い違いをしている - 52二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 19:21:45
イマジナリーフレンドを口に突っ込ませる凪誠士郎!??!?
- 53スレ主23/12/07(木) 19:25:27
玲王「(そうだよ。きっと今までろくに話す相手もいなくて寂しかったよな…凪。サボテン飼うくらいだし。イマジナリーの『セイシロー』と話すくらい人との会話もなかったとか、やっぱ俺がパートナーとして今まで凪が寂しかった分も甘やかしてやらなきゃ…!)」
謎の使命感に駆られた玲王は、凪の手から箸を取り、タコさんウインナーを掴んで凪の口元へと持って行く
玲王「ほら?口開けろよ。あーん」
凪「…」
タコさんウインナーが玲王の持つ箸により、凪の口へとジワジワと進んで行く
凪「ってちょっと待ってぇッッ!!」
玲王「!?」
凪が箸を持つ玲王の手を握って強引にその動きを止めた
凪「いやいや…ムリだよ…(俺が自分からレオのを口にすんのはイイけど、レオから口に突っ込まれんのは完全に解釈違いだから)」
あくまでベッドの上では自分が絶対的に主導権を握りたい男。玲王の玲王を口に突っ込まれることには断固拒否の構えであった - 54スレ主23/12/07(木) 19:30:13
玲王は箸を持った手を凪に掴まれたまま、どうしたものかと困っている
玲王「あーん、すんの…やなの?(さっき俺にしてって言ってなかったっけ?)」
凪「いや、『あーんすんの、やなの?』とか可愛く言われても、ムリなもんは絶対ムリだから…(するにしても、『そんなとこやだ』ってレオが恥ずかしがってんのを、俺が無理矢理するから燃えるんじゃん…)」
玲王「えー…?」
凪「ていうか、ナニ?(ソロプレイもしたコトないとか言ってたのに)レオもそんなコト考えたことあるんだ?スゲェ意外なんだけど」
玲王「俺だってあるよ。それくらい」
凪「へ、へぇー…ソウナンダ」
玲王「でも、大丈夫だって。俺は凪が頭の中でどんなこと考えてたって…ちゃんとお前のこと全部受け入れてやるから」
そう言って玲王は行き場を失ったタコさんウインナーを自分の口へと運ぶ
凪「(うっ、うわぁ…)」
🐙ウインナーがその小さくて形の良い口の中に入って行くのを見た凪は、つい自分の誠士郎がそこに呑み込まれて行くところを想像してしまった - 55スレ主23/12/07(木) 19:33:21
凪「(そんなコト言いながらそれは…さすがに刺激強いって…もう、ムリだよ俺…)」
「ムリだよ俺」な状態にしているのは本人の妄想力のせいである
凪「ねぇ、マジで俺の誠士郎のこと(口に突っ込んだりしても)平気なの?変とか思わない?こんなこと考えてる俺のこと、嫌いになったりとかしない?」
玲王「え…?(頭ん中にイマジナリーフレンドがいる俺でも平気か、ってことだよな?)うん、嫌いになんかなるわけない。俺はどんな凪でも大好きだし、全部受け入れたいって思ってるよ」
凪「(マ、マジかあぁ!)あ、ありがとう!レオ…俺、今めちゃくちゃ生きる勇気と希望が湧いてきた」
玲王「ぷはっ、お前マジで大げさすぎ!」
凪「いや、こんなの理解してくれる人なかなかいないと思うし…あ、じゃ、じゃあ今はもう時間ないからさ。また今度二人っきりになった時にちゃんと説明させて?」
玲王「オッケー、分かった!」
なんということでしょう
こうしてすれ違いのまま二人は屋上での昼食を終えた
知らない…知らないぞ玲王。この先とんでもないものを口に突っ込まれても - 56スレ主23/12/07(木) 19:38:34
in 玲王のクラス
体育祭実行委員となったクラスメイトの男女二人が黒板の前でクラスメイト達に説明をする
生徒「えーっと、体育祭まで残りあと数日なのですが、今年はインフルも流行っていて残念ながら出られなくなっちゃった子が何人かいるので、もう一度みんなの出場種目を決め直したいと思います」
生徒「体育祭の後に期末もあるからあんま時間取れないけど…どうせやるからには優勝目指してみんなで頑張ろー!」
玲王&生徒「「おーっ!」」
生徒「俺ら内部クラスの団結力見せてやろーぜ!」
生徒「目指すならやっぱ何でも一番だよね!」
都内屈指の超進学校、白宝高校———
誰しもが凪や玲王のような恵まれた頭脳の持ち主ではない
日々勉強を重ねる努力家で負けず嫌いな、意識の高い生徒達の集まり
やれ勉強が気になるだの、やれ体育祭は会長の私情だろと言いつつも、いざやるとなればみんな何事にも全力投球なのであった
さて、優勝を目指して士気を高める玲王のクラス
玲王の出場競技は?(2,3種目くらい)
下3レスから🎲 - 57二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 19:40:58
リレー、借り物競争
- 58二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 20:07:13
リレー、ダンス、騎馬戦
- 59二次元好きの匿名さん23/12/07(木) 21:28:45
リレーは外せない
あとパン食い競争と二人三脚 - 60二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 02:03:30
エピ凪更新後だが更新頑張ってスレ主!
心を強く持とう!! - 61スレ主23/12/08(金) 02:24:13
- 62二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 09:17:32
チャイナかわいい!
エピ凪、彼女と別れて大荒れって感じだったね… - 63二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 17:19:34
こっちではラブラブしててくれ!!保守保守
- 64スレ主23/12/08(金) 19:55:54
生徒「とりあえずメインはクラス対抗リレーでしょ、なんといっても!」
生徒「リレーを制する者は…?」
生徒達「「体育祭を制すッ!」」
生徒「リレーって言ったらやっぱり重要なのはメンバーと走順よね。とにかくアンカー勝負!他のクラスのアンカー誰!?」
生徒「違うクラスだと一番速いの…やっぱり凪?」
生徒「ねぇ、玲王!寝太郎と玲王ならどっちが足速いの?」
玲王「え…あー、凪かな…(勉強合宿の時、砂浜ですぐ追いつかれたし)」
生徒「じゃあやっぱうちのアンカーはクラスで一番速い玲王で、一走目が二番目に速い…」
こうしてクラスメイト達は秀才らしく(?)戦術的に敵の速さを分析しながら慎重に走順を決めていく
いつもならば玲王がノリノリでこの作戦会議に参加するはずなのだが、玲王の心はここにあらずだった
玲王『別に、俺がいなくても、凪は人の輪の中に入って、ちゃんと周りとうまくやっていけんだって思ったら…そしたら、急に…寂しくなった…』
玲王「(ヤバいな、俺…。さっきの昼休みの状況を冷静に振り返ったら…マジで言ってること勝手すぎるだろ)」
自責傾向の強い玲王は、脳内で思いっきり一人反省会をしていた - 65スレ主23/12/08(金) 20:01:08
玲王「(なんか凪と二人でいたら甘えたくなって、結局俺からくっついてるし…あの時凪から『離して』とか何回か言われてたのにずっと離さなかったし。もし逆の立場だったら、俺は絶対キレてる。凪は優しいから怒らなかったけど…やっぱりおかしいのは凪じゃなくて俺の思考なのかな…)」
玲王は一人でぐるぐると考え続けていた
生徒「えーっと、あとは借り物競争な!」
生徒「運動会の鉄板!」
生徒「一番盛り上がるやつー!」
生徒「ここはやっぱ御影流の交渉術で玲王だよな!いい?玲王」
玲王「あー、うん、オッケー!(なんかよく聞いてなかったけど)」
生徒「よっしゃ!じゃあこれでメンバー決まりぃ!」
玲王「(呆れられたくない…ちゃんと自分の決めたこと、凪に言ったことは俺だって守んなきゃ…)」
そして、そこから数日間———
玲王は鉄のように硬い意志で、凪と二人きりになってもくっついたり甘い雰囲気にはならないように心がけたのだった
その結果、凪のバッテリー残量は…著しく低下🪫
凪「(もう…限界…)」
ナギマックスは、充電切れかけで空気の抜けたベ◯マックスのようになっていた - 66スレ主23/12/08(金) 20:05:22
in 凪のクラス
凪「(なんなの…なんなのこの謎のナマゴロシ期間は…)」
ぐでー…
バッテリー切れに近い凪は机に伏せっていた
あれ以来、玲王は今まで通り凪のクラスに昼食の誘いに来てくれるようになっていた
手作り弁当を作ってくれていたり、忙しい日は購買で買って屋上で食べたり、二人でカフェテリアに行ったり…
しかし凪の期待するようなイチャイチャ展開は起こらない
そう、何も起こらなかったのである
凪「(屋上とかで二人きりにはなるのに、くっつこうとしたら目逸らされたり、避けられるんだよね…どーゆうコト?これは、ツンデレオじゃないんだよ。ツンもないけどデレもない…。もうこれって、ただの友達じゃん!)」
まだ初セッも済ませてないのに凪は既に倦怠期のカップルのような悩みに苦しんでいた
凪「(俺はレオと友達じゃなくて恋人みたいなコトがしたいんだよ…!)」
そう思いながら身体を捩ってぐねぐねと身悶える凪の姿は、周りからは「今日のパワースポットは随分と寝相が悪いのね」くらいにしか思われていない
そんな白宝パワースポットの近くで凪を拝む女子達が恋バナを始める - 67スレ主23/12/08(金) 20:09:00
生徒「なんか好きな人がさぁ〜最近私のこと避けてる気ぃすんだよねー」
凪「(ピクッ)」
生徒「えーマジかー」
生徒「二人っきりでどっか行ったりはすんのにさー、イイ雰囲気になったら急に目逸らしたり、話変えたりされてさ…これって、私と友達以上の関係にはなりたくないってコトなのかな…」
凪「…」
いつもならリア充JKの会話などまるで興味のない凪だが、LI◯E漫画には載っていない生の恋バナに自然と聞き耳を立てていた
生徒「違うよ。それはね、好き避けってやつよ」
生徒「好き避け?」
凪「(す、好き避け…?なんだそれ)」
生徒「好きな相手に対してそっけない素振りをしたり、本心とは逆の行動をとることよ」
生徒「えー、意味わかんない。なんでそんなコトすんの…?」
生徒「たとえば、好きな子に意地悪しちゃう男子とかいるじゃん?心理学だと防衛機制の中に反動形成ってのがあってね。本当は好きなのに傷つきたくないから自分の気持ちを出さないようにしてんのよ」
凪「(それってなんか…身に覚えが)」
生徒「えー、めんどくさい!そんなのどーしたらイイの?」
生徒「そりゃもう、相手に分かるようにグイグイこっちから迫って行くしかないんじゃない?積極的なボディタッチとか。『私はあなたのことが大好きだよー!』ってのを、相手が安心して本音が出せるようになるまで分からせるようにするしかないんだよ」
生徒「…わかった!じゃあ今度やってみるね」
凪「(ヨシ、じゃあ俺もやってみよ!)」
こうして凪はクラスメイト達の会話から有益な情報をゲット…いや、盗み聞きした
いつも拝まれてやっているのだ、これくらいのコトは許されるだろう
そして体育祭がいよいよ明日に迫った放課後——— - 68スレ主23/12/08(金) 20:18:17
in 生徒会室
会長「あー、とうとう明日は玲王君のミニスカチアガールが見られるなんて、役得だなー!なって良かった生徒会長!!」
玲王大好き人間の集まる生徒会室の会長椅子に座る生徒会長は、満足そうに微笑んでいる
副会長「ホントそうですね、会長。会長が後期生徒会で再び会長職を続投出来たのも、全て玲王様を愛する生徒達の民意ゆえですね」
会長「そう、だからきっとみんな明日の応援合戦は喜んでくれるハズさ!」
役員「会長!写真部に明日玲王様専属のカメラマンを配置するよう頼んでおきました!」
会長「うむ、グッジョブ!映像研究部に動画も回すよう頼んでおこう」
一年「(こんなの…おかしい、おかしいよ。やはり納得がいかない)」
後期生徒会役員になった例の一年生は、この腐敗しきった生徒会にいまだ納得できずにいた
一年「(何なんだこれは。”生徒による生徒のための生徒会”であるはずが、”生徒による御影玲王のための生徒会”と化しているじゃないか…!こんなの、公私混同も甚だしい!)」
生徒会のすべてが御影玲王を中心に回っている
まだ玲王に脳を焼かれていない一年役員には、それが納得できなかった
一年「(こうなったら…俺が生徒会を正してやる!)」
一人覚悟を決めた一年役員は、玲王のいる体育館へと向かう - 69スレ主23/12/08(金) 20:24:25
in 体育館
そこでは赤組応援団が最後の合同練習を行っていた
赤団員「だいぶ動き揃ってきたねー!」
玲王「だなー」
一年「(観念しろ御影玲王!)あー大変だなーどうしよう」
一年役員が慌てた様子でワザとらしく玲王に近づき、聞こえるように独り言を漏らす
玲王「…ん、誰?見ない顔だな」
一年「(うわ、これが生の御影玲王!背ぇたっけー!顔ちっちぇえ!ていうか見下ろすな、俺を!)」
一年「あ、俺は生徒会役員の備品係の者です。今、体育祭の備品の最終チェックをしてる途中なんですが、赤組のポンポンが足りないみたいでそのお話に…」
玲王「え、そーなの団長?」
その話を聞いた玲王が赤組応援団の団長を見る
赤団長「ああ、同じ赤色のポンポンが揃わなくてな。今は間に合わせで何人かは似た色を使ってるんだけど、できれば明日は全員同じ色で揃えたくて…一年生くん、赤色のポンポンは他に見つかったのかい?」
一年「ハイ。前備品係の話では恐らく中等部の方にある旧体育倉庫に以前イベントで使ったものがあるのではとの話だったんですが…僕は外部生なもので、中等部の場所がよく分からなくて…」
赤団長「あー、俺もその旧体育倉庫?とやらの場所は知らないな。誰かわかるやついないかー?」
玲王「中等部なら分かりますよ。俺が行きましょうか?」
赤団長「そうか、悪いな御影。頼む」
そして玲王は一年役員とともに日が暮れ始める中、旧体育倉庫へと向かう
一年「(かかったな、御影玲王…!)」 - 70スレ主23/12/08(金) 20:30:22
玲王「えー、たしかここだよな。旧体育倉庫って。うわ、懐かしー」
そこは取り壊しが予定されている中等部の体育館裏にある、窓もない古い造りの倉庫である
玲王は入り口の近くにある電気のスイッチを押し、天井からぶら下がる裸電球を点けるがその明かりもどこか薄暗く頼りなかった
玲王「(この場所…今の時間に来るとちょっと怖いな…早く済ませよ)ダンボールの中にあんのかな。なぁ、一年。どの辺にあるか聞いたー?」
そう言って倉庫内のポンポンを探そうと玲王がドアに背を向けて少し奥へと進んだ時
キィ… ガチャ
玲王「え」
鍵が閉まったような音がして、玲王が急いで後ろを振り返る
ドアは閉まり外からの光は射さず、先ほどまでそこにいたはずの一年生の姿はもうどこにもなかった
玲王「は…?うそ…」
ガタガタガタッ!
玲王がドアを開けようと力をかけて激しく揺するが、鉄製の扉はビクともしない
完全に外から鍵がかかってしまっているらしかった - 71スレ主23/12/08(金) 20:33:34
玲王「開かない…?おい一年っ!返事しろッ!嘘だろ!?おい!」
しかしその呼びかけに返事などなく、玲王が冷たい鉄製の扉にピタリと耳をつけると、外からはかろうじてカラスの鳴き声が聞こえてくるだけで、人の話し声や物音すら聞こえてはこない
玲王「(や、やばい…)」
古い体育館の真裏にあるこの旧体育倉庫に、放課後のこの時間に訪れる者などもちろん誰もいないのである
玲王「嘘、やだって…」
薄暗い倉庫内で、ホラーが苦手な玲王は一人きりになってしまったことに軽いパニックを起こしそうになった
玲王「そうだ、携帯…ッ、(カバンの中に入れっぱなしだった…!)クソッ、どっか他に出入り口は」
どこかに外に声が届くような小さな窓でもないのかと奥へ進む玲王の足元に、何かグニャリとした物が触れて玲王は躓きかける
玲王「はぁっ、ぶねぇ…何、これ…」
暗がりの中、目を凝らすと白い物体がうごうごと蠢いていた
玲王「ヒッ!」 - 72スレ主23/12/08(金) 20:36:06
しかし、よく見るとどこかで見たようなその白いふわふわとした毛並み…
玲王「え…もしか、して…」
玲王は確認しようとそっとそれに近づいてみる
玲王「なぎ…?」
床に倒れているのは凪だった。しかし玲王の呼びかけにも起きない
薬を盛られているのか、頭を強打され気を失っているのか
玲王「おい凪っ、どうしたんだよッ!しっかりしろ!!」
玲王に揺さぶられるが、凪はまったく目を覚まさない
そう、この凪、寝ているのである!!
白団長『フレッフレッ白組!!白宝の白!!』
白団員『飾れ勝利の白星!』
白団員『風林火山マジ卍!ウェーイッ!!』
凪『…』
恐らく人生で二度と口にしないであろうセリフを叫ぶことに疲れてしまった凪は、人目を避けるようにフラフラと旧体育館裏に来て、この旧体育倉庫の中で眠りこけてしまっていた
つまりサボりである
さて!突如(強引に)始まった体育倉庫イベント!
このあと二人はどうした?
下3レスから🎲 - 73二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 20:42:45
凪がいて安心した玲王
でも暗くて怖いので眠ってる凪をぎゅっと抱きしめて手を握る(凪は起きない) - 74二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 20:59:27
凪が寝てるのをいい事に玲王は凪に抱きついて安心してそのまま眠る
暫くして凪が起きるけど状況が理解できなくて混乱 - 75二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:03:20
「凪起きろ!!!!!」玲王が凪の肩を思い切り揺さぶって起こす
凪は起きるけど玲王が涙目で抱きついてくるのでまた誠士郎がピンチ - 76スレ主23/12/08(金) 21:34:26
- 77スレ主23/12/09(土) 02:32:36
玲王「な、ぎ…?」
目を覚まさない凪に玲王は不安が募る
玲王「(なんかあったのか…?なんでここにいるんだよ)」
赤色のポンポンを探しに来ただけなのに
古い体育倉庫に閉じ込められて、気づいたらここに凪がいて
玲王「あー…マジで意味わかんねえ…(でも、もし凪がなんかの病気で倒れてたらどうしよう)…あ、そうだ」
玲王は思いついたように凪の腰の周りを中心に凪の身体をペタペタと触り始める
玲王「(こいつ、ゲーマーだからぜってえスマホ肌身離さず持ち歩いてんだろ…ズボンのポケットとかに入ってねえの?)」
玲王は凪が上に着ている体操着のジャージを脱がせようと裾をめくってみた
凪「っ…ちょ…」
玲王「え?」
声がしたので、玲王は凪の腹の辺りから視線を凪の顔の方へと向ける
凪「レオ…ヘンなとこ…触っちゃ、ダメ…だよ…ムニャ…」
玲王「は、んだよ…寝てんのかよ」
寝言を言うその様子に、凪が起きないのは病気や怪我が原因ではなさそうだと安心した玲王は、「起きろ」という意味を込めて凪の太ももをペチンと叩いてやる - 78スレ主23/12/09(土) 02:38:29
凪がこれだけ眠りこけているのも無理はない
連日、散々玲王と二人っきりになってもイチャつけないというおあずけをくらっているため、凪は例のごとくソロプレイに励んでいた
それに加えて白組応援団の全身を筋肉痛が襲うレベルのハードな練習を、ここ最近毎日放課後にしていたこともあり、もう凪の身体はヘロヘロだったのだ
そしてついに活動限界を迎えた凪は、仮眠できる場所を求めて彷徨う様にして入ったこの旧体育倉庫の中で、ちょうど良さそうなマットを見つけ、そこに寝転んだらそのままついウトウトと眠ってしまった
玲王「(多分…練習サボったのかな。のん気なもんだよな…コイツ。こんな誰も来ねえようなところで無防備に寝たりしてさ。急に閉じ込められたらどーすんだよ、って、まさに今がその状況なんだけどな…)」
凪のその大胆不敵さに呆れれば良いのか、感服すれば良いのか
玲王は先程までの自分の慌てぶりを自省する
遭難した場合、焦って無闇に動き回って体力を消耗するのは最も愚策とされている
まずはその場で気持ちを落ち着かせて冷静になることが大事
玲王は凪の横に座って寝ている凪の手を繋ぎ、今一度落ち着いて辺りを見回しながらその状況を観察してみた - 79スレ主23/12/09(土) 02:43:31
玲王「(…この倉庫、窓もないしコンクリート造りだから気密性が高くて、叫んだりしても外に声は届かねえな)」
玲王「(…それに、やっぱり建物自体がかなり老朽化してるよな。さっきの一年も、もしかしたら何か用事思い出して外に出た瞬間にドアが閉まっちゃって、立て付けが悪くて開かなくなって困ったのかも。そしたらきっと今頃誰か助け呼びに行ってるよな…)」
玲王は一年役員のことを疑ってはいなかった
玲王「(あと、俺のカバンは体育館に置いたままだし、赤組応援団の誰かが俺が帰って来てないのにそのうち気付くだろ。迎えの時間に帰らなくて携帯の連絡もつかなかったら、きっとばぁやも心配して助けに来てくれる)」
落ち着いて冷静にそう考えると、玲王は「きっとすぐに誰かが助けに来るから大丈夫だ」と、次第に悲観的な気持ちが和らいできた
とりあえず今は体力温存のために自分も凪の横で寝てしまうことにする
凪『レオ…一緒に裸になろ…?それで、俺と抱き合おうよ』
玲王『は?』
凪『あのね、実は寒い時は人肌をくっつけて温め合った方が良いらしいんだ…』
玲王「ハハ、まさか…本当にお前と遭難したみたいな目にあうなんてな」 - 80スレ主23/12/09(土) 02:48:11
さすがに陽も落ちてきて寒いので、玲王は倉庫内を軽く探ってみるが暖を取れそうなものはなく、凪の身体に抱きついてみる
玲王「…あったけえ。凪、お前がここにいて…マジで良かった、よ…」
玲王は凪の匂いと温度、そしてその心臓の音を感じているうちに、安心して眠りについた
小一時間後———
凪「…ぅ、いってぇ…」
玲王が眠ってからしばらくした後、身体の痛みを感じた凪が目を覚ます
変な場所で寝てしまった時のあの痛みだ
凪「ふわぁ…。今、何時…?」
二十分だけ仮眠するか、と思っていた凪だが、予定より結構ガッツリ寝てしまったようだと体感で判断した
凪「(なんか、寝てる時身体があったかかったんだよね)…ん?」
身体に重みを感じてふと目線を下にやると、紫色の何かが見える
凪「え…?」
近すぎるためピントがうまく合わなくて、少し顔を離して見ると、玲王が自分の胸元を枕のようにして抱きついて寝ていた
凪「??(なんでレオが??)」
一瞬ワケが分からず、ここはどこかのホテルかどちらかの家だったかと思い、混乱した凪は視線を上に戻して天井を見るが、目に映るのはコンクリート打ちっぱなしに裸電球がぶら下がっているだけの殺風景な景色だった
凪「…なんで??」
とにかく玲王を起こして事情を聞かないことには話にならない
この後凪はどうした?玲王をすぐに起こした?
下3レスから🎲 - 81二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 02:55:05
美味しい状況なので玲王の寝顔を観察したり髪とかほっぺを触ったり抱きしめて玲王吸いしたりして玲王チャージする
- 82二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 03:13:47
夢だと勘違いして玲王の頭をなでなでして恋人繋ぎ
みんな夜更かしさんねぇ〜! - 83二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 09:27:06
レオが起きるまで添い寝して顔ガン見しながら体触りまくり
ついにキスしたときにレオが目覚める
(81さんのレオ吸いもいいなぁ〜!) - 84スレ主23/12/09(土) 12:44:00
- 85二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 16:31:37
スレ主イラストもSSもクオリティ高いし筆早くない!!?!?
あーんしてる存在しない記憶の凪玲可愛い - 86スレ主23/12/09(土) 21:35:40
少し埃っぽくて、シンと耳鳴りがしそうなほど静まり返った暗い体育倉庫内に白熱灯の裸電球の明かりだけがぼうっと浮かび上がる
自分の胸の上に頭を乗せて眠っている玲王を起こさないようにして、凪が首から上だけを動かして辺りを見れば、跳び箱やボール、スコアボードが所狭しと置かれていた
やはりここは自分が仮眠のために訪れた安眠の地、体育倉庫に違いないと凪は確信する
凪「(体育倉庫にレオと二人っきりって…これって、いわゆるアレみたいじゃん…)」
狭い空間に何らかの理由により都合良く閉じ込められ、脱出する術もなく出口のない密室で寄り添い暖め合いながら救助を待つアレ
そんな不安が互いの結束をさらに強める吊り橋効果を生み、そして頼れる互いの存在を強く意識し合うことで深まる関係
神様がくれたラッキーステージだと名高いアレ
そう!ご存知、みんな大好き体育倉庫イベント
もちろん青春大好き野郎の凪も、それに憧れたことがない訳ではなかった
凪「(だったらイイなーなんて…でも、こんな幸せあるワケねェ…)」
凪は某海賊船のコックのセリフを頭の中で独り言ちる
凪「(いや、レオと体育倉庫に閉じ込められるとかいう学園青春ラブコメ好きにはたまらない超ご都合ラッキー展開とかさ。そーいうのに憧れてなかったなんて言ったら嘘だよ?でも、現実にあるワケねーじゃん…そんなの…)」
玲王から散々寸止めをくらい続けていた凪は、目の前のラッキー展開を素直に受け取れないほどすっかり疑い深くなっていた - 87スレ主23/12/09(土) 21:43:52
凪「(だいたいレオが簡単に閉じ込められるとかそんな状況起こるワケないし…非現実的すぎる…。ん?というコトは、これって…もしかして、俺の見てる夢の世界ってコト?)」
自分のカンストDT妄想力は、とうとうこんな明晰夢まで見せ始めたのかと、凪は自分の底知れない才能が恐ろしくなる
そして、これはおあずけされ過ぎたあまり捻くれておかしくなった自分の脳が生み出した都合の良い明晰夢なんだと勘違いした凪は、そのクオリティを確認するため、試しに玲王の頭をなでなでしてみた
凪「(…お?)」
いつも凪が玲王にキスをする時、後ろに回した手の平にピタリと合うその形の良い小さな頭
フワフワした自分の毛質とは異なる、流れるようにサラサラの紫色の綺麗な髪…
凪「(え、マジでちゃんとレオじゃん…うわ、凄くね?すげーリアル。明晰夢ってこんなリアルなんだ?もうVRとかいらねーじゃん…)」
自分の脳が見せてくれるそのハイクオリティな明晰夢に凪は驚嘆しつつも、「夢なら何してもいっか」と、玲王の頭に顔をしっかりと埋めてその匂いを吸い込んでみた
凪「…(え、匂いもホンモノだ…。これって、本当に夢…?)」
玲王の身体を自分の胸元からそっと横に滑らせてマットの上に寝かせ、上体を起こした凪は至近距離でまじまじと自分の脳が作り出した(と思っている)明晰夢の玲王の顔を観察する - 88スレ主23/12/09(土) 22:02:13
玲王「スー…スー…」
規則正しい寝息を立てながら眠る玲王
その寝顔をこうしてゆっくりと眺めるのはいつぶりだろう
長いまつ毛に形の良い短い眉と鼻、細い顎、いつも瑞々しく潤っている唇に柔らかな頬
あまりにも馴染みのありすぎるその完成された顔は、紛れもなく本物の玲王で
このリアルすぎる明晰夢に、凪は自分の脳が作り出した(と思っている)玲王のクオリティをさらに確かめたくなり、その手を取って自分の指と絡ませ恋人繋ぎをしてみた
凪「…」
玲王の手は同じ男なのに節が少なく、細く長い指をしている
凪は何度この手で誠士郎に触れて欲しいと思ったか分からない
そして凪の手と合わさるその滑らかな肌質、そこから伝わる少し低い体温は、目の前の人物は自分の脳が見せた夢などではなく、紛れもなく”本物の”玲王本人なのだと伝えていた
凪「(レオだ…ホンモノのレオだ!夢なんかじゃない…。え、じゃあ何なの、今のこの状況…?)」
凪はどうしてこのような謎の状況が生まれたのか
そして、なぜ先ほどまでここにいなかった玲王が隣で寝ているのかの理由を、その天才的頭脳をフル回転させて考えてみた - 89スレ主23/12/09(土) 22:09:26
凪「(…うん、なるほどね。なんとなく分かったよ…)」
寝ている玲王の頬をふにふにと優しくつまんで遊びながら、凪が出した結論
凪「(きっとこれ、ドッキリなんじゃない?)」
そう、まさかのドッキリである
凪「(『最後の応援練習サボった寝太郎にお仕置きしたい!体育倉庫で寝てる凪の横に玲王様置いてみたらどうなったでしょう企画〜!』とかなんとかって言ってさ…あのイベント大好きウェイ系白組応援団の人達ならやりかねないでしょ)」
凪の中に一週間共に踊り狂った白組応援団への敬意は存在してはいなかった
凪「(てことは…きっとこの体育倉庫のどっかには何台かスマホとかタブレットが仕掛けられてて、恐らくそれをビデオ通話にしてこっちの映像も音も丸見え、丸聞こえのモ◯タリング状態なのかな…それをみんなでどっかで見てるってコト?ヒマだよねー)」
そして、恐らく玲王もその暇人達の作戦に”仕掛け人”としてノッた上で、こうして今自分の横で”寝たフリ”をしているのだろう、と凪は推測する
凪「(レオもなんだかんだ言ってパリピ陽キャ側の人だもんね。ノリ、スッゲェいいもんね。だってフツーに考えてみてリアルにこんな状況あるワケねーじゃん。みんなの作戦にノリノリで加担したんだ?レオは。恋人の俺を、嵌めようとしてさぁ…)」
凪の瞳からハイライトが消える - 90スレ主23/12/09(土) 22:20:05
そのことに思い当たった凪は、次第にイライラしてきていた
パートナーである自分との信頼関係がどうなるのかよりも、パリピ達との楽しげなドッキリ大作戦を玲王は優先したということかと、そう勘違いしてしまった
妄想力が凄いというのはつまり、凪は人よりも思い込みが激しい性格のようだった
玲王の横で凪はその綺麗な寝顔を穴が開きそうなほどジッと見つめながら、手を強く握っている
玲王は安心しきったようにスヤスヤと寝息を立てていて、凪の背後から湧き上がる髑髏の気配にも気付かず、まるで起きる気配はない
凪「(っとに…寝てる演技も上手いよね。さすがは器用大富豪サマ。おそれいります。でも、俺のこと裏切ろうとしたんだから、ちょっとくらいお仕置きさせてよね…)」
ビデオ通話越しであっても、応援団のパリピ共に玲王のエロい顔を見せたり、その声を聞かせたりなどは絶対にしたくなかったが、声を出させたり肌が露出しないそのギリギリまでは、玲王が”仕掛け人”として寝たフリをしている今の状況を果たしてどこまで我慢できるのか楽しんでやろうと、凪は光のない瞳で玲王を見つめて考える
凪「(…じゃあ、レオがどこまで寝てる演技出来るのか、試させてもらうよ)」 - 91スレ主(※微エロ注意)23/12/09(土) 22:26:52
凪は寝ている玲王のジャージと体操着の裾を重ねて上に持ち上げ、その中に頭を潜り込ませて玲王の胸元に直接顔をつける
肌に急な冷気を感じたからか、玲王がピクッと動くような気配がしたがそれくらいでは凪は止まらない。既に暴走は始まっていた
服の中のため暗くてよく見えないが、凪はこれまで培った感覚を頼りに玲王の胸の飾りを探し当て、そこに舌をつけて軽く唇に含んでみる
玲王「ん…」
グリグリと舌先でそこを突いていくと、次第に硬さをもって尖り始めた突起に凪は優しく舌を這わせた
玲王「んっ、ふぁ」
凪「(ヤバ…もう声出ちゃってんじゃん…これ以上したら見てるパリピ共にレオの声が聞かれちゃうよね。どうしよう)」
しかしここ何週間か散々お預けをくらっている凪は、これしきのことではもう止まらない
凪「(ええい、ままよ!)」
もうどうにでもなれ、ケセラセラ!と、理性のタガが外れた凪は口に含んでいたそこに強く歯を立て、思い切り吸い上げた - 92二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:32:07
やらしい展開だ!!!
- 93スレ主23/12/09(土) 22:33:35
玲王「ぅあッ!?」
普通じゃないその痛みに玲王は背を反らせて目を開く
玲王「っぁ、な、!?ングッ」
逆光で顔がよく見えないが、自分の上に覆い被さる何者かの手によって口を塞がれた玲王は慌てふためく
玲王「〜〜ッ!(何ッ!?)」
凪は玲王の耳元に口を寄せ、どこかに仕掛けられている(と思っている)スマホのマイクに拾われないくらいの小さな声で囁くようにして玲王に話しかけた
凪「…レーオ、おはよ?よくも俺のことドッキリにハメようとしてくれたね」
玲王「〜ンンッ!?」
声を出せないよう凪の手で口を押さえられている玲王は、今の状況がまるで分からない上に弁明するための声すらあげられず、ただただ狼狽えてしまう
しかしその玲王の様子は、凪からしたらドッキリであることがバレたことに焦っているだけにしか見えなかった
凪「ねぇ、悪い子には今からお仕置きだよ。俺ともうちょっとだけイイことしよっか」
👮♂️🚨?
さて、なんか楽しくてイイコトしたい雰囲気の凪くん
でも玲王は怯えていてこのままするのはちょっと可哀想かも知れない
この後の展開を下3レスから🎲 - 94二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:37:11
玲王が本気で抵抗して泣いちゃうので凪がドッキリじゃないことに気付く
- 95二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:44:08
マジで閉じ込められたんだって!凪がいてくれてよかった〜!と抱きつく
凪は玲王を助けるナイトとして頑張る(倉庫の扉破壊)
凪の勘違いで玲王がかわいそうなのは嫌なので - 96二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:49:16
玲王が凪が寝ぼけてるんだと思い冷静になる
いい加減にしろ起きろ凪!!って凪の両頬を思いっきりつねる - 97スレ主23/12/09(土) 23:10:31
- 98二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 09:08:16
凪くん玲王といい雰囲気になれるかな!?頑張って
- 99スレ主23/12/10(日) 16:25:25
使われていない体育倉庫の中で外からは鍵をかけられ、同級生にマットの上で服を乱され、口を塞がれた状態の御影コーポレーション御曹司
この状況だけ見るとちょっとした事案である
玲王「ンンッ!」(なぎっ!)
自分の口を押さえる凪の手を玲王は両手で押し退ける
凪「!?」
玲王「何してンだよ、お前ッ!?」
玲王がこう言うのも無理はない
薄暗くて寒い体育倉庫に閉じ込められて、心細い思いをしていた時に凪がいた
まさに地獄に仏。玲王は安心して横で寝ていたのに、急に乳首を噛まれて痛みで起こされたかと思えば、手で口を塞がれる
やはり事案以外の何モノでもない。ただ困惑と恐怖だった
玲王「何?お前…今俺に何したの、マジで。なんで噛んだの?」
結構痛かったぞ、と玲王は噛まれた胸の状態が気になって、確認するためジャージと体操着を自ら首の方までぺろん、と捲り上げる
凪「ダメだって!!」
玲王「(ビクッ!)」
服を捲って胸を露出させる玲王の手ごと、凪が慌てたようにグイッ!と服を下げさせた - 100スレ主23/12/10(日) 16:30:18
玲王「は?何がダメなんだよ」
凪「バカなの?(カメラで)見られちゃうでしょ?」
凪「(なんのためにわざわざ服の下で隠しながらお仕置きしたと思ってんのかな)」
いつもよりさらに光のない目で凪に見つめられて、玲王はさらに恐ろしくなる
玲王「…み、見られてるって…?誰に?」
玲王は辺りを見回すが、この体育倉庫には凪と自分の二人だけで他に人の気配などない
では他に誰が見ているというのか?玲王の頭にクエスチョンマークが浮かぶ
凪「誰って、白の(応援団の)人達…でしょ。見られてるし、声も聞かれてるんじゃん?俺も(スマホの)場所がどこかは分かんないけど…」
玲王「(白の人達…白って…白…👻?)」
凪「?(レオ、仕掛け人なら分かってんじゃないの?)」
凪が静まり返る体育倉庫内を訝しげにぐるりと見るので、玲王は恐ろしい想像をしてしまっていた
古い体育倉庫、そこにいる怪異の類がパワースポットの凪には感じとれているのかも知れない、と
玲王「(ウ、ウソだよな…考えたくないけど、凪が言ってるのってもしかしてオバ…いや、認めるな!その存在を認めたら負けだ御影玲王!)」
凪「でも変、だよね…なんか」
玲王「ヘン…?(👻!?)」
凪「(レオも起きたし、そろそろ『ドッキリ、大成功〜!!』ってネタバラシしに入ってきてもいい頃なのに…おかしいな)」
凪はいつまでも白組応援団がドアから入って来ないのを不思議に思っていた - 101スレ主23/12/10(日) 16:34:56
玲王「あ、あのさ!」
一方、ホラーに繋がりそうな話をそれ以上聞きたくなかった玲王は、急いで話題を変えることにする
凪「何?」
玲王「それよりさ、お前応援団の練習サボってここで寝てた?」
凪「…うん(やっぱり俺がサボったの応援団から聞いてんだ)」
玲王「(やっぱり!)マジで閉じ込められたんだって!凪がいてくれてよかった〜!」
玲王が自分に覆い被さっていた凪の首に手を回して抱きつく
凪「ちょ…!(みんなに見られてんのに急に大胆じゃん)レオ、あんま俺らがイチャついてんのみんなに見られたら良くないんじゃないの?」
凪が小声で玲王に囁いた
玲王「え…?(そういや)」
凪『でもね、レオ…知ってる?幽霊って、エロいことが苦手なんだよ』
玲王『え、何、ソレ…?」
凪『…だから、性に関するコトってプラスのエネルギーだから、エロいことしてると幽霊は逃げて行くんだって』
玲王「いや、(幽霊に)見られてた方がイイじゃん!そしたら(幽霊も)みんなどっか行くだろ」
凪「??」
あんなに人前でイチャつくことを嫌がる玲王が、モ◯タリングされてる中イチャイチャしたがるなんておかしい、熱でもあるのでは…?と、凪が玲王の額にコツンと自分の額を当てて、久しぶりに体温計になってみた - 102スレ主23/12/10(日) 16:37:59
凪「…レオ、熱い?(そーでもなさそうだけど)」
玲王「(よし、気合い入れてイチャつかなきゃ!)ううん…寒い。あー大変だー、これは恋の病だわ。だから凪があっためて?」
首に手を回され額のくっついた至近距離で玲王からそう言われた凪だが、いよいよおかしくなってきた玲王の言動にいくらドッキリの仕掛け人と言えども、人に見られている状況でここまでのことをするはずがない、と凪は考え始める
凪「(え、なんかコレ、さすがにドッキリとかじゃなくて、マジなやつなんじゃ…?)」
玲王『マジで閉じ込められたんだって!』
凪「…あの、閉じ込められたって言ったの、どーいうコト?」
玲王「だから、ドアが開かなくなったんだよ!」
凪「え、(ガチのやつ?)じゃあ大変じゃん!」
玲王「だから、そー言ってんじゃん!!」
玲王の必死の訴えに、凪はようやく玲王の上から起き上がってドアの方へと走って行く
玲王「(良かった〜!なんか凪、普通に戻ったかも)」
玲王はようやく凪と会話が通じたことに喜んだ
ガチャガチャガチャ!
凪「大変だ!レオ!マジでドアが開かねえ!!」
凪がドアノブをガチャガチャするが、もちろん外から鍵がかかっているため開かない - 103スレ主23/12/10(日) 16:40:53
玲王「だろ!?」
凪「じゃあガチの体育倉庫イベントじゃん!!」
玲王「へ?」
凪「タイヘンダー!ダレカキテクダサーイ!」
未だドッキリの可能性も捨てきれないまま、凪はカタコトでわざとらしく救助を求めて叫んだ
玲王「ちょ、コンクリートは気密性高ぇから声も外に届かねえんだよ!なぁ、凪、お前なら開けられるじゃん、バキってさ!鍵とか簡単に!(パワーがゴリラ並みだし!)」
玲王は凪なら、いとも容易くこのドアを開けてくれるに違いないと、キラキラと期待した瞳で凪を見つめる
凪「うん…」
凪「(でも、開けちゃって、いいのかな…)」
凪はドアの前で迷っていた
正直ドアを開けることは容易い。しかしここから出たら、また二人きりの時間はなくなってしまう
凪「さすがにこの鉄製のドアは…俺にも開けられないかな」
玲王「なんで!?お前パワーゴリラじゃん!」
凪「…誰がゴリラだよ」
玲王「あ、ごめ…(ついうっかり)」
凪「いや、力とかの問題じゃないんだよ。多分これ…あのゾンビデートの時と同じ状況だと思う」
玲王「は!?」
凪の口から出た恐ろしいワードに、玲王の顔が強張った - 104スレ主23/12/10(日) 16:45:38
凪「この体育倉庫ってさ、かなり古いよね…この学校が出来た時くらいから?こーいう場所って色んな人の想いが篭ってそうだし…なんか、アリそう」
玲王「やめろ!やめろってオイ!」
再び怖い話になりそうなのを玲王は必死に止める
凪「あの時と同じ状況だとしたら…多分、俺のエゴが叶わないとこのドアを開けるのは無理なのかも」
玲王「エゴ?あー…(たしかあの時、最後…)お前とベロチューしたんだっけ」
凪「(違う…それもちょっとあるけど、あの時はレオが俺に左手の薬指をくれるって、俺のものになってくれるって約束してくれたから、俺のエゴが叶ったんだよ)」
凪「…なんか、レオの太ももにキスマつけさせてくれたら頑張れそー」
凪は玲王にとんでもない要求をし始める
玲王「は?いや、無理」
凪「なんで」
玲王「…今ここで脱いだら、風邪ひく!」
凪「いーじゃん。二人で仲良く風邪ひいて、一緒にサボろ」
玲王「バカ、明日体育祭なのに俺が抜けたら終わりだろ」
凪「…どーでも良くない?体育祭とか別に」
玲王「いや、お前もっと人のこと考えろよ…白宝祭の時みんなで頑張って協力して、店とかメイド服作っただろ?明日の体育祭だって生徒会とか実行委員の人達が頑張って作ってんだからさ、そんな簡単にサボるとか、みんなの期待裏切るようなこと考えんなよ」
凪「…それで会長のエゴ叶えて、レオはミニスカ履くの?」
玲王「は?(何で今その話)」 - 105スレ主23/12/10(日) 16:48:21
凪「ヤダよ、本当に履かないで、ねぇ、絶対にみんな動画とか写真とか撮るじゃん…」
玲王「体育祭の応援だろ?大丈夫だって」
凪「ねぇ、お願いだよレオ」
凪「レオのお願い叶えるから俺のお願いも叶えてよ。本当に誰にも見せたくないの、わかって…」
玲王「凪?」
ぼんやりとした明かりに照らされた凪の瞳が一瞬キラッと光り、それは涙の膜が出来て凪が泣きそうになっているからだと玲王は気づく
凪は、玲王のためならドアは開ける
でもその前にどうしても自分のエゴを玲王にわかって欲しい
やっぱり玲王の生脚は誰にも見せたくない
攻撃意識99なら独占欲は100の男
だけど、みんなで頑張ったことだからミニスカチアは絶対に履く玲王
玲王、なんとか凪を安心させる一言お願い
玲王の言葉を下3レスから🎲 - 106二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 17:04:35
もぉ…泣くなよ…(ハグして背中ぽんぽん)
会長のエゴとかじゃなくてさ、みんな着てる中で俺だけ着ない訳にはいかないだろ?
代わりに終わったら凪と2人だけの時お前の好きな服着てやるから、な? - 107二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 20:14:53
そうやって言ってもらえんのは凪に大事にされてるみたいで嬉しいよ
- 108二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 20:47:03
必要な時以外はなるべく下にジャージ履くようにするから
そんな顔するなよ、凪…(心配そうに見つめる) - 109スレ主23/12/10(日) 21:38:49
- 110二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 07:01:21
凪の愛重いの大好き
- 111スレ主23/12/11(月) 08:55:35
玲王「もぉ…泣くなよ…」
玲王は凪を落ち着かせるようにハグして、背中をぽんぽんと叩いてやる
凪「泣いてねえし」
玲王「…」
玲王はしょーがねぇなー、と言ったように優しく微笑んで凪を見つめる
玲王「会長のエゴとかじゃなくてさ、みんな着てる中で俺だけ着ない訳にはいかないだろ?」
凪「大丈夫だって、レオは王子様だから特別扱いでも許されるよ。それに、絶対会長のエゴだよ…。言ってたもん、白組の団長が。衣装は会長の独断だって。今年体育祭にしたのも、全部レオにチアの衣装着せたいからだよ」
こうして話してみると、自分以外の人間が玲王に好きな衣装を着せることに凪は腹が立ってくる
玲王「はー?(ミニスカチアが嫌なのか?)じゃあ何の衣装だったら良かったんだよ?」
凪「え…」
凪は別にミニスカチアガールが嫌いなワケではない
むしろ見られると思ってなかった玲王の女装なんて、正直なところ物凄く嬉しかった
白組団長から衣装は赤組も同じだと聞かされたあの時、つい大声で「ありがとうございますッッ!!」と感謝の言葉を叫んだくらいに - 112スレ主23/12/11(月) 08:59:38
凪「(何の衣装だったらって…シスターもチャイナもバニーも…アレもコレも…全部着て欲しい!もちろんメイドだって何回でも着て欲しいッ!俺には一つだけなんて選べないよ…!!)」
凪は恐らく今年で一番悩んでいた
しかし、そのどれもが応援団には不適切な衣装である
玲王「代わりにさ、終わったら凪と二人だけの時にお前の好きな服着てやるから、な?」
凪「…はぇ?」
玲王「考えといて」
玲王から急に『二人だけの時に好きなコスプレしてもらえる権』をもらった凪は、それまでのイラつきが一気に霧散した
凪「…ねぇ、一個聞くけど、それって女装とかでもいいの?」
玲王「は?」
凪「好きな服って今言ったよね。ねぇ!撮れてますかー!?さっき言ったの!」
凪が誰もいない場所に向かって突然叫び出した
玲王「何?撮れてるって…?」
コスプレの話になると凪は途端におかしくなる
まだ何も着てないのに空に向かって叫んでいる凪に、玲王は「本当に頭がどうかしてしまったのか」と心配になった - 113スレ主23/12/11(月) 09:04:40
凪「だって、ドッキリしてんじゃないの?今」
玲王「ドッキリ?」
意味が分からず玲王は聞き返した
凪「だから、『最後の応援練習サボった寝太郎にお仕置きしたい!体育倉庫で寝てる凪の横に玲王様置いてみたらどうなったでしょう企画〜!』だよ。白組の応援団と」
玲王「と?」
凪「仕掛け人がレオで」
玲王「…俺?…なワケねーだろ!ガチで閉じ込められてんの!明日が本番だぞ?みんなそんなくだらねぇことして遊んでるほど暇じゃねーよ!」
凪の馬鹿馬鹿しい妄想に玲王は真面目に怒り出す
凪「…?だってレオ、俺がここでサボってたの知ってたし」
玲王「んなの、お前の行動パターンと思考とか考えたら分かるって!」
凪「え(ドッキリじゃないんなら、撮れてないんだ…さっきのレオの発言)ヤベェ!!」
焦った凪は急いでポケットからスマホを取り出した
玲王「あっ!やっぱお前スマホ持ってんじゃん!」
凪「ハイ!ここに向かってさっきのセリフもっかいどうぞ!」
玲王「え?」
凪「俺の好きな服着てくれるって話!口約束じゃ心配だから!」
ボイスレコーダーアプリを開いた凪が、スマホをグイグイと玲王に近づける - 114スレ主23/12/11(月) 09:07:54
玲王「あのな!俺がお前との約束破ったコトなんてねーだろ?信用しろっての!てか、スマホあんなら貸せよ!助け呼ぶから」
玲王が凪の手からスマホを取り上げようとする
凪「ダメッ!(二人きりなの邪魔されたくないし)大丈夫!ドアなら俺が自分で開けたほうが早いからッ!!」
これがドッキリかどうかなんて、凪にはもうどうでも良かった
元はと言えば、学校中に玲王と自分の本当の関係を知らしめたいと思っていた男だ
白組応援団にモ◯タリングされてようが、その映像がSNSでばら撒かれようが、それを見て自分と玲王の間を邪魔する者がいなくなるなら好都合だと思っている
でも柄にもなく我慢してるのは、全部玲王のため
玲王が傷ついたり悲しんだり、怒って呆れて自分と一緒にいてくれなくなったら困る
最後までずっと一緒の約束がなくなってしまうから
凪「…だいたい、レオが簡単に閉じ込められるとか考えられないんだけど?どーいう状況?」
玲王「いや、なんか赤組のポンポンが足りなくて、生徒会のやつと一緒に探しに来たんだけどさ」
凪「うん(男?何その状況、あぶなっかしーなー…)」
凪は玲王がこんな人気のないところに誰かと来たこと自体が許せなかった - 115スレ主23/12/11(月) 09:18:55
玲王「そしたら急に、ガチャってドアが閉まってさ…あ、そーだ!俺まだポンポン見つけてなかった!」
そう言って玲王は凪から離れて、棚に置かれた段ボールを一つずつ探り始める
凪「…?」
凪も棚に近づき、後ろから玲王のその様子を伺った
凪「ほんとにここにあんの?(そいつの嘘とかじゃなくて)」
玲王「えー?あるだろ。あの一年がここにあるって言ってたんだし。それに俺が一緒に行くって言ったのに、手ぶらじゃ帰れねーじゃん?」
凪「…(こんな埃っぽい場所で、学園の王子様が探し物なんて雑用しなくてもいいのに)」
凪には玲王の行動が理解出来ない
でもきっと玲王はこれを雑用だなんて思ってないだろう
人を信じて、自分の応援団のみんなのためにこうして探し物をしてる
玲王の心にはいろんな人のこと考えるスペースがある
凪「(俺は俺のことだけだった。そこにレオが入ってきて…でもレオみたいにみんなに優しくも愛情深くもないから、やっぱり俺の心は自分とレオのことしか考えられないな…)」
玲王にもこんなに苦しんでる自分と同じくらい、互いのことしか考えられなくなって欲しいと願うのはエゴというかワガママだろうか、と凪は思う
凪「…じゃあ俺も一緒に探す」
凪がスマホのライトで照らしながら、二人で端から一つずつ箱を開けてポンポンを探していった - 116スレ主23/12/11(月) 09:24:01
玲王「お、アレかも知んねー!」
玲王が棚の上から赤色ポンポンとマジックで書かれた箱を下ろすと、中にはビニール袋にまとめられた赤色のポンポンがたくさん入っている
玲王「良かったー!凪が手伝ってくれたから早く見つかったわ。ありがとな♪」
玲王が凪に笑顔を向けたその時、ドアからノックするような音がした
ガンガンガンガン!
凪&玲王「「!?」」
会長「玲王くーん!大丈夫かーい!?」
鉄製のドアの部分は叫べばギリギリ声が届いたようで、外からは生徒会長の心配そうな声が聞こえてくる
玲王「会長?ハーイ!います!大丈夫でーす!」
会長「すまない!今開けるから」
外にいるのが会長だと気付いた凪は、玲王より先にドアの前に行きそのドアノブを開かないよう手で押さえた
凪「大変ですッ!会長!開きませーん!!」
会長「なっ…その声、凪!?何で貴様がいるんだッ!!」
バキッ!
凪「あー!もっと大変だー!!ドアノブ取れちゃった」
凪は自分で破壊したドアノブを手に持ってワザとらしい声を出す
会長「オイッ!?鍵は開いてるぞ!早く開けろ!!」 - 117スレ主23/12/11(月) 09:32:50
玲王「…凪?」
玲王が先程までの笑顔とは違い、ジト目で凪を見上げている
ゴトッ、とドアノブを地面に放り捨てた凪は、玲王の手を引きそのまま鉄製のドアに押しつけた
玲王「ッ!」
玲王の背中に会長の声と金属の冷たさが伝わる
凪「ねぇ…このドア開ける前に、レオのこと充電させて?だって明日は一緒にいられないじゃん」
玲王「いや、部対抗リレーとかで一緒になるだろ…?」
玲王「(また始まった…)」
凪と一緒なら安心だと思ったのに
外に出られるどころかドアノブを破壊されてしまい、玲王は呆れとも苛つきともつかない気持ちになっていた
凪「俺の言う一緒はそういう意味じゃないよ。俺が、レオを独り占めできる時間のこと」
玲王「…ハイハイ、分かった。じゃあ三秒だけな」
早く外に出るため凪を納得させようと、玲王が凪に向かって腕を広げる
凪「うん。レオ、だいすき」
そこにのしかかるようにして、凪が玲王に抱きついた
凪「マジで俺のぜんぶだよ。レオがいないとしぬ、いきていけない」
玲王「…ハハ、スゲー重い、な…」
凪「それってどっちの意味?俺のカラダが?それともキモチが?」
玲王「どっちも。でも嫌いじゃないよ、凪に想われるのも、乗っかられるのも」
凪「!」
玲王「お前に愛されてるー、ってカンジするからな」
そう言って玲王がギュッと凪を強く抱きしめた後に、その身体を押し退ける - 118スレ主23/12/11(月) 09:39:13
凪「ねぇ、何それ。乗っかってもいいの」
玲王「こっから無事に出られたらな」
玲王はまたしても凪を挑発するようなことを口にした
凪「OK,BOSS…後ろ下がって」
ドオォォォン…ッ!!
会長「ブハッ!!」
凪が勢い良く蹴飛ばしたドアが外にいた会長と共に倒れる。完全なる巻き添えだ
その後ろには会長に怒られたのか一年役員も一緒に来ていた
会長「ハァッ、すまない玲王君!体調は大丈夫かい!?うちの一年が玲王君を連れて行ってから帰って来ないと赤組団長が言いに来てね…!」
凪「ハイ、ストーップ。触らないでくださーい」
玲王の手を取ろうとする会長の手を凪が制止する
玲王「…いえ。大丈夫です、会長。たまたま凪もいてくれたんで」
一年「(体育倉庫に一人なら風邪でも引いて明日は出られなくなるかと思ったのに…こんなデカい湯たんぽどこにいたんだ?)」
一年役員は見上げるように玲王の横に立つ凪を見た
白色の白宝ジャージを着ている凪は、薄暗い中で寝転んでいたマットの色と同化していて、一年役員はあの時凪の存在には気付いていなかった - 119スレ主23/12/11(月) 09:45:40
凪「ん?」
一年「(ビクッ!)」
玲王「それに、おかげさまで探してた赤色のポンポンもちゃんと見つかりましたよ」
一年「(本当にあったのかよ!?)」
適当に言ってここに連れて来たので、その事実に一年役員は驚く
玲王「一年!」
一年「は、はい…」
玲王「急にドア閉まっちゃってビックリしたよな?」
一年「え?」
玲王「ここの倉庫、もう古くてガタが来てるからドアの建て付け悪いみたいでさ。こんな時間なのに会長と一緒に助けに来てくれたんだろ?ありがとな」
一年「…!!」
怒られるどころか玲王から礼を言われてしまい、一年役員は己のしたことを恥じた
こうして玲王の高潔さと笑顔に脳を焼かれる生徒会メンバーがまた一人生まれたのだった
玲王「あー!早く帰って風呂入りてー!」
凪「一緒に入って背中流そっか?」
玲王「…」
もうかなり疲れている玲王はフルシカトである
玲王「あ、そーいや凪って明日何の種目出るの?」
さぁ、体育祭前日ラスト🎲
凪の出場種目を下3レスから(2,3種類くらい) - 120二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 11:36:39
リレー、パン食い競走
- 121二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:33:19
リレー、短距離走(ちょっと走るだけで終わるから)
- 122二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:42:31
リレー、ダンス
前回ジャン○リで鍛えたダンス力を披露しよう - 123スレ主23/12/11(月) 13:38:50
- 124スレ主23/12/11(月) 15:08:12
凪「おれ〜?」
玲王「うん」
凪は自分の出る種目などそれこそ興味がなかった
凪「リレーと…あとなんだっけ」
玲王「おいおい、覚えてねーのかよ…」
凪「え、何これ。言っとけばレオが応援してくれるカンジ?」
玲王「…応援するにも出場種目が分かんなかったら応援もできねーな?」
玲王がいよいよ呆れたように凪を見る
凪「あ、待って。たしか(ちょっと走るだけで終わるから)短距離走だったかな〜。あんまめんどくさくないのにして、って言ってたはず」
玲王「ハハ、たしかにお前にピッタリかもな。良かったな、クラスの人達にもお前の性格分かってもらえてて」
すっかり暗くなった校庭で玲王が少し俯き、その表情が見えなくなった
凪「…何?妬いてんの?」
玲王「はぁ?頼むからフツーに会話させてくれ」
凪「全然フツーだけど…?」
そう言って凪は玲王の首の辺りをじっと見つめる - 125スレ主23/12/11(月) 15:16:36
玲王「…何?」
その視線に居心地の悪さを感じた玲王が凪を見上げた
凪「いや、あのチアの衣装ってどこまでならキスマ見えないのかなーって思って」
玲王「あのなぁ、見えなきゃどこでも付けていいルールとかねえから!」
玲王は凪を警戒し、距離を取るように離れてしまう
凪「(あれ?”好き避け”にはグイグイ迫っていくのが正解なんじゃないの…?)」
凪は昼休みに盗み聞いたリア充JK達の恋愛作法が通じないことに首を傾げた
玲王「…っとに、昔のお前はもっと可愛かった。初めてお前ん家に行った時もベッドにいる俺の隣には座らずに、床に落ちた枕を座布団にしてさ…ぷはっ!」
玲王は数ヶ月前の凪の姿を思い出して楽しそうに笑っている
凪「…もぉー、昔の俺に妬けるんですけど。前の俺に戻った方がイイの?」
玲王「えー、どうだろ。俺のこと捕まえられたら教えてやるよ!校門までダッシュなー!?」
凪「ちょ、レオ!フライング!そこの紫の人!失格ですよ!」
走り出した玲王の後を、凪も慌てて走って追いかけた
手に入ったものを失う怖さ
そういう大事なことは、幸せの中にいる時には気付かなかったりする - 126スレ主23/12/11(月) 15:23:14
そして翌日、体育祭本番———
皆の願いが通じたのか、秋晴れの青々とした高い空が頭上に広がる
今回は延期にならず無事に開催された
グラウンドには大型のイベント用テントや紅白の入場門が設置されている
開会式や準備運動が終わり、今まさに各学年選抜の玉入れが行われていた
放送「白組さんリードしてます!赤組さん頑張って!」
凪「(クソッ…!ミスった…俺も玉入れにしときゃ良かった。めちゃくちゃ楽そう…!)」
凪は自分のクラスの待機テントの下で、フェンスに張り出されている体育祭プログラムとにらめっこをしていた
運動ガチ勢の少ない白宝高校において、足の速い生徒は必然的にリレー競技に回される
メンバー決めの時、凪は「めんどくさくないのにして」とだけ言って寝ていたため、出場種目がリレー競技に偏っていたのだ
凪「(いや、背高いし、俺絶対玉入れ向きじゃん…!?)」
しかしもう時すでに遅し。楽な競技は争奪戦なのである - 127スレ主23/12/11(月) 15:26:28
生徒「凪、やる気だねー。調整の配分考え中ですか?」
生徒「今日は部対抗と合わせてリレー三本出るんだもんね。よっ!スプリンター頑張れ〜」
凪「黙って!」
生徒「ハハ、集中してるわ」
生徒「さすがアスリート!邪魔しないでおこ」
クラスメイト達にケラケラと冷やかされながら、凪は何故サッカー以外でこんなにグラウンドを走らされるのかとギリギリしていた
凪「(あ!そういやレオの出場種目聞いてねぇ…!!)」
凪は本人に直接聞こうとキョロキョロと玲王のクラスの待機テント内を目で探すが、玲王の姿は見つからない
生徒「寝太郎!100m短距離走の選手もう呼ばれてるよ〜!」
凪「あああ…」
凪「(足りない…レオがいないとやる気出ないって…!)」
昨日は三秒チャージしかさせてもらえなかったため、既に充電切れ気味の凪だが…
玲王は短距離走応援してくれたのか?
凪の短距離走の結果を下3レスから🎲 - 128二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 16:27:16
玲王が応援してくれたので1位
スレ主へ
SS長ければ長いほど有難いよ!!!☺️ - 129二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 16:53:40
毎日更新の上に長いSSほんと助かるよスレ主ありがとう
安価なら
玲王が凪が出る種目を応援しないはずがない
玲王が応援してる中で凪が頑張らないはずがない
ということで陸上部とかもいる中でぶっちぎりの1位 - 130二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 17:42:40
応援しにきた玲王に「なぎー!1位取ったらご褒美やるぞー!」って言われたので全力疾走で1位
ご褒美の内容はスレ主に任せます - 131スレ主23/12/11(月) 17:49:22
- 132二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 17:53:08
このレスは削除されています
- 133スレ主23/12/11(月) 21:38:19
放送「この後はクラス選抜100m短距離走が行われます。走者の方は待機場所に集まってください」
先程から玲王の姿が見えないまま、凪は短距離出場選手の列へと並ばされる
走力順なので勿論凪は最後尾だ
凪「(は?マジ、応援してくれるんじゃなかったの…?)」
昨日帰りにちゃんと出場種目を伝えたのに
どこを見ても玲王の姿が見当たらないので、凪は次第に不貞腐れ始めていた
そして、そんな凪の隣で静かに闘志を燃やしている男が一人
陸上部「(とうとう来た…!俺の晴れの舞台…!)」
普段はバスケ部だサッカー部だの花形運動部に女子の人気をかっ攫われている陸上部が、最も輝く瞬間…
そう、リレー競技…!
足が速い男は何故かモテる
陸上部二年の彼はこの瞬間に全てを賭けていた
白団長「凪ー!白組の勝利のために頑張れよ!」
白団員「凪誠士郎マジ卍ーッ!!」
白団員「「ウェーーーイッ↑↑↑」」
凪「(消えてくれ…)」
恥ずかしすぎて凪は耳を塞ぐ - 134スレ主23/12/11(月) 21:42:12
白団員「さっすがアスリート!あれは集中するために耳を塞いでるッスね!」
白団長「うむ、我々も凪の集中力を見習うとしよう!」
根っからの陽キャ集団はまたしてもポジティブな勘違いをしてくれていた。その心は湿度0% 、曇りの一つもない
凪「(悪いけど、お前らの応援じゃ微塵もやる気起きねぇんだよ…俺のエゴを目覚めさせるのは、いつだってレオだけだ…)」
陸上部「(むむ…こやつサッカー部のくせに、本番前に精神統一とはなかなかやるな…?知ってるぞ!お前がダウナー系を装って女子に可愛い可愛いと囲まれているコトは…!う、うらやま…いや、けしからん!)」
実際は恋愛や合格祈願のパワースポット扱いされて拝まれているだけなのだが、非モテの男の嫉妬は事実を曲解していた
第一走者が走り始め、どんどんと凪の順番が迫ってくる
凪「ああ、レオ…どこにいるの…(ゴールにレオがいてくれたら…誰より早く駆けつけるのに)」
玲王を見つけられない凪は、悲しくてとうとう耳を塞いだまま目を閉じてしまった - 135スレ主23/12/11(月) 21:47:02
陸上部「(何やらブツブツ言ってやがる…なるほど、イメトレか。このやる気…まさかこの晴れ舞台で陸上部の俺に勝って、さらなる女子人気を得ようと言うのか?)」
放送「続いて、いよいよ最終走者です。皆さん位置についてください」
白色のタスキを受け取り、凪が位置に着く
凪「(ねぇ、なんで応援しに来てくれないの…?レオ…。もしかして俺が白組でレオが赤組だから?今の俺らは禁断の愛ってやつなの…?)」
凪は身長が高くてただでさえ目立つのに加え、今の表情はいつものホエホエした顔とは違い真剣そのものである
観衆は「今から何か起こるのか…?」と、その凪の気迫にゴクリと喉を鳴らした
実行委員「位置についてー!」
実行委員が片手で耳を押さえて、スターターピストルを空へ向けると、陸上部員が体勢を屈めて地面に手をついた
観衆「あの陸上部っぽいヤツ、クラウチングの体勢に入ってやがる…!」
観衆「おいおい、兄ちゃん!体育祭でそれはちょっと大人げなくねーか?」
陸上部「(フン!なんとでも言え!これが俺が中高と陸上に青春を捧げてきた、走りへの敬意のポーズだ!)」 - 136スレ主23/12/11(月) 21:49:51
実行委員「ヨーイ!」
パァン!!
凪「うぇっ!?」
ずっと玲王のことを考えていた凪は、その破裂音に驚きよろめいてしまう
陸上部「(バカが!)」
短距離走においてスタートで遅れるのは致命的である
陸上部員はこの晴れ舞台の栄光を心の中で勝ち確した
凪「(えー、ダル〜…これ負けたらクラスのやつに怒られんのかな…どうしよっかなぁ…)」
テレテレと走っている凪は、視線の先にある人物の姿を捉えた
紫色の輝く髪、遠目から見てもそこだけ発光しているかの如き太陽のようなその眩いオーラ
凪「レオッ!!」
凪の瞳にハイライトが入る
グンッ!!
体勢が少し下向き気味だった凪は身体を起こし、手を振りグングンとスピードを上げていく - 137スレ主23/12/11(月) 21:55:29
凪「レオーッ!!」
玲王「あ、なぎー!頑張ってー!」
生徒「ハハ、頑張ったら玲王がキスしてくれるってー!」
玲王「おい、やめろってバカ!」
クラスメイトは笑いながら玲王の肩に腕を回し、ふざけていた
凪「あ゛?(近くね?)」
生徒「じゃあ俺が先に玲王にキスしちゃおっかな!」
男子生徒がふざけて玲王の頬に顔を近づけていく
凪「は!?」
玲王「もぉー、ダメ」
玲王は手で相手の顔をガードしているが、いつ頬にキスされてもおかしくない距離だった
凪「ふッざけんじゃねぇええええッッ!!!」
凪の後ろから真っ黒なオーラとともに髑髏が出る
陸上部「ヒッ!?」
190cmの長身にスピードが乗れば、あとはもう凪のぶっちぎりのゴールであった
陸上顧問「あれ…これって男子の高校記録じゃ…?」 - 138二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 21:57:09
さす凪
- 139スレ主23/12/11(月) 22:00:02
放送「一位〜!白組、凪くん!…あれ?凪くん、どこまで行くんですかー?」
ゴールした後も凪はトップスピードのまま止まらない
玲王の元まで全速力で走ってそのまま抱きついた
ガバァッ!!
玲王「うわッ!?」
全力疾走で来た190cmにタックルするように激しく抱きしめられ、玲王は後ろに倒れそうになるが、日頃から鍛えているおかげで何とかそれに耐える
しかし、横にいたはずの玲王のクラスメイトはその衝撃でどこかへふっ飛んでしまっていた
生徒「ちょっと、寝太郎!あんた赤組生徒へのタックルとか妨害行為にするわよ!?」
凪「ごめーん、レオ〜。なんか走ってたら止まんなくなっちゃったぁー」
凪は玲王の首に腕を絡めて、いつものきゅるるん顔で玲王に甘える - 140スレ主23/12/11(月) 22:02:39
玲王「ハハハ、しょーがねぇなぁ。てか短距離走一位じゃん、お前!さっすが俺の宝物!」
玲王がヨシヨシと凪の頭を撫でてやる
凪「でしょー?ねぇ、もっと褒めてー?」
観衆「(あれ、なんだっけ…)」
観衆「(ああいう犬、いたような…)」
その一連の光景は、まさに飼い主を見つけて全速力で飛びつくグレートピレニーズのようであった
玲王「ほら、いつまで抱きついてんだよ?一位の旗もらいに行けって」
凪「えー、レオは?何でクラスのテントじゃなくてここにいたの?俺探したんだよ〜」
凪のぶりっ子は止まらない
玲王「ん?ワリィワリィ。昨日言ってなかったっけ?俺、次の借り物競走に出るからここで待機してんの」
凪「え、借り物競走?」
そう、次は玲王のターン!
玲王が引いた借り物競走のお題は何?
下3レスから🎲 - 141二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 22:04:20
好きな人
- 142二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 22:05:56
メガネ
- 143二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 22:07:07
ハンカチ
- 144スレ主23/12/11(月) 22:10:01
- 145スレ主23/12/11(月) 22:11:10
(女神ホントにありがとう…😭)
- 146二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 22:17:36
よくやった女神ーッ!!!青春の匂いがする…
- 147二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 07:02:55
借り物競争たのしみすぎる ほしゅほしゅ
- 148二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 17:00:05
がんばえー
- 149二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 17:52:31
ほしゅ
- 150スレ主23/12/12(火) 18:00:03
玲王「そ!俺も体育祭は中等部以来だから楽しみなんだよなー。またあとでな!」
凪「うん…」
凪はそう言ってクラスメイト達の輪の中に溶け込んでいく玲王の背中に手を振り、自分のクラスのテントへと戻った
放送「続いては、青春⭐︎借り物競走です!」
ザワ…
観衆「何?青春て」
観衆「そんなの聞いたコトないぞ」
聞き慣れないその競技名に周囲が騒つく
放送「実は今回、青春に相応しいお題が一つだけ用意されています!」
ザワザワ…
そのアナウンスに、会場はさらに盛り上がる
生徒「えー!玲王、なんだろうな?青春に相応しいお題って」
玲王「だなー(なんか、そーいうの凪が引いたら喜びそうだよな…。アイツ、ああ見えて青春ぽいの好きだし)」
放送「ルールは簡単。パネルに書いてあるお題にそったモノを持って、いち早くゴールした人の勝ちです!」
玲王をはじめとした走者達が、係の誘導により横一列に並んだ - 151スレ主23/12/12(火) 18:05:07
実行委員「では、位置についてー、ヨーイ!」
パァン!
ピストルの合図とともに、体育祭でお馴染みの曲が流れ始め、走者が一斉にスタートする
生徒「キャー!玲王様がんばってー!」
生徒「赤組ファイトー!!」
玲王達は長机に置かれている大きめのパネルをそれぞれ手に取り、裏返すとそこにお題が書かれていた
生徒「うわっ!マジかよー!」
生徒「こんなのぜってー見つかんねえよ〜!」
お題を見た走者達は口々に文句を言いながら、パネルを持って観覧席のあるテントを回りながら、お題の物を探して声をかけていく
生徒「二千円札持ってる人、いませんかー?」
生徒「メガネ持ってる人ー!あ、でも伊達メガネ限定でーす!」
生徒「誰か某キャラのち◯ぐるみ持ってる人いないー?」
入手困難。かぐや姫への貢物かと言うくらいシビアなそのお題に、走者も観衆も一様に戸惑いの表情を見せていた
玲王「…」
そして、玲王も手にしたお題に戸惑っているうちの一人だった - 152スレ主23/12/12(火) 18:11:11
生徒「ねぇ、玲王様のお題は何かしら。ぜひお貸ししたいわ」
生徒「そういえば、さっき放送で言ってた『青春のお題』っての、まだ出てなくない?」
生徒「あ!じゃあ、もしかしてさ…」
そう、『青春のお題』を引いたのは玲王だった
そこに書いてある内容は…【好きな人】
しかも、
『相手の好きなところを目の前で言って運んでくる』
という条件付きである
玲王「(マジでどうしろってんだよ、こんなの…)」
これでは、まるで公開告白ではないか
玲王はお題のパネルを見たまま固まってしまっていた
放送「ハイ、それでは全員引きましたね?今回用意した青春に相応しいお題…そう、それはズバリ【好きな人】です!」
明かされたその青春盛り盛りのお題に、会場中が色めき立つ
放送「このお題を引いた方、パネルを上に掲げてください」
玲王「…」
玲王はやむを得ず、と言った感じで手にしたパネルを頭上にあげた - 153スレ主23/12/12(火) 18:16:09
生徒「「キャーッ!?」」
女子生徒達から悲鳴のような歓声があがる
それも当然だ。この学園の王子様、ミスター白宝の玲王が【好きな人】を引いたとなれば、会場中がお祭り騒ぎであった
生徒「あの『青春のお題』引いたのって、玲王様なの!?」
生徒「さっすが玲王!引きつえー!」
生徒「好きな人って、え、玲王様誰を選ぶの!?」
これから御影玲王の公開告白が始まる
会場のボルテージはその期待と共に、玲王の意思に反してますます上がって行った
放送「皆さん!なんとこのお題を引いたのは我らのアイドル玲王様でした!ちなみに、そちらのお題は条件付き!この晴れの舞台で、ぜひお相手に好きなところを伝えてゴールまで運んでください…!」
生徒達「「キャーーッ!!」」
生徒「それってマジの告白じゃん!」
玲王「(最悪だ…)」
何のために今まで凪との本当の関係を周りに隠して、「あくまで二人は相棒だ」と押し通してきたのか
玲王は複雑な気持ちのまま、しかし赤組の勝利のために一刻も早く凪を連れてゴールしなくてはと、生徒達のいる待機テントの方に向かって歩き出す - 154スレ主23/12/12(火) 18:18:54
生徒「えっ!玲王様こっち来るよ!?」
生徒「寝太郎!やっぱ玲王様アンタを選ぶんじゃないの!?」
生徒「玲王様から寝太郎への公開告白じゃん!」
クラスメイト達は後方にいた凪を前の方へとグイグイ押し出して、その決定的瞬間をおさめようと既にスマホを構えていた
こんな時はなぜだか当事者よりも外野の人間の方が盛り上がるのだ
凪「え…?」
訳が分からないままテントの一番前に座らされた凪の前に、玲王が立つ
凪「(あれ、俺…今、チョー青春してね…?)」
玲王が借り物競走で【好きな人】のお題を引き、自分の目の前に立った
その数分間の出来事に、凪はその天才的頭脳でも状況処理が追いつかないでいた - 155スレ主23/12/12(火) 18:21:53
玲王と出逢う前———
去年の秋に出た球技大会の時は、少しでも早く家に帰りたくて「来年は、マジで立ってるだけにしよう」と思っていた
その約一年後に、まさか今みたいな瞬間が訪れるってあの日の自分に言ったら、信じただろうか
「お前は、次の春に運命の人と出逢って、その人に選ばれる『特別な存在』になるんだ」って
「体育祭のグラウンドで、みんなが見てる前でその人に公開告白されるんだよ」って
そんなキラキラした青春の全てを詰め込んだみたいな瞬間が、自分の人生に起こるなんて
きっとあの日、死んだ目をしていた自分は信じないだろうと凪は思う
玲王「…凪」
今の自分の瞳は、きっと出逢った時の玲王と同じように凄くキラキラしているだろうと凪は思った
なぜなら今、ココロが熱くなっているからだ - 156スレ主23/12/12(火) 18:23:58
凪「レオ…」
凪「(俺とレオの関係を学校中に認めさせたくて、屋上からビラを撒いたり、ヘタな小細工をしてレオを怒らせて、たくさん傷つけて、今までいっぱい無茶してきたけど…)」
凪「(でも、やっぱりレオは王子様だ。ちゃんとこうして、大事なところで決めに来てくれるんだから…)」
校内でセッ◯スしてるだの、玲王は凪の身体目当てだっただのと、まことしやかに囁かれていたこの二人の関係が、ついにホンモノになる日が来たのかと白宝中の人間が固唾を呑んでその瞬間を見守っていた
部員A「うわぁぁあっ!今日は祭りだよ!祭りだよB〜!俺たちの推しカプが公式カプになるんだ…!」
文芸部員Aはハンカチを噛みながらすでに泣いている
部員B「静かにしなさいよ、A!私も、今もう泣きそうなんだからっ!」
そして皆に見守られる中、玲王が凪に想いを語り始めた - 157スレ主23/12/12(火) 18:30:15
- 158スレ主23/12/12(火) 18:36:14
【好きな人】というお題のその曖昧さを利用し、玲王は「相棒として」好きな人として凪を選んだ体にしたのだ
生徒「なーんだ、ライクの方だったかー!」
生徒「えー、良い雰囲気だったからちょっと期待したのにィ。でも考えてみればそうだよね。寝太郎がラブの方で玲王様に選ばれるワケないかー」
生徒「だってサッカーだもんね、玲王様が本当に好きなのは」
凪「…」
玲王「ま、”そういう”ワケだからさ!さっさとゴールするぞ!凪!」
玲王は凪なら自分のこの気持ちを分かってくれると思っていた
この場で、公にラブの意味での【好きな人】とは言えないけど、それでもこうして凪を選びに来たことで自分の想いは伝わると、玲王はそう思っていた
凪「…」
しかし、凪は俯いて黙ったまま顔を上げない
玲王「?ほら、お題を運んでゴールしなきゃいけないんだって。おんぶするから俺の背中乗って?」
玲王は座っている凪の前に背を向けてしゃがみ込み、「ホラ、早く」と自分の背中に乗るように促す - 159スレ主23/12/12(火) 18:40:08
凪「…ダメだよ」
玲王「は?」
玲王が凪の前でしゃがんだまま後ろを振り返り、自身の肩越しに凪を見る
凪「こんなの、ダメ…やり直し」
玲王「やり直しって、何が?」
凪「だって、恋人だろ…」
ザワッ
凪の発言に周りが騒つく
玲王「おま…」
凪「ダメダメダメッ!!こんなの全然ダメだからッ!!恋人として『好き』って言わなきゃ、俺はぜってーにレオの背中には乗らないからッ!!!」
凪のクソデカボイスに、それまでの祭りの雰囲気は一変…辺りは急に静寂に包まれた
ああ…せっかくの良いお題だったのに
やっぱりライクじゃなくてラブの好きじゃないと凪は解釈不一致だったらしい
玲王…このめんどくさ赤ちゃんどうする?
玲王の反応を下3レスから🎲 - 160二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 18:44:46
あーわかったわかった…恋人として好きですよー
背中に乗りましょーね凪くん - 161二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 18:49:19
赤ちゃんみてぇなこと言うな!お姫様抱っこで運ばれたくなきゃさっさと背中に乗れ、赤組の勝利がかかってんだよ(怒)
- 162二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 19:07:45
…あっそ、凪が来てくれないなら他のやつ探さなきゃな。誰にしようかな…
玲王が周りをキョロキョロ見回す - 163二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 19:35:13
スレ主の絵最高!キラキラの凪可愛い!
- 164スレ主23/12/12(火) 21:05:41
- 165二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 05:27:42
例のチア描いてくれるのありがたすぎる
- 166スレ主23/12/13(水) 06:06:56
玲王「…」
凪をおんぶしようとしゃがんでいた玲王は、ゆっくりと前を向き立ち上がる
凪「…レオ?」
玲王は、凪にこういう子どもっぽい面があることは今までの暴走から痛いほど知っていた
凪『…じゃ、じゃあ、もうちょっと子どものまんまでもいーですか?』
玲王『うん。俺が大人にしてやるよ』
玲王「(打ち上げの時、ボウリング場でそうは言ったけど…やっぱり無理だ)」
凪も人間なら少しずつは成長して、相手の気持ちや立場を考え、自分を支えてくれるようになっているかもと、「お前はそのままでいい」とは言いつつ、玲王は心のどこかでそう期待してしまっていた
玲王「…あっそ、凪が来てくれないなら他のやつ探さなきゃな。誰にしようかな…」
玲王が周りをキョロキョロ見回す
なんだかもう、どうでも良かった
玲王「(公開告白?お題で告白するなんて、ネタだろそんなの)」
勉強ばかりの退屈なこの学園生活に
刺激を与えるために実行委員が考えたエンターテイメント
なら、自分はそれに乗っかればいいだけ
そこにキモチなんかいらない
玲王「(マジに考えてバカみてぇ、もう誰でもいいや)」 - 167スレ主23/12/13(水) 06:19:25
凪「レオ」
凪が立ち上がり、俯いて違う方へ行こうとする玲王の手を掴む
凪「えっ」
「離せ」と言うように振り向いた玲王は、瞳を潤ませ泣きそうな表情をしていた
凪「うわ…(もー、なんなのその顔…)ビックリした。寿命縮むから急に泣くのやめて、ホント」
玲王「…泣いてねえ」
凪「…?ごめんね」
玲王「いっつもそーやって謝ってばっかじゃん、お前」
凪「いや、レオが泣いてんのかなと思って」
玲王「…何だよそれ。とりあえず謝ればいいと思ってる?」
凪「思ってないよ。俺はレオが一番大事」
玲王「…じゃあ、なんで俺が泣いてんのか、分かってんの?」
凪「…」
そんなの分かるわけない
分かってたら、まず玲王を泣かせるような真似はしない
凪「(なんでか知らないけど、レオがいきなり泣いたり笑ったり怒ったりするから、だからいつも俺は困ったり悩んだりしてるのに…)」
人間一年生の凪にとって、玲王の気持ちの全てを読み解くのは難しすぎる問題だった - 168スレ主23/12/13(水) 06:24:59
玲王「充電させろ、充電させろって俺に言ってくるけどさ…俺はお前の充電器じゃなくて、人間なの」
凪「ごめん」
玲王「いい、ってもう。せっかくみんなが考えたお題だから、俺もマジに考えてただけ。こんなゲーム早く終わらせる」
そう言って凪の前から去ろうとする玲王の手を、かけられる言葉も見つからないまま凪は離せずにいた
生徒「玲王様と寝太郎、なんかモメてる?」
生徒「充電器がどうとか言ってるから、たぶん凪が玲王様の充電器無くしたんじゃないの?」
生徒「この状況でそんな話する…??」
生徒「何言ってるかはよく聞こえないけど…とりあえずあの二人の湿度が高いコトだけは分かるわね」
凪と玲王の二人は乾燥する秋の空気の中でも、湿度を漂わせている
放送「白組さん、お題を見つけたようです!」
生徒「ちびぬいお借りしましたー!」
そして、二人が言い合ってる間に、玲王以外の走者がお題を見つけてゴールへ向かおうとしていた - 169スレ主23/12/13(水) 06:31:45
玲王「やばっ…オイ、手ぇ離せよ!早く他の人選んでゴールしねえと白組に先越される」
凪「いや、目の前にしかいないじゃん。レオの【好きな人】は」
玲王「は?」
凪「レオのおんぶじゃ間に合わないから…ねぇ、別にお題が運んでも良いんでしょ」
そう言って凪は玲王の背中と膝裏に手を回して、玲王をお姫様抱っこする
生徒「「キャーーッ!?」」
生徒「寝太郎何やってンのよアイツ!」
生徒「寝太郎マジ呪うから…!」
玲王「ちょ、何」
凪「走るから、ちゃんと掴まっててね」
放送「おや!なんと赤組の玲王様、お題の【好きな人】に姫抱きされながらゴールへと向かっています!速い速い!果たしてどちらが勝つのでしょうか!?」
そこに先程お題のぬいぐるみを借りた白組の生徒が並走する
生徒「〜ッ!?(コイツ、180以上ある玲王様持ち上げてんのに走んの速すぎだろッ!?)」
生徒「ハァ、ハァッ、凪!お前も白組だろ!ゴールはこっちに譲れよ!」
凪「え」
たしかに…
凪は白組なのに赤組の玲王の勝利に貢献しても良いのだろうか?
白組の走者に対する凪の回答を下3レスから🎲 - 170二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 06:36:14
そんなのどうだっていいし。俺とレオの邪魔すんな
- 171二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 06:37:41
白組の勝利なんかよりレオだから
- 172二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 07:10:21
俺はレオと二人で1番になる!
- 173二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 07:13:50
うるさいなぁ…欲しいものは自分で掴み取りなよ
ねぇレオ? - 174二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 17:36:05
白組の勝利より玲王の方が大切
- 175スレ主23/12/13(水) 20:08:53
- 176二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 22:10:08
- 177二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 00:03:21
- 178スレ主23/12/14(木) 01:20:05
- 179スレ主23/12/14(木) 02:50:11
凪「…白組の勝利なんかよりレオだから」
生徒「はっ?」
それはそう。自分の描いていた人生設計よりも何よりも玲王ファーストの男
今更体育祭で白組が勝とうが赤組が勝とうが、そんなの凪には関係ない
凪の中ではいつだって玲王が優勝に決まっているのだ
凪の発言に白組の生徒が狼狽えているのを尻目に、凪は玲王を姫抱きしたままポンポンとスキップするように軽快な足捌きでゴールテープに駆け寄った
パァン!
放送「おめでとうございます!赤組の玲王様とお題の【好きな人】凪誠士郎くん。今、二人仲良くゴールインです!」
凪「ありがとうございますッッ!!」
凪(ジーーーン…)
『二人仲良くゴールインです』…💒
その甘美な響きに、凪は玲王を抱えたまま目を瞑って酔いしれていた - 180スレ主23/12/14(木) 02:58:53
玲王「(ちゃんと勝てた…なんだかんだ言って凪って、いっつも俺の願い叶えてくれるんだよな)」
玲王「…ありがとう、な。凪」
先程、凪と気持ちがうまく通じないことで泣いてしまった玲王は、涙を拭うようにして、少し照れながら凪に礼を言う
凪「うん。俺の方こそ、ありがとうね。レオ」
玲王「?」
凪「(わかるよ…レオも俺とのゴールイン想像したら感動して、目頭熱くなっちゃったんだよね…)」
凪「ねぇ、レオ」
玲王「ん?」
凪「今、ここに結婚式場が見えてるでしょ?」
玲王「?え、見えてないけど…?」
玲王が凪の首に手を回したままキョロキョロと辺りを見回す
凪「見えてないの?じゃあ、ここに教会を建てよう」
玲王「えっ、なんで?お前クリスチャンだっけ?」
凪「…」
玲王「建てんのは(金銭的には)カンタンだけど、うちの学校って無宗教だぜー?いらねーだろ」
リアリストの玲王には、凪の見ている夢がまったく伝わっていなかった - 181スレ主23/12/14(木) 03:09:11
凪「…まぁいいや。レオのこと抱っこ出来て、ちょっと充電出来たし」
この男、どこまでもポジティブである
玲王「だから、俺はお前の充電器じゃねーって!」
凪「なんで?レオは俺の急速充電器だよ。ね、俺専用のモバイルバッテリー?」
玲王「…」
どこまでも充電器扱いしてくる凪に、玲王が冷たい視線を送っているのだが、未だ『ゴールイン』の甘い響きに浮かれている凪はそのことに気付かない
凪「レオといたら超元気になれる。出来ればもっと一緒にくっついてたいなー」
玲王「…」
調子に乗ってスリスリと顔を寄せようとしてくる凪を、玲王はプルプルと手を震わせながら必死にガードしていた
放送「続いては、部対抗リレーです。走者の皆さんは各部活の道具を持ち、待機場所まで集合してください」
玲王「(…ホッ)あ、ホラ!また俺らの出番じゃん。早く行こーぜ!」
凪「いや、さすがに続けて走らされすぎじゃない?俺…(今日三種目しか走らないハズなのに、さっきの借り物競走でも走ったし…)」
物語の主人公というのは、往々にして走らされる運命にあるらしい
生徒「〜〜?」
生徒「〜〜!!」
しかし、何かトラブルでもあったのか、放送部のテントの様子が少し慌ただしくなっている - 182スレ主23/12/14(木) 03:14:20
放送「ガガッ…ピー…えー、失礼しました。ここで種目内容の一部変更のお知らせです。先程の借り物競走で(お題が難しすぎて)少し時間が押してしまいましたので、急遽部対抗リレーを二人三脚の形式とし、時間の短縮を図りたいと思います」
生徒「「えーーっ!?」」
これには「我が部こそ一位!」と放課後バトンパス練習をしていた一部の生徒達から非難の声があがった
生徒「二人三脚にして走者数まとめたところで、結局フツーに走るより遅いから時間短縮にはなんねーって!」
生徒「そーだそーだ!意味わかんねーよ!」
その光景を見ていた玲王も呆気にとられている
玲王「ハハ…たしかに。二人三脚とかみんな練習してなかったもんな」
凪「…」
玲王「凪、お前協調性とかなさそーだけどさ、出来んの?二人三脚」
二人三脚…だと…?
もちろん玲王とだよね
凪の返事を下3レスから🎲 - 183二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 03:18:00
できるに決まってるっしょ
レオとなら二人三脚なんて朝飯前だよ - 184二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 05:02:42
むしろレオとならやりたい
- 185二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 08:18:53
やりたい…けど…できないっ!!
(え?二人三脚って足首結んで、肩か腰つかんで、太ももとかばっちり当たっちゃうでしょ?俺はいいけど誠士郎が…ッ!)
ここの凪くんはよく喋るから面白いです(でもすれ違ってるけど)。本編でももっと語ってほしい… - 186スレ主23/12/14(木) 18:08:55
- 187二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 18:50:11
スレ主は天才!!
- 188二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 20:38:03
最高〜!素数で耐えきれるかな?
- 189スレ主23/12/14(木) 21:56:57
凪「むしろレオとならやりたい」
玲王「は?」
凪「え、レオとならやってもいいよー…って」
玲王「やってもいいって…何だよそれ!『やりたいです、レオがいいです』、だろ!?」
凪「うぇ?」
凪の言葉が足らなかったのか、玲王は拗ねたように怒っている
凪「(泣いて照れて怒って…忙しい、忙しすぎる。情緒の嵐だ、この人)」
玲王のそのクルクルと変わる表情に凪の天才的頭脳は解読が追いつかない
「この表情は怒ってる、ように見えて照れてる」とか、「笑ってる…けど実は心の中は哀しんでる」とか
人の感情は複雑でわからない
ココロと表情がリンクしていない時がある
しかも玲王は普段よく喋るのに、大事なことはちゃんと話さなかったりする
そのままに受け取ってしまってすれ違って、「めんどくさいな」って思うこともあるけど、そのめんどくささすら愛しいと思えるのが愛なのか
凪「(レオになら、どれだけめんどくさくても良いって思える…ってことは、やっぱりこれは愛なのか)」
凪「愛してる」
自己完結した凪は、唐突に玲王に愛の告白をした - 190スレ主23/12/14(木) 22:06:04
玲王「(コイツ…また人前でテキトーなこと軽く言って誤魔化してるし…)」
玲王「…信じらんねぇ、マジでやだ」
凪「は?(愛してるって言ったのに、何でまだ怒ってんの??)」
スタスタと一人待機列に向かう玲王の後ろを、凪が慌てて追いかける
「恋人だろ」とか「愛してる」とか
先程から発している普通ならば看過できないはずの凪の爆弾発言だが、白宝の生徒達には一周回って『白宝サッカー部Wエースの掛け合い漫才』、『あの二人はそう言った芸風なのだろう』と思われスルーされていた
慣れとはかくも恐ろしいものなのか
部対抗リレーに出る走者達は、二人一組になって足をくっつけて紐で結んでいき、急遽決まった二人三脚の練習のため「どっちの足から出す?」「かけ声は?」などと調整しながら、その場で駆け足をしたりしている
剣道部なんかはガチャガチャと防具がぶつかり合って、かなり大変そうだ
玲王「〜〜〜」
部員「「〜〜〜!!」」
一方、玲王はサッカー部の部員達に作戦の指示を伝えていた - 191スレ主23/12/14(木) 22:21:59
凪「(部対抗リレーは赤白とか関係ないのに、どこまでも勝利に貪欲なのはレオらしいなぁ…)」
凪がグラウンドに座り込んだままその光景を見つめていると、玲王が自分の元へと戻ってきた
玲王「よっしゃ、俺らもちょっと練習しとくか」
凪「ねぇ、作戦て何伝えてたのー?」
玲王「え。紐はあんまキツくなりすぎないように八の字に結べとか、身長差がある場合は相手の腰に手を回せとか、スタートは外側の足からのが安定するぞ、とか、そんな基本的なコトだけど」
その玲王の言葉を聞いた凪は、下を向き大げさにため息をついて「やれやれ」と言った表情を見せた
凪「レオ…わかってない。全然わかってないね」
玲王「何が?」
凪「レオって二人三脚エアプ勢なの?」
玲王「air up they?」
凪の使う単語は玲王にとって聞き馴染みのないものが多い
凪「あのね、二人三脚にとって一番大事なコト…なんだかわかる?」
玲王「んー…?」
玲王が顎に手をやり難しい顔をして考えているのを、凪が座ったままの体勢から見上げる
凪「(…可愛いなぁ、ホント。360度どっから見ても、考えてる顔も全部カワイイ…)」
何をしていても可愛すぎる玲王を見て、凪は「このままどこかに監禁したい」と昼間のグラウンドに似つかわしくない悪い妄想をしてしまっていた - 192スレ主23/12/14(木) 22:32:26
玲王「まだ俺が言ってないやつだろー?…あ、わかった!”歩幅をあわせる”だ!」
凪「ブブーッ」
玲王「えぇー?」
凪「うーん、それも間違いじゃないケド…ちょっと惜しい、かな」
玲王「はァ?なんだよ!もったいぶらずに早く教えろよ?」
焦れた玲王が、体育座りをしている凪の前にヤンキー座りでガラ悪くしゃがみ込む
凪「コラ!あんま足広げないの」
凪がその開いた玲王の両膝を、手で掴んで閉じさせようとした
玲王「うるせぇ!(またどっかのお父さんみたいなコト言ってるし)早く教えろ!」
タイムイズマネーがモットーの玲王は目に見えてイラついている
凪「(もぅ。レオ、反抗期なのかな)…オホン、それはね?パートナーとの息を合わせる、ってことだよ」
玲王「息を…合わせる…?」
凪「うん。だからね、二人の息を合わせるのに、ちょっとここで俺とハグとかしてみない?10秒くらいでイイからさ。10秒チャージぷりーず?」
そう言って凪が両手を広げて玲王に抱きつこうとしている
たしかに二人三脚において息を合わせるのは大事なことだけど… そんなことしてる暇あるの?
グラウンドの真ん中で凪に抱きつかれそうになっている玲王の反応を、下3レスから🎲 - 193二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 22:37:59
こんなところで抱き着けるかよバカ
- 194二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 22:42:53
「…今日1日、もうそういうコト要求しないって約束するならやってやる」
言質が取れたらハグする! - 195二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:22:47
そのまま凪に抱きついて1、2、3…とカウントする
- 196スレ主23/12/15(金) 04:06:09
- 197二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 04:12:07
砂糖だやったー!!!!
何がどうなって記憶喪失になるのか気になりすぎる
次スレも楽しみにしてるよありがとうスレ主 - 198二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 06:31:16
チアを楽しみにしております!
- 199二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 13:34:33
ミニスカチア、玲王だけじゃなくて凪も着るんだよなぁ
- 200二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 16:32:10
SSもイラストも天才のスレ主よ
今晩も楽しみにしています