【閲覧注意】絶対BLになる世界vs

  • 1二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 20:47:49

     俺は理解している。

     この世界がBL漫画の世界だということを。

     細かいところはもう省略することにしよう。少なくとも知ってしまった。気づいてしまった。そして決して敗北しないと心に誓った。男同士がつがいになる世界で、こうSEEDに忖度し、種の繁栄とかそういうことを考えるとホラ。あと普通に可愛い女の子がすきだし。

     とはいっても俺にとって、BL回避はさして難しいことではなかった。何故ならBLとは何の前触れもなく突然発生するものではなく、何らかの予兆__『フラグ』があることが多いのだ。それさえ見逃さなければBLを回避するのも不可能ではない。そのため、

    「あの」

     こうして唐突に腕をとられるのは全くの想定外であった。

    「付き合って、ほしい」

    絶対BLになる世界vs絶対BLになりたくないdice1d3=1 (1) 

    【運命編】

    主人公は1:グエル 2:エラン様 3:シャディク

    手を取ったのはdice1d4=2 (2) 1:四号 2:五号 3:ラウダ 4:自身の持ちMS

    ※誤字脱字が多く、執筆しながら管理するのが苦手です。

    ※書いてる人の好み(ラウ→グエ強火、エラシャディ、おにショタおに他)で贔屓が入る可能性があります。もし気づいてもそっとしてください。

    ※単純に趣味の問題でスレミオとフェルペトは基本くっつきます。

    ※死ぬ・発狂する・モブレ・廃人化など酷い状況になる可能性が割と高め。何でも許せる方向け!苦手な展開になりそうなら自己判断でブラバしてくださるとありがたいです!

  • 2二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 20:59:43

    「び……っくりさせるなよ。突然」

    「ごめん。でも君にしか相談できなくて」

     思いつめた様子の五号に連れられてやってきたのは、小さなカフェテリアであった。てっきり初手告白かと思ったらそうではないようで、何やら青い顔をしてこちらを見ている。流石にこんな体調が悪そうな友人を放っておけるほど、グエルは薄情になれなかった。

     グエル・ジェターク、もといこの友人、エラン五号。

     二人は同じアスティカシア学園にて学ぶ学友である。アスティカシア学園は様々な学科を保有しており、それぞれの持つ才能を伸ばすことに特化した、所謂金の卵の集うエリート学校である。冷静に考えるとちょっと舞台設定がBLすぎる。実際考えてみると友人連中全員イケメンだし。学年主席とか見事にイケメンだらけだし。

     五号はその中でも、スポーツ科で成績トップな生粋のフィジカルエリートだ。見た目だけならグエルより華奢なのに、ちょっと前調子のって喧嘩売ったら見事に返り討ちにされた。本編的には逆だろと心底言いたかった。なんだよ本編。

    「……それで、話って?」

     先の誘いは決して交際の申し込みではない。

     彼はしばらく考えるように視線を巡らせ、息を吸って、吐いた後。神妙な面持ちで、こちらを見つめた。

    dice1d4=1 (1)

    1:「ちょっと、気になることがあって。dice1d2=1 (1) (1:シャディク 2:ラウダ)に関することなんだけど」と肩を落とす。

    2:「ちょっと、心配なことがあって。dice1d2=2 (2) (1:四号 2:エラン)のことなんだけど」とみつめられる。

    3:「……好きな人、いるんだ」早い早い早い展開が

    4:「あのさ。僕が何言っても、信じてくれる?」と探るように言われる。

  • 3二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:06:44

    グエル主人公はなんか久しぶりだな

  • 4二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:10:24

    わー!!!2週連続嬉しい!!しかも今回は気付いたの早かったぞ!!何故か早めに一覧覗きに来て良かった!!
    いつも楽しく読ませて頂いてます、ありがとう!!!
    やっぱりグエルくん、眉毛も含めて可愛いね!

  • 5二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:17:41

    「シャディクの?」

    「うん。勝手に言うの、よくないって思うけど。聞いてくれるかな」

    「それはもちろんだが……」

     五号は膝の上で手を握る。そうして迷うようにぐるぐる視線を巡らせたあと、グエルの方を見て、ぐっとくちびるを噛み、見上げ、見つめた。

    「シャディクにさ、相談されたの」

    「え、あー……そういえばお前とシャディク仲い」

    「近々死ぬかもしれないって」

     茶化しつつ薄ら対消滅を狙うつもりで言おうとした一切は、五号の言葉によって遮られる。

     今、彼は何と言った?死ぬ?死とかあるの?この絶対BL世界において?絶対BL(ハッピー)になる世界軸において死とかあるの?死、全然救済じゃないぞ?てかなんで俺を巻き込むんだよ!!内心でぐるぐる混乱しながらツッコミを入れていると、五号は再び、俯いた。

    「詳しい事情は、言えない。でも、もしかしたらもうすぐ、自死を選ぶかもしれないって」

    「いや待てよ それ俺に伝えて何になるんだ」

    「……死ぬなら、明日の夜、日付が変わる直前って言ってた。どうか一緒に、シャディクを止めて」

     知らん知らん知らん怖い怖い怖い。てかお前がキスのひとつでもすれば止まるだろここ絶対BLになる世界なんだから!グエルは絶対BLの強制力を過信こそしていたが、流石にここで「無理!」と言えるほど薄情になれるわけでもなかった。おっかなびっくりこくこくと頷くと、五号はほっとしたようにため息をついた。

    「君は、いつも通りシャディクに接して。いい?『シャディクが変なことしても、普段通り接してあげること』。これだけ、お願いしてもいいかな」

    「わ……わかった。これが今回のハンドアウトか……」

    「はんどあうと?」

    「いやなんでも」

     五号は不思議そうな顔をしつつ、立ち上がる。自分の飲んだ分の料金だけ支払うと、くるりと踵を返し出て行ってしまった。

     グエルの前には、白磁のカップがふたつきり、残された。

    dice1d3=2 (2)

    1:明日はみんなであそびに行く予定だ。今日はもう家に帰ろう

    2:家に帰……うん?dice1d3=2 (2) (1:四号とエラン 2:見知らぬ少年 3:謎のdice1d3=3 (3) (1:赤 2:白 3:ピンク)のロボ)?

    3:とりあえずシャディクに会いに行く!!!!!!

  • 6二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:24:03

    わーい新作!お待ちしておりました!
    初っ端から何だか不穏や…

  • 7二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:32:18

     とりあえず家に帰って一旦整理したい。情報量が多い! そう思って会計をすませ、カフェから一歩外に出る。端末を取り出せば、父から「卵 玉ねぎ トマト」とメッセージがきてきていた。「了解しました」とだけ短く返し、最寄りのスーパーはどっちだったか、なんて考えながら顔をあげると。

    「こんにちは」

    「ウワア!?誰!?!?」

     突然知らない顔のはっきりとした少年が目の前におり、肩を跳ねさせた。

     少年はぶかぶかとしたパーカーとジーンズを身に纏っており、どこにでもいる中学生くらいの男の子、といった様相を呈している(異様に顔が整っていることを覗いてだが)。彼はグエル、というか自分より図体が幾分も大きな男が目の前でそこそこ大きな声をあげたというのに、驚くようなそぶりも見せず、ただ、「聞きたいことがあって」と尋ねてきた。

    「近く、旅行には行かれましたか?」

    「え?……ああ、えっと、キャンプ……にはいったが。それが……」

    「なるほど、それでか」

     少年は何かを理解したようにうなずく。始終無表情なのが怖すぎる。彼は一歩後ずさると、グエルの全身を上から下まで検分し、それからグエルに手を差し伸べる。一切茶化す様子も、あるいはこちらを騙そうとするような色もない、真摯で真剣な瞳で、こうささやきかけてきた。

    「単刀直入に言います。僕についてきてください」

    「なんて???????????」

     だから早いって展開が。なんでこんな序盤から巻きなんだよ。ヤケクソになるな

    dice1d3=3 (3)

    1:「ま……待て。詳しく状況を聞かせてほしい」ととりあえず聞く姿勢は持つ。

    2:「無理!!!!!!!!」と走って逃げる。

    3:「ふ、不審者!誰かたすけてくれ!!」と無意識に叫ぶ。dice1d3=3 (3) (1:ウワア!今回の弟 2:あれは……ダリルバルデ!? 3:現実は非情)

  • 8二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:39:21

    「ふ……不審者か!?不審者だよな!おい誰かっ……」

    「無駄ですよ」

    「無駄ってなんだ!?」

    「この辺りに人は通りません。『絶対に』」

    「それはっ、……どうして……!」

    「さあ」

     少年は答える気がないようで、淡々と「ついてきてください」という。明らかに怪しい。傍から見たら完全に誘拐か詐欺の現場である。見た目的にはむしろグエルが誘拐する側であるはずだが。

     そして恐ろしいことに、こうして突然見知らぬ男になんらかの理由__おそらく何かしら深淵な何かがキャンプに込められているのだろうが、心外だ、グエルはただキャンプファイヤーして魚焼いて食っただけなのに__で連れていかれるというのは、BLの導入としてそこそこありがちなのである。ここでついて行ったら恋がはじまってしまう。本で見た。

     そのためここは何が何でも回避しなければならない。グエルの頬に冷や汗が浮く。少年は「そういえばまだ名乗っていませんでしたね」と思い出したように言い、こちらに向き直った。どうみてもグエルは警戒しているのにだ。自由か

    「僕はロウジ。ロウジ・チャンテ。信用してください」

    「無理があるわ……!」

     グエルはちょっとキレた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……何故俺を連れて行こうとする?」と理由を尋ねる。

    2:「すまん明日予定あるから!また!!」とダッシュで回れ右する。

    3:「……あーえっと。あなたに一目ぼれしたから、来てほしいんです」とすごく雑に顎クイされる。待て待て待て待て待て

  • 9二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:47:44

    珍しくロウジが深入りしてくるチャンスなのに、回れ右しちゃうんか…
    それはそうとして、3になったとしても顎まで手が届かなそうなロウジくん

  • 10二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 21:50:13

    BL回避に必死すぎるグエル…展開が巻きなのに色々取りこぼすぞ

  • 11二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:01:28

    「……すまん!俺あした予定があるんだ!ちょっとキャッチ等には付き合えない!」

    「あっ」

     こちらに向かって手を差し伸べるロウジを横目に、グエルは迷うことなく脇を走って通り抜ける。できる限りの全速力で。五号ほどではないがフィジカル強者のグエルは、少年一人振り切る程度簡単にできる。

     ゼエゼエと肩で息をして、真面目に顔を青くするグエルには、届かなかった。

    「……後悔するのは、あなたなのに」

    「た……ただいま。かってきた」

    「ありがとうグエル」

    「おかえり、兄さん!」

     買い物のビニール袋をヴィムに渡すと、ラウダがにこにこ無邪気に笑いながらこちらに駆け寄ってきた。グエルと同い年異母兄弟(ここ平和現パロ時空なのに酷い肩書だ)であり、同じアスティカシア学園の文学科に通うラウダは、五号やシャディク等含めてよくつるむ仲良しグループの一人である。

    「兄さん。明日だよね、エランたちやシャディクと一緒に出掛けるの!楽しみだね」

    「えあっ……あー……そう、だな」

     『よくつるむ仲良しグループ』__グエル、ラウダ、エラン、四号、五号、シャディクの六人。顔の良い男六人ということで、なんでも御三家広義なんて二つ名をつけて呼ばれているらしい、冷静に考えるとこのあたりもBLの設定すぎる__とはいえ、授業や課題の関係で、集まれるのは稀だ。

     しかし明日は、久々に全員の休みが重なる日。

     「みんなでパーティーしたい」と言ったのは四号だった。それに対し、「駅前で集まろう。んでショッピングモールとかで買い出ししようか」と具体的な方向性を与えたのはエランである。それこそが「明日の予定」であり、実はロウジにいったことはあながち嘘でもない。

     友人といるのは楽しい。パーティをバックレるのは本意ではない。かといってフラグまみれのところに突っ込むのは怖いし。細心の注意をはらわないとな__なんて、考えていると。

    dice1d3=2 (2)

    1:「兄さん、何かあった?」と心配そうに言われる。

    2:「そうだ兄さん!映画のチケットもらったんだ!」と嬉しそうに言われる。

    3:「おい夕食できたぞ!」とヴィムに呼ばれる。

  • 12二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:14:54

    「は?映画?」

     ちょっとだいぶ声を裏返らせてグエルが言うと、ラウダが「うん」と頷きながら端末を操作し、ぱっと見せる。そこにあったのは、流行の恋愛映画のペアチケットだ。明らかに二人分しか席をとっていない。一応明日六人で出かけるのに。「一体どういうことだ」と半目で睨むと、ラウダはニコニコ笑いながら続ける。

    「シャディクがくれたんだ。どうせ買い出しは手分けしてやるんだし、どうせグエルと一緒に回るんだろうし、どうせ時間が余るだろうから、見てきたらって」

    「いやでもそれにしたって六人で出かけてる途中に二人で映画見るはないだろ」

    「でも当のシャディクがくれたんだよ?なくなるのももったいないし、見に行こうよ!だめ?」

    「いやとはいっても__」

    「だめ?」

     圧が強い。

     すごく圧が強い。

     すい、と身を引く。ラウダは距離は詰めてこなかったが、こちらから視線は外さない。てか当たり前のように手分けして二人ペア×3で買い出しに行くことになっているみたいだが大丈夫なのかこれ。どう考えても一緒に買い出しした相手と恋に落ちるやつなのでは?とはいっても仮にラウダを回避したところで、六人グループならあまりは出ないので、どうあがいても逃げられない。つみです でなおしてまいれ

     グエルはんく、と口の中にたまっていた唾をのみこむ。

     そうして、顔を上げ__

    dice1d3=2 (2)

    1:「今からでも周りの席もとって、六人で見ようぜ」と言ってみる。dice1d2=2 (2) (1:いいね! 2:だめそう)

    2:「……あー……俺はてっきり、俺とお前とdice1d2=1 (1) (1:五号 2:シャディク)と一緒に行くんだと思っていたが」と3:3に分かれるように提案してみる。

    3:……いやでもシャディクに何か考えがあるのでは?

  • 13二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:25:03

    「あー……てっきり俺は、俺と、お前と、五号の三人で回るんだと思っていたが」

    「え?五号?」

    「ああ。ほら、今日も五号と話したし」

    「……」

     ラウダは少し考えるような素振りを見せる。なんだか顔から一切の表情が読み取れない。それどういう感情の顔?

     __ちなみにだが、これももちろん策がある。

     グエルとラウダと五号でペアになる。グエルがフェードアウトし、ラウダと五号がくっつく。ついでにエランと四号とシャディクの方もいい感じにくっつき、余った一人はなにかこう奇跡的な関与によりロウジとくっつく。ちなみにシャディクじゃないのは現在進行形で不確定要素が多すぎて怖いからだ。我ながら完璧な作戦である。アド・ステラの孔明と呼んでくれたってかまわない。フフン

     はてさてしかし、ラウダの顔は浮かない様子だった。三人か。やはり三人という数字はよくないのか。兄を当て馬に使うことに引け目を感じるのか。なんでもいいがとりあえずさっさと頷いてほしい、と思っていると、ラウダが小さく、呟いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「シャディク、五号と二人きりになりたいんだって」

    2:「うーん……とりあえず明日、席の予約が取れそうだったら、五号にも来てもらう?」

    3:……?よく聞き取れなかった。リピート!

  • 14二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:28:26

    『えっなんだって…?』系キャラか…ラウダ

  • 15二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:29:44

    「どうせ」が多いw
    シャディクのラウダ評に草

  • 16二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:41:47

    グエルよ、その作戦本当に完璧なのか?
    穴空きだらけな気がするんだが…

  • 17二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:45:03

    「……が……だから」

    「ん?ラウダ、何か言ったか?」

    「ああいや、何も」

     ラウダが誤魔化すように笑みを浮かべる。なんか主に全校集会で見たノリだな、懐かしい……円盤発売おめでとう……等と考えていると、ラウダはんん、と数度咳払いして、こちらに視線を向ける。

    「とにかく!映画を見るにせよ、見ないにせよ。明日のパーティー、楽しみだね」

    「ああ。何でもない日だが、こうして集まるってなるとなんだか特別な気がする」

    「うん」

     ラウダはどこか引き攣った作り笑いをやめて、いつも通りの笑みを浮かべた。グエルは__「あれそういえば突発的な難聴ってフラグだった気が」というやや不穏な考えを振り払いつつ__「明日楽しんで来いよ」なんて言うヴィムに曖昧に微笑みを返しつつ、考える。

     懸念すべき要素は、いくらでもある。

     例えば五号の思いつめたような様子。例えば「シャディクは死にたがってる」なんていう情報。例えば明らかに怪しいロウジとかいう存在。例えばラウダ。あとここまで名前しかでてきてない四号と様。だが。

    「……うん。楽しんできます、父さん」

     それだけは、事実だ。

     もう夜になる。明日に備えて、今日は早く寝よう。

    dice1d3=2 (2)

    1:……いや、その前にシャディクに電話してみるか?

    2:……あのロウジとかいう男、俺がキャンプしたこと知ってたよな。あの時いったキャンプ場について少し調べてみるか?

    3:何事もなく翌朝!!!!

     ……あと一番の懸念要素は、今回のサブタイが『運命編』なんていうマジで今のところ何の要素もない言葉であることだろうか。

  • 18二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:55:38

     夕食を食べて、風呂に入って、課題の提出わすれ等がないかだけチェックをすれば、あとはもう眠るだけだ。自室の電気を消すと、グエルはベッドに横たわり__ふと。充電器にさしていた携帯端末の電源を入れた。

    「……」

     彼が言ったから、というわけではない。

     あの時はソロでいったし、具体的にどこのキャンプ場にいったかまでは家族にすら言っていないし、あそこはそこそこ閑散としていたから、少なくともあんなに小さい子供がいたら目立つだろうに記憶がない。それなのに彼は、「グエルが旅行に行った事」をしっていた。ストーカーにしても限定的すぎる。

     あのキャンプ場、何かあったのだろうか?

     ベッドにもぐりこんで、手元の端末で検索してみる。なんてことない、ごく一般的なサイト。レイクエリアとフォレストエリアにわかれており、グエルは主に林間にあるフォレストエリアで過ごした。同じ場所にはほかに何人かいたはずだし、何もおかしなことはなかったはず。

     ……杞憂、だ。きっと。

     グエルはため息をついて、端末の明かりを消す。あのロウジとかいう男が意味深であることには違いないが、だからなんだというのだろう? 今のところはただの中二病であると解釈した方が真っ当だ。光に慣れた目が闇の中でじんわりと心地よくまどろんでいく。このまま目を閉じればしばらくもしないうちに眠りにつく事が出来るだろう。

     そうだ。全部杞憂なのだ。

     ……そういうことにしておこう。

     グエルは頭の中で素数を数えつつ、こびりついて離れない嫌な予感を追い払うように首を振った。きし、とベッドの歪む微かな音がした。

    dice1d3=3 (3)

    1:何事もなく翌朝!!

    2:……シャディクと電話くらいしておくか?

    3:(こんこん)「兄さん、起きてる?」ウワア!dice1d2=1 (1) (1:ねたふり 2:出る)

  • 19二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 22:55:47

    ここのヴィム、気の利いた言葉掛けてくれるし、食事も作ってくれてそうだし、なんか優しい…
    でも、異母兄弟(同い年)なんだよね…

  • 20二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 23:03:31

    展開的にもドアの外にも、色んな意味で不穏な気配が…

  • 21二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 23:07:04

     さっさと意識をおとして、翌日に備えよう。疲労が残っていると楽しめるものも楽しめない__なんて、考えていると。ふと。

     とん とん とん

     ノックの音が、聞こえてくる。

     父だろうか? 何か緊急のことでも、と身をおきあげようとした、ところで。

    「兄さん、まだ起きてる?」

     そっと元の体勢に戻った。

     聞いたことある。この導入すごく聞いたことがある。既視感がある。ヤンデレに死ぬほど愛されて眠れないCDとかで聞いたことがあるし、具体的には去年の今頃にこういった感じのラウダが流行っていたような気がする。なんだよ去年の今頃。目を閉じ、できる限り自然に力を抜き、寝たふりに務める。「眠ってしまったの?」と声をかけられたので、内心で水飲み鳥もびっくりのスピード感でこくこくと頷いていると。

     がちゃん。

     扉が開く音がする。瞼越しに光が差し込むのが見える。嘘入ってきたのか?デリカシーとかないのか!?バクバクと鳴る心臓を押さえたくなるのを必死でこらえながら、バレるなバレるなバレるなと全力で祈り、嵐が去るのを待つ。身体が強張っているの、ばれていないだろうか。割と本気で心配していると__

     ぱしゃ、と。

     軽い、シャッター音がする。カメラ?写真?どうして__疑問はつきない。ラウダの声がする。「これでいいのかな」デケぇ独り言だな本気で俺が寝てると思うなら喋るなよ本人の目の前で口に出さないと何かしらいけないのかSNSの鍵垢とかで呟けばいいだろうが!理解に苦しんでいると、不意に。なにかあたたかいものが、グエルの額に触れた。

    「おやすみ。また明日ね、兄さん」

     明日も、そのあとも、ずっとね。

     ……意識が、おちていく。

     昨日のあれは、なんだったのだろう?

     朝食の味噌汁をつくりながら、グエルは考える。ヴィムは嫌がるかもしれないが、そろそろ健康と腹回りが気になるので、たっぷりと野菜をいれて。そうして__

    dice1d3=3 (3)

    1:……ラウダに、聞いてみるか?

    2:いやシャディクのことがそろそろ気になってもいいだろ

    3:うーん気にしないでおこう!さっさと集合場所に向かうぞ!

  • 22二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 23:07:18

    ヴィムがどんなに優しくても、同い年の異母兄弟がいるという設定がヴィムに重くのしかかるの草

  • 23二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 23:32:15

    捜査パートをガンガンスキップしていくぅ!
    BL以外のフラグも立っちゃうのでは…

  • 24二次元好きの匿名さん23/12/08(金) 23:38:07

    と、盗撮…!?
    父さんの健康気遣ってあげるグエルは優しい子

  • 25二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 00:31:11

    フラグ回避も何もかも生き急ぎすぎだぞ

  • 26二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 06:01:59

    いや、ちょっとくらいは気にしろよ…おおらかにも程があんだろ、何もかもすっ飛ばしすぎだ
    お前って奴はいつもジェタークしてるよな

  • 27二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 06:50:50

    でもまあBLの主人公は迂闊なもんだし……
    え?BL回避の主人公であってBLの主人公ではない??
    あ、うん……(生暖かい笑み)

  • 28二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 06:54:24

     ……考えても仕方ない。

     とりあえず今は、気にしないでおくことにしよう。グエルは割とそのあたり適当だしスルースキルが異様に高かった。そのせいで何度かフラグに頭からつっこみかけているが、その程度なんのこれしき。そんなことより今は今日のお出かけに集中したい。そういうわけでグエルは、味噌汁とご飯を自分の分だけ取り分けると、るんるんと鼻歌をうたいながら手早く食べ、まだ父も弟も起きる前の時間に先に出発することにした。

     別に楽しみとか、そういうのじゃないんだからな!


    「ぅわ゛……」

     この心の底からドン引いたような音はグエルの声である。

     何故ならどういうわけか人間が落ちていたからだ。それもおそらく父より少し若い程度の年齢であるとはいえ、目を閉じていてもわかるほど精悍かつ明らかにカタギじゃないキャラデザがなされた、まさにイケおじなる言葉が良く似合う男が。

     信じ難いことにこのBL世界で人間を拾うというのはそこそこの確率である。酔っ払いかヤンキーか行き倒れか。この世界の人間はさらに信じ難いことになぜかほとんどの確率で落ちている男を見つけた時自宅に連れ帰る。なんでだよまずは通報だろ

     ちなみに連れ帰った恋に落ちてしまうのは確実。そのためグエルは基本的に救急車なり警察なりだけ呼んでスルーしている。ちなみに頻度としてはだいたい1ヶ月に三回くらい見るし、かといって野外で不審死などは聞いたことないので多分グエルが拾わなくても誰かが拾う。

    「……ぅ……」

     男が身動ぎする。

     グエルは__

    dice1d3=3 (3)

    1:いつも通り「大丈夫ですか?」と声をかけつつ通報する。

    2:すまないが今日はスルーしていくことにする。早くまちあわせ場所に行きたい

    3:つうh「兄さん?なにやってるの」ひょえっ

  • 29二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 06:59:54

    オルグエオルを許さない弟きたわね

  • 30二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 07:12:47

    ドライな反応だと思ったらひと月に3回!?

  • 31二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 07:22:54

     ……とりあえずいつも通り通報しよう。

     流石に何もせずにスルーというのも若干良心が痛む。そういうわけで端末を取りだし、ぱちぱちと110のキーをタップしつつ、男に近づき、大丈夫ですか、なんて声をかけようとしたところで、

    「兄さん!」

    「ひえっ」

     オルグエないしグエオルセンサーが異様に強い弟!?生きていたのか……グエルが咄嗟に端末を後ろ手に隠すのと、ラウダがこちらに近寄ってくるのは同時だった。

    「どうせ目的地は一緒なんだから一緒に行けばよかったのに、先に出ちゃって」

    「あー……楽しみで」

    「……あれ、人が倒れてる」

    「うわあどうせ酔っ払いだって!行こう!!」

    「いやでも放っておくのはダメでしょ」

    「弟が偉い……!」

     グエルが頭を抱える。これで家に連れ帰るとか言い出したらこの明らかに怪しい男と父さんのCPを応援するしかなくなる。相手がグエルでもラウダでも絵面の犯罪感が強すぎる。まあ最悪ネカフェに逃げよう__なんて考えていると、

    「もしもし、はい、救急車です」

     弟が偉かった。

     そうだよな、学園で青春ドラマやってるうえこれから六人でお出かけなグエル達が突然行き倒れ拾ったらプロットめちゃくちゃになるもんな。そういうところはちゃんとしてるんだこのBL世界……ちなみになんやかんや行き倒れの人は回収されていき、余裕を持って出たはずの時間はもう殆ど無くなっていた。


    「おはよう」

    「おはよ」

     待ち合わせ場所に先に着いていたのは、哲学科トップの成績を誇る四号と、経営学科首席のエランである。五号とシャディクの姿はまだ見えない。片手をあげて挨拶すると、四号は手に持っていた本を下ろし、エランはニヤニヤ笑いながら揶揄うように言った。

    「デートか?」

    「家が一緒だから一緒に来ただけだよ。それでデートになるならお前だって四号と付き合っていることになる」

     四号が鞄に本を収納し終わる。そして__

    dice1d3=2 (2)

    1:「そうだといったら?」と無表情に言う。!?

    2:「五号とシャディクは少し遅れると。ス〇バでも飲んで待っていよう」とクーポンを取り出した。dice1d2=2 (2) (1:4杯分だ 2:2杯分だ)

    3:すぐに「ごめん!遅れちゃった」と五号とシャディクも現れる。

  • 32二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 12:37:00

    クーポンの数、足りないようですね…

  • 33二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 13:37:33

    ああ、オルコットさんがただの通りすがりの落ちてる人になってしまった…
    落ちてる頻度高すぎるw
    これグエルが見掛けた数だから、実際はもっと人(男)が道端に落ちてるはずだよね…恐ろしい世界だ…

  • 34二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 15:24:49

    今回の弟のフラグ断ち切りスピードは過去一早かったのでは⁉︎
    オルさんと会話する暇もなかったぞ。

  • 35二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 19:31:48

    ヴィム✖オルかオル✖ヴィムのCPか、絵面的には暴力的な犯罪感あるが、騒々しいヴィムと冷静にツッコミ入れるオルコットで楽しい家族になりそうではある
    グエルは父さんの再婚応援を検討してみても良いんじゃないか?

  • 36二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 20:51:02

    「……シャディク、遅れてくるって」

     四号が端末の画面を見せる。はっとして自身のスマートフォンを確認すると、確かにグループメッセージに「ごめん!遅刻する!><」と来ている。何が遅刻する><だよお前そんなキャラだったか?五号が「迎えに行くね」と返しているらしいことを確認して、もう一度ポケットにスマホを突っ込む。四号はため息をついて、立ち上がった。

    「たまたまコーヒーのクーポンがある。飲んで待っていよう」

    「お、ありがと」

    「二枚だから二人ずつ半分こしよう」

    「うん……うん!?」

     グエルは頷こうとして目を見開く。引き攣った笑み。飲み物を半分こ。つまるところ不可抗力で確実に間接キスというやつを行わねばならぬことになる。そうなればどうなるか。答えは簡単だ。恋に落ちてしまう。グエル知ってる。詳しい!

     さっと顔を青くする。なんか今回強制力強くないか?とにもかくにもこの状況を回避しないと。エランと四号が「四号は何飲む?」「僕フラペチーノ」と淡々会話をするのを横目で見やる。なんだお前らデキてるのか?対消滅か?対消滅チャンスなのか?色々言いたいことはあるはずなのに、上手く言葉が紡げない。冷や汗が湧いてきて、なんだかおなかのおくがぐるぐると気持ち悪い。遠くの方で救急車のサイレンが鳴り響くのが聞こえる。あのおちてた男を迎えに行ったのだろうか。それとも別の?ラウダがるんと嬉しそうにこちらを見て、首を傾げた。

    「兄さんは何が好き?」

     あっ俺とラウダ、四号とエランの組み合わせなのは確定なんだ……

     いやまだだ。まだいける。抗える!グエルはぐっとこぶしを握り直し、自身を奮いたてるために奥歯を噛んだ。悲壮な覚悟であった。この覚悟はもうちょっと別のことに使いたかった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「いや、俺はいいよ。一人で好きなの飲むといい」とやんわり断る。

    2:「いや普通に四本買おうぜ。なんなら出すからさ」と提案する。dice1d2=1 (1) (1:成功 2:失敗)

    3:「……あ、えっと、ブラック……」と押し切られる。dice1d2=2 (2) (1:おいしい 2:……?)

  • 37二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:07:01

    「……いや、俺はいいよ。ラウダが一人で飲むといい」

    「そう?」

    「ああ。喉は乾いていないから。それにお前ミルクいれた方が好きだろ?俺ブラック派だし、お前のすきにしたらいい」

    「じゃあお言葉に甘えて……四号、僕カフェオレにする!」

     ラウダはぱっと笑って、何やらフラペチーノのカスタムについて談合しているらしいエランや四号の方に駆け寄って行った。グエルはその後姿をしばらく見守って、ほう、とため息をつく。

     危ないところだった。

     とりあえず諦めが良くて助かった。あんなところで半分こ♡などどう考えても恋に落ちてしまうところだった。こう書くと語弊のある言い方になってしまうが、ようするにグエルは警戒しているのである。BLとは基本的に最終的に両想いで在り、好意を寄せられたら返報性、オウム返しのごとく自分も恋に落ちてしまうことが多い。もちろん商業なら片想い期間が長くなることもあるが、片想い期間が長い=逃げられるわけではなく、むしろ盛大な前振りになりかねないのだ。自分が男相手に恋に落ちてしまうなんて、ちょっと考えられない。男同士の恋愛感情に対し偏見があるわけではないが、自分がそうなるのはなんというか、ない。

     つらつら考えていると、どうやら注文が終わったらしい。寒空の下でちびちびとカフェオレを飲むラウダ、フラペチーノを回し飲みする四号とエラン。元気なことだ。

     時計を見ると、待ち合わせの予定時間から既にニ十分が経過しそうになっている。

     グエルはため息をついて、既に三人が座っているベンチに腰かけた。できる限り誰とも身体を接触させないようにしながら。

    dice1d3=2 (2)

    1:「そういえば四号とエランって付き合ってるのか?」と聞いてみる。dice1d2=1 (1) (1:そうだよ 2:えっ!?!?!?いやべつにそんなこと今はえっと)

    2:「あ、今日の買い出しってどうするんだ?」と今のうちに相手の出方を探る。

    3:特に何事もなく「ごめん、おくれた!」とシャディクや五号が現れる。

  • 38二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:12:51

    今回のグエルBLはいい感じに回避してるね
    対消滅がまだ起きてないから油断できないけど

  • 39二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:17:43

    「そういえば今日の買い出しってどうするんだ?」

    「ん?」

     尋ねてみれば、エランが不思議そうな顔をしてこちらをみた。グエルは間髪いれず、「何買うのかとかそういう」と付け加える。ここで買わなければならないものの数や、買えそうな場所によっては、うまいこと班分けして奇数人で向かい、グエルはひとりそっとフェードアウトする、あるいは六人全員ないし一人で行動することができる。少なくともどこぞの弟とふたりでデート!ということにはならないはずだ。エランは首をかしげて、ニイと笑った。

    「必要なのは『食べ物の準備』『余興なんかの準備』『飾りつけの準備』だな。夕方ごろまでにすませて、みんなで集まる」

    「嘘だろ……」

    「何が?」

    「いやなんでもない」

     まさかの三つ。2人×3にわかれてくださいと言わんばかりの編成。なんだよ余興って。もっとなかったのか。もう無理矢理3ペアつくりたいためだけじゃないか!とにかくなんとかしないと。二人で行動するのは、だめだ。繰り返すが、片想いであっても危険、そうでなくてもグエルが不意に恋に落ちてしまう可能性だってある。改めて見ると酷い文章だ

    「それで、皆どの班にする?俺は特にみんな希望がなければ『飾りつけの準備』をしたい」

    「僕も『飾り付けの準備』」

    「うーん、僕は……『料理の準備』ならできるよ。兄さんは、何にする?」

     ラウダがにこりと笑ってこちらを見てきた。グエルは考える。ここでの最適解。なにかいわないと!ここでいうべきなのは、選択、するべきなのは__!

    dice1d3=1 (1)

    1:既に成立している二人について行けば安全なのでは!?『飾りつけの準備』だ!

    2:普通に得意なこと頑張りたいしな。『料理の準備』にしよう。

    3:もしかしてまだ一人でいける可能性がある!『余興の準備』かな?

  • 40二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:25:07

    二人組という指定がないという抜け道…!ええやん!
    それはそれとして皆仲良さそうで楽しいね

  • 41二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:26:15

    表紙に3人いるタイプのフラグをお忘れか!?
    2人きりよりかは安全だろうけど!

  • 42二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 21:27:19

    表紙に3人いるタイプを忘れてた…
    ま、まあ、まだカップル成立させるキューピッド役になれるかもしれないし

  • 43二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:48:31

    「……じゃあ俺は『飾りつけの準備』をする!」

    「それだと誰かが一人になってしまうけれど。いいの?」

    「ああ。飾りつけが一番大変だろ?」

    「そうだけど」

     エランは少しためらったような顔をして、四号の方を見た。四号は静かにフラペチーノを飲んでいる。

     グエルは知っている。

     たぶんこの二人付き合ってる。

     いくつかの指標はある。それらを信用するのであれば、四号とエランは付き合っているということになる。既に成立済みの二人のそばにいれば、たまに当て馬役にされることこそあるかもしれないが、それでも誰か別のやつと二人きりでいるよりBLに巻き込まれる可能性は下がるといっていい。懸念点としてはよりにもよって四号とオリジナルとかいう二大グエルと強いフラグを持っているエラン族が相手であることだが、再三繰り返すようにこの二人が恋人であれば下手に挟まろうとしない限り無事でいられると判断してもいい。グエルはつとめてきれいに微笑み、ラウダの方を見た。

    「映画はそうだな、シャディクか五号かと見てきてくれるか?」

    「えー……」

    「俺と見たいなら今度父さんも連れてみんなで身に行けばいいだろ」

    「……」

     ラウダは少し不服そうな顔をしたが、食い下がってくる様子はない。どうやら今回は比較的良識的なラウダであるようだ、ありがたい。ちなみにラウダ個人とのフラグは「家族なかよし」で上書きしている。流石に天才過ぎる。フラグ回避の王とよんでくれてもかまわない。フフンと鼻を鳴らしていると__

    dice1d3=3 (3)

    1:「ごめん。僕、エランとふたりきりになりたいから」と四号がエランの手を取った!?!?

    2:「おくれてごめーん!」とシャディクと五号がやってきた。

    3:__不意に、視線を感じた、気がする。

  • 44二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 22:59:36

    「ッ、……!?」

     ふいに、視線を感じる。

     そちらに目を向ける。そこにいたのは、あの少年。ロウジという男だ。キイン、と頭が痛む。背筋がぞわりと震える。腹がぐるぐると気持ち悪い。咄嗟に胸を押さえるのと、目が合うのは同時だった。彼は一瞬ぱちりと瞬きをしたあと、少し視線をふせて、それからくちをぱくぱくと動かした。

     み、て、い、る。

    「お前ッ、一体……!」

    「兄さん?」

    「あ、え……」

     咄嗟に駆け出そうとしたところで、ラウダに声をかけられる。

     四号とエランも不思議そうな顔をしてこちらを見ている。はっとしてそちらを見る。そうだ、あちらはBLとかBLじゃないとか関係なく確実に『非日常』の世界だ。そんなところに足を踏み入れるべきではない。グエルは自分の常識の範囲で、良識の中で生きるべきで、あちらに関わるべきではないのだ。はやく。はやく、はやく。

    「顔、青いよ。体調わるいの?」

    「……」

     ラウダが気遣うようにこちらの背を撫でる。

     グエルは__

    dice1d3=3 (3)

    1:……それでも、知りたい。「すまない、少し行きたいところがあるから、ちょっと五人で先に行っていてくれ。あとで合流する」

    2:「……ああ、そうだな。シャディクを待とう」

    3:迷っていたら「ごめん、遅れた!」とシャディクたちがやってきた。

  • 45二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 23:05:43

    ロウジの役割が気になる!
    非日常感チラ見せよいぞー!

  • 46二次元好きの匿名さん23/12/09(土) 23:15:55

    ロウジの み、て、い、る。怖い…
    1番引いてたら、どんどん『非日常』側に引き摺り込まれそうでヤバかった
    もう少しだけ、みんなでワイワイやってる楽しげな日常側を眺めていたいの…

  • 47二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 07:18:19

    「ごめん!遅れちゃった」

     そこで、ふと。

     ロウジがいる方とは反対側の道から、明るい声がかかってきた現れたのはいつも通りにこにこと笑みを浮かべているシャディクと、少し困ったようにシャディクに目を向ける五号だった。四号が「遅い」とぴしゃり、言い放つのを認識して、はっとした頃には、既にロウジの姿は消えてしまっていた。

     なんだったのだろう?

     シャディクは悪びれもせず頭をかいて、寝坊しちゃった、と言った。その様子はとても、自分は死ぬのだと言ったようには見えない。そういえば彼は心理学科の中で成績トップであると同時に、演劇部の部長もやっているんだっけ?エランがため息をついてから、先ほど説明した班わけをもう少し説明する。二人はうーんと唸って、それから。先に顔を上げたのはシャディクだった。

    「俺は『余興の準備』をするよ。こういうの得意だし!」

    「えー……じゃあ僕もそうしようかな?グエル、どう思う?」

    「え俺!?」

     話を振られて、改めて考える。

     五号はとどのつまり、シャディクを監視しておきたいのだと思う。その理由はおそらく、彼が心配で、ならないから。とどのつまりこれは対消滅としてもっとも大きなチャンスだ。しかし同じくらい、シャディクの様子も気になる。本当に彼は死んでしまうなんていったのか?これはゲームあるある、『本当にヤバいのは導入NPCの方だった』の可能性もあるのでは?そう考えると、危険を承知でシャディクと行動し、出方を探ることも有用なのではないかと考えられる。もちろん安全を考えるならエランたちについていく一択だが。

     グエルは一瞬、深く呼吸する。

     そして__

    dice1d3=1 (1)

    1:「俺とエランと四号で『飾り付け』、シャディクと五号で『余興』、ラウダが『料理』でいいか?」

    2:「エランと四号で『飾り付け』、シャディクと俺で『余興』、ラウダと五号が『料理』でいいか?」

    3:「そういえばグエルとラウダが一緒に『料理』担当なんだよね?いってらっしゃい!」と五号がにこにこしながら言った。

  • 48二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 07:30:54

    「うん?そうなの?映画は?」

    「あー……それはまた今度行こうということになった。流石に買出し中に抜け出すのもな」

    「そっか」

     グエルは安定をとった。

     偉い……あまりにも偉い。飛んで火に入る夏の虫、暴れてBLに入る主要キャラになる必要はないのだ。あくまで黒子、モブに徹する。グエルにできる最適解はこれだ。ラウダは「まかせて!」と胸を張っていたし、エランと四号にも特に変わった様子は無い。唯一五号だけは、不安げにシャディクを見つめていた。

     駅で切符を買い、各駅停車の普通列車で、近くにあるショッピングモールに向かう。

     六人でわいわい過ごすこの時間が、きっと永遠に、続けばいいのに。


    「さて。俺たちが用意するのは飾りつけだな」

    「クリスマスも近いからさ、盛大にやろう!」

    「……そうだね」

     グエルが言うと、四号は少し歯切れ悪く呟いた。エランもまた、くちびるに載せていた笑みをややひきつらせる。何かあるのだろうか?思っていると、エランが先んじて、買い物のメモを広げた。

    「買い出しはさっさと済ませて、俺達は先に家にいって会場の準備をはじめる」

    「うん。片付けの関係もあるから、あまり凝ったことはできないとおもうけど」

     四号とエランが身を寄せあい、どこかひそひそ話でもするかのような口調でそう言い合う。やっぱりこいつら付き合ってる!グエルは確信した。別に気ぶりグエルとかそんなんじゃないんだからな!!というわけでグエルはこほんと咳払いし、さもなんてことない様子を装ってこう尋ねた。

    「そういえばお前ら元々仲良かったけど、なんか距離近くね?もしかして付き合ったとか?」

     多分今、語尾に(笑)がついていた。

    dice1d3=1 (1)

    1:「うん」と四号がうなずき、「てか半年くらい前からだな」とエランがさも当然のように言った。早

    2:「……」と四号がうつむき、「あー……昨日から」とエランが目を逸らして言った。

    3:「そんなんじゃない」「そういうのではない」と普通に否定された。そんなあ

  • 49二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 08:04:02

    気ぶりグエルw
    一番深い付き合いしてそうなの引いたな

  • 50二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 13:22:24

    パッと消えちゃうロウジは、やはり非日常側の人間?なんだろうか…?

  • 51二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 22:28:22

    「ああ。半年くらい前からかな」

    「そ……そう、だったのか」

    「言ってなかったっけ」

    「今聞いた。おめでとう?」

     グエルが言えば、四号は「ありがとう」と無感情に言った。もう少し嬉しそうにすればいいのに。エランが困ったように微笑みかけて、四号の背を軽く撫でる。その様子は確かに長年寄り添った二人、と言った様子だ。

     なんか知らん間に対消滅してた。

     割と最悪めな感想を抱きながら、素直に祝福の声を送る。とにもかくにもまずは飾りつけを買わないと。近くクリスマスもあるし、もみの木なんかも買ってしまったりして!グエルがるんるんと皮算用をしていると。

     不意に、見るからに不安そうに周囲をくるくると見回している幼い少年を見つけた。

     明らかに迷子だ。助けるべきだろうか、と動こうとしたところで、ごくんと生唾を飲む。

     これはフラグだ。

     ここで助けたが最後最終的になんやかんやで将来結婚する約束とか取り付けられるやつだ。古今東西、ありとあらゆるBLを研究したグエルは、もちろん『年の差』とかそういうやつも知っていた。しかしそれはそれとして良心も咎める。咄嗟に後ずさると、四号が「グエル?」と不思議そうな顔をする。

    「どうしたの。はやく行こう」

    「ああ。時間は有限だ」

    「ぁ__」

     グエルは少年を見て、エランたちをみて、しばし逡巡する。それから__

    dice1d3=3 (3)

    1:「少し助けに行ってくる!」とかけ出す。エランたちはdice1d2=2 (2) (1:着いてくる 2:着いてこない)

    2:「……そうだな、いこう」とスルーする。

    3:「いや、少し__「お客さんちょうどいいところに!!」ウワアキャッチの人!?」

  • 52二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 22:42:58

    「いや、少し助けに__」

    「おきゃくさん!」

    「誰!?」

     グエルが動き出そうとしたところで、突然営業のキャッチに話の腰をへし折られる。顔のぼんやりとした営業員の女性は、たぶん目をキラキラと輝かせて何やらパンフレットのようなものを差し出した。

    「こちらアスティカ印の浄水器カートリッジとなっております。温水もシャワーも媚薬効果も思いのまま!ぜひ恋人さんとの二人暮らしにいかがですか?」

    「待て今不穏な言葉が並んでいませんでしたか!?それと俺に恋人はいません!!」

    「え~?すごいイケメンさんだからてっきり彼氏さんいるのかと。そちらのおふたりは付き合ってるみたいですし」

    「なんで彼氏固定なんだよBL世界かよちくしょう!!」

    「……僕は、いらない」

    「俺も」

    「だろうよ!!」

     積極的にツッコミをいれるのがグエルしかいない。ゼエゼエと息を切らしていると、いつの間にかあの少年はいなくなっていた。

     大丈夫だろうか。なにか別の、可能なら善良な大人__おそらく顔の判然とした男__に保護されているとよいのだが。額の汗を拭い、ふうっとため息を着く。

    「……少し足止めを食らってしまったな。早く準備をすませよう」

    「ああ。再三言うように時間は有限だ。買うもの買って会場に向かうか」

    「__エラン」

    「わーってる」

     不意に四号がエランの肩にもたれる。エランは静かにその頭を撫でて、柔らかくキスをした。一種の聖母子像のように慈悲深く、恋愛戯曲のワンシーンのように情熱的に。

     できれば俺がいないところでやってほしかったなあ。

     自分からここに着いてきたことは棚に上げて、グエルは心底思った。

    dice1d3=2 (2)

    1:恙無く買い出しを終え、準備もすませる。パーティーするぞ!!

    2:うん?ラウダから連絡だ。dice1d2=2 (2) (1:映画観ない? 2:迷子を保護した)

    3:うん?五号から連絡だ。dice1d2(1:迷子を保護した 2:……)

  • 53二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 22:56:02

    「うん?あれ、電話__」

    『もしもし兄さん?迷子の子を保護したんだけど』

    「お前んとこにいってたんかいっ……!」

    『え何の話?』

     ラウダが困ったような声をあげて、それから状況を説明した。

     例の少年の名前はセド。本人曰く「オルコット」という人物と待ち合わせをしていたようなのだが、いつまで経っても集合場所に現れないらしい。オルコットはセドにとって義父?に近い存在?このあたりはよくわからないがとびかくそういった関係であり、今日は一緒に映画を見る約束だったそうだが、約束の時間から一時間も経っているのに連絡ひとつよこさないらしい。心配でならない、とのことだ。これらの情報を整理して、グエルは静かに目を伏せた。

     知っとるわオルコット。

     今朝ラウダが救急車呼んで搬送されてったわ。

     グエルは第三の壁を越えて地の文に干渉できるタイプの人間だった。そう考えると割と人間かどうか怪しいな俺……そんなことを考えていると、電話口のラウダは困ったように話を続けた。

    『迷子センターに連れていこうとも思ったけど、本人はオルコットを探すの一点張りで。ぼく、どうするべきだろう?』

    「うーん、そうだな……本当に近くにそれらしい人物はいないんだな?」

    『セドくんの端末を借りて電話もしたけど、音沙汰すらないよ』

    「そうか。……」

    『兄さん?』

     グエルはしばし考える。

     どう考えても絵面が犯罪だが、この場における最適解ってセドをオルコットに預けることじゃないのか。一応グエルは彼の居所を知っているのに、何もしないというのも目覚めが悪い。しかしそれをやったが最後逆にフラグがたつ可能性もある。様々な可能性を吟味した結果__

    dice1d3=2 (2)

    1:「ラウダ、もしかして今朝の人じゃないか?病院に連れて行ってやったらどうだ?」と提案する。

    2:「……そうだな。俺もそちらに向かう。というわけでエラン、飾りつけは頼んだ」と頼んでみる。

    3:「うーん、五号やシャディクにも連絡してみんなで考えるか」といってみる。

  • 54二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:00:21

    自ら突っ込んでいくスタイルさすがグエルだぜ!

  • 55二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:11:15

    エラン達、グエルそっちのけでラブラブだから、まあ所在ないよね…

  • 56二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:23:53

    このレスは削除されています

  • 57二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:24:29

    「……わかった。ラウダ、場所はどこだ?」

    「駐車場。セドくんも一緒」

    「今行く。少し待っていてくれ。エラン、四号、俺はラウダと迷子の保護に向かう。飾りつけは頼んだ」

     グエルがスマートフォンをポケットにしまうと、エランが「いいのか?」と驚いたように目を見開いた。グエルはふうとため息をつき、すっと親指を立てる。こちらから積極的に働きかねないとあまり接点がない状態でBLはうまれないのは、今朝のラウダとオルコットのやり取りから察している。そばにいればできることも増える。それに何より、

    「デート。楽しんでくれ」

     恋仲とわかった二人の間にいるほど、グエルも野暮ではない。

     四号がさっと顔を上げて頬を赤らめた。エランは一瞬面食らったように目を見開き、「ありがとう」と嬉しそうに微笑んだ。

    「二人で……話さなければならない、と思っていたこと、あったから」


    「にいさん!」

    「ラウダ。で、こっちがセドか?」

    「前髪アポロのにーちゃんが増えた……」

    「誰が前髪アポロだ」

     ラウダの近くで警戒するようにこちらを見るのは、金髪の少年__セドである。こうして観察すると歳のところは中学生にもならないくらいだろう。彼はこちらを見て、しょんぼりと肩を落とした。

    「えっと……心当たりはあるんだ。オルコットのおうちと、病院と、オルコットの仕事先の『デミマシーナリー』。いるとしたらこのどこかだと思う」

    「十中八九病院だな……」

    「へ?」

    「いやなんでも」

     グエルの言葉に、セドがぱちぱちと目を瞬かせる。

     ラウダはしばし視線を落として、ぐっと手を握った。

    dice1d3=2 (2)

    1:病院直行するかあ

    2:dice1d2=2 (2) (1:オルコットの家 2:デミマシーナリー)に向かってみるか?

    3:……今のうちに聞いておくか。「そういえばラウダ、昨日の夜俺の部屋に入ってきたか?」

  • 58二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:34:21

    「……デミマシーナリーってなんだ?」

    「確か部品の製造工場かなにかだったとおもうけど」

    「そこにいってみるか?」

    「うーん。まあ行ってみる価値はあると思う。それでいい?セドくん」

     ラウダが尋ねると、セドはこくりと頷く。

     検索すれば、直ぐに住所を見つけることができた。三人は呼吸を整えて、そちらに向かって歩き出した。


     辿り着く頃には、もう日も暮れかけている時間になっていた。

     できるだけ早くしないと、パーティーにおくれてしまうかもしれない。だが多分ここにはオルコットはいない。我ながら好奇心だけでここを選んでしまった自分に心底後悔した。だってほらイッパツであてるとなんかこうめぐりめぐってフラグになりそうだし!わざと迷走するパートは必要なんだよ!!

     ……視線の先にあるのは、古びた廃工場だ。

     明らかに今は使われていない様子である。少なくとも誰かが働いているようには見えない。場所を間違えたのだろうか?なによりここにいると、朝からずっとぐるぐるとしていた腹痛が、いっそう強くなる、ような気がする。ラウダが不思議そうに当たりを見回した。

    「本当にここ、人が働いてるの?」

    「ほんとだって!オルコットはそう言ってた!」

    「でも……」

    「俺だって不思議だよ。確かに……そのはずなのに。オルコットは一体、何で働いているのだろう?」

     頭の奥がジンジンと熱を持つ。

     ふたりの会話が聞き取りづらくなる。視界は夕焼け空の中で赤く染まり、吐き気にも近い感情が胸の奥から湧き上がってくる。そうして__

    dice1d3=3 (3)

    1:調査をする!これは……パンフレット?

    2:調査をする!これは……なにかの書類?

    3:……

    dice1d2=2 (2)

    1:めり、と音がした。

    2:不意に、破砕音が聞こえた気がした。

  • 59二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:41:54

    不穏すぎる

  • 60二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:52:34

    「……これは……」

    「ラウダ?それなんてかいてあるんだ?」

    「……あの人は。だから僕に、これを……それがほんとなら、僕は……」

    「ラウダ?らーうーだ?」

     セドがラウダの肩をゆらゆらと揺らす。ラウダは手になんらかの書類を持って、立ち尽くしていた。そうしてはっとしたように、焦ったように、どこからかカメラを__レンズが鈍い銀色に輝くカメラを取り出し、自身の姿を写し取る。セドが不思議そうにしている。

     グエルは__

     ぼんやりと、それを見ていた。

     頭が痛い。腹が割れるように痛い。どこからか破砕音が聞こえる。どこからだろう?ぐしゃ、ぐしゃ、ぐちゃ。一体どこから。この音は。音は、どこから。ぐちゃぐちゃぐちゃ。粘着質な水音。何かが、そう、これは、この音は。

    (俺の体の中から、聞こえてる__)

     あ、俺、死ぬんだ、と。

     自身の腹を食い破って出てくる真っ黒な『仔』と、それによる激痛と急速に近づく『死』の感覚に、グエルは、眠るように意識を失った。

     ラウダの絶叫が聞こえる。


     目を覚ます。

     意識が浮上する。はっとして自身の腹を確認する。いつも通り、白くて均整のとれた筋肉ののった腹だ。間違っても傷一つない。であれば、あれは、夢だった?夢__だった、のか?

     階下からヴィムの声が聞こえる。「まだ寝てるのか、味噌汁作ったからさっさと降りてこい」。はっとして立ち上がると、ふら、と足元がふらついた。

     部屋から出ると、ラウダがこちらを見て、静かに立っていた。

     彼はくちびるを震わせてこちらを見る。そうしてどこか、引きつった笑みを浮かべた。

    「おはよう兄さん、また今日を楽しもうね」

     あしたも、そのあとも、ずっとね。

    絶対BLになる世界vs絶対BLになりたくないグエル

    【死の運命からの回避編】

    dice1d3=1 (1)

    1:「俺……死んだはずだよな!?一体……」と問い詰める。dice1d2=1 (1) (1:成功 2:失敗)

    2:「……あ、ああ。そうだな」ととりあえず知らん振りをする。

    3:「アッ……アッ……」と発狂する(しばらく自発的に行動できないぞ)

  • 61二次元好きの匿名さん23/12/10(日) 23:57:21

    ワ…ワァ…

  • 62二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 00:11:39

    絶対BLと死の運命からの回避、タイトルの温度差が水星の昼と夜くらいある

  • 63二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 07:12:29

    あまりの急展開にビックリした、ゾッとした、どうなっちゃうのこれ…ワクワクするけど怖い…近々死んじゃうかもしれないのはシャディクじゃなくてグエルだった!?

  • 64二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 07:49:43

    実はコズミックホラー案件なんですかね…

  • 65二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 08:13:54

    「いやおかしいだろ!一体、どうなっている……!」

    「……」

     グエルが問い詰めると、ラウダは奥歯を噛む。それから俯いて、両目からぼろぼろと涙を流し、なにやらちいさなカメラ__あの、レンズが奇妙に輝いているもの__を取り出す。

    「……これ」

    「それは?」

    「おまじないカメラ……って。シャディクがくれた。このカメラで大切な人を撮ると、その人とずっと一緒にいられるって……」

    「なんだそれ」

    「……あの、『デミマシーナリー』に、こんな書類があった」

     __小さな魔女のレンズ

     これで撮影された者(以降被験者と呼称)は魂がその時点で保存される。不老となるため老衰による死はないが、被験者が何らかの外的・内的理由で肉体的に死亡すると、その24時間前に時間が巻き戻る。被験者以外はそのことを覚えていられないが、被験者以外にも魂を固定された人物がいた場合、この人物は記憶を保持していられる。このレンズはループの影響を受けない。

     被験者の魂を解放する方法は今のところ、最愛の人とキスをした後、このレンズと肉体的に接触した状態で死亡することのみしか見つかっていない。このレンズを用いた実験は現在禁止されている。

     備考:このレンズは現在盗難されている。犯人は見つかっていない。

    「……まさかこれ信じてるのか?非現実的すぎる」

    「その非現実的が起きているのが今だ」

    「それもそうか」

     グエルは腕を組む。

     つまり、グエル(とラウダ)はそのカメラによって魂を固定された。そしてグエルは、あの時死んだ。結果として時間は巻き戻った、のだろう。とりあえず勝手に人を撮影したことは咎めないでおくとして、今探るべきは__

    「……俺は何故、あの時死んだ?」

     腹に手を当てる。

     痛みと吐き気はまだある。この謎を解決しない限り、永遠に明日にはすすめない。グエルは嘆息して、かすかに目を伏せた。

    dice1d3=1 (1)

    1:「エランやシャディクに協力を仰ごう」と提案する。

    2:「シャディクは怪しい。五号にシャディクをまかせて、エランたちに相談しよう」と提案する。

    3:「二人で調査しよう」と提案する。

    正気度(低すぎると…)

    グエル:dice1d100=82 (82) ラウダ:dice1d100=14 (14)

  • 66二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 08:27:21

    このレスは削除されています

  • 67二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 08:27:48

    「……エランやシャディクに事情を説明して協力をあおごう。証拠は無いけど、あいつらなら説明すればわかってくれるはず」

    「……」

    「ラウダ?」

    「…………」

     ラウダは俯いて、ぐるぐると視線を巡らせている。

     明らかに取り乱した__というか正気を失いかけているようにしか見えない様子だ。先ほど一回死んだとはいえまだ冷静なグエルはラウダの背を宥めるように撫でつつ、できる限り安心させるように微笑みかける。怖いし。

    「怪しいのは『デミマシーナリー』、ひいてはオルコットとかいう人物だな。あとは……個人的にだが、気になる人物もいる。このままだとまたあの時間に俺は死ぬんだろう。何とかする手段を、探さないと」

    「……は」

    「とりあえず父さんに呼ばれてるし一回朝食を」

    「はっ、ハハハッ、は、は、ひっ、ひ、ふう、あ、ははははは」

    「ラウダ!?」

     突然引きつったような笑い声をあげたラウダに、グエルは目を見開いて咄嗟に後ずさった。がたん。背中が壁にあたる。目の前には限界まで瞳を見開いて瞳孔を開かせて、寒いはずなのに額に汗を浮かべながらこちらを見つめる、明らかにSAN値がピンチなラウダであった。

    「大丈夫、守るよ、僕が、兄さんを」

     守るとかないと思う。

     あとスレミオに重ねるのやめろ今回本人登場してないのに。心底思ったが、とりあえずこくこくと頷くことにした。怖かったので。

    dice1d3=2 (2)

    1:「誰も信頼できない……誰も!」と二人で動くように言われる。

    2:「ひっく、うああああん、しなないで、死なないで兄さん」と大泣きしはじめる。えおまえ情緒不安定か?

    3:(暗転)……は?待て!!俺は抵抗するぞ!?

  • 68二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 08:36:24

    「……あ、うう」

    「ラウダ?」

    「うわああああん!う、ひっく、やだしなないで、しなないでにいさん」

    「情緒不安定!?」

     えんえんと泣き始めたラウダの背を撫であやす。様子を見に来たヴィムがぎょっとしたような顔をしていた。「どうした!?」と駆け寄ってくるが、まさか話して信じてもらえるともわからない。

    「……な、んでも。ありません、父さん」

    「そうか、なら、信じるが……。今日は遊びに行く予定だって話だったよな。いけそうか?」

    「は、い……」

     落ち着かせるようにラウダを撫でる。

     味噌汁に野菜は入っていなかった。


     まだぐずぐずと泣くラウダを連れて、待ち合わせ場所に向かう。そこには既に、シャディクと五号も含めた全員が揃っていた。彼等は泣いているラウダを見ると、少しギョッとしたような顔をした。

    「へ……どうしたの、何かあったの?」

     心配げにこちらを覗き込んだのは五号だった。グエルはしばらく視線を巡らせた末に、ぐっとくちびるを噛んで、顔を上げる。真っ直ぐに、見つめる。

    「落ち着いて聞いてほしい」

     __この時間がループした、といったら、信じてくれるか。

     もうちょっと平和な現パロ編がよかったなあ、とグエルは心底思った。

    解決に1:協力してくれる 2:してくれない

    四号:dice1d2=2 (2) エラン:dice1d2=2 (2) 五号:dice1d2=2 (2) シャディク:dice1d2=2 (2) ラウダ:dice1d2=1 (1)

  • 69二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 08:38:15

    ラウダ以外全滅……

  • 70二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 10:08:08

    結局2人で探すという選択肢と変わらないなんてことあるのか…

  • 71二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 10:41:03

    誰も信じてくれない…

  • 72二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 11:53:45

    そういえばループしたけど今回はオルコットいなかったな…家を出るのが遅かったかな?

  • 73二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 11:55:42

    ここでラウダだけ協力するの…すげえなw

  • 74二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 11:58:28

    「ありえない」

     低い声で、やや怒るような調子にいったのはエランだ。もしそんなものが存在するなら、俺がとっくに見つけてるよ、なんて、腕を組んで。四号は、それをちらりと見て、こくりと頷く。次いで五号も、「うーん、俄かには信じがたいな」とやや困ったような顔で言った。最後にシャディクは、ラウダの方を見て、少しばかり肩を竦めた。

    「まさか本物だとおもったの?」

    「……これ、盗難品ってあったよ。シャディク、盗んだの?」

    「何の話だか」

     シャディクは嘘を言っているようには見えない。

     ラウダはしばらくわなわなとくちびるを震わせて、「行こう!」とグエルの手を引っ張った。グエルは「おいっ!」と焦ったように声をあげて、それから少し、考える。

     少し、反応がおかしい、ような気がする。

     例えば何やら怒った様子のエラン、彼は多少からかわれたからといってキレるような性格だったか?例えばラウダにこのカメラを渡したというシャディク、彼は一体何の目的で、どうして死ぬなんて言ったんだろう?あるいはセドの元に現れなかった「オルコット」、彼はどうして倒れていたのだろうか、あのあと、どうなったのだろう__

     情報収集は必要だ。だが二人では明らかに手が足りない。

     何もしなければおそらく今日も、日が落ちると同時に自分は死んでしまうのだという、嫌な確信があった。そうなれば再び、『今日』が繰り返されるのだろう。正直もうあの激痛も、死ぬ感覚もごめんだ。グエルは__

    dice1d3=1 (1)

    1:「……わかった。『次』からは協力してもらう」と他四人の姿を写真に撮る。おっしゃ道連れだァ!!

    2:「何か、証拠は__そうだ。四号とエランは付き合っているんだろう?」と前回のループで得た情報を出してみる。dice1d3=2 (2) (1:全員うっすら協力的になる 2:四号とエランのみ協力的になる 3:そんな世界はないよ)

    3:おい!二人だと手が足りないっつってんだろ!引っ張るなラウダ!!

  • 75二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:00:31

    よっしゃ行けーー!!!

  • 76二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:06:48

    「わかった。なら」

     グエルはラウダからカメラを奪い、四人の姿を映す。そうしてぱしゃ、とシャッターを切った。

    「『次』からは協力してもらう」

     もし、この効果が本当なら。

     これで六人の魂は固定された。ループしても記憶は持ち越される。グエルが死ぬ、シャディクが死ぬ、どちらかはわからないが、とにかく誰かが死ぬたび、再びループする。これを解決する手段を見つけるまで、永遠に。

     __道連れに、する。

     グエルは無意識に、自身のくちびるが吊り上がっているらしいことに気づいた。自分はこんな性格だっただろうか?先程の死や、ループによって、自分も多少、精神が摩耗していたのだろうか。カメラを取り落とす。おとしたカメラを、シャディクが拾う。ほんの一瞬、ふっと、目が、あった。

    「グエル、お前は__」

    「『また明日』」

     グエルはくるりと踵を返し、歩き出した。ラウダが一瞬呆然としたあと、「待ってよ、兄さん!」と追いかけてくる。最低なことをしたのだ、という自覚が、罪悪感が、遅れて胸のあたりを占める。スチールウールのように重苦しく、ぐるぐると。グエルは低くため息をついて、それから顔を挙げた。

     じんじんと腹が熱を持つ。

     ああ、と小さく呟いた。

    「もう、死にたく、ない……」

     ラウダが震える手をこちらに向ける。

     やってしまった。自分たちは友人であったはずなのに、無理矢理地獄への片道列車にのせてしまった。わけのわからない涙が、こぼれそうになった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「もう一度『デミマシーナリー』に向かって、調べものをしよう。あそこには、何かあるかも」とラウダが提案する。

    2:「普通に病院行こうよ兄さん。もしかしたらなんとかできるかも!」とラウダが提案する。

    3:ラウダが追いついてくる前に、「……」と。目の前に、ロウジが立っている。

  • 77二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:08:52

    このループで終わらせたいね…がんばれ…

  • 78二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 12:55:40

    カメラ割れなくてよかった…
    あやしい反応の人が数人いるのが気になる
    多人数の方が心強いもんね…良いんだよ、道連れで…たぶん…

  • 79二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 13:16:44

    小さな魔女のレンズ、魂の解放方法がBL寄りで笑った
    これも世界の強制力なのか?

  • 80二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 23:24:39

    「うーん……明るいうちにいっても、やっぱり人はいない、か」

    「んん……」

     グエルは考えながら、部屋の中を回ってみる。なんだかたいへんなことになってしまった、と今更ながらため息をついた。本来なら友人たちと仲良くパーティーしていたはずなのに、どうしてこんなことになってしまったのだろう?せめてパーティーの方がBLになったとしてもよかった。こんな殺伐としたBLにはなりたくなかった。いやBLにそもそもなりたくないわけだが__

     ……ラウダが屈みこんで、床を指先で撫でる。それから、首を傾げた。

    「ここ……前来たときはわからなかったけど、埃の類は積もっていない。誰かが定期的にきて、掃除しているのかな?」

    「いや、それならなんで今はいないんだ?」

    「今日はお休みとか?」

     グエルは端末を開ける。ナビアプリは『営業時間内』を示している。考えてみる。そもそもここに、その「小さな魔女のレンズ」とやらの書類があったことも、おかしい。ここは一体何を作る工場なんだ?……一体、ここは「何」なんだ?

     ……死にたくない。

     ここにいると、あの時腹を食い破られた感覚を鮮明に思い出す。頭がおかしくなりそうだ。ここは清潔で、あの時の雰囲気の欠片もない。グエルは嘆息して、調査をはじめた。

    「……エランたちは」

    「信じてくれなかったじゃないか」

    「いや。巻き込んでしまったから」

     ラウダはそれ以上何も言わず、グエルの背を撫でてくれた。

     これを嬉しいと思う気持ちが、BLではないことを、とりあえず祈っておいた。

    dice1d3=2 (2)

    1:うーんこれは……「職員名簿」?

    2:うーんこれは……「調査記録」?

    3:特に何も見つからないどころかなんか手が触れ合ってドキッとかそういうことが起きる。非生産的

    「……」

    「四号?」

     エランが気づかわしげに四号の背を撫でる。

     シャディクと五号も、ずっと。二人の消えて行った先を、見つめていた。

    dice1d2=1 (1)

    1:まあ冗談かな~とおもってパーティーの準備

    2:嫌な予感がしつつパーティー準備。ちなみにセドをdice1d2=1 (1) (1:四号エラン組 2:五号シャディク組)が見つける

  • 81二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 23:39:58

    「……うん?これは……」

     グエルはふと、棚から小さなファイルを取り出した。

     __調査記録。

     たしかにそう書かれている。何とはなしに気になってぱらりと開けてみると、そこには何やら鉛筆でスケッチのようなものと、何か走り書きのようなものがなされていた。少し目を細めて、それらを読む。

    『調査記録』

    虹色肉塊 発見者:ウル、ソーン 出現場所:××海付近 特徴:人間に化け、声を模倣する。ただし知性はないようだ。

    宇宙の菌類 発見者:プロドロス 出現場所:不定、主に都市 特徴:知性があり、道具を扱う。戦闘能力高し。鎮圧の場合機動部隊を動かすこと

    黒き禍 発見者:バーディング 出現場所:森林 特徴:未知の金属で身体を構成。人間を使って繁殖?謎が多いため、さらなる調査が必要

    「……うーん……?」

    「兄さん、何を見ているの?」

    「いや、なんだかよくわからないことが書いてあるな……と」

    「うん……うん?なにこれ……何かの生物の……調査、をしているの?機械工場が?」

    「生物って、こんな生物存在するのか?」

    「『小さな魔女のカメラ』は本物だったじゃないか」

     ラウダに言われて、グエルは押し黙る。

     もし、ここに書いてあることが、本物だとしたら。

     まさか、グエルは__

    「……」

     腹を押さえる。

     ぐるぐると、この奥に何かが蠢ている、ような気がした。

    dice1d3=3 (3)

    1:まだここを調べる!

    2:……ロウジとなんとか接触できないか?dice1d2=2 (2) (1:できた 2:こんな時に限っておらん)

    3:ちょっといったんすべてに気づいて発狂していいか?dice1d2=1 (1) (1:狂人の洞察力を発揮し、何かに気づく 2:そんなことはなくただただ発狂する)

  • 82二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 23:44:43

    気がついちゃったよ大丈夫なのか…

  • 83二次元好きの匿名さん23/12/11(月) 23:55:01

    「……あ……」

    「兄さん?」

     グエルは目を見開く。

     ぐるぐるぐるぐる、頭の中をめぐっていた思考の数々が、突然に明瞭になる。あの時__あのとき、ロウジは何を聞いた?「近く旅行にはいかれましたか」。グエルはキャンプにいった。湖がきれいなキャンプに向かった。そうしてその大部分を、『森林』で過ごした。その後しばらくして、グエルの『腹』を裂き、真っ黒な奔流があらわれた。

     突飛な妄想だ。しかしそう考えると、辻褄があう。だってBLの作者がBL以外のことに力入れて伏線回収やらなにやらやるわけがないからそうやってつなげるのが一番納得のいく方法だ。つまるところグエルは、

    「……ここに、いるのは……」

     黒き禍、その『仔』。

     なんか以前も主に某クトゥルフ・ダークエイジ編とかでこんなことになったなあ、とちょっとおもった。これ最初に選ばれた主人公次第では別のやつ……シャディクとかシャディクとかシャディクとかがこうなる可能性だってあったはずなのになんでこの手のストーリーの時は俺が選ばれるんだよ!おかしいだろ!!グエルは腹の底から思った。嘘である。腹には今バケモンがいるので。笑えないジョークはやめろ……!

     はてさてしかし、荒れ狂う内心とは別に、グエルは額に脂汗を浮かべるほか、なにも反応を示さなかった。

     そうして。

     ……そうして、グエルは__

    dice1d3=3 (3)

    1:腹の子を殺さなければ!刃物!!刃物を寄越せ!!自分の腹を刺す!!dice1d2=1 (1) (1:恙なく自害 2:ラウダストップが入る)

    2:「俺……妊娠してるかも」と呟く。ラウダの正気度がdice14= になった!!

    3:……いやまだだ。決まったわけじゃない、確かめないと。なあ……ロウジ?dice1d2=1 (1) (1:いる 2:いない)

  • 84二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 00:10:59

    このレスは削除されています

  • 85二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 00:11:26

    「……いるんだろう、ロウジ」

    「……」

     す、と。

     壁の向こうからでてきたのは、ロウジだった。ラウダが目を見開く。「いつの間に……」という単語はグエルの頭にも疑問としてのぼっていたが、どうせBL特有の謎ワープなので気にしない。BLではどこからともなく必要な物品が現れるものなのだ。知らんけど。

    「答えてくれ。ここはなんだ?」

    「……非日常の存在と戦うための組織、その隠れ蓑としている拠点。別世界でボブさんとくっついたシャディクさんやキルビジに参加した四号さんが所属しています」

    「何の話だ????」

    「知らなくても大丈夫ですよ、書いてる人が設定考えるのめんどくさかったから使いまわしただけで深い意味はないので……お察しの通り、あなたたちは『黒き禍』に子を植え付けられている」

    「あなた……『たち』?」

     ナチュラルに男が苗床にされてるのはまあ、BLだからそういうこともあるかと納得して、しかしグエルは、首を傾げた。ロウジは目を伏せて、続ける。

    「あなたがいったキャンプ場は、『黒き禍』が根城にしている森林だった。しかし何も、あそこにいったのはあなただけではない。あの日__僕が頼んで調査にいってもらっていた『彼』も同じように、怪物の子を孕まされた」

    「待て。このままだと俺は死ぬんだよな?助かる方法はないのか?」

    「今のところ、こうした事例から生還した人間はいません」

    「……」

     絶句する。

     つまりグエルは、またこのまま、死ぬのか。死んで、また。『今日』を。冷静に考えたら自害したとこで24時間前、つまりまた『仔』が腹にいる時点に戻るのだから詰みでは?でなおしてまいれ セーブポイントがつんでるんだよ馬鹿

     うなだれる。

     本当に、どうしてこんなことになってしまったんだ。今すぐ何もかも忘れたい、パーティー会場にいってみんなとご飯を食べたい、それから、それから。ロウジは「可能性があるとしたら」と言って__

    dice1d3=3 (3)

    1:「それこそ、腹を切るしかないでしょう」と言った。

    2:「『彼』__コードネーム:プロドロス、リドリック・クルーヘルなら、何かわかるかもしれませんが」長いよこれ盛大な前振りかよ

    3:「別な人間と性交したらアレがアレしてアレで助かるかもしれません」オイオイオイオイオイ

  • 86二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 00:19:11

    ここからBLに急展開できる選択肢が選ばれましたね

  • 87二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 00:25:05

    入れる保険があった!

  • 88二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 00:26:01

    グエルはジェタークだから孕みやすいとして、もしやシャディクも孕んでんの?

  • 89二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 06:51:34

    「可能性があるとすれば……」

    「あるとすれば?」

    「言わば黒き禍は陰の気。これを弱める陽の気を外部からいれて中和することが出来ればあるいは」

    「……つまり?」

    「その、閨を共にする……というか」

    「ウワアとつぜんBLになるな!!!!」

     グエルは五体投地した。

     そんなことってあるかよ。

     そんなことってあるかよ小さな魔女のレンズといい厄ネタにはBL要素を混ぜないとダメな世界なのかここ。だろうな絶対BLになるんだから!ラウダは顔を青くして「兄さん、もう日が傾きはじめてる……」と時計を示す。そうだ、時間は無い。タイムリミットは日が落ちるまで。赤い太陽が完全に沈みきってしまえば、グエルは。また、あのときのように__

     んく、と生唾を飲む。

     何がまずいってこれはこれで『確証はない』というあたりだ。やったところで普通に死ぬ可能性は全然ある。いやこれBLだからないだろうけど。それはそれとしてというやつだ。頬に汗が浮く。グエルは考える。考えるここから打開する方法を。ここからでも入れる保険を。そうだ、なにか__!

    dice1d3=3 (3)

    1:「……他に被害者、いるんだよな?そいつでためして、本当にこの方法が使えるのか確かめないか?」と提案する。

    2:「……死に戻りしまくって過去に戻り続けて、キャンプにいかなかったことにするとか……」と提案する。dice1d2=2 (2) (1:発狂しますよ確実に。やめといたほうがいいとおもうなあ 2:……できるんですか?)

    3:「やだ やだぁ……」と泣き落とす。dice1d3=1 (1) (1:ラ「兄さん……」 2:ロ「哀れな被害者」 3:別に同情は引けない)

  • 90二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 07:27:06

    泣き落としたところでラウダに陽の気を注入されるだけなんでは…

  • 91二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 07:32:05

    泣き落としでどうにかなる問題なのか?
    世界の同情を引けるとは思えないよ…
    入れる保険、あって無きが如し…

  • 92二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 07:43:04

    でもグエルがセッしてもシャディクが爆散したら巻き戻されるよね?
    両方セッしないとクリア出来ない可能性…

  • 93二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 08:36:52

    諦めるな!!まだきっと認知されてない解決法とか…きっと…ある筈…!……経口摂取とか…

  • 94二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 10:02:38

    じゃあグエシャディグエしたら解決じゃろたぶん…
    69してお互いに陽根を咥えればいいよ…

  • 95二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 10:14:50

    リミットが近いからってシャディクと出会って即合体!!しに行くグエル想像したらカオス過ぎておもろい 

  • 96二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 10:45:08

    このレスは削除されています

  • 97二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 10:45:38

    「……嫌だ」

    「兄さん?」

    「いやだ。……いやだ、どうしてこんなことに……俺は……」

    「……兄さん」

     うずくまって、しゃくりあげる。

     なんだよそれ。ほんとのほんとにDead or BLってことかよ。逃げたらひとつ命を失うし進めば二つ尊厳と貞操を失うってどういうことだよ。逃一進二ってそういうのではないから!!

     ロウジは「一応こちらでも別の方法がないか試しています。オルコットにそういうことするのは可哀想だし……」と腕を組む。やっぱオルコットもそうだったのか。あそこでぶっ倒れてたのそういうことだったのか。ということは別に魂は保存していないとはいえこのままグエルだけ治療して進めてもオルコットは死んでしまうのか。シャディクの死ってつまりそういうことなのか。いやそれはまあどうせBLの登場人物だから相手が……もしかしてグエルなのか?え?嫌だ 詰んだ?

     ……グエルが、指先を震わせていると。

     おもむろに、ラウダがそこに手を重ねてきた。それから微笑んで、困ったような、どこか調子が外れたような笑みを見せる。そうして、半ば懇願するように、こういった。

    「兄さん__

    dice1d3=1 (1)

    1:シャディクからもう一度、『小さな魔女のレンズ』を借りよう。その後少し、手を貸してくれるかな?」

    2:四号は哲学科だ、古今東西の思想に詳しい。彼に頼めば、他にヨウノキ?を持つものを探せるかも」

    3:やるしかないな……」

  • 98二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 11:08:43

    「……は……へ、え?なんで?」

     ラウダの提案に、グエルは目を見開いた。ラウダはぱちぱちと目を瞬かせて、それからううん、と小さく唸った。

    「説明するのは難しいけれど。あれを無作為に使われたらたまらないから、まずは回収しておこう。これ以上無用なループの要因を増やしたくないし……あれ?レンズってループしたら場所がかわるのかな?できればロウジにかえしてあげたい」

    「ラウダ。言っている意味がわからない」

    「魂の保存はどの時点で起きるのかな。僕が「魂を保存した状態」で「今日の朝」、正確には「昨日の深夜」にループしたということは、魂を保存した状態は引き継がれたままきっかり24時間前にループすると思うんだ。身体の状態はそのままだろうか。兄さん、キャンプにいったのってどのくらい前?」

    「dice1d30=1 (1) 日前だが……論理的じゃない、結論から話してくれないか」

    「うーん。いったん試してみないとわからないか」

     ラウダは立ち上がると、笑ってグエルの手を離し、ロウジの横をひらとすり抜け、書類の山にある文房具入れから鋏をとりだす。先のとがって鋭利なものだ。

     厭な、予感がする。ラウダが何をしたがっているのか、何となくわかった、気がする。だけどそれは、一度死んだグエルにはわかる、それは。それは! さっと顔を青ざめさせて手をのばす。やめろ、よせ、と。ラウダの指先が、自身の腹に向いた。

    「がんばるね」

     柔らかい声色だった。

     __ラウダは鋏を自身の腹に向け__

    dice1d2=2 (2)

    1:止める!!

    2:……とめられ、ない。目の前でラウダが死に、そして__

    2の場合全員正気度(著しく低いと……)

    グエル:dice1d82=36 (36) ラウダ:dice1d14=5 (5)

    四号:dice1d100=64 (64) エラン:dice1d100=1 (1) 五号:dice1d100=17 (17)

  • 99二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 11:32:05

    様はいったい何があったんだ

  • 100二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 11:32:48

    「……!」

     グエルは目を覚ます。

     正気度がいった。今すごく正気度がいった。そらそうだろ目の前で自害されたら発狂位するわ馬鹿!正気度か!?ラウダはもともと正気度が著しく低かったから躊躇いなく自刃までいったのか!?

     __恐ろしく都合がいいことに、グエルがキャンプにいったのは__『黒き禍』と接触してしまったのは、今日から見て昨日の昼頃。

     つまりもう一度、安定を取るなら二度、二十四時間巻き戻れば、グエルはそこから『黒き禍』に寄生されないように動く事ができる。しかしそれはつまり、魂を保存された誰かの、もっというならラウダの死をともなうことになって……

    「……ラウダっ!」

     グエルはラウダの部屋に入った。そこには今にも腹を切って死にそうなラウダがいる。グエルは咄嗟にラウダを突き飛ばすと、その手からナイフを奪い取った。

     わけのわからない涙がこぼれてくる。

     あたまがどんどん、おかしくなっていく。

    「いやだ、誰も、しんでほしく、ない……」

     グエルが泣けば、ラウダは「兄さん」とどこか無感動に呟いた。

    dice1d3=1 (1)

    1:ここでピンポンが鳴ってエランがやってくる

    2:ここでピンポンが鳴って五号がやってくる

    3:普通にヴィムに「あさごはんできたぞ~」と呼ばれる。暢気!!

  • 101二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 11:36:25

    正気度1と5が揃っちまう!!

  • 102二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 13:08:26

    四号以外みんな正気度低めだけど、ラウダと様が突き抜けてる…
    ラウダが冷静に思考しながら、普段通りの声で話しつつ自分に鋏突き立てんの怖すぎ…

  • 103二次元好きの匿名さん23/12/12(火) 23:55:00

    保守

  • 104二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 00:01:26

    すっごいなぁ…改めてラウダの覚悟決まりすぎ…

  • 105二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 08:20:02

    「……やあ。グエル・ジェターク、ひとつお尋ねしても」

    「なんだ」

    「何故ラウダは拘束されている?」

    「腹を刺すからですね」

     その辺にあったタオルやらなんやらでぐるぐるまきに縛られたラウダを見て、エランは少し引いたような声を出した。心外だ。こうでもしないとすぐに自刃しかねないから、こうするのが最善なのに。ラウダ暴れてるけど。せめて隠せばよかったなどっか……押し入れとかに。グエルを見て、エランはどういうわけか、薄く微笑みを浮かべた。

    「まあ、いい。お前の言うことが真実なのはわかった。疑って悪かった、事実時間は巻き戻り、俺らはこうしている」

    「理解してくれたならありがたい。問題は__」

    「何も問題なんてないじゃあないか」

     言われて、グエルは顔を上げる。

     緑色の瞳に、どこか狂ったような色がのっていることに、今更気づく。エランはグエルの手を取り、すいと顔を近づけると、もう一度繰り返した。

    「時間が繰り返したとして、それが、何になる」

    「永遠に明日が来ない」

    「死ぬんだよ」

    「へ、」

     エランのくちびるが動く。囁くように、祈るように、言う。ずっとずっと、『明日』なんてこなければいいとおもっていた。僥倖だ。なんて素晴らしいんだろう。このまま永遠にこの幸福な時間を繰り返せるなんて。グエルはんく、と生唾を飲む。

    「四号は、『明日』。現代の医学では治すことのできない難病によって、死に至る」

     余命宣告をされているんだ。

     グエルは愕然と、目を見開いた。

     いやまておかしい。グエルは既に六人全員の魂を保存してしまった。つまり、「1.グエルの仔」「2.四号の余命」「3.シャディクの死(詳細不明)」を解決しないとこの先にはすすめない?なにそれつんでないか?だれだセーブしたの!俺だ!!

    「……あいつはいつだって、怖くないって言ってた。だけど俺は、あいつのいない世界なんて耐えられない」

     永遠に『今日』を繰り返したい。

     エランが祈るように言った。

    dice1d3=3 (3)

    1:「四号の病気に関しては……ロウジとか頼れないか?」と提案してみる。

    2:「……一度、五号やシャディクにも相談しよう」と提案してみる。

    3:「ところで陽の気を持つものとか知らないか?」と爽やかに話題を変える。

  • 106二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 08:35:21

    「……そうか。ところで陽の気を持つものとか知らないか?」

    「本当に何だ急に?」

    「いやエランはそういうの詳しいんじゃないかなとおもって」

    「俺に対するイメージなんだよ!?」

     ったく、と、どうやらエランの気を逸らすことには成功したようだ。あのタイプの考えをずっと続けていたところでぜったいろくなことにならん……!グエルは知っている。あれはラスボスになるタイプの思考判断表現力。なればやることはただひとつ、一旦落ち着かせることのみ!いわゆる精神分析!!グエルはもちろんそんな技能は持っていない

     エランは、こほんと咳払いをして、ゆっくりと話し始める。

     陰と陽、というのは、相対的なものだ。ある時陽としてとらえられるものがあったとしても、より強い光をあてると陰になる。それを前提とした上で、いわゆる「陽」の力を持つものとは、暖色、照明器具、光、日、固形物、新しいもの、暖かくて明るい場所、南__

     なんだつまり真昼間から太陽の見える窓に向かって新品のゲーミング張形をケツに突っ込めばグエルは助かるのか?なんだそれ なんだよその状況 本当におかしいだろ グエルが真面目に考えていると、エランが静かにため息をついた。

    「何をしようとしているかは分からないが。ある気を転化させたいなら、同じくらい強い力が必要だ。ちなみに最も陽の気が強いのは男の人体とされる」

     詰んだかもしれない。

     グエルがそっと、天を仰いだ。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……とにかくだ、今は四号の病を治すために協力しよう。ロウジとか頼れないか?」

    2:「……とにかくだ、五号やシャディクにも連絡しよう。全員が生きていないと先にはすすめない」

    3:「……とにかくだ、一回休憩をとろう。俺もお前もラウダも、酷い顔だ」

  • 107二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 09:26:01

    いろいろ詰んでて草

  • 108二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 09:36:10

    真昼間の窓辺のゲーミング張形と男の人体と、どちらがマシなんだろうな…

  • 109二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 12:51:05

    ありゃー、ラウダは勿論だけど、これはグエルも様もメンタルだいぶヤられてるね…と思ったら、とんでもない方向に話が飛んでった

  • 110二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 12:53:54

    実際あるっちゃあるよね…なんか光るそういう玩具…

  • 111二次元好きの匿名さん23/12/13(水) 13:21:22

    四号は森林の怪物とは違う理由なのか、シャディクの理由も気になる…にしてもクリアの難易度高いよ

  • 112二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 00:06:47

    いったい誰とフィックスしてしまうのか…

  • 113二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 00:12:03

    「……一旦休憩しよう」

     グエルはベッドにもたれかかって座り込んで、糸が切れたように脱力した。

     飲み込まねばいけない情報が多いうえ、一つ一つが多すぎる。ラウダがするりと__どうやって縄抜けしたのか、グエルが集中を切らして綺麗に拘束できていなかったのか__地面に降り立ち、「お茶とお菓子を用意してくる」とぱたぱた出て行った。グエルはやや迷った末に、「死ぬなよ」とだけ言って見送ることにした。

     ここにる全員、精神状態がまずすぎる。

     グエルはそれをしっかり認識していた。このままではよくない。冷静になる時間をはさまないと、どんどんどつぼにはまっていってしまう、ような気がする。まずはしっかり休んで、精神状態を回復しないと。ぱたん、きい、と音がして扉が閉まる。部屋の中に沈黙がおちる。不意に、エランが立ち上がり、グエルの腹に手を当てた。

    「ここにその、仔とやらがいるのか」

    「……」

    「そのせいでお前は死ぬのか」

    「……」

    「四号と、ずっと一緒に居たい」

     ぽつりとつぶやかれた言葉に、グエルはしばらく考えた後、静かに首肯だけして答えた。

    精神状態のリセット

    グエルの正気度:dice1d100=47 (47)

    エランの正気度:dice1d100=2 (2) エラン→グエルの好感度+dice1d100=74 (74)

    ラウダの正気度:dice1d100=41 (41) ラウダ→グエルの好感度+dice1d100=84 (84)

    「……」

     五号は目を覚ます。

     無表情に、自身の手をにぎにぎと数度握って、ひらいて、する。頭のどこかが急速に冷える。グエルは、シャディクは__

     『あれ』は、本当なのだと。

     理解して、しまった。

    dice1d2=2 (2)

    1:グエルのところにむかう

    2:シャディクのところにむかう

  • 114二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 00:32:40

    「……四号は、死にたくないって言ってた」

     茶をのみながら、エランは小さく言った。

     言って、涙をこぼした。「同じくらい、諦めたとも言っていた」と続ける。一度『死』を経験したグエルは、そしてラウダも、わかる。四号はおそらくずっと前から、それを宣告されていた。どれほどの恐怖だっただろう。諦観によって恐怖を麻痺させることによってしか縋れない、どれだけ苦しかっただろうか。

     マグカップの水面が震える。ひゅうひゅうと過呼吸になりかけている背を、グエルはやさしく撫でた。落ち着けるように、宥めるように。「だから、」と吐き出された息は、酷く重苦しいにおいをまとっている。

    「お前が代わりに死んだとき、俺は、嬉しいって思ったんだ。最低だ、グエルは大切な友達なのに……」

    dice1d3=1 (1)

    1:「……四号が、好きなんだな。わかるよ」と宥める。なんで俺50以下なのに一番正気度高いんだよ

    2:「……ごめん」といってエランが走って飛び出す。dice1d2=1 (1) (1:追いかける 2:追いかけない)

    3:ラウダが小さく頷いて、「僕も……同じこと、思うかも……」と低く呟く。dice1d2=2 (2) (1:つつつ対消滅チャンスか!? 2:今それどころじゃねえだろ)

    思った以上に全然回復しなくてウケたので

    エラン:dice1d2=2 (2) ラウダ:dice1d2=2 (2)

    1:四号を治療する、グエルの腹の仔を殺すなどループ解消に積極的 2:ループをこのまま続けることに積極的

    「シャディク」

    「五号」

     微笑みを浮かべるシャディクに、五号は対峙する。

     わけのわからぬ恐怖が胸の奥を占めている。ここで認めてしまえば何もかもが現実になってしまいそうで怖くなる。だけどもそれでも、確かめないわけにはいかない。真っ直ぐに、問いかける。

    「……君の見た予知夢。『化け物の仔を孕んだグエルを何十回も殺した』って、本当だったんだね」

    シャディク正気度:-100

    ちなみに五号とシャディクはdice1d3=3 (3)

    1:付き合ってる 2:dice1d2=1 (1) (1:五号 2:シャディク)の片想い 3:ただの仲良し

  • 115二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 01:30:21

    エランの正気度が限界…
    だけどグエルへ印象は良さそう、ラウダはさすがの数値を叩き出すね

  • 116二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 06:43:53

    様の正気度死んでるのにグエルへの好感度高いのはなんか怖い…

  • 117二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 06:51:34

    「……四号のこと、すきなんだな」

     エランの吐露にグエルは、こともあろうにそんな真っ直ぐすぎる感想を咄嗟に抱き、また口にした。

     エランの背を撫でる。宥めるように。エランのひとみから溢れた涙が、ぼろぼろと地面に落ちた。違う、ちがう。泣いていいのは俺じゃない、グエルだ、なのに。

     どうしてそんなに、優しいの?

     ラウダは無意識にぐっと手を握りこんだ。今エランが何をいったのかわかっているのだろうか。いや絶対わかってない。わかってないよね兄さん。もしわかっていたとしたら、どうして自分に対して「死んでくれて嬉しい」なんて言った人物をきづかうようなことができるの。発狂なの?発狂してるの?ラウダは混乱した。とても当惑した。

    「すきで、すきで。大切で仕方ないんだ」

    「……ああ」

    「その気持ちを大事にしてほしい。そんなにも誰かを好きでいられることは、素敵なことだから」

    「お前は、いいのか」

    「俺はエランと四号が幸せならそれでいい。あとはまあ誰も死なないまま明日を迎えられたら!」

     その笑顔に、二人はこたえられなかった。

     エランは、ラウダは__

    (……ずっと、この幸せな時間が続けばいい)

    dice1d3=2 (2)

    1:「そろそろみんなで集まらないか?待ち合わせ時間大きく過ぎてるし」と提案する。

    2:「……ごめん、ありがとう」とエランが部屋を出て__うん?なんかこう、例えるなら扉につっかえ棒をいれて開けられないようにしたみたいな音が鳴らなかったか?

    3:「とにかく、手がかりを探したい。この時間軸でもロウジに接触しよう」と提案する。

    思った以上に全員非協力的でウケたので

    1:ループ解消に積極的 2:ループ続行に積極的

    四号:dice1d2=2 (2) 五号:dice1d2=1 (1)

  • 118二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 07:21:26

    「……ごめん、ありがとう」

     エランが立ち上がり、おもむろにふらふらと部屋を出る。なんだか明らかに心配になる様子だ。グエルは「エラン」と咄嗟に手を伸ばし、しかしそれより先に扉が閉まって__

     がちゃん

     何やら非常に、嫌な音がした。

     例えるならそう、扉の間につっかえ棒を噛ませて開かないようにしたかのような。やたら具体的な想像が頭を占める。ぶわりと汗腺がひらき、冷や汗が吹き出す。おそるおそる扉に手をかけてみる。がた、がた、がちゃ。数度、鈍い音がする。開かない。開かない!?

    「エラン!?エラン、エラン、エラン!開けろ!!」

     全力で扉を揺らしながら外に向かって叫ぶ。音沙汰無い。むしろそう、ぱたぱたという足音が徐々に遠ざかっていく。おかしい、おかしい!グエルの顔はみるみるうちに青ざめていく。だってこのままでは、グエルは。

     また__

    「……兄さん」

     ラウダの声に、振り返る。

     幸いにもこの部屋に『使えそうな』刃物の類はない。だがここで危惧するべきはもっと別のことであるような気がする。時計に目を向ける。まだ日没、というかタイムリミットまではかなり時間がある。だがそれは何も、のんびりしていていいという意味では無い。早急に四号の病を治し、グエルの仔を殺し、シャディクもなんとかする手段を探さないといけない。

     いけないのに。

    「死にたくないんだよね」

     くちびるが歪に吊り上がっている。

     グエルは扉を背に、ごくりと生唾を飲んだ。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……なら僕を殺して。できるね?」

    2:「こっちへおいで」

    3:開いた!馬鹿力最強!馬鹿力最強!!

  • 119二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 07:22:47

    5号しか協力してくれそうにないし表紙に3人いるタイプになろうとしてる…?

  • 120二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 07:55:13

    いよいよもって詰んだ…?舞え!グエル!

  • 121二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 12:46:10

    しっとり切ない気持ちに浸ってたのに、いきなりのつっかえ棒が選ばれて笑っちゃう
    様の心境や如何に…何故そんなことをw

  • 122二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 13:15:59

    ラウダが何事かをする気でいるけど、1番じゃなかっただけ良かった…

  • 123二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 15:24:32

    BL的には2のほうがあかん気がするがいのちだいじにと思うとマシだね…

  • 124二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 22:45:23

    「……こっちへ、おいで」

     ラウダは微笑んで、グエルに向けて手を差し伸べるだけだった。

     あれだ。熊と遭遇した時の対処法というやつ。突然の動作や大声は避け、ゆっくりと後ずさる。決して背中は見せない。やはり扉は開かない。がちゃ。がちゃがちゃがちゃ! んく、と息をのむ。

    「何が目的だ」

    「兄さんを死なせたくないだけ」

    「俺は!」

    「僕はあなたのためをおもっているんだよ。ただ」

     ラウダが距離を詰めてくる。開かない。こちらに近づいてくる。開かない。開かない。つう、とグエルの腹を、臍に沿って撫でる。開かない! ある意味所謂『出られない部屋』。そうしてグエルは、この言葉に対して枕詞のようにつく単語に覚えがある。本で見た。

    「ここにいるものを、殺してやるといっているんだ」

    dice1d3=1 (1)

    1:張っ倒す!!!!dice1d2=1 (1) (1:成功 2:失敗)

    2:こ、交渉しよう!!dice1d2=2 (2) (1:成功 2:失敗)

    3:あ、開いた!!逃げる!!!!dice1d2=1 (1) (1:成功 2:失敗)

    「君の『予知夢』は整合性が高い。だから一年前、『グエルを殺す夢を見た』なんて言った時は、びっくりした」

    「……そうだね、何度も繰り返し、グエルを殺した。辛かったよ? 闇オクで流れてきた『時戻りのカメラ』なんてものを競り落としてしまうくらいには……」

     まさか本物だとは思わなかったけど、と言って取り出したのは、レンズが鈍い銀色に輝くカメラだ。うなだれるように自身の肩を抱き、シャディクは低くため息をつく。

    「……今こうして永遠に六人、幸せでいられるのも、悪くないって思っている。五号、君だってそう思うでしょ」

    「僕は……賛同できないよ」

     五号は首を振る。そうしてぐっと、瞳の色を深めて対峙した。きっとなにか方法があるはずだ。全員が幸せになれる方法が。それを見つけて、『全員』で。

    「僕は、『明日』に進みたい」

    dice1d3=3 (3)

    1:グエルのところにむかう 2:エランのところに向かう 3:dice1d2=2 (2) (1:闇オク 2:病院)に向かう

  • 125二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 22:48:52

    良いぞフィジカル強強グエル!
    そしてまともな5号に安心する、助けてくれ

  • 126二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 22:57:16

    「っやめろ!」

    「あっ……」

     グエルは咄嗟に、ラウダを突き飛ばした。

     突き飛ばして、後悔した。全力でぶつかった。体格差もある、ラウダの体は簡単に吹き飛ばされる。どんがらがしゃん、とどこか間抜けな音がして、棚やベッドを突き崩して頽れる。「い゛、」と低い悲鳴があがって、ようやくそれを認識する。今自分は何をした?暴力をふるった。家族に。BLとかそういうの抜きにして十何年傍にいた家族に、手を挙げた。錯乱していたとはいえ、状況上正当防衛が成立しかねないとはいえ。

     グエルは、

    「ぅ、ぐ……」

     仔はグエルの恐怖とを糧として、大きく肥える。

     腹の内側で「黒き禍」が歓喜するように蠕動したのを感じる。視界が明滅する。思考が徐々に、塗り潰されていく。これは仕方のないことで、俺はただしい思考をした。ラウダは悪辣な表情を浮かべている。これは幻だ。ラウダは今もこんなにも健気にこちらを見つめている。違うこれも幻だ。どれが本当だ?ぐるぐる、頭の中がかき混ぜられていく。ラウダの顔にのっているのが何であれ、グエルの脳を占めるのは、多分、狂気だ。

    「ごめ、……」

     かろうじて、吐き出すようにそう言った。

    グエルの正気度:dice1d47=39 (39)

    dice1d3=2 (2)

    1:いやこれ幸いと普通に逃げるぞ!デミマシーナリーに調査に行く!

    2:うあああああエランを追いかけてとっちめる!!

    3:……ふらふらと、ラウダの方に歩み寄ってしまう。

    「とにかく!グエルの仔?をなんとかするために動くのが先決でしょ!何勝手に諦めてんだよ!!」

    「ご、五号!あんまりひっぱらないでよぅ」

    「つべこべ言わない!」

     二人はぎゃあぎゃあ言い合いながらアスティカ市立総合医療センターに向かう。所謂病院だ。たぶんこの世界がBL漫画だとしたら五号が主人公なのだろう。グエルはあくまでBL回避の主人公なので。え?地の文でまで抗うな?

     __ふと。

     五号は、青い髪の少年とすれ違う。それがやけに、気になった。

    dice1d2=1 (1)

    1:追いかけてみる。 2:追いかけな……あれ?エラン?

  • 127二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:11:45

     グエルは割と正気度は無事だった。

     ごめんな期待してた皆。俺は俺で一人行くよ。お先!……と、することができたらいいのだが、残念ながらここは絶賛ループ中の世界、トリガーはグエルの死と来た。目下一番意味がわからないのはエランの行動で間違いないだろう。とにかく捕まえる。そして早急にとっちめる! グエルは割と単純な思考回路をしていた。

     幸いにも、エランが離れてまだそこまで時間は経っていない。

     ここでいける場所、それもエランが行きそうな場所ともなれば行動範囲はある程度絞られてくるだろう。すなわちエランが半年前から付き合っているという四号のいる場所、グエルの読みが正しければ__

    「病院」

     目の前に、アスティカ市立総合医療センターがあった。

    dice1d3=3 (3)

    1:……エランは、四号の病室にいるようだ。

    2:エランは見当たらない。代わりに、片手に杖をもった四号が立っていた。

    3:エランは四号のびょうし……あ、いや、ちょっと今入るのはやめておこう……

    「……へえ。これは元々君のものだったんだ」

    「はい。返してください。これは一般人の手にあっていいものではない」

    「ざんねん。もう使用後だ。ついでに既に二回ほどループしているらしい」

    「はあ???」

     大人しげな見た目に似つかわしいおどおどした態度と、似つかわしくない熱心な姿勢を持った少年__というのが、五号にとってのロウジの第一印象である。捕まえて話を聞いて、ある程度状況は把握できた。つまり、

    「君の同僚の……おるこっと?という人は、グエルと同じように『黒き禍』の仔を孕まされている。これをなんとかする手段を探してる……と」

    「はい。もし上手くいって、それでループしたら、次の僕に教えてください。そうして『次』は全員救って、明日に進んでください。今の僕にはそれしか言えません」

    「……任せて。それで、あてはあるの?」

    dice1d3=3 (3)

    1:「開腹手術?」

    2:「オルコットは衛生も担当しています。まずは様子を見に行きましょう」

    3:「陽の気の注入……というか」

  • 128二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:18:19

    陽の気♂…

  • 129二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:18:47

    ロウジがまた陽の気の注入推してる…

  • 130二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:19:47

    陽の気激推しロウジ草

  • 131二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:24:52

    みんな病院に集合してきた!
    もう頼りに出来るのが五号だけに思えるほど、他の人の正気度とか言動とか怪しいから頑張って…
    所構わず、誰彼構わず、陽の気の注入激推しのロウジに笑っちゃう

  • 132二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:36:22

     友人で、と受付でいえば、すぐに四号の病室を教えてくれた。何故知っているのかという問いには曖昧に微笑むだけで返しておいた。TRPGにおける医者と警察は信用できない。グエル詳しい

    「彼は出来る限り、病気のことをかくしたがっています。実際目の見える症状はほとんどないから……でも、身体の中では着実に進行している。どうか慰めて、励ましてあげてください」

     余命宣告。

     それを聞いた時の四号は、一体どんな気持ちだったのだろうか。半年間、悩みに悩んで、せめて思いだけ伝えたいと思って、エランに告白したのだろうか。

     かぶりを振って、ふりはらう。今はそれを考えるべきじゃない。とにもかくにも、エランをとっちめないと。ループを繰り返すことは、根本的に四号を救うことにはならない。だから__

    『……っ、ごめんなさいっ、ごめん、よんごぉ……』

    『……』

    『お前のこと、すきでいて、ごめんなさい……』

    『……、……』

     グエルは半歩、扉から離れた。

     出汁にされてた__

     「恋人のために非道な行いをしてしまって後悔、発狂慰め懺悔ックス」の出汁にされてた__

     上手く聞き取れなかったがどうせ四号の台詞は「他の男のことなんて考えないで」だ。グエルはすっと踵を返して、調査に向かうことにした。

    dice1d3=2 (2)

    1:デミマシーナリーに行くか

    2:えっ……あれは、五号とシャディク、あとロウジ!?

    3:「兄さん、捕まえたよ」

    「……陽?」

     神妙な顔で傾聴する。

     五号とグエルの決定的な差は、世界の違和感に気づいているか否かだ。そして五号は「知らない」側の人間であったがため、説明をすんなり受け入れた。それはもうところてんもびっくりなほどするりと。このところてんは受けがしがちなアレではない

    「と、いうわけです」

    「なるほど……」

     しばらく考えた末、五号は__

    dice1d3=3 (3)

    1:「……僕がいく」

    2:「dice1d2=1 (1) (1:ロウジ 2:シャディク)やりなよ」

    3:「あほらし。別の手段考えよ」

    ちなみに1、2の場合シャはdice1d2=2 (2) (1:止める 2:とめない)

  • 133二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:36:27

    もしかしてロウオルですか?!そうなんですか?!
    見た目おとなしげグイグイ系年下×くたびれたおじさま(妊娠中)キテル……!!!

  • 134二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:44:35

    5号が1番頼りになる…

  • 135二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:52:07

    「……あほらし」

     五号は一蹴した。「別の手段を考えよう」という心底軽蔑したような言葉つきで。五号はまともだった。よっ この世界の住民唯一の良心枠 正気度+50くらいある

     はてさてグエルは、そんな会話をしているのを目撃してしまった。だが見てしまったからには無意識に「あっ」と声をあげてしまうものであり、BL世界の住民は普段突発性難聴を患いがちなのにこういう時に限って耳ざとい。シャディクの海色の瞳と、目が合った。

    「……グエル?」

    「五号、シャディク。きてたのか、お前らも見舞いに?」

    「何の話か、分からないけど……ちょっと今君の仔を殺す方法を模索してるから。協力してよ」

    「効率を考えるとグエル先輩に頼むのが一番なんですけど」

    「何の話だ!?」

     ろくでもない話であることはわかる。五号はドン引きしたような様子でそちらを見た。幸いなことに、五号は純愛タイプの主人公であったようだ。よかったなグエル!命拾いしたぞ!すくなくとも今は!!各方面から五号に感謝した方がいい

     ……ふと、顔をあげる。

     四人がたむろしている病室の扉には、『リドリック・クルーヘル』という札がかけてあった。や、ややこしっ……つまりリドリックでオルコットでプロドロスってこと?名前多すぎだろコイツ。二つ名のバーゲンセールか?グエルが悶々、考えていると。

    dice1d3=3 (3)

    1:「とにかくいったん、オルコットとやらに話を聞こう。何かわかるかも」と五号が音頭をとる。

    2:「グエル先輩……おねがいできますか」とロウジが思いつめたような顔で言う。dice1d2=1 (1) (1:よくわからないが頷いてみる 2:陽の気のことならロウジがやればどうだ?)

    3:「いた!!!!兄さん」

     窓の外はまだ明るい。

     カーテンを揺らす風はやさしくて、どこか冷たい。エランはあばらの浮いた胸を、四号の胸にぴたりとくっつけた。

    「ずっと、こうして、いられたら。よかったのにな……」

    dice1d2=2 (2)

    1:『なぜか』正気度が回復する。+dice1d100=65 (65)

    2:全然そんなことはないしむしろ共依存で悪化する。

  • 136二次元好きの匿名さん23/12/14(木) 23:55:50

    弟がシュバってきたな…グエルがんばれ

  • 137二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:02:33

    選択肢でチラチラしてたけど、とうとう追い付いてきたラウダに笑う
    エラン達は悪化しちゃうか…切ないね…

  • 138二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:02:48

    オルコット周りで話が進みそうな気はするけどどうなるかな

  • 139二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:11:17

    様の正気度マイナスになるんじゃないか

  • 140二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:12:11

    「いた!兄さん」

    「ウワアオルグエオルセンサーが異様に強い弟!生きていたのか!!」

    「天丼だよ兄さん」

     こちらに駆け寄ってきたのはラウダだった。彼は病室の前でたむろする四人をみておよそ状況を察したらしい。いやここから察せるってどういうことだよ。その推理力は何?探偵とかになった方がいい

     五号は腕を組み、考える素振りを見せる。人差し指をぴんと立てて、くるくるまわして、いったん整理しよう、なんて言ってのける。

    「グエル・ジェタークとオルコットの腹には化け物の仔がおり、今日の日没と同時に腹を突き破って出てくる。ただしグエルが死ぬとこの時間はリセットされる。腹の仔を殺すためには、『陽の気をいれる』__平たくいうとそういう行為をするしか、今のところは手段がない」

    「あとは一応死に戻りつづけて「そもそも寄生される状況にならないようにする」だが。改めて酷いな」

    「……俺は、別にこのままでも……」

    「黙れシャディク。兄さんの話を聞け」

    「時間は有限なんですよ。早く心を決めてください」

     五者五様にわやわやと騒ぎ立てて、なんとかする手段を講じようとする。ちなみにグエルは大事なところはきちんと訂正しながら、極力存在感を消すように動いた。まだここからBL回避できる保険があると信じているので。ほんとか?

    「それで。心の伴わない行為なんて、よくない。だけど明日には進みたい。これを何とかする方法は__」

     どうやら主人公兼議長の五号は、すっぱりと腹を決めたようだ。

     ぐっと手を握り、こちらにむけて、突き出してくる。

     ……心なしか、その切っ先がグエルの方に向けられているような気がするのは、たぶん気のせいだ。

    dice1d3=2 (2)

    1:「グエル。オルコットと話して仲を深めるのは可能?」

    2:「ロウジはオルコットのことを頼んだよ。問題はグエルだね」

    3:「……こんなことしなくてもいい解決策を探そう。まずはオルコットに話を聞くべきだ」

    ひと段落したので正気度チェック

    グエル:dice1d100=39 (39) 五号:dice1d100=29 (29) ラウダ:dice1d100=56 (56) ついでにロウジは:dice1d100=51 (51)

  • 141二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:20:32

    「……え?僕と、オルコットが、ですか?」

     ロウジが素っ頓狂な声をあげた。

     五号は「いやだって面識ない僕達と同じ組織?とやらに入ってる君だったら当然だけど君が優先されるべきだと思う」と割と真っ当なことをいう。BL世界にまともな思考を持つヤツいたんだ……とそこそこ失礼なことをおもい__一瞬、判断が遅れる。

     今、五号はなんていった?

     『問題はグエル』と、言わなかったか?

     ぶわ、と冷や汗が噴き出す。それはつまりあれがあれしてあれの相手をあれということか。すごいこの文指示語しかない。グエルが一歩後ずさるのと、五号が大袈裟に小首をかしげてみせるのは同時だった。こてん。すごいBL漫画でみたことあるオノマトペが出た。

    「候補としては……というかグエルと親しい相手でぱっと思いつくのは、シャディクかラウダかだけど」

     違う。感動している場合ではない。文脈上ここで示されていることは、つまり。グエルが、今しがた言われようとしていることは。誰に『たすけてもらう』かであり、もっとひらたくいえば『誰とそういう行為をするか』であり、つまるところこれによってはBLになることは免れないということであり。

    「グエルの相手は__

    dice1d3=3 (3)

    1:シャディクがいいとおもう。というより、『予知夢』について一度二人できちんと認識を共有してほしい。そうすればシャディクのだいぶ終わってる精神状態も、多少は改善するんじゃないかなdice1d2=2 (2) (1:カウンセリングルームに案内される 2:咄嗟に逃げる)」

    2:ラウダでいいでしょもうdice1d2=1 (1) (1:何らかの鍵付きの部屋に放り込まれる 2:咄嗟に逃げる)」

    3:あっこらまてグエル!まだ話終わってないから!逃げるな!!」

    ちなみにロウジはdice1d2=2 (2) (1:……やります 2:抵抗する)

  • 142二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:20:57

    すごい対消滅の可能性でてきてわろてる

  • 143二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:24:09

    抵抗ぢから

    五号:dice1d100=84 (84)

    ロウジ:dice1d100=29 (29)

    ※出目の高い方が勝ち

    グエル:dice1d100=8 (8)

    ラウダ:dice1d100=9 (9)

    ※出目の高い方が勝ち

    シャディク:dice1d100=40 (40)

    dice1d2=1 (1) (1:五号 2:ラウダ)に加勢する。加勢した方が負けてもシャディクの方が出目が高かったら勝利扱い

    勝った場合グエルはdice1d3=3 (3)

    1:デミマシーナリーに向かう

    2:なんとかしてオルコットに話を聞くパート挟めないか?

    3:さっきの会話聞いてたことにして闇オクにむかっても?

  • 144二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:29:40

    ロウジ…さらによわいグエル…
    てか預かり知らぬところで少年とのフィックスが迫りつつあるオルコットさんも大変だなぁ

  • 145二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:35:04

    五号強い、というか他がシャディク以外メタメタじゃん…

  • 146二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:41:13

    「で、も。そんな……僕は、……僕が、オルコットに触れる資格なんて__」

    「資格も何も」

     五号はロウジの手を取って、その手を病室の横開きの戸に触れさせた。五号は絶対BLの主人公であり世界の理であった。つよい。つよすぎる。あたたかい風が吹き込んでくる。

    「君とオルコットは、信頼しあえる仲間なんでしょう?」

    「うん。きちんと話し合って」

     そしてここで加勢がきた。

     精神状態-100のメンタルボドボドな男がいっても説得力は欠片もないが、それはそれだしこれはこれだ。ロウジは一瞬、目を見開く。きらりと、薄青い色の瞳に光が入る。

    「オルコット、起きてる……?」

    dice1d2=2 (2) (1:日没前に余裕もって出てくる 2:日没後ギリアウトくらいまでかかる)

    ※オルコットの持っている情報が得られるかどうかに関わります

     __一方その頃

    「ッハア、ハア……」

    「くっ離せ!離せったら!!」

     どんぐりの背比べもびっくりな出目を出した方は、廊下でぎゃーぎゃー騒ぎながら物理的な取っ組み合い、看護師とかは空気を読んで出てこないし、目の前の扉は都合よく空き部屋である。

    「こうするのが、最善なんだ。どうしてわからないの!?」

    「馬鹿もっとあるだろ!やり方あるだろ!こう……あるだろ!!」

    「著しく具体性に欠けた説得!!」

     出目8と9の会話なんてこんなもんである。ラウダはグエルの体をその辺の壁にそこそこ容赦なく叩きつけ(グエルは棚に倒してもあまり気に病まなかったのでそこはお互い様だということにしておこうと思う)、こちらをぎっと見つめてきた。

    「これは治療行為だ。犬にでも噛まれたとおもえばいい」

     それBLの導入で聞いた事あるんだってば__

    dice1d4=4 (4)

    1:「兄弟でそういうことするのはよくない。これは最終手段だ。まずは別の方法を探すべき」と言いくるめる

    2:普通に物理的に逃亡。ちなみに行先はdice1d2=1 (1) (1:デミマシーナリー 2:闇オク)

    3:「……弟にそんなことさせるわけにはいかない。俺はお前を巻き込むくらいならゲーミング張型を選ぶ」と説得(?)する

    4:そんな世界はないよ。(暗転)

  • 147二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:45:09

    あっ

  • 148二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:48:31

    こ、これで死の脅威からは逃げられそう、だね…

  • 149二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:49:50

    負けちゃった…
    でも命は助かった?のだから…まあヨシ!

  • 150二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 00:51:05

    治療だから…まだ舞える…

  • 151二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 01:20:00

    美形兄弟のBLシーンなのにBGMがしっとりした音楽じゃなくてド◯フかこ◯亀みたいな雰囲気…

  • 152二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 03:42:35

    濡れ場のBGMがド○フの盆回りだなんてイヤすぎるw

  • 153二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 06:34:56

    大抵最後に暗転することがほとんどなのに早すぎる…

  • 154二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 06:48:54

    「……その。すみません、またせました」

    「うまくいった?」

    「おそらく。ただしまだ回復した訳ではないので、あまり多く質問には答えていられません」

     もう夜も遅いですし、といいいながらロウジが窓の外をみる。とっぷりとした闇に包まれているそこは、既に日が暮れて久しいことを示していた。

     五号はにこりと笑って「構わない。むしろ今は側にいてほしいくらいだけど」と返し、腕を組む。日が暮れた。だけど五号はこうしている。つまりグエルは、死んでいない。化け物が死んだのであればシャディクがグエルを殺す必要も、自死を選ぶ必要もない。首尾よくいったな、なあんて自画自賛していると、

     ずる

     ずる、ずる、ずる……

     何かを引きずるような音が不意に耳に入る。ハッとしてそちらに目を向けると、そこにいたのは__

    「ホラーゲームの敵役?」

    「ラウダ・ニールだよ」

     と、正気度が著しく減ったような顔で「まだ舞える……まだここからでも入れる保険ある」と呟いているグエルであった。

     ほんとに舞えるか?ほんとに保険あるか?内心思わないでもなかったが、それを認めてしまっては本当におしまいなので、これは一種の防衛機能である。てかおかしいだろ『終わった』らアレだから普段三択なのにわざわざ四択にしてもらった上成否判定なしで進めるようにしたってのになんできれいにそこ踏み抜くんだよ!ダイスにて一番最後の選択肢を引きがちな弟、生きていたのか……

    「……それで、何か聞きたいことはありますか?僕たちにできる範囲で答えます」

    dice1d3=3 (3)

    1:ループに備えて「仔の殺し方」について聞く。

    2:ループを終わらせるたね「四号の病気の治し方」について聞く。

    3:「死以外で魂を解放する方法」について聞く。

    グエルの敗北度:dice1d100=82 (82)

  • 155二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 06:56:26

    5号が頼もしい…一方グエルは舞えなさそうな敗北度で草

  • 156二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:01:33

    ほとんど負けを認めてますよね?

  • 157二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:06:07

    グエルには頑張って欲しいけどその敗北度はもう舞えないのでは?

  • 158二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:16:44

    「……このレンズにとらわれた魂が」

     『死』以外によって開放される方法はある?

     ロウジは考えるように首を傾げる。ちらりと背後の扉__つまりオルコットの居る場所__に目を向けて、腕を数度組みなおす。改めて見ると入る前より若干華奢で愛らしい見た目になったような気が……しないでもない。嫌だなBL思考に染められてきてる。グエルはふるふると首を振ろうとして__無意識にラウダの腕に頬をこすり付けていることに気づき、はっと目を見開いて恐る恐る離れる。今自分何してた?無意識に影響与えるのか?敗北度82……

    「現在の僕たちの技術では、残念ながら無理という他ありません」

    「そっか……」

    「可能性があるとすれば」

     『宇宙の菌類』。

     以前調査記録に書いてあった名前を出して、ロウジは言った。彼らは知性がある__なんて、やんわりとした描き口ですが、もっと具体的に言えば人間の技術より優れた文明を持っています。実際戦うならこちらは機動部隊を動かさねばならないくらいだ。彼らの協力を取り付ければ、魂を解放することも、仔を殺すことも、病を治すことだって簡単でしょう。しかし、と前置きして、ロウジはかすかに睫毛を伏せる。

    「彼らはメリットがないと協力してくれません。何らかの対価を渡す必要はあるでしょう。それと__あまり直視しない方がいい姿をしていることも、確かです」

    dice1d3=1 (1)

    1:よっしゃまっすぐ「宇宙からの菌類」のもとにむかうぜ!!

    2:「……対価とは?」と尋ねてみる。

    3:一旦エランたちを「病気が治せるかも」と説得しに行く。

  • 159二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:24:08

    猪突猛進をやめなさいグエル!絶対対価がとんでもないぞ!

  • 160二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:27:38

    対価もBL的な何かだったりしてな…そもそも宇宙菌類に性別はあるのか

  • 161二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 07:33:59

    菌類なら苗床的な人間に入ってる可能性
    それが男ならBLの相手だし女なら顔はっきりしてそう

  • 162二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 08:50:11

    「宇宙からの菌類に逆らうつもりか? 私がやれと言ったらやるのじゃ。抱き合え」展開?!

  • 163二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 12:53:01

    グエルがまたジェタークな選択してて笑う
    宇宙の菌類強そうだ…菌類のイメージから寄生するのとか得意そうで怖い…

  • 164二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:15:43

    「待ってよ!グエル、きちんと話を聞いてからの方がいいんじゃ……」

    「いけるいけるいけるって」

    「何が!?」

     割と真っ当に止めてくれる五号、心配そうな顔をしてどこからともなく取り出した斧を装備するラウダ、やはり精神がぶっ壊れているうえ完全に回復するタイミングを失ったので薄笑いを浮かべたあまのシャディク。

     四人はロウジに言われた場所に向かう。曰く「刺激しなければ殺されない」とのことなので、極力刺激しないようにしよう。え?殺される……とかあるの?怖……

     指示されたのは、小さな工場跡だった。

     これこそデミマシーナリーって顔してるだろ、ってくらいお手本みたいな町工場。グエルは躊躇いなくその扉を開く。シャディクはその隣に立って、にこにこと笑っていた。キイと甲高い音がして扉が開かれて、

    「__、ッ!?」

     蹲って、思わず胃の中のものをひっくり返した。

     咄嗟にまだ中を見ていなかった五号とラウダを突き飛ばし、遠ざかる。不随意の運動というか、理由があって吐き気を催しているというよりは、勝手に嘔吐中枢が刺激される。多分内在的に特定不可能な理由は存在しているのだが、知覚性がゼロ故に、断定出来ない。理解できない。グエルは咄嗟に、横にいるシャディクの手を握って、後ずさった。

    「……、ッ、ヒ、」

    「莠コ髢薙′譚・縺溘ヮ?」

     何語だよ。

     当然聞いたことの無い言語の意味など分かる筈もない。と、いうより、怖い。理解してはいけない、聞くだけで正気が削られるタイプの音だったし、地球上に文化的に根付いていない言語であることは確実に間違いが無かった。ようやくこみあげる悪心がおちついて、顔をあげる。

    「諤ッ縺医k縺イ縺、繧医≧繝上↑繧、」

     それはゆっくりと近づいてくる。そして__

    グエル正気度:dice1d39=36 (36)

    dice1d3=3 (3)

    1:グエルそっくりの青年の姿に化けた。

    2:赤髪の少女の姿に化けた。

    3:グエルの耳に、自身の触手……触手?をつっこんだ。

    五号:dice1d2=1 (1) ラウダ:dice1d2=1 (1)

    1:無理矢理突入する 2:嫌な予感がして待ってる

  • 165二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:20:20

    こういうときに毎度とんでもない選択肢を引いちゃうのがさすがグエルって感じっすね…
    グエルさんSAN値チェックです

  • 166二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:33:18

    「蟆代@縺セ縺ヲ」

    「ッ、う、ぐ!?」

     それはたぶん、グエルの耳に腕__らしきものを、ねじこんだ。一瞬の痛み、ばつん、と何かが弾けるような感覚。え?大丈夫?今の音って人体から鳴っていいタイプのやつか?鼓膜とか破られてないか?そんな思考が脳を占め、あ、っ、あああ、あ、あああ、あ?あ゛♡?え♡?

    「い、ぎッ……あ、があああ、あっ、ひい、いいいい……!?♡」

    「閼ウ縺ッ縺ゥ縺難シ溘%繧後〒縺ゅ▲縺ヲ繧具シ」

    「お゛、はあ、はー、ひゅ、あ、ぁああああ……??♡」

    「シャディク、無事!?……っひ、」

    「兄さん!」

     どこからか音が聞こえてくる。だけどそれどころじゃない。理解する。わかる。つながっている、それはたとえるなら、ストローに似てる。大きな繧翫°繧、縺ァ縺阪k縺ィ諤昴≧縺ェに繋がっている細いほそぅい管、それを無理矢理くわえさせられて、吸わされている。だれかたすけ、たす、あ、

    「……?怖くないよ」

     声が、聞こえる。

     少女めいた優しい、あまい声だ。声変わり前の少年の声。滲む視界には、dice1d4=2 (2) (1:グエル 2:エラン 3:シャディク 4:ラウダ)によく似た少年、が微笑んで立っていた。五号がシャディクに駆け寄っている。「お前、兄さんに、何を……!」と。聞こえる。五感はギリ生きてるらしい。僥倖。

    「あ……どうして、お前は……」

    「脳に触れれば理解できるよ。意思疎通ができないと困るから君を弄らせてもらった」

    「のう、……」

    「人間、久々に誰か来たものだから、びっくり。取引に来たんだね?ヤマイを治療する、魂を解放する、精神を癒す。どれも『我々』にとっては簡単なことだよ。ただし対価が必要だ」

     少年は幼い見た目に似つかわしくない顔で笑う。そうして__

    dice1d3=1 (1)

    1:「人間。君たち誰かひとりがここに残って」と要求してきた。

    2:「グエル。君が欲しい」と要求してきた。

    3:「人間の生殖活動に興味がある」と要求してきた。

    ラウダ:dice1d100=40 (40) dice1d100=30 (30)

    五号:dice1d100=80 (80) dice1d100=98 (98)

    前者が怒り、後者が恐怖。怒りの値の方が大きい場合動ける

  • 167二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:48:42

    「伝えて。人間、君たちの一人がここにのこって」

    「はっ……は?へ、は、ひゅー……」

    「ちょうどほしかったんだ。人間!実験体にしてもよし、練習相手にしてもよし、玩具にしてもよし、ついでに人間って年中発情できるんだろ?効率的に殖やせそうでいい」

     エラン似の少年はやたら得意げにこちらを見ている。ひとりが? ここに? 残る? 生贄、犠牲、sacrifice、逕溘↓繧ィ、ああ、もう、頭が混乱してならない。わからない。全部わかったはずだ。それなのに何も理解できない。がくがくとくちびるを、震わせていると。

     不意に、少年の体が吹き飛んだ。

     はっとしてそちらを見る。そこにいたのは、ラウダだ。どうやらラウダがあの存在を突き飛ばした、らしい。なんか今回やたらフィジカル派じゃないか?ふと背後を見る。そこでは五号が、シャディクの肩を抱いて、ぐずぐずと嗚咽するように泣いていた。どうやら恐怖が許容範囲を超えて限界になったらしい。ちなみにシャディクは既に精神ぶっ壊れて発狂とかそういう騒ぎじゃないので凪のように澄んだ顔でこちらを見つめている。そういうとことはちょっとうらやましいと思う。

    「兄さんに……何をしたっ、化け物……!」

    「……うーん、あの人間、話が通じないタイプ?」

    「むしろこの中だとよくぞ正気を保ったと褒めてやりたいくらいだが」

    「兄さんも、何と会話しているの!?だめだよ!かえって、きてよ……」

     グエルはこほん、と咳払いをする。胃酸やら唾液やらよくわからない液体やらでぐちゃぐちゃになった口腔に新鮮な空気が流れてきた。グエルは__

    dice1d3=2 (2)

    1:「俺はここに残る。お前らはここで見たことを忘れて、でていってほしい」と説得する。

    2:「対価は『俺達の誰かがここに残ること』らしい」ときちんと説明する。

    3:「……ごめん」と三人をまとめて倉庫の外に追い出す。dice1d2=2 (2) (1:成功 2:失敗)

  • 168二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:54:09

    1番良い選択肢引けた気がする、偉い!

  • 169二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 21:05:34

    「……対価は『俺たちのうちの一人がここにのこる』ことだ」

    「へっ__」

     ラウダが、虚を突かれたような顔をした。遠くでずっと肩を震わせていた五号が、ひく、と顔をあげる。シャディクは薄く微笑んだまま。あれ仮に戻ったとしたら戻ったときがショックじゃないか?大丈夫か?

     茶色の瞳が、グエルからそれる。恐る恐ると言った様子で、背後でニコニコと微笑む少年に向けられる。グエルには少年に見えるというだけで、実際はあの明らかに常識の埒外にある存在の姿をしているというわけだ。冷静に考えるとそれにタックルをしたラウダってとんでもない勇気と向こう見ずの持ち主なのでは?やはりジェタークか……

    「ひとり……のこるって、……」

    「平たく言えば生贄だな。だがそうすれば、今起きているすべての問題が解決する」

    「兄さん、今自分が何を言っているかわかっているの!?」

    「……理解した、」

    「へ?」

    「いや、なんでもない。わかっている、だが俺達のどこに交渉する余地がある?」

     ラウダが閉口した。

     グエルは肩を落として嘆息する。そうだ、交渉の余地はない。すべての力をもっているのは向こうであり、グエルたちは唯々諾々と従うしかない。しかたない。……しかたない、のだ。振り返る。エランの姿をした醜悪な化け物はこちらを見つめて、ニコニコ微笑んでいる。そうして__

    dice1d5=5 (5)

    1:「……俺が行く」とグエルが立ち上がる。

    2:「僕が、やる」とラウダが立ち上がる。

    3:「僕……に、任せて」と五号が立ち上がる。

    4:「あはは。それなら俺がいってあげる」とシャディクが笑う。

    5:わ……ワンチャン『小さな魔女のカメラ』と交換とかできないか!?dice1d2=1 (1) (1:交渉の余地がある 2:全然逆鱗に触れた)

  • 170二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 21:11:27

    BL以外には強い男!

  • 171二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 21:19:22

    「……まだだ」

     グエルはふと、『小さな魔女のカメラ』の存在を思い出す。

     あれは魂を保存するもの。よくわからないが、うまくあれをプレゼンできればなんかこう全てが解決しないか? する……気がする。そんな気がする。イける! グエルはぐっと唇を噛み、シャディクの懐から鈍い銀色に輝くカメラを奪い取ると、それを少年に向けて差し出した。

    「これで、どうだ」

    「それは?」

    「魂を捕らえて永遠にするカメラだ。多分話の流れからして、これはお前らの技術ではないんだろう」

    「……そうだね。僕たちの技術はどちらかというと肉体に関わることが多い。君にした脳の手術とかね。魂に関することは、人間に比べたらある程度わかるけど、それでも専門ではない」

    「これを対価には、できないか」

    「交渉のつもり?」

    「……全員で」

     幸福な明日を迎えるんだ。

     グエルがぽつりとつぶやくと、少年はけらけらとわらった。エランによく似た姿かたちをしているのに、笑い方はシャディクに似ているし、仕草はラウダに似ている。グエルの知り合い全てをパッチワークにしたような見た目。というより、グエルの記憶から「人間」に似た形を割り出した結果この姿にしたのだろうが。なら別に可愛い女の子でもよくねえか?BLだからダメ?

    「面白い。この僕にそんなことを言ったのは君が初めてだ」

    「そりゃどうも」

    「そうだね。そんなに言うなら、いのちもからだもいらないよ。ただし、ひとつ」

     君の中に在る『概念』を、ひとつちょうだい。

     言われて、グエルは目を見開いた。

    「どういう……意味だ?」

    「言葉通りだ。君の__人間の中には、僕の知らない概念がたくさんある。そのうちのひとつが、ほしい。大丈夫、脳を物理的にいじるのはしないから」

    「……あれよくないことって認識あったのか」

    「君が教えてくれた」

     にこ、と少年が笑う。

     __概念を失う。それはどういうことなのだろう。想像もつかない。それに対することを永遠に忘れ、おぼえておくことすらできなくなる。いのちに比べたらそら、まあ、ずいぶんマシだが。

     グエルは__

    dice1d3=1 (1)

    1:「……わかった」

    2:「嫌「ならここで交尾しろ!人間の交尾がみたい」待て」

    3:「何を……奪われるんだ?俺は」

  • 172二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 21:52:48

    「……わかった」

    「兄さん?あれは、なんて?」

    「いや、なんでもない。……出来得る限りだが、痛いのは嫌だ」

    「もちろん」

    「兄さん?兄さん!?」

     ラウダがグエルの肩をぐらぐら揺らす。

     細くてたおやかな指先が、たぶん本来、ラウダたちには悍ましい触腕に見えるであろうそれが、グエルの頭に触れる。

     ふわ、と何かが溶け込んでいく。

     あたたかい。あたたかいこれは、光だ。なにか恐ろしく巨大なものが失われると同時に、そこがあたたかくてやわらかい光で満たされる。ほう、とため息をつくと、少年は微笑み、何やら指先を数度捏ねた。

    「うん。これで魂の解放は完了した。今は昼間だから無理だけど、今日は幸いにも月がない、君たちが眠っている間に四号とやらの病も治療してあげる」

    「……感謝する、『宇宙からの菌類』」

    「いいってことだ!これからもできれば良き隣人でいてくれ」

    「あはは。善処しよう」

     グエルは立ち上がる。一体自分が何を失ったのか、それすらわからない。ただ奇妙な、充足感のようなものがあった。グエルはふっと、背後を見る。シャディク、五号、ラウダ__それから。

     ……いいか。

     はやくここから出たい。帰りたい。そうおもって、グエルは立ち上がり、「行こう」と三人を連れて、工場の出口に向かって歩き出した。

    失った概念は?

    dice1d3=3 (3)

    1:「大丈夫?兄さん」……兄さん? 『弟』

    2:「グエルの目。なんだか俺に、似てるね」……そうか? 『狂気』

    3:なんかめちゃめちゃ晴れやかな気分だ!ずっと背負ってた重荷が消えたような…… 『BL』

  • 173二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 21:56:12

    これは取られてハッピーなやつなのか、それとも抵抗できなくなっちゃったのか…どっちだ!?
    というかBLの概念を貰う菌類草

  • 174二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:00:53

    敗北度82がリセットされたなら喜ばしいことではあるな

  • 175二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:04:16

    「……そっか。じゃあ俺は、グエルを殺さなくてもいいんだね」

    「ああ」

    「よかった……」

     シャディクが安堵に涙を流して、グエルに抱き着いてくる。グエルはその背を優しく撫でながら、微笑んだ。

     ひどく晴れやかな気分だった。

     なんだかずっと心の隅で巣食っていた悩みが、ぶわりと溶けてなくなったような、そんな心地がする。るんるんと鼻歌まで歌ってしまいそうなほど。なんだっけ? 何かから逃げようとしていた、ような気がするのだが、全く思い出せない。まあ生きているということは奪われて問題ない概念だったということなのだろう。それより今は、魂が解放されて、四号も助かって、シャディクが死ぬ理由もなくなって、というのを喜びたい。不意に、五号が何故だかぷくりと頬をふくらませて、シャディクの腕をとった。

    「もう!あんまりぎゅーってしてないで!」

    「なんだ、お前ら。付き合ってるのか?」

    「そッ……んなんじゃ、ないよ!」

    「そうかそうか」

     グエルはふわふわ笑って、帰途に就く。

     __さて。

     BL回避の主人公がBLというものの存在を忘れたらただのBL世界の住人になるのではないか?というのは、グエル以外の誰もが思う疑問であろう。しかし実はここからでも入れる保険があるのだ。すなわち「BL回避」ができなくなったと同時に、グエルの中から「BL」という属性も永久に喪失した、そう解釈することはできないだろうか。少なくともできるとワイプで概念グエルが叫んでる。逃げろと叫んでる。マジで。

    「『明日』、改めてみんなで集まってさ、パーティーしよう。エランや四号も呼んで」

     グエルが笑った。

     マジでふざけんなよお前。ワイプのグエルは心底思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……ねえグエル。少し話したいことがある」とシャディクに声を掛けられる。

    2:「……なあ兄さん。ちょっと夕ご飯のあとにお話ししたいな」とラウダに話しかけられる。

    3:とりあえずいったん病院組に報告しに行くか!

  • 176二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:13:37

    落としたらアカンやつだったね!

  • 177二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:20:58

    「……ねえグエル、少し話したいことがある」

    「なんだ?」

     シャディクは少しだけ、青い顔をして、こちらを見ていた。たぶん正気度がdice1d100=64 (64) くらいある。もしかしたらあの菌類は、ついでとばかりにシャディクの精神状態まで回復してくれたらしい。なんだよあの菌類。デウス・エクス・マキナすぎるだろ

     シャディクはグエルの手を取って、青い瞳で見つめてくる。グエルは心底この行動の意図がわからずきょとんとした。こんなに距離を詰める必要性があるのだろうか?一体何が始まるんです?恫喝とか??

    「五号が、話した……んだよね。聞いたよ。俺はね、昔からよく、予知夢を見るんだ」

    「予知夢……か。霊感とか?」

    「自分でもよくはわからない。ここしばらくは、ずっと__君を、殺す夢を見た」

     シャディクの青い瞳から、ぼろりと涙があふれる。

     何度も殺した。殺すうちにどんどん自分が狂っていくのを自覚した、幸いにもシャディクは演劇が得意であったから、『問題ないシャディク』を演じる程度わけなかったけれど、それが逆に、状況を悪化させた。五号以外の誰も、シャディクの異変に気づけない程には。

    「色々あって、闇オークションで『時戻りのカメラ』を手に入れた。藁にもすがる思いだった。それがその……『ちいさな魔女のカメラ』」

    「……シャディクは、それをどうしてラウダに渡したんだ?」

    「俺が仮に君を殺してしまっても、またやり直せるように。ああ、君にはいってなかったけれどね、君が『一回目』だとおもっているのは、一回目じゃないよ。俺はラウダにカメラを渡す前に自分を撮って、やり直した。やり直しては君を殺して、自刃して巻き戻った」

    「なんかやたら説明口調だな」

    「あはは」

    「それを俺に話して、どうするんだ」

     シャディクはうつむく。長い睫毛が、瞳に影をおとしている。ゆっくりと、くちびるをひらけた。

    「俺は……どうすればいいんだろう。巻き戻ったとはいえ、君を殺した事実は変わらないのに__」

    dice1d3=1 (1)

    1:「別に俺は気にしてないからいいぞ!」とサムズアップ。

    2:「……シャディク」と抱きしめて慰める。

    3:「ま、五号は許してくれるんじゃないか」と笑う。ウワアやたら気ぶるモブ!!

  • 178二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:23:34

    グエル心なしかフワフワしてるな…逃げるべきBL概念とられたからか?

  • 179二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:38:07

    「俺は、気にしていないぞ?」

    「へ」

    「何もしなければ、俺も、四号も、シャディクも、みんな死んでた。今こうしてみんなが生きている『明日』を迎えられるのは、お前のおかげだ」

    「……そっか」

     シャディクは安堵したように微笑んだ。

     岐路につく。グエルとラウダの家はここから西に、五号とシャディクの家は東にある。本来今日はこの時間パーティーしていたはずだが、今日はもう帰ることにしよう。色々あって、つかれた。ゆっくりねむりたい。シャディクは片手をあげて、こちらにむけてわらいかけてくる。

    「ありがとう、グエル。俺の最高の親友」

    「なんだ突然」

    「いいたくなっただけ。……じゃ、『また明日』」

    「ああ、『また明日』」

     片手をあげて、返す。

     二人はくるりと踵を返してわかれる。空を見上げる。明日はきっと晴れだ。グエルとシャディク、二人の瞳をうつしたような、あおい、青い色になるのだろう。グエルは微笑んで、歩き出した。

     ところで。

     グエルがBLの概念を忘却していようがいまいが横たわる割かしデカめな問題がある。ちょっと目を反らせないというか、よりにもよって某1/4をひきやがったやつがある。そういうわけでいつも通り端末を充電しておやすみをしようとしたところで__

     とん とん とん

    「兄さん、まだ起きてる?」

     ラウダの声が、聞こえた。

    「……今日のこと、謝りたくて」

    dice1d3=2 (2)

    1:「別に気にしてない。治療なんだから仕方ないさ」とサムズアップする。おおらかすぎるだろ(byワイプのグエル)

    2:「……ラウダ」と抱きしめて慰める。

    3:なんかワイプのグエルが「寝たふりだ!寝たふりで誤魔化せ!!」って言ってる気がするから寝たふりで誤魔化す。

  • 180二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:41:30

    ヤンデレ妹(弟)CD始まったな…

  • 181二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:42:34

    このレスは削除されています

  • 182二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 22:55:17

    「……ラウダ」

     馬鹿!!!!

     ワイプのグエルが叫んだ。精神的に弱ってる相手にそんなことしたら焦げるに決まってる。ラウダじゃなくても焼ける。何やってるんだアホか。お前BLにされるぞ!!ラウダが目を見開く。グエルは宥めるようにラウダの背を撫で、語り掛ける。シャディクのと時と反応が違いすぎるって?ほらそれは家族だからだよ たぶん

    「お前は俺を助けるためにやってくれたんだろう。お前がしてくれなければ、あの時俺は死んでいた。どうして謝る必要があるんだ?むしろ俺は、感謝しているよ。ありがとう、ラウダ」

    「に、いさ……でも……」

    「お前だっていっていたじゃないか。あれは医療行為だって。お前だって、犬にでも噛まれたとおもって忘れてしまえばいい」

    「……く、ない」

    「へ?」

    「忘れたくない……って、いったら?」

     風向き変わったわね。

     ワイプのグエルが頭を抱えた。多分ワイプのスレミオあたりは手ェ叩いて笑ってる。残念ながら風を読む力が全くのゼロ、というか風を感じる力を奪われ、翼をもがれてしまった哀れな小鳥、カイコよろしくあとはふらふら彷徨うだけの可哀想なグエルは、不思議そうな顔でラウダを見つめるだけだった。ちったぁ危機感を持て!!

    「それは……どうして?」

    「何故だと思う?」

    「わ、……わからない。ごめん」

    「いいんだ」

     うばわれたのがそれなら、うしなったのがそれなら。ラウダはつうと、グエルの腹を撫でる。

    「また、何度たって教えてあげるから」

    dice1d3=3 (3)

    1:額に、キスされる。(ハッピーエンド)

    2:頬に、キスされる。(ノーマルエンド)

    3:……!?なんで今なんらかの奇跡のように記憶取り戻した!?待って待って待って落ち着け早まるな思い出したかr(暗転)

  • 183二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 23:10:41

    (エピローグ)

     はてさておとぎ話において、呪いを解くものの典型とは何か。そう、王子様のキスである。白雪姫は目を覚ましたし、蛙は人間の姿に戻れた。ではBLにおいて呪いを解くものとはなにか。これもまた、やはりたいていの場合キスである。そうでなければフィックス・リリース。

     では『呪いを解く』行為をした場合どうなるか。

     グエルは取り戻した。人間、無数の記憶にあるものをリンクさせている場合、すっぽぬけてしまったとしても間に在るものを補完し想定することができるし、一度想定できてしまえば具体化し、元あったように取り戻すのも容易だ。そういうわけでグエルは思い出した。正確には思い出してしまった。BLとは何か。自分は何のために行動していたか。冷や汗が止まらない。

    「ん、」

     ラウダが微かに身じろぎする。

     グエルの体の現在地は、寝台の上肉の下。しっかりめに固定されてしまっているので、動けそうにない。全身重い。物理的に重い。あと思い出してしまったせいで某敗北度もかえってきてしまって酷い。それはもう忘れたかった。今からでもなかったことにできんか?やっぱりラストにかけて異様に強くなる弟じゃねえか……!

     __かんがえて、みる。

     ラウダの寝顔はあどけない。何かこう、いろいろと……あまり医療行為としては誤魔化しのきかないことがおきた。具体的に語るのはやめておくとして__しかし、あの時、つまりぽやグエが言ったこともまた、事実だ。ラウダがあの時行動しなければ、グエルは死んでいた。それどころかオルコットやロウジから情報を得ることもできず、『宇宙からの菌類』と接触することもできず、また無為にループしていただろう。

     窓の外を見る。

     朝。『次の日』の朝だ。夜明けの時だ。グエルは死の運命を回避し、こうして『あした』を迎えることができた。それならそれでいい気がする。今はとりあえず眠ることにしておこう。つかれたし。いまめっちゃおもいし。

     グエルはそう思い直して、そっと目を閉じる。

     『今日』こそ、六人でパーティーできたらいいな。


    【グエルは世界に敗北してしまった!エンド】


    ついでにdice1d50=11 (11) (28以上が出たら完全敗北。それ以下ならまだ抗う余地はある)

  • 184二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 23:13:37

    まだ舞えるぞグエル!

  • 185二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 23:23:03

    世界への抵抗力へなちょこの兄さん…
    ここから巻き返せるんですか!?

  • 186二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 07:04:53

     まだ舞える。

     幸いにも高潔で傲慢なグエルは、魂までもをBLに売り渡した訳では無かった。既に色々手遅れな気がするけど。ヘエ……今回の話って主にあるルートは「夢の中で何度も殺してきた彼」「余命宣告された哀れな友人」「撮影係兼発狂役」「ロウジ」「オルコット」だったんだ……へえ……うち三名が別な人間と対消滅してるけど……グエルが悪夢係になったり余命係になったりすることもあったんだ。なんか……やっぱりラウダのダイスが強いんでは?

     何らかの恨みつらみをこめてダカダカと野菜をみじん切りにし、味噌汁の中にぐらぐらとつっこむ。父はたくさん野菜を食べるべきなのだ。本気で。メタボリックシンドローム等を気にするべきだ。父。父か。とうさんになんていおう。お前らの息子は異母兄弟近親相姦BLになりました?泡食ってぶったおれるわ

    「……はあ」

     ため息を着く。

     下手に正気を保ってしまったせいで現状を正確に理解してしまい、余計苦しい。全身気だるい。米を茶碗によそい、お湯を沸かして急須にいれる。卵焼きを添れば、我ながら惚れ惚れするほど完璧な朝食の完成だ。そうこうしているうちに、ふああ、とあくびをするラウダが部屋から出てきた。グエルの部屋から。うっとりした笑みを浮かべて。

    「おはよう、グエル」

     示唆に富んだ発言やめろ。グエルはぎぎ、と内心歯軋りしながら「おはよう」と返した。

    dice1d4=3 (3)

    1:シャディクと5号に会いに行く。

    2:エランと4号にあいにいく。

    3:ロウジとオルコットに会いにいく。

    4:外に出られると思うな

  • 187二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 08:41:23

    対消滅済みかあ……

  • 188二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 18:45:48

    偉そうに呼び捨てしてるラウダに笑う、なんだその余裕は、調子に乗りすぎだぞ!
    兄さん心の中で歯軋りまでしてるじゃないかw

  • 189二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 19:18:52

    偉そうっていうか付き合ったら名前で呼ぶ的なお約束の延長みたいなアレでBLっぽいからぐぬぬじゃないのか…?
    同い年の弟に名前呼び捨てされただけで偉そうとか思うグエルじゃないだろう

  • 190二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 19:35:14

    示唆に富んだ発言やめろ ←スレ主さんのこういうツッコミめちゃくちゃ好き
    メタネタに弱いのでこのシリーズの主人公たちが世界に対してツッコミ入れまくるのほんとツボです

  • 191二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 00:32:17

    「どうやら『今日』に進めたようだ。宇宙からの菌類になにか大きな犠牲をはらったわけでもない。とにもかくにも、騒がせてすまなかった。ありがとう、ロウジ」

    「いえ。ところでカメラは?」

    「菌類に渡した」

    「僕たちの所有物なのに!?」

     ロウジは驚いたような声をあげた。し……仕方ないだろ!あんときはああするしかなかったんだよ!!むしろ人命とかが全て無事なだけよかったとおもうべきでは!?ちょっとグエルの脳みそはいじられてしまったっぽいけど。あと何かがバグったのか昨日の感じ右耳の感覚が異様に過敏になってるっぽい。絶対何らかのなんらかをいじくりまわされたせいだ。鼓膜が破られてないからセーフとかそういう問題にしておくべきなのだろうか。

    「まあ、いい。始末書くらい書こう」

    「……オルコット」

     ロウジが振り返る。

     __ロウジの背後に、あの時倒れていた壮年の男性が座っている。男はしばらく頭を抱えていたが、すぐに切りかえるように顔を上げてそう言った。グエルは「感謝する」とだけこくりと頭を下げて、それからぽんと手を叩いた。

    「詫びと言ってはなんだが。『宇宙からの菌類』について、俺が知り得た情報を提供しよう。何せ脳に直接叩き込まれたものだから理解している」

    「……人語で説明できるんです?」

    「正直怪しい」

    「無理しなくても」

    「いや、これは俺のけじめだ」

     グエルはまっすぐに見つめ返す。あの時の全身全てが『理解』する感覚は、未だに忘れられない。深く、ふかく刻まれている。グエルはすうと息を吸って、はいて、ゆっくりと語り始めた。

    「俺たちが『宇宙からの菌類』と呼ぶ者__縺ソ=繧エは、ある惑星に棲息し地球でも活動している、一応、生物だ」

    dice1d3=3 (3)

    1:きちんと説明し終える。ロウジが「感謝します」と頭を下げ、何やら花のようなものを渡してくれる。

    2:説明はできたが、狂気が近づいてくるのを感じる。dice1d3=2 (2) (1:ちょっと様子がおかしくなる 2:介助なしでは日常生活もままならない)程度

    3:話しきった瞬間正気が溶けてぶったおれる

  • 192二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 00:48:03

    「……と、いう、ことで」

    「グエルさん、無理はしない方が」

    「……、だ」

     最後まで話し終えた瞬間、グエルの体から力が抜ける。

     こわい。

     こわい、こわい、こわい。あれはかかわってはいけないものだ。恐らく本能が、それを拒絶している。見るだけで正気度が削られるような相手だ、グエルがこうして口にできていることすら奇跡に等しい。ロウジが躊躇うようにグエルの体に手を伸ばす。グエルはその指先を、じっと、眺める。そうして、

    「__ア」

    「グエルさん!」

     倒れる。

     ぱたり、と。たぶん精神が全てを拒んだ結果、ぶちりとコンセントを抜くように、精神という部分が『繋がって』しまった部分から離れようとして、記憶を途切れさせたのだろう。ロウジはそのからだをそうっと抱き上げて、それから顔もあげずにつぶやく。

    「いるんでしょ」

    「……気づいてたんだ」

     角から出てきたのは、他でもない。ラウダ・ニールの姿だった。

     グエルが起きていれば膝を折って「瞬間移動かよ……!」と叫んだだろうが、生憎とグエルは現在意識ごと無謬の闇をさまよっているためできない。泡とか吐瀉物とかこぼしてないのはBLナイズドされた結果なので、されてなかったら多分白目くらいむいてる。尊厳が守られてよかったな!それ以外の全ては守れてないけど!貞操とか

     ロウジはどこからか、薔薇の花を取り出した。薄青色に輝くそれは、ラウダの視線を受けてきらきらと輝いている。

    「単刀直入に言うと、これは記憶を消す薬剤です。これを使えばお兄さんは『あれ』に関する記憶の一切を失います。正気に戻る、ということですね。使わなければ正気を失って廃人になるでしょう」

    「無茶苦茶な……副作用とかないの?」

    「この手の完全に発狂した人間に使ったことないので、なんとも。もしかしたらあるかもしれません」

    「……」

    「使うかはあなたに任せます」

     なんか俺寝てる間にすごい重要なこと決められそうになってないか?

     ワイプのグエルは心底思った。割かし本気で、頭を抱えた。起きろグエル。なんとかインチキして起きられないか?

    dice1d3=2 (2)

    1:飲ませる!(副作用なし)

    2:……飲ませる。(副作用アリなのだ)

    3:飲ませない(発狂状態継続)

  • 193二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 00:52:38

    グエルせんぱいが「俺がダイス振るととおおかたろくでもないのになるから嫌だ!!」ってにげちゃった。かわりにフェルシーちゃんがふっちゃうのだ!えいっ

    dice1d3=2 (2)

    1:宇宙からの菌類諸共今回のループの記憶を全て喪失する。

    2:ラウダ以外の大切な人に関する記憶の大半を喪失する。

    3:BLという概念を喪失する。オイまたかよ

  • 194二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 01:08:18

    (エピローグ)

     はっと、目を覚ます。

     今まで自分は何をやっていたのだろうか?あまり思い出せない。確か腹に子がどうとか、陽の気がどうとか、こうとか?記憶に靄がかかったように、ふわふわしている。脳みそに真っ白な絵の具がぶちまけられたみたいな感覚。なん……何?この空白には何があてはまっていた?

     誰かと、『今日』、パーティーをする約束をしていたような。

     ……誰だっけ?

     思い出せないということはさして重要でもなかったのかもしれない。グエルはそう結論づけて立ち上がる。目下の目標はBL回避だ。記憶を精査する。グエルと親しい男と言えばラウダくらいのものだから、とりあえずあいつの動向に気をつけ……いやもうだいぶ手遅れじゃないか?ここからでも入れる保険があるんですか!?

     とりあえず、朝食を用意してやらないと。

     ラウダが好きな具と言えばあぶらあげだ。適当に切って入れてやろう。あとはたまごをやいて、ご飯をよそって。いつも通りの朝が始まる。

    「ん?味噌汁、今日は野菜入ってないのか?」

    「ほしかったんです、父さん?」

    「ああいや、珍しいと思って」

     ヴィムが湯を沸かしながら、新聞をとりに表のポストに行く。行っている間に、ラウダも起きてきた。彼は晴れやかな顔をして笑って、おはよう、と言った。

    「おはよう、ラウダ。なんだかやたら元気だが、何かいい事でもあったのか?」

    「ん?……ふふ、ううん。なんでも」

    「そうか」

    「兄さん」

     不意に、抱きしめられる。

     グエルは視線だけで振り返った。ラウダの髪から、ほんのりと薔薇の花のような香りがする。BL世界の人物、バックに花背負いがちだが、嗅覚にまで作用してきたのははじめてだな__なんて、考えていると。

     ラウダが、右の耳にくちびるを寄せる。

    「もう兄さんには僕しかいなくなってしまったね」

     ごめんね、嬉しいよ、ごめんね、ありがとう、だいすきだよ、ごめんね、ごめんね。

     ぽとり。

    (「ああ、また『明日』」)

     ヨーグルトにはちみつと、ブルーベリーのジャムがおちる。その、艶やかな金と空のような青が、やたら記憶に引っかかった、ような、気がした。

    【グエルは発狂を回避した?エンド】

  • 195二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 01:10:54

    ちなみに

    五号とシャディクdice1d3=1 (1)

    1:紆余曲折あって付き合った

    2:うっすらお互いのことを意識してる程度

    3:普通に良き友人関係のまま

    四号とエランdice1d2=2 (2)

    1:精神的に完治

    2:死からは逃れたがやはり発狂している

    ロウジとオルコットdice1d3=1 (1)

    1:なんやかんやあって付き合った

    2:最近セドくんの面倒を一緒に見ている

    3:全然仕事相手として割り切ってる

  • 196二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 01:14:41

    フェルシーちゃんやっちまったのだ

    一組発狂した以外はどこも収まったね!

  • 197二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 01:20:39

    狂気に陥ったけどこのBLになる世界でBLになったからには紆余曲折経たとしても全員ハッピーエンド間違いなし!!多分!!!

  • 198二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 01:29:01

    やはり弟は強かったな(BL展開の意味でも)

  • 199二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 03:46:25

    フェルシーちゃんでも、ダイス様には勝てなかったか…
    ラウダのアシストになっちゃったのだ
    でも、みんなそれぞれ思いの人と仲良くなれたので概ねハッピーエンド!!

  • 200二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 14:26:09

    四号とエラン、いまだに発狂してるの何故なのかな?
    とても楽しかったです!!
    毎回面白いお話ありがとう!!!

オススメ

このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています