- 1スレ主23/12/15(金) 19:19:06
- 2スレ主23/12/15(金) 19:25:07
白宝高校体育祭———
時間の都合で急遽二人三脚形式となった部対抗リレーの待機列で、座り込んだままパートナーに向かって手を広げる190cmの男がそこにいた
凪「それはね?パートナーとの息を合わせるってことだよ…」
玲王「息を…合わせる…?」
凪「だからね、俺と息を合わせるのにちょっとここで俺とハグしてみない?10秒くらい。10秒チャージぷりーず?」
そう言って、凪は隙あらば何かと理由をつけて玲王とくっつきたがる
素直に「くっつきたい」と言えないのは、まだ彼がDのTだからであろうか
凪「(なーんてねー…さっきもどさくさに紛れてお姫様抱っこしちゃったし、こんな公衆の面前でレオが俺にハグとかしてくれるワケ)」
ガシッ
凪「ッ!?」
玲王「いーち、にーい、さーん…」
しかし、なんということでしょう
凪の予想に反して、玲王はヤンキー座りから膝立ちの姿勢になり、そのまま上から凪に抱きついて1、2、3…とカウントし始めた - 3スレ主23/12/15(金) 19:30:56
玲王「しぃーい」
凪「レオッ!?」
玲王「…ん?何、うるせーな」
凪「何してんの!こんな人前でっ!」
玲王「はぁっ?」
言ったとおりにハグしてカウントしていただけなのに、急に凪が怒り出したので玲王はワケが分からなくなる
玲王「いや、お前がさっき言ったんじゃん。二人三脚で息を合わせるのにはハグすんのが大事、って」
凪「…ハイ」
まさか本当に玲王がハグしてくれるとは思わず、凪は手を横に広げたままの体勢で硬直していた
他の部活の走者や観覧客、生徒達は、グラウンドの中心で行われているその謎の光景を見て、頭の上にクエスチョンマークが飛び交っている
観衆「…なんだろう、あれ…」
観衆「ほら、アレじゃない?あの子達ってサッカーの有名な子でしょ?あのレベルになると試合前のジンクスとかあるんでしょ」
観衆「なるほど。ということはいつも試合前にハグしてんのね、あの二人」
観客席ではとんでもなく都合の良い勘違いが始まっていた
そして、その勘違いは観客側だけにとどまらない - 4スレ主23/12/15(金) 19:34:30
走者「何してんだ?アイツら…」
走者「なんかさっき、二人三脚で一番大事なことがどう、とか言ってたような…」
走者「それがあのハグってコトか?」
そう、たしかに二人三脚ではお互いの呼吸を合わせるのがマストである
本来ならば紐で足を結ぶ前に一緒に肩を組んで走ってみたりと、慣らしをする必要があった
しかし、借り物競走が尺を取りすぎたため急遽決まったこの部対抗二人三脚リレー
どの部もまともにその練習が出来ていない状況
その中で「限られた時間でお互いの呼吸、ペースを合わせる方法がこの相手とのハグだったに違いない」と、他の走者達は解釈した
つまり、誰一人として、まさか凪が下心丸出しで学園の王子様にハグを求めているとは思っていなかったのである。誰一人としてッ…!
部員「キャプテン玲王がやってるなら、俺らもやらなきゃっすね!」
部員「オッケーカモォォン!!」
サッカー部員達も次々と二人に倣ってハグをし始めた - 5スレ主23/12/15(金) 19:39:45
走者「…マジか。勝利のためにここまですんのかよ、うちのサッカー部は」
走者「これが真のガチ勢ってやつか。部活エンジョイ勢の俺らには無かったよな、こんな発想…」
学業でも、学年ツートップの成績を誇る凪と玲王である
ここ白宝において勉強が出来るやつ、結果を出せるやつへの信頼は厚い
まさかその二人が意味もなく公衆の面前でハグをするワケがないと、走者達も次第に思い始める
走者「え、じゃあ、俺らもやってみっか?ハグ…」
走者「お、おう…」
そこは都内屈指の名門校に通う意識の高い白宝生達である
彼らは純粋に「良い」と思うものを白宝Wエースの二人に倣って取り入れ始めた
ギュッ…
そして、そこに広がったのは二人一組で抱き合う部活動メンバー達と、それを見つめる観客、生徒達というカオス極まる光景である - 6スレ主23/12/15(金) 19:48:25
玲王「ん?」
急に静まった周囲の様子に気づいた玲王が、顔を上げてキョロキョロと辺りを見回した
玲王「あれ?なんか他のみんなもハグしだしてるな…(やっぱこの方法って、マジで有名な二人三脚の必勝法だったりすんの?)おい、なぎー!」
玲王が横から凪の頬を手で挟んで、ヨシヨシするように少し雑に顔を揉む
玲王「お前何でこんなの知ってんの?スゲーじゃん!」
凪「ふぁふぁら、ひっはへしょ?」(だから、言ったでしょ?)
玲王「ハハ、ひでー顔。あ、じゃなくって、いくつまで数えてたんだっけな?ハグのカウント。たしかさっき4まで数えてたから、ごぉーお、ろぉーく…」
凪「ねぇ、レオ」
再開したカウントだが、すぐさま凪によって止められた
玲王「ん?もぉ、なんだよ」
凪「…今、俺らって高校何年生だっけ?」
玲王「は?高2だろ。大丈夫かよお前…って、あれ?」
凪「はい、じゃあ続きからどうぞ。にぃーい?」
玲王「にぃーい?さーん…(ん?)」
もうとっくに10秒どころではなく180秒チャージくらいしているのだが、凪は玲王の背中に手を回して幸せそうにその胸に顔を埋めている - 7スレ主23/12/15(金) 19:51:43
玲王「…はぁーち、きゅーう…」
玲王は違和感を覚えつつも、10秒ハグカウントは順調に終わりへと近づいていく
凪「(あ、ヤベ。もう終わっちゃう)ねぇ、レオ」
玲王「あ?(なんだよ、またかよ)」
凪「えっと…俺の誕生日、何月か覚えてる?」
玲王「お前の誕生日?5月だろ?」
凪「ハイ、正解。じゃあ、もっかい続きからどうぞ?ごぉーお…」
ビシッ!
凪「アイテッ!」
これにはさすがの純粋培養御曹司もおかしいことに気付き、凪の眉間にチョップをとばす
玲王「お前っ!さっきからワザと違う数字言わせてカウントやり直させてねぇ!?」
凪「ウウン?オレシテナイヨ、ソンナコト」
バレバレのカタコトで凪が玲王にそう告げた - 8スレ主23/12/15(金) 19:56:50
玲王「ダァーメ!もうおしまい。つーか、ずっと膝立ちだから膝がいてぇの、俺は」
うあー、と玲王が立って屈伸するように足を伸ばす
凪「じゃあ、俺の脚の上に乗っかる?」
凪がポンポンと自身の太ももの上を叩く
玲王「…なんでだよ。早く足結んで練習しよーぜ」
玲王が紐を手にして互いの足を結ぼうとするが、凪はまだ引き下がらない
凪「あ、それとね?絶対に勝ちたいならもっと二人の心を合わせるのに効果的な方法があるんだけど」
玲王「え?」
凪「それはね、お互いの目を見て…」
玲王「目を見て…?」
凪のブラックホールのような瞳が玲王の紫色の宝石のような瞳を捉えて離さない
凪「このまま、キスするんだけど」
もう、それは家でやってください!
ヤバい。このままでは凪のエゴにより部対抗リレーが部対抗ハグ&キス会場になってしまう
(いや、ほぼなりかけている)
名門校の誇りをかけて、ミスター白宝玲王はその流れを阻止しなくてはいけない
玲王、ズバリ何と言って凪を止めた?
下3レスから🎲 - 9二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:05:14
嘘つくな!(デコピン)
- 10二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:19:29
「わかった、じゃあ目瞑って?」って言って期待した凪の目を瞑らせてから
「嘘は良くないぞ凪くーん」ってほっぺつねる - 11二次元好きの匿名さん23/12/15(金) 20:53:38
それ嘘だろ。調子に乗るな(ジト目)
- 12スレ主23/12/15(金) 22:00:38
- 13二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 00:48:32
🍣のレオのうなじガン見クリアファイル良いよね
- 14スレ主23/12/16(土) 03:52:26
玲王「それ嘘だろ。調子に乗るな」
玲王がいつものように凪の本気とも冗談ともつかない提案にジト目で抗議する
玲王「(コイツ表情筋動かねーから、マジでどこまで本気かわかんねぇ…)」
玲王は吸い込まれそうに深い凪の瞳の奥を見つめて、その気持ちを探ろうとするが、これ以上見つめ合うと明るいうちから変な空気になりそうだったのでやめておいた
凪「何、もしかして口にするとでも思ったの?」
玲王「は?口でもどこでもキスなんかダメに決まってんだろ、人前で!」
凪「?」
人前でするハグとキスの、どこにそんなに恥ずかしさの違いがあるのかと凪は少し考えて、結論が出そうにないので考えるのをやめる
凪「え、じゃあ投げチューしてー」
玲王「…それ以上言ったら、お前に言いたくねぇことを言わなきゃいけなくなるからもう黙れ」
凪「…」
先程までの心の通じ合いハグの意味はあったのだろうか
むしろ10秒チャージのハグをする前よりも関係性は冷え切っていた - 15スレ主23/12/16(土) 03:54:44
放送「それでは、部対抗二人三脚リレーの第一走者の方は位置についてください」
第一走者のペアがスタート位置に並び始めている
この調子だと、アンカーの自分達の出番はすぐにやって来るだろう
玲王「…」
凪の言う二人の心を通わせる精神論はともかく、少しでも紐を結んだ状態での実践的な練習がしたいと思い、玲王はまだ何か言いたげな凪を無視して、紐を八の字にして多少のゆとりが出るように互いの足首を結んでいく
玲王「足が速い方がコーナーの外側走った方が良いから…お前が外な」
そして、玲王の右足と凪の左足が結ばれた状態になった
凪「凄い、レオとピッタリくっついてるね」
玲王「うん。手ぇどうする?肩組む?腰に回す?」
凪「…レオちっさいからね。腰に回した方がいいんじゃない?」
この言葉に玲王はピクリと反応する
玲王「…は?俺がちっせぇわけねーだろ。185だぞ。日本人の平均身長よりはるかにデケェわ」
凪「え?いや、俺からしたら凄いちっさいんだけど」
玲王「…ちっさくねぇよ!」
玲王はムキになり、つま先立ちになるように少し背伸びをして凪の目線に並ぼうと対抗する - 16スレ主23/12/16(土) 04:00:33
凪「いや、ちっさいね。チョーちっさいよレオ」
凪も玲王と同じようにつま先立ちをするため、結局身長差は埋まらなかった
走者「おい、アイツら次は足首の曲げ伸ばし運動か?」
走者「本番前のアップも欠かさねぇとか…もう俺らとは意識の差がありすぎて、勝てる気がしねーわ」
いつのまにかライバル達の戦意を喪失させつつ、二人ともがつま先立ちになって高さを競い合うため、凪より体幹の弱い玲王はフラついてしまう
というか凪の体幹の強さがバケモノすぎた
グラッ
玲王「うわっ!」
玲王の腰に凪が手を回して、玲王が転けないよう支えた
凪「大丈夫?レオ」
玲王「え、あ、うん…ありがと」
互いの足首を結び、凪に腰を掴まれ、二人は今ヒジョーに密着している
玲王は「もう逃げられない、離れられない」といった焦りを、今更になって自覚した - 17スレ主23/12/16(土) 04:04:32
玲王「(いや、そりゃ二人三脚だし離れたらダメなんだけどさ…)」
凪がギュウギュウと玲王の腰に回した手の力を強めてくる
玲王「ちょ、ちょっと待てって。そんなにくっつかなくても走れるだろ?ほら、練習するぞ。かけ声は俺が出すから。イチ、で外側の足からな?」
少し及び腰気味の玲王も、二人三脚の実践練習をしようと凪の腰に手を回した
スッ
凪「ドゥア゛ッ!」
玲王「?」
凪の口から聞いたことのない声が飛び出したので、玲王は驚きの表情で凪の顔を見る
玲王「…どした?」
凪「いや、何でもない(腰骨のとこ持つのはヤバいって…)」
思いの外センシティブな場所を玲王に触られ、凪は少しヤバくなっていた。ナニが、とは言わないが
玲王「…ヨシ!じゃあ、足踏みからいくぞ?せーの!イチ、ニ、イチ、ニ…」
玲王のかけ声によりその場で二人の足踏みがスタートする
玲王「そうそう!いい感じ…!」
凪「(ちょ、ちょっと待って、かけ足するたびにレオからフワ、フワ、って良い匂いしてくんだけど…!)」
玲王の腰を掴み、自分の腰(ほぼ腰骨)を掴まれ、下手したらキスしてしまいそうな距離で玲王がニコニコと真っ直ぐな目で自分を見つめてくる
凪「ねぇ…あんまこっち見ないでくんない?」
玲王「なんで?照れんなって!」
凪の腰に回した玲王の手に、ギュッと力が入る - 18スレ主23/12/16(土) 04:08:44
凪「(あ、やっぱ無理だこれ)」
パァン!
放送「各部一斉にスタートしました!やはり有利なのは身軽な陸上部!速い速い!」
玲王「あ、そーいや部対抗だから俺らサッカーボール持つんだよな。どっちが持つ?利き手側だからやっぱ凪かな?」
ぐにっ
玲王「んむッ」
凪の方を見上げて話していた玲王は、急に顎を掴まれ、凪の親指で唇をギュッと潰すように押された
玲王「(何っ!?)」
凪「ゴメン、集中出来なくなるから…勝ちたいんなら俺と今キスするか黙るかどっちかにしてくんない?」
玲王「!?」
凪「一回チューしてくれたらおさまるかも。それかもう、黙って」
何という究極の二択なんだ
凪よ、お前の選択肢には0か100しかないのか?
というか、チューしたら色々とダメになるんじゃないのか?色々と
凪にはそーいう意味で厳しかったかもしれない玲王との二人三脚
白宝祭で総合1位を獲ったからには、部対抗リレーでだって勝ちたい玲王
二人の出番は迫ってきている。玲王は凪にどうした?
下3レスから🎲 - 19二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 05:24:04
ちゅーなんてしても凪がおさまるとは思えないので黙る
- 20二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 07:25:50
玲王がジャージの上着脱いで凪の頭に覆い被せて、他の生徒からは見えないように隠れてチュウする
(ほっぺにするか唇にするかはスレ主に任せる!!) - 21二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 10:16:24
「勝つぞ凪!」と言っておでこにチュー
(凪のデコ出し好き…) - 22スレ主23/12/16(土) 10:47:25
- 23二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 13:39:04
女神は公開チューを御所望だったか
今回の女神イチャイチャさせたがりでいいぞ - 24スレ主23/12/16(土) 16:19:03
突然、グラウンドにワッと歓声が上がった
玲王「!?」
凪に顎を掴まれていた玲王が、顔をブンブンと振ってその手から逃れる
そして、すぐさま声のする方を見ると、なんと陸上部以外の走者はほぼ全員フザけていた
いや、フザけているというより、リレーをしながら”忠実に部活動をしていた”のだ
玲王「は?な、なんだありゃ…」
バスケ部はボールを地面に突きながら走っているし、バレー部はトスを上げながら器用に進んでいる
剣道部は素振りをしているし、サッカー部はドリブルをしながら走っていた。しかも、当然みんな二人三脚で
玲王「オイ、フザけんな!こんなのぜってぇ陸上部が勝つに決まってんじゃん!やり直しだろ!」
熱くなって怒り出す負けず嫌いの玲王を、隣にいる凪が「やれやれ、うちのBOSSは」と言った目で見ている
凪「…あのね、レオ。うちみたいな進学校がスポーツ強豪校みたいなガチの部対抗リレーするワケないじゃん。二人三脚になった時点でこの種目はネタ枠なんだよ、ネタ枠」
玲王「ネタ枠…?」
そう、普段勉強漬けの白宝生達
スタートの合図と同時に陸上部以外がネタに走った
ガチで競うよりも、競技を盛り上げて女子達からの可愛い声援を浴びたいという気持ちの方が、彼らの中で勝っていたのだ - 25スレ主23/12/16(土) 16:36:00
- 26二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 16:38:28
イラストまで、ありがとうございますッ!
凪なら玲王を小脇に抱えて、ドリブルしながらでも普通に走れるよね?二人三脚のルール違反かなぁ? - 27スレ主23/12/16(土) 16:41:32
玲王「…なぁ、こんなんでホントに集中出来んの?」
恐らく誰にも見られていなかったはずだが、自発的にキスするのと、言われてするのとでは恥ずかしさが全然違う
玲王は顔を赤らめて凪を見上げた
凪「うん…大丈夫」
玲王「(ほんとかよ?)」
心なしか凪がいつもよりフワフワしていて、後ろにお花畑が見える気がするのだが大丈夫だろうか、と玲王は少し不安になる
凪「じゃあ、レオはなるべく高く遠くにパス出して」
玲王「パス?」
凪「そ、俺らがそこまで走って、俺がそれをトラップすれば一応サッカーしてるコトになるでしょ?」
ほんとかよ…
というか、上手くいくのか?それで?
二人の部対抗二人三脚リレーの結果を下3レスから🎲 - 28二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 16:45:10
ちゅーパワーで1位
- 29二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 16:46:58
有言実行凪誠士郎 チューの力で当然1位!
- 30二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 16:54:51
もちろん1位で観客から拍手喝采
- 31スレ主23/12/16(土) 17:59:32
- 32二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 18:46:19
愛は勝つる
- 33二次元好きの匿名さん23/12/16(土) 22:38:07
強い
- 34スレ主23/12/17(日) 04:28:28
玲王「…それって、蹴ったボールより速く走るってコトだろ?」
凪「うん。まぁ、そうなるね」
凪は玲王からの公開デコチューに浮かれているのか、どこか他人事のような返事だった
玲王「そうなるね、って、あのなぁ…」
ハァァ、と玲王が大きなため息を吐く
玲王「俺ら千切とか斬鉄じゃねぇし、しかも二人三脚で足縛ってんのにそんな速く走れるワケねーじゃん」
凪「じゃあ、相手を遅くしたらいいんじゃないの?」
玲王「え?」
凪「レオなら撃てるでしょ、アイツらの真上に落ちるようなロングパス」
玲王「…(それ、進路妨害で失格になるんじゃねぇの…?)つーか俺、利き足縛られてんだけど」
凪「まぁまぁ、いーから。ほら、行くよ」
それ以上考える暇を与えられず、玲王は凪に腰を掴まれ、引きずられるようにしてスタートラインに立つ
先に陸上部のアンカー達がバトンを受け取りスタートして、その後ようやくサッカー部の走者がコーナーを曲がってくるのが見えた - 35スレ主23/12/17(日) 04:31:55
部員「キャプテ〜ンッ!パスっス!」
玲王「ヨシッ!まかせろっ!」
サッカー部員からバトン代わりのボールがパスされる
玲王は内心では部員達に対して「お前ら何ネタに走ってんだよ!アイドルとのデートも、石垣牛のステーキも、全部没収するぞ!」と言いたかったが、あくまで体育祭は祭りである
周りの雰囲気に合わせてネタにノるのも大事なコトだ
玲王「(でも、あきらめてたまるかよ…!ネタにノって、それでも勝つのは俺たちサッカー部だ!)」
玲王が利き足とは逆の左足でロングパスを撃ち上げる
生徒「え?たっか!」
生徒「玲王様ドリブルミスった?」
そのボールは高い放物線を描きながら、前を走る陸上部の頭上に吸い込まれるように落ちて行く
陸上部「イテッ!」
陸上部「うわっ!?」
急なアクシデントにより足止めをくらった陸上部の隙をつき、猛ダッシュで迫っていた凪と玲王の二人がそこに追いついた
「イチ、ニ」のかけ声すらもうない
玲王が凪の走り方を複写していたのだ - 36スレ主23/12/17(日) 04:37:31
玲王「よっしゃ凪!行くぞ、区間快速!」
凪「各駅停車すっとばし〜」
玲王がリレーのゴール手前に向けて再びロングパスを出し、ゴール前行き、現地集合なサッカー部、になるはずだった。しかし———
陸上部「甘いぞ、お前ら!」
陸上部「ボールでの妨害行為とか卑怯だろ!」
陸上部が後ろから猛追を始め、凪のトラップで取るはずだったそのボールは陸上部に奪われてしまう
玲王「なっ!?(速ッ!)」
凪「おいッ!!やめろバカお前ら!せっかくレオが俺のために出したパスッ!!」
凪はガチギレ寸前である
なぜなら攻撃意識が99ならば独占欲は100
「レオのパスは全部俺のもの」な男だからだ
陸上部「ハハ、お前らコレがなきゃゴールできねぇんだろ!」
陸上部「サッカー部はそこでボール拾いでもしときな!」
先程頭上からボールを落とされ、足止めされた陸上部からの反撃
彼らのキックによりボールは凪達の方へ逆戻りしたかと思いきや、パスとは違い闇雲に撃たれているためその軌道は大きく逸れている
生徒「あんなのとれないよ!」
しかし、天才にはそのボールを取るコトなど造作もなかった - 37スレ主23/12/17(日) 04:42:54
凪「ほっ!(瞬間吸収!)」
凪は飛んできたボールを器用につま先で捉え、そのまま足を後ろに引きボールを地面に叩き付けてタップリフトをする
そして玲王の腰をさらに強く引き寄せ、凪はそのまま右足でシュートを撃ち抜いた
陸上部「んなッ!?」
陸上部「あぶねぇッ!!」
ドスッ!!
凪の撃ったボールは陸上部二人の顔面を次々と襲う
陸上部「「ゴハッ!!」」
陸上部が倒れた隙に凪と玲王はダッシュし、側に落ちていたボールをドリブルしてそのままゴールした
パァン!!
放送「部対抗二人三脚リレー!1位は見事な連携プレーを魅せてくれたサッカー部です!」
観衆「「ワアアァァアア!!」」
生徒「すごーい!はじめて生で凪のサッカー見た!」
生徒「玲王様もやっぱりパス上手すぎ〜!」
生で有名選手のプレーを見たことで、会場の観衆も大いに湧いている - 38スレ主23/12/17(日) 04:49:33
玲王「よっしゃあ!!」
サッカー部の勝利に喜んだ玲王が、興奮して凪に抱きついた
玲王「スゲェッ!お前の読み通り、よくやった!」
凪「言ったでしょ?ちゅーのパワーは凄いんだよ」
玲王「ハハ、そうかもな。じゃあ今度から試合前にいっつもキスするか」
凪「え」
何気なく口にした玲王の冗談により、凪の瞳が闇のガンギマリモードに突入する
陸上部「オイ!反則だろこんなのッ!」
ボールの当たった鼻を押さえながら、後ろで陸上部が抗議していた
凪「え、ワザとじゃないし。ちょっとドリブルミスっただけだよ。ね?レオ」
凪は足がまだ縛られたままなのを良いことに、ギュウギュウと玲王に抱きついて離れない
玲王「おい…(近いって)、もう二人三脚終わったんだから、足の紐外すぞ?ちょっと離れて」
息が上がり、薄っすらと汗をかいた玲王が、凪の胸元を両手で押して身体を離そうとする
凪「…あ」
放送「以上で、体育祭午前の部は終わりです。只今よりお昼休憩に入り、再開は午後◯時を予定しております———」
凪「や、無理かも…」
玲王「え?」
玲王は、自分の肩を掴んだまま離れようとしない凪を、訝しそうな表情で見上げた - 39スレ主23/12/17(日) 04:57:00
凪「あの、実は、その…ちょっと誠士郎が元気になっちゃって…」
凪「(ヤバい、デコチューからずっとヤバかったのが、今の顔赤いレオ見て一気にキタ…)」
玲王「え、お前のイマジナリーフレンドの『セイシロー』?」
凪「は?(イマ…?)何ソレ」
屋上で噛み合わなかった会話のツケが、今、訪れている
どこまでめんどくさいんだこの二人
凪「(あの時、レオはどんな俺でも大好きだし、全部受け入れたい、って言ってくれたよね…)」
このまま玲王から離れてしまっては、誠士郎が顕現状態なのが人目についてしまうと、凪は誠士郎を隠すように再び玲王にハグをした
玲王「…!?」
玲王「(えっ、なんか、当たってる…)」
観衆「さ、お昼ご飯!お昼ご飯!」
昼休憩ということで生徒達は教室に戻り、グラウンドの人影はまばらである
観衆「ねぇ、あのサッカーの子達またハグしてるわね」
観衆「ああ、サッカー選手ってゴールした後に抱き合ったりするし、それじゃない?」
観衆「へー、なるほど。そっか」
ゴール違いなのだが…
これがいわゆる正常性バイアスと言われるものなのか
この超エリート進学校のグラウンドのド真ん中で、まさか勃◯した(ピーーー)を同級生に押し付けている男がいるとは、誰も思わなかった - 40スレ主23/12/17(日) 05:09:14
凪「(どうしよう…今、動けないけど、くっついてんのも余計にキツい…)」
玲王「(えー…リレーで興奮したから?っとに、しょーがねぇなぁ…)」
玲王もさすがに動けないでいる凪の事情を察して、少しの間ジッとしていた
玲王「…いや、でも、ずっとこうしてられねぇだろ?このあと応援合戦あるし、俺らも早く昼飯食っとかねーと」
凪「うん」
玲王「ハァ」
ため息をついた玲王が、ジャージのジッパーに指をかけて下げていく
凪「え!?」
玲王「バカ、変な期待すんなよ。お前の腰んトコに俺のジャージ巻くだけだって」
凪「ああ…」
それはそうだ、こんなところで何かが始まるワケがなかった
しかし、途中であることに気付いた玲王がジッパーを下げる手を止める - 41スレ主23/12/17(日) 05:13:38
- 42二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 07:16:42
凪をおんぶして連れてく(白宝生には見慣れた光景なのでまたやってるよあいつら〜くらいにしか思われない)
- 43二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 11:44:47
玲王を抱きかかえて隠しながら移動
抱き方はお姫様抱っこと悩んだのですが、向かい合って抱きかかえる感じで - 44二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 13:57:03
凪もジャージ着てることに気付いた玲王が「俺は脱げないから、お前その上着脱いで腰に巻いとけよ」と提案する
抱っこチャンスキャンセル!💔 - 45二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 14:01:37
挿絵もSSも最高過ぎるよー
- 46スレ主23/12/17(日) 19:11:46
- 47二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 19:14:51
駅○?
- 48スレ主23/12/17(日) 19:17:46
(公開駅◯とか誠士郎大丈夫なのか…?今回の女神マジで強火)
- 49二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 19:22:35
記憶が正しければこの2人前に白宝生に駅○してたってウワサ立てられてなかったっけ?笑
- 50二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 19:26:21
誠士郎が元気なのに駅○スタイルって、それは玲王のお尻に誠士郎が当たって擦れて大変エッ…なのでは???
- 51二次元好きの匿名さん23/12/17(日) 22:37:00
色々と危ないのでは?
- 52スレ主23/12/18(月) 04:44:38
凪「えっ、じゃ、じゃあこの下は、チアのミニスカ履いてんの…?」
凪は、現在進行形で不可抗力により誠士郎を当てている玲王のジャージのズボン…その中を、持ち前の妄想力をフル活用しながら想像していた
凪「(はぁ…ヤバ…。外、全然暑くないのに鼻血出そう)」
さっき玲王の腰に手を回した時も、借り物競走でお姫様抱っこをした時も、気分が舞い上がり過ぎていて、触っていたハズなのにその感触をよく覚えていない
あの時に違和感がなかったということは、玲王はミニスカは履いていないのかも知れない
それとも、やはり自分が浮かれていて気づいていないだけなのか
玲王「さぁ、どっちでしょー?」
玲王はニヤニヤとからかうように、凪を上目遣いで見る
凪「…何、それって、確かめてみてもいいってコト?」
玲王「ハハ、確かめるって、どーすんだよ。ここで脱がすのか?凪くんはエッチだなー?」
凪「…」
おやおや、どうしたことか。この玲王、いつもに比べて余裕がある
無意識にエッチなお姉さんムーブをしてしまうくらいには
それがDTに対してどれほど危険な行為か、玲王はまだ理解っていないらしい
肉食獣の前に丸裸で突撃する様なものなのに - 53スレ主23/12/18(月) 04:53:10
しかし、玲王がここまで強気なのには理由があった
なぜならここは昼間の学校のグラウンド
超ド健全・NOTセンシティブな安全地帯
周りでは体育祭の観覧に来た保護者達が弁当を広げて、和気藹々と食べている
だから「こんな場所で凪が何か仕掛けてくるはずがない」と、玲王は踏んでいたのだ
いや、既に誠士郎を押し付けられていることを除いては、だが
玲王「(いっつもやられっぱなしだから、お返しだよ。ベロベロベー)」
玲王は心の中で凪に向けてベッと舌を出している
油断するな。そういうところだぞ、御影玲王
凪「…」
しかし、ここで引かない、空気を読まないのがこのエゴイストである
いちいち細かいコトを気にしていては、陸上部の顔面にボールをぶつけるような非人道的なシュートは撃てない
ハグするために玲王の背中に回されていた凪の手が、玲王の背筋を伝って腰へと下り、さらにその臀部へと伸びていく - 54スレ主23/12/18(月) 05:00:02
玲王「は?(え、どこ触ってんだよ、人前だぞ!?)」
玲王が抗議する様にキッと見つめた凪の瞳は、グルグルと渦を巻いていた
元からそうだが、凪には人前だからどうとかは関係ない
玲王がジャージの下にミニスカを履いているのか否か、それを確かめるのが今の凪にとっての至上命題だった
玲王「(ウ、ウソだろ…?本気かよ?)」
たしかに凪を煽ったのは自分だが、まさか本当にこんなド健全な場所で何かしてくるとは思わず、玲王は驚きで金縛りにあった様に動けなくなる
二人の心臓は、二つの異なる理由によって早鐘のように激しく鳴っていた
凪「…脱がさないけど、触ってみたら、分かるよね」
玲王「…ぁ」
観衆キッズ「あー!!僕の唐揚げ取ったー!」
観衆「コラコラ、まだたくさんあるからケンカしないの!」
玲王「!」
テントの下で昼食にはしゃぐ観衆の声が耳に飛び込んで来たことで、玲王はハッと我に帰る - 55スレ主23/12/18(月) 05:06:14
玲王「あ…(ヤバい、また凪のペースになるとこだった)えっと、俺たちも早く弁当食わなきゃな!お前ジャージの下はフツーのシャツ着てんだろ?ちょっと寒いかも知んないけどさ、それ腰に巻いてさっさと校舎の中入ろうぜ」
玲王が凪のジャージを脱がせようとジッパーに手をかけたその時、凪の手が玲王の臀部から太腿の裏を通り、そのまま膝裏を持って身体を抱え上げた
THE・駅◯スタイルの完成である
玲王「ッ!?え、なにッ!?」
咄嗟に出てしまった玲王の驚きの声と、190cmが185cmを抱え上げたことにより、シンボルタワーの如く二人は周りの視線を集めてしまう
ザワザワ…
玲王「ちょ、おまっ、おろせって!」
「また変なウワサが立つだろッ!」と、玲王が凪の耳元で小声で告げるが、凪には通用しなかった
凪「何言ってんの。もう校内で駅◯してるとか散々ウワサになってるし、そんなの今更でしょ」
でも、それにしたってあの時とは何かが違う…
だって当たってしまっているのだ
紛れもなく、確実に、ナニかが…!
玲王「いや、ダメだろ、これは…(ちょ、マジで、なんかヤダ)おろせよッ!」
玲王が凪の肩を押してその手の中から抜け出そうと身を捩るが、玲王の尻を掴み、腰を押し付けるようにして抱えている凪の手はそう簡単には外れなかった - 56スレ主23/12/18(月) 05:15:13
玲王「(この馬鹿力っ…!マジで全然振り解けねぇじゃん!)」
凪「ねぇ、危ないから暴れないでよ。ここで脱がされるのと、触って確かめられるの、どっちがイイの?」
玲王「は!?脱がすのが一番ダメに決まってんだろ!」
凪「じゃあこのまま触りながら移動だね。ハイ、決まり」
玲王「!?」
凪は玲王を久々の駅◯スタイルでしっかりと尻を触って前に抱えたまま、校舎に入るため昇降口へと移動する
in 昇降口
生徒「あ、玲王様だ」
生徒「また凪がベタベタ触ってる〜」
生徒「いや、ベタベタどころか駅◯してんじゃん」
何事においても習得の早い白宝生達は、二人を見てももう驚きもしていなかった
しかしそんな彼らの平静さを揺るがす発言が、シンボルタワーの如き二人からこの後飛び出す
玲王「(クソッ、もぉー、早く終われって…)」
凪「あー、そろそろ靴履き替えなきゃ」
下駄箱に着いたことで、凪は名残惜しそうにしながらも駅◯スタイルのまま玲王の背中を近くの壁に押し付けた - 57スレ主23/12/18(月) 05:20:22
玲王「ッ!?」
凪「降ろす前に、最後に確認しとかなきゃね。レオが意地悪して全然教えてくれないから」
玲王を抱えたままの凪は、ジャージ越しに確かめる様にして玲王の尻の辺りを触っていく
玲王「こんなとこで、そんな触んなよ…!」
凪「えー、わかんない。履いてんのかな、履いてないのかな…ねぇ、どっちなの?」
生徒「(うわ…エッロ)」
生徒「(履いてないんだ…?履いてないんだ玲王様)」
生徒「(玲王様…もしや、ノー◯ンなんですの…?それはそれは…どうかお風邪など召されません様に)」
ミニスカを履いているかどうかのくだりなど知らない白宝生達からは、『玲王様ノーパン疑惑』が浮上してしまっていた
凪「ねぇ、これ以上触ってもいいの?履いてるかどうか正直に答えたら降ろしてあげるけど」
凪くん…それだけ触ったんならもう聞かなくても分かるでしょ
結局玲王はミニスカを履いていたの?履いていないの?どっちなの?
というか玲王がそろそろキレそう
玲王の答えを下3レスから🎲 - 58二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 05:25:11
スカートは皺になりそうだったから履いてない
- 59二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 08:20:33
履いてるけど短パンの上に履いてるし別に問題ない
- 60二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 10:54:05
履いてない!(※ミニスカの話)
- 61スレ主23/12/18(月) 18:53:21
- 62二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 20:10:13
スレ主の絵の供給が多くて嬉しい
ドラマ分からなくて申し訳ないけどそのパロ設定めちゃくちゃイイネ! - 63二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 22:41:01
元ネタ知らないけど
その設定の凪玲王は良いな - 64スレ主23/12/18(月) 23:03:29
体育祭の昼休憩———
ほとんどの生徒は教室に戻って昼食をとっているとはいえ、昇降口にも午後の準備のためまばらに生徒達はいる
そんな状況でも、凪は玲王を抱えたまま壁に押し付け、自分が主導権を握っているコトに浮かれていた
凪「(うわー、この逃げられない感じめちゃくちゃイイな…しかも駅◯って服着たまんまするのにイイんだよね。あー、レオがミニスカチア着てんならこのままジャージ脱がせてシたいなぁ…)」
凪の妄想は止まらない
先ほど玲王のチア衣装を少しだけチラ見してしまったことにより、その想像力はもはやアンストッパブルであった
凪「えー、やっぱ触ってもわかんないから脱がせてイイ?」
ザワザワ…
生徒「え、玲王様、あれ大丈夫なのかな」
生徒「先生呼んできた方がいい?」
玲王が俯き黙っているので、その様子からふざけているのではなさそうだと周りの生徒達が心配し始める
止まれ妄想、燃やせ性春、狂え人生…
いや、このままでは違う意味で二人の人生が狂ってしまいそうだった 👮♂️<ヨンダ? - 65二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 23:12:37
スレ主絵かわいい!
いつもありがとうございます! - 66スレ主23/12/18(月) 23:22:48
玲王「…履いてるけど」
ぽつり、とそれまで黙っていた玲王が呟く
凪「マジかよ…、スゲェ…!」
凪の瞳にハイライトが集まり、玲王を見る瞳に熱が篭った
生徒「(え、玲王様がパンツ履いてるだけで、寝太郎は何がそんなに嬉しいの?)」
生徒「(何だろう…紐パンとか、もしかして特殊な下着をお召しなのかしら)」
心配する生徒達をよそに、玲王は一人自省していた
玲王「…(グラウンドでいきなり尻触られて、ビックリしてうまく声出せなかったけど…俺が凪のこと煽らずに最初からちゃんと正直に言っとけば、こんな事にならずに済んだんだよな…)」
いつも凪にいい様にされているから
たまには自分が凪のことを動揺させてやろうと思って、グラウンドではぐらかす様なことを言ってしまったけど
そのせいで結果、凪を暴走させてしまっている
凪がコスプレに関しては特におかしくなるのなんて、もう何度も経験しているのに
人に甘くて自分に厳しい玲王は、どこまでも自責傾向にあった - 67スレ主23/12/18(月) 23:33:22
玲王「(だからちゃんと冷静に伝えて、早く凪の目ぇ醒まさせなきゃ)」
玲王は今の自分の格好を、はぐらかしたりせず、事実のみを淡々と凪に伝えることにした
玲王「短パンの上に履いてるし、別に問題ない」
凪「問題ないって何が?ここで脱がせてもイイよ、ってコト?」
しかし浮かれきっている凪の暴走モードは止まらない
生徒「(短パンの上に、履いてる…?)」
生徒「(あら?もしかして、パンツの話じゃないのかしら)」
玲王の気も知らない凪が、玲王の耳元に顔を寄せてコッソリと告げた
凪「ねぇ、場所変える?この後の応援合戦で他の人に見せるより先に俺に見せて」
なんなんだろう。この凪のコスプレへの執着は
なんとか落ち着いて元の凪に戻って欲しいけど…
他の人より先に玲王のチアのコスを見せてと言っています
でも、見せたらもっとヤバくなるのは間違いない
どうする?玲王の返事を下3レスから🎲 - 68二次元好きの匿名さん23/12/18(月) 23:37:20
とりあえず凪は暴走してるし人目があるので2人だけになれる場所へ行く
どう落ち着かせるかは移動しながら考える - 69二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 00:29:58
じゃあ先にお前のチア姿見せてよ。俺たちは何する時も一緒だろ?
- 70二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 06:05:39
ネタバレになるから人目のないところでな。お前もチアの衣装着るんだろ?お前も見せろよ!
それより昼休み終わるぞ?腹減ったから早く弁当食べよう
(学校だぞ、暴走するなよ凪!) - 71スレ主23/12/19(火) 07:36:43
イベントシーズンはコスプレだらけなので玲王にとっては受難の時季…?
dice1d3=1 (1)
以下、長いけど『人外SP×美人社長』ドラマ(『マイ・デー◯ン』)の説明。興味ある人は読んで
人間と契約をして命をとる冷酷な悪魔(凪)
ひょんなことから悪魔の力(手首の十字架✝️のタトゥー)が美人社長(玲王)の手首に移ってしまう
その力は社長が単体で使えるわけではなく、悪魔が社長の手首(のタトゥー)に触れた時のみ力を発揮する
悪魔は社長の手首に触れなければ力が使えず、ただの人間と同じ
そのためいつでも力が使える様に、そして社長から力を取り戻す方法を探るため、相続問題で命を狙われる社長の近くでSPをしながら一緒に過ごすことになる
優しく人間らしい社長と一緒に行動していくうちに悪魔は愛を知り、悪魔になる前の人間だった頃の感情を次第に思い出していくというラブストーリー
魔力を充電🔋するためにくっついたりするのがここの凪玲ちゃんぽいんだ
何見ても凪玲に見えるのあるあるだよね〜!
- 72二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 19:06:48
2人きりになって大丈夫かな!??
- 73二次元好きの匿名さん23/12/19(火) 20:39:11
凪もオレオしてそうな素敵な設定や
- 74スレ主23/12/20(水) 00:27:14
玲王「(コイツ、まためんどくせぇこと言ってる…)」
先程から好き放題触り、調子に乗っている凪に対して玲王は「やっぱ悪いのは俺じゃなくてすぐに暴走するお前だろ!」と怒り出したい気持ちになった
しかし、これ以上周りの生徒達の注目を集めるのは玲王にとっても不本意である
玲王「(とりあえず凪は暴走してるし、人目があるからここから移動しねぇとな…)」
玲王はとにかく凪を落ち着かせることを最優先に考えた
玲王「うん、(お前の気持ちは)分かった」
凪「え!」
凪はてっきり玲王が自分の提案に応じてくれたと思い、さらにテンションを上げる。ただし表情筋は固定
玲王「だから、さ…二人だけになれる場所、行こ?」
凪「…ッ!」
腕の中にいる玲王が欲情からか瞳を潤ませ、首を傾げながらそう言ってくれたので、凪はもう嬉しくてたまらなくなる
凪「ありがとうございますッ!!」
玲王「(ビクッ!)」
しかしそれは凪の勘違いで、同じ興奮でも、玲王は苛立ちから感情が昂ぶり涙目になっているだけであった
玲王「…なぁ、自分で歩くから、もう降ろしてくんねぇ?前はお前のジャージで隠せば良いだろ。ほら、行くぞ」
凪「〜♪」
玲王「(聞いてんのかよ…)」
凪の腕から降りた玲王は、頭の中お花畑の凪のジャージを脱がし、その腰にギュッと巻き付けてやる
凪はすっかり玲王のコスプレを誰よりも早くフライングチェック出来る気でいた
玲王「(どう落ち着かせるかは、移動しながら考えよ…)」
そして二人は昇降口から校内へと移動する - 75スレ主23/12/20(水) 00:36:15
in 玲王の教室
玲王「凪ー?ハハ、美味いか?今日は早起きしてお前の好きなのたくさん作って来たんだぞ」
凪「モグモグモグ…」
そこには赤組の玲王の教室のど真ん中で、くっつけた二つの机の上いっぱいに、おかずやサンドイッチ、果物が詰まった洋風三段弁当を広げて食べる凪と玲王がいた
生徒「ちょ、なんで白組の寝太郎がここにいるのよ…!?」
生徒「知らないけど、まぁ借り物競走の時頑張ってウチの組の勝利に貢献してくれたからいいんじゃない?」
玲王のクラスメイト達が凪の背後でヒソヒソと喋っているが、その声は凪の耳にも思いっきり届いている
凪「(なんでレオと二人っきりの場所じゃなくてこんなに人がいっぱいいる教室で弁当を食べてるのかって…?そんなの、俺が一番知りたいんだけど)」
玲王「ホラ、あーん。運動後はタンパク質とらなきゃなー?」
玲王がフォークで刺した高そうなステーキ肉を凪の口に入れようとする
凪「…うん、さっきいっぱい運動したもんね。駅◯すんのって結構筋肉使うんだモガガ!?」
凪は玲王に「もう黙れ」と言わんばかりに、無理矢理口の中に肉を詰め込まれてしまった
玲王「美味しいー?もぉ、口んとこ付いてるぞー?」
凪「えー、どこ?取って〜」
玲王「…(なんか期待してる凪には悪いけど、こーやって人目があるところで昼の休憩が終わるまでやり過ごそ…)」
玲王は凪の口元を拭きながら、後から凪に何か言われるのは覚悟でとりあえず今は安全策をとろうと考える
せっかくみんなで練習した応援合戦に、暴走中の凪と二人きりで過ごしたことで不測の事態で出られない、なんてことは絶対に避けなければならなかった - 76スレ主23/12/20(水) 00:44:10
凪「モグモグ…ねぇー、約束と違わない?」
しかし、やはり納得がいかない様子の凪がジト目で玲王を見る
玲王「約束?」
凪「さっき、下駄箱のとこで『二人だけになれる場所行こ』って俺に言ったじゃーん」
生徒「(うわ、寝太郎またぶりっ子してる…)」
生徒「(玲王の前だと分かりやす過ぎでしょ、アイツ)」
凪は分かりやすく口を数字の3のように尖らせて、玲王に甘えた声を出していた
玲王「あ、ああ…いや、実はな、今着てる応援衣装って、まだこれで完成じゃないからさ。ホラ、未完成の状態で見せんのは…なんか違うじゃん?」
凪「?え、衣装って白組の色違いでしょ?ポンポンのこと?」
玲王「じゃなくて…うーん…」
上下のチア衣装とポンポンでコスプレ完成だと思っていた凪は、何のことか分からず玲王に尋く
玲王「まぁ、詳細はヒミツ。見てからのお楽しみのがいいじゃん?…あ、つーか部対抗リレーの時マジで面白かったよなー。だってあの時のお前さぁ」
凪「(…コスが未完成って?何?そんだけ引っ張られたら、スゲー気になるんですケド…)」
凪はおあずけされたことに全然納得はいっていないものの、自分の目の前で玲王が楽しそうに話をしながら手作り弁当をあーんしてくれるのが嬉しくて、結局そのままコスプレチェックの件はうやむやになってしまった - 77スレ主23/12/20(水) 00:47:13
そして午後の部———
〜♪
放送「お待たせしました!それでは、これより体育祭後半の部をスタートします。まずは応援合戦先攻、白組さんは準備に入ってください」
白団員「えーっ、どう?似合うー?」
白団員「盛れてるよ〜!この写真ストーリーあげよ!」
本番前、白組応援団達は白を基調に青と黒が差し色に入ったチア衣装を身に纏い、シルバーのポンポンを手にしてSNS投稿用の自撮りに夢中だった
凪「(ヤバい…どうしよう)」
そしてその後ろでは、どうしたことか、ミニスカチアの衣装に身を包んだ190cmが途方に暮れている
凪「(ヤバ…。ピッチピチの、ぱっつんぱっつんなんだけど…しかも食後だし、ヤバい、マジでちょっと動いたら張り裂けそう)」
そう、ここ最近は体育祭準備のため部活が休みだったのにもかかわらず、玲王が手作り弁当を作ってくれたりカフェテリアに誘ってくれて栄養のある物をたくさん食べていたので、凪は少々太ってしまっていたのだ
白宝祭での悪夢再び
しかし出番はもうすぐ…今回は家庭科部に直してもらう時間的余裕などない
凪「(…適当にゆるい動きで応援すればいっか、俺ゆるキャラみたいな扱いされてるトコあるし…)」
そう考えた凪が、チラリと白組団長達の方を見る
白団長「お前らーッ!!ついにこの日が来たーーッ!」
白団員「「ウォォーーッッ!!」」
凪「!?」 - 78スレ主23/12/20(水) 00:51:16
白団長「こん中にィィ、俺らが赤組に負けるとか思ってるヤツ、いるうぅぅうッ!?」
白団員「「いませぇぇえーーンッ!!」」
白団長「いねぇよなあぁあ!?じゃあ、今ここにィィ、白組応援演技で全力出せねぇとか日和ってるヤツ、いるうぅぅうッ!?」
しばしの沈黙が周囲を支配する
白団長「いねぇよなぁあ!?」
白団員「「ウワァァーーッ!!」」
凪「!!?」
白団長「泣いても笑ってもォォ、今日が本番だぁーーッ!!悔いなく、気合い入れて行くぞ!?白組ィィイーッ!!ウェーーイッッ!?」
白団員「「ウェーーーイッッ!!!」」
凪「うぇ、うぇーーーいっ!!」
一呼吸遅れつつも、なんとか凪もその意味不明なハイテンションについて行こうと努力を見せる
凪「(む、無理だコレ…この中で手ぇ抜くとかぜってームリな空気…てか、うちチアだろ?なんで今日の団長サン不良漫画の総長みたいなノリしてんの…?)」
白組団長が昨日◯リベを読んで影響されたかどうかは定かではない
そして、気合い入りまくりの白組応援団の中で、凪はパツパツの衣装に気を遣って、手を抜いた演技をできる空気でもなかった
凪「(クソッ…!また張り裂け覚悟でやるしかねぇのか…。ん?そういえば俺って、この後レオのチアの写真撮れるよね…?)」
ディ◯ニーデートの時は、他の(主に玲王とセッ出来るかとか、セッ出来るかとか、セッ出来…∞)コトに気を取られ過ぎていて、せっかくのエッチな吸血鬼コスの玲王の写真を撮るのを忘れていたのだ
凪誠士郎、痛恨のミス…!
凪「(だから、今回は絶対チアの写真撮るぞ…!)」
凪はひっそりと決意を固めていた - 79スレ主23/12/20(水) 00:54:41
凪「(一応確認だけしとくか)あ、あのー」
白団員「ん、何?(お、はじめてこの子から話しかけられた)」
凪「白組の応援の後って、すぐに赤組の応援デスか?」
凪は珍しく自分から団員に話しかける
自分達の応援演技の後に、スマホを取りに戻る余裕があるのかを確認したかったのだ
白団員「うん、そーだよ。続けて演技をして、どっちが良かったか生徒やお客さんに投票してもらうからね」
凪「あの、じゃあ赤組の時って、俺たち暇デスよね…?」
チアの衣装にスマホを仕舞っておけるようなポケットやスペースはない
スマホを荷物置き場に取りに戻るのはマストである
白団員「え、全然暇じゃないよー?」
凪「へ?」
白団員「だって、私達は赤組の演技中その場で立って見とかなきゃいけないからね」
凪「は、はい…?」
凪の中で、『ミニスカ玲王撮影計画』がガラガラと音を立てて崩れて行った
凪「(ま、また…?また俺は、レオの写真撮れないの?)」
ハロウィンの時は完全に欲に走った結果の自業自得なのだが…
190cmパツパツミニスカチアの凪は、よろめきながらもなんとかチア衣装の玲王の写真を手にするべく、その天才的頭脳を無駄にフル活用し始める - 80スレ主23/12/20(水) 00:59:15
白団員「おーい。君、大丈夫?もう本番はじまるよー?」
凪「す、すいません!ちょっと急用を思い出してッ…!」
白団員「あっ、ちょっと!」
凪「(クソッ、こーなったら誰かに頼むしかないのか!?写真…写真といえば…ハッ、そうだ!写真部員1ッッ!!)」
本番直前、凪は気休め程度にジャージを羽織り、グラウンドをダッシュして写真部員1を探す
ザワザワ…
観衆「ママー、あそこに大きい変な人がいるー」
陸上部顧問「あのチア…めちゃくちゃ足速いな…!」
ズボンを履いていないので凪は隠さなきゃいけないところ(生足)が何も隠れていないのだが、もうそんなコトはどうでも良かった。それよりも最優先はミニスカ玲王の写真の確保である
凪「(どこだっ!?必ずいるハズだ、アイツは…!!)」
そして、凪は動体視力にものをいわせ、写真部員1を本部役員テントの下で見つけた
凪「あ!(いたっ!)おいっ!!盗撮ヤロ…じゃなかった、写真部員1〜ッッ!!」
息を切らしながら凪がテントに走り込んでくる - 81スレ主23/12/20(水) 01:05:10
写真部員1「うわっ!凪!どうしたのその格好!?」
凪「ハァ、ハァ、俺のことは、今はどうでもいいんだよ、それよりお前…今日レオの写真撮るんだろ?」
写真部員1「え、そりゃ撮るよ」
凪「(…やっぱり)油断も隙もないな。盗撮もここまで堂々としてるとか」
写真部員1「いや、人聞き悪いなぁ。今日はちゃんと『玲王様専属カメラマン』として生徒会に任命されて撮るんだよ」
写真部員1は少し誇らしげに腕についている腕章を凪に見せた
凪「くっ…(あのドスケベ会長…!俺のレオに自分のエゴ=ミニスカチアを着させるだけじゃ飽き足らず、専属カメラマンまで用意してるだと…!?用意周到すぎるだろ、この変態がッ!)」
ここに会長がいたら「安心しろ、玲王君の写真をゲットするためにミニスカチア姿で走り回ってるお前の方が変態だ」と言われるだろう
凪「フゥ…まぁ、そのレオ専属カメラマンが話の通じるお前で良かった。そのデータ、あとで俺にもコピーしてくんない?言い値で買うからさ」
これで玲王の写真はなんとかなりそうだとホッとした凪が、写真部員1に交渉を持ちかける
写真部員1「…ヤダよ」
凪「ハァァ??」
本番はもうすぐなのに写真部員1に断られてしまい、凪は焦りから変な声が出てしまった - 82スレ主23/12/20(水) 01:07:56
〜♪
放送「それでは、ただ今から白組応援団の演技です。皆様、拍手でお迎えください!」
パチパチパチパチ…!
写真部員1「だって白宝祭のメイド喫茶のために僕のカメラ貸した時、君がくれた玲王君のメイド写真はめっちゃ見切れてほぼ看板の写真だったじゃないか!!」
凪「ギクッ!」
写真部員1『僕のお下がりで良ければ貸してもいいよ。その代わり、君が撮った玲王君のメイド写真1枚くれるかい?』
凪『…仕方ないなぁ(めっちゃ見切れてほぼ看板の写真でも渡しとけばいいか)』
写真部員1「だから、君のことはもう信用出来ないんだよ。悪いけど他を当たってくれないか」
な、なんということでしょう…
頼みの綱の写真部員1が言うことを聞かない?
写真を、くれない…?
それもこれも全て凪の身から出た錆だけど…
どうしても玲王のミニスカチア写真を手に入れたい凪
どうする?写真部員1にさらなる交渉を持ちかける?
もう本番始まっちゃうぞ!
果たして写真ゲットのために凪のとった行動とは?
下3レスから🎲 - 83二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 01:23:06
盗撮してたこと玲王にバラしちゃおっかなあ(脅迫)
- 84二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 05:42:45
写真部員に頼むのは諦める
玲王に事情を話して2人だけの時に撮らせて欲しいってお願いする - 85二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 08:45:33
無言で背後に髑髏を召喚して写真部員を威圧💀
- 86スレ主23/12/20(水) 08:59:57
- 87スレ主23/12/20(水) 18:00:28
凪「ハッ、別にもう…そんなのどーだっていいし」
チアコスの玲王を撮影する機会だけでなく、元盗撮犯からの信用すら失った男子小学生マインドの凪に残されたのは、以下の捨て台詞である
凪「まぁ、俺はレオの特別だから」
写真部員1「ん?」
凪「頼んだら、レオはいくらでも俺だけのためにミニスカチアになって、あんなコトやこんなコトまで応援してくれるし…(多分)プライベートでも、全然女装コスとか、俺がお願いすればフツーにいくらでも、してくれるし…?(多分無理)」
写真部員1「へ、へぇ…すごいね」
凪「俺には本物のレオがいるから、全然、チアの写真とか欲しくねーし…?別に、写真とか…マジで…」
口から出まかせを言ってしまうほどに、凪のメンタルは追い込まれていた
凪「(ああ…くだらねー嘘言ってるな、俺…。ほんとは喉から手が出るくらい欲しい…レオのチア写真。だってミニスカだぞ?…それもこれも、さっきの昼休憩の時に俺にフライングチェックさせてくれなかったレオが悪いんだよ。なんだよ、あのアホちん。未完成とか言ってもったいぶりやがって…)」
もし、あの時ちゃんと、玲王が二人きりになれる場所でチアコスを自分に見せてくれていたら
写真だってその時にこっそり撮っていたし、本番直前にこうして必死に駆けずり回って写真部員1に無様に写真をお願いすることもなかったのに
凪は心の中で玲王に八つ当たりをしていた - 88スレ主23/12/20(水) 18:05:20
凪「…」
でも、やっぱり凪にとって一番は、玲王が自分を『特別』扱いしてくれなかったことが堪えていた
凪「(…なんでだよ…俺のこと、どーだっていいのかよ…?)」
写真部員1「凪…?」
表情筋が動かないので顔にこそ出ないものの、凪の心の中、その情緒はめちゃくちゃだった
そして、凪は「こーだったら良かったのに」妄想を始める
**********
昼間でも遮光カーテンにより薄暗く、誰もいない視聴覚室
玲王が凪に背を向けてジャージのファスナーをゆっくりと下ろしていくその動きに、凪は目が離せず釘付けになっていた
「なぎー?俺のチアコス、見せてやるよ。お前にだけ…特別に」
「えっ…ほんと?」
躊躇している凪に、玲王は熱い視線を送った
「他のやつより先に俺のチア姿見たいだろ?だって、お前は俺の『特別』なんだから」
**********
凪「(ってさ、あってもいいじゃん、恋人同士なんだからこーいう甘いの…。都合良く人のいない空き教室とか見つけてさ、そこに二人きりで…)」
そして、おあずけされている凪の妄想はまだ止まらなかった - 89スレ主23/12/20(水) 18:36:33
**********
(中略)
「ねぇ、レオ…もっと近くで、ちゃんと見せてよ」
凪にそう言われた玲王は、少し恥じらいながらもそっと凪に近づいていく
凪は待ちきれないとばかりに、歩み寄る玲王の後頭部に性急に手を伸ばし、引き寄せるようにしてキスをした
「んっ…」
軽く唇を重ねていただけのキスが舌を絡ませる深い口づけへと変わり、いつ人が来てもおかしくない視聴覚室に二人の濡れた水音が響く
「んっ…はぁっ…」
いつのまにか腰に手を回され逃げることができなくなっていた玲王は、キスの角度を変えようと唇を離す凪に、甘い吐息を漏らしながらも抗議するようにして告げた
「ダメ…、今は、見るだけだって、言っただろ?」
「無理でしょ、こんな可愛いレオ見たら…もう止まんないよ」
凪の指が丈の短いチアのトップスの裾から中へと差し込まれ、胸の突起を探るようにして動かされていく
そして、その唇は玲王の首筋を辿っていた
「キスマって…どこまでなら見えないんだっけ?」
空いてる手でずらした玲王の襟元から覗く鎖骨に、凪は軽く歯を立てきつく吸い上げる
「ぁ、もぉ、こんなとこ、もし誰か来たら…」
「俺がレオの特別なら、他の人がしないコト、してもイイよね…?」
凪が唇で玲王の耳に触れ、わざと息を漏らすようにして告げると、ぴくん、とかすかに玲王の肩が揺れた - 90スレ主23/12/20(水) 18:43:15
「えっ、他の人がしないコト、って…?」
玲王の質問には答えず、下着が見えそうなほど短いスカートから覗く太腿のさらにその奥へと凪が指を這わせていくと、玲王の表情は次第に色情を煽るものへと変わっていった
「レオだって期待してるんじゃないの?ほら、スカートの中、こんなになっちゃってるよ…」
**********
凪「ブフッ!!」
写真部員1「!?」
凪はこれ以上妄想すると鼻血が出そうで、慌てて鼻を手で押さえる
写真部員1「だ、大丈夫…?じゃ、なさそう、だね…」
凪「全然大丈夫じゃねーよ…(こんな時に妄想なんかするんじゃなかった…おかげで誠士郎もピンチじゃねーか…)」
推しのレア写真が手に入らない辛さが痛いほど分かる写真部員1は、凪が相当落ち込んでいると思い、慰めるようにして声をかけた
写真部員1「…あ、あのさ、僕が撮った玲王君の写真は生徒会活動費のために購買部で販売される予定だから、欲しいならそこで買いなよ。際どい写真は消すけど、ちゃんと玲王君のこと綺麗に撮るからさ」
凪「え?際どい写真…?」 - 91スレ主23/12/20(水) 18:49:36
写真部員1「うん、たまに事故的に写っちゃうそういうのは、ちゃんと弾いて載せないようにするから安心してよ」
凪「(際どい写真…際どい写真…)」
放送「えー、ここで呼び出しです。白組さんの中に、一人重役出勤のチアの方がいらっしゃるようです〜。該当の重役の方は、至急持ち場についてください」
観衆「「ワハハハ」」
凪「うぇ、ヤバ…」
放送部の機転で場は和んでいるものの、既に時間オーバーだった
凪はそれ以上写真部員1に頼むのを諦める
凪「(今は出番前で逢えないけど…後でレオに事情を話して、二人だけの時に撮らせて欲しいってお願いしてみようかな…でも、プライベートじゃ絶対してくれないよね、女装。どーしよう…)」
凪「(つーか、際どい写真って、マジで何なの…?)」
いかん、凪は「際どい写真」 というワードに完全に心を掴まれてしまっている
そんな状態でも、凪は白組の応援演技ちゃんと出来たの?
きっと玲王も見てるぞ!
ウルトラジーニアスなら大丈夫なのか?
凪の応援演技の出来を下3レスから🎲 - 92二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 19:04:28
玲王も見ていることを想定して100点満点の演技をする
- 93二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 19:09:19
際どい写真のことも気になるしレオが特別扱いしてくれなかったことにも拗ねてて全然できなかった
- 94二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 19:33:47
際どい写真のことで頭がいっぱいで50点くらいの出来
- 95スレ主23/12/20(水) 20:22:42
- 96スレ主23/12/20(水) 20:29:27
(まさかの💯…そう、凪誠士郎は玲王にキレてる時も冴える全てがfrom玲王の男…!)
- 97スレ主23/12/21(木) 07:02:16
全力ダッシュで凪は持ち場へと戻る
なぜならきっと次の出番で控えている赤組応援団の玲王も、今この瞬間を見ていると思ったから
凪「(レオはコミュ強っていうか、人の和を重んじるし…『時間にルーズなやつはダセェだろ』とか、そーいうトコ気にしそうだからな…)」
白団員「遅いぞ重役〜!」
凪「ハァ、ハァッ…遅くなってすいません…!どーしても外せない大事な(写真確保の)用を思い出してッ!!」
白団長「大事な用?何があったんだ」
白団員「俺らもう仲間じゃん?エンリョせずに言ってみろよ」
凪「い、いや…ただ、ちょっと赤組の(レオ)と行き違いでトラブって…(写真撮影の準備不足だった)俺の怠慢が原因です。ゴメンナサイ」
白団長「何ッ!?」
白団員「赤組のヤツと、トラブってタイマン!?」
白組団長と団員達のムードが不穏な空気へと一変する
凪「…は?いや、怠慢は俺のせいなんで」
白団長「…で、その勝負…勝ったのか?負けたのか?」
凪「(撮影のこと?)あ、負け…負けました。生徒会長が、専属のスゲェやつ(=写真部員1)雇ってて…俺とか、もう、全然ダメっていうか」
ガッ!!
凪「うぇッ!?」
白組団長が凪の両肩を力強く掴む
白団長「ウチはな、仲間が一人やられたら…全力でそのチームブッ潰しに行くんだよ…」
凪「はぇ…?(チーム?)」
白団長「プロに頼んで男のタイマン潰すとか、許せねぇよなぁ、お前らぁあ!?」
白団員「「ウオォォオオーーーッッ!!」」
凪「!???」 - 98スレ主23/12/21(木) 07:16:18
白団長「コイツはオレらの仲間だ!ナメられたまま黙ってらんねぇ!赤組丸ごと、ブッ潰すぞ!!」
白組応援団はいきなり治安が悪くなる
凪「(な、なんか勘違いしてない??)あ、あの…団長サン、俺、別にそんなんじゃなくて…」
白団長「心配すンな、凪。なんでも一人で背負いやがって…団員の喧嘩は、チームみんなの喧嘩だろ?なァ、みんなーッ!?」
白団員「「ウエェェエーーーイッッ!!」」
彼らと凪は、たった一週間、放課後に共に踊り狂っただけの付き合いなのだが…(しかも最終日の凪はサボり)
これが体育祭マジックなのであろうか
なぜか白組応援団と凪の間には、ヤンキー漫画のような熱い友情が結ばれていた
白団員「何があったのかは知らねぇけど…お前が必死に戦ってきたのは、みんな知ってるぞ!」
凪「ハイ…」
白団長「そうだ、凪。本当に大切なコトは、ケンカに勝つコトじゃねぇ」
凪「?」
白団長「自分に、負けないコトだ…!」
凪「あ…(…そーだよ、きっと、レオにはレオの考えがあって、いつも俺たちにとってベストな選択をしてくれてるのに…なんで信じ合えなかったんだ。レオを信じられないのは、俺の中の不安、心の弱さに負けた、俺のせいだったんだ…)」
白組団長が再び凪の肩をガシッと力強く掴む
白団長「楽しめよ!祭りだぜ!?」
凪「押忍ッ!総長ッ!!」
かくして白組応援団の演技が始まる - 99スレ主23/12/21(木) 07:22:25
〜♪
白団長「フレッフレッ白組!!
凪&白団員「「フレッフレッ白組!!」」
保護者や生徒達の前で、白組応援団はアップテンポのチアの音楽に合わせ、その団結力の高さから一糸乱れぬ完成された踊りを繰り広げていく
白団長「白宝の白!!」
凪&白団員「「白宝の白!!」」
凪「(ああ、なんか、今、スゲェ熱くなってる…俺。応援団、入って良かったな…)」
生徒『玲王サマも応援団に出るみたいだからさ。寝太郎もしかして玲王サマと一緒に出たいんじゃないかなって』
凪『ヤりますッ!俺にヤらせてくださいッ!!』
凪「(あの時は二つ返事で引き受けちゃって、結局レオがいなくてスゲェ後悔したけど…)」
〜♪
凪&白団員「「飾れ勝利の白星!」」
白組応援団の掲げるシルバーのポンポンが、太陽の光に眩しくきらめく
凪「(レオと出逢って、変わったからかな…無気力で、何もやりたくなかった昔の俺は、もうここにいない…)」
凪&白団員「風林火山マジ卍!ウェーイッ!!」
玲王『面白い人生に連れてってやる!!』
凪「(レオ…俺、こんな青春真っ只中で、ほんとに今、お前のおかげで面白い人生にいるのかも知れない…!)」 - 100スレ主23/12/21(木) 07:31:04
観衆&生徒「「ウワァァアアアアッ!!」」
ミニスカ玲王の写真を手に入れられそうになく、一旦は闇堕ちするかと思われた凪
しかし、陽キャ達のほとばしる熱いパトスに囲まれ、なんとか百点満点の演技をやり終えた
パチパチパチパチパチパチ…!
拍手喝采、観客一同スタンディングオベーションである
玲王「(ハハ…アイツ、俺がいなくても十分楽しそうにしてんじゃねーか)」
裏で出番を待つ玲王も、拍手をしながら凪のその勇姿を見つめていた
放送「白組応援団!素晴らしい演技でしたね〜!白組応援団の皆さん、ありがとうございました!続いて赤組応援団の皆さん、準備に入ってください」
ザワザワ…
白団員「超良かったよ、凪〜!」
白団員「応援演技大成功だったなー、マジで!」
凪「ありがとうございマス…!(ホッ、なんとか服も裂けなかった…。いよいよ次か、レオの演技は)」
赤組応援団を迎え撃つ形として、白組応援団は赤組の入場して来る方を向き、その場で手を後ろに組んで整列する
白団員「どんな演技なんだろうな、赤組」
白団員「体育館締め切ってやってたから、誰も内容知らないんだよねー」
凪「(うわー…やっとレオのミニスカチア姿が見られる、ケド…なんか自分の出番の時よりも緊張するな…)」
ミニスカチアの玲王をようやく見られる喜びと、独り占めにしたいその姿が人目に晒されてしまう嫉妬と
凪の中で、それらが入り混じった複雑な感情が渦を巻いていた - 101スレ主23/12/21(木) 07:34:30
観衆&生徒「「ワァァアア…!」」
凪「!?」
赤組応援団達が観客に手を振りながらグラウンドへと入場してくる
その服装は、たしかに白組との色違いチア衣装であったが、違ったのはそこにさらに耳と尻尾がついていたことだ
白団員「あ、アレって…アレじゃん!!」
白団員「クソッ!あんなのってありかよッ!?」
凪「は、は、はへ…?」
そう、チアといえば…ご存知某野球チームの🦊ダンス!
生徒「キャーッ!!玲王様〜〜ッ!!」
生徒「キツネになってもなんて麗しいんですのッッ!?」
生徒「玲王様こっち見てー!」
玲王「応援さんきゅー…って、応援すんの俺らの方なんだけどな」
※女装なのでワンクッションtelegra.ph各方面からの声援に、ファンサしながら入場して来る玲王
周囲からはひっきりなしにシャッター音が聞こえて来る
玲王の🦊チアコスを見た凪の反応を下3レスから🎲
- 102二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 07:53:03
ボタボタと鼻血が出てしまう(パンチラもしてる!?最高!!)
- 103二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 08:07:19
まさかキツネが来るとは…最高ですありがとうございます…🦊🦊
安価なら
写真撮らせてもらえるか分からないので、真顔で目をかっ開いて無言で必死に玲王の🦊姿を網膜に焼き付ける - 104二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 10:10:08
俺が一番最初に見たかったのに
黒い感情で胸がモヤモヤ
(玲王🦊かわいいですありがとうございます) - 105スレ主23/12/21(木) 18:21:00
- 106二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 18:53:26
髑髏になっちゃった…
- 107スレ主23/12/21(木) 22:10:51
生徒「玲王様ー!しっぽフリフリしてー!」
玲王「いいよー」
くるん、と玲王が回ると、スカートについている尻尾が大きく揺れた
生徒達「「キャーッ!!」」
凪「ちょ…(そんな勢い良く回ったら、パンツ見えちゃうでしょって…!)」
凪の心境は娘を見守るお父さんである
生徒「コンコンやってくださーい!」
玲王「ハーイ♪こう?」
玲王が手を頭の上に乗せてキツネの耳のようにパタパタさせると、周囲からの歓声とシャッター音がさらに増した
凪「…」
その後も「投げチューして」や「腹筋見せて」など、凪が憤死しそうなリクエストが飛び交っていく
しかし玲王は本番直前なこともあり、全てに返すのは無理で、笑顔で両手をあげてポンポンを大きく振りながら声をかける生徒達に愛想を振りまき持ち場へと移動する
凪「あっ…(ねぇ、そんなに高く手あげたら裾から乳◯見えちゃうよ…!)」
凪「ハアァァアア…ッ」
凪はがっくりとうなだれ、ひと際大きなため息を吐いた - 108スレ主23/12/21(木) 22:18:34
白団員「…んな落ち込むなって、凪」
その様子を心配した隣に立つ白組団員が凪に声をかける
凪「いや、無理デスよ…あんなの見せられて、落ち込むなとか…」
白団員「…そりゃあんなSNS映えするスゲーの見せられたら、戦意喪失ってカンジかもしんねぇけど、俺らは俺らの全力出したじゃん?」
白組団員が凪に向けてニカッと白い歯を見せて爽やかに笑いかけてくる
凪「…いや、じゃなくて…」
今の凪はOISMだった
いわゆるBSS(僕が先に好きだったのに)ならぬ、「俺が一番最初に見たかったのに」状態に陥っている
凪「(なんだコレ…キッツ…。終わるまでこれ見とかなきゃいけねーの…?白宝祭のメイド喫茶で他の男に接客してんの見た時もすげぇ嫌だったのに、こんな大勢の前であんな格好してさぁ。上も下も布足りてなさ過ぎだろ…!それにあのファンサだって、俺が最初で、俺だけのためにして欲しかったのに…。案の定写真も動画も撮られまくってるし…もしかしなくても、これSNSとかにもあげられたりすんの?そしたらここにいる以外の奴らにも、このレオ見られちゃうの…?それで、そいつらがレオのことオカズにしちゃったりしてさぁ…)」
凪「うっ…」
それらを想像すると、凪は気苦労から吐きそうになり、口元を手で押さえた - 109スレ主23/12/21(木) 22:22:52
白団員「お、おい、凪。大丈夫かよ?」
凪「大丈夫じゃないです…」
白団員「マジかよ(たしか本番前にタイマンして負けたんだもんな…見た目フツーだけど、もしかして頭とか内臓にダメージが…?)
白組団員は本気で凪の体調を心配し始める
白団員「アレだったら、保健室ついて行くぞ?」
凪「…いえ、それには及びません。俺には(パートナーとしてレオを)最期まで見届ける使命があるので…」
白団員「凪…スゲェよ、お前の根性!」
白組団員は凪に向かってサムズアップする
凪「…どうも」
白組の中で再び凪の株が上がっていた
凪『そーだよ、きっと、レオにはレオの考えがあって、いつも俺たちにとってベストな選択をしてくれてるのに…なんで信じ合えなかったんだ。レオを信じられないのは、俺の中の不安、心の弱さに負けた、俺のせいだったんだ…』
凪「(何が、どこがベストな選択だよ…バッドだろ、こんなモン…ベリーバッド…)」
〜♪
放送「それでは、赤組応援団による『🦊ダンス』です!」
凪の気も知らず、会場に音楽が流れ始める - 110スレ主23/12/21(木) 22:28:06
影絵のキツネの形にした両手を身体の前でクロスさせて待機していた赤組応援団は、クールなイントロと共にセクシーなダンスを踊り始め、会場には自然と手拍子が起こる
男子生徒がやるとお笑いネタ枠になるはずの動きなのだが、玲王のダンスは想定通り、踊りに合わせたセクシーな表情管理までが完璧で、観客達は言葉を失い魅入っていた
玲王が自分の身体を抱きしめて首を傾げるような仕草をしているが、向かい合う形で見つめる凪とは距離もあるからなのか目が合わない
生徒「玲王様超キレ〜…」
生徒「いちいちエロいよなぁ…」
凪「(…あのね、エロくてもあの人キスも俺としかしたことないし、Hだってまだしてない童◯処◯ですから!)」
凪は外野の声にイライラしながら心の中で密かにマウントをとっていた
〜What does the fox say?♪
そしてサビに入る手前で下に置いていたポンポンを手に取り、それまでのクールな表情とは一転して満面の笑みと可愛らしい軽快なダンスで赤組応援団は会場を沸かせ始める - 111スレ主23/12/21(木) 22:31:49
Ring-ding-ding-ding-dingeringeding ♪
凪「(あー…あそこに飛び込みてぇ…)」
Hatee-hatee-hetee-ho! ♪
Hatee-hatee-hetee-ho! ♪
生徒「わぁー、クールな表情の玲王様も良いけど、やっぱり笑顔が最高だわ〜!」
生徒「見てるとこっちまで笑顔になっちゃう」
生徒「命が助かる…」
歌と踊りで人々を救う玲王のその姿は、マジの学園のアイドル様だった
凪「(そりゃ、元々人気者だって知ってて好きになったけど…)」
大勢に笑顔と愛嬌を振りまくからこそのアイドル
アイドルと付き合うというのは、そういうこと
決して自分だけが独占できる存在ではない
凪「(だからこそ、俺だけは『特別』だって、そう思わせて欲しかったのに…安心させて欲しかったのに…。やっぱりレオは、俺の気持ちよりも他のやつらとの関係の方に重きを置いてるんじゃん…)」
一度泥沼にハマってしまった凪の思考はそこから抜け出すことが出来ず、黒い感情のままずっと胸がモヤモヤしていた
放送「大変可愛かったですね〜!赤組さんによる🦊ダンス!それでは今から拍手による投票を行います」
赤組の応援演技が終了し、投票の時間に移る - 112スレ主23/12/21(木) 22:41:03
応援合戦の結果は、白組にも大きな拍手が湧いたものの、可愛いは正義——赤組の圧倒的勝利であった
玲王はミニスカチアのままで赤組応援団や生徒達に囲まれて、次々と写真を撮られている
会長「玲王君…!最ッ高の演技だったよ!ありがとうッ!今日撮った写真は引き伸ばして生徒会室に飾って、未来永劫今日の感動を語り継ぐからねっ!」
その輪の中では、生徒会長が玲王の手を握り想いを熱く語っていた
生徒「ホント、玲王様のミニスカチアとダンス最高でした!来年も見たい〜!」
玲王「ハハ、ありがとー」
玲王「(あ、そーいえば凪のヤツどこ行ったんだろ?)」
いつもならこんな状況、凄い勢いですっとんできて周囲を威圧しながらドヤ顔でマウントをとるのに
玲王がキョロキョロと辺りを見回すと、校舎の陰に白くて大きな凪の姿を見つける
玲王「(いた!)おーい、なぎー!お待たせっ、一緒に写真撮ろーぜ?」
玲王が尻尾を揺らしながら凪の元へと駆け寄った
凪「…」
しかし、凪からはいつものような反応がない
玲王「え、どした?体調でも悪ィの?」
凪「話しかけないで…」
玲王「え」
どうしたことだろう
いつもならこの距離にコスプレ姿の玲王がいたら、暴走しまくりのはずなのに
『特別』扱いしてもらえてないことに凪は相当なショックを受けて拗ねているのだろうか?
凪に珍しく塩対応されてしまった玲王の反応を下3レスから🎲 - 113二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 22:44:22
マジで体調悪い?と心配
- 114二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 22:47:17
もしかして怒ってるのかなと感じて「悪かったって、ほらこれが完全バージョン。お前に1番近くで見てほしいんだけど?」って小悪魔スマイルする
- 115二次元好きの匿名さん23/12/21(木) 23:02:53
…なんで?俺なんかした?
眉をハの字に下げて悲しそうな顔 - 116スレ主23/12/22(金) 00:44:23
- 117スレ主23/12/22(金) 07:14:38
玲王「マジで体調悪い?」
玲王がキツネの耳をモフモフさせながら首を傾けて、凪の顔を覗き込むようにして見てくる
凪「…」
実は凪は先程まで玲王と口をきくのをやめようと思っていた
人気者には分からないだろう
「相手にされない側の気持ちを思い知ればいいんだ」とか、そんな子どもじみたことを凪は考えていた
凪「(でも…やっぱ、無理かも)」
玲王「ハハ、どー?似合ってる?ダンスもなかなか頑張ってただろ?俺」
玲王が凪の前でダンスのサビの部分を軽く踊る
凪「(可愛い…正直、めちゃくちゃ可愛い…こんなのズルい)」
いくら冷たくしようと思っていたって、可愛い玲王を目の前にしてそんなこと出来るワケがなかった
凪「…体調、悪い」
玲王「じゃあ、保健室、行く?」
凪「うん」
凪「でもクラス対抗リレー遅れちゃわない?」
玲王「ん?あー、リレーは最後だし、多分間に合うだろ!」
玲王が元気そうに手を振り回すので、大きく開いた脇の部分や短い裾から胸元が覗きそうで、凪は目のやり場に困る
凪「…レオこそ、いつまでもそんなカッコしてたら風邪引くよ」
凪は自分のジャージを脱いで、そっと玲王の肩にかけた - 118スレ主23/12/22(金) 07:17:13
玲王「え、あ、ああ…アリガト。なんかお前にこーいうお姫様扱いされると照れるなー、なんつって」
凪「うん…じゃ、行こっか」
凪が玲王の手を引いて、人気のない方へと歩き始める
玲王「あ、あれ…?(なんで病人の凪が俺の手引いてんの?)お前、ホントに体調不良なんだよな?」
凪「うん…多分、ずっと前から…(恋の病、だよ)」
玲王「ずっと前…か。昼に食わせた弁当がヤバかったのかな〜とか、ちょっと心配したけど。そんな前から悪かったとか、心配だな…マジで」
凪「…」
玲王「?」
体調が悪いにしても、凪があまりにも返事をくれないので玲王は違和感を覚える
しかも、周りを見れば保健室とは違う方向へと進んでいた
玲王「おいっ!?なぁ、保健室あっちだって」
凪「…いや、こっちで合ってるよ」
玲王「は?」
凪「俺の恋患いを治すのに必要なのは、レオと二人きりになれる場所だから」
玲王「え」
凪「あの体育倉庫行こっか、昨日二人で閉じ込められた」
玲王「!?」 - 119スレ主23/12/22(金) 07:22:51
それを聞いた玲王は凪の手を振り解く
玲王「ば、バッカじゃねぇの!何だよそれ、恋わずらい?とか。マジの体調不良かと思って、心配して損したじゃん!」
凪「何…損って…」
玲王「くだらねぇ嘘つくなよ、信用無くすぞ?」
玲王は凪を咎めるように、キツい視線を送る
凪「信用なんかもうないよ。レオ、俺に嘘ついたじゃん。お昼休憩の時に、二人だけになれる場所行こってレオが言ってくれて、俺、あの時スゲー楽しみにしてたのに…」
玲王「あ…」
玲王は駅◯スタイルから早く下ろしてもらうこと、凪を落ち着かせることに心を奪われすぎていたため、約束を反故にしてしまっていた
玲王「あー…ゴメン。だって、あの時はさ、時間なかったし(見せたら絶対暴走して間に合ってなかったから)」
凪「うん、いいよ。レオのこと、よくわかったから」
玲王「え?」
凪「平気で俺との約束破るんなら、もう約束守るまで絶対どこにも行かせない」
玲王「は?」
凪「二人きりになれる場所行って、俺に他のやつと違う『特別』なコトしてくれるまで解放しないから」
大変だ。学園のアイドル様が、ハイライトの消えためんどくさ赤ちゃんに捕まってしまった…
今回ははぐらかしは通用しないかもしれない!
玲王、どーする?
回避の場合はその方法を、『特別』扱いなら何をしたか?
下3レスから🎲 - 120二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 07:24:31
『特別』扱いで!チューする(見たいだけですすみません)
- 121二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 07:46:37
二人きりで充電させてあげる(でも、ハグまで)
凪は興奮しすぎて鼻血が止まらなくなり、結局保健室行き - 122二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 07:49:17
凪が何をして欲しいのか聞いてみて、お願いをひとつ叶える
約束破っちゃったのは事実なのでお詫びで… - 123スレ主23/12/22(金) 08:22:31
- 124スレ主23/12/22(金) 18:11:05
玲王「…約束、破ったつもりは、ない」
凪「うん、じゃあ叶えてくれるんだ?今から二人きりになれる場所行って?」
玲王を見る凪の瞳には光がない
玲王「今からって…そんなの」
保健室に連れて行くだけならまだしも、二人きりになれる場所で凪がしたいことなんて恐らくロクなことじゃない
ディ◯ニーデートのホテルの時にせよ、散々やらかした凪の信用は地の底である
玲王「(ダメだダメだ。約束守らねぇとまたコイツを怒らせるけど…だからって、ペース奪われて良いようにされるのはダメだ…)」
自分が出た借り物競走と応援合戦では勝ったものの、赤組と白組の対決は拮抗している
アンカーを任されているクラス対抗リレーには絶対遅れるワケにはいかなかった
玲王「ちゅ、チューするぞ…!」
凪「は?」
それまで死んだ魚の目をしていた凪が、少し驚いた表情で玲王を見る
凪「ここで?」
凪が連れて行こうとしていた中等部の旧体育倉庫までの途中、今日は体育祭で中等部は休みなので周りに人はいない
玲王「ここで、する…」
玲王は決意を固めてそう言った - 125スレ主23/12/22(金) 18:15:16
凪「…いや、無理しない方がイイんじゃない?できないでしょ」
凪が少し馬鹿にした感じで玲王を見るので、玲王はムキになる
玲王「できる!」
凪「できないね」
人の気配が無いとはいえ、学園のアイドル様がこんな目立つ格好をしたまま屋外でキスなんかできるはずがない
凪「もちろん舌入れるやつでしょ?」
玲王「入れるか!バカッ!」
凪「…」
二人きりの約束を取り付けて反故にしたのも、今ここでキスをすると言ってきたのも、全部玲王からなのに
なんで自分が怒られているのか、凪はよく分からなくなる
でも、学校の中で玲王から自分にキスしてくれるなんて、『特別』なコトだといえば、『特別』には違いなかった
凪「じゃあ、キツネさん…。お手柔らかに、お願いシマス」
凪は自分からは手を出さないから「やれるものならどうぞ」という意思表示として、両手を肩の高さに挙げた
玲王「い、いくぞ?」
凪「どーぞ?」
キスするの何回目だよ、と凪は少し吹き出しそうになったが、思えば玲王からキスしてくれたコトは数えるくらいしかなかったかも知れない - 126スレ主23/12/22(金) 18:22:39
玲王の腕が凪の首に回された
今にも互いの額がぶつかりそうな距離で、強い眼差しで玲王に見つめられる
場所は校舎裏、凪は玲王からマジのタイマンを仕掛けられているような気分だった
凪「わー、凄い。熱烈だね。首に手回してくれんの?今誰かに見られたら、レオが俺のことめちゃくちゃ好きな人みたいだね」
そう揶揄うように言った凪の唇に、玲王のそれが触れる
※😙telegra.ph玲王「…はい、おわり」
軽く触れるだけのキスでも屋外で自分からするのは相当恥ずかしかったのか、玲王の瞳は少し潤んでいた
玲王「あのな、」
凪「ハイ」
玲王「めちゃくちゃ好きじゃなかったら、こんなコト、しない…だから、これが俺の精一杯」
凪「…ゴメンナサイ」
俯いて顔を赤くする玲王にあてられたかのか、凪まで赤くなってしまう
「こんなのじゃ足りない」、「もっと凄い『特別』なコトして欲しい」って、この後時間がないのを分かっていて、さらに際どい約束を取り付けようかと思っていたけど
キス一つで必死になってる、頑張ってくれている玲王を見たら、もうこれ以上の無理強いなんて出来そうになかった
- 127スレ主23/12/22(金) 18:27:36
凪は少し熱くなっている玲王の頬を両手で包む
凪「ごめんね?レオ。レオからのキス嬉しかったよ、ありがとう」
そうお礼を言って、凪からそのまま玲王にお返しのキスをした
玲王「…」
玲王「…(いや、長くね?)…んー!」
舌こそ入れられなかったものの、十秒以上ずっとキスをされていたので、玲王は焦れて凪の背中を叩く
凪「(あ、やべ…)あー、いいね、キス。やっぱスゲェ充電できる。急速充電!」
玲王「…そーかよ」
どこか気恥ずかしいのか玲王の目は横を見ていて、凪とは合わせなかった
凪「レオとのキスは、俺の恋患いの特効薬だよ…俺はレオで病んじゃうし、この病を治せるのはレオからの愛だけだから」
調子に乗った凪が玲王の後ろからギュッとハグしてくる
玲王「ハイハイ…(また変なこと言い出した)」
こうなると凪はまた違った意味でめんどくさい
凪「ねぇ、人がいるとこまで、このまま行こ?多分触ってる面積とか、密度とか、時間が長いほど早く充電出来ると思う」
玲王「フーン…」
凪「あ、興味ないでしょ?聞いといてよね。俺の大事な取説」
玲王「(めんどくさ赤ちゃん。つか、めんどくさ彼女だな…)」
圧倒的に攻めではあるが、時折凪のメンタルはめんどくさい彼女にもなってしまっていた - 128スレ主23/12/22(金) 18:32:47
凪「短距離走の時さぁ、応援してくれるレオの隣にいたヤツがレオにキスするとか言ってたから、あの時超ムカついてたんだよー、俺」
玲王「ハハ…あれはアイツがふざけてただけだろ」
凪「いや、絶対ワンチャン狙ってたよ、あの顔は…俺にはワカル」
なぜならば自分も玲王に想いを寄せる同志だから
好きな人を見る時の表情なんて、同じ気持ちの者同士なら大体察するというものだ
玲王「あの時のお前、足速かったもんな〜。リレー対決は負けねぇからな」
凪「あとさ、借り物競走の時もみんなの前で好きな人ってお題で選んでくれたの嬉しかった…けど、相棒って言われてちょっといじけちゃった。あの時、レオの気持ち考えずにワガママ言ってごめんね」
玲王と二人きりになって『特別』にキスしてもらえた凪は、心の中の黒いモヤモヤが晴れ、上機嫌になって玲王に色んなことを話し始める
玲王「うん、いーよ。もう、怒ってねぇ。あの時も、部対抗リレーも、ちゃんと全部勝ってくれたし。でも次のリレーではライバルだからな」
凪「うん…」
いよいよラスト種目、クラス対抗リレー
純粋な足の速さでいえば凪の勝ちだが、今までの凪の勝利は全て玲王由来
全てがfrom玲王の男は、玲王と競うことにモチベーションが上がるのか…?
クラス対抗リレーの結果
凪と玲王どちらのクラスが勝った?
下3レスから🎲 - 129二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 18:34:35
玲王のクラス
- 130二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 18:52:20
凪のクラス!
玲王も凪と本気でやりたいのでは? - 131二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 19:27:31
悩ましい……
でも玲王からのチューで最強状態の凪のクラスで
チューイラスト最高だった!!!!!!!!!!!ありがとう!!!!!!!!!!!!!本当にありがとうございます!!!!!!!!!!!! - 132スレ主23/12/22(金) 20:50:21
- 133二次元好きの匿名さん23/12/22(金) 22:44:54
凪のクラスの勝ちか
- 134スレ主23/12/23(土) 09:02:52
凪「(俺は、レオ相手に…本気で戦えるのかな…)」
凪「(あの時は…あれが一番良い選択だと思ったけど…そのせいで、レオとああなるなんて思わなかった)」
凪は玲王にバックハグしたまま、あの頃のことを思い出して切なくなっていた
凪「ねぇ、なんでレオと違う組なの〜?赤でも白でもどっちでもいいよ…勝ち負けなんか」
玲王とずっと一緒にいられたら、それで良い
だから凪は、リレーの勝敗になんか興味はなかった
玲王の首元に額を寄せて、スリスリと甘えるように擦り付ける
玲王「今更かよ!って、どっちでも良くねーよ。大事だろ?どっちが勝つか、天下分け目の戦いだぞ?手ぇ抜いて走ったりしたら、許さねーからな」
凪「…うん、分かった」
凪「じゃあ俺、競走馬になろっかなー」
玲王「プハッ!」
凪からの唐突な謎の宣言に、玲王は吹き出してしまう
玲王「いや、人間のままでいーって!さすがに俺も馬には勝てねーよ」
凪「いや、レオ、知ってる?競走馬のあのマスクはね、よそ見をしないように視界を遮断してるんだよ。前だけ見て走れるように」
玲王「へぇー、そーなの?ハハ、おもしれぇな」
凪の蘊蓄を聞いて玲王が笑ったので、凪は嬉しくなってもっと話したくなった
凪「それでね…!」
玲王「あ、人見えてきた。残念、そろそろ充電時間終了でーす」
視界に人が入り、玲王が後ろから回された凪の手を肩から外そうとする - 135スレ主23/12/23(土) 09:09:52
凪「え…(いや、そんなアッサリとさ…名残惜しくないのかな。俺はもっとレオと話したいし、くっついときたいのに…)」
玲王「ほら、離れて」
凪「(やっぱりいっつも、好きって思ってるのは俺の方だよね)」
凪「やだやだー、足りない。最後にもっかい充電したい〜」
玲王「…」
玲王が顔を後ろに向けて、駄々をこねている凪を冷めた表情で見上げた
凪「…ぁ」
しつこくくっついて、まだ離れないことを怒られるのかと凪が身構えたその瞬間
振り返ったそのままの状態で、玲王からキスをされる
凪「…!」
玲王が後ろを向いていたから、もし他の人から見られていても何をしたかまではきっと分からないだろう
放送「続いてはクラス対抗選抜リレーです。走者の方は待機列まで集合してください」
玲王「…あー、やべ、もう集合始まってる。この続きは、全部終わってからな。じゃあ、俺着替えて来る!ジャージありがとな!」
玲王が肩にかけていたジャージを凪の胸にギュッと押し付け、凪がそれを受け取った時には玲王はもう遠くに走って行ってしまっていた - 136スレ主23/12/23(土) 09:26:27
ザワザワ…
放送「お待たせしました!いよいよ競技も残すところラスト一種目となりました。最後はメインのクラス対抗リレーです!」
体育祭最後の種目とあって、見守る観衆も競技の参加人数もそれまでより多く、会場は熱気に包まれていた
凪「(続きは終わってから…って、続きって、何??あ、そーいや俺だけのために、チアコスで撮影会してくれるか聞くの忘れてた…!)」
玲王に「続き」のその詳細を聞きたかったが、玲王は少し離れた待機列でクラスメイト達と作戦の確認で盛り上がっている
そこにいる玲王と、先程まで自分とイチャついていた玲王が同一人物とは、凪にはなんだか信じられない思いだった
凪「(キスも、もっと俺からしたかったな…。久しぶりだったし)」
実行委員「第一走者の人ー!並んでくださーい!」
実行委員の呼びかけで、気合い十分といった様子の第一走者達が続々とスタート位置に並ぶ
その様子を、玲王から二回もキスしてもらったことで未だ浮かれている凪は、現実味のないままボーッと眺めていた - 137スレ主23/12/23(土) 09:42:53
パァン!!
実行委員の鳴らすピストルの発砲音と共に、走者が一斉に走り始める
どのクラスも二番手くらいに足が速い選手を第一走者に選出しているため、ランナー達は団子状態になったままでバトンが第二走者へと渡った
凪『じゃあ俺、競走馬になろっかなー』
凪「(…競走馬って、何も考えずにただそこにいるだけだったのが、突然の銃声に驚いて走り始めるんだよね。まるでレオと出逢った時、雷に撃たれたみたいな凄い衝撃が走った…あの時の俺みたいに)」
凪は走者達を競走馬に置き換え、その思考をさらに『俺と玲王』へと飛躍させていく
凪「(走り出したら必死になって、ただ、走り続けるだけ…レオを好きになってすぐの頃の、俺のあの気持ちと同じかな。初めての恋に酔って、レオに勝手な幻想を抱いて、周りが見えなくなってた…あの時の、俺と)」
途中、バトンパスのミスがあり順位が入れ替わる
どれだけ走順に工夫を凝らしたとて、先の展開が読めないのがリレーの面白さだ
実行委員「アンカーの人!準備お願いします!」
クラス選抜のその中で、さらにアンカーを務める者達はクラスの威信を背負っている自負がある
その顔つきは皆一様に精悍でどこか誇らしげだった
どの者もスポーツ経験者で手や足首を回したりその場で跳ねたりと、アップを怠らない
先程から思考の連鎖に囚われているただ一人を除いては - 138スレ主23/12/23(土) 09:55:39
凪「…」
凪「(恋してることへの酔いみたいなのから醒めて、現実を見た時に、レオはまだ俺のそばにいてくれたけど…。あの時、取り返しがつかないくらいレオの心が離れちゃってたら、今頃どうなってたのかなって…それを思うと、たまにスゲェ怖くなる…)」
凪は「心ここにあらず」といった感じで、ボーッと意識を思考の世界に飛ばしながら惰性のようにノロノロとした緩慢な動きでスタート位置に立った
玲王が腕を伸ばすストレッチをしながら、その横に並ぶ
玲王「よっ、凪!準備万端か?」
凪「んー、レオのこと考えてたよ(あ、この表情はよそ行きの顔…)」
凪の頭の中からは、片時も玲王のことが離れることはない。いつだって玲王のことで頭がいっぱいだった
玲王「ハハ…大丈夫かよ。あんま差ついてねぇけど、この感じだと俺のがちょっとだけ早くスタートするな」
玲王がコーナーを曲がる走者達を見てそう予想する
内部生の多い玲王のクラスは放課後に仲良くバトンパスの練習に勤しんでいたこともあり、連携がうまく取れて他のクラスよりも少しリードしていた
玲王「先に行ってるから、全力で追いついて来いよ」
玲王がポンポン、と凪の肩を叩く
凪「YES…BOSS」
そして、玲王の元にクラスメイトが走り込んできた
走者「玲王!頼んだッ!」
玲王「オッケー!」
玲王の手にバトンが渡って走り始めると、周囲からは当然のように歓声が沸き起こる - 139スレ主23/12/23(土) 10:06:47
生徒「玲王様ー!キャーッ!頑張ってくださーい!」
生徒「ぶっちぎっちゃってー!!」
学園の王子様が、体育祭のラスト種目でリレーのアンカーを務め、ぶっちぎりでゴールする———
誰もが望む、絵に描いたようなその王道の光景
正直なところ、たとえ玲王を抜かす走力の持ち主がいたとして、この状況から一位を掻っ攫うことは普通の神経の持ち主なら憚られるだろう
しかし、空気を読まない男がここにいた
凪「(さっさと終わらせて…レオにさっきの続き、してもらお)」
走者「凪っ!ごめん!あと頼んだッ!」
バトンパスにもたつき順位を下げたクラスメイトが、凪に謝りながらバトンを渡してくる
凪「はーい」
凪はそれを軽い感じで受け取り、鬼のような速さで前を走る玲王を追いかけた
白団長「凪ーッ、いいぞー!行けーッ!白組の卍パワーを見せろーッ!!」
白団員「「凪誠士郎マジ卍ーッ!!」」
凪「(…続きってなんだろ。楽しみだなー。ベロチュー?もっと先とか?えっ、スゲー気になるなぁ、どーしよう…)」
せっかくの白組応援団の声援も、玲王との「続き」に夢中の凪には届いていない
凪「(よしっ、レオに直接聞いて確認しよ!)」
目標の定まった凪は脇目もふらず、競走馬のようにただ玲王だけを捉えて突っ走る
走ることに必要なのは基礎体力、持久力、そして瞬発力———
やる気スイッチが入った時の凪は速かった - 140スレ主23/12/23(土) 10:14:42
白団員「総長ッ!アイツ、俺らの応援でさらにスピードぶち上がってますよ…!?」
白団員「凪ッ、まさか…俺らの勝利のためにッ…!?」
白団長「グスッ…あまり泣かせるなよ、凪…ッ!お前は、白組応援団の柱になれッ!!」
白組応援団の中では勝手な凪の美談が創り上げられていく
凪「(あとちょっとで、追いつく…!)」
手を伸ばせば届く距離まで玲王との差を縮めた凪
玲王『代わりにさ、終わったら凪と二人だけの時にお前の好きな服着てやるから、な?』
凪「あッ!!」
その瞬間、凪は昨日、旧体育倉庫で玲王に言われた言葉を思い出した
凪「ねぇッ!?レオーッ!!」
玲王「はっ!?」
声に気付いて後ろを振り向いた玲王は、結構な差がついていたはずなのに、もう凪が真後ろまで迫ってきているのを見て驚く
玲王「(ウソだろッ、もうそこにいんのかよッ!?)」
凪「アレってさー!そーいう意味なの!?」
玲王「ッ、何が!?」
凪「さっきのー!終わったら続きって話さぁ、昨日言ってた俺の好きなコスプレの話だよねッ!?」
玲王「(コスプレ!?)なんだよ、それッ!?そんなの知らねーよッ!」
後ろからとんでもないスピードで迫り来る凪に対して、玲王は生物的な危機感を抱き、逃れようとさらに速度を上げていく - 141スレ主23/12/23(土) 10:23:05
リレーでは追う方が速くなるとはよく言われるが、この状況下では恐怖からか追われる方も速かった
観衆「あのアンカー二人、物凄く速いわねぇ。陸上部?」
陸上部顧問「ぜひとも我が部に欲しい人材だっ…!」
凪「はっ!?何、逃げんのッ!?また俺との約束ナシにする気!?」
【絶対に俺との約束守らすマン】となり、後ろから髑髏を顕現させた凪は、さらに玲王との距離を詰めていく
玲王「(こ、こぇぇ…ッ!!)」
アンカーが走るのはトラック一周分
普段鍛えている玲王もここまで命懸けの全力で走ることはなく、さすがに肺が痛くなってきた
凪「ねぇッ!あのコスってさぁ、女装もアリなの!?ねぇ、どっち!?」
玲王「(さっきから何なんだよッ!)そんなのッ!今聞くコトじゃねーだろッッ!!」
生徒「ちょ、寝太郎の追い上げエグくない!?」
生徒「玲王様ーッ!ヤダー!負けないでーッ!!」
学園の王子様が白宝のパワースポットに抜かされそうになり、女子生徒達は半狂乱である
白団長「行け行けなーぎ!」
白団員「「押せ押せなーぎッ!!」」
コーナーでとうとう二人が並び、ラストの直線へと差し掛かった - 142スレ主23/12/23(土) 10:35:45
凪「(このまま逃げられたらまたうやむやにされる…そうだ!先にゴールして、レオのこと捕まえたら良いんだッ!)」
凪の天才的頭脳は、時に常識やぶりなことを思いつく
そして、その閃きをそのまま実行に移してしまえるのがこの男の才能の成せる業である
スピードを上げた凪は玲王をアッサリ抜かし、ゴールテープを切った
パァン!
観衆「「ワアアァァアッ!!」」
生徒「「イヤァアアアッ!!」」
まさかの追い上げ逆転劇に、観衆からは声援が、そして女子生徒達からは悲鳴のような嘆きの声が沸き起こる
放送「なんと!まさかの大逆転ッ!一位は◯組凪誠士郎君ですッ!これにより白組にポイントが加算!」
白組応援団「「ウオォォオオーッ!!」」
ゴールした凪は、そのままルーレットボレーの要領で素早く重心を移し、くるりと身体の向きを反転させた
玲王「ッ!?うわッ!!あぶねッ!!」
全速力でゴールしてきた玲王を凪が受け止めようとして二人の身体がぶつかり、凪はそのまま後頭部を下にして倒れてしまう
超・危険行為…!(良い子は絶対マネしないでね!)
体幹鬼フィジカルのはずの凪だが、なぜか玲王を支えきれず倒れてしまった
急に前に飛び出してきてぶつかり、倒れた凪
それに対して玲王はどうした?怒った?心配した?それとも…?
玲王の行動&セリフを下3レスから🎲 - 143二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 10:41:45
すっげえじゃん凪!さすが俺の宝物だな!
リレーは負けちゃったけど思わずキラキラ笑顔で褒めちゃう - 144二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 11:14:37
危ないだろ!どっか怪我してねーか?
凪の心配をする - 145二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 12:26:15
もぉ!あぶねーだろ!!
訳分かんねーことばっか言うし!!
ぷんすか怒る - 146スレ主23/12/23(土) 18:35:51
- 147スレ主23/12/23(土) 20:54:19
【突発!イラストリクエストタイム】
スレが季節感無さすぎるのでXmas🎄凪玲絵描きたいけどテーマが浮かばないので下3レスから🎲でリクエスト募集!
(🎄っぽい内容ならなんでもOKです〜どんな二人が見たいか教えてください) - 148二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 21:00:56
突然の神企画にびっくりだよ!
首にリボン巻いてプレゼントは俺ってしてる玲王(意味はよく分かっていない)とほとばしる凪 - 149二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 21:21:10
ミニスカサンタ玲王が凪に跨ってて、凪が玲王の太ももを触ってるイラストがいいです!!!!!
スレ民へのクリスマスプレゼント…?ありがとうスレ主🥺 - 150二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 21:41:51
スレ主クリスマスプレゼントありがとう…
凪にクリスマスケーキをあーん♡で食べさせてる玲王で🎂💖 - 151スレ主23/12/23(土) 22:10:52
- 152二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 07:43:39
スレ主の絵たくさん見れて嬉しい〜
- 153スレ主23/12/24(日) 08:43:00
玲王「すっげえじゃん凪!さすが俺の宝物だな!」
リレーには負けたものの、玲王はやる気を出せば何だって一位を獲れてしまう自分の宝物が誇らしかった
凪の腹の上に乗って、キラキラした笑顔のまま凪の頬を両手で挟んでヨシヨシと撫で、思わず我が事のように褒める
生徒「玲王様…負けても相手を褒め称えるなんて」
生徒「本当に、どこまでもスポーツマンシップに溢れた心の美しい方ですのね…!」
凪「…」
しかし、凪からの反応はない。先程からずっと動かず、目を閉じたままだった
玲王「は、凪?おい、」
次々と残りの走者がゴールし、最後の走者がゴールテープを切っても、凪が起き上がる様子はなく、はじめは二人がふざけているだけなのかと思っていた会場の人々も次第にざわつき始める
ザワザワ…
観衆「え、どうしたの?大丈夫?」
観衆「さっきあの子、かなり頭打ってなかった…?」
玲王「え、嘘、凪…ふざけてんのかよ!?オイ!」
養護教諭「御影君、ちょっと診せて」
救護テントにいた養護教諭が慌てた様子で駆けつけ、凪の瞼を開かせて瞳孔の大きさや眼球の動きを確認する
養護教諭「…ただの脳震盪だと思うけど、念のため救急車を呼びましょう」
玲王「え」
養護教諭「先生!至急、救急車の手配をお願いします!」
養護教諭が叫んで、ようやく周りも事の重大さを認識して動き始める
玲王「お、俺も…俺も付き添います!」
こうして、意識を失ったままの凪は教師と玲王に付き添われ、閉会式を残すのみとなった体育祭を後に救急車で病院へと運ばれた - 154スレ主23/12/24(日) 08:48:09
in 病室
コチ、コチ、コチ… ピー…
コチ、コチ、コチ…
時計の針や、何かの機械が規則正しく動く音が聞こえて凪は目を覚ました
どれくらい寝ていたのだろう
凪「ッ…?(あったま、いってぇ…)ん?」
凪が目を覚ますと、目の前に大きなアメジストのような紫色が広がっていた
凪「うわッ!?って、いってぇ…!」
その光景に驚き、慌てて後退りしようとして凪は木製のベッドボードに頭頂部を打ちつけてしまう
凪「ッ、つぅ!?(ここ、どこだよ!?)」
??「目ぇ覚ましたっ…!?」
ガバッ!
??「凪ッ!!」
凪「ッ!?(は!?なんだこれ)」
紫色だったものは人間の瞳で、その持ち主が急に自分の名前を呼んで抱きついて来たので、凪はワケが分からず混乱する
凪「(…ゆ、夢、なのかな…)」
目が覚めたら知らない人物に急に抱きつかれた
これはきっと夢なのだと思い、凪は再び眠りの世界に戻ろうと目を閉じるが、先程の紫色が揺り起こしてくる
玲王「寝るなッ!寝たら死ぬぞ!しっかりしろ!」
凪「あ゛ー、やめて…」
ガクガクと効果音がしそうな程に激しく揺すられるので、凪は口から濁音を漏らしながらそれを拒否した - 155スレ主23/12/24(日) 08:53:05
玲王「先生ッ!すみません、凪が目を覚ましました!」
??「御影様、ご友人がお目覚めで!?」
紫色の発した声により、廊下にいたであろうドクターやナース達がその他大勢を引き連れてバタバタと病室内に集まってくる
凪「(いや…なんなの、これ。ドラマで見る院長の総回診かよ、って…ミカゲ?って、たしか…)」
聞き覚えのある名前に、凪はあらためて確認の意志を持って目の前の紫色を見つめ直してみる
その顔は、大きな瞳に細い顎…形の良いパーツが全て絶妙なバランスでその小さな顔の中におさまっていた
凪「(お人形さん?)」
しかし、紫色がその顔の中にある綺麗な瞳を、今にもこぼれ落ちそうなほどに涙を湛えて潤ませ、心配そうに自分を見つめてくる程の関係性が、凪にはまるで思い当たらなかった
凪「(あのー…どちらサマ?…この人の着てる服、白宝のジャージだよな…?てことは、やっぱあのお金持ちのミカゲ?)」
凪の思考がまとまりかけてきたところで、それを阻害するかのように横から声をかけられる
医者「凪さん。今、ご気分が優れないとか、吐きそうといった症状はございますか?」
凪「え?いえ…ちょっと頭が痛いくらいで、あとは別に、なんともないデス」
正常に受け答えをする凪に、病室はホッとした安堵の空気に包まれた - 156スレ主23/12/24(日) 08:55:14
医者「御影様」
玲王「はい」
医者「お友達の状態ですが、今は正常な受け答えをなさっていますが、頭を強く打ってから48時間ほどは安静にして様子を見た方が良いです」
玲王「分かりました」
医者「凪さん。お家には、ご家族とか、誰か他にいらっしゃいますか?」
凪「いえ、今は一人暮らしなので…」
病室内にどうしたものか、といった戸惑いの空気が流れる
凪「(は?何なの?これ。俺が、頭を打った…?それで、なんでいきなり大勢に囲まれて、こんな大げさなことになってんの…?もう、ほっといてくれないかな…)」
自分の一言一行が周りに影響を与えてしまうその面倒な状況に、凪は既に辟易している
玲王「じゃあ…俺が、家で凪を看ます」
医者「おお、なんと!」
看護師「可能であれば、それが良いですね」
紫色の勝手な発言に、総回診のごとき大名行列の面々が感嘆の声をあげた
凪「(ちょ、ちょっと待って!さっきから、情報量が多い…)」
天才的頭脳で現状を把握しきれなくなった凪は、再び頭痛に見舞われてしまう - 157スレ主23/12/24(日) 08:57:19
凪「うっ…」
玲王「凪!?」
医者「あ、御影様。もちろんこのまま凪さんには、こちらに入院していただくことも可能ですが」
玲王「いえ、心配で…このままだと俺が何も手につきそうにないので。それに、ば…執事に確認をとってもらったら、コイツの両親も仕事で忙しいってことだったので、俺が家に連れて帰って48時間、面倒を見ます」
医者「なんと、お友達想いな…」
看護師「素晴らしいですわ。なかなか出来ることじゃありません」
一同はうんうん、と頷きながら、研修医に至っては何やらファイルにメモを取っている
凪「(面倒を見るって…?この紫の人が?何?俺は捨てられてる犬とか猫じゃないんだけど)」
玲王「なぁ、凪。お前もその方がいいだろ?」
紫色がグイグイと距離を縮めてくる
凪「(よく見たら髪も紫じゃん、この人)」
薄暗い病室の中で、寝起きの凪にとっては髪も瞳も全てがキラキラしている目の前の人物の存在自体が眩しい
こんな眩しい人が近くにいたら、きっと落ち着かない。医者の言う安静どころじゃないだろう - 158スレ主23/12/24(日) 08:59:53
凪「いや…(さっきから距離が近いし、分かったから、ちょっと離れて…)」
玲王「嫌?」
心理的にも物理的にも距離の近い玲王に対して、記憶を失った凪はため息と共につい本音を漏らしてしまった
凪「アンタさ、俺の何なの?」
玲王「は?」
凪「…あー」
ここまで連れて来てくれた人に向かって「アンタ」はさすがに失礼過ぎたかも知れないと、普段人の名前を覚えることの少ない凪が名前を尋ねる
凪「あ、ごめん。名前、何?」
玲王「…?お前、フザけてんのか?」
先程まで眉を八の字にして心配そうに瞳を潤ませていた紫色が、途端に真顔になった
凪「?(フザける?だって、今が初対面だろ?)あー、ミカゲ、くん?で、合ってる?」
玲王「御影…御影、玲王」
ようやくタイトル回収!トンデモ展開が始まった…!
後頭部を打ちつけた凪は部分的な記憶喪失になってしまっていた
それは、玲王に関するコトだけ…
紫の君…ならぬ御影玲王と名乗る男に対して、凪は何という呼び方で名前を呼んだ?下3レスから🎲 - 159二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 09:03:01
御影くん
- 160二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 09:06:58
御影
本当は玲王って呼んで欲しいよ…😢 - 161二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 09:07:50
玲王(御影より文字数が少ないので)
- 162二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 16:15:35
玲王があまり曇りませんように…😭
- 163スレ主23/12/24(日) 20:26:31
- 164二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 22:55:56
早く思い出せ
- 165スレ主23/12/25(月) 09:53:37
〜🎄 Merry Christmas 🎄〜
スレ民へのクリプレ🎅🎄🎁(結局)全部乗せin 凪の家凪の家でクリスマスパーティーをするため買い出しから帰った二人は、荷物を下ろしてサンタコスに着替えていた
玲王「いや〜、なんであそこのド◯キ男物のサンタコスが一着しかねぇんだよ。なー?」
凪「さ、さぁ…クリスマスだし、もう売れちゃったんじゃない?」
言わずもがな、犯人はもちろんこの男である
サンタコスを買いにド◯キに入った瞬間「ごめーん、レオ。俺ちょっとトイレ〜」と言いつつ、勝手知ったる店内で玲王より早くコスプレ売り場へと到着し、自分用の男性用サンタコスLLサイズ一着のみを残し、それ以外の全ての男性用サンタコスを違う場所へと隠したのだ
(※フツーに営業妨害なのでやめましょう)
そして、「残念〜。レオと一緒のコスしたかったけど、俺さすがに女物入らないから」と言って、見事玲王だけに女性用ミニスカサンタコスを着てもらうことに成功していた
天才的頭脳の無駄遣い。策士である
玲王「あ、やべぇ!そーいや俺、プレゼント持ってきてないんだった」
凪「え、いや、いーよ全然…。俺からしたら(ミニスカサンタコスの)レオと過ごせるだけで、最高のクリスマスプレゼントだから…」
これは嘘じゃない。偽りざる凪の本音である…telegra.ph🎅< フォッフォッフォ…スレ主🌵からスレ民達への愛のプレゼントじゃよ
(夜中から今まで頑張った…なんとかXmas間に合った)
- 166二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 10:05:27
最高のプレゼントありがとうございます!!
二人共可愛すぎるよー - 167二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 11:29:37
まさかの全部乗せありがとうスレ主…
夜中から頑張ってくれたの🥺ほしゅはスレ民に任せて今日はゆっくり休みな!!! - 168二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 13:39:20
クリスマスにもコスする2人めちゃくちゃ可愛い!玲王が凪を振り回す世界線も良いよね!
イラストもssも最高 クリスマスプレゼントありがとうスレ主! - 169二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 14:53:44
めちゃくちゃ幸せイチャイチャ可愛いクリスマスプレゼントありがとうございますスレ主!!😭✨
- 170二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 22:07:04
あの、この世界の二人はもしかして色々と「済」ですか??
- 171二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 04:48:09
別世界の2人は玲王の方がグイグイでこれもまた良き…だった😌えっちだ…
- 172二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 13:46:05
ほ
- 173スレ主23/12/26(火) 14:32:20
皆さま、保守ありがとう!
(おかげ様で充電🪫▶︎🔋完了、そしてSSが過去最長です…🌵今から更新するよ〜) - 174スレ主23/12/26(火) 14:39:29
凪「ミカゲ、レオ…?」
名前の漢字が分からず、凪は音の響きだけで辿々しく玲王をそう呼んだ
玲王「…」
玲王が怪訝そうな表情で凪を見る
無理もない。凪がグラウンドで倒れてから意識のないまま数時間が経ち、ようやく目が覚めたと思った恋人が初対面かのように自分の名前を聞いてくるのだ
毎日、現に今日だって、何回呼ばれたか分からないその名前を
「レオ」と甘えたように、時には拗ねたように
普段ほとんど表情の変わらない凪から呼びかけられるその二文字の中に、いつもどれほどの感情と想いが込められていたか
玲王は今になってその重みを実感し、それゆえに恋人と同じ顔と声の目の前にいる人物が、まるで見ず知らずの他人かのように自分の名前を尋ねてくる理由が理解出来なかった
凪「(え、この人の真顔の圧…凄いな、なんか)ミカゲって、あのゴリゴリの金持ちの?」
玲王「うん…そう」
凪「そっか、よろしくね。御影くん」
凪は目の前にいる御影レオの表情にようやく納得がいった
凪「(さすがはスーパー金持ち…名前聞かれただけでそんな顔するとか。俺の名前は知ってて当然だろ?このド庶民が、ってことかな)」
凪「まことに申し訳ありませんでした」
玲王「…?何が…」
他人行儀な凪と、それを見て固まっていく玲王の様子に、周りの医者達が次第にザワつき始める
凪「(うわー、またなんか周りで話してるし…めんどくさー…)」 - 175スレ主23/12/26(火) 14:41:58
医者「御影様、失礼ですが…凪さんとは以前はどのようなご関係で?」
玲王「あ…パートナー、です。大事な。…サッカーの、相棒の」
凪「??」
凪は玲王の言うことが分からなかった
凪「(は?何、サッカーって…。しかも、相棒?そんな漫画みたいに熱い関係とか…俺知らないんだけど。この人、誰か他の人と俺を間違えてない?)」
凪は「自分と似た顔の人物が学校にいただろうか」と頭をひねって白宝生達の顔を思い出してみるも、元々人に興味のない凪は生徒の顔など覚えてはいなかった
凪「(でも…こんな目立つ人が相棒として俺の近くにいたら、もっとちゃんと覚えてそうなモンだけどな…)」
医者「…凪さん」
凪「はい」
医者「御影様のことは、覚えてらっしゃいますよね?」
凪「えっと…同じ学校の、お金持ちの人、ですよね」
玲王「ッ!」
医者「…」
医者が玲王の近くに行き、耳打ちするようにして告げる
医者「まだ断定は出来ませんが…恐らく凪さんは脳震盪による一時的な記憶障害を起こしている可能性が高いです」
玲王「記憶障害?」 - 176スレ主23/12/26(火) 14:50:43
医者「はい。今の凪さんは、ドラマや映画などにある、いわゆる記憶喪失のような状態だと思われます」
玲王「記憶喪失…」
創作の中だけかと思っていたその症状が一番身近で大切な宝物の身に起こったことに、玲王は言葉を失う
医者「しかし、ご自分の名前などははっきりと覚えてらっしゃるので…部分的なものではないかと」
玲王「…(じゃあ、俺のことだけを、忘れてるってこと…?)」
玲王「そんなの、どうしたらいいんですか…?」
凪が記憶喪失だと言われたって、突然のことで玲王は心も頭も理解が追いつかない
それでも愛する凪のために、自分が出来ることは何でもしたかった
医者「通常ですと、この症状は時間と共に自然回復するものですので、脳自体の損傷は心配ありません」
玲王「そうなんですね」
脳のダメージは心配ないと聞かされ、玲王はホッとした表情を見せる
それならばきっといつか凪の記憶は元に戻るのだろう、と
医者「しかし、もし繰り返し頭部に衝撃が加わった場合には、脳に損傷を認めたり、後遺症が残る可能性もあります」
玲王「そんな…」
医者「ですから、お家で過ごされる場合は、サッカーはもちろん、激しい運動や頭を打つような危険な行為はならないよう十分にお気をつけください」
玲王「…分かりました」
凪「?」
自分の知らないところで、自分の身の振り方がどんどん決められていく
凪はその様子を「めんどくさ〜」と思いながら眺めつつも、今の自分はどういう理由か頭を打って、先程まで意識を失っていた怪我人であり、そんな自分は今は決定権を持てないのだということはちゃんと理解っていた - 177スレ主23/12/26(火) 14:54:58
凪「…」
だから凪は、大勢に囲まれて一挙一動を監視されるこの現状から一刻も早く抜け出て静かに過ごせるなら、もう細かいことはどうでも良かった
凪「ねぇ…御影くん」
玲王「何?」
凪「御影くんの家って、三食昼寝、ゲーム付きだったりする?」
玲王「…おー。とりあえず48時間は、な」
凪「じゃあ、二日間お世話になりマス」
こうして記憶を失った凪と玲王の48時間同居生活が始まった
少ない荷物をまとめて精算を済ませてから病院の車寄せに出ると、ちょうど良いタイミングでばぁやの運転するリムジンが到着した
玲王「ほら、行くぞ。凪」
凪「迎えの車って、これ?なっげー…」
玲王「…」
運転席からばぁやが降りてきてドアを開けてくれる
ばぁや「お疲れ様でした、玲王坊ちゃん」
玲王「ありがと、ばぁや。凪は今日から二日間、俺が家で面倒見るから」
ばぁや「かしこまりました。そのように手配しておきます」
玲王が車に乗ったのを見届けたばぁやが、凪の方を見る - 178スレ主23/12/26(火) 14:59:05
ばぁや「この度は大変なことでしたね。お加減はいかがですか、誠士郎様」
凪「おわっ!」
ばぁやの顔をちゃんと見た凪が驚きの声を発した
凪「(すげぇ、この人…魔女みたいな鼻してる…魔女みたいな鼻…)あ、はじめまして?凪誠士郎です。お世話になりマス」
ばぁや「はい。今日はもう遅いですので、何も心配なさらず坊ちゃまとお家でゆっくりお寛ぎくださいませ」
玲王から事前に今の凪の様子を聞いていたのか、ばぁやは初対面のような凪の態度にも驚くことなく冷静に対応していた
玲王「なぁ、凪。ノンアルスパークリング飲む?」
凪「え?何ソレ」
玲王が車内に設置されているボックスから、ステムの長いグラスを二つ取り出す
玲王「アルコールだけ抜いた、スパークリングワイン。お前の退院祝いに…って、病院には数時間しかいなかったけどな!あ、そうだ!じゃあ体育祭お疲れ様会にするか?結局うちの赤組とお前の白組どっちが勝ったんだっけなー?もしかしたらクラスのやつからLINE来てるかもな」
玲王は現状を受け入れまいとするかのようにペラペラと一方的に喋りながら、手際よくボトルからコルクを抜いて中身をグラスに注ぎ、乾杯もそこそこにそれを一気に煽った - 179スレ主23/12/26(火) 15:01:21
玲王「プハッ!あー、うまっ!」
凪「(リムジンでシャンパンて…)御影くんて、マジでお金持ちだね」
玲王「は?なんだよそれ、さっきから…」
凪「え?何が(あ、シュワシュワ…)」
凪も付き合い程度にグラスの中身を口にし、慣れない味のそれをちびちびと飲み進めていく
玲王「お前にその呼び方されると、鳥肌立つんだけど。玲王って呼べよ」
凪「れお?」
玲王「そう、玲王」
凪「…どんな字、書くの?れおって」
玲王「左が王様の王に、右が命令の令。それに、王」
凪「ふぅーん。似合ってるね、玲王」
自分を家に連れ帰って面倒見ると即決してしまうその強硬な姿勢は、名前の通り王様そのものだと凪は思った
玲王「ありがと…」
凪「(御影玲王…)」
凪の中で、ようやく音だけで捉えていた名前が文字として浮かび上がる - 180スレ主23/12/26(火) 15:08:13
生徒『あとで玲王くん見に行かない?』
生徒『行く行く!お近づきになりたーい!』
お金持ちでカッコイイと入学初日に女子生徒達が騒いでいた学園の王子様
あの学校に、この同姓同名はきっといない
やはり目の前のこのイケメンが、あの噂の「御影玲王サマ」に違いないのだろうと凪は確信する
凪「…」
凪は流暢に途切れなく話を続けるコミュ力の塊のような玲王を見ながら、どんな世界線で生きたら都外の公立中から外部入学してきた自分と、都内屈指の超進学校カーストトップの王子様がサッカーで相棒になるのか
その難解なミステリーを解けずにいた
しかし、フツーに考えてカーストトップの王子様の名前を呼び捨てするのはさすがに躊躇われる
これまで誰かとそこまで親しい関係になったことなどないのだ
記憶を失う前の自分は別として、少なくとも、今の自分は
凪はアレコレとしばらく悩んだ結果、めんどくさくない方に落ち着くことにした
凪「ごめん。やっぱ慣れないから、御影くんで」
玲王「…」 - 181スレ主23/12/26(火) 15:21:29
二人の乗ったリムジンが御影本社ビルに近づく
凪「あ、家ってここ?でっけぇ〜!」
玲王「…家は、一番上のとこだけだから」
凪「え、そーなんだ?」
凪「うわー、このエレベーター超速くない?もう50階だよ。俺こんな速いエレベーター乗るの初めて」
凪「ねぇ、床も全部大理石なの?お手伝いさんとか、さっきの人以外にもいたりするの?」
玲王「…」
車から降りてからも、凪は初めてこの家を訪れたかのような感想を玲王に言い続け、その度に玲王は、頭では「凪は記憶喪失だから仕方ない」とは分かっていても、心の中は複雑な気分になっていた
玲王が暗証番号を入力して指紋で玄関ドアを解錠する
凪「(スゲ〜…こんなの、ドラマの中でしか見たコトない…)」
玲王「うちの親、まだ帰って来てないから…親には後で説明する。とりあえずそれまで俺の部屋でゆっくりしといて」
玲王は荷物を置いてキッチンへ向かおうとする
凪「え、どこ?御影くんの部屋って。この家ドアいっぱいあるね」
玲王「…」 - 182スレ主23/12/26(火) 15:28:25
玲王『おい、凪!何してンだよ?』
凪『あー、誰もかまってくんないからお茶飲んでただけ。あ、レオも一緒にどう?スイーツもあるよ』
凪『うぇー、スゲェ気がきくね!俺もばぁやさん欲しい!やっぱこの家永住したいなー。パパさんに聞いてみようかな』
いつもの凪なら、冷蔵庫のプリンを勝手に食べて一ヶ月出禁になったり、我が家のように風呂に入ってくつろいだり、キッチンでレモンティーを淹れたり、病気で臥してる自分を驚かせようとクローゼットを漁ってばぁやの変装をしたり、たけのこの里を部屋にばら撒いたりと…
まるで我が家のように自由奔放に振る舞うのに
玲王「(泣いちゃ、ダメだ…泣くな、だって、仕方ないだろ)」
凪が今こうなっているのは事故のせいで、きっと一時的なものなのだと分かっていても、まるであの頃の、恋人だった凪が遠い昔の存在のように思えて、玲王は思わず泣きそうになる
玲王「…ここ、出て、右行った奥の、突き当たりの部屋」
凪「オッケー」
凪は広い廊下を進み、玲王に指示された部屋のドアを開けた
凪「おじゃましマース…って、うわー。これが勝ち確ヌルゲー人生か…!」
大きなテレビに最新のゲーム機、高そうな調度品の数々
凪は部屋の中で一番目立つふかふかの大きなソファに座り、早速ポケットからスマホを取り出して「待ってました」と言わんばかりにゲームを始めた
凪「やっとデイリーこなせる…今日中に間に合うかなぁ」 - 183スレ主23/12/26(火) 15:37:27
凪がしばらくゲームに勤しんでいると、レモンティーとお菓子を持った玲王が部屋に入って来た
玲王「凪ー、夕飯何食べたい?」
凪「えー、お腹空いてないからいらなーい…おりゃ、ヘッショ!」
凪はゲームのデイリーをこなすことに夢中になっていて、玲王が近くに来てもスマホから目を離さない
玲王「ダメだろ…ちゃんと食べねーと」
凪の前に温かいレモンティーを置いた玲王が、ため息を吐きながら横に座る
凪「だって、ご両親いないなら誰がご飯作るの?ウー◯ー?それとも、家政婦さん?」
玲王「…俺だけど」
凪「…マジで?」
凪はようやくスマホの画面から目を離して、玲王の顔を見る
凪「もしかして…ご趣味は、お料理とかデスか?」
玲王「え、別に。まぁ、何かを学んだり、自分を高めることは好きだけどな。何でも」
凪「??(特に料理が趣味ってワケじゃないのに、王子様が自ら俺に手料理を作る…?)」
「相棒ってだけで、フツーそこまでするのか?」と凪は驚く - 184スレ主23/12/26(火) 15:46:44
凪「ねぇ…」
玲王「んー?」
玲王がレモンティーを飲みながら凪に相槌を打つ
凪「病院で俺のこと相棒って言ってたの、アレ本当なの?」
玲王「うん…」
隣に座る凪の横に玲王が手をつき身体を寄せると、重みでソファーの座面が少し傾き、凪も玲王の身体の方に寄る
凪「(あれ…目ぇ、赤…)」
近くなった距離で玲王の顔をよく見ると、先程まで泣いていたのだろうか
その目元は赤く染まってしまっていた
玲王「まぁ、相棒ってのは…半分が本当で、半分は嘘、かな」
凪「え…」
スマホを持つ凪の手が玲王の手によって捉えられて、下げられる
そして、宝石のような紫色が再び凪の視界いっぱいに近づいてきた
凪が、あ、と思う間もなく玲王の唇が凪のそれに重ね合わされる
玲王「…俺とお前はさ、パートナーだったの。もちろん、今だってそうだよ」
玲王の手が、その存在を確かめるように凪の顔に触れた - 185スレ主23/12/26(火) 15:55:12
玲王「凪…俺、スッゲェ心配したよ。このままお前が目ぇ覚さなかったらどーしよう、って、ずっと、心配だった…」
凪「(あ、また…)」
玲王から再びキスをされる
凪「(うわー…俺、初キスなんだけど…)」
凪の唇は、玲王の形の良い唇によって音を立てながら何度も愛おしそうに啄まれ、その度に凪の中の”相棒”の定義がグラグラと揺らいでいった
玲王「(あ、どーしよう…やっぱり、匂いも、温度も、全部ホンモノの凪だ…抑えられない、かも)」
玲王「…なぎ?」
凪「ハイ」
ビックリするような甘い声で玲王から名前を呼ばれて、先程まで接していた学園の王子様と全然違う、蕩けたようなその表情と声に、凪は呆気に取られてポカンと口が開いてしまう
凪「(あ、もしかして…俺と王子様は、そーいう意味の”パートナー”だったの?)」
そう思ったのも束の間
驚いて開いていた唇の隙間から玲王に舌を差し入れられ、そのまま舌を絡め取られて吸われた
玲王「んっ…」
凪「〜〜!(ちょ、ちょ、ちょ…!)」
玲王「はぁっ、なぎ…好き」
玲王によって何度も角度を変えて唇が合わされ、触れ合う呼吸の合間に甘い声で何度も何度も名前を呼ばれて、凪は次第に現実感が薄れて頭がクラクラしてくる - 186スレ主23/12/26(火) 16:04:37
先程名前を知ったばかりの学園の王子様の「御影玲王」が、哀しみが混じったような、だけど熱に浮かされ蕩けたような潤んだ瞳で、熱く、ただ自分だけを見つめてくる
名前を呼ばれて、何度も「愛してる」とでも言うように口付けられて、その行為は男同士なのに不思議と嫌だとは思わずに、凪は自然と玲王の腰に手を回した
凪「(えー…なんだこれ、スッゲェ気持ちイイ…。俺、この人のこと好きだったのかな、マジで…)」
玲王は、自分の存在だけが凪に忘れられてしまっている哀しみと、そして隣に座る凪の匂いと温度を感じながら、やはり本物の凪だ、凪が無事だった、という安堵感とが入り混じり、抑えられない程の愛おしさが込み上げて凪に積極的なキスをしていた
そして、凪とキスをしながらも「もしかしたら、これはタチの悪いこいつのドッキリじゃないのか」と半分期待していたのだが、目の前の凪は特に暴走する訳でもなく、やはり自分の知らない人物のようだった
玲王「…はぁっ」
凪から唇を離した玲王は、本当に、この凪は記憶を失くしてしまっているのだという実感がようやく湧いてくる - 187スレ主23/12/26(火) 16:11:57
凪「(あれ?キス、終わり?)」
玲王「…なぁ」
玲王が凪に問いかける
凪「え、何でしょう?(うわ、なんか気まず…)」
玲王「お前、俺のことさぁ…ホントに、なんも覚えてねぇの?」
凪「…うん、ごめん」
ここで嘘をついたって仕方がないと思い、凪は正直に話す
玲王「ひとっつも?なんか、ちょっとでも俺のこと思い出したりとか…」
凪「うん…悪いけど、ひとっつも、覚えてないし、思い出せない…」
凪「(この人がどんなキスをして、どんな表情するのかは、今覚えたけど…)」
玲王から愛のこもった熱烈なキスをされて、この王子様が言うことは冗談でも何でもないのだと凪は身に沁みて理解した
だからきっと、御影玲王にとって恋人関係であるパートナーの自分に存在を忘れられている今の状況は、相当キツイに違いない
凪『んー。俺ファーストキスはレモンの味が良いな〜』
玲王『まーた始まった、このロマンチストの青春大好きっ子ちゃん』
凪『だってレモン味ならさ、俺が大好きなレモンティー飲むたびにレオとのファーストキス思い出せるでしょ?』
玲王「…そっか。じゃあ、キスは…これで終わりにする。もう、しない」
凪「え、そーなの?(って、あれ?)」
凪は「気持ち良かったから、まだしたかった」と言いそうになる自分に驚く - 188スレ主23/12/26(火) 16:17:07
玲王「悪かったな。いきなり知らないやつからこんなコトされたから、ビックリしたろ?」
凪「や、別に…」
少し気まずい空気が流れ、凪は玲王から目を逸らす
玲王「…ふっ、うっ…」
凪「え?」
ゲームを再開しようかと思った矢先、震えを帯びたその声に驚き再び玲王を見ると、紫色の大きな瞳からは大粒の涙が零れ落ちていた
凪「は!?」
玲王「っ…ぅぇっ…ごめ、グスッ…ごめん、もう、無理…」
玲王は、自分で言った「知らないやつ」という言葉と、いつもとは全然違う凪の態度に、しっかりと傷ついてしまっていた
凪「(さっきまであんなエロい顔してキスしてきてたのに、今はスゲー泣いてるし…マジで情緒どーなってんの?この人??)」
凪「…いや、そんな泣かないでよ」
玲王「っ、うん…わりぃ…」
泣き止もうと思えば思うほど、涙が止まらなかった
凪「めんどくさいから」
玲王「は?」
泣いていた玲王は、その言葉にキレた
記憶を失くした今の凪にとって自分は恋人ではないから、優しく接してほしいだとかそんな願いは持たないにせよ、目の前で泣いてる人間に対して「めんどくさい」とは何だ
人としてあまりにも愛のないその言葉に、玲王は今度は怒りが止まらなくなる - 189スレ主23/12/26(火) 16:22:06
玲王「あのなぁっ…!」
凪「(おいおい、今度は怒んのかよ!)何?」
玲王「元はと言えば、お前がリレーのゴール前で全力で走ってる俺の前にいきなり飛び出してきたからこーなったンだろッ!?」
凪「は?」
凪は玲王の話す事故の原因に対して、唖然とする
凪「いやいや、俺がそんなことするワケないでしょ。何ソレ、当たり屋?さすがに意味わかんないって」
玲王「意味わかんねーも何も、これが事実なンだよ!」
凪「…ねぇ、一個言っていい?もしかしてさ」
玲王「何っ!」
凪「俺が記憶なくしてるのをいーことに、捏造とかしてないよね…?」
玲王「ハァ!?」
真実を告げただけなのに凪から捏造を疑われ、玲王の怒りはさらに増す
玲王「嘘じゃねぇって!!」
凪「いや、信じられない。絶対ウソでしょ、そんなデカい声出すのも…ますますあやしい」
恋人の凪からは今まで一度も向けられたことのないような冷ややかな目で見られ、玲王はますますムキになる - 190スレ主23/12/26(火) 16:25:30
玲王「俺の凪はなっ!…前のお前は、こんなんじゃなかった!もっと、もっとさぁ…」
玲王は恋人の凪を思い出すと辛くなり、思わず言葉に詰まる
凪「もっと、何なの?ホラ、言ってみてよ。ねぇ、どんな俺だったの?」
玲王「…だって、」
凪『ごめんね?レオ。レオからのキス嬉しかったよ、ありがとう』
凪『やだやだー、足りない。最後にもっかい充電したい〜』
玲王「(恋人の凪は、俺のキスで、あんなに喜んでくれて…)」
玲王『…っとに、昔のお前はもっと可愛かった』
凪『…もぉー、昔の俺に妬けるんですけど。前の俺に戻った方がイイの?』
玲王「(なんで、俺…あんなこと、言わなきゃ良かった…)」
恋人の凪を説明しようと思い出すほどに、玲王は辛くなってしまう
とうとう言葉が出せなくなって、嗚咽を噛み殺すようにして自分の腕に顔を埋めた
その玲王の肩を、ポンポン、と凪が叩く
玲王「…?」
泣き腫らした顔を上げて、玲王が凪を見た
凪「(うわー、スゲー泣いてるし…プライド高そうだから言い返せないのがよっぽど悔しかったのかな)」
玲王「凪…?」
もしかして元の優しい恋人の凪の記憶が戻ったのだろうか、と、玲王は一瞬期待したが、その期待は次の凪の発言により脆くも崩れ落ちる - 191スレ主23/12/26(火) 16:33:27
凪「いや、だってよくあるじゃん。記憶がなくなったのを良いことに、恋人じゃない人が自分が恋人だって名乗るパターン」
玲王「は?」
キスされても全然嫌じゃなかったし、むしろ気持ち良かった。この人と自分は恋人だった…のかも知れない
目の前で戸惑いの表情を見せる学園の王子様から何度もされたキスは、優しく情熱的で、自分を慰るようなその行為からは、普段感情があまり機能していない自分でさえ、たしかに愛情のようなものを感じ取ることが出来た
でも、記憶を失っているとはいえ、元の自分と今の自分の性格がそこまで変わるだろうか
自分の性格上、”恋人”なんて(現にこんなに泣いて面倒くさい)存在を作るとは、凪には到底思えなかった
凪「うーん、やっぱ恋人とか作らないと思うんだよね。俺」
玲王「…クソが」
凪「え?(何?この人、急に口悪いな)」
玲王「じゃあ…言ってやるよ。俺の凪は、お前とは全然違うから聞いて驚くなよ!?恋人だった時のお前はなぁ…!」
何も知らない今の凪に、自分と恋人の凪の関係を否定されてキレた玲王は、ちょっとだけ話を盛って恋人時代の凪の様子を目の前の現・凪に伝えてやることにした
玲王は記憶を失う前の凪はどんな風(スパダリ?)な恋人だったと説明したの?
現・凪相手に思う存分惚気てください!
玲王の惚気を下3レスから🎲 - 192二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 17:19:02
俺の事一番に考えてくれていつも優しくて紳士的で最高の彼氏だった!
- 193二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 17:22:07
凪は俺のためなら何でもするし、俺のことしか頭にない奴だった!
すぐ変な触り方してくるし…キ、キスマとか付けてきて!
キスも長ぇし!目開けてこっち見てるし!
いつもレオレオレオって暴走してて、本当に困ったやつだけど…でもいつでも俺を優先して、助けてくれて、そんな凪のことが俺は大好きで… - 194二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 17:35:20
凪は他の誰よりかっこいいやつだった。俺にメロメロで毎日10回は好きだよって言ってきてた
俺のお願いはなんでも聞いてくれたしキスだってめちゃくちゃうまくて優しくて、いつも俺の同意を得てくれたし俺の手を取ってエスコートしてくれる紳士的なスパダリだった! - 195スレ主23/12/26(火) 20:24:41
玲王の凪に対する凪自慢という謎の構図が今始まる…!
dice1d3=2 (2)
皆さま、長文読了お疲れさまでした🌵
(現・凪くんのキャラが定まるまで&恋人凪だと暴走するから普段見れない凪←←玲王が見たくて書いてたら長くなった)
当初の予定では、もっとDT丸出しでオタオタしてる初期凪くん×ちょっとだけ経験済みの学園のアイドル様が、記憶喪失とは気付かないまますれ違うラブコメになるはずが…なぜかガッツリ玲王が曇ってしまった
サッカー抜きでも二人は恋に落ちたのか?
ケンカップルみたいな雰囲気ですが、次スレでは公園デートしたりとまったり過ごしてもらおうと思います🛶🍂
いつも安価コメント保守♡ありがとうございます!
次スレもお付き合いのほどよろしくお願いします🙇♀️
- 196二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 23:12:02
涙流しながら読んじゃった😢
記憶喪失凪も玲王に恋するんだろうなと思うけど、玲王が元の凪の話ばっかりするし愛おしそうにしてるから嫉妬とかしてしまうんだろうな〜
次スレも楽しみにしてるね、スレ主… - 197二次元好きの匿名さん23/12/26(火) 23:13:57
記憶なくなる前の自分に嫉妬ネタ超好き…
- 198スレ主23/12/27(水) 01:30:00
- 199二次元好きの匿名さん23/12/27(水) 01:54:08
また一波乱ふた波乱くらいありそうだけどエタサンするって信じてるからね!!!
イラスト最高ですスレ主ありがとう - 200二次元好きの匿名さん23/12/27(水) 13:23:05
次スレも楽しみ