- 1二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:27:34
タイミングが今しかないので供養で書きました
────数多の苦難を乗り越えジャパンカップに挑む(*^○^*)とシュヴァルグラン────
青く晴れた11月の空の下本拠地トレセンの近くにある府中で迎えたG1戦
──前走の京都では3着に終わり、更に同じ月には同期のライバルが天皇賞を制覇していた
スタジアムに響くレースファンのため息
いつもどこからか聞こえた「やっぱりジャパンカップも彼女だな」の声
他のウマ娘達も多くが諦める中、G1を目指し走り続けてきたシュヴァルグランは時折一人泣いていた
「どうすれば良いんだろう・・・」
シュヴァルグランは何度も悔し涙を流していた──
「…ラン。…グラン!」
ふと聞き慣れた声が耳に入り、シュヴァルグランははっと顔を上げた
(*^○^*)「グラン!大丈夫なんだ?」
いついかなる時でも変わらない丸い楽しそうな顔がこちらを覗き込んでいた
「うん…大丈夫だよ。トレーナーさん」
控え室の椅子の感触が現実に戻してくれた
どうやらまたネガティブな事を考えてしまっていたようだ
(*^○^*)「やれやれなんだ!もうすぐ出走なんだから、意識を切り替えるんだ!今日こそシュヴァルグランが世界一だって証明する日なんだ!!」
これまたいつも通りのトレーナーのポジティブ節に思わず苦笑しながら呟いた
「そうだね。…今日こそボクが勝たなくちゃね」
──その視線の先には、正にその名を体現するかの如く、黒を基調とした勝負服を纏ったウマ娘がいた - 2二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:28:51
──未だ無冠の自分と違い、既に数多の栄冠を勝ち取っている彼女、既に秋の三冠を最後にトゥインクルリーグ引退を表明している、ずっとその背を追い続けて来たライバルが──
この舞台は、彼女の引退表明から初めての彼女との対戦となるレースだ
もはや既にG1の舞台で彼女に勝つチャンスは、ここと有馬しか無いということになる
──シュヴァルグランにはもう次が有る、とは言えないのだ
いかなる強者からも逃げずに捩じ伏せた父、圧倒的なライバルの後塵を喫しながらも諦めず努力を続けG1連覇を成し遂げた姉、更には妹までもが今年父と同じ様に海を渡り、その先でG1を勝っている──
その様な中で、自分だけが未だにその勝利の味を知らないままだった
次が有る、なんて気持ちでは
ライバルが居なくなってからでも良い、なんて気持ちでは
自分の家族が手にした栄冠、喜び、感動、そして何より信頼できるトレーナーやライバル達との絆・・・
それを手にすることは不可能と言ってよかった
しかし、今のシュヴァルグランはそう言った感情とは無縁だった
元々メイクデビューで負けた様な自分でも、トレーナーと一緒に二人三脚で地道に、ひたむきに、努力を続けてきた結果重賞だって勝つことが出来たG1レースでも2着になった事も有る
普通ならようやっとると誉めてくれる人も沢山いるだろう
(……それでも)
それでも、あの頂きに登りたいと思ってしまう
家族が、自分に良く接してくれる友人が、ライバルが登っている姿を間近で見ていたから──見せつけられたから
今の彼女が欲しいのはG1という、星の輝きだった
最強のエースの座だった
だからこそ──
「今日こそ…ボクが勝つ」
この国際G1の舞台で、友で有り、そして絶対的な強者として君臨するライバル──キタサンブラックに勝って見せる!
そう意気込んでいると
(*^○^*)「その意気なんだ!ちゃんとヒーローインタビューも考えてるんだ!任せて欲しいんだ!!」
相変わらず、自分が負けるとは微塵も思っていないような──いや、本当に思っていないんだろう笑顔が、自分を送り出してくれた。 - 3二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:29:38
────そして
「さあ!最終コーナー曲がって先頭は以前キタサンブラック!」
何度も見せつけられた光景
先頭を走る、黒い影
──それでも今日の結果は違った
前が迫る
後続が離れる
後ろに一人、前に一人
前に並ぶ
前も横も消えた
ゴールした時には誰も見えなかった
──初めて見た景色だった
後ろにライバルが、他のウマ娘が皆いる
その意味が理解できなかった
ただ息苦しさと浮遊感が有るだけだった
少しずつ息が整い始めると、少しだけ周りが見え始めた
「あれ…ボクは…」
遠くから、自分のトレーナーが柵の隙間を通り抜け小さい白い体で駆け寄ってくる姿が見えた
少し覚束ない足取りで自分も歩み寄る
一歩進む度に、何故か彼との様々な思い出が蘇る - 4二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:31:42
────
出会ったときのこと…
(*^○^*)「僕は君のファンなんだ!」
初めて練習した時のこと…
(*^○^*)「挨拶はちゃんとしなきゃダメなんだ!」
メイクデビューで負けた時のこと…
(*^○^*)「トゥモローイズアナザーデイなんだ」
初めて勝った時のこと…
(*^○^*)「熱いぜ!シュヴァルグラン!」
連敗していた時のこと…
(*^○^*)「5回負けたなら10回勝てば良いんだ!巨人の投手がそう言ってたんだ!」
重賞を勝った時のこと…
(*^○^*)「世代最強ウマ娘シュヴァルグラン…ヨ、ロ、シ、ク!なんだ!」
────
そして今、いつもの笑顔は見る影もない、汚い様な面白い様な泣き顔が目の前に合った - 5二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:32:10
思わずほっとした様な、気の抜けた様な気持ちになり冷静さが戻って来た
そんな彼女が目にしたのは、観覧席の最上階迄埋めつくさんばかりの観客だった
千切れそうなほどに腕が振られ、地鳴りのようにシュヴァルグランの名前が響いていた
どういうことか分からずに呆然とするシュヴァルグランの背中に、聞き覚えのある涙声が聞こえてきた
(*^○^*)「グラン…ウイニングランなんだ…早く行かなきゃなんだ…」
声の方に振り返ったグランは耳を疑った
「ト・・・トレーナーさん?」
(*^○^*)「どうしたんだグラン…まだ夢気分なんだ?」
「ト・・・トレーナーさん?」
(*^○^*)「ど、どうしたんだグラン?僕が見えてないんだ…?勝手に殺さないで欲しいんだ!」
「トレーナーさん・・・」
何か言ってる(*^○^*)を尻目に半分パニックになりながら掲示板を見上げた
一番:シュヴァルグラン 二番:レイデオロ 三番:キタサンブラック 四番:マカヒキ 五番:アイダホ
暫時、唖然としていたシュヴァルグランだったが、全てを理解した時、もはや彼女の心には雲一つ無かった
「勝った…勝ったんだよ!トレーナー!僕が勝ったんだ!」
制止するトレーナーを無視してトレーナーを抱き締めるシュヴァルグラン、その目に光る涙は悔しさとは無縁の物だった・・・
翌日、コンビニの店頭には冷えた新聞紙の一面を飾るシュヴァルグランが発見され特に誰も息を引き取らなかった - 6二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:34:58
吉村と村田が息を引き取っていない -100点
- 7二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:35:24
元ネタになった概念スレはこれとそこから飛べるスレです
基本設定は史実とアプリと下のスレです
シュヴァルグランのトレーナー(*^◯^*)概念|あにまん掲示板(*^◯^*)トレーナーがぐう聖すぎて好きになっちまったよ...bbs.animanch.com実装されたらもうできないネタだと思ったので途中で投げ出してしまったSSの最後だけ書きました
- 8二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 07:35:41
これは良改変
- 9二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 08:04:41
どんなに関係していない話題でも息を引き取っていた吉村と村田の生存ルートだと…救いは…救いはあるんですね‼
- 10二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 08:08:40
チームを出る喜び
- 11二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 08:10:14
前?スレで死ぬのはデジたんだけって言われてたんで分身させるか二回死んで貰おうかと思ったんですけどしっくり来なかったのと優しい世界で終わって成仏して貰いたかったんで平和な終わりかたにしました
- 12二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 08:14:15
G1を勝たせるにはベイスターズの日本シリーズの白星4つを生贄として捧げないといけないんだぞ
- 13二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 09:09:34
(*^◯^*)のポジり方だけは生きていく上で参考にしたい
- 14二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 11:34:38
- 15二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 12:13:41
コンビニの店頭で新聞紙が冷えてるの好き
- 16二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 13:30:38
キャラスト見る限りシュヴァトレ割とポジハメくんで草生える
- 17二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 17:41:28
- 18二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 18:02:46
- 19二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 18:04:50
- 20二次元好きの匿名さん23/12/20(水) 18:05:25