【SS】ミラ子どきゅーととトレーナー

  • 1二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 16:26:38

    「ふーっ……」
     トレーニング計画をまとめ終えたところで、軽く伸びをする。
     そのままトレーナー室の一角に目が留まった。

     見慣れたはずの光景に、今日は見慣れない物体が鎮座している。
     新品らしく透明な包装に包まれた、人の背丈の半分ほどはあろうかという、巨大なぬいぐるみ。
     芦毛の髪に、白と青の縞模様の入った耳カバーを付け、本人と同じくらいふっくらとしたその姿。
     ――自分の担当ウマ娘、ヒシミラクルをモチーフにしたものである。

     ファン投票で上位人気を獲得したことで、グッズ化が決定したという話をしばらく前に聞いてはいた。
     サンプルが完成したというので、折角だから頂いておこうと興味本位で返事をしたのだが――。
     まさか、こんなに大きなぬいぐるみだったとは。

     どうしたものかと半ば途方に暮れつつも、包装の可愛らしいリボンを解いてみた。
     中身を取り出すと、ふわふわの手触りが心地良い。
     細部の意匠にもこだわっているようで、勝負服も程よくデフォルメされている。

     ――魔が差す、とはこういうことを言うのだろうか。
     気づいたら、このふわふわなぬいぐるみを抱きかかえていた。
     幸い、本人は不在なので、あれこれ言われる心配はなかったが。

     この大きさを支えるためか、中にはしっかりと綿が詰まっているらしい。
     ふわふわな手触りも相まって、抱き心地は案外悪くない――が。

    「やっぱり、本物のふかふかした柔らかさと暖かさには勝てないかなぁ……」

     と、ケガをした彼女を保健室まで抱きかかえていった時の感触を思い出しつつ、独り言を呟いた時だった。
     視界の隅でドアが開いたかと思うと、ヒシミラクルの素っ頓狂な声が耳に入ってきた。

    「と、トレーナーさん!?」

  • 2二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 16:26:51

     しまった、と思ったが、時すでに遅し。
     ヒシミラクルが顔を真っ赤にして、トレーナー室の入り口に立ち尽くしていた。
    「な、なんで……」
    「ち、違うんだ、ミラ子。これは魔が差したと言うか、別にやましい気持ちで抱きついた訳じゃなくてだな……」
     ぬいぐるみとはいえ、さすがに担当に抱きついている構図はまずい。
     しどろもどろになりながら弁明する。

     ミラ子はしばらくわなわなとしていたが、やがて。
    「なんで私のどきゅーと買ったんですか~~~!!」
    「……え?」

    「私というものがありながら~~~!!」
    「ちょ、ちょっと待っ……」
    「トレーナーさんの浮気者! 女ったらし! 可愛い子ちゃん好き! 私の方が温かくて髪の毛もふわふわなのに!」
    「それは確かにそうかも……」
    「そうやってぬいぐるみ相手にハグしたり頭撫でたり普段の私相手にはできない恋人プレイをするつもりなんですね!? 少女漫画みたいに! 少女漫画みたいに!」
    「いや、だってミラ子まだ学生だし……」
    「もういいですもん! トレーナーさんなんか知らないですもんばーかばーか!」
    「あっ、ちょっとミラ子!」
    「うわ~んトプえも~ん! NTRだよ~~~! トレーナーさんのどきゅーと出しておくれよ~!」
    「おまっ……! 誤解招くから! たづなさんがにこやかな顔して詰めてきちゃうから!」
    「私もトレーナーさんとイチャイチャ恋人プレイしたいんだよ~!」

     ……行ってしまった……。
     まあでも、なんというか。
     気持ち悪いという類の感情をぶつけられなかっただけ、まだマシだろう。

     とにかく、ミラ子を追いかけなければ。
     あの調子では学内にどんな噂が広まるか分かったもんじゃない。
     ――浮気者っていう言葉だけは取り消して欲しいんだけどな……。

  • 3二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 16:27:45
  • 4二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 16:32:11

    面白かった概念スレがSS化してる!
    ミラ子とミラ子トレはこういうイチャイチャアホ漫才がよく似合いますね…

  • 5二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 16:40:34

    イチャコラしやがって…
    末永く爆発しやがれください

  • 6二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 17:06:37

    良いですね

  • 7二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 18:18:59

    >>4

    ミラ子とトレはノリの良い友達みたいな関係で好きなんですよねぇ


    >>5

    ミラ子とトレのイチャコラの尊さはDNAに素早く届く…


    >>6

    ありがとうございます、お気に召したようで良かったです

  • 8二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:05:41

    こういう軽い空気のイチャコラいいよね


    > 「私の方が温かくて髪の毛もふわふわなのに!」

    > 「それは確かにそうかも……」

    急に落ち着くのすき


    ーーは拘りがなければ──罫線(けいせん)を使うと綺麗な長線がひけるぞ

  • 9二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:48:37

    >>8

    一回スン…とさせたくなりまして

    罫線の件、次書く機会あれば活用させてもらいますねー

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