ヴィヴロス、僕はね……

  • 1二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:06:20

    キミが男トレをシュヴァに取られるSSも読みたいんだ……

  • 2二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:10:48

    ウルトラセブンのパロかと思ってスレ開いたら違ってた…

  • 3二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:12:29

    読みたいんだ……って、読んでなかったのかよ

  • 4二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:12:34

    読みたいたって……?書くのを諦めたのかよ?

  • 5二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:13:11

    読みたいと書きたいは違うんだよね…

  • 6二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:13:29

    セルフサービスですので…

  • 7二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 19:15:25

    >>5

    そうか……でも…俺は代わりに書いてやったりはしないよ

  • 8二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 21:05:53

    ちょっと待ってて

  • 9二次元好きの匿名さん23/12/23(土) 22:34:42
  • 10二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 01:13:12

    >>9

    何で書いた!言え!

  • 11二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 01:17:47

    >>9

    仕事が早い…!

  • 12二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:45:49

    ちょっとだけ、置かせてください。

  • 13二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:46:09

    クリスマス。
    世の中の誰もが、浮かれポンチになる日。
    それが、テーマパークの中なら、なおさら。

    「――それでね、彼がね……」

    「えー。シュヴァち、だいたーん!」

    「そんなことないって……。それから、ね――」

    遊園地内のカフェで、シュヴァちの話す自慢話を、おどけながら聞く。
    姉と自分のトレーナーが付き合いだしたのは、先日のこと。
    初々しいカップルだが、2人の共通の関係者でもあるため、こんな風に話を聞くことも多い。

    「ヴィブロス?」

    「……あ、ごめん。考えことしてた。なに、シュヴァち?」

    妹の仮面が、重たい。

  • 14二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:46:44

    その時。
    シュヴァちのスマホが、鳴る。

    「え、なに? 近くまで来てるの? うん、行く!」

    家族でも、見たことのない表情。
    恋する乙女の顔。
    ――頬を染めて、嬉しそうに会話するその姿は、とても可愛らしい。

    「ごめん、ヴィブロス――」

    通話が終わると、申し訳なさそうに私に声をかけてくる。
    無理に笑顔を作ると、それに応える。
    ――もう少しだけ、がんばって、私。

    「いいよいいよー。トレちからなんでしょ? 私なんて良いから、行ってきなよ」

    「うん、ありがとう」

    伝票を持って駆け出す、シュヴァち。

  • 15二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:47:11

    その姿が、見えなくなると。
    カフェのテーブルに、突っ伏す。

    ――やっぱり、つらい。

    トレちのことは、自分も好きだった。
    いや、そんな「好き」なんて言葉では生温い。
    「大好き」で、「恋」していて、「愛」していて、「運命」を感じていた。
    なのに。

    シュヴァちに、「ヴィブロスのトレーナーさんに、告白しようと思うんだ」と言われた時の衝撃は、今でも覚えている。
    それでも、根拠もなくトレちは、自分の彼氏になってくれるものだと思い込んでいたあの頃。
    「良いんじゃない」なんて言ってしまった当時の自分を、殴ってやりたい。

    ――どうして、私じゃダメだったのかな。

    冷めきったレモンティーを啜る。
    きつい酸味が、まるで自分を苛んでいるかのよう。
    涙が一滴、水面に落ちて、小さな波紋を立てた。

    「すき」と、曇ったガラスに指で書く。
    トレちの名前は、書けない。
    もし、誰かに見られたら、トレちにもシュヴァちにも、迷惑をかけてしまうから。

    トレちのことは、今でも大好き。
    シュヴァちのことも、大好き。
    だから、2人が困るような姿は見たくない。

    ――この想いは、伝えられない。

  • 16二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:47:34

    「すき」の間から、窓の外が映る。
    トレちとシュヴァちが、腕を組んで微笑ましいデートを楽しんでいる。
    と……。
    2人の唇が近づいて、そのままキスを交わした。
    幸せそうに、顔を赤くして、2人とも。

    いたたまれなくなって、カフェを飛び出す。
    2人に見つからないように、こそこそ、と。
    そのまま、一直線にテーマパークの出口へダッシュ。
    あの2人のことを、もう片時も、視界に入れたくなかった。

    ――何を、しているんだろう。

    勝手に自分のものだと思って。
    失恋して。
    嫉妬して。

  • 17二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:48:01

    寮への帰路を、トボトボと歩く。
    イルミネーションに彩られた商店街は、カップルや子供連れで、いつもに増して賑わっている。
    それなのに。

    ――私だけ、隣に誰もいない。

    ふと、目を上げると、露店のアクセが飛び込んできた。
    ふらふらと、吸い寄せられるように近づいて足を止める。
    銀色に鈍く光るそのペンダントは、シンプルな造形で、男女関係なく使えそうなデザイン。

    ――トレちに、似合いそう。

    手に取ると、露天商のお兄さんが声をかけてきた。

    「お。お嬢さん。どう? 良いデザインだろう? 男女ともに使えるから、2つ買って、彼氏とお揃いとか良いんじゃない?」

    ――彼氏と、お揃い。

    トレちと、私で。
    それは、叶わなかった幸せな願い。
    それなのに。

    ――目を瞑ると、そのアクセをお揃いで付けているのは、トレちとシュヴァち。

    「ごめんなさい。いいです」

    お兄さんにお詫びを言って、商品を戻す。
    姉の恋人に横恋慕する自分には、ささやかな幸せの妄想さえ、許されないのか。
    涙が一筋、頬を伝った。

  • 18二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:48:21

    いつの間にか、商店街の出口までたどり着いてしまった。
    そこにいたのは、露天のケーキ屋さん。
    今にも、沈みそうな太陽を背に、半額にしたクリスマスケーキを売りきろうと盛んに声を張り上げている。

    「1つ、ください」

    4号を1ホール、貰う。
    トレちもいないのだから、せめてケーキぐらい食べないと、折角のクリスマスが勿体ない。
    同室の娘と、愚痴を言いながら食べても良いだろう。

  • 19二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:48:44

    寮に着いた頃には、もう外は真っ暗。
    今日は外泊の人も多いらしく、外から見るとまだらに電灯が消えている。
    お姉ちゃんたちも、その一部。

    「あ……、そっか」

    部屋に入ってから、気が付いた。
    同室の娘も、今日は外泊だったっけ。
    つまり、今夜はこの部屋に1人。

    広い。
    いつもは狭いくらいに感じる部屋が、1人だと凄く広く感じる。
    あと、静か。
    いるはずの誰かの声が聞こえないと、とても静か。

    エアコンを点けようと、リモコンを手に取ったところで、今朝のトラブルを思い出した。
    昨日、エアコンが故障して、極寒の中で目覚めたことを。
    慌てて寮長さんが手配してくれた、石油ストーブを点ける。
    漂う、灯油の臭い。

  • 20二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:49:15

    机の上に放ったケーキの箱を、乱雑に開けてそのまま頬張る。
    ただ甘いだけの、チープなクリーム。
    時間が経って、フワフワから程遠いスポンジ。
    ただひたすらに酸っぱいだけのイチゴ。
    石油の臭いに負けて、何の匂いも感じない。

    ――今頃、トレちとシュヴァちは。

    美味しいものを、食べているんだろう。
    トレちに、デートプランの相談を受けたから、今日の2人のスケジュールは把握している。
    テーマパークでデートの後、高級ホテルの夜景の見えるレストランでディナー。
    そのまま、そのホテルで1泊。
    エッチなことも、するのだろうか。

    ――自分は、石油の臭いのケーキを食べているだけ。

    その落差に、涙が出てくる。
    滲んだ視界に、一葉の写真が映った。
    トレちとの、ツーショット。
    一緒に、秋華賞を買ったときに撮った、大切な宝物。

    もし、あのとき。
    トレちの胸に飛び込んで、「好き」「付き合って」って言ったら。
    受け入れて、くれたのだろうか。

    あり得ない、幸せな妄想に浸ろうとするが。
    トレちの隣にいる自分を想像しようとしても。
    すぐに、シュヴァちの顔に変わってしまう。

  • 21二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:49:42

    ストーブでは、部屋の温度がなかなか上がらない。

    「ぐすっ……。寒いよ、寂しいよ。トレち、側にいてよ……。あっためてよ……」

    とめどなく、涙が流れ落ちる。
    誰もいない。誰にも聞こえない。
    1人きりの部屋で、大泣きする。

    ――明日、2人に心配されるわけにはいかないから。

    「トレち……。好き、大好き、愛してる。ちょっとだけで良いから、シュヴァちだけじゃなくて、私のことも見てよ……」

    冷たい月の下で。
    ただ、慟哭することしかできなかった。
    応えてくれる人なんて、いないのに。

  • 22二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:50:03

    失礼しました。

  • 23二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:52:04

    あ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛ぁ゛!!!!(脳が破壊される音

  • 24二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:55:14

    >>9

    イッチが何やら満足しながら死にそう

  • 25二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 11:57:10

    シュヴァル(推し)が幸せになってるのがあまりにもタチ悪い。なんだこの感情、あかんぜよこれは

  • 26二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 12:01:59

    なんで!なんでなんだよ!なんでヴィブロスばっかりツラい思いしてんだよ!!

    なんでいい話なんだよ…クソックソッ…

  • 27二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 12:07:53

    コレとアレ見て個別では愛し抜こうと再度誓った

  • 28二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 12:08:49
  • 29二次元好きの匿名さん23/12/24(日) 18:32:44

    石油の匂いのケーキ
    鉛のような飯(夏目漱石の作品より)に並ぶ天才的表現だと思う

  • 30二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 02:07:56

    深夜に覗いてみたら追加攻撃来てるじゃん…なんなんだよこの破壊力は…

  • 31二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 02:43:02

    トレちが好きだけどシュヴァちも好きだから、
    引き裂いてトレちとシュヴァちが曇るのは見たくないんだよね…
    だから自分が曇るしかない

    つらい…つらくてちょっと涙が出てきて心臓の辺りもキュッと締まるような感じがするのに同時に歓びも湧いてきて笑顔が漏れてしまう……
    自分は消えるべきなのかもしれない

  • 32二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 08:06:59

    ダメなはずなのに…目が離せない…どんどん読み進めてしまう…

  • 33二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 14:31:23

    奇才め…

オススメ

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