- 1二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:02:43
- 2二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:03:21
昨日の業務のことだった。ノアとの雑談の最中、彼女は思い出したかのように言ったのだ。
『そう言えば、明日はクリスマス・イブですね』
私と、それから、
『先生』に。
先生は、困った顔をしていた。聞けば、予定が沢山入っているらしい。業務のこともそうだし、生徒からの約束もいっぱい。
ノアは、そうですかと、悲しそうにしていた。思えばあれは、私に気を遣っていたのかもしれない。私の背中を、押したかったのかもしれない。
だから、私は言ったのだ。彼女の思いを無駄にしない為にも。
『じゃあ、全てが終わって、まだ時間があったら』
『……セミナーで、待ってますから』
先生のいいよと言う声に、救われたけれど。
あれは、約束というには細すぎた。 - 3二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:04:34
ユウカSS!? 期待!
- 4二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:04:56
「もうこんな時間……か」
先生も忙しいのは、わかっていた。
帰っててもいいよと、口にした意味も、わかっていた。
わかっていた筈なのに、私はこんな時間まで、こんな場所に、こんな気持ちで立っている。
理由なんてわからない。因数分解する気にも、なれない。
最後に、せめて景色を目に焼き付けようと、
空を見上げた。
その時だった。
遠くから、聞きなれた声がする。
静寂を切り裂いて、奇跡を運んで。
待ち焦がれたあの人が、やってきた。 - 5二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:08:50
遅くなってごめんと謝る彼に、いつもなら、そうですよとか、思ってもない言葉をかけるのだけど。
「……いえ、こんな時間に来てくれて、ありがとうございます」
今日は、素直に言えた。
彼は袋を差し出して、一緒にケーキでも食べようかと誘う。
セミナーに歩き出す彼の後ろ姿に、私は声をかけた。
「あの……!」
彼は振り返る。
彼のもう片方の手には、空の袋があった。
私は、思い出した。先生の用事。
何故、ここまで遅くなったか。 - 6二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:09:45
「……メリークリスマス……です」
今夜なら、きっと、言えそうだった言葉を、四捨五入して。
私も、歩き出した。
先生の持ってきたチョコケーキは、美味しかったけれど、
少しだけ、ビターな味がした。
静かな、聖なる夜だった。 - 7二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:11:45
終了です
ブルアカで初めてSSを書いたんですけど、一時間で書いたらクリスマスに間に合いませんでした
うるせぇ!ユウカが可愛いから仕方ないだろ!(暴論) - 8二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:13:03
乙! 素敵なクリスマスプレゼントでした!
小数点切り上げられなかったか…切ないなぁ… - 9二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:13:31
乙
見事なユウカかわいい掌篇SSでした - 10二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 00:13:48
因みにイメージは、山下達郎の「クリスマス・イブ」です
よければお聴きしながらご一読下さい(サブスク解禁されてないけど……) - 11二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 06:44:41
メリークリスマス!
- 12二次元好きの匿名さん23/12/25(月) 14:06:30
名作なのであげ