アタシの名前は白鐘瞳子（しろがね　ひとみこ）。どこにでもいる普通の女子高生。

1二次元好きの匿名さん22/01/09(日) 17:49:05

他の人とちょっと違うことと言えば、学校唯一のウマ娘ってことくらいかな。
そんな平凡なアタシは今、全速力で駆けていた。
『いっけない、遅刻しちゃう！』
遅刻確定まであと5分。けれどこのまま走れば間に合う。
速度を上げながら人込みを掻き分け、生垣を飛び越え、コーナーを曲がっていく。
そして最後の直線。残る力を振り絞りスパートをかけて――脇から飛び出してくる人影を捉えた。

『あぶないっ！！』
速度はトップスピード。急に止まることはできない。
ぶつかってしまうと思い、咄嗟に目を閉じてしまった。
『…………あれ？』
――しかし、いつまでも正面衝突の衝撃は襲ってこなくて。
代わりに、ふわりと大きな腕がアタシを優しく包んだ。

『大丈夫か、瞳子！』
『あ、あんたは……』
そこにいたのは……アタシを正面から抱き止めていたのは、十零尚人（とおれい　なおと）。
トレーナー志望の幼馴染、兼、近所のお兄さん。昔から変におせっかいを焼いてくる、少しうっとおしい奴だった。

……ちょっと掴みが弱いかな。
いっそぶつかった拍子に、キキ、キスとか……
「ドーベル、なに書いてるんだ？」
えっ！ちょっ、勝手に見ようとしないでよバカ！！