【閲覧注意】「好き」とは呪いの言葉だ

1二次元好きの匿名さん23/12/27(水) 09:57:30

「カ、カフェ…」
「好きです」
耳元でそう言われるだけで、私の思考も、身体も、全てが固まってしまう。
私は痛みを与えられるのは嫌いだし、自由を縛られるのも当然好まない。
「好き…好き……」
「あ、う……」
だがその言葉をカフェに耳に吹き込まれるだけで、私はそれを嫌おうと従順にならざるを得なくなる。私の身体の自由は、その一言ですっかり奪われてしまった。
「好き……」
「ま、待て……待ちたまえよ……！」
カフェは、別に私を好いてはいない。
ただ、普段彼女を振り回す私のこの情けないザマを見て悦に入りたいだけだ、そうに決まっている。だって私はそれだけ彼女に迷惑をかけているわけで、好かれる要素などまるでないという自覚というか、自負はあった。
私がその言葉に好意を感じるかどうかなんて、彼女には関係ない。身体さえ支配できれば良い。
「タキオンさん…」
そんな、愛のない行為に、私は───
「す、好きにしてくれ……」
──抗えない。
カフェがさらに近付き、壁に追いやられていた私はさらに逃げ場を失い、私の背中が壁に触れた。
私の首に巻かれていた包帯を取ると、カフェに"可愛がられた"痕が露わになる。
「…行きますね」
嫌だ、痛いのは嫌いだ。ましてや首を噛まれるなんて。それなのに私は、カフェが私の首を嚙む瞬間を、じっと待っていた。
「い……っ！？」
そしてカフェの歯が私の首に触れると、身体がビクッと大きく跳ねる。
本能的にカフェを押し退けようとするがすぐに両手首を掴まれ壁に押し付けられた。
「…悪い人」
「ち、ちがっ、これはっ……！」
「あなたに選択肢なんてありません」
「ちがう、違うんだ……あっ！？」
彼女の歯が私の首に食い込み、刺さっていく。食い千切られるのではないか。そう思ってしまうほどの痛み、そしてそれだけではない感覚。身体が熱くなり、鼓動が早くなっていく。
「っ！あﾞあっ……！」

2二次元好きの匿名さん23/12/27(水) 09:57:52

ああ、そうか。私が悪い。私が煽っている。
痛みを与えられ、好きというたった一言で私は、全てを肯定してしまっている。
「やめ、て、くれ」
「駄目です」
カフェが私の首筋を舐める。彼女の唾液が首の傷に沁みるたびに身体が反応する。
「ぐっ……か、カフェ……！」
駄目だ、このままではいけない。痛みと快感で思考がぐちゃぐちゃになる。だがここで折れてしまってはいけないのだ。だって私はまだ───
「……タキオンさん」
「うぅっ……！な、なんだい……」
痛みの中聞こえた優しい声色に少しだけ安堵してしまう。
こんなことをしてきた張本人だというのに。
「好きですよ、タキオンさんが好きなんです」
その言葉でまた、私の身体はカフェを受け入れる準備をしてしまう。頼むからその言葉を囁かないでくれ。
私が君に全てを狂わされてしまう、その前に。

みたいなよわよわタキオン良いよねって話です