- 1スレ主21/09/02(木) 16:14:23
- 2スレ主21/09/02(木) 16:14:33
「何々…事前予想は、1番人気が サザンクロスで2番人気が アイルトンカイザー………」
スポーツ新聞を読みながら、トレーナーが申し訳なさそうに読み上げる。
「もぉー何で私が2番人気なの!?トレーナー!!」
部屋の中をグルグル回りながら面白くなさそうに、尻尾をバサバサ振るのが私、アイルトンカイザー。
私の家は祖父母の代から有名な家だ。祖母のシンボリルドルフが前人未到の無敗7冠を達成し私のママのトウカイテイオーがそれに次ぐ3冠を達成。そして、その娘である私が今年を無敗で走り抜けば、世界初の3世代 G1 制覇と言う誰にも出来なかった偉業を達成する事になる……のに事前予想で2番人気だなんて、幸先が悪いわ。
「前回の皐月賞で6バ身差も離してフィニッシュしたのにそれでも足りないって言うの!?今日の優俊じゃ、10バ身くらいつけてコースレコードを出そうかしら?それなら誰も文句なんて言う人が居ないでしょ!!」
「ほらほら、そんなに騒ぐと変に力が入って実力を発揮出来なくなるから落ち着いて」
「落ち着ける訳ないでしょ!!今日のレースにはおじいちゃんとおばあちゃんにパパママその他親戚一同、皆んな見に来てるのよ!!落ち着ける訳無いじゃない!!!!もしも、下らないレースでもしたら……二度と家の敷居は、またげないわ。絶対に」 - 3二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 16:23:07
ここでオリウマとは珍しい
見てるよ - 4スレ主21/09/02(木) 16:49:10
そう言うなり、カイザーの顔からサーッと血の気が引き顔が青白くなる。さっきまで紅潮していたにも関わらず。
「そんな事ないって、お父さんもお爺さんも優しいそうな人だったけど」
「そりゃそうよ、来客に厳しく接する人なんて居るわけないでしょ。それじゃあ実例を出すわ、去年の秋のレースを覚えてる?」
「あの、レコードを出したレースでしょ?6馬身差でゴールした」
「そう、そのレースが終わってから おじいちゃんの所に行った時の第一声が、何だったと思う?"お前の走りは確かに圧倒的だが、最後まで気を抜くな。最後のアレで全部台無しだぞ。二度とするな"って。確かにアレは私が全面的に悪かったわ。ゴール板の前でガッツポーズは、今考えると有り得ない。でも、あの時の突き放す様な言い方……今までそんな事、1度もなかったのに。凄い怖かった。本当に」
「なるほど……やっぱり、君が1番強いわと思っているからこそ、王者らしい振る舞いをしろって事なんだろうね。」
「そうね、私はこうだったけどママやおばあちゃんもそうだったのかな?現役時代は共に皇帝と帝王の名で恐れられてたらしいけど……そんな事より!今年のレースから外国バも参加出来るってどう言うこと?」
「何でも、これからは海外との接続をしやすくする為に海外バも参加出来るようにしたとか」
「意味わからないわ!コレって昔から日本バしか参加出来ないんじゃ無かったかしら?それなのにここに来て……一体わ、何を考えているのかしら!URAは!!」
「ほら……昔はこれのせいで走れなくて悔しい思いをした娘も居たからそれを無くす為とも言ってたハズ」
「知らないわよ!!そんな事を言うぐらいなら実力で全部、ねじ伏せれば良いじゃない!!私だったらそうしたわ。」
「大人の世界はそんな簡単に出来てないんだって、全部規則で回っててそれを変えるにはウンザリするような手続きを踏んで……」
「だったら、それも」
とカイザーが言いかけた時に控え室のドアがノックされた。 - 5二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 17:43:57
保守
- 6二次元好きの匿名さん21/09/02(木) 18:11:47
保
- 7スレ主21/09/02(木) 19:38:59
「はい?どうぞ」
「こんにちは、アイルトン カイザーさん。それにトレーナーも」
ドアが開けられ入って来たのは、今日の1番人気のサザンクロスであった。
「初めまして、サザンクロスさん」
「どうも、初めまして。」
私とトレーナーは、そう言いながら会釈をする。
「さて、短刀を直輸入で言わせてもらうけど、今日のダービー私が貰うわ」
「はァ?」
しまった、何時もトレーナーから "カイザーは挑発に乗りやすいから落ち着いて話さないとダメ"と言われてたのを忘れてた……。でも、まだ立て直しは出来るはず。 - 8スレ主21/09/02(木) 19:40:21
「噂通りの食い付きね。カイザー。でも、その食い付きの良さもアナタが常に勝つ自信と自負で溢れているから…違う?」
「…えぇ、そうね。私は今まで、どのレースどの天候どの場所でも必ず勝ってきたわ」
「でも、今日は違う。何故なら私が居るから…
アナタ、私の脚質は知ってる?」
そう言うとサザンクロスは私の後ろにいるトレーナーを指さす。
「あぁ、確か逃げ。圧倒的な大逃げ、一緒に走ったことは無いけど、もしも走ればスズカですら負けかねないとか」
「そう、私はどのレースでも全てこの脚で制して来たわ。だから今日も私が勝つ」
「なるほど……アメリカだったらそれて良いかもし無いけど、ここがどこなの分かっているのかしら?ここは、日本よ。私の土俵ですもの、負けるわけが無いわ。」
「ふぅん。自信はたっぷりみたいね、でも偶には2着も良いんじゃないの?違う景色を体験するのも大事よ」
とドヤ顔でサザンクロスが腕組みしながら自信満々に言ってくる。どうやらもう勝った気でいるらしい。ハッ、笑わせてくれるわ。 - 9スレ主21/09/02(木) 19:40:48
「そうだ、サザンクロスさん。私、今日のレースに向けて尻尾飾りを新調したんです。是非、見てもらいたいんですけど、もう少しで本バ場入場ですから後で見せてあげますね。」
「……………」
「……………」
両者の間に壁が出来る。とても分厚く容易には、抜ける事が出来ない壁が、それを破るのは、
「アイルトンカイザーさん、本バ場入場が始まるので集まって下さい。あ…サザンクロスさんも居たんですか、サザンクロスさんも一緒に来て下さいね……どうかしましたか?」
係員の気の利いたノックにより、何とか難を逃れる事が出来た。
「分かったわ。それじゃあ、また後で」
と言い終わるとサザンクロスは部屋から出て行った。
「アイルトンカイザーさんも早く。」
分かってるわよ。少し、話しくらいさせなさいよ。
「行ってくるわ、トレーナー。私の勝ちを期待してて」
「期待するも何も…君が勝つんだろ?落ち着けば、君は誰にも負けない。掛からないでよ」
「分かってるわ、そのくらい。初心者じゃ無いんだから。でも、ありがとうね」 - 10スレ主21/09/02(木) 19:41:02
ありがとうございます!