- 1二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 22:11:26
- 2二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 22:12:02
ここで産み出せばありますね
- 3二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 22:12:36
俺が全部食った
メッチャ美味かったぞ - 4二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 22:14:29
- 5二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 22:16:22
ヒダル神かよ…
- 6二次元好きの匿名さん23/12/28(木) 23:54:32
とりあえず上げとこ
- 7二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:03:52
「それにしても珍しいわね、シュヴァルが私達と服を買いに行くなんて」
「ねー? シュヴァちってばいつも一人で買いに行っちゃうしー?」
「うん、二人の意見を聞きたくて」
とある週末、僕は姉さんとヴィブロスと共に、ショッピングモールに出かけていた。
目的は服の購入、だけれど二人の言う通り、普段であれば自分の着るものは、自分一人で決める。
だけど、今回は特別だった。
僕はいつも服を買うお店で、色々と見繕いながら、事前に考えていた理由を二人に話す。
「その、今度、友達と出かける用事があって、その時におかしなところがない服を用意したくて」
「……へえ、シュヴァルがお出かけするようなお友達なのに、着ていく服の心配をするのね」
「……シュヴァちの友達ってそんなこと気にしそうな子いたっけ?」
姉さんはどこか疑わし気な視線を向けて、ヴィブロスは不思議そうに首を傾げた。
……あれ? これで素直に納得してもらえると思ったんだけど、全然そんな素振りがない。
想定外の事態に困惑しながらも、僕は平静を装って、二人に言葉を返した。
「えっと、そうだ! 最近出来た友達なんだよ、こっ、今度二人にも紹介するから!」
「……」
「……」
姉さんとヴィブロスはすんと無表情になって、お互いに顔を見合わせる。
そして示し合わせたかのように、二人は芝居がかった動きと言葉を口にした。 - 8二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:04:04
「まさか、シュヴァルが私達に嘘をつくだなんて……嗚呼、私は姉失格だわ……!」
「えっ、姉さん? うっ、嘘なんてついてないけど?」」
「シュヴァちは下手な嘘までついて、こんなキュートでカワイイ妹を騙そうとするんだあ……!」
「ヴィブロスまで……えっ、というか僕って嘘が下手なの……?」
「ヨヨヨ……」
「しくしく……」
「ああ、もう……!」
泣き出しているような仕草を見せる姉さんとヴィブロス。
突然の二人の豹変に僕の思考はかき乱されて、とにかく事態の収拾を優先してしまう。
何も考えずに、ただ反射的に、言葉を発してしまう。
「たっ、ただトレーナーさんとのお出かけで着て行く服を選びたくて……!」
『────へえ?』
姉さんとヴィブロスの声が重なり、動きがぴたりと停止した。
自分がまんまと罠に嵌められて、大ポカをやらかしたことに気づき、慌てて口を押さえる。
無論、すでに飛び出した言葉は、そんなことをしても戻ることはない。
すっと腕を降ろした二人の目には涙の跡など存在せず、ただ楽しそうに目を細めているだけ。
ぞくりと、背筋が走った。
「やっ、やっぱり、僕一人で選ぶことに」
「ヴィブロス」
「りょうかーい♪」
刹那、二人にがしりと両腕を掴まれて、拘束されてしまう。
そしてそのままずりずりと引きずられて、いつも服を買っているお店から強制退店させられてしまう。
二人は、心の底からの良い笑顔を浮かべながら、僕に話しかけて来る。 - 9二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:04:17
「普段のシュヴァルの服も良いけど、物事にはTPOというものがあるわ」
「やっぱりー、デートには特別な服を着ないとねー♡」
「そうね、親しき仲にも礼儀あり、私だってヴィブロスとのデートには気合を入れた服を着て行くのよ?」
「うんうん! だからシュヴァちも、ちゃんと気合を入れて服を選ばなきゃ!」
「それに、前々からシュヴァルに来て欲しいと思っていた服があったのよね」
「私も私もー! コレ絶対に会うだろうなーってのがいっぱいあってねー?」
……いや、これは話しかけていない、一方的に通告されているだけだ。
僕は二人の着せ替え人形になる未来を想像しながら、ただただ連行されていくのだった。 - 10二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:04:31
そして、その一週間後、トレーナーさんとのお出かけの日。
お出かけといっても、トレーニング用品の買い出しに行くだけで、他意は全くない。
……まあ、一緒に昼食を摂ったり、以前トレーナーさんが見たいと言っていた映画をついでに見に行ったりはするけど。
この日は現地で集合と決めていて、僕は一人、駅前で立っていた。
「うう……視線が痛い……」
周囲の視線が気になって、僕は青いリボンのついたキャペリンハットを深くかぶり、身を小さくしてしまう。
必然的に俯くと、そこには普段あまり目にしていない服。
スモークブルーを基調とした、裾にフリルが装飾された、ふわりと広がるハイウエストスカート。
なんだか高貴な印象を受けるハイネックのリボンブラウスに、スカートと色で揃えられたベスト。
まるで英国のお嬢様を彷彿とさせるような服が、そこにはあった。
残念ながら、僕の着ている服だった。
「姉さんやヴィブロスには似合うかもしれないけど……僕には似合わないよ……」
こういう女の子らしい格好は、女の子らしい女の子に似合うもの。
僕みたいな子が、着てはいけない服だと思う。
実際のところ、さっきから通行人の人がちらちらとこちらを見ているので、よほどおかしいのだろう。
……本当は、着て行かない、という選択肢もあった。
姉さんとヴィブロスも、本気で僕が嫌がれば、無理強いなんてしたりしない。
ただ。 - 11二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:04:44
『きっとこれを着ればシュヴァルのトレーナーさんも喜んでくれるわよ』
『シュヴァちカワイイー♡ これならどんな男の人もイチコロだってー!」
喜んでくれる、イチコロ。
その言葉と、トレーナーさんの優しい笑顔がどうしても頭から離れなくて、結局買って、着てきてしまった。
正直、大分後悔している。
何度も逃げ去ってしまおうか、ドタキャンしてしまおうか考えた。
けどその都度、あの二人の言葉が蘇り、その場に残ってしまっている。
時計をちらりと見れば、集合時間五分前、何事もなければ、もうトレーナーさんが来る時間────。
「……シュヴァル?」
「ひゃあ!?」
突然、背後から声をかけられて、僕は変な声をあげてしまう。
慌てて振り向いてみれば、驚いたように、大きく目を見開いているトレーナーさんの姿があった。
心臓が、どきどきと早鐘を鳴らす。
見せたくなかったという後悔と、やっと見せることが出来たという達成感。
いっそ何も言わないで欲しいという諦観と、今の僕の姿を褒めて欲しいという期待。
らしくない僕を見て欲しくないという絶望と、きれいな僕を見て欲しいという希望。
色んな矛盾した思いが心の中で混ざり合って、ごちゃごちゃになって、何を考えてるかわからなくなって。
「あっ、あの、トレーナーさん!」
「はっ、はい!?」
「そそそその! えっと、この服は、姉さん達と一緒に選んで、気合を入れて、その、ですね……!」
言葉が上手く出てこない、舌が上手く回らない。
恥ずかしくて顔が熱くなって、視界がどこか潤んできてしまう。
それでも俯かないで、じっとトレーナーさんの顔を見つめて、僕は彼に、自分を見せびらかす。 - 12二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:04:59
「どっ……どうで……しょうか……!?」
震える声で、僕はトレーナーさんに問いかける。
彼はしばらくの間、驚きの表情をままだったけれど、突然、ふいっと目を僕から逸らした。
心が、凍り付きそうになる。
あは、あはは、やっぱり似合ってなかったんだ。
そうだよね、こんな可愛らしい服、僕なんかに似合うわけなかったんだ。
トレーナーさんもこんな僕と一緒にお出かけなんて嫌だよね? 今日はもう帰った方が良いかな?
もう、こんな服────。
「……その、似合ってるよシュヴァル、君にこんな新しい魅力があるだなんて、思ってなかった」
「……えっ?」
いつも、はきはきと、元気良く喋るトレーナーさん。
そんなトレーナーさんが小さな声で、少したどたどしく言葉を紡いでいて、僕はぽかんとしてしまう。
見てみれば少し頬が赤くなっていて、ちらちらとこちらを見つつも、どこか挙動がおかしい。
「上手く言えないんだけど、えと、本当に可愛いと思うんだ、俺なんかに言われて嬉しいかはわからないけど」
「…………嬉しいですよ」
「そっ、そっか?」
「当然、じゃないですか、嬉しいに決まっています……それに、とても良いことがありましたから」
「良い、こと?」 - 13二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:05:13
流石の僕でも、今のトレーナーさんの様子から、察することが出来た。
────トレーナーさんは、照れている。
いつもと違う僕の服を見て、たじたじになってしまっている。
きっと、この服装こそが、彼の好み、ど真ん中ストレートなのだろう。
……我ながら、現金だなと思う。
彼に褒めてもらっただけ複雑だった胸の奥はきれいさっぱり消え去って、嬉しいという気持ちで一杯なのだから。
緊張のドキドキは心躍る高鳴りに、似合わないとしか認識していなかった服は輝いて見えて来る。
「……えへへ」
僕は笑みを零して、軽い足取りでトレーナーさんの隣に立って、腕を絡ませる。
そして少し背伸びをして、彼の耳に、そっと囁いた。
「……この服を着ている僕が、お好きなんですよね?」
びくりと、トレーナーさんの身体が震える。
その反応すらも愛おしく感じて、僕はぎゅっと彼の腕に抱き着いてしまうのであった。
……また今度、姉さん達と買い物にいかないとな。 - 14二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:06:22
- 15二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:07:59
仕事が早い!
- 16二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:35:58
思ったよりもすごいのをお出しされてしまった
- 17二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 00:36:41
あるじゃねぇか!!?ありがとう!
- 18二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 01:03:41
- 19二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 01:04:11
- 20二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 01:05:30
- 21二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 01:12:51
読んでて顔がニヤけた 本当にありがとう
- 22二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 01:21:59
- 23二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 12:10:10
- 24二次元好きの匿名さん23/12/29(金) 12:11:47
童貞を鏖殺するタイプのデザインやん
- 25二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 00:04:41
可愛すぎる…
- 26二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 01:06:31
トレーナーさんを待っている間。喜ぶべきか、恥ずべきか。僕の心ではそれを判断できなかった。
───
「シュヴァル。今日の放課後、空いてる?服を見繕いたいのだけれど」
「空いてはいるけど、何で僕が?服を買いたいならヴィヴロスの方がセンスがいいと思うんだけど……」
「貴女じゃなきゃ駄目なのよ。授業終わったら、校門の方で待ってるから」
そう言って教室の方へ去っていく姉─ヴィルシーナを、僕は怪訝に思う。なんで急に僕なんかを頼ったのだろうと思ったが、これはチャンスだと思った。なぜならば、近々、こんな僕の面倒を見てくれるトレーナーさんとの買い出しがあるからだ。
着ていく服はいつもの外出用の物でいいかな、と最初は思ったが、改めてそれを見るとどこか一辺倒であまり……可愛げがない。今寮にある私服はだいたいそんなものばかりなので、誰にもバレないうちにいい感じの服を買っておきたかったのだが……相変わらず僕にはセンスがない。だからセンスがある姉との外出は貴重だ。どういう理由で僕と買い物に行くのかわからないが、どうにかうまい具合についでで僕にピッタリの服を見つけてもらいたい。悟られず、察せられることなく! - 27二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 01:07:10
「うん、この色合い……いい感じね」
「こっちなんかどう?似合うと思うんだけど!」
「少し大人びてるわね。魅力を引き出すために……こんな感じのが似合うでしょう?」
「うわー!イイ感じじゃん!」
計画が、ものの数秒で破綻した。
「少しそわついてたからもしや、と思ったの」
察せられてた。
「で、シュヴァルのトレーナーさんから聞いたら買い出しがあるっていうじゃない?貴女、そういう時用の服持ってないわよね?って思って」
悟られてもいた!
「全く、私達に隠し事なんて100年早いわ」
「そーいうの、敏感なんだから!私達!」
「「デートなら、徹底的に!」」
別にデートだなんて思ってないのに……いやちょっとは思ったけど……そんな小言が心の中をこだましている間、僕は2人の着せ替え人形に徹していた。
───
そして買い出し当日。僕はロリータに近い格好で駅前の銅像の前に立っていた。
「どうして……どうしてこんなことに……!」
『今の流行とあなたのパーソナルカラーがどうのこうで……組み合わせ的にこれがベスト!』
『あとは、アクセサリーにこれとこれ……うん、バッチリ!』
『『デート、楽しんできて〜!』』
周りからの視線が痛くて、サーモカメラで見たら全身が赤に染まっているんだろうなと変なことを思う。どうかトレーナーさん、惨めな僕と居続けるぐらいならすぐ買い出しを終わらせてほしい!そう思う反面、それでもトレーナーさんの心にこの姿の僕が残っていてほしい、なんて……
「あれ、シュヴァル?!」
聞き慣れた声がする。
「あ、トレ───」 - 28二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 01:08:08
そこに不審者がいた。いや、顔はたしかにトレーナーさんであったが、服が……
「あ、あの……寝ぼけて間違った服を着た……?」
「いや、なんか流行らしいって聞いて」
トレーナーさんの服は僕のによく似たお嬢様チックの服だった。男の人がなんで?
「……!もしや男装の麗人だったとか?僕が今まで見抜けなかっただけで?!」
「いや、生まれも育ちも男だけど」
「じゃあなんで?」
「流行……」
暖簾に腕押し状態が数分続き、どうにか情緒が収まったかと思うと、なぜだか笑いが堪えられなくなった。
「うん、やっぱりな」
「ふふっ……あ!えっと、笑っちゃってすいません……」
「いや、シュヴァルは笑ってるときのほうがかわいいよ」
急なストレート!
「その服も、似合ってる。うまく着こなしてる感じ」
またも剛速球!
「今日は、楽しい一日になりそうだな!」
バッターアウト!
︙
そこから先の記憶は、着慣れない服への恥ずかしさと褒め言葉の応酬のせいでブラックアウトしたためあまりなく、たまたま近くのファンが描写したらしいツイートには、
「スライムみたいに溶けきったシュヴァくんと何故か令嬢スタイルのトレーナーさんかわいい〜萌え〜」
だそうな。もちろん姉妹にどうして記憶がないんだとメチャメチャ言われた。トッピンパラリのぷう。 - 29二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 01:09:53
悪りィ
初見でそういう見方しちゃってつい書いちゃった
許してケロケロ - 30二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 01:41:06
ここに来てナチュラル女装トレ概念は中々の変化球ですね……
しかし童貞臭い反応をするシュヴァちがカワイイからヨシ! - 31二次元好きの匿名さん23/12/30(土) 13:16:21
- 32二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 01:01:53
- 33二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 11:41:00
このレスは削除されています
- 34二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 19:17:25
可愛い服着て恥ずかしがりながら待っているシュヴァち良き…
- 35二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 19:23:43
このレスは削除されています
- 36二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 19:25:36
シュヴァルの体型でこれは洒落にならんでしょ
- 37二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 19:30:56
- 38二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 20:58:18
- 39二次元好きの匿名さん23/12/31(日) 21:30:10
- 40二次元好きの匿名さん24/01/01(月) 07:46:20
やるやんけ!ええんやで!
- 41二次元好きの匿名さん24/01/01(月) 17:51:26
- 42二次元好きの匿名さん24/01/02(火) 01:08:04
ええぞ!ええぞ!
- 43二次元好きの匿名さん24/01/02(火) 11:36:00
上げ
- 44二次元好きの匿名さん24/01/02(火) 11:51:39
あああああもうああああ!
って感想です - 45二次元好きの匿名さん24/01/02(火) 21:24:28
あげ
- 46二次元好きの匿名さん24/01/02(火) 21:25:29
- 47二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 02:59:50
上げ
- 48二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 04:18:49
- 49二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 10:37:19
SSだけじゃなくイラストも投下されて二次創作スレになってきおる…よいぞ…
- 50二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 20:23:45
- 51二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 05:33:29
保守
- 52二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 12:11:46
ほ
- 53二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 13:51:22
- 54二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 14:23:56
ミ゜
- 55二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 19:11:00
ガーリーなシュヴァちからしか得られない栄養素がある…
- 56二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 07:10:34
このレスは削除されています
- 57二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:44:08
あげ
- 58二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:46:48
- 59二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 01:56:03
シュヴァ力(ちから)……それは姉妹の絆が基となり、想い人と心を通じ合わせる力……
- 60二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 13:22:39
シュヴァルちゃんの笑顔が眩しいくらいに輝いていて最高です!