- 1二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:04:21
「早かったな」ギラッ
「…ずいぶん物騒なモン持ってるな」
「ん?ああ、これか」
「何かまずい事でもしたか、俺は」
「いや?なんでだ」
「包丁持って玄関出てくる奴があるか。知らん修羅場に迷い込んだかと思ったぞ」
「料理を作ってたんだから包丁を持つのは当たり前だろう」
「…どういう風の吹き回しかは知らないが…ブライアンが料理を、か」
「…おかしいのは百も承知だ」
「別におかしいとは思わない…というか、さっきから不安な音が聞こえてるが、放っといて平気か?」
「えっ? …ッ! しまった…!!」
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「…見ていて吸い込まれそうな料理が出来たな」
「………」
「ふっ、だが俺はこういう焦げ身は好物だからな。大人な味わいが楽しめるかもしれないな」
「………」
「…だから気を落とすな、ブライアン。元はと言えば俺がお前と話して引き止めてしまったせいだ」
「…どうせ遅かれ早かれ失敗してた。下手な同情をするな」
「…理由を聞かせてくれないか。気まぐれにしたって料理に手を出すことなんて今まで無かっただろう」
「…アンタは、私に比べて器用だ」
「ん?」
「仕事をこなすだけじゃない。家事の方だってあっという間にやってしまう。まるで苦とも思わない顔をしてな」
「………」
「…対して私はどうだ。やってる事といえば洗濯物を畳んだりすることぐらい。仮にアンタと同じ事をしようとしても、思うように事は進まない」
「ブライアン…」
「それでも…私は、アンタの役に立ちたかった。このままじゃ私は、アンタの足枷になるだけだと分かっていた。だから、アンタのために出来ることをやろうと思った。…ここにいて良いという確かな資格が欲しかった。
だがその結果…料理一つまともに作ることもできない」
「………」
「情けない…なんだ、私は…最初から…アンタの力になりたいとか思っちゃ…いけなかったのか…?」 - 2二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:05:04
「……ブライアン」
「…すまなかった。不味い飯がさらに不味くなるだけだな…さっさと」
「いただきます」
「…は?」
バクッ モグモグ ムシャムシャ…
「おい、アンタ…」
ガツガツ モグモグ…
「そんなもの…」
ハムッ ムシャムシャ…
「…ごちそうさま」
「……アンタ」
「確かに、俺に言わせればまだまだな味だ。普通なら食おうとは思わない」
「だったら、なんで」
「だが!
…お前が俺の事思って作ってくれたって考えたら、途端に旨く感じてきたよ」
「…!!」
「…ブライアン。役に立つだとか…そんな道具みたいな事は言っちゃいけない。だが俺は…お前がいてくれて良かったって思ってる」
「……」
「ここにいる資格だとか、そんな物はない。お前がここを居場所だと思うんだったら、俺にとってもここは居場所になる。それだけだ」
「アンタにとっても…居場所…」 - 3二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:05:16
- 4二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:05:39
- 5二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:06:12
- 6二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:06:44
このSSは素晴らしあっ
続きが欲しあっあっあっあっ - 7二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:07:19
- 8二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:08:28
新妻ブライアンいいすねぇ!!
- 9二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:12:43
あっ♡ちょっと尊死するっ♡
- 10二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 20:42:57
ブラトレにはちょっと弱い所見せるブライアンいいよね…
そんな弱い部分ををちゃんと受け止めてあげるブラトレいいよね… - 11二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 22:46:13
- 12二次元好きの匿名さん22/01/10(月) 23:25:14
- 13二次元好きの匿名さん22/01/11(火) 01:34:59
良い…
- 14二次元好きの匿名さん22/01/11(火) 10:14:22
手取り足取り丁寧に料理を教えてもらうブライアン
包丁を握る手をさらにブラトレが握ったりしてるのかな… - 15二次元好きの匿名さん22/01/11(火) 20:20:45
子どもが出来るぐらいの時には立派なお母さんになってるんですよね分かります
- 16二次元好きの匿名さん22/01/12(水) 03:32:10
夫婦愛だ…
- 17二次元好きの匿名さん22/01/12(水) 14:33:49
「…私の周りには、これらをいとも簡単にこなす奴らばかりだ。アンタも、姉貴も、アマさんも…」
「確かに。やたらと生活力のあるのに囲まれてたんだな」
「…アンタにも、今の私みたいな時期はあったのか?」
「俺はあったな。多分、ハヤヒデもヒシアマも程度は違えどあった筈だろう」
「…どんな失敗をしたんだ」
「家を燃やしかけた事があった」
「私より重症じゃないか」
「人に歴史あり。…そんなもんだ。誰だって何かしら失敗して落ち込む事がある。デカい事でも、どんなに些細なことでもな」
「…慰めならもう十分だ」
「そういう事じゃない。誰でも失敗しようが未来は来るって話だ。
そんな事もあったなと、いずれ話せる日がくる。あんな事もあったなと、きっと笑い飛ばせる時がくる」
「………」
「━━━俺とお前は、これからもずっと一緒にいるんだ。
悲しい事とか辛い事とか、そんな物は色々分かち合って…いつかの酒の肴にしちまえばいい。そうだろ?」
「…アンタはいつもそうだ。そうやって気障りな言葉をよくもペラペラと…」
「ふっ。それ、お前が言えた台詞か?」
「うるさい」 - 18二次元好きの匿名さん22/01/12(水) 14:37:41
あっっっっっまい…
- 19二次元好きの匿名さん22/01/12(水) 20:13:29
イケメンだ…
- 20二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 00:40:42
- 21二次元好きの匿名さん22/01/13(木) 12:29:43
互いがいるのが当たり前な関係。美しいですなあ…