【閲覧注意SS】ギャップ萌え…ですか……いいものですね

  • 1124/01/03(水) 23:00:47

    その日、私は買い出しにトレセン近隣のデパートに来ていました。
    シューズの専門店等だけでなく、映画館等の娯楽施設も入っているそのデパートは便利で、私だけでなくトレセンの生徒もよく利用しています。
    破れてしまったシューズを新たに買い直し、試す時を心待ちにしながらデパート内の休憩所のベンチに座っている時、事件は起こったのです。

    「ですから、アタシは後輩たちを待たせてて…!」
    「ちょっとだけ!ね、10分付き合ってくれりゃいいから、ね!」

    ウマ娘が、男性客に言い寄られている場面に遭遇したのです。背丈、口ぶりを見るにウマ娘は恐らくトレセンの生徒。知己ではありませんが、透明感のある薄緑のワンピースとさらりと肩まで伸びた栗毛が魅力的でした。

    「だからそんな時間は無くて…ああもう!」
    「てか、友達も一緒ならその子達も来てくれていいからさ!」
    「いや、もうちょっとで映画始まっちゃうんで…!」
    「映画?じゃあ俺も一緒に観に行くよ!」

    随分強引なナンパだと思いました。同時に、ウマ娘側には怯えが見える、とも。
    知らない相手と言えど、同じトレセンの生徒。見過ごすわけにはいきません。

    「失礼。怯えているように見えます。」
    「!あっ…」
    「はあ?なんだキミ……ひッ!?」

    男性と女性。正直、凄んだところで表情や体格の差もあってさほど怖くはないかもしれません。
    ですが、どうやら私の内なる烈火は男にも伝わったようでした。

    「ぼ、僕ちょっと予定思い出したから失礼するね~!」

    そそくさと去っていく男を見送り、改めて彼女と向き合い。
    ___目を、奪われました。

  • 2124/01/03(水) 23:01:15

    「ありがとうございます…あの人しつこくって困ってたんスよね」

    整った顔。枝毛一つない整えられた髪。ワンピースからすらりと伸びた手足は艶やかですらある。
    前髪にひと房混ざった流星がチャーミングだ。透明感のある服装も相まって全体の印象は清純だった。
    そしてなにより。その青く透き通った瞳。

    「______可憐だ」
    「え?」
    「ッ!なんでもありません!」
    「そ、そうっスか…?」

    不覚…己の未熟を恥じながら、しかし私は彼女から目を離せずにいました。
    よく見ると手足は細いながらもしっかりと筋肉がついている。彼女もトレセンで日々鍛える生徒なのだと思うと、親しみを感じる。
    指先はよく手入れされている。薄く爪に塗ってある透明のものはネイルだろうか。詳しくはないが、お洒落に気を遣うそのいじらしさに胸が締め付けられる。
    ワンピースから覗く膝には絆創膏が貼られている。可愛らしさに和むと同時にこの可憐な少女が擦り傷を作っているという現実に心が痛む。

    …守護りたい。
    守護らねば。

  • 3124/01/03(水) 23:01:50

    「あ、あのー…ヤエノ?」
    「そのッ!」
    「どわぁ!?」

    お、驚かせてしまった。落ち着け…。がっつくな。あくまで冷静に。下心などない。純粋に守護らせてほしいと伝えるのだ。

    「フゥ――――――――――――――――――…。」
    「なんか挙動が不審っスよ……?」
    「その…!もし、もしよろしければ…!!!本日は私と……!!!!!!」
    「はいストップ。」

    赤い私と透き通るような少女の間に、金色が差し込まれる。
    その姿を見た途端、少女の顔がぱあっと明るくなった。

    「シチー!」
    「どういう状況デスかこれ…」
    「シチーさん…?」

    現れたのはゴールドシチーさん、世代が近く、共にレースで競ったこともある方です。

  • 4124/01/03(水) 23:02:17

    「シチーさんは、この方とお知り合いなのですか?」
    「え?この方…って。」
    「ヤエノ…ひょっとしてアタシが解らないんスか?」

    困り顔になる少女は少し瞳が潤んでいる。その涙を拭い、この世のあらゆる困難から彼女を守護ってあげたい。
    …と、同時に、聞き慣れた声に気付きました。

    「……………………バンブーさん?」
    「ウッス」
    「本当に気付いてなかったんですか!?」
    「…………え………だって…………髪…………その格好…………」
    「あー…これ、ウィッグっス。」

    頭がグラグラする。私は。親愛なる好敵手を。守護すべき相手と。

    「あ、オシャレしてたから解らなかったんだ、流石アタシコーデ。ね、けっこー変わるもんでしょ、バンブー先輩?」
    「服の力って凄いっスね……。」
    「なんなら今日映画終わったらもう一回服買っちゃう?もっとアタシと並んでても違和感ないくらいオシャレにしちゃいますよ。」
    「ぐ、それは魅力的っスけど……い、いや!アタシにはいつもの普段着が」
    「部屋着にしちゃいましょうあれ」
    「酷くないっスか!?」

    バンブーさんに。可憐だと。あまつさえ、れ、烈火を。

    「~~~~~~~~~~~~ぬぐううううううううううううううううう!!!!!!!」
    「わっ!?」
    「や、ヤエノーーー!?」

  • 5124/01/03(水) 23:02:39

    「……という事が、あったのです。」
    「……そ、そうか。」

    トレーナー殿は、最後まで黙って聞いて下さりました。正直相談すべきかも迷いましたが、他に頼れる相手が浮かびませんでした。

    「えっと……思春期には、そういう事もあると……」
    「ああ、いえ…大丈夫です。その、相談したいのはそういった事ではなく…」

    あれから、毎晩のように夢にバンブーさんが出てきます。
    夢の中のバンブーさんはあの服装で私と街を歩き、共に映画館へ行き、買い物を楽しみ、最後はコロッケを片手に談笑しながら寮へと帰ります。
    眩いばかりの夢。そう、私はあの日、夢を抱いてしまった。
    だから___。

    「こう…久々に会った田舎の友達が実は少女だったとか…いつもつるんでいる男友達が実は女性だったとか……そういう、ギャップのある漫画などをもしご存知なら教えていただきたく……。」
    「ヤエノムテキ!??!???!?」

    そういうのをもっと見たいなあと、思うのです。

  • 6124/01/03(水) 23:05:46

    以上になります

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:15:18

    ほうバンヤエとは…いいじゃないか

    しかしその性癖の摂取は茨の道ぞ
    茨の道に進んで分け入ってこそ八重垣の武人
    それもそうか

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/03(水) 23:22:43

    読み進めている途中シヨノロマンでも出てきたのかと思っていた
    まんまとやられたよ

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/04(木) 00:22:54

    ヤエノの性癖が滅茶苦茶になっちまう〜〜〜!

オススメ

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