【閲覧注意】絶対BLvsグエル オメガバース魔法少女編

  • 1二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 14:55:52

     グエル・ジェターク、十八歳。

     彼は気付いた。今この瞬間。この世界が漫画の世界であると。しかもただの漫画じゃない、トンチキBL胡乱アンソロジー時空だ。思えばおかしなことはあった、イケメン率の高い弊学、どういうわけか『保健室の利用』が異様に多い弊学、その割に何故か全員無事に進学していく弊学、たまに保健室から出ているところを目撃したと思ったらやたら慌てている男二人ばかりな弊学、なんか最近「イケメン御三家」とかいう概念があることが発覚した弊学__

     ここがBLの世界であるとするとこれらの現象に説明がつく。ではなぜそこに「胡乱」だの「アンソロジー」だの「トンチキ」だのついているのか。それの説明をするためには数分前にさかのぼらねばならない。いややっぱいい。現在進行形で十分だ。何故ならグエルのあとを猛スピードで追いかけてくる赤い妖精っぽい何か__

    「待つダリ!ダリと契約して魔法少女になるダリ!!」

    「うあああああああああああああっっっ!!!!!!」

     __が、全てであった。

    dice1d3=1 (1)

    1:『希望』の魔法少女 グエル

    2:『悲槍』の魔法少女 グエル

    3:まだ魔法少女ではない

    色はdice1d6=5 (5)

    1:赤 2:黒 3:黄 4:青 5:白 6:紫

    ※誤字脱字が多く、執筆しながら管理するのが苦手です。

    ※書いてる人の好み(ラウ→グエ強火、エラシャディ、おにショタおに他)で贔屓が入る可能性があります。気づいてもそっとしてください。

    ※単純に趣味の問題でスレミオとフェルペトは基本くっつきます。

    ※モブレ・廃人化・死亡などダイス次第で酷い状況になるかも。割と何でも許せる方向け!苦手な展開になりそうなら自己判断でブラバしてくださるとありがたいです!

    リンク【絶対BLシリーズ(vsグエル)】

    絶対BLになる水星の魔女vs

    vs絶対BLになりたくなかったグエル

    絶対BLvsグエル 地球編

    絶対BLvsグエル 真・地球編

    絶対BLvsグエル 真・地球編 エピローグ

    絶対BLvsグエル 三年後編

    絶対BLvsグエル 三年後編 エピローグ

    絶対BLvsグエル メカぐるみ編

    絶対BLvsグエル メカぐるみ編 エピローグ

    絶対BLvsグエル アオハル逃避行編

    絶対BLvsグエル ハードモード

    絶対お前が受けになる水星の魔女vsグエル

    絶対お前が受けになる水星の魔女vsグエル エピローグ

    絶対BLになる水星の魔女vsグエル 学パロ編

    絶対BLになる水星の因習村vsグエル

    絶対BLになるCoCダークエイジvs絶対BLになりたくないグエル

    絶対BLになるマギカロギアvs絶対BLになりたくないボブ

    絶対BLになる水星の魔女vs絶対BLになりたくないグエル 箱庭編


    【絶対BLシリーズ(vsエラン)】

    絶対お前が受けになる水星の魔女vs四号

    絶対BLになる水星のアイドルパロvs五号


    【絶対BLシリーズ(vsシャディク)】

    絶対BLになる世界vs絶対BLになりたくないシャディク…
    telegra.ph
  • 2二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 14:58:03

    「話を聞いてくれる気になったダリか?」

    「っぜぇ、は、あ、ゼエ……」

     残念ながらグエルは人間である。少なくとも主観上は。

     そのため猛スピードで飛んでくる謎の機械生命体X__ダリルバルデと名乗った__から逃れるなんて不可能だ。てか撒いたと思って近くの公園で一息ついたところで目の前に現れた時にはシンプルに泣くかと思った。恐怖で。

    「そもそもこの世界が積層構造になっているのは知っているダリか? 第一層の天上階から、第六層の深淵階まで__ここは第四層、抽象層。より高位の層の存在たちが思考によって生み出したものが存在するのがこの層ダリ」

    「わ……わけわからん……」

    「ダリは第一層より派遣された天使。端的に言うと今現在この世界は異世界の侵攻を受けているダリ。そこでダリはこの層の人間を解釈の余地故の『曖昧性』を利用して規格外の力を振るい戦う存在__『魔法少女』として覚醒させているダリ」

    「説明口調ご苦労だな。てかなんで少女なんだ。よしんば少年だろ俺男だぞ」

    「ちなみに第六層は既に滅んだし第五層もギリ持ちこたえてるだけだからこの層に敵が到達するのも時間の問題ダリ」

    「やべえじゃねえか!!」

     グエルが立ちあがった。ダリルバルデは「まあまあ」とやたら落ち着いた様子でグエルを制する。まあまあじゃねえよ。お前の話だとしばらくもしないうちにこの世界……層? 滅ぼされるんだろうが。てかもう一部滅んでる! 確実に一刻を争う事態だろ!!

    「グエルたち魔法少女に頼むのは、異世界の怪物との戦闘。とはいっても一人でやるのは無理ダリ。というわけでペアを組んで戦ってもらうことになるダリ」

    「……ペア?」

     厭な予感がする。

     非常に嫌な予感がする。

     BL的にこういうのに覚えがある。グエルは咄嗟に一歩後ずさった。ダリルバルデはぐいと距離をつめてきた。すなわち、光の力を持ち騎士となる存在と、闇の力を持ち剣となる存在、その二者が__

    「『番』となって」

    dice1d3=2 (2)

    1:「無理!!!!!!!」と逃げる。

    2:「……非常事態だから、もう少し話を聞こう」と頷く。

    3:「一人で戦うことはできないのか?」と尋ねてみる。

  • 3二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:00:05

    このレスは削除されています

  • 4二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:06:40

    わーい新作楽しみにしておりました!

  • 5二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:11:35

    楽しみ!楽しみ!!

  • 6二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:12:04

    「……非常事態だから、話を聞く。もう俺その、魔法少女? とやらになってしまったみたいだし__」

     グエルはため息をつきながら、自身の左手の甲を撫でた。

     そこには皮膚を裂いて咲くように、真っ白な花が埋まっている。たぶん薔薇、だろうか。いやなんで薔薇なんだよ。よりにもよって薔薇なんだよ。もっと他に色々あっただろ花、礼を挙げるならえっと、そう、百合とか? ダリルバルデはこほん、と咳払いをして、小さな片手をあげた。

    「まず魔法少女には属性があるダリ。激情の赤、我を貫く黒、控えめな黄、冷静な青、高潔の紫__グエルは白。これは『博愛』を示すダリね」

    「博愛」

    「そしてもう一つ。当人の願いによって、『光』の魔法少女か『闇』の魔法少女かが決まるダリ。光の場合は身体に花を、闇の場合は宝石を宿すので、区別は容易ダリ。最初は光をdice1d2=1 (1) (1:α性 2:Ω性)~みたいな感じで呼んでたけど、こっちの方が人間はアガるダリ」

    「ふうん? ……まあ、よくできているんだな」

    「家畜に目印をつけるようなものダリ」

    「最悪の比喩!」

    「光の力を持つものは、実際に敵と戦うダリ。闇の力を持つものは逆に、光の魔法少女が纏う剣や鎧となり、文字通り一心同体になって戦うダリ」

    「効率悪くないか?」

    「ストッパー兼単騎の能力の上昇ダリ。負けたら無ダリからね」

    「……俺は白い薔薇。つまり、光の魔法少女というわけか」

     グエルが顎に親指をあてて考えていると、ダリルバルデは「そうダリ!」とくるくるグエルの周りを飛び始めた。死ぬほど鬱陶しい。

    「光と闇は表裏一体。同じ願いを持つものは惹かれ合うダリ。運命ダリ!さあ、グエルも運命をさがしにいくダリ!」

    dice1d3=1 (1)

    1:「……わかった」と頷く。つまりここで顔のぼんやりした女子を引き当てればいい!!

    2:「いや、俺はひとりで戦う」と言う。

    3:「ウワ~!?早速敵の襲撃ダリ!?」dice1d2=1 (1) (1:戦う 2:逃げる)

  • 7二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:19:48

    取り敢えずΩは回避したか

  • 8二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:28:30

    早々に負けフラグ立てるの止めろ

  • 9二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:29:20

    「……わかった」

     グエルは頷き、立ち上がる。

     なんかこう 今しがた…… グエルに対して都合のいい情報がひとつ、しめやかに決定したような気がする。これは勝てる。それにまさか魔法少女が男だけだなんてそんなことあるわけない。だって『魔法少女』だぞ。顔のぼんやりとした女の一人や二人混じっていてもおかしくないだろ。

     ダリルバルデの頭の光輪をつまみ、くるくるとあたりを確認したから、歩きだす。足並みはやたら泰然としていた。焦ったら負けだ。ダリルバルデは「離すダリ~!不敬ダリよ~~!!」と短い手足をじたばたさせて暴れさせていたが、そんなことグエルにとっては知ったことではない。そこでふと、ダリルバルデに対し、聞いてみた。

    「運命って言うけど。それってわかるもんなのか?」

    「一目見てわかるダリ。そうでなくても、持つ花と宝石の色や形の形而上の意味からある程度は推定できるダリ」

    「へえ。ようするに花言葉とか石言葉ってワケか?」

    「……なんかグエルって、異様に冷静じゃないダリか?」

    「そうか?」

     グエルはぱちくりと目を瞬かせた。

     世界のために戦う。異世界の化け物と。そうして、死ぬ。結構なことではないか。ただ漫然と生きて泥のように死ぬより、誰かのために生きて誰かのために死んだら、余程。ただでさえグエルは、__

    「……オマエ、ほんとうに『希望』?」

    「誰かの希望になれたら、嬉しい」

    「いや……ああ、そういう……」

     ダリルバルデはあの珍妙な語尾を放り捨てて、静かにため息をついた。

     それから「他の魔法少女、特に『運命』と出会えるかは完全に運ダリ。つがいを見つける前に殺される魔法少女もいる。つがいを作らずに戦う魔法少女だって、光の方なら稀にいる」といくつか言葉を重ねる。いるんだ。というか可能なんだ。ペアじゃなくてもいいんだ。それにしても絶対語尾ない方が可愛いと思う。

    「ただ、」

     ダリルバルデは不意にこちらを見た。

    「オマエに限っては、早くつがいを見つけないと、死にそう」

    「……失敬だな」

    dice1d3=1 (1)

    1:学校に向かう。

    2:家に向かう。

    3:このままその、敵? とやらがいる方に向かってみる。

  • 10二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:30:43

    Ω回避したことに少しホッとするけど油断ならないのがこの男!

  • 11二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 15:48:04

     余裕をもって家を出ていたおかげで遅刻することはなかった。

     ほっと息をつくが、むしろある意味よい……いやよくは……なかったな、と思い直した。ダリルバルデが「ダリ?」と奇妙な相槌めいた音声をあげる。そのダリダリ言うのなんとかならないのかなマジで。

    「……なんか避けられてるダリか?」

    「お前他の人には見えないのか?」

    「認知を弄ってるだけで、本来はお前にだって感知できないダリ。それで、話を逸らすのはよくないダリよ」

     グエルは閉口して、脱いだ靴を下駄箱に入れた。

     室内履きの中身をチェックしてから、履く。歩きだせば、単にグエルの図体がデカいからだけでは説明がつかない程に、さっと道が開く。

    「ぐ……グエル、オマエ、いじめられてるダリか!?」

    「そういうのではない。ただ__」

    「いやどうかんがえても、」

    「父親を殺した人間と好き好んで関わろうとする人は少ないだろう」

     ダリルバルデが閉口した。

     それきり、ぴくりとも動かなくなる。多少振り回したとはいえそこまで乱暴にはしていないと思うのだが、何か部品とかとんでいったのだろうか。いやそういうのはないのか?

     __三年前。

     つまるところグエルが十五歳、中学を卒業したころだったか。グエルは父を、手にかけた。酒に酔ってグエルを刺そうとした父を、逆に刺し返す形で。司法からは正当防衛だと判断されたし、実際そうしなければグエルが死んでいたというのも事実だ。だからといって犯した罪が消えるわけではない。周囲の人間は、ある者は軽蔑し、ある者は恐怖し、ある者は腫物に触れるようにグエルを扱うようになった。

    「だからこれはチャンスなんだよ」

     グエルがぽつりとつぶやいた。

    dice1d3=3 (3)

    1:エランdice1d3=3 (3) (1:四号 2:五号 3:様)が「おはようグエル」と話しかけてくる。dice1d3=2 (2) (1:花!? 2:宝石!? 3:なんもない)

    2:シャディクが「ぐーえるっ!」ととびかかってきた。dice1d3=3 (3) (1:花!? 2:宝石!? 3:なんもない)

    3:あれは……後輩のdice1d3=2 (2) (1:スレミオ 2:フェルペト 3:ニカチュチュ)?うわめっちゃそれぞれ花と宝石持ってる!!

  • 12二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:00:29

    「__あれは……」

     ふと、遠くで女子生徒二人が仲良さげに談笑しているのに気づく。

     目立つ容色__具体的に言うと顔がはっきりしている__だから、学年こそ違えど、名前ぐらいは知っている。片方はニカ・ナナウラ、もう片方はチュアチュリー・パンランチ。問題は。

    「あれって、魔法少女の証、だよな?」

    「あ! そうダリね、どうやら二人は番らしいダリ!」

     ダリルバルデが気を取り直したように手足をじたばたさせた。二人は揃いの黒色を指先に輝かせて、何やら笑いあっている。黒色__ということは確か、なんだっけ、我が強いんだっけ? あまり二人の、特にニカ・ナナウラの印象には合致しないが__

    「……あれ、グエル先輩?」

     不意に、その片方。ニカ・ナナウラと目があった。

     まずい、と思って聞こえなかったふりをして踵を返す。グエルと話しているところを見られて困るのはニカ達だ。もうホームルームも近い、とにかく距離をとらないと、と思って足早に歩を進めるが、それより先に、手を取られた。振り返る。左手にdice1d2=1 (1) (1:黒い花 2:黒い宝石)を纏ったニカが、きらきらと目をかがやかせてこちらを見ていた。

    「あなたも魔法少女なんですか?」

    「そうダリ!!」

     答えたのはダリルバルデだった。

     グエルはしばらくニカの顔を見て、目を閉じて慎重に検討に検討を重ね検討を加速させた結果「そう……だな」と小さく答えた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「ねえ。うちの魔法少女グループ__dice1d2=1 (1) (1:『地球寮』 2:『フォルドの夜明け』)に来ない?」と誘われる。dice1d2=1 (1) (1:断る 2:頷く)

    2:チュチュが「ニカ姉、ホームルームの時間だぞ」と引っ張って連れてく。「イケメンと話してると突然連れ去ってく謎の美形」の逆バージョンあるんだ……

    3:「嬉しい、こんなところで仲間に会えるなんて__これで、きちんと相手してあげられるね」と臨戦態勢をとる。振り返る。ウワア敵!

  • 13二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:13:23

    「……ニカ姉、行こ」

    「えっ、チュチュ?」

    「もうホームルーム始まるし。そもそもあーしらだけで異世界のバケモノとか全部倒せるし」

    「でも」

    「いいから!」

     チュアチュリーは未だ名残惜しそうにこちらを見るニカを引きずって、一年生や二年生の教室のある上の階へと消えて行った。なんだったんだ一体……思っていると、ダリルバルデが「威嚇ダリねえ。青いダリ」と簡単に説明しはじめた。いやあいつらは青じゃなくて黒らしいが。

    「威嚇って?」

    「『番』はいわば魂のつながりダリ。その片割れが他と話していたら嫉妬もするし、他の魔法少女を威嚇くらいするダリ」

    「協力できるのかよソレ」

    「まあできるんじゃないダリか? 見た所あの二人は最近『コネクト』をすませたばかりらしいし」

    「コネクト?」

    「ああ、えっと。番となるための儀式というか、番の力を最大限引き出す手順というか、番になった以上さけては通れない生理現象というか、人間の世界の行為に直すと__」

     ダリルバルデはそこで、割と今世紀最大の爆弾をおとした。

    「性交渉ダリね」

    「______ッ!?!?」

     悲鳴をあげなかったグエルを誰か褒めてほしかった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「一体どういうことだ!?」とダリルバルデを問い詰める。

    2:「一体どういう__」と言おうとしたところで、何かこう、強烈な運命力的な何かを感じる。dice1d2=2 (2) (1:向かう 2:抗う)

    3:「それって一体どういう、ッ……、襲撃!?」

  • 14二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:15:29

    1人で戦う以外に逃れる術は無いじゃないですかヤダー!!

  • 15二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:24:21

    (ダイス結果フェルペトじゃない?)(小声)

  • 16二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:26:03

    「いっ……一体どういうことだ!?」

     グエルは思わず状況も忘れてダリルバルデを掴みあげた。

     ダリルバルデは「痛いダリ~」と暢気な声をあげたあと、なんてことないように続ける。この世界の存在は『抽象』の位相にある。そのすべては「個人の思想」のものではなく、「そういう大まかな概念」や「キャラクタライズされた登場人物」として動くことが多い。例えばグエルが『希望の博愛主義者』という大まかなキャラクターとしてやや誇張気味なほど大袈裟に設計されているように__だからこそたった六つの「色」で分類できるのだそうだが__。

    「そういう『大まかな概念』の方が重要視される世界で、最も『つながりを深める』行為とは何ダリ? そうダリね。まぐわいダリね」

    「ちょっとやんごとない感じにするのやめろ!てかそんなの人によるだろ!!」

    「ここでは個々人の価値観よりイメージの方が大事ダリ」

    「最悪だな!?」

    「ちなみにα性とΩ性は子を成せるダリ。この子は生まれついて強い魔法少女としての才覚を持っているダリ。生え抜きダリ」

    「最悪だな!?!?」

     やっぱりそういう罠があったのだ。何かこうペアだの番だのαだのΩだのと言われたあたりから嫌な予感はしていたのだ。細かく分けると最早別ジャンルになりそうだが、ダリルバルデの言うように『大まかに見た』場合__グエルはこういう設定に覚えがある。オメガバースというやつだ。本で見た。ダリルバルデは指の股が一つしかないふざけたてのひらで、ぐっとサムズアップをつくってみせた。

    「だからグエルもはやくつがいを見つけるダリ!」

    「ぜッ……」

     絶対いやだ!!

     きーんこーん、かーんこーん。ホームルームの時間を告げるチャイムが、間抜けに鳴り響いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:授業を終えたあたりでdice1d3=3 (3) (1:シャディク 2:エランdice1d3=3 (3) (1:四号 2:五号 3:様) 3:ニカとチュチュ)に話しかけられる。

    2:……魔法の特訓とかしてみるか?

    3:ウワア!討ち入りだ!!異世界の怪物倒すぞ!!!!

  • 17二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:43:05

    流石猪

  • 18二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:49:00

    >>15

    (本当ですね!!直すのもアレだし今までニカチュチュはやった記憶がないしせっかくなのでニカチュチュで進めます!!ごめんね)


    「__ダリルバルデ」

    「何ダリ?」

     放課後。

     恙なく授業を終えたグエルは帰りがけ、行きに寄ったのと同じ公園のベンチに座った。片手にはないよりはましとばかりに工作鋏とカッターナイフが握られている。グエルの筆箱に「武器っぽいもの」だ。この涙ぐましい努力に感謝してほしい。

    「第五層には、どうやっていくんだ」

     ダリルバルデが少しだけカメラアイを曇らせた。「本気ダリか?」と、言わんとすることはわかったらしい。

    「せめて……ニカとチュチュを連れて行くダリ。魔法少女になったばかりでろくに練習もしてないのに、そのうえ番もいないのにいきなり戦うとか無謀ダリ!」

    「俺は逃げん」

    「そういう問題じゃないダリ!」

    「俺は負けん」

     グエルが強く繰り返すと、ダリルバルデは少し、俯いた。

    「……今から、第五層に続くゲートを開くダリ。だけど、約束。危なくなったら、必ず逃げるダリ」

     ダリルバルデが、小さな槍を振るう。

     と。何もなかった空間に、真っ黒な扉が現れた。あまりの神々しさ、それゆえの禍々しさに、直感的にこれは本来『あってはならないもの』なのだ、と認識する。しかしグエルは、躊躇わない。迷うことなく、その中に飛び込んだ!

     __制服のブレザーは長いマントに、中に着ていたカッターシャツはノースリーブのインナーに。

     ネクタイは花弁をたっぷりと重ねたようなジャボ、腕まで伸びた蔦を隠すようなアームカバー。なけなしの武器は、立派な太刀と短銃に姿を変える。

     そのどれもが、同じ色の糸で装飾されている以外に何も飾り気のない、純白であった。

    「……死に装束みたいだな」

     「洗濯大変そう」という代わりに、グエルはそう言った。そうして向き直る。廃墟めいたがれきが密集する中に、種々の悲鳴の中に、確かに在る、巨大で悍ましい獣に。

    「愛しく唾棄すべき化け物へ。『希望』の魔法少女 グエルが、お前を倒す」

     「なんか慣れてないダリか?」と、ダリルバルデがぼそり、呟いたという。

    dice1d3=2 (2)

    1:圧勝

    2:くっ、苦戦……!誰か助け……!

    3:ウワア即堕ち二コマ!敗北!!

  • 19二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:49:35

    なるほど、魔法少女だから「コネクト」が行為をあらわす隠語になるわけね!リリカル~(白目)

  • 20二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 16:56:21

    短銃=トカレフ
    コネクト=肉体言語(意味深)
    これは魔法少女ですね…

  • 21二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:06:34

    「ッ、ぐ」

    「グエル!!」

     ダリルバルデの悲鳴が聞こえた。

     怪物の攻撃をまともに食らって、身体が吹きとぶ。壁に叩きつけられる。咄嗟に受け身をとったので見た目ほど痛みはないが、身体の節々がぎしぎしと奇妙な音を立てる。

     この体は、すごい。

     明らかに俊敏だった。明らかに怪力だった。明らかに人の範疇には無い力をグエルにもたらしてくれた。それこそがおそらくは、『光の魔法少女』として契約した特権なのだろう。では問題はなにか?

    (攻撃の、歯が立たない)

     こんなに仰々しい太刀は化け物の毛皮に傷一つつけられなかったし、人間なら一発で三人くらい葬れそうな小銃はまるで力不足だった。それこそおそらく本来は『闇の魔法少女』が補う部分なのだろう。

     闇があってこそ、光が輝ける。

     薄れゆく視界の中で、そんなことをぼんやりおもった。あ、俺、死ぬのか。ようやく死ぬのか。どうしようもない、無力感だった。結局誰一人倒せなかった。役に、立てなかった。そんなことを考えながら、静かに目を閉じる。これでようやく開放される。

     それなのに。

     あってはならないことに、恐怖を感じた。

    「……けて、」

     無意識に口から、言葉がこぼれる。

    「たすけて、だれか……」

     グエルの敗因をあげるとすれば、差し迫った命の危機によりBLへの警戒が薄れていたことが挙げられるだろう。そのせいで、普段なら決して言うはずのない、いわゆる『フラグ』でしかない懇願だった。

     ザ、____!!

     低い音と共に、閃光が駆け抜ける。

    dice1d4=4 (4)

    1:「助けに来たよ」とdice1d6=5 (5) 色の宝石を身にまとったエランdice1d3=2 (2) (1:4 2:5 3:様)が

    2:「ぐえる。クラスのみんなには、ナイショだよ?」とdice1d6=1 (1) 色の宝石を身にまとったシャディクが

    3:__強烈に、甘い香りがする!?

    4:「グエル?」と聞き覚えのある声があると同時に、意識を失う__

  • 22二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:17:21

    おお…誰だ…?
    父さんだったら怖いな…

  • 23二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:22:37

    「……ぐえ、る?」

     不意に、どこかで聞いた声がする。

     目を開ける。目の前に怪物の牙が迫っている。あ、食われる。再び覚悟決定してさわやかに目を閉じ(これは注射時に針を見ないようにする心理である)、来るべき衝撃に備える。

    「とめて」

     そして、暗転__


    「……ッ!?」

     はっと、目を覚ました。

     身体を起き上がらせて、気づく。変身が解除されている。まああのトンチキな格好よりは慣れた制服の方が楽だが。遥かにマシではあるが。

     どこも痛くない。果たして全ては夢であったのか、具体的にはダリルバルデと邂逅したあたりから全部夢であってほしい。しかしそれを否定するように、目に映るのは野戦病院か何かのような寂れた空間だった。『第五層』__いや、それとも少し雰囲気が違う。一体ここはどこだ?俺はどうして生きている?

    「ダリルバルデ……ダリルバルデ?」

     そこでようやく気づく。

     赤い珍妙な小動物がいない。

     さっと、顔を青ざめさせる。なんだかんだグエルは彼のことを信頼していたのだと、グエルはようやく、気がついた。「ダリルバルデ、ダリルバルデ!」と数度虚空に向かって呼びかけるが、姿どころか声すら聞こえない。一体どうして、何故__

    「目が覚めた?」

     不意に、声がする。

     そこにいたのは、薄茶色の髪をした少女だ。いや、違う。少女じゃない。グエルの知る人間は薄暗がりの中で目だけがぴかぴか光るとかそんなことない。彼女はニコ、と笑うと、グエルに向かって手を差し伸べた。

    「来て。待ってる」

    dice1d3=3 (3)

    1:「ここは……お前は、おれは、どうして……」と尋ねて時間を稼ぐ。

    2:「……」ととりあえず大人しくついていくdice1d2=1 (1) (1:。 2:フリをして変身や武器の有無を確認)

    3:ウワア逃走!!dice1d2=1 (1) (1:少なくとも少女は撒けた!? 2:普通に無理だった)

  • 24二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:32:23

    なんか危険な道へとつっぱしってる気がする

  • 25二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 17:35:06

    「……ッ!」

    「わっ」

     グエルは少女を半ば突き飛ばすようにして見えた。

     そのまま変身バンクもなくシームレスに変身する。やっぱりこっちの方が力を感じる。見た目はやたらひらひらしていてむしろ動きづらそうなのに不思議だ。それでも何故だろう、この姿でもあの少女ひとり、本気を出されればあっけなく負けてしまうのではないか、という漠然とした不安を感じる。

     後ろからくすくすと楽しそうな笑い声が聞こえる。ぱん、ぱん、ぱん、と手を叩く音が聞こえる。

    「『捕虜』が逃げたよ!全員、つかまえて。鬼ごっこしよう!」

     捕虜?

     嫌な予感がする。捕虜。つまりあの時聞こえた声は助けの声ではない?何者かが、グエルのことをとらえて、何らかの情報を得ようとした?いやおかしい、ならなぜこんな。こんな、拘束も何もかも緩くて。遊びみたいに追い詰めて。一体誰が、まるで、

    (逃げられるなら逃げてみろ、とばかりに)

     グエルの顔が青ざめる。

     左手の薔薇の花弁をいっぱいにふくらませ、窓を飛び越えたところで、立ち尽くした。

     そこに広がるのは、無謬の闇。

     グエルの白とは対照的に、ひたすらに黒い__いや、『何の色も持たない』空間であった。

    「決してこの『第六層』から、逃がしちゃダメっすよ~!」

    dice1d3=3 (3)

    1:「こっちへ!」とdice1d2=1 (1) (1:まだ子供らしい 2:低く落ち着いた)声がする。dice1d2=2 (2) (1:転がり込む! 2:やめとく)

    2:ど……どこかに隠れてやり過ごそう!dice1d2=1 (1) (1:倉庫だ!武器とかある 2:資料室か?本がたくさんある)

    3:「……ッ、ダリルバルデ!!」dice1d2=2 (2) (1:捕まるダリ!! 2:……)

  • 26二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 18:18:21

    やばいのでは?

  • 27二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 18:22:54

    やったー!新作だ!と思ったらタイトルからして属性過多で草。楽しみ!

  • 28二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:18:44

    新年早々新作嬉しい!!
    ありがとうございます!一覧見に来て良かった!!
    イラストも!!グエル豪華な衣裳だね!ダリルバルデも丸っこくて可愛いぞ!

  • 29二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:31:50

    「……ッ、」

     半ば闇を貫くようにして、走り出す。

     どこもかしこも真っ暗で、自分が果たして前に進んでいるのか、うしろに戻っているのか、上にのぼっているのか、下におりていいるのか、それすらわからない。いやそもそも、上下左右なんて概念はないのかもしれない。それでもとにかく、走らなければ、逃げなければ、という強迫観念だけが胸を占めていた。

     泣きそうだった。

     たぶん三年前のあの日からずっと。

     わけのわからない魔法少女なんてものにもなりたかったし、BLにも巻き込まれたくない。ただ父と、平穏無事に暮らしたかっただけなのに。どうして。どうして。

     どうして、こんなことになったんだ。

    「助けて、ダリルバルデっ……!!」

     半ば無意識に、その名を叫んだ__瞬間。

     風が吹く。

     ごう、と真っ白いマントがはためいて、とんでいく。思わず手をのばしたが、それより先に、何者かがそれをひょいと掴んだ。

     その人物は純白の布を数度、まるで泳ぐように宙に舞わせて、受け止める。グエルは目を見開いた。そうして無意識にくちびるを半開きにさせ、数歩後ずさった。何故なら。そこにいた人物は。こちらに向けて微笑みを浮かべる彼は。決しているはずのいない懐かしい声の主は。ちがう、わかりきっていたくせに、「懐かしい」なんて誤魔化した、あれは、だって、でも。どうして。ここに。実は今回もこっそりと出番をサイレントナーフされていた__

    「うっかりだね」

     左の手に、マリーゴールド。

     右の手にキャッツアイを輝かせる。

     黄、いや違う、これは、そう。

     『金色』だ。

    「兄さん」

    「ラウダ、な、ぜ。ここに__」

     これ九話ぐらいでエンカウントするやつだろ。

     グエルはちょっと思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:「よかった!助けてくれ」と猫なで声で近づく。dice1d2=2 (2) (1:いいよ 2:だめ)

    2:「どうして……ここは……『異世界』の侵攻をうけたはずでは?」と尋ねてみる。

    3:「お前がここの『主』なのか?」ととりあえず武器をとって速攻臨戦態勢

  • 30二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:50:21

    でたわね

  • 31二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 21:50:50

    「うわあしりあいにあえてよかった!助けてくれ」

    「それでいけると思ったの?棒読みすぎだよ。今時合成音声でももう少し感情豊かに喋るよ」

    「く、ダメか……」

     流石に無理だった。ラウダはしかし、マントを留めていたトグルボタンをぶちりと千切り、そのまま流れるようにジャベリンとクナイを生み出したグエルを見て、悠然と近づいてきた。そうして「肩だの腕だの出して、風邪ひくよ」と言いながらそうっと白布を巻きつけてくれる。グエルが唖然としていると、ラウダはにこにこ、笑ってみせた。細められた瞳はあの少女と同じ、薄暗がりの中できらきらと光る金色だ。

    「三年前、いなくなってしまってごめんね。ずっと気に病んでいたの、知っている」

    「……聞いてもいいか。お前が何故ここにいるか」

    「簡単だよ。僕がレガリアの__ああ、えっと、兄さんたちがいうところの『異世界』の王子だから」

    「は?」

     グエルが思わず素っ頓狂な声をあげると、ラウダはにこりと笑みを深めて、マントから手を離した。ずり、と少しだけおちた布をとめながら、グエルは一瞬あっけにとられたような顔をして、しかし、すぐに眉間に皺をこめて、睨み返す。

    「どういうことだ。わけがわからない。俺達は兄弟であるはずだろう?」

    「そうだね。そうに違いない。どちらも事実だ。きっと兄さんも理解できる日が来るよ。この世界の仕組みの深さが、それを破壊する方法が」

    「ちょっとハサ〇ェイ先輩のパクりなのやめろ……!」

     ラウダはぱん、と手を叩く。と、同時に、グエルの体から力が抜ける。まるで糸が切れるように。はっとしてジン、と痺れる左の手を見ると、真っ白だったはずの薔薇の花、その花弁のひとひらだけが、悍ましいほど美しい金色に変色してしまっていた。

    「連れて行って。ようやく再会できたんだ、もう逃がさない」

    dice1d3=2 (2)

    1:すなおにドナドナ

    2:「い……いえに……かえりたい……」と泣き落としdice1d2=2 (2) (1:いけそう 2:だめそう)

    3:__ッ!?誰かが横から斬りかかってくる!?!?

  • 32二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:01:28

    「い、……」

    「い?」

    「家に、帰りたい……」

     グエルはさめざめとないた。

     もちろん演技である。少なくとも三割程度は。グエルは知っている。ここはいくら殺伐としているとはいえBL世界。ハッピーエンドは約束されている……はずだ。それになにより、BL世界で敵対構造である以上、確実に『ストッパー』が存在するはずだ。たとえばそう、敵の最高権力__つまりラウダ__と味方の最高権力__たぶんダリルバルデとか__が癒着しているとか。そういう。物理的に。冷静な自分が「そんなわけあるか?」というがもうこの可能性にかけるしかない。

     ラウダは一瞬「兄さんの家はここだよ」と慰めようとしたらしいが、すぐにそれが無意味であると悟った。弟よ、お前だってガチ泣きする兄の姿なんて見たくないだろう。ラウダが考える素振りを見せる。もう一声。もう一声だ。てかこんな早く詰んだら困るから。ほんとに困るから。せっかくα引いたのにこんな段階で詰むとかそんなわけないだろ……!

    「……わかった。帰っていいよ。そのかわり」

     必ずかえってきてくれるように。

     ラウダがするり、とグエルの傍によって、その左手の花に触れた。ほんのひとひらばかりが金色の、白い薔薇。それが、指先に軽く、弄ばれて__

    dice1d3=1 (1)

    1:「少し細工をさせてもらうよ」といって、ラウダの手が金色に輝いた。

    2:「必ず奪い返しに来てね」と。純潔を示す白い薔薇の花が、手折られた。

    3:「やっぱだめ。つれてって」

  • 33二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:12:35

    泣き落としも失敗しとる……

  • 34二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:22:47

    「少し、細工をさせてもらう」

    「……ッ、……!? …………!!!」

     痛みが。

     脳を、焼いた。

     神経を直接引きちぎられているような、激痛。腕、腕から来ているはずだが、腕はもう麻痺したのか何も感じない。ただ、いたい。痛いのだ。身体の中に『この世界にはないもの』を流し込まれている痛み。既知の存在が置き換えられ、壊されていく恐怖。指がめちゃくちゃに引き攣っているのだけが、視界の端にわかる。人間マジでいたいと悲鳴すらあがらないんだなあということを今はじめてしった。できればしりたくなかった。ラウダの指先が離れる。痛みが、終わる。無意識に左手を撫でる。

    「……これはあなたが望みと出会った時、きっと願いを叶えてくれる」

     肩で息をしながらラウダを見上げた。ただ家に帰りたいっていうだけでこんな拷問めいた何かを経験しなければならないということか。嘘でしょ……?

    「兄さん。僕達はいずれ再会する。だけどね、今はその時じゃない」

     唖然としている間に、背をおされる。身体が暗い、くらい深淵だったものの底におちていく。ちがう、のぼっている? わからない。ただ、じんじんと痺れる左腕の感覚だけが確かだ。

    「あなたの運命の果てに、また会おう。すべての真実を探して、見届けて、あなたならきっと、こちらに来てくれると思うから」

     バチリ。

     視界が、弾ける。


    「……エル。グエル」

     まどろみの底に誰かの声が届く。グエルは__グエルは、何を見ていたの、だろうか。いま、いったい。グエルは__

    「グエル!!」

     はっと、目を覚ます。

     そこに、いたのは__

    dice1d3=3 (3)

    1:赤くてちみったい生物だ。

    2:dice1d2=2 (2) (1:……エラン?dice1d3=2 (2) (1:4 2:5 3:様) 2:シャディク? 3:両方?)

    3:白__えっと、ミオリネ? に、チュチュにニカ、スレッタ・マーキュリーまで!?

  • 35二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:34:52

    「みお……リネ? それに、スレッタ。ニカ、チュアチュリー……」

    「よかった。目が覚めたんですね」

     ほっと息をついたのは、赤いアネモネを片手に宿した少女。スレッタ・マーキュリーだ。

     彼女はおっとり微笑んで、「ミオリネさんのおかげですね」とミオリネの手を取る。ふん、と鼻を鳴らすミオリネの手には、同じく真っ赤なガーネットが飾られている。もう見んくっても一目でわかる。どう見てもこの二人番だ。たぶんコネクトもしてる。この世界ダイスすら無しに百合になるんだからやっぱ百合に甘ェよ

    「グエル。あんたスレッタに感謝しなさいよ。道端で倒れてるあんたを拾って、治癒魔法をかけてくれたの、スレッタなんだから」

    「あ、ああ……感謝、する?」

    「えへん! 同じ魔法少女仲間として、とうぜん、です! それに、ミオリネさんが助けてくれたから」

     スレッタは嬉しそうにミオリネにすり寄る。おーおー不要不急のスレミオやめろ。それは俺に効く。グエルが謎にダメージを受けていることなどお構いなしに、終ぞ沈黙を保っていたチュアチュリーが、不意にグエルの左手をとって、まじまじと検分した。

    「うーん……」

    「なんだ?」

    「ああ、いや。えっと……なんか、お前がここに来てからずっと、見てたんだけどさ。明らかにおかしいんだよ。上手く言えねーけど、身体の中に在る存在そのもの、の、流れ? っていうか」

    「ながれ」

     グエルは左手の先を見る。

     なんてことはない。純白にひとひらだけ金の混じる薔薇の花が、そこには鎮座している。最初からこうだった。グエルは思い直して、うんうんと頷く。チュアチュリーが少しだけ顔を青くして、グエルの方を見た。

    「警戒しておくに越したことはない。あーしがわかるのはこんだけだけど……忠告はしておく」

    「何の」

    「お前は魔法少女をやめて、現実に帰ったほうがいい」

     チュアチュリーの言葉に、グエルは少しぽかんとしたあと、小さく一笑した。

    「大いなる愛のために死ぬなら、本望だ」

    dice1d3=2 (2)

    1:「ししししんぱいしたダリよ~~!!!!」と赤い生物が

    2:「……それじゃあ」と立ち上がって、その場を後にする。

    3:「そうだ!お前らの怪物狩りについていってもいいか?」と頼んでみる。

  • 36二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:46:11

    「それじゃあ」

     グエルは立ち上がる。スレッタが心配げに、「もう大丈夫ですか?」と尋ねてくる。曖昧に微笑み返した。泣きたくなるほど健康だ。強いて言うなら、左の手が少しだけ痺れる程度だろうか。そんなに変な体勢でいたつもりもないのだけれど。

    「グエルさん」

    「なんだ」

    「……無理はしないでくださいね。私、何があっても優しさを失わないあなたに憧れていたんです。ほんとは」

     グエルは一瞬だけ振り返った。

     それから気が抜けたようにふにゃりと笑った。あこがれてくれて、いたのか。だけどグエルのものにはなってくれなかったひと。だからこそきれいで強いひと。それから再び背を向けて、歩きだす。

     街の雑踏は平和だ。誰もが当たり前に日常を暮らせると信じ切っている。だけどグエルは知っている、怪物の姿を、それに殺される恐怖を__

    (……?)

     いつ、そんなことがあったんだっけ?

     まあいいや。グエルはざっくりと片付けて、再び歩き出した。

    dice1d4=2 (2)

    1:「……あれ、グエル?」とdice1d3=2 (2) (1:4 2:5 3:様)が話しかけてくる。dice1d3=2 (2) (1:あ!花 2:あ!宝石 3:なんもない)

    2:「グエル!」とシャディクがこちらに駆け寄ってくる。dice1d3=1 (1) (1:あ!花 2:あ!宝石 3:なんもない)

    3:鍛錬とかしてみるか?

    4:ウワア!!襲撃

  • 37二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:56:14

    「……あ、グエル!」

    「シャディク?」

     不意に声をかけられて、グエルはふと、振り返った。そこにいたのは、シャディク・ゼネリだ。グエルとは小学生来の付き合いで、所謂腐れ縁というやつに片足どころか両足どころかたぶん肩ぐらいまでどっぷり突っ込んでいる。三年前から、ほんの少しだけその関係がぎくしゃくするようにはなったけれど、それでも他と比べて明らかに気を遣うわけではないので、まだしも話しやすい人物の一人である。

     少しだけくちびるに笑みをうかべたあと、ふとその左手を見てびくりと肩を跳ねさせる。何故ならそこには、dice1d6=6 (6) 色をした大輪のアジサイの花が、皮膚を突き破るようにして咲いていたからだ。

    「……ねえ、グエルももしかして、『魔法少女』に選ばれたの!?」

    「俺はお前が『闇の魔法少女』側じゃなくてよかったと今心底安堵している」

    「どういうこと?」

    「幼馴染で腐れ縁で唯一傍にいてくれる相手でイケメンとか役満だろ」

    「何の話?」

     シャディクがややキレるようにしてグエルの肩を小突いた。グエルは少しだけ笑って、それからシャディクの方に向き直った。

    「そういえばシャディクには、ツガイって、やつ、いるのか?」

    「ツガイ? ああ、えっと……dice1d2=2 (2) (1:いるよ 2:いないよ)」

    「そうか。にしてもお前もダリルバルデに選ばれるなんて__」

    「ダリルバルデ?」

     シャディクがきょとんとしたような顔をした。だれ、それ。俺を選んでくれた天使は。

    「『ミカエリス』だよ」

    「お呼びですか、シャディク様」

     ……変な語尾って固定ではないのかよ。

     グエルは心底思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:「よ……よろしくな、ミカエリス?」と交流を図る。

    2:「あー!いた!!グエル!!!!」とダリルバルデが飛んでくる。

    3:「……なあシャディク、俺と組んでほしい」と頼んでみる。

  • 38二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:03:46

    α同士だって可能性はあるから油断は禁物なのだ…

  • 39二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:13:15

     シャディクの手の甲には、少しグロテスクなほどうつくしく、赤い、あかいアジサイの花が輝いている。ミカエリスはそれを見て、誇らしげにない胸を張った。

    「感情的になることはあるけれど、真っ直ぐ正義を貫く。主人公の赤です。シャディク様にぴったりです!」

    「グエルは?あっ、白なんだ!うん、似合ってるよ」

    「シャディクは……番を持たずに戦闘をしているのか?」

     話題を変えがてら、尋ねてみる。もし「番を持たずに怪物を狩る魔法少女」であるのであれば、それはグエルが目指す姿そのままであるからだ。シャディクはミカエリスそっくりに胸を張って、それから少しだけ、睫毛を伏せた。

    「運命……って。戦う運命ってことじゃないか。そんな人と生涯を共にするなんて。恋した人と、共に居たいのに……それに、俺の運命の人だと思った人は、別のひとの運命の人だったから」

    「あ、」

     グエルの脳裏に、片手に赤い宝石を持ったミオリネの姿が浮かぶ。

     彼女はスレッタのつがいだ。だが__だが。ダリルバルデが言ったように、「同じ願いを持つもの」__同じ色を持つ魔法少女が、惹かれ合うのなれば。グエルにとってのスレッタと違い、シャディクとミオリネは同じ色を持ち、宝石と花をそれぞれ身に宿していた。なにかがかけちがっていたら。あるいは、もしかしたら。別の世界線なら、例えば絶対BLじゃない世界なら、もっと違う設定でもっと違う関係で出会える世界線選べたならば__

    「……なんて、考えてもしょうがないことだけどね」

     シャディクが肩を竦めた。

     その仕草は、上手な諦め方をしってる。グエルは第三の壁をそっと通過しつつ、「やっぱお前に赤は似合わないよ」と言った。こいつのイメージカラー赤じゃないもん。

    「じゃあ何色が似合うっていうのさ」

    「……黄色とか?」

    「控えめに見えるの?グエルは、俺が!」

    「さあな」

    dice1d3=3 (3)

    1:「……そうだ、ミカエリス。聞きたいことがあるんだが」と白薔薇に混じった金色の花弁について尋ねてみる。

    2:「うん。だから、ミカエリスは番と同じくらい、大切な仲間なんだ」とシャディクがミカエリスを抱きしめる。対消滅チャンスか?

    3:「グエルがよければさ、一緒に戦おうよ!」と手を差し出される。

  • 40二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:31:20

    「グエルが良ければさ、一緒に戦おうよ」

    「……一緒に?」

     シャディクがこちらに向けて、花の咲いていない右の手を差し伸べてきた。

     グエルはぱちぱちと目を瞬かせる。シャディクの笑みに、嘘はない。裏もない。グエルはそれを、知っている。何年も一緒に過ごしてきたんだ。そうでなくても彼の色は赤、真っ直ぐな性質を示す花。彼が気に入っているといえば心底気に入っているのだろうし、うちに来いといえばその言葉通りうちに来てほしい。そういうやつだ。すくなくともこの世界線におけるシャディク・ゼネリという男は。

    「一人で戦うより、二人の方が生存率が高い。それに__よくない想像だけど、仮に死んでしまった時、伝える役ができるだろう」

    「俺は__」

    「お前が死んで悲しむ奴はいるよ。例えば俺はそう」

     シャディクは微かに目を伏せて、それからあげて、真っ直ぐに見つめてきた。この視線に、グエルは__

     やや危機感を覚え始めた。

     知らん。この展開は知らん。オメガバースってα×Ωが一般的じゃないのかよ。番を持たないα同士のカップリングとかあるのかよ。え?書いてる人はむしろ一般的なα×Ωこそほぼ書いたことがない?人生ではじめてつくったオメガバース創作はα×α?嘘だろ オメガバースに対する何らかの冒涜だろ

     冷や汗が流れる。ミカエリスは期待に満ちた目で「グエル様、シャディク様をお願いします!」と両手を握っている。コイツ健気で可愛いな。ウチの赤色カブトムシも見習ってはくれないものだろうか。シャディクはじっと、返事を待っているようだ。どうするべき。どうするべき? オメガバースは海外の固定勢が作ったという論拠を信じるべき? それとも昨今オメガバースで全然胡乱な創作が増えまくっているという事実を鑑みるべき? グエルは。グエルは、__

    dice1d3=3 (3)

    1:「よ……ヨロシクオネガイシマス……」と握手する。

    2:「いや、不要だ」と断る。

    3:「……なんて、考えている暇、ないみたいだけど!」とシャディクが変身する。振り返る。ウワア!敵!!

  • 41二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:46:40

    フラグ立ちそうで立たない!!

  • 42二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 23:51:37

    「__なんて」

    「え?」

    「今は言ってる場合じゃないか」

    「っわ、」

     BGMがかわる。

     あと背景の色も変わる。

     変身バンクだ!!グエルはそっと振り返った。化け物がいた。あっ律儀に待ってる。その辺のお約束はまもってくれるらしい。ちょっとかわいくなってきた。化け物だけど。グエルも、真っ白なマントを身に纏う姿に変身する。その隣に降り立ったのは__

     長い金髪は後ろで結い上げられ、さらりとおちている。側頭部にはそれぞれ赤い花がかざられていて、レースと共にふわりと揺れている。

     ふわりと広がる袖も、ひらりとしたセーラーカラーも、どちらもグエルとよく似た白色だ。だがそこから伸びているリボンや、サロペットのようになっているパンツといったものは抜けるような赤で、なるほどいわゆる日曜朝の女児向けアニメの主人公といったらこうだ、とばかりの姿。最後にやってきたミカエリスが、ひらりとその姿をジャベリンブレイサーへと変える。シャディクはそれを、すうと右の手に嵌めた。

    「__『幸福』の魔法少女 シャディク」

     君を、討つよ。

     シャディクは、不敵に微笑んだ。

    dice1d3=1 (1)

    1:ちょっとドン引くほど楽勝だった。

    2:くっ、苦戦…… 助けろダリルバルデ!!

    3:戦闘中なんらかの差し迫ったトラブルによってdice1d2=1 (1) (1:グエルがシャディクを 2:シャディクがグエルを)押し倒してしまう

  • 43二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:03:03

    魔法少女♂が2人で華やかだね

  • 44二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 00:22:38

    もうこれビッチングされるの確定なやつでは?

  • 45二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 08:05:58

     白い剣が怪物と撃ち合う。

     やはり火力不足だ。だがそれはもう理解している。理解した上で、右足の付け根部分を重点的にねらっている。グエルはブーツが跳ね飛ばした土をマスケットにかえ、ドンと撃って地面に捨てた。怪物がやや、苛立ったように唸った。グエルはそれに、どういうわけか、小さく笑みをこぼす

    「……ふ、」

    「GAYAOOOOOOO!!!!!」

    「まさか俺を囮に使うだなんてな」

     __感謝しろよ、幸福の魔法少女。

     グエルが一歩、バックステップする。と、同時に、

    「ミカエリス・ハイドレンジア・ドロップ!!」

     何やら珍妙な掛け声と共に、真っ赤な槍を纏ったシャディクが、一陣の風のようにつっこんで、怪物を吹き飛ばした。


    「……時間を稼げと言われた時にはビビったが」

    「いつもだいたいあれ使えずに殴る蹴るで倒すことになる」

    「倒せはするんだな」

    「どっちにしても、グエルのおかげで今回は楽勝だったよ」

     手を差し出される。

     グエルは一瞬肩を落としたあと、にこりと笑みを浮かべて、ぱちん、と手をうちつけた。ハイタッチだ。それを合図に、変身が解除される。ミカエリスは「素晴らしかったですシャディク様!!」と目を輝かせ、ちいさな手をめいいっぱいぱちぱち打ち付けて拍手をしていた。

    「俺たち、いいコンビになるかもね」

     シャディクが無邪気に笑う。その姿に、グエルは__

     少しばかり危機感を覚えた。

     やっぱこれα×αってやつになりそうになってないか?なんかもうオメガバース要素なくなろうとしてないか?早急にコイツの番を見つけるべきでは!?グエルは__

    dice1d3=3 (3)

    1:「勘違いするなよ。番が見つかるまでの暫定的なコンビだ」と言ってみる。

    2:「グエル!いたダリ!!」とダリルバルデがつっこんでくる。日常パートか?

    3:「……ああ。信頼してる」と。今は、笑い返しておくことにする。

  • 46二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 08:12:54

    ダリルバルデ選択肢を見事なまでに避けてるな…

  • 47二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 09:36:06

    「……ああ」

     グエルは考えた。

     あらゆる全てを考慮し冷静に検討に検討を重ねて今検討を加速させた。その上で判断したのだ。

     彼は色からして、たぶん主人公枠である。

     主人公というからには確実にヒロイン枠はいる。グエルが目指すのはその斜め後ろ、いわゆる『親友枠』である。やたらイケメンの情報に詳しいモブ枠である。シャディクに誰かの情報を流すのかシャディクの情報を誰かに流すのかまでは不明だが、どちらにしても恋愛には発展し得ない位置。いける。グエルは狙える。戦隊モノで赤と白はカプにならないだろ。え?水星の魔女的にスレミオを見ろって……?

     グエルは笑みを浮かべ、手を差し出す。シャディクは嬉しそうに握手をしてきた。

    「信頼してるよ」

     チン!

     と、突然間抜けな音がして、グエルは「ぅえっ!?」と悲鳴をあげた。シャディクは不思議そうに見上げている。どこを?二人の中空を。

     いや正確にはそこに浮かぶ謎の数値を。

    「な……んだ、これ!?」

    「『リンク度』ですね。今はdice1d100=75 (75) %ですか。さすがですシャディク様」

    「なんだそれ!?」

    「互いの信頼を可視化したものです。高まるとより強力な技を使えるようになりますよ」

    「へえ。そういうのあるんだ」

    「……なあそれ100%になったらどうなる?」

    「なったことないのでわからないです」

    「適当!!!!」

     グエルは悲鳴をあげた。

     シャディクはにこにこ、笑うだけだった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「ほかの魔法少女も探してみようよ」と提案される。

    2:「とりあえず今日はここでわかれよう。きちんと英気を養わないとね」と提案される。

    3:「ねえ!このまま買い食いでもしていこうよ」と提案される。

  • 48二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 13:57:04

    対消滅か新たなフラグ構築か楽しみだね!

  • 49二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 15:22:09

    信頼度たっかい!
    レンジみたいな音とグエルの悲鳴に笑う
    世界に抗いたい者にとっては脅威でもあるもんね

  • 50二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 15:37:32

    このレスは削除されています

  • 51二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 17:47:12

    「ねえ。グエル、ほかの魔法少女も探してみようよ」

    「他の魔法少女?」

     グエルは首を傾げた。シャディクはミカエリスを腕に抱きしめると、うんうんと数度頷く。こいつ主人公ナイズドされているからか感情的な赤属性付与されたか知らんがめちゃめちゃ素直でかわいげある__いや違う。今のはBL的なアレじゃない。「女っぽい」ではなく「子供っぽい」の可愛げあるなのでセーフだ。

     シャディクはそ、と自身の手に咲く赤いアジサイを撫でる。そうして「うーん……花が(dice1d4=2 (2) -1)、宝石が(dice1d4=4 (4) -1)かな」と呟いた。

    「なんだその数字」

    「この近くにある魔法少女の反応。もしかしたら協力してもらえるかも。めぐり合わせがよければ、『運命』に出会えるかも」

    「何故わかるんだ!?」

    「ふふ。これでも俺は魔法少女のベテランだからね」

    「すごい文面……」

     シャディクが胸を張った。もうちょっとこう躊躇うとかないのかな。俺が……魔法少女……? みたいな葛藤とかないのかな。ないのか。そういえばあの衣装でごくあたりまえにこっぱずかしい技名叫んでたもんな。無敵かよ。

    「……近くでは、そうだね。図書館、喫茶アスティカシア、ガンダム正教会かな」

    「そこに……いる、のか?」

    「うん。あくまで勘だけど」

    「便利だな」

    「グエルだってすぐできるようになるよ!」

     ……それがわかれば、コイツにつがいを持たせるなりなんなりしてフラグをへしおることができるんだが。

     シャディクはニコリと笑って、「二人より三人、三人より四人の方が心強いに決まってる。さあ、行こう!」と手を差し伸べてきた。

    dice1d3=1 (1)

    1:図書館に向かう。dice1d100=19 (19) (90以下の数ならエランdice1d3=2 (2) (1:4 2:5 3:様)がいる)

    2:喫茶店に向かう。dice1d100=55 (55) (70以下の数ならdice1d2=2 (2) (1:セド 2:オルコット)がいる)

    3:教会に向かう。dice1d100=29 (29) (50以下の数ならdice1d2=1 (1) (1:?? 2:???))

  • 52二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 17:54:52

    「……あれ?向こうにいるのは__」

     シャディクの謎の魔法少女感知能力を頼りに探して、辿りついたのは図書館だった。

     読み聞かせコーナーに、一人の少年がいるのが見える。

     彼は何人もの子供たちに群がられて、何やら絵本を両手にもってよみきかせているようだ。その微笑みは天使のようだが、男児に何やら話しかけられて少し困っているようにも見える。グエルは知っているのだはあれは将来結婚する約束を取り付けられている。知っている。

     __エラン五号。

     五号、とつくのは、単純にケレス家が同じ顔をした三つ子の兄弟に全く同じ名前をつけやがったからで、外部からはそう区別して呼んでいるからだ。五号はその末っ子にあたる。生粋の体育会系で、スポーツ一筋で女には全く興味がない(故に残念なイケメンと言われがち)のだが、部活ではあちこち引っ張りだこであるようだ。高校になってから知り合っただけだが、所謂「異性よりも同性にモテるタイプの好青年」といったやつだろう。

     その程度の印象だったのだが、まさか休日に図書館で読み聞かせボランティアて。属性盛りすぎである。一瞬うへえとしたが、すぐにはっとした。何故なら。

    「あれって__」

     魔法少女の、あかし。

     それが左手に、確かにあった。

    dice1d2=2 (2) (1:花 2:宝石)

    dice1d6=2 (2) (1:赤 2:黒 3:黄 4:青 5:白 6:紫)

    dice1d3=2 (2)

    1:「やあ。君も魔法少女?」とシャディクが話しかける。

    2:「……なあ。お前、魔法少女か?」とグエルが話しかける。

    3:「あれ?ねえ君、もしかして魔法少女!?」と五号がこちらに駆け寄ってくる。

  • 53二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 18:11:50

    ファラクトカラーの宝石かぁ

  • 54二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 18:32:00

    遂にΩ枠出て来ちゃったか

  • 55二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 18:55:32

    「お前、魔法少女か」

    「君は__」

     五号はしばらく目を瞬かせたあと、「ああ、隣のクラスのグエル・ジェターク」と合点がいったように手を叩いた。子供たちに軽く手を振って帰すと、左手を軽く掲げてみせる。

     皮膚に埋め込まれるようにして、精密なカットが施されたブラックスピネルが、硬質な輝きを放っている。

     それを見ていると、腹の奥底から何かが湧き上がるのを感じる。なんだろうこれ?戦闘か?戦闘本能なのか?シャディクもおなじだったのだろう、一瞬息を飲んだあと、しかしいつもの柔和な微笑みを取り戻し、五号に向かって手を差し伸べた。

    「ねえ。俺たちと協力しないか。チームを組もうよ。それで一緒に怪物を倒そう」

    「え嫌」

    「え嫌!?!?」

     ここが図書館であるということも忘れ、グエルが素っ頓狂な声を上げた。五号は「当たり前じゃないか」と肩を竦め、大袈裟に嘆いてみせる。

    「だって死にたくないもん。戦ったら僕みたいに武器にしか変身できないか弱い魔法少女は死んじゃうよ。君たちに僕扱えなさそうだし」

    「失礼だね!?」

    「見ればわかるよ。グエルは近接型、シャディクはたぶん強襲型ってとこ?僕は二丁拳銃だし、色も違うし、何もかも噛み合ってない」

    「でも、__!」

     説得しようとするシャディクから一歩距離をとって、グエルは少し、考えてみる。

     これ対消滅いけるか?

     これがオメガバースならα側とΩ側で引かれ合わない道理がない。二人は運命ではないのだろうが、それとこれとは別問題である。グエルは所在なさげにしているミカエリスをつかまえ、「運命じゃなくても番になれるのか」「なれますが力は劣ります」「番にならなくても共に戦えるか」「できますが力は劣ります」と簡単に質疑応答して、五号に、向き直った。

    dice1d3=3 (3)

    1:「シャディク、五号、お前ら番になったらどうだ?」ときぶってみる。

    2:「番にならなくてもいい。火力面だけでも協力してはくれないか」とたのんでみる。

    3:「……行こう、シャディク」と踵を返す。

  • 56二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 19:06:32

    無理強いしないところよ…

  • 57二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:09:37

    「……いこう、シャディク」

    「えっちょ、グエル!?」

     シャディクの手を取ると、グエルはくるり、身体を反転させた。五号は「あーらら」と何やら面白げに目を細めている。

     Ω枠の人間と時を共にするのは得策ではない。いつ「ヒートあるよ(笑)」とやられるかわかったものではないし、そもそも向こうが__グエルのように戦いの中で死ぬことではなく、平穏の中で生きることを望むなら、それもまた一つの選択だろう。グエルはそれを、強いたいわけではない。

     シャディクは「よかったの?戦力増強のチャンスだったのに」というので、グエルはふるふると首を振った。人間を、ただそこにある数や力でとらえたくはない。一人一人の人生で、物語だ。いやその物語が強制的にBLになるのは控えめに言ってお死に晒しあそばせだけど

    「いい」

    「そっか」

    「シャディクは彼がほしかったのか?」

    「いたらよかったとはおもうけど__あ、もしかして嫉妬?」

     シャディクが悪戯に目を細める。グエルが「馬鹿、何に対し__」と言おうとしたところで、不意にチン、と軽い音が鳴る。そっと視線をあげた。数字が浮いていた。視線をさげた。もう一度上げた。数字が浮いていた。

    「~~~~~ッ!?」

    「リンク度がdice1d25=20 (20) %上がりましたぞ!さすがシャディク様!」

    「わあ」

     シャディクがこちらを見て、無邪気な、それでいてどこか楽し気な__そう、BL特有の擬音で示すなら「ニィ」とばかりの文字を横に出していそうな笑みを浮かべてみせた。

    「俺達、意外と相性バツグン、なのかもね?」

    dice1d3=3 (3)

    1:さ……早急に他の魔法少女を探す!dice1d3=3 (3) (1:他のエランdice1d2=1 (1) 2:ロウジとか 3:dice1d2=1 (1) (1:オルコット 2:セド)なんて)

    2:今日は一旦現地解散で!

    3:……?甘い、におい?dice1d2=1 (1)

  • 58二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:25:26

     ……?

    「……」

    「わあ、95%って、もうマックスも目前……グエル?」

     シャディクが不意に、グエルの方を見て首を傾げた。

     長い犬歯がくちびるの端から零れている。ゼエゼエと呼吸が荒くなり、白い薔薇がまるで何かを求めるように、グエルの左腕すべてを覆いつくし、なんなら蔦を伸ばしている。それは見ようによっては醜悪な触手を生やしているようにも、行き場を求めてさまよう迷子の子供にも、あるいは何らかの高位なる存在がほんの一瞬、人間に憐憫を垂れて、蜘蛛の糸を垂らしてやった、ような。

     グエルが駆けだした。シャディクはすぐに「グエル!?」と言って、グエルの手を引っ張った。グエルはつんのめって、体勢を崩して、シャディクを睨み、「離せ」と低く叫んだ。その青い目に、花のような模様が浮かんでいることに、シャディクははっと、気付いた。

    「グエル……落ち着け。どうしたんだ、深呼吸を」

    「離せ」

    「暴れるな。一旦、」

    「離せと言っている!」

    「グエル!」

     シャディクに肩を掴まれて、ようやくはっと、気を取り戻した。

     だがほんの一瞬だ。気を抜けばまた、いかなくてはと感じてしまう。飲み込まれた左腕はそのままグエルの半身をも侵食しようとしていたが、シャディクがそっと指先を光らせると、少し落ち着いた。

    「一体……何があった?説明して」

     グエルのくちびるが震える。理解していた。いつかくるかもしれないとはおもっていた。グエルは__そう、知っている。これがなんなのか。オメガバースは履修済みだから。ちゃんとBLお勉強したから。

    「行かなければいけないと……思ったんだ」

    「どうして」

     一呼吸、置く。顔を真っ青にして、希望が聞いてあきれるほど__絶望しきった顔で、呟いた。

    「運命だから」

    グエルの運命力:dice1d100=11 (11)

    シャディクとのリンク度:dice1d95=94 (94)

    ※運命力が高いと制止を振り切って運命のところにいってしまう。リンク度が高いと踏みとどまれる

    せっかくなので運命はdice1d3=3 (3) (1:?? 2:??? 3:顔のはっきりとしないモブ女)

  • 59二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:38:46

    シャディク強い強すぎる

  • 60二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:38:56

    リンク度たっけぇ!!!!!
    そしてここで運命モブはその後のお約束展開(ビッチング・スウィッチ)のための布石になりそうなのよ……!!!

  • 61二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 21:54:19

    「グエル」

    「待て」

    「どうしてだろうね」

    「待て今何かダイスがおかしかった」

    「あんなことがあったあとなのに」

    「絶対おかしかった!絶対数値逆の方がよかった!シャディクお前も不正1d100の使い手なのか!?」

     シャディクに突然、抱きとめられて、グエルはじたばたと暴れる。おかしかった。今なんかおかしかった。絶対ここでシャディクとわかれて運命と出会った方がいい流れだった。嘘だろこんな一切の忖度無しでガチで絶対BLになる世界であることを見せつけてくるのかよ。それはちょっと予想外__

     シャディクはグエルの頬に、そうっと自身の頬を寄せた。

     ふみ、とくっついて、少し冷たく感じるのは、たぶん、グエルの体温があがっているからなのだろう。白く繁殖していた薔薇が、元の姿に納まる。やはりひとひら、金色のまま。

    「お前を、はなしたくないんだ」

     懇願するように、囁かれる。

     は、と息を吐いた。これは生理的なため息である。なんでだ。なんでこれでかでかとオメガバースて銘打たれてるのにΩを当て馬にα同士のカップリングが発生しそうになっているんだ。おかしいだろ世界。なにかお約束から外れているだろが!!

     シャディクの腕に、力がこもる。

    「ねえ、もし。俺とお前、どちらかが宝石を持っていたなら__」

     痛いほどに。

    「俺達、つがいになっていたのかな?」

    dice1d3=2 (2)

    1:「さあな」ときっぱり押し返して、「ごめん。頭冷やしてくる」と逃げる。dice1d2=1 (1) (1:マジで寝る 2:探すぞ運命!)

    2:「……帰ろう。また明日」とやんわり押し返す。dice1d2=1 (1) (1:うん、また明日 2:今夜は……帰したくない テレレレレー)

    3:ウワア!!敵襲!!!!

  • 62二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:00:38

    ワアーーーーーー!!!
    シャディグエシャディ!!!シャディグエシャディ!!!!!

  • 63二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:07:59

    「……帰ろう」

     グエルはやんわりと、シャディクの体を押し返した。

    「グエル、」

    「帰ろう、シャディク。また明日」

    「……ああ、また明日」

     シャディクは名残惜しむように、そっとグエルに手を振った。電信柱が濃い影をおとしている。ぱち、ぱちち、と音がして、街灯が白みはじめるまで、シャディクはずっと、グエルの去っていった方を見つめていた。

    「ただいま」

     家には誰もいない。三年前のあの日から一人暮らしを続けている。そのため間違ってもあたたかな光などこぼれてこず、楽し気な笑い声など聞こえてこず、おいしそうなごはんのにおいもせず、茫漠とした薄暗がりが広がるばかりのはずだ。

    「おかえりダリ~~!!」

    「心なし久々の登場だな」

     グエルは顔を挙げた。

     そこには某赤い珍妙な生命体が、白くてフリフリなエプロンにホワイトブリム等というこれまた珍妙な格好で、背後にハンバーグプレートを携えてこちらに笑いかけていた。笑いかけるな。お前表情とかないだろ。

    「夕食はつくっておいたダリ!グエルは食べ盛りだから、たくさん食べるダリよ。魔法少女は身体が資本、ダリ!」

    「お前料理とかできるんだな」

     ダリルバルデが胸を張る横で、グエルは小さく手を合わせて食前の祈りを呟き、丁寧な所作で食事をくちにはこんだ。なるほど、なかなかにうまい。ふと気になって、顔をあげてみた。

    「……なあお前って雄なの?」

    「天使に性別はないダリ。強いて言うなら男かもしれないダリ」

    「へえ……」

     危険かもしれなかった。

    dice1d3=2 (2)

    1:もう余計なことせんと寝よ…

    2:そういえばこの花弁の金色のこと、ダリルバルデに聞いてみるか?

    3:……一狩りいくかdice1d2=1 (1) (1:シャディクとエンカウント 2:しない)

    「……ミカエリス」

     シャディクが小さく尋ねる。

    「花ってさ。花の蜜を使えば、琥珀にすることができると思うんだ」

    dice1d2=1 (1)

    1:……そうですね 2:前例が無いですぞシャディク様

  • 64二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:09:56

    画像のミカエリス(シューン)がじわる

  • 65二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 22:30:20

    「……そうだ、聞きたいことがあったんだった」

    「聞きたいこと?」

     ダリルバルデがぱちぱちとカメラアイを点滅させる。グエルは左手を差し出し、その手の甲に在る白い薔薇__の花弁のひとひら、染め抜いたように艶やかな金色になっている部分を、ちょいと指さしてみせた。

    「いつのまにかこうなっていたんだ。知っているか?」

     ダリルバルデはまじまじと検分した。「黄色……に見えるけど、違うダリね。そもそも今まで一人が二色以上発現したなんて前例はないダリ」とあたまを抱え込みながら、ぺたぺた触ってみたり、何やらスキャンしてみたりしている。

     やはり、というべきか、これは何らかのイレギュラーであるらしい。記憶が確かなら、こんな金色、いままでなかったはずなのに。だが、これを見ていると、記憶の端で何かが引っかかる。そうしてはっと、何かに気づいたように、ダリルバルデは「なるほど」と小さく呟いて、顔をあげ、グエルの方を見た。

    「まず単純に戦闘能力を増幅する機構になっているダリ。持ち主の力を何倍にも増幅させ、同時に身に危険がせまったら自動で盾になるようにもなっている」

    「はあ?なんだかやたら親切だが、いったいだれが何の目的だで、」

    「だけど」

     ダリルバルデはそこで、注意深く、声のトーンをおとしてみせた。

    「これは……光よりも深く、闇よりもどす黒く、運命をも凌駕する__祝福だ。決して存在してはならない罪悪だ。グエル、前言を撤回する、お前は運命を見つけても出会わない方がいい、決して__」


     ……。

     夢を見た。

     夢の中で彼等は荒野を彷徨っていた。楽園を追われた罪びとたち。彼等は許されぬ罪悪を犯した。神を恐れず、神に頼らぬ技術を生み出し、人の知を越えて思いあがって、とってかわろうとした。そうして、世界から、見放された。

     彼等は安穏の世界をねたみながらうらやんでいた。だが所詮烏合の衆だ。何もできない。何もできなかった。

     __あの時までは。

    『大丈夫。必ず、奪ってやろう』

     視界の端に濃青色の髪が見える。

     両の掌に、金色の宝石と花が、咲きこぼれている。

    dice1d3=1 (1)

    1:普通に学校に行くぞ

    2:学校には行くが……シャディクと五号は避けた方がいいな

    3:……今日は学校に行かない。怪物退治に向かおう

  • 66二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 09:35:49

    シャディク、花を宝石に変えようとか考えてる…?

  • 67二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 11:30:04

    どっちの花を変えようとしてるんかね(グエルにとってはどっちでも変わらん)

  • 68二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:02:25

    ほしゅー

  • 69二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:00:30

     ふわ、と微かな甘い香りに惹かれて、本能的に振り返る。

    「おはよう。魔法少女サン」

     背後にいたのは五号だ。黒い宝石に彩られた手で軽くグエルの背を叩き、そのまま追い越して去っていく。普段主に他の生徒と鉢合わせないようにという理由で早めに登校しているグエルと会った、ということは、彼も少し早く家を出たのだろう。何故?まさかBLか。BLなのか?

     冷静に、考えてみる。

     グエルがこうしてBLを回避したいのは、どちらかというと「誰かに愛されることを避けたい故」だ。この世界は絶対BLであり、絶対ハッピーエンドになり、絶対幸せに、『なってしまう』。グエルはそうなってしまったら、あまりに惨い。父の命を奪ってのうのうと生きるだけでは飽き足らず、幸せになろうなどとは。

     運命。

     グエルは考える。もしそのひとが現れたとき、グエルは迷わず手を取れるだろうか。手を取ってもいいのだろうか。あるいは__グエルは、『そうなってしまう』前に怪物にすっかり食われてしまいたいがために、彼と手をくんで戦うことにしたのかもしれない。

    「__シャディク」

     校門の前に、赤い紫陽花を片手に下げた青年が立っていた。

     彼は穏やかに微笑み、「婉曲な自害に巻き込まれる気はないよ」という。察しがいいとかそういう次元超えてるだろ。モノローグ盗聴してたとかじゃないと説明つかないぞ。シャディクは__冬の朝、身を切るような冷たく冴えた空気の中から、すいとグエルの方に向けて手を差し伸べた。

    「グエル、

    dice1d3=2 (2)

    1:……今日、一緒に昼ごはん食べよう。次の怪物退治のための作戦会議」

    2:俺は、おまえの宝石になれるだろうか?」

    3:おまえは、俺の宝石になってくれるか?」

  • 70二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 00:11:24

    「……はっ?」

     グエルは素っ頓狂な声を上げた。だがグエルが逃げるより先に、シャディクは一歩距離を詰め、グエルの手のひらの薔薇の花を撫でる。朝露に濡れてきらきら輝く、人体から生えているとは思えないほどみずみずしい花弁。シャディクはそれを、くるくるとなぞった。

    「ここに貯めた蜜でね。俺の紫陽花の花を覆えば、きっときれいな琥珀になるとおもう。ねえ、どうかな」

    「い……ったい。どういう、意味で」

    「わからない?おまえのことがす」

    「ああわからない!きこえない!!」

     グエルが声をはって、頬を青ざめさせて叫ぶ。

     BL回避テクニックその1「聞こえなかった」作戦と、その4「キッパリ断る」作戦を組み合わせたコンビネーション技だ。そのBL回避能力が53万。これで脈ナシだとわかってくれれば__よかったのだけど。

     シャディクは細く長い指先を伸ばしてグエルの顎を持ち上げ、長い睫毛を少し伏せてみせた。なんか不必要な形容詞がモノローグにはいっているなあとおもった。

    「分からないなら何度だって言う」

     琥珀__

    「お前は愛されてもいい人間なんだ」

     『金色』の宝石だ、と。

     ふと思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……俺は『おまえ』と戦いたい」と言う。dice1d2=1 (1) (1:説得成功 2:失敗)

    2:「ごめん。お前のこと、そういう目では見れない。ほんの少しの間だけど、一緒に戦えて楽しかった」と丁寧に振って走って逃げる。dice1d2=1 (1) (1:あきらめる 2:あきらめない)

    3:「……嫌」と顔を真っ青にして拒否する。「嫌だ、もう、殺したくない……」dice1d2=1 (1) (1:説得成功 2:失敗)

  • 71二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 09:39:59

    どれを選んでも説得成功してたけど、割と穏当そうなのでよかった……のかな?

  • 72二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 09:59:08

    「……うそつき」

     口をついてでた謝罪の言葉に、シャディクが目を丸くした。

     グエルはハッとして気まずげに一瞬目を逸らす。それから、しかし__逃げたくは、なかった。たとえここがBL世界であったとしても、きちんと真っ直ぐに向き合ってくれたシャディクを無下にしたくはなかったし、無下にしたが最後何らかのフラグになりそうで怖かった。

    「あの時__対等の存在として誰かと一緒にうるの、はじめてだった。俺は宝石のお前と戦いたい。並んで、共に」

    「グエル、」

    「一緒に戦おうって言ってくれたの、シャディクじゃないか。責任、取れよな」

    「……」

     シャディクは少し迷ったように視線をさ迷わせた末に、「わかった」と言って、いつもの柔和な笑みを顔に浮かべた。やや非対称な、下手くそな笑顔だ、と思った。

    「あのさ」

    「何だ」

    「……お前に運命の人がいるかもしれないって思うと、怖かったのかも。お前にとっての一番は俺じゃない」

    「お前にとっての一番も、俺じゃないよ」

    「そっか」

     シャディクが悲しげに微笑んだ。

     __人を殺した人間が、愛されていいなんて、戯言を。信じ切れるほど、グエルは優しくなれない。

    dice1d3=2 (2)

    1:しっとりした空気を吹き飛ばすような追加戦士の登場だァ~!!エランdice1d2=2 (2) (1:4号 2:様)、dice1d2=2 (2) (1:花 2:宝石)、色はdice1d6=3 (3) (1:赤 2:黒 3:黄 4:青 5:白 6:紫)

    2:……夢のことについて、dice1d2=2 (2) (1:ダリルバルデ 2:ミカエリス)に尋ねてみるか?

    3:「じゃあグエルが宝石になってよ!!!!」バカ食い下がるな

  • 73二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 10:19:42

     ざわめきの中で、遠巻きに見られているのを自覚する。

     当然だ。普段はひとりで食事をしているグエルの元にわざわざ「ぐーえる!!」と訪れたシャディクは、そのまま近くの机をさっと略奪して、グエルの前にランチセットを広げて見せたのだから。

    「おべんとうじぶんでつくってるの?」

    「まあ」

    「へえ。その卵焼きもらっても?」

    「そっちのたこさんウインナーと交換ならいい」

    「待てレートがおかしい」

     あまつさえ寡黙なきらいがあるグエルがそんなふうに楽しげに会話までしているのだから驚愕もひとしおである。ちなみにここはBL世界なのでその「ざわっ……!」の中には当然「あの二人付き合ってるの?」も含まれているが、幸か不幸かBL汚染かグエルは全く気づかなかった。

    「……ミカエリス」

     不意にグエルは、シャディクの机にちょこんと座っているミカエリスに目を向けた。彼は「なんですか?」とこちらを見て、こてりと首を傾げた。

    「昨日、夢を見た。片手に宝石を、片手に花を持った、金色のひとが……荒野の罪人に、『奪ってやろう』って言う夢。ただの夢といえばそこなんだが、やたら気になって」

    「なるほどそれは不思議な夢、……、……?」

    「何か知っているのか?」

    「いえ……ただ……」

     もしかして。

     ミカエリスが見るからに動揺したような顔をする。しかし教える気はないのか、「何だ」と聞いてもはぐらかすばかりだ。ただ静かに、こう呟いた。

    「ダリルバルデ卿が、何と言うか」

    dice1d3=1 (1)

    1:「ダリルバルデ?」と追求する。dice1d3=3 (3) (1:はぐらかされる 2:教えてくれる 3:実は私とダリルバルデ卿は恋人で……)

    2:「天使の人間関係(?)ってどうなってるんだ……?」と聞いてみる。

    3:「……天使が、『レガリア』に関係あるのか?」

  • 74二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 13:08:24

    天使同士の間にも世界の強制力が波及するのか…なんと強力な…

  • 75二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 13:17:53

    ミカダリミカ!?マジか!?

  • 76二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 13:21:03

    急な俺得展開でむせちゃったわよ

  • 77二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 14:13:14

    グエルとシャディクが番になったらミカエリスもダリルバルデと一緒にいられるので嬉しいわけか
    外堀埋められてる?

  • 78二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 15:52:27

    ダリルバルデ卿って呼び方ときめいたじゃないか…!

  • 79二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 22:57:04

    「……しかし、ダリルバルデ卿が何と言うか」

    「ミカエリス、ダリルバルデと知り合いなのか?」

    「ええ、はい、僭越ながら交際させていただいております」

    「交際!?!?」

     この少なくとも礼儀正しくはある白と紫の麗しい天使と。 

     あのダリダリ鳴いてる赤色カブトムシが。

     恋人。

     グエルはバンと机を叩いて立ち上がった。生徒たちがこちらを見た。そうだ、他の生徒にはこのちみったい天使モドキは見えないのだった。にしてもこれは、実は多少危惧していたダリルバルデとのカップリングはなくなった……ことでいい、のか?

    「戒令院と審問官の仲が悪いので、あまりおおっぴらにはできないのですが。そもそも私たちの出会いは__」

    「待て待て惚気るな! なんだ戒令院て。なんだ審問官て!」

    「あれ、聞かされていませんでした?」

     ミカエリスは不思議そうな顔をして、簡単に解説する。天界にも派閥がある。第二層以下の世界に対する規則を定め「天罰」を下す戒令院、第一層を統治し管理する閣議会、それら二つを監視して秩序を守る審問官。基本的に全部仲は悪いが、その中でも異世界の侵攻に対し、『魔法少女』の力を認め現地住民に戦わせることを是とするか否とするかに関して大喧嘩をしたため、戒令院と審問官は輪をかけて対立しているらしい。結局戒令院はほとんど独断専行でこの『魔法少女』計画を実行したのだとか。

     ダリルバルデはこの戒令院の御曹司、ミカエリスは審問官の次期トップを目されている。今現在こうして『魔法少女』の力を与えて回っているのは、大抵が戒令院の息のかかった天使、たまに様子を探るためのスパイとしての閣議会の天使、らしい。ミカエリスは審問官として、少しでも魔法少女や天使が行き過ぎた魔法を使えばそれを『正す』よう送り込まれた。

    「まあ、肝心の私にそのつもりはないのですけれど」

     ……好きなので。

    dice1d3=1 (1)

    1:「その天使は異世界に何の関係がある?」と尋ねる。dice1d2=2 (2) (1:教えてくれる 2:くれない)

    2:「……ごちそうさま。じゃあdice1d2=2 (2) (1:魔法少女探し 2:怪物狩り)いくか」と立ち上がる。

    3:「待て!!そいつの言うことは嘘だ!!!」とダリルバルデが

  • 80二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:10:10

    「その……天使は、『異世界』に対しては何かしているのか?何の関係がある?」

     ミカエリスは、しばらくおしだまった。

     それから、ふるふると首を振る。「いえ。あれは侵略者です」とだけ答えた。グエルが何某か言おうと口を開くより先に、半ば遮るようにして、早口にまくしたてる。

    「縄張り争い、ですよ。我々は既得権益者として、彼等に抵抗する権利がある。それだけです。それ以上でもそれ以下でもありません」

    「だが、」

    「ああ、教えてあげましょう!あなたの見る『夢』は、全て異世界の存在があなたを堕落させ、引きずり込むための罠です。まともにとりあってはいけない。何故あなたに執着しているかは知りませんが、とにかく__」

    「『レガリア』は」

     王者の特権を意味するんだろう。

     ミカエリスがだまりこんだ。自分でもなんでそんなこと言ったのか、わからない。いや何が悪かったのかはしらんが何かしらの異世界のBL的存在に目をつけられていることはわかった。それを避けるために何かをしなければならないこともわかった。でも。レガリアって、なんだ。わからない、わからないけれど、グエルはこれを__知っている。

    「シャディク。そろそろ昼休みが終わりますよ」

    「あ、ま、待ってよ、ミカエリス!」

     シャディクがあわてて弁当を片付け、一瞬グエルの方を振り返り、「ごめん」と悲し気な表情をしてかえっていった。グエルは唖然として、取り残された机だけをじっと、見つめていた。

    「……レガリア」

     金色に輝く王冠、黄金で出来た杖。あるいは貨幣鋳造や採掘などのそれらのみが保有することを許された、

    「特権、力」

     やけに、あの時夢で見た宝石と花が、頭にちらついた。

    dice1d3=2 (2)

    1:ダリルバルデにdice1d3=2 (2) (1:天上層の事情 2:異世界について 3:ミカエリスとの関係)を聞いてみよう。dice1d2=2 (2) (1:教えてくれる 2:はぐらかされる)

    2:……あれは、dice1d6=5 (5) 色の花の魔法少女!?dice1d4=4 (4) (1:隣のクラスのエラン四号だ 2:一個上のエラン様先輩だ 3:後輩のロウジだ 4:教師のオルコットだ)

    3:ああああもうなんもしらん!一人で魔物狩り行くぞ!!

  • 81二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:21:58

    ここでオルコットが来るか しかも同じ色

  • 82二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:24:52

    おじさん教師が魔法少女…⁇

  • 83二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:26:57

    オルコットさんきたー!

  • 84二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:29:11

    「……あれ」

     移動教室のために教科書をまとめているところで、不意に気になる色を見つけた。

     遠くに、花が見える。

     気づかれないように細心の注意を払いながら駆け寄ると、あれは、そうだ。社会科の教師の、オルコットだ。グエルも世界史を教えてもらっている。今まで気づかなかったが、その腕には真っ白なカーネーションが咲いている。グエルは__

     膝から崩れ落ちた。

     色が完全に被ってる。しかも白いカーネーションの花言葉「私の愛情は生きてる」で亡くなった親族に生前の感謝を伝える花、割と船体モノではあってはならないタイプのキャラ被りだ。いやそう考えるともしオルコットが宝石だったらあらゆる法則をBL一本で捻じ曲げて運命の番にされてる可能性あったのか。よかった。よかった花指定で。よかったシームレスにグエオルグエ的展開に入らなくて。てかいよいよ少女どころか少年ですらないヤツが出てきたけど大丈夫なのかこれ?

    「後をつけるのは、関心しない」

    「……気づかれていたんですか」

     不意に話しかけられて、グエルはびくりと肩を跳ねさせる。

    「こいつがおしえてくれた」

     オルコットの手に、真っ赤な一つ目の天使が、不思議そうな顔をしてちょこんと座っていた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……先生は、魔法少女なんですよね。番はいるんですか?」と聞いてみる。

    2:「単刀直入に言います。先生、俺らと一緒に戦いませんか?」と勧誘する。

    3:「彼は……」と天使のことについて尋ねる。

  • 85二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 23:53:40

    「……プロドロス」

    「ぷ?」

     オルコットの手の中の天使は、首をかしげるだけだ。ぼんやりとこちらを見つめる様子に、覇気といったものは感じられない。「そいつ、喋れないんですか」と尋ねてみると、オルコットは逆に、不思議そうな顔をした。

    「そちらの天使は、喋れるのか」

    「むしろ喋れるのが普通かと……」

     オルコットは静かにため息をついた。

     それが何を意味するのかはわからない。ただプロドロスは、心配げにとてとてとオルコットの腕をつたってあるき、その肩にちょこんと腰かけて、その頬を撫でた。その様子はやたら馴染んでいて、慣れ切っている。少なくともグエルのように、先日いきなり魔法少女になりました!という感じではなく、むしろ長年、傍に連れ添ったような。

    「……先生は、昔から魔法少女、やってたんですか?」

    「若い頃こいつと出会った。おちこぼれの飛べない天使なんだと。一緒にいてやったら、懐いた__ずっと何もできないと思っていたが、戦闘能力を与えることができるらしいことを、ここ最近知った。多分お前は、それを『魔法少女』と呼ぶのだろう」

    「ここ最近?」

     グエルは少し、情報を整理する。

     ミカエリスが言うには、『異世界』からの侵攻を食い止めるため、ダリルバルデたち戒令院が人間に「魔法少女」の力を与えた。とすると、オルコットがプロドロスと「若い頃」であっていた、というのは、何故だろうか? 天上層で何かをやらかして閣議会とやらの「管理」、追放処分を受けたのだろうか。そのあと「魔法少女」計画のことを知り、オルコットに力を与え、怪物と戦うことができるようにした? いやマジで意思の疎通ができないのキツすぎるだろ。喋れよ。

    「……えっと、『ここ最近』って?」

     せめて「魔法少女」計画がはじまった時期ぐらいは特定できないかな、と思って尋ねてみる。と、オルコットは少し考えたあと、答えた。

    「三年前__お前が中学を卒業した頃からだろうか」

    dice1d3=1 (1)

    1:「へー!オルコット先生、一緒に戦いませんか?」と勧誘する。

    2:プロドロスをdice1d2=2 (2) (1:ダリルバルデ 2:ミカエリス)に会わせてみる。

    3:シャディク「ごめんさっきのこと謝らせ……誰だよその男……!」

  • 86二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 00:09:30

    「へー!オルコット先生、一緒に戦いませんか?」

    「今の話の流れでか?」

    「俺たち今魔法少女として怪物と戦ってるんです。先生も一緒に戦ってくれたら心強いんですけど」

     嘘である。

     BLではどうか知らないが、少なくとも戦隊モノにおいて同じ色の戦士が被ることはまずない。また同時に、BL的には同じイメージカラーのキャラクターがカップリングになることもない。ここから導き出される答えは一つ、シャディクとオルコットのカップリングを成立させて自分はそっとフェードアウトする。いける。これしかない。グエルが「だめですか?」と押してみると、オルコットはしばらく考えた後、再び重く、ため息をついた。

    「子供がこんなことに首を突っ込むな。その仲間とやらも連れて、こんなことは忘れて、日常を暮らすといい」

    「……先生?」

    「怪物と戦う。簡単に言うが、負ければ命を失うんだぞ」

     実感のこもった言葉だ。

     三年。グエルよりも長く戦ってきたのだ。その中にはもちろん、命のやり取りをしたことも多くあるのだろう。低く、あるいは諭すように、あるいは少しだけ嘆くように、厳かなのにすこし震えている声で、グエルに、語り掛ける。

    「それの何が悪いんですか?」

     あ、しくじった。

     口にしてから、グエルはそれに気づいた。オルコットが目を見開いて、こちらを見ている。こんなこといったら命捨てるのとめる系のBLにされてしまう。慌てて誤魔化すようにあちこち視線を巡らせてから、目を逸らすように、俯く。

    「ごめんなさい。無理強いはしません、じゃあ、授業あるので」

    dice1d3=2 (2)

    1:「待て」と呼び止められる。dice1d2=2 (2) (1:立ち止まってしまう 2:わけないだろ)

    2:特に何事もなく授業を終えてダリルバルデに会うぞ

    3:ウワア今出てくるな怪物!えオルコット先生と共闘するのか!?

  • 87二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 07:06:32

    「ダリルバルデ」

    「何ダリ?」

     やたらのんびりと__それはもうびっくりするほど悠々とグエルの家でくつろいでいるダリルバルデに、グエルは玄関を開けてすぐ、真っ直ぐに問いかけた。

    「プロドロスって知ってるか」

     尋ねれば、ダリルバルデは「ああ」と振り返る。今まであった楽しげな色がふっと揮発して、只管にどこか冷たげな様相を呈している。

    「仲間だった。一緒に理想を追うために約束したのに、結局その罪をひとりで背負って楽園をおわれた。出会ったのか?」

    「それは戒令院関係?その、審問官とやらに裁かれたのか」

    「そんなことまで知っているのか。……人間に天使のことは関係ない、そういったことは忘れて、異世界との戦いにだけ集中しろ」

    「それでは納得できない。全部知りたい。教えてくれ、ダリルバルデ。……『レガリア』ってなんだ?」

     ダリルバルデが閉口する。

     もう一度「ダリルバルデ」と呼びかけようとしたところで、ひゅん、と何かが風を切る音がする。はっとして目を見開くと、グエルの頭の横に真っ赤な槍が突き刺さっていた。え、と思わず間抜けな声をあげるのと、いつの間にか目の前にやってきていた__何故かグエルより少し大きいくらいのサイズ感に変化したダリルバルデが、その冷たい指先でグエルの顎を持ち上げるのは同時だった。

    「二度とその名を口にするな」

     脅すような、凄むような__それでいて、恐れるような声色だ。

     グエルは咄嗟に視線をぐるぐると回し、やっとのことで言葉を紡いだ。

    「……ぉ、」

    「お?」

    「お前って恋人とかいたんだな」

    「……ああ、情報元はミカエリスダリか」

    dice1d3=3 (3)

    1:「言っておくけどダリとあいつは恋人でもなんでもないダリよ」と肩を竦められる。エッ!?

    2:「とにかく、全部忘れるダリ。さ、怪物狩りダリ」と誤魔化される。

    3:「……少し『お話』してくるダリ」と消える。

  • 88二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 07:16:56

    「……少し『お話』してくるダリ」

     ダリルバルデがすっと、グエルから離れた。

     グエルは壁にもたれかかって、しなしなと床に崩れ落ちた。グエルあれ知ってる。あのセリフ知ってる。あの二重かぎかっこによって修飾されたお話は十中八九ただの『会話』ではない。いわゆるボディ・ランゲージを含めたノンバーバル・コミュニケーションで物理的なアグリーメントをキメる、平たくいえばコネクトでユナイトで【自主規制】だ。にしても天上層の派閥争い、一番対立してるらしい二つの次期トップが物理的に癒着しているなんて、大丈夫なのだろうか。公私はきちんと分けられているのだろうか。怖いぞ!

     ……考えてみる。

     誰かに手を差し出すのは、未だに怖い。振り払われたが最後、父を殺したあの日の記憶を思い出してしまいそうで。同じように、考えてみる。グエルは異世界の怪物とやらを殺す。縄張り争い、生存闘争のために。しかしこれは、人を殺すのと大きな違いがあるのだろうか?

    (もう、大切な人を、殺したく、ない……)

     ソファに倒れ込んで仰向けに横たわる。

     なんだか久々に一人になった気がする。そう思うほど、最近はずっと誰かが傍にいたのだと、ようやく気づいた。

    dice1d3=2 (2)

    1:良くない流れだな。寝るか(冷静)

    2:怪物狩り、行ってくるか……うん?あれはdice1d3=1 (1) (1:シャディク 2:五号 3:オルコット)?

    3:よし!運命のひとを探しに行こう!!

  • 89二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 08:23:52

    「……」

     グエルは夕食を終えると、洗い物の中から包丁を引っ張り出してきて、片手を持ち上げる。少し祈りをこめればあの時とおなじ純白の衣装に、長い、これは__大剣だろうか?が、現れる。ふわりとふるってみると、なぜか刃の部分が分裂して壊れた片翼となり背に生えた。第二形態か。第二形態なのかこれは。

     外に出て、ふわりと飛び上がる。軽くジャンプしただけで屋根の高さにまでは行ける。あとは目を閉じて、確かめるだけ。

     助けを求める人はいないか。

     悪い怪物はいないか。

    「そっちか」

     意識を向けてみれば、薔薇の花がかすかに熱を持ち、ふるえていた。


     結局悩むなんて人間らしい感情は不要だった。

     グエルはただたんたんと怪物を狩り、ついでにBLフラグを避けるだけでいい。それ以上の感情は全て余計だ。不必要だ。シャディクが魔法少女の存在を感知できたように、グエルも意識を向ければある程度どこになにがいるのか感知できた。屋根伝いにそちらに向かい、目視できた時点で重力をも利用し、半ば叩きつけるように剣先で斬り下ろす。

    「あっけない」

     黒い泥で衣装が汚れる。やっぱりこれ洗濯大変そう、と思っていると。

    「……あ」

     近くに、シャディクが倒れ込んでいるのが見えた。

     嘘だろこいつ運命力高すぎだろ。何がとは言わないが1/6引き当ててくるのかよ。絶対シャディクがBLの刺客になる世界じゃねえか。グエルが咄嗟に後ずさった、ところで、ふと。シャディクの顔色が、闇の中でもわかるほど目に見えて悪いことに気づいた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……気をつけろよ」といって去る。dice1d2=1 (1) (1:待てよ!! 2:……)

    2:無言で走って逃げる。dice1d2=2 (2) (1:待てよ!! 2:……)

    3:「大丈夫か?」と駆け寄って手当(リンク度dice1d5=1 (1) 上昇)

  • 90二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 09:39:53

    今回のグエルいつにもましてフラグ回避に全力だな!

  • 91二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 13:22:24

    可愛くダリダリ言ってた子が、いきなりダンディー系になって圧掛けてくるのギャップ萌えする
    物理的癒着w

    無言で走って行っちゃうの?回避は大事だもんね、、選ばれた……が気になる

  • 92二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 23:53:15

    ………がこわい!!

  • 93二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:13:40

    「……っ、」

     グエルは思わず、踵を返してその場から走り去った。

     危ないところだった。あのままあの場所にいたら、確実に何らかのフラグを立たせていた。グエルしっている、BLにならないようにするために最もよい手段は、危うきに近づかないこと。立ってしまったBLフラグを破壊するのは最後の手段だ。結局のところ、「そもそもBL展開になるような場所があったらすぐに逃げる」というのが一番なのである。虎児を求めているわけでもあるまいに、誰が喜んで虎の穴に入ろうか。いやとらのあな(別の意味を複数孕んでいる)ではなく__

     物陰に隠れて変身を解除したところで、はっと、気配に気づく。ダリルバルデだ。嘘だろ前門のシャディク後門のバルデ。いや後者は既に対消滅済だからいい……のか? ダリルバルデは、「よかったダリか?」とこてり、首をかしげる。

    「オマエのこと見てたダリよ」

    「……結局、一人で戦うのが一番なんだ」

    「でも__」

    「勝てない相手じゃない。あの時とは違う、今度こそ一人で戦える」

    「アイツ、足を怪我していたダリ」

     グエルの脚が、止まる。

     手当してあげたらどうダリか。オマエは簡単な治癒魔法も使えるダリよ、と。言われて、グエルは俯く。ここでなおしにもどったらそれすなわちBLフラグだ。だが、それでも。

     __おひるごはん、いっしょにたべてくれた。

     楽しかった、それは確かだ。恩をあだで返すような真似はしたくない。しばらく逡巡した末に、グエルは__

    dice1d3=2 (2)

    1:……引き返して、無言でシャディクの手当てをする。

    2:引き返すワケないだろ!このまま化け物狩り続行だ!!

    3:あシームレスに甘い香り!これ運命のアレだ!?!?

  • 94二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:25:37

    「……つまり」

    「ダリ?」

    「彼奴が襲われないくらい、安全にしてやればいい」

    「ダリ!?!?」

     グエルは真っ白な装束に変身すると、ふわりとマントを投げた。薄暗い闇の中で、きらきらと光る白は、あまりによく目立つ。それだけではない、上手くいっていれば、化け物を強く引き付ける「におい」が巻き散らかされているだろう。ここに魔法少女がいる、ここに倒すべき敵がいる、と__

     うん?

     何故今自分は、異世界の化け物から自分たちに対して、「倒すべき敵である」という目的意識があるという前提のもと、考えたのだろう。ミカエリスがいうには縄張り争いで、やつらからしたらグエルたちは厄介な先住民、でしかないはずなのに。それをわかっているのに。グエルは、どうして?

    「考えている暇も、ないか」

     グエルがひら、と太刀を翻す。

     いつの間にか周囲には、まんまとつられてきた化け物たちがいる。『魔法少女』という名称には不釣り合いに端正な筋肉のついた腕が、ぶわ、と風を切る。と同時に、グエルを中心にして真っ白な薔薇が咲き乱れる。そのまま剣を振り上げれば、舞い上がった花弁たちが光に包まれ、無数のレーザーを浴びせかける。

     半ば無意識に、こんな言葉が口をついて出ていた。

    「……ダリルバルデ・プライド・ガーディアン」

     ダサめな必殺技名だなあ。と思うと同時に、グエルの眼前で真っ白な爆発が起きた。

    dice1d3=3 (3)

    1:完勝。まだ戦うぞ

    2:う、辛勝……傷をもらってしまった。今日はここまでだなdice1d3=1 (1) (1:……あれ、シャディク? 2:……あれ、オルコット先生? 3:特に何もない)

    3:……うあっ!?(普通に負ける)

  • 95二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 00:34:10

    「ッ、うあ!?」

     が、と。

     爆発の中から現れた巨大な怪物の腕が、グエルの体を地面にたたきつけた。油断、していた。どうしよう今度こそ死ぬのかな。待って今度こそってなんだ?俺一回死にかけたのか?どこで?全く思い出せない__

     ……こちらを押さえつける指先は、冷たく硬い。

     あらためて、確認する。よくできているが、多分機械だ。巨大な機械の、造形を隠すように毛皮だのなんだのをかぶせているのだ。と、ようやく、気付く。気づいたからなんだという話だ、今もめりめりとこちらの体に「食い込んで」くる指先は、グエルが魔法少女として規格外の頑丈さをもっているから辛うじて耐えているだけで、一般人がされたら確実にミンチどころではすまない強さだ。

     __親殺しの末路にはちょうどいいか?

     頭の中でそろばんをはじくのと、「グエル!グエル!起きるダリ!てめ諦めてんじゃねえ!!」とブチ切れるような声が聞こえてくるのと、ついでにぱき、と音がして魔法少女の衣装を彩っていた装身具、そのうちの金属パーツのひとつが割れたのは同時だった。あ、これ、本当に死ぬ。グエルが咄嗟に、目を閉じると__

    dice1d3=2 (2)

    1:強く、甘い匂いを感じる!?dice1d2=2 (2) (1:運命のモブ女「こんにちは」 2:シャディク「こんにちは」)

    2:ばき。と、音がする。最後に聞こえたのは、dice1d3=2 (2) (1:ダリルバルデ 2:シャディク 3:オルコット 4:五号)の声、だった。

    3:……ここで、終わって、たまるか!

  • 96二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 01:02:11

    「ッ、……!」

     バキ、と音がする。

     と、同時に、異様に右腕から力が抜ける。潰される。あ、死ぬんだ、と。思う。痛みはない。最後に意識に残ったのは、一面に広がる金色の薔薇の花弁と、

    「__グエル!!」

     同じくらい金色の髪をした、シャディク・ゼネリの声だ。


    「……ッ!」

     既視感。

     デジャヴ。グエルはここを、知っている。野戦病院のような寂れた空間。はっとして右腕を見る。何もない。左腕を見る。花がある。あと何やら、手錠がかけてある。鎖はどうやらベッドの柵に繋がれているらしい。ずっと奥底で眠っていたものを叩き起こされるみたいに、あるいは奪われていたものを返されるように、鮮烈に、思い出す。あの時グエルは捕まって、捕虜になって。それから、ああ、どうして忘れていたのか、あの、金色の瞳をした、

    「グエル、起きた!?」

    「……シャディク?」

     ただ、あの時と違って、今回は傍に、人がいる。

     いつもはさらさらとした髪が、乱れている。やはり変身は解除されていて、いつもとは全く印象が違う__いやこれはBL的に惚れ直す展開ではないしそもそも今は緊急事態でそんなことをしている場合ではない。通れないし座ってほしい。コイツ多少下駄履かせてもらってるとはいえ運命力高すぎだろ……

     シャディクはほっとしたように胸をなでおろして、「よかった……このまま起きなかったら……」とグエルの手を握り、俯く。肩が微かに震えている。泣いているんだな、と察して、グエルはとりあえず「落ち着け」と短く注意した。

    「ここは敵陣だ。どうやら俺達は捕虜になったらしい。できる限り取り乱さないようにしろ」

    「てき……じん?」

    「予想が正しければ、ここは第六層」

     __異世界、『レガリア』の本拠地だ。

     シャディクが目を、見開いた。

    dice1d3=1 (1)

    1:タイミングを見計らったかのように「起きた?」と金色の目のdice1d2=1 (1) (1:少女 2:青年)が来る。

    2:「……とりあえず鎖を壊せるものを探そう」と部屋の中を探索する。dice1d2=2 (2) (1:あった! 2:そんな世界はないよ)

    3:「え?違うよ、ここは俺の家だよ」おいおいおいおい待て待て待て待て

  • 97二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 01:13:34

    「起きた?」

     がちゃ、と音がして、扉が開く。

     そこに立っていたのは、あの日みたのと同じ、薄茶色の髪に金色の瞳をした少女だ。シャディクも本能か、目の前の彼女が何かおかしい、ことにすぐ気づいたらしい。咄嗟に警戒するように身を引く。ちなみにグエルはそのシャディクと接触しないようにさらに大袈裟に身を引いた。このくらいはロールなしでできないとBL回避なんてやってられないよな。

     少女はニコ、と微笑んで、「鬼ごっこもたのしかったけれど、にげられるのはいやって、王子様が言ってた」と告げる。王子様__シャディクが「誰?」と尋ねる。少女はるるんと鼻歌をうたいながら、「そういえば名乗っていなかったね」といって、ぱちんと指を鳴らした。それだけでふたりを戒めていた手錠が、するりと外れる。外れるのに、何故だか、逃げられる気がしない。抵抗、できる気がしない。彼女は小さな体をひらりとひるがえし、ちょこんと恭しく、しかしどこか尊大に、一礼をしてみせる。

    「私はフェルシー。フェルシー・イッタ。『レガリア』の騎士団長にして、現王子殿下を護る盾にして、駒にして、剣。大人しくしていれば丁重に扱うと約束するよ、天使の盾、駒、剣、魔法少女、『希望』と『幸福』」

     あこの世界特に何の判定もなくフェルペトが結婚してるんだ。

     グエルは場違いにもそう思った。

    dice1d3=1 (1)

    1:……大人しくついていってみる。

    2:「逃げるよグエル!」とシャディクが全然普通に立ち上がって走り出す。

    3:「グエル__手を、出して。dice1d2=1 (1) (1:あの時の話の続きをしようか 2:俺が「宝石」になるのは嫌なんだよね?)」と言われる。dice1d2=2 (2) (1:咄嗟に出してしまう 2:出さない)

  • 98二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 01:31:32

     フェルシーが先導するうしろを、並んで歩く。シャディクが不安げにこちらを見るたび、グエルはとりあえずその背を軽く叩いてやることで対応している。下手な言葉をかけてBLフラグになるのが怖かった__いや、違う、ただ、単に。

    「……ごめん」

    「何が」

    「身の丈にあわない敵と戦った挙句、お前のことを巻き込んだ」

    「違うよ」

     シャディクはぐっと、グエルの手を握る。

     お前に何かあるんじゃないかって、怖くて。そう思ったらいてもたってもいられなかった。だから俺の勝手。グエルはしばらく考えた末に、魔法の力を行使して、簡単に治癒を施す。

     ……情けなかった。

     一人では結局、何もなせない自分が、嫌で嫌で仕方なかった。

    「ニンゲンはひとりでは何もできないモノですよ。王子様だってそう言ってました」

    「モノローグを読むな」

     フェルシーはいたずらっぽくわらって、続ける。あのひとはすごいけど、最終的に大きな目標はあったとしても、それ以前にもっと近くに、手に入れたいものがあるからがんばれるって、はなしてた。「あのひとって、」と尋ねようとしたところで、フェルシーが立ち止まる。

    「ここが謁見の間だよ。きちんとした手順であうのは、はじめてかな」

     フェルシーが扉を開いた。

     ぎい、と重い音がする。蝋燭の明かりを無数の鏡が反射して、そこだけ厳かにきらびやかな空間となっていた。ところどころぼろぼろになってしみができたレッド・カーペットの向こう側で、その青年は、真っ白な玉座に腰かけている。

     玉座、というべきか。

     巨大な人型ロボットの、胸のあたりがひらいて、そこに座っているのだ。頬に赤い痣を浮かべて、両手にそれぞれ金色の宝石と花を持って。そうして、感情の読めない笑みを、浮かべている。

    「よく来てくれたね。兄さん__と、シャディク・ゼネリ」

    dice1d3=3 (3)

    1:「……なあ、レガリアって……天使って、何だ?」と直球に尋ねてみる。

    2:シャディクが「金の、花と、宝石……君も魔法少女?」と困惑している。

    3:「君は……グエルのなに?」待て待て張り合うな

    本当に無意味なダイスバトル

    シャディク:dice1d100=26 (26) ラウダ:dice1d100=55 (55)

  • 99二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 11:41:30

    ⭐︎

  • 100二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 12:08:27

    シャディクの運命力つえーなと見守ってたら…表紙3人くるか…?

  • 101二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 12:48:43

    もしかして、グエルの取り合い始まっちゃう?

  • 102二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:58:55

    ほしゅ

  • 103二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 23:58:59

    「……ラウダ」

    「この前ぶりだね。こんなに早くまた会うことになるなんて思わなかった。一人で戦うの、辞めた方がいいよ」

    「見ていたのか」

    「無茶はしないで」

    「俺は、」

    「ま、まって」

     グエルがぐっと身を乗り出すのと、シャディクが焦ったようにグエルの腕を引き、ラウダに対峙したのは同時だった。シャディクは何故か__BLではありがちな現象だが__頬にカケアミをいれて、有り体に言えば血を登らせ紅潮させて、ラウダを睨んだ。

    「お前は……誰だ。グエルにとっての何なの」

     グエルはここで腕を組み、天を仰いだ。

     何かが、おかしいですね。

     グエルは何もしていないのに、むしろできうる限り見えるフラグは全て避けるかへし折るかしてきたのに、何かシャディクが「新たなイケメンの登場によって危機感を覚えるキャラ」みたいな挙動をしている。グエルをまきこんで。ラウダもラウダで「弟だよ。血を分けた、本物の。ね、兄さん」と張り合うように言ってるし。やめろヒロインレース(?)はいらん……!

    「……ラウダ、尋ねたいことが」

    「弟って、グエルなんで教えてくれなかったの。そんな話聞いたことないよ」

    「レガリアのこととか天使のこととか」

    「僕は異世界の王子になったから。それより兄さん、一緒にお話したいな。二人きりで、ね」

    「あの」

    「グエル!あれは敵だよ、惑わされないで!メタモルフォーゼっ、シャディク:レッドアイドランジア・モード……!」

    「知らん口上出てきた」

    「ここでは穏便に、お話したいな」

     ラウダがぱちりと、指を鳴らす。

     途端に、シャディクの体をおおっていた赤い光が、すうと引いていく。シャディクが驚いたような顔をしているから、もしかしてあれは、変身を強制解除させる類の?

    「ね」

     グエルは警戒するように、おぞましき玉座を睨んだ。

    dice1d3=1 (1)

    1:「……聞きたいことがある。dice1d3=2 (2) (1:レガリア 2:天使 3:金色)について」と尋ねてみる。dice1d100=84 (84) (55以下なら普通に教えてくれる。55以上なら出目が高いほど過激な『対価』を要求されるよ)

    2:もしかしてこれラウダとシャディクでくっつければいっか!?

    3:「お……俺のために争うな」と言ってみる。

  • 104二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 00:09:26

    このレスは削除されています

  • 105二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 00:10:55

    「……聞きたいことがある。天使について」

    「天使?」

    「ダリルバルデは__ミカエリスは、嘘をつかない。だが真実も教えてくれない。ラウダ、お前は何を知っている?戒礼院、閣議会、審問官__あいつらは、お前らに何をした?」

    「……そうだね。見ていた。あなたは真実にたどり着こうしていた。教えてあげてもいい。でも、」

     ラウダは笑みを浮かべる。

     同時に、腕をのばした。瞳と揃いの色をした金色の蔦がのびて、グエルを絡め取る。思わず「う、わ!?」と悲鳴をあげると、シャディクが「グエル!」と悲鳴じみた声を上げた。

    「情報には対価が必要だ。わかっているね」

    「……何が狙いだ」

    「そうだね、それじゃあ__

    dice1d3=1 (1)

    1:……そのdice1d2=2 (2) (1:花 2:宝石)で、そこにいる大切な仲間と番になるといい」

    2:天使を一匹__ああ、dice1d3=2 (2) (1:しろいの 2:あかいの 3:ボロいの)を連れてきて。その身柄と交換しよう」

    3:何がとは言わないけどシャディクを観客席において暗転しようよ」

    みじかくなっちゃったので

    シャディクの感情:dice1d100=34 (34)

    1 ←純粋な信頼 恋心→ 50 ←恋心 『初めての仲間』への執着→ 100

    ラウダの感情:dice1d100=18 (18)

    1 ←行き過ぎた兄弟愛 恋心→ 50 ←恋心 ???→ 100

  • 106二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 00:35:05

    過激な対価と健全な感情でバグる

  • 107二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 07:03:50

    今までのシリーズと比べると珍しくまだ可愛い方の感情だったのに対価は全然可愛くない

  • 108二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 13:07:18

    番推ししてくるラウダ、一人で無茶するから番にして生存率上げようとしてる?

  • 109二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:02:15

    ⭐︎

  • 110二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:19:26

    「__なら、」

     ラウダがぱち、と指を鳴らした。

     途端に、グエルの左腕が、び、じじ、と低く、揺れるように。熱を持つ。咄嗟にもう片手で押さえるが、それでも耐え切れず、こらえきれない痛みを発散するように、悲鳴をあげる。いたい。いたい。あつい。いたい。いたい。いたい! 焼けるように痛い。あつい。神経に真っ赤な鉄の板を押し当てられているみたいだ。シャディクが「グエル!」と絶叫して、かけよってきた。そして、グエルの手を見て__ひゅっと、息をのんだ。

     元は真っ白な薔薇の花をかたどっていたその場所は、悍ましい金色の宝石に包まれいる。

     と、いうよりは、手の甲からてのひら、手の付け根、指の第一関節のあたりにかけて、覆いつくすように金色の宝石にかわってしまっている、といったほうが正しいかもしれない。かつて清楚に揺れていた花が、埋め込まれるように手の甲の中に入り込み、閉じ込められて行き場を失っている。そこから指が生えているような形になっていて、生体と石の融合が、美しくもあり、同時に裸足で逃げ出したくなるほど、グロテスクでもある。

    「こ、……れ。どうして……」

    「あの時『もらった』から。彼の花は僕のものだよ。この程度、造作もない」

    「グエルを……グエルをっ、返して!」

    「いるじゃないか。兄さんの本質はあなたの傍に。それともあの汚らわしい花ごときが、兄さんだとでも?」

    「グエルは……グエルは、俺にいってくれたんだ。対等の存在として一緒に戦いたいって……」

    「馬鹿らしい」

     ラウダが一蹴する。「馬鹿らしいけど、そういうところが、兄さんなんだろうね」とため息をつきながら。玉座に腰かけ、静かに微笑みを浮かべる。グエルの片手にある宝石とそっくりの色をしたひとみを楽し気に細めて、さあ、と囁きかけた。

    「僕に、最高の喜劇と、運命を見せて」

    dice1d3=2 (2)

    1:「……グエル、番にならないまま、俺の剣になることは、できる?ううん__して。これは、命令だよ」シャディク:dice1d100=53 (53) ラウダ:dice1d100=82 (82)

    2:「お前は__俺が、『幸福』の魔法少女 シャディクが、倒す!」(戦闘開始)

    3:「……ぐ、える……」

  • 111二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:44:32

    「__お前は、」

     シャディクの瞳が。

     不意、輝く。

    「『幸福』の魔法少女 シャディクが、倒す!」

     爆発するように真っ赤な花がひらいた。

     ふわり、と。ひし形にも丸形にも似た無数の花弁が降り注いで、シャディク・ゼネリという存在が変身を行ったことに気づくだろう。ひとつちがうのは、その、装いだ。

     元はセーラー服に近い装いをしていた衣装は、赤い布と、そのうえからたっぷり、薄い白色の布を重ねられている。籠手や肘宛てといった防具の類は、以前はなかったのに出現していた。更にはまるでシャディクの怒りを象徴するように、十字の飾りの施された冠まで増えている。

    「__必ずね」

     さて。

     グエルは痛みにのたうち回りながらもこの状況を割と冷静に観察していた。

     どうみても覚醒モードである。

     日アサでいうと折り返し。新たな販促アイテムが登場するあたりである。一体どうして。何がきっかけでこうなった?

    「あれは__システム・オメガバース」

    「うわお前誰!?」

    「強い願いが発現したときに、限界を超えて魔法少女の力を行使できる……およその場合は運命と出会った時なのですが。彼の場合はまるで、ラウダ・ニールを倒す、あるいは__あなたを、守るために現れたようで」

    「すごい説明口調!すごい説明口調!!」

    「私はペトラです、現王子殿下の側近にして解析担当。あれは興味深い現象です」

    「エキサイト翻訳みたいな喋り方するな……!」

     突然やたらイケメンの情報に詳しいモブが出てくるあたり流石BL世界というか。いや仮にシャディクの覚醒の原因がグエルだったらマジでマジでまずいというか!

    「……ミカエリス・ハイドランジア・ドロップ__」

     シャディクが必殺技を構える。やめろ馬鹿シャディク戦うな!勝つな!いやでも死ぬのもちょっと後味悪いからやめてほしい!

    「__ジャッジメント!!」

    「なんか必殺技まで進化してる!!!!」

     グエルは率直に泣いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:この程度で、僕に勝てるとでも?

    2:傷を与えることは成功した(dice1d100=87 (87) 数値が大きいほどダメージが大きい)

    3:「……仕方ない、な。なら僕も変身しないとね」

  • 112二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 00:58:10

    「……ハア」

     ラウダがため息をついた。

     真っ赤な光をまとったシャディクが、ラウダに向かってまるで__判決でも、下すように。傲慢に、不遜に、おちてくるのを、認識したのだろう。玉座から立ち上がると、すいと左手を掲げ、横髪をくるりと指先に巻き付けた。

    「鬱陶しい」

     ドオオオオオオ、ンッ!!!!

     凄まじい轟音がして、土煙と爆風で吹き飛ばされる。グエルは咄嗟に頭を手で庇うと、自身の手がそうとは思えない程冷たくてぞっと__

     している場合では、なかった。

     本能的な、根源的な恐怖を感じる。凄まじいプレッシャー、これはそう、死の危機感だ。顔を、あげる。視線の先では、シャディクの渾身の必殺技が、巨大なマリーゴールドの盾に阻まれていた。それは一瞬の沈黙ののち、ふわ、と。花托を割って花弁がおちる。無数の花弁は、地面におちるとまるで宝石のようにくだけて、無数の光の粒子になって消える。

     盾の中から現れたのは、斧と大剣をそれぞれ片手に構えた青年であった。

     額からは二本の角、頬には複雑な紋様が浮かんでいる。たっぷりとかさねられた布やレースの衣装も、何故か伸びてふわりとひろがる髪も、なんとなく見覚えがあるもので、なるほどグエルやシャディクのように、彼も変身したのだとわかる。

     なのに、何故だろうか。

     こんなにも、悍ましい。

     例えばそれは、人でないものがヒトを模倣して立っているような、不気味の谷にも似た恐怖だ。ラウダは小さく一礼をしてから、しかし瞳に乗った色はどこまでも冷徹に、こちらを見下ろしている。

    「そんなに戦いたいのなら、この__」


     『運命』の魔法少女

       __ラウダ・ニールが、お相手するよ。


    dice1d3=3 (3)

    1:た……戦う!dice1d2=2 (2) (1:ボロ負け 2:dice1d100=12 (12) 程度のダメージを与える)

    2:「う。運命……?それは希望なのか、絶望なのか……!?」「お答えしましょう」「うわペトラ!!」と解説役モブに徹する

    3:「やっやめろ!シャディク戦うな!」と咄嗟に割り込む。

  • 113二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:03:09

    うわーっ!グエル無事でいてくれ!

  • 114二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:09:29

    「……ッ、やめろ!」

     グエルは咄嗟に、二人の間に迸る緊張の間に割って入った。

     BL回避のみに集中するのであれば、ここでペトラと解説役に徹するのが最適解だ。モブが本編にでしゃばることはないし、ほっとけばBL世界の強制力的に主人公枠のシャディクとラスボス枠のラウダは勝手にくっつきそうだったから。

     でも、グエルは__

     ああ、せめてグエルのあずかり知らぬ場所でやってほしかった。だけども目の前で起きてしまったのだから、もう、ダメだ。守りたくなってしまう。とめたく、なってしまう。これはグエルのエゴだ。それもトラウマに起因する自己中心的なわがままだ。様々な「してはいけない理由」が頭に羅列されたうえで、それでも、それでも。止めずにはいられなかった。だって。

    「……お前らも、俺のせいで、死ぬのか」

     震える声だった。

     明らかにラスボスと、それに対抗するためにサラッと覚醒した主人公の間にあって、変身すらしていない、か弱い人間のままの姿だ。だけどもグエルはこの姿でやることが一番「きく」のだと、わかっている。本で読んだ彼等は、皆こうしていた__なんかかっこいいこといっているようにみえるが、ようするに自己犠牲系の覚悟決定BL主人公は武装もなしに敵地のど真ん中で両手を広げたということである、ある意味恐怖だ__。

    「嫌だ。それは、許さない。絶対に、」

     ……じゃないと、俺は自分と、お前らのことを許せなくなる。

     未だ痛みと熱を訴える左手の中。

     真っ白な、穢れのない純潔、あるいは真実を象徴する白い薔薇が、揺れることなく輝いていた。

    dice1d4=3 (3)

    1:「……グエル」とシャディクが槍を下ろす。

    2:「……兄さん」とラウダが矛を収める。

    3:「……グエル」「兄さん……」と双方おちつく。

    4:「ちょっと今どいてて!」「今大切なとこだから!!」と弾き飛ばされる。☆何故__!

  • 115二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 01:24:30

    「……グエル」

    「兄さん……」

     二人がすっと、変身を解除する。

     息が張り詰めるようなプレッシャーが、少しだけ緩んだ。これが大岡裁きなら双方離したので引き分けということになるが、これは大岡裁きではないので大丈夫。のはずである……大丈夫だよな? 三人カプフラグとか立ってないいよな?グエルはほうとため息をついて、まずはシャディクを睨む。「好戦的すぎだ、戦う前にまずはせめて交渉をしてくれ」。それだけ告げると、シャディクは所在なさげにあちこち見回した後「はあい」と言った。わかっているんだかわかっていないんだか__とにもかくにも、それから。ラウダに、向き合う。

    「教えろ。俺に、何をした」

    「見てわからないの?」

    「聞き方を変える。何が目的だ」

    「簡単だよ。そうすれば兄さんは、きちんと絶望してくれるから」

    「……はあ?」

     理論が破綻している。

     何がどうすれば番を得ることが絶望することにつながるんだ。ついでにラウダはグエルが絶望して何の利点があるというのか。ラスボスの思考とか考えるだけ無駄なのか?

     __いや、あるいは。

     グエルはあの時のダリルバルデの言葉を思い出し、さっと青ざめる。二色以上発現することはない、光よりも深く闇よりもどす黒く運命をも凌駕する祝福、決して運命と出会ってはいけない。きわめつけに、ラウダの言葉に呼応するように勝手に変化した花。ここから、考えられることは__

    「……ラウダ、俺の花に何を仕込んだ?」

     グエルは低く言いながら、睨む。

    「何を改竄した」

     ラウダが目を閉じ、微笑む。

    「『グエル・ジェタークが運命と出会った』時、『何』が起きるように作り替えたんだ、と、聞いている!」

     シャディクが、目を見開いた。

    dice1d3=3 (3)

    1:「……さあ?してみればわかるんじゃない」とはぐらかされる。

    2:「話はそれで終わりかな。じゃあ、今度は二人でかかってきなよ」と挑発される。dice1d2=2 (2) (1:話を逸らすな! 2:あったまきた)

    3:「ねえ。シャディク・ゼネリのこと、助けたい?」と尋ねられる。dice1d3=2 (2) (1:はい 2:いいえ 3:答えは沈黙!!)

  • 116二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 08:58:39

    ピンポイントにシャディクを助けたい→いいえを選んでるのがBL回避らしい一言やね

  • 117二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 13:21:12

    マリーゴールドの盾の収め方がカッコいい…斧と大剣の欲張りセット、角まで生やして本格的にラスボスの風格
    『運命』と出会うとどうなっちゃうの?
    シャディク、どうなっちゃうの?

  • 118二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 00:15:59

    いいえの選択が吉と出るか凶と出るか…

  • 119二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 01:55:16

     怒鳴ろうとした口が、細身の太刀の切っ先に押しとどめられる。少しでもくちびるを動かせばすっぱりと切れてしまいそうで、思わず眉間の傍にある刃を注視し、咄嗟に身を引く。

    「な……にが」

    「なあ。兄さんはシャディクを、助けたい?」

    「えいや別に……」

    「『えいや別に』!?!?」

     これに対して素っ頓狂な声をあげたのはシャディクだった。今までしおらしくしていたのが嘘みたいにグエルの手を引っ掴み、向けられた刃から引き剥がすと、がんがんとグエルの肩を揺すってせた。視界がぐるぐるする。

    「どういうこと。仲間だろ」

    「……俺が助けなくても、シャディクはひとりで立てるだろう。それに俺がこうしているのは、単にコイツのやりかたが気にい……いやシャ……うん、俺自身の体のことが気になったからに他ならない」

    「なんでそんな歯切れ悪いの!?」

     下手なこと言ったらBLになりかねないからである。

     今現在ここは舞台の周縁ではなく、むしろ一番スポットライトのあたる、ワンチャン見開きのコマとか与えられるかもしれん頁だ。発言には可能な限り気をつかわないといけない。

    「生きるにしても死ぬにしても、他人に迷惑はかけたくない」

     その言葉を聞いて、シャディクはしばらくわなわなとくちびるを震わせたあと、肩を落として、そっか、とくちびるを噛んだ。

    「そうだよね。グエルはずっと、そうだった」

    「何の話だ!?」

     心当たりがなさすぎる。グエルは天を仰いで、光に透けた己の左手を見た。

     __結局、これは、一体__

    「……」

     心当たりなら、あった。

    dice1d3=1 (1)

    1:「ところで。俺達は大人しく帰してもらえるのだろうか」と尋ねてみる。dice1d2=2 (2) (1:まあいいよ 2:いいわけないでしょ)

    2:「答えをまだ聞けていない。結局dice1d2=2 (2) (1:この金色の宝石 2:天使と異世界の関係)って何なんだ」と尋ねる。dice1d2=2 (2) (1:はぐらかされる 2:おしえてくれる)

    3:__「ラウダ・ニール」と命令する。「俺の番になれ」dice1d2=2 (2) (1:……はは、そうだよな。できるはずないよなあ!? 2:なんで今ちょっと食い気味に了承した?)

  • 120二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 02:10:58

    「……ところで」

     グエルは爽やかに話題を転換することにした。そんな初期設定誰も覚えていないが、現在世界滅亡の危機であり、ついでに現在地は世界を滅亡させようとしている黒幕の手中である。これまでの経験則として__なんだよこれまでの経験則__ストーリーが進むときにはあまりBLを挿し込む余地がないようであった。そう考えるとストーリーを進めることが、BL回避のための手段の一つになりうるとみて間違いない。

    「俺達はどうなるんだ。素直にかえしてもらえるのか?」

    「そんなはずないでしょ」

    「いやさすがに俺でもそんなはずないってわかるよ」

    「俺だってダメもとではあったよ……!」

     半目で睨まれてグエルは泣き言をあげた。最重要事項ではあるだろ少なくとも。

    「あなたたちの身柄は交渉材料だ。魔法少女という存在は、天上層の規定に則って良識的な数しかつくれない__つまり、どうしても数に限りがあるということは、こちらとしてはよくわかっている。あなたたちに頼るという間接的な形をとっているあたり、天使は本来下層に『規則を定める』以上の強く関与することはできないことは明白だ。本当は、兄さんに「真実」を知ってもらいたかったけれど。そうしている場合でもないみたいだしね」

    「……人質ということか」

    「また前みたいに逃げてみたら。捕まえるけどね」

     ラウダが笑った。シャディクは「前みたいって……」と呟いた後、少しだけ顔を伏せる。おい今何に勘付いた。それだけの情報量でグエルが「以前」ここで辿ったことを推理できるなら魔法少女やめて探偵とかになった方がいいとおもう。

     グエルがぎ、と睨みつける。と、ラウダは、笑って__

    dice1d3=3 (3)

    1:「ほら。来た」

    2:「じゃあそれまで僕とあそんでいようか」と、再び変身してみせた。

    3:「じゃあそれまで僕とあそんでいよっか(意味深)」と、ぱちり、指を鳴らした。dice1d3=1 (1) (1:グエルに対する魔法 2:シャディクに対する魔法 3:両方に対する魔法)

    そういえば戦闘能力ってどんなもん?

    グエル:dice1d100=78 (78) シャディク:dice1d100=29 (29) オルコット:dice1d100=61 (61) ラウダ:????

  • 121二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 02:15:49

    ここはトンチキBL胡乱アンソロジー時空なわけですが指パッチンによって

    dice1d3=1 (1)

    1:分裂して魔法少女ボブが生える

    2:……!?力が抜ける。物理的な力含めたパワーがdice1d78=46 (46) 程度にまで低下する

    3:シンプルに発情の誘発(dice1d100=85 (85) 数値が高い程耐えられる。低いとダメそう)

  • 122二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 02:30:35

    「……ッ!?」

     突然眼前をカッと照り付ける光に、グエルは咄嗟に目を閉じた。

     途端、ぐ、と力が抜ける。まるで体の中の大切な何かが、ごっそりと抜け落ちてしまったみたいに。すぐに気づく。左腕が、ただの褐色の皮膚に戻っている。そう、花でも宝石でもない、ただの皮膚に。

    「ふぁ」

     全くの嫌な予感がして、振り返る。

     そこにはグエルと瓜二つ、というか同じ顔の作画がなされた青年が、間抜け面をして立っていた。

     彼は「ふえ?なんです?なにがどうなって……?」とBLでしか見たことない声をあげてBLでしか見たことないカケアミエフェクトを飛ばしつつぺたぺたと自分の頬や腕を撫でている。注視すれば、その左手には、無垢なまでに真っ白な__そう、『ただの白い薔薇』が飾られているのがわかった。

    「まだ完全に分離するのは難しいけど、試作としては上々、かな」

    「ラウダ……何をした!あれは、なんだ!?」

    「簡単だよ。あなたのなかから天使の影響を受けた部分を__『魔法少女』としての性質を、引き剥がした……ふふ、ああ、あああ!懐かしい、僕の兄さん!」

    「うわ!?」

     とつぜん感情を昂らせて目を輝かせるラウダに、グエルはシンプルにビビった。つまりあれか。ま〇マギ叛〇における「私が裂けちゃう」状態であるということか。シャディクが「グエルが、二人?」と不思議そうな(シリアス化と思ったら突然ギャグ展開になったんだからさもありなんである)顔をして尋ねると、もう一人のグエル__魔法少女は、不思議そうにぱちぱちとこちらを見ている。

    「あの。俺、おれは……グエル、ですか。わからない、です、戦う……ことしか。誰かの希望になりたいとしか、」

    「グエル。ただの天使の奴隷には過ぎた、ぜいたくな名だね」

     あなたは、ボブだよ。

     湯〇婆かよ。思ったが、口には出さないことにした。

    dice1d4=3 (3)

    1:ボブくんが「……えっと。シャディク、さん?」と話しかけている。つ……対消滅、してもいいのか!?

    2:ボブくんが「あの……ラウダ、さん?」と話しかけている。対消滅すべきなのか!?

    3:ボブくんが「えっと……グエル、さん」と話しかけてくる。馬鹿!!!!!!

    4:ダリミカダリ「待たせたな」

  • 123二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 05:06:52

    湯◯婆かよで笑っちゃった

  • 124二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 15:05:27

    分裂して生えてくる魔法少女ボブ、プラナリアが浮かんじゃったよ…
    こっち(グエルの方)来ましたけど!

  • 125二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 19:17:00

    さすがグエル。
    ボブくん、よって来ちゃったよ~。
    きっと親しみやすくも、頼りがいがありそうな雰囲気なんだろうね☆

  • 126二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 03:52:42

    ボブはどんなとんちきでもかわいいなぁ

  • 127二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 04:21:51

    なんで3つも安牌あるのにピンポイントでそこを引くんだw

  • 128二次元好きの匿名さん24/01/14(日) 14:02:59

    パワーダウンだった場合のグエルよりまだへちょいシャディク頑張れ
    そしてラウダは本当に4桁じゃないだろうな…?

  • 129二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 00:42:12

    ほしゅ!

  • 130二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 00:45:24

    「え……えと。あなたはグエル……さん」

    「うわ寄ってくるなバカ!!」

     咄嗟に逃げ出そうとしたが、それより先にグエル2号__ボブ__の指先が、グエルの手に触れる。それだけで、グエルの全身はすっかりうごかなくなった。簡単なことだ、汝は我で我は汝。本来不可分の存在なのだから、その片割れが意識したこと__それもグエルのもつ力の結晶のような存在が思ったことに、グエル自身が抗えるはずない。いや問題だが。せめてコイツにもBL回避の意識があればいいけどなんかこのぽわぽわした感じ全然キャラ性的には別人っぽいし。同じ髪色のキャラはカプにならない理論を信仰するしかないのか。

    「あの……俺、たち。本当は一緒、なんですよね」

    「あ……ああ、そうなる」

    「すごいです……ね。俺と一緒の存在なのに、堂々として、かっこよくて……あなたみたいなひとが俺の運命だったらいいな。あ、おなじ、だから、あるいみうんめい……なのかも」

    「これが俺と同じで俺の深層心理なのは嘘だろ!?」

    「同じ木に成っても同じ実になるとは限らない」

    「……ううっ、なにこのもやもやした気持ち?」

     顎に手を当てやや眉間に皺を寄せるラウダ。ふるふると首を振り何やら不穏なことを言うシャディク。ボブはグエルのむき出しの皮膚を撫で、慈母のように優しく、怪物じみておぞましく微笑んだ。

    「世界中敵に回っても。せめて俺だけはあなたを愛せますように」

    dice1d4=2 (2)

    1:「無理だよ」と咄嗟につぶやく。

    2:「……」ボブの手を無言で振り払う。dice1d2=1 (1) (1:グエルさん? 2:……)

    3:dice1d2=2 (2) (1:シャディク 2:ラウダ)が「……ねえ!」と乱入

    4:「助けに来た!!!!」「グエル様、シャディク様、ご無事で!?!?」

  • 131二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 00:57:05

    「……」

    「グエルさん?」

     グエルは無言で、ボブの手を振り払った。

     グエルは知っているのだが、この世(主にpi〇iv)の深層部には同一カプという概念がある。ボブとグエルのキャラクターが著しく違うことを考えると、そちらの可能性に留意すべきだ。ボブはきょとんとした顔でこちらをみつめ、しばらくぱちぱちと瞬きをした。

    「どうして」

    「……」

    「あなたは自分を傷つけるんですか」

    「……」

    「俺が……あなたから『希望』を奪ったから?」

     グエルは無視を決め込む。

     魔法少女の膂力で肩をゆすられても執拗に。なぜならBL回避とか、そういう問題以上に__それは多分、不可能なことだから。あの日、父を手にかけた日、グエルという人間も死んだのだ。あとにのこったのは償いになりたい気持ちと、あるいは__誰かの希望、誰かの偶像、『魔法少女』になるためのからっぽの肉塊だけだった。

    「……俺はあなたと同じだけど、本質的にはあなたではない。父さんを手にかけた記録はあるけれど、それに付随する感情は持ちません。なぜならそれは『光の魔法少女』という存在には不要なので」

     ボブはしばらく黙り込んでいた。

     それから一瞬項垂れて、それからシャディクとラウダの方にくるりと視線を向ける。やめ……やめろバカ!余計なことをするな俺!!思ったが、口には出ない。全身を巡るアパシーが血液を凍らせるように滞らせて、もう、少しも動けそうにない。

     これが『自分』という存在を真っ二つに割られたから、というだけではない、ことは、頭のどこかでわかっている。

     ボブはふわりと白いマントをはためかせると、意を決したように__

    dice1d3=1 (1)

    1:「シャディクさん。グエルさんを頼んでもいいですか?」と言った。馬鹿

    2:「ラウダ様。教えてあげてもいいのではないですか」と言った。何を!?

    3:「……ダリルバルデ」と指を、パチリ、鳴らす!

    グエル無気力度:dice1d100=81 (81)

    グエル気力:dice1d100=95 (95) (無気力度以上の値が出ると動ける)

  • 132二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 10:58:04

    ほしゅ

  • 133二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 11:43:33

    グエル気力たっか!!いいぞ、抗え!

  • 134二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 13:18:35

    ぽわぽわボブにBL回避の意識は無さそうですねぇ…って、何をするつもりなんだボブ!?不穏な言葉を言い残そうとするんじゃない!!

  • 135二次元好きの匿名さん24/01/15(月) 23:01:28

    ⭐︎
    魔法少女(DK)の運命や如何に

  • 136二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 09:33:57

    このレスは削除されています

  • 137二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 09:34:25

    グエルとボブの組み合わせ好きだから分裂たすかる

  • 138二次元好きの匿名さん24/01/16(火) 19:14:25

    ⭐︎

  • 139二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 00:26:23

    「……シャディクさん」

     不意にボブが、シャディクの前に立った。

     唐突にふわ、と。ボブという存在が揮発する。ちがう、グエルの中に『もどろうと』しているのがわかる。あ、と無意識に悲鳴をあげた。おなじだ。『おなじ』だからわかる。彼が今何を言おうとしているのか手に取るように。やめろ。やめて。叫ぼうとした瞬間、シャディクが困惑したようにボブの手を取った。

    「『グエル』のこと、頼んでもいいですか」

    「え……」

    「どうやら俺は『俺』のことを愛してあげられないみたいだから。どうかあなたは、グエルさんのことを信頼して、仲間でいてあげて欲しいです。いちばんの相棒として」

    「……きみは、」

    「俺はあなたの人柄は知りません。でもその力は知っている」

     ボブの指先がふっと光の粒子になる。シャディクが「消えるの?」と困ったように尋ねると、ボブは微笑んだ。

    「違います。グエルの中に帰るだけ」

    「そっか……」

    「『幸福』の魔法少女 シャディク」

     あなたにとびきりの『希望』がありますように。

     ふっと、ボブが消える。同時にグエルの左手が再び白金の琥珀に変わった。ただひとつ、シャディクの深い色した肌に、ひとかけの花弁を落として。グエルは無意識に、顔を真っ青にして叫んだ。

    「これが許されてなるものか!」

     シャディクがハッと、こちらを見る。こんなこと、こんなこといっても、やつあたりにしかならない、解決しないのはわかってる。でも、耐えきれないほどの厭世観、酷い生への苦痛を上回る、衝動、があること、だけは、わかった。

    「父を殺した人間が、心の底から信頼できる仲間を求めるなんて、そんなこと、あっていいはずが、ない……」

     声が、少しだけ震えていた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……グエル」と抱きしめてくる。バカ!!!!dice1d2=1 (1) (1:ほだされたふり 2:拒絶)

    2:「あっははは!」とラウダが弾けるように笑う。「知りたい?真実を」

    3:「あの入っていいダリ?」「我々待機中ですぞ」

  • 140二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 01:15:50

    「あっはははははは!」

     不意に。

     沈黙を保っていたラウダが、弾けるように笑った。混乱したように目を白黒させていたシャディクが、グエルを庇うように立ち、「何がおかしい」と低く睨む。おま……お前!庇うな!!頼むから!今魔法少女グエルくんSAN値が著しく減ってて抵抗できないから!!ワイプのグエルが叫ぶが、枠の中には届きっこ、ない。

     ラウダはしばらく高笑いしたあと、口許を抑えてくすくすとこちらをみつめてくる。嘲るような調子はなく、ひたすらに面白がるような、憐れむような、あるいはそう、愛、それも、ハムスターが必死に滑車を回すようなx卑小の存在が足掻く様を楽しむ様子を観察するもの、に、似た。

    「……愚かしい」

    「何が……グエルを、笑うな!グエルはっ、グエルは……お前はグエルの弟なんだろ!?なんでそんな顔できるんだよ!」

    「ああ。知らないんだもんね。知りたい?」

    「何を!」

    「『僕たち』が戦う理由」

     シャディクが虚をつかれたような顔をした。

     すう、と変身し、警戒するように剣を構えながら、一歩、近づく。「侵略のためじゃないの?」と片眉を跳ね上げて尋ねると、ラウダは玉座に腰かけ、ふわりと手をかざす。途端、どこからかモニターが現れた。

    「それは一面的な見方だね。それもあの薄汚い天使とやらたちの」

    「はあ?」

    「……兄さん。本当は自分で辿り着いてほしかったけど」

     今、おしえてあげる。

     異世界の__『レガリア』の、真実を。

    ラウダの感情:dice1d100=18 (18)

    1 ←行き過ぎた兄弟愛 恋心→ 50 ←恋心 天使に穢された兄への失望、介錯したいと願う気持ち→ 100

  • 141二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 01:17:58

     この世界は積層構造だ。

     とはいっても、最初から層であったわけではない。文明や生物の発展に伴い、徐々に徐々に世界の構造が複雑になっていき__結果的に、大きくわければ全てを支配する『王冠』__天上層から、全ての母体となる『王国』までの、七層構造となっていた。

     少なくとも、過去は。

     第七層に住む者たちは、発展した。発達した、凄まじい勢いで。本来天上層の者しか持たないはずの王冠の、『天使』の力を__世界の法則をねじまげる力を個人に与える技術や、世界の境界をを踏み越えて別の層に移動する技術を、開発してしまうまでに。天使たちはこれを危惧した。その結果、戒令院と呼ばれる場所に所属していた天使たちは、第七層を完全に破壊し、滅ぼし、その技術を使ったものを『天罰』として怪物に変えた。

     こうしてばらばらに、散り散りになった世界に元いた者が、かつての王国の復活を望み、その王冠を奪わんと、天使に復讐を誓うもの__『レガリア』だ。

    「では何故、僕はその『王子様』なんて、やっているのか?」

     ラウダは今まで淡々としていた口調を不意に、どこか恍惚としたものに変えた。簡単だよ。僕の母は、第七層の出身なんだ。

    「僕の母は芸術家だった。だから想像と美、抽象層に行くことを強く望んでいた。それであなたの父__現地人の子を産んで、それが僕。第七層の滅亡をきっかけに、僕はこちらに戻ったけど」

    「……それが、どうしてグエルに関係ある?」

    「あいつのせいだ」

     は、と。

     グエルが無意識に声をあげた。ラウダはおかしくてたまらないとばかりに、笑った。

    「父さんが狂って兄さんを殺そうとしたのは、天使によって怪物にされた僕の母を見たせいだ」

     父さんは少し酒に酔ったくらいで、人を殺そうとする男ではなかったでしょ?

     ……鬱展開タイプの魔法少女モノやめてほしいなあとおもった。ちなみにこの辺の説明全然読み流して構わないやつだぞ

    正気度

    グエル:dice1d100=47 (47) シャディク:dice1d100=73 (73) ラウダ:dice1d100=31 (31)

  • 142二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 01:32:29

    「……ダリルバルデが……」

     グエルが混乱したように、小さく呟いた。

    「俺が父さんを殺したのは、ダリルバルデのせい、なのか?」

    「ああ。そう__」

    「グエル!」

     シャディクが絶叫するように、ラウダに切りかかる。ラウダは軽く大剣を斬り結ばせるだけで抵抗した。シャディクの身体が、吹き飛ばされる。吹き飛ばされるが、崩れない。再びぐっと視線に力を込めて、ラウダを睨む。

    「アイツのいうことに耳を貸しちゃダメだ。敵なんだよ、グエル!」

    「でも……」

    「俺はみとめる!」

     シャディクはグエルをかばい、言った。逆光になって、その背がやたら、眩く白んで見えた。お前は父を殺した。不可抗力で。でも、もし『レガリア』の手に落ちたら、今度こそ罪なき無辜の人々や天使を殺す、正真正銘の化け物になってしまう。

    「お前の存在を肯定する。お前の罪を肯定する。自分で自分を愛せる日が来るまで、ずっと、そばにいてやる!」

     だから、と。

     その先の言葉を、シャディクは言えなかった。

     __さて。

     グエルは割と正気を保っている。

     もちろん突然明かされた様々な真実には混乱しているし、ンなことを隠してたダリルバルデたちに対する怒りがないわけでもない。シャディクの言うことにも一理あるとおもう。でもそれはそれとして、ラウダたち側におちるのもアリかもな……とおもいはじめてきた。

     魔法少女モノでは敵の手に落ちる味方陣営のキャラって割と鉄板だ。もちろんその逆も然りだが__そういうキャラは大抵、主人公側とは決定的な亀裂が入ることになる。つまるところ、今現在フラグが物凄い勢いで建設されているシャディクルートを、完全に断ち切ることができるのである。

     矜恃を保って、立ち続けるか。

     プライドを捨てて敵方に落ちるか。

     ……グエルは__

    dice1d3=2 (2)

    1:「……シャディク」とまっすぐ、見つめ返す。「言われなくとも、俺はお前と戦うよ」

    2:「……行こう、ラウダ」とシャディクに背を向ける。「次に会う時は敵同士だ。俺に殺されてくれるなよ、『幸福』の魔法少女」

    3:「……す……」と呟く。「滅ぼす、滅ぼす、滅ぼす!天使も、『レガリア』も、全て、全部、の、世界を……!」ウワア!俺が第三陣営

  • 143二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 03:09:55

    うわーっ!!グエルやっぱ正気度低いって!!

  • 144二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 12:52:02

    そっちもそっちでなかなか険しそう

  • 145二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 13:17:09

    シャディクのセリフが感動的なので、落ちても良いような気分になってる自分はBLに毒されている

    いやいやグエルさん、回避の為とは言え、それ正気の人がする選択じゃないと思いますよ…

  • 146二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 23:21:22

    「……行こう、ラウダ」

    「グエル!」

     グエルは背を向ける。

     シャディクが息をのみ、絶望したように目を見開いたのが、わかる。手に取るように。グエルはほんの少しだけ、視線だけで振り返る。淡い金色の髪が揺れて、その表情は実際にはうかがいしれない。ただ、そのくちびるが、酷く引き攣っていることだけは、わかった。

     白いマントに金糸で薔薇の模様が入る。襟やネクタイといった部分にも、彩るように、飾るように。真っ白な死装束めいていた衣装が、途端に豪奢なドレスに変わる。白と金と黒に包まれた姿は、確かにシャディクの知るグエルと同じ顔をしているのに、決定的に、グエルじゃない。

     振り返る。

    「シャディク」

    「……グエル……」

     呆然としているシャディクに向けて、手を差し伸べる。理解してみれば、単純なことだった。世界を繋ぐ力も、天使を憎むすべも。ふ、と槍を振るうだけで、「ここ」と抽象層を繋いで、一方的にシャディクを送り返すことだって、できる。シャディクが手を伸ばす。だけどもそれは、グエルには、届かない。

    「さようなら。次に会う時は敵同士」

    「グエル、まって、まって、まって、まって!」

    「俺に殺されてくれるなよ。『幸福』の魔法少女」

    「待、」

     ぶわ、と。

     風が吹いて、かき消える。

     後に残されたのは、金色の花と宝石を身に纏った青年、二人きりだけであった。

    シャディク:dice1d3=3 (3)

    1:な……仲間を、集めないと。オルコットとか!

    2:な……仲間を、集めないと。……あれ?あまい、におい……これは……『運命』の番?dice1d3=1 (1) (1:即堕ち二コマで惹かれる 2:協力関係を結べたら… 3:無視)

    3:……グエル……

    dice1d3=1 (1)

    1:……前線に向かう。戦うためにdice1d2=1 (1) (1:あれは……ダリルバルデにミカエリス? 2:あれは……他の魔法少女?)

    2:……情報収集が先決か。dice1d3=3 (3) (1:フェルシー 2:ペトラ 3:カミル)を頼ろう

    3:ラウダ「やっとふたりっきりになれたね!」

    3:

  • 147二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 23:44:04

     第五層、最前線。

     かつて『レガリア』と戦うために立ったその場所に、今度は『レガリア』の側として立つことになるとは、皮肉なものだ。グエルはゆら、と扉を割ってあらわれ、太刀と小銃で地上を薙ぎ払う。すっと目を閉じ、開けると、額に、頬に、全身に、痣のようなものが走る。楽しいことに、この衝動に身を任せているうちは、いかなる罪悪感も感じずに済む。全能感、というべきなのだろうか。その色が赤だというのは、ほんのちょっぴりだけ、悲しくもある。

     破壊する。

     殲滅する。

     掃討する。

     もとより魔法少女になった瞬間から戦うことを選び、そうでなくても一人で戦い続けてきたのが、グエルだ。慈悲なく、区別なく、平等。白金の死神となりて、既存人類の敵に堕ちる。青色の瞳だけが、無感情に輝いていた。

    「……グエル」

     不意に、覚えのある声が聞こえて、振り返る。

     そこにいたのは、真っ赤な妖精じみた機械生命体だ。グエルは眉一つ動かさないまま、そちらを見た。

    「ダリルバルデ」

    「何をしているんだ、そっちは、そっちは『敵』で……戻ってこい、戻ってきてくれ……」

    「どうして?」

     グエルが太刀を振り上げる。躊躇いなく。

    「俺は何か間違っているか?」

    「それは、」

    「言い訳は聞きたくない!」

     我ながら理不尽である。絹を引き裂くような絶叫。振り下ろした太刀は、どこからか割り込んできた白い機械、ミカエリス、の盾に防がれていた。「大丈夫ですか、バルデ」「……ミカ……」ほんの僅かな会話だけでも、二人の間に深い信頼があることは伺える。グエルは舌打ちしながらバックステップで距離を取り、再び構え直す。

    「ダリルバルデ。決めたよ。確かにお前の言う通りだった。俺は誰かが止めてくれないと、多分すぐ、戦いの中に身を滅ぼす。その『運命』を、俺は受け容れる」

     だけど。

     俺が死ぬのは、お前たち天使を倒す役割を全うして、だ。

    「愛しく唾棄すべき天使たちへ」

     『希望』の魔法少女 グエルが、お前を倒す。

    dice1d3=1 (1)

    1:完全に消滅させることは不可能だったが、かなり痛手を与えることはできた。あとブレードアンテナへし折ってきた。大勝利だ

    2:……クッ、苦戦!なんか既視感!!たすけて!!!!

    3:即堕ち二コマで敗北

  • 148二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 23:56:43

    「……くっ、グエル、グエル!正気に戻、」

    「ダリルバルデ卿、ここは一旦引きましょう!」

    「ミカエリス卿、しかし、」

    「あんたに死んでほしくないっつってんだよ、バルデ!!」

    「ッ、……」

     ダリルバルデが悔しげな顔をして、ミカエリスに抱えられて去っていく。

     ああ、こんなにも。自由だ。こんなにも戦いやすい。ああ、あああ。切り落としたブレードアンテナを戦利品のように持つと、そのひやりとした感触に、グエルのくちびるに、少しだけ引き攣った笑みが乗る。最後にちらりとこちらを見たミカエリスの紫色の瞳が、酷く憎しみ、人間らしい情緒、に溢れていて、グエルはようやく、自分が天使たちの__世界の敵になったらしいことを、自覚した。

     なのにどうしてだろう。

     何も、怖くない。

     再びゲートを開き、第六層__拠点に戻る。変身を解除すると、不意にフェルシーが歩いているのが見えた。グエルはぱっと笑って、そちらに駆け寄る。

    「見てくれ。天使一匹、深手を与えてきた」

    「それって……もしかしてグエルセンパイを魔法少女として覚醒させた、あの戒令院の天使?」

    「ああ!」

    「……そっか」

     フェルシーはどういうわけか、痛ましいものを見るような顔でこちらを見た。それから「あ、王子様」と顔を上げる。振り返ると、そこにはわざわざ出迎えにきたのか、ラウダが立っている。BLか?最早コイツに関しては同じ画面に出るだけでBLを警戒する身体になってしまった。いや経験に基づく妥当な判断ではあるが。なんだよ経験

     ラウダは__

    dice1d3=2 (2)

    1:「初陣お疲れ様、よくやったね。兄さん」とねぎらってくれる。

    2:「……うん。お疲れ様。やっぱり、天使は倒すべきなんだよ、兄さん」と囁いてくる。(洗脳:dice1d100=87 (87) % 高いとシャディクとの決戦時おれは しょうきに もどった! しづらくなる)

    3:やめろハグをするな

    シャディダイス(基準):dice1d100=63 (63)

    (↑の数以上の数が出たら特訓終了で再戦となります。その際シャディクの力はdice1d100=80 (80) 程度強化されているとします)

    シャディダイス(実施):dice1d100=2 (2)

  • 149二次元好きの匿名さん24/01/17(水) 23:56:51

    今まで戦闘関連は苦戦気味だったのにここで勝つんだなぁ

  • 150二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 00:44:10

    新規イラストありがたい!

  • 151二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 00:46:38

    がっつり洗脳されてるしシャディダイスがへちょい…

  • 152二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 11:48:45

    強化シャディクがんばれ…!

  • 153二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 11:49:01

    ホッシュサン

  • 154二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 13:12:04

    闇落ちグエルのイラストいい…
    暗がりに光る青い瞳が映えてとても綺麗
    衣装も金糸の刺繍が素敵、黒も似合うよね

  • 155二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 23:22:07

    「……よくやったね」

     ラウダはにこやかに近づくと、グエルの背を抱き、そうっとかき撫でた。

     一瞬BLか?とも思ったが、この程度は兄弟としてごく一般的な範疇、それも悪役陣営にあれば当たり前のことでもある。うん。耳元で囁かれる声は低く、脳の奥に浸み込んでくるようだ。アリだ。グエルの思考が、ぐずりと形を無くして、崩れて、とろけていく。爛熟した果実が腐れ堕ちるように、狂気へと、おちていく。

     できればグエルとしてはこんな……爛熟とか……カジツとか……そんなBLみてェな単語は使いたくないのだが、恐ろしいことにグエル自身、自分の状況を説明するにはその単語が最も適していることを自覚していた。グエルが「ああ」と言いつつとりあえずそっと体だけ離そうとすると、それより先にラウダが微笑んで、こちらにくちびるを寄せてきた。

    「やっぱり、天使はすべて、殺すべきだ」

     グエルのくちびるが少し、震える。

     吐き出した息が熱い。グエルはラウダの肩に手を置き、くふ、と小さく笑った。そうだ、そうだ。殺すべきだ。迷う必要はない。殺すんだ。殺さなければ。

    「ああ。もちろん」

     __天使は悪。

     グエルは天使を全て倒して、殉ずる。戦いの中に死ぬことこそが、贖罪、で、ある。のだ。

    (……そのはずだ!)

    dice1d3=2 (2)

    1:それはそれとラウダとのフラグは断ち切りたいな。「ラウダ、最高の【兄弟】」と強調してみる

    2:鍛錬するか。うん?あれは……dice1d2=1 (1) (1:フェルペト 2:カミル)

    3:…………dice1d100=53 (53) (87)

    シャディダイス:dice1d100=88 (88) (63)

  • 156二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 23:37:21

    「……」

     ラウダと別れたのち、グエルは白地のマントをひるがえして荒廃した建物の廊下を歩く。

     割れた窓の外には深淵なる空が広がっている。冷静に考えればグエルは生粋の「抽象層」の人間だ。いくらそれがきっかけで父殺しをキメる羽目になったのだとしても、だからといってレガリアに協力する理由もないはず。それなのに、BL回避やグエルの立場の特殊性というところまで考えると、むしろ第三陣営になった方が自然まであるのに。どうして、こんな。

     ……こんな__

    「グエル先輩!」

    「大変ッス!!」

    「うわなんだフェルペト!?」

     グエルがびく、と肩を跳ねさせた。瞬間、凄まじい土煙が舞い上がる。ほんの一瞬の後に、耳をつんざくような爆発音が響いた。マントを盾にして防ぐ。視界が闇に包まれる、そして。

    「襲撃ッス__!」

     ゆら、と。

     煙を割って、一人の青年が現れた。

     見覚えのある姿だ。ただしその衣装は前とは違う。赤と白を基調とした、まるでドレスのように豪奢に裾の広がった、それでいて騎士らしい趣も残した、そう、これぞ究極、完成と呼んでいい、姿である。

    「第三形態とかあんのかよ……」

    「……グエル、この前ぶり」

     シャディクは無表情に、こちらを見つめる。

     グエルはこほんと咳払いをしてから、「天使共はおいてきたのか?」と尋ねる。シャディクはただ、肩を竦めるだけで返した。どうやらおいてきたらしい。まあこの状況でグエルがシャディクと天使たちなら後者を優先して攻撃することはわかりきっているし、足手まといになったりするよりは、安全圏に置いておいた方がいいのだろう。小癪。

    「グエル。俺達さ、あの日出会わなければ、殺し合うこともなかったのかな」

    「さあ」

    「……でもそうしたら、俺はこんな気持ち、知らずに生きただろうね」

    「御託を言う」

     これ以上、言葉はいらない。

     何せ一度は隣に立って戦った二人だ。白金と紅紫、二つの光が煌めく。はじけて、ぶつかり合う。ただ、口上だけが薄明を置き去りにして響く!

    「『希望』の魔法少女 グエル」

    「『幸福』の魔法少女 シャディク」

    「「__お前を、討つッ!」」

    グエル戦闘力:dice1d78=21 (21)

    シャディク戦闘力:dice1d109=64 (64)

    ※高い方の勝ち

  • 157二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 23:47:32

    上限に差があるのは特訓の成果かな? しかしシャディクもそれほど高いわけじゃないのにグエルの出目よ…

  • 158二次元好きの匿名さん24/01/18(木) 23:54:02

     土埃。

     こんなに視界が悪いのに、どうしてかお互いの輪郭がはっきりわかった。グエルは力任せに太刀を叩きつけつつ、絶望とも悲しみともつかない絶叫じみた声をあげる。

    「お前は……狭すぎるんだよ視野が、何も知らないッ、俺達の怒りを!無知である罪の裁きを受けろ、『幸福』!」

    「だから世界を転覆して、天使を滅ぼすと!?視野が狭いのはどっちだグエル、そういう猪突猛進なところは嫌いだよ!」

    「それしか__ないんだ、じゃああの時俺はどうすればよかった!?父さんが襲ってきたとき、どうすれば両方が生き残ることができたんだ!?父を殺した事実を背負い、どうやって生きていけばいい!!」

    「言っただろ!」

     シャディクの持つ槍が、グエルのマントを貫いた。

     グエルは一瞬顔を顰めた後、ぶち、と胸元のベルトを破ってマントごと脱ぎ捨てる。一歩引いて小銃で牽制、体勢を立て直し、再び太刀を構え直す。

    「俺はお前の罪を肯定する。お前が自分の罪を肯定できる日まで、傍にいる!」

    「理解できない」

    「なら何度でも教えてやるよ、お前は愛されていい存在なんだって。この身で証明してみせる」

    「んな、ことが、許されるわけッ、」

    「俺が許すっつってんだろ!!」

     ほんの、一瞬だけ。

     グエルの太刀筋に迷いが生じた。それを逃すシャディクではない。力をこめて、武器を弾き飛ばす。同時に腹のあたりに蹴りを入れ、グエルの体勢を崩した。一瞬で武器を失った上に床に倒れ込んだグエルは、すぐに立ち上がろうとする、が、それより先に、シャディクの持っていた剣の切っ先が、喉元にあてられる。

    「俺の勝ちだ」

    「……」

    「……だから、もどって、きて」

    「…………」

    「また昔みたいに……何のしがらみもなく『腐れ縁』でいられた頃みたいに、笑ってよ。グエル……」

    流石にRP補正dice1d3=1 (1)

    1:「……好きだよ」突然のBLに対する危機感で↓の正気度に+dice1d100=92 (92)

    2:「ニカやチュチュ、スレッタやミオリネも、待ってる」仲間補正で↓の正気度に+dice1d50=45 (45)

    3:そんな世界はないよ

    グエル正気度:dice1d100=75 (75) (87)

    補正込で87以上の数値になったらおれは しょうきに もどった!できるよ

  • 159二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 00:09:01

    このレスは削除されています

  • 160二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 00:09:54

    「……好きだよ」

     シャディクが、ぽつりと。

     祈るように、つぶやいた。

    「好きだよ。小学生の頃、いたずらしてさ。先生に怒られたとき、一緒にあやまってくれたよね。そのあとずっと手を繋いで慰めてくれた。あの時からずっと、俺はお前のことが好きだった。あの時から、ずっと……俺はお前を、救いたかった……」

     シャディクが独白するように言う。その声はあまりにも悲痛で、真っ直ぐで。男同士とか、そんなこと関係ない。ずっと一緒に居たい。友情、でもあるけど、友情じゃない。喉先につきつけられていた刃がからりと落ちる。かわりにグエルの手を取って、懇願するように囁いた。

    「どうか……穢さないでくれ、グエル……」

     シャディクの手は、熱くて、大きくて。

     記憶に在る小学生の頃の、小さくて柔らかな手とは違う、と、ふと思った。グエルはくちびるを開いて、小さく「シャディク……」と呟き__

     全力で背に冷や汗を滲ませた。

     喉元から刃(物理)は去ったが刃(BL的な意味で)はむしろ執行秒読みレベルまで近づいてる。何がヤバいってとんでもない数値出しやがったから直告白で逃げ場がねえ。もう空耳作戦も使えない段階まで来てる。てかなんだよ小学生の頃からって。幼い日の俺は何をしてるんだよ。時限性のやつかよ。いやずっと見えてる地雷が傍に埋まってたンだから処理しろよ過去の俺馬鹿!!

     ……シャディクの瞳は、震えている。

     およそ愛の告白をしているとは思えないほど、頬が青ざめている。

     グエルはシャディクの手を見下ろした。その左の手の甲に咲いている赤色の紫陽花に、躊躇いがちに、触れる。あまりにも儚く、薄く、頼りない感触。そして__

    dice1d3=1 (1)

    1:「ごめん。シャディクのことをそういう目では見れない」とキッパリ断る最終手段に出る!「でも……そう言ってくれて、嬉しかった。ありがとう」

    2:「今はそんなことをしている場合じゃないだろう」と話を逸らす。「まずは世界を救うために、『レガリア』とdice1d2=2 (2) (1:戦闘 2:交渉)と洒落こもうか……シャディクさえよければ、一緒に行こうよ」

    3:ウワ背後から爆発音!?ウワアラウダ(推定ラスボス)!?!?

  • 161二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 00:15:04

    dice1d3=2 (2)

    1:「……そう、だね。そうだね」泣き笑いを浮かべる。未練はあるが諦めたっぽい。グエルへの湿度はdice1d50=47 (47) 程度残る

    2:「……そっか。あーあ、また、振られちゃった……」乾いた笑顔を浮かべる。かなり引きずるが諦めたっぽい。グエルへの湿度はdice1d100=41 (41) 程度残る

    3:「……ああ」うん!諦めたっぽいな!!(全く諦めてない)

    これからの行動方針はdice1d3=3 (3)

    1:「……俺はこのままあいつらの味方をするフリをして、こちらの情報をお前に流す。安心しろ、俺は信頼されているから」とスパイになる宣言

    2:「……なんとか、ラウダと交渉できないだろうか。あちらにも事情はあるんだ」と考えてみる。

    3:うるせェ!行こう!!(戦闘)

  • 162二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 07:36:12

    ここのグエルはどんな世界でも変わらず猪突猛進だなー

  • 163二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 12:56:20

    (このシャディクめっちゃ応援したくなるな…)
    まず1つフラグを折れて良かったね!

  • 164二次元好きの匿名さん24/01/19(金) 13:22:42

    狂気と正気の間を行き来しててもも、BL展開の兆しにはやたら警戒するグエルに笑っちゃう

  • 165二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:00:21

    「ああ」

    「……」

    「やっぱり兄さんはそうなんだね」

     再び、対峙する。

     まだ、許しきれたわけではないし、認められたわけでもないと、思う。だけど世界を滅ぼして、どうする。復讐をしてどうする。そんなことをしたら、結局はグエルたちだって、『レガリア』の者たちが憎んだあの行為と同じになってしまうのではないか。だから、止めなければならない。他でもないグエルには、その義務がある。止めないと。止めたい。止めてみせる。

     立つ。

     グエルは__結局のところ、戦うことしかできないのだ。それこそダリルバルデがグエルを選んだのだって、そういう愚直なまでの強さがあるからこそなのだろう。だから『魔法少女』になった。だから『運命』に選ばれた。だから、

    「グエル」

     シャディクがグエルの手に、自身の手を重ねる。その指先に一切の色めいた様子はなく、ただ、隣に並び立つものとして。固く、離れてしまわないように、祈るように、微笑んでいる。

    「……信じてる」 

     __だから、今、この瞬間。

     グエルは本当の意味で、誰かの__シャディクにとっての『希望』になることができた。

     グエルの体が真っ白な光に包まれる。ふわ、と光が弾けて、おちてきたグエルの衣装には、かつて金糸の縫い取りがされていた部分に、同じくらい真っ赤な糸で装飾がなされている。右のアームカバーには、紫陽花のような形の刺繍までうまれていた。グエルはそれをほんの一瞬、煩わしげな顔で見た後、ひら、と。マントをはためかせる。たとえどれだけ残酷でも、たとえどれだけ悍ましい真実を隠していたとしても。

     この世界で生き続けること、そのすべてを愛せるように。

    「『希望』の魔法少女 グエル」

     振り上げた腕には、純白の槍が握られていた。

    「お前の『運命』を、救ってみせる!」

    dice1d3=3 (3)

    1:こう……うまいこと……ラウダを生け捕りにする!

    2:くせん、して__ッ、シャディク!(咄嗟に庇ってしまう)

    3:あっ(dice1d3=3 (3) (1:グエル 2:シャディク 3:ラウダ)の急所がガッツリ貫かれる)

  • 166二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:22:52

    「__やっぱり、無駄だったか」

     ラウダの腕が、どこからか巨大な剣を取りだす。それを、振るう。グエルはシャディクに一瞬目配せして、身を低くして突撃した。シャディクの武器はなんか……何故か……こう……腕に直接取り付ける形になっている。ビットなんかなら払い落とすことができるだろうが、あそこまでの質量兵器では返り討ちにあうのがオチだろう。であれば直接対峙はグエルの役目だ。

    「ラウダ、こんなことはもう、やめよう。やめてほしい、そんなことして、天使たちだって、愛するものがいる、帰りを待って祈るものがいる、俺達と何も変わらないんだ!」

    「ああ。兄さんはそういうって、わかってた。兄さん僕はね、理解して、そのうえでやってる」

    「怒りを晴らすためのやつあたりか」

    「違う、『聖戦』、再征服だ。この世界を僕達の手に入れる」

    「倫理観が文字通り中世かよ!!」

     グエルの槍がラウダの体を弾き飛ばす。同時にシャディクが肉薄するが、ラウダはそれを、マリーゴールドの盾を展開するだけで収めた。ひら、と花弁がひろがって、世界が金色に覆い隠される。

    「『敵』は根絶やしにする」

    「それが『運命』だと?」

    「……あなたはきれいだから、それを嫌うかもしれないね。そういう兄さんが、僕は、」

    「ああ嫌いだ、そんなやり方認めない、だから必ず、お前を止めてみせる!」

     __ラウダ・ニール、『レガリア』の王子!

     マリーゴールドの盾を裂いて、純白の刃が閃いた。

     確かな手ごたえ、やった、勝った、俺は、止めることができた!溢れる歓喜に身体が包まれ、「シャディク!」と顔をあげようとした、ところで。

     白い衣装が、赤く染まっていることに気づいた。

    「……へ……」

     黄金色の光が散る。ラウダは穏やかに、微笑んでいた。グエルの槍が、その胸を真っ直ぐに貫いていた。

    『だ い す き』

     血混じりに、かひゅ、かひゅ、と漏れ出る息が、その音を意味していると理解したとき。

     グエルは、壊れたように絶叫した。

    dice1d3=2 (2)

    1:な……なんとか助けないと!

    2:とどめを刺した方が、いいのか?

    3:「グエル」……その声は、ダリルバルデ?

    グエル正気度:dice1d47=10 (10) シャディク正気度:dice1d73=32 (32)

  • 167二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:41:03

    「……ぁ……」

     崩れ落ちる。

     ラウダはぐったりとしている。まだこの槍が刺さっているから、完全には死んでいないらしい。ただし槍を抜けば、今度こそ、たぶん、死んでしまうだろう。え何死とかそういう世界あるのこの世界。本家はハピエン確定だっただろ。え?向こうは向こうで幽霊とか死ネタとかそういうのは出てくるって……?

     __父を殺して、

     次は弟を、殺して止めるのか。

     グエルのくちびるに、こらえきれないとばかりに笑みが浮かぶ。どうして自分が笑っているのかわからない。だけど、どうしてか、笑いが止まらなかった。泣きそうだった。自分がいやでいやで仕方なかった。間違った結果を信じていたとは思わない、ただそれを遂行する過程で、グエルは取り返しがつかないほど間違えてしまった。グエルがよろよろ、と、ラウダに突き刺さった槍に手を掛けたあたりで、今まで呆然としていたシャディクがこちらに駆け寄ってきて、「グエル!」と叫んだ。

    「な……なに、やってるの、グエル!」

    「何って……弟を殺した……それで……」

    「殺してない、殺してないよ、まだ息はある、治癒魔法をかけて、それからミカエリスたちに見てもらえば、助かるはず、はずだから、グエル、」

    「……」

    「グエル!」

     シャディクの顔だって、真っ青だ。

     当然であろう。はじめて人間が、死ぬところをみたのだから。グエルは冷静だった。冷静であるつもりだった。もう、こうするしかなかった、なんて言い訳をするつもりはない。グエルは選んだのだ。そこに、責任を持たなければ、ならない。

    「……グエル……」

     シャディクの衣装は赤いから、こうしていると、まるで自分がもともと朱であったような幻覚に陥りそうになる。

    「なんで、こうなっちゃった……ん、だろうね……」

     __そんなはず、なかったのに。

    dice1d3=1 (1)

    1:……槍を、引き抜く。

    2:「ごめん」ウワアシャディクが手刀!シャディクはdice1d3=3 (3) (1:ダリルバルデにラウダを預けて自分はグエルの傍にいる 2:自分はラウダの様子を見てダリルバルデに傍に憑かせる 3:グエルを一人でそっとさせておく)

    3:ここからでも入れる保険があった!?なんか突然ラウダの体が光り輝き始める!?!?

  • 168二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 00:46:42

    グエル正気度:0


    「……」

     シャディクが絶句している。

     静謐な空間の中に、光のない外に向けられた窓から、薄い明かりが差し込んできている。グエルの衣装はもはや真っ赤に染まっていて、元が何色であったか思い出すことすらできないほどだ。ただしその赤はシャディクが身に纏っているような、穢れない、無垢な、赤。ではない。今この瞬間『レガリア』の王子は討たれ、その侵略戦争は終わりを告げた。二人は間違いなく世界を救ったのだ。じきに第五層にいる怪物たちも消え、第六層だっていつか奪還されるだろう。グエルは確かに、正しいことをやってのけたのだ。

     そうだ、英雄。

     お前が殺した。

    dice1d3=1 (1)

    1:……帰ろう

    2:「シャディク、俺はここに残る」

    3:ダイナミック・シームレス・自害

    ら……ラウダぁ!?dice1d3=2 (2)

    1:幽霊とかになる保険がある

    2:生き返れる保険がある

    3:そんな世界はないよ

  • 169二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 01:08:07

    「……帰ろう」

     グエルが立ち上がり、すうと変身を解除する。とたん、赤黒いマントはすうと姿を消し、代わりによく身に慣れた制服が現れた。シャディクもあちこちぐるぐると視線を回した末に、変身を解除し、グエルの手を取る。

    「うん、帰ろっか、グエル……」

     __ただ、履き古したスニーカーだけが、微かに血で濡れて湿っていた。


     シャディク・ゼネリは焦っていた。

     いやだってこれこのまま帰したら死ぬ奴じゃん。シャディクはBLフラグという言葉は知らなかったが、死亡フラグという言葉は知っていた。というかそうでなくても今・もともと割と死にたいとは思ってたっぽい・父殺しのトラウマまで喚起されている・SAN値がゼロと役満状態で放置できるほどシャディクは薄情じゃない。無気力にふらふらと歩くグエルに無理矢理ついていくようにして、できる限り明るくあれこれ話しかけるようにつとめる。たとえば折角だから食事をしようとか、久々に一緒に風呂入ろうとか。返事はなかったが、何もしないよりはましだ。多分。

    「ただいま」

    「……おじゃま、します?」

     家には誰もいない。グエルは三年前のあの日から一人暮らしを続けている。そのため間違ってもあたたかな光などこぼれてこず、楽し気な笑い声など聞こえてこず、おいしそうなごはんのにおいもせず、茫漠とした薄暗がりが広がるばかりのはずだ。

     その、はずだった。

    「おかえり、兄さん!今日はおそかったね。あれ?シャディクも一緒なの?」

     __そこにいるはずのない存在が、ぱっと笑っているのを、見て。

     シャディクは__グエルは、目を見開いた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「……ああ、ああ、ただいま、ラウダ!(狂ったまま現状を受け容れる)」

    2:「……な、んで。俺が、殺したはずじゃ……(狂ったまま現状を拒む)」

    3:「……ラウダ?ラウダ、なのか!?(正気度がdice1d100=29 (29) に回復する)」

    このラウダはdice1d3=2 (2)

    1:いたかもしれないパラレルラウダ 厳密には同一人物ではない

    2:運命の力で死の縁からよみがえってきたラウダ なおそこで力を使い果たしたので記憶はない

    3:本人だしバッチリ記憶ある

  • 170二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 12:02:14

    自力で生き返れるとか凄いな『運命』

  • 171二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 12:40:59

    あのですね、最後の選択肢、どれ選んでもグエルくん狂ったまんまなんですが…
    おーい、戻ってこーい

  • 172二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 17:39:46

    「……な、んで……」

    「グエル?」

    「俺が、殺した。俺が殺したはずじゃ……」

    「グエル?グエル!」

     シャディクがグエルの肩を揺さぶる。グエルは目を限界まで見開いて、息を切らして崩れ落ちる。ラウダ__らしき存在__が、困惑したように「兄さん?」と尋ねるのを、グエルはくちびるを震わせて聞いていた。

     殺したはずだ。確かに。とどめを刺したはずだ。それがけじめだと。仮にコイツが生き返ったなら、何故父さんは戻ってこないんだ? わからない、わからない、何も__

    「……グエル」

     はっと、顔を上げる。

     振り向けばそこには、ダリルバルデがすうと浮いていた。赤い機体は朝日を浴びてきらきら、傷一つなく輝いている。

    「『レガリア』の一件は過激派の独断専行として処罰するつもりだ。今回の叛逆を材料にすれば可能なはず。きちんと審問官の__ミカエリスの処罰を受けるつもりだよ。言い訳をする気はない」

    「これが……俺が望んだ結末なのか?」

    「さあ。ただ、ソイツに俺は関与していないよ。きっと死の淵に在ってなおも、家族を想う気持ちがあったから__『運命』が、微笑んだんだ。それは確かだ、お前は確かに『希望』になったんだよ」

    「……」

     グエルが黙り込む。

     シャディクがグエルの左手に触れた。少ししかそこになかったはずなのに、やたら見慣れた気のする白薔薇が、すう、と姿を消す。同様にシャディクの真っ赤なアジサイも、光に溶けるように姿を消した。ダリルバルデは、しかし__グエルの手を、離さない。

    「数々の迷惑をかけた。これから先はお前たちの物語だ、魔法少女ごっこはおしまい。本来そこに存在していた平和を、我々によって奪われていたそれを、享受すればいい」

    「……」

    「人間ならこういうとき、さようなら、というべきだろうか」

     無機質な機体は、表情もないのに、笑っているように見えた。

     シャディクが「グエル……」と困ったように自身の左手をさすりながら見る一方で、ラウダは不思議そうな顔でこちらを見ている。

    「……二人とも、さっきから何をしているの?そこには何もいないじゃないか」

    dice1d4=4 (4)

    1:……シャディクと話がしたい

    2:……ラウダと話がしたい

    3:……ダリルバルデと話がしたい

    4:……一人で考え事がしたい

  • 173二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 17:47:50

    「兄さん?」

    「ラウダ、シャディクに茶を出しておいてくれ」

    「グエル、どこに」

    「すまない。……少し一人になりたい」

     グエルは夕焼け空に消えていく赤い機体を見送った後、そう言い残して家を出た。

     もとをただせば戒令院が、レガリアの開発したグエルたちの使う『魔法少女』、というよりダリルバルデたち天使の扱う力とそっくり同じ技術を危険視して、滅ぼした。その余波を受け、父は狂い、グエルはそれを手にかけた。そこからはじまった異世界との闘いはラウダ__というよりはレガリアの王子、黒幕、ラスボスの死を以て終わりを迎えた。これから先グエルはもうあの力を振るうことはないだろうし、いずれ父を、弟を刺殺した感触も思い出になる日が来る。

     ラウダは生きてる。最早魔法少女もレガリアも天使も覚えていない、ただの無辜なる抽象層の人間として、生きている。

     ひら、とどこかの家の洗濯物がはためいた。真っ白なバスタオルは、かつて__そう、『かつて』グエルがまとっていたマントのようにも見えた。それを見ながら、グエルはぺたんと座った。

     辿りついたのは、最初にダリルバルデと話した、あのベンチだ。

     ……

    「とりあえず、オメガバース魔法少女要素は消えたからヨシ、とするか」

     空元気のように明るく出したはずの声は、どういうわけか、酷く震えていた。

    dice1d3=2 (2)

    1:「残念ながらそれはないみたいだよ」と……その声は、五号!?

    2:「……ん?」と……あの姿は、オルコット先生!?

    3:__強烈な、甘い、におい!?

  • 174二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 17:58:35

    「ん?」

     グエルが黄昏れていると、不意に遠くの明かりの中に見知った顔を見つけた。

     オルコットだ。なんだか少ししか離れていないはずなのに、ずいぶん懐かしい顔であるように感じる。なんだか決まりが悪くて思わずぴっと背筋を正すと、オルコットは一瞬怪訝な表情をして、こちらに近づいてくる。

    「帰りなさい、とは言わないが。何をしている、こんなところで」

    「えっとそれは……その……」

    「『魔法少女』のことか」

    「お……ぼえてる、んですか」

    「……赤い天使が、プロドロスを迎えに来た」

    「ああ……」

     本格的に、この世界からは魔法少女が、というより『天上層で起きたことにまつわる痕跡』が消されつつあるのだろう。むしろグエルたち当事者に記憶が残っていることの方が奇跡と呼べるかもしれない。

     グエルが何ともいえず微妙な顔をしていると、オルコットは多少__いやこれはBL特有の察しの良さではないと信じたいが__複雑な事情があることを理解したらしい。「無理に話せとは言わない」とだけ簡単に断りをいれて、重く深い、ため息をついた。

    「必要なら家まで送るが」

    「先生、俺は大丈夫です」

    「大丈夫な顔をしていたら、こんな提案はしていない」

    「……」

     俯く。

     こうして一人で整理をしていて、自分の精神がズタボロになっているらしいことを俯瞰するだけの心の余裕は生まれた。今の自身に必要であるのが精神的な療養であるらしいのも、多分理解している。主に正気度とかSAN値とかがまずいことになっていると、なんなら演出上の都合でめちゃめちゃ書かれていたので。

     グエルは__

    dice1d3=3 (3)

    1:「……おねがいしていいですか」と頼む。

    2:「……今、家に帰りたくなくて……」としどろもどろに言う。

    3:「今差し迫った事情があり絶対家に帰りたくなくてビジネスホテルとか泊まりたいんですけどお金貸してくれませんかね?」と早口でまくしたてつつカツアゲする。

  • 175二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:09:45

    「すみません差し迫った都合がありちょっと家に帰りたくないんですがビジネスホテルとまるんでお金貸してくれませんか?」

    「……大きく出たな」

    「ここで意味深に俯いたらあんたのルートに入りそうだったんで」

    「ル……?」

     グエルは冷静になっていた。

     そしてわりと図々しかった。

     そのためここで「家に帰りたくない」はすなわち「なら俺の家に来るか」の前振りになると理解していたし、かといって家に帰ったら帰ったで現状フラグぢからが高いTOP2に挟まれることになるのは目に見えている。のでここで選ぶべきなのは栄光ある孤立。スプレンディド・アイソリューションである。いやオルコットに金銭面からタカろうとしているあたり全く孤立しているわけではない気もするが。それはそれ、これはこれ。孤立とは魂の在り方であり、精神の持ちようである。

     オルコットはしばらく考えを巡らせたあと、ため息をついた。それからスマートフォンを取りだし、幾らか操作したあと、グエルの方に手を向ける。

    「先生?」

    「……一人になる時間も必要だろう」

    「あ、……ありがとうございます、先生」

     グエルが慌てて立ち上がる。そしてオルコットについて歩き始めたところで、不意に、オルコットがぽつりと語る。あの赤い天使は、怪物の主格となる存在を倒したから撤収するのだと言っていた。それとお前の様子を鑑みるに、お前がなにかやったらしいことは、察しが付く。グエルがぱちぱちと目を瞬かせると、オルコットは小さく呟いた。

    「俺の息子は『怪物』に殺された」

    「__」

    「だから。お前には感謝している、ありがとう」

     空を見上げる。

     沈む前のひと際明るい太陽が、金色に輝いていた。

    dice1d2=2 (2)

    1:「……同じ、ですね」と言いつつ洗いざらい何があったか吐く

    2:なんも言うわけねえだろここまで来て

  • 176二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:15:40

    すげぇ!!今回のグエル強いぞ?!?!

  • 177二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:23:01

     今グエオルグエルートに入ると思ったか?入らないんだなァこれが!!

     今回のグエルは今までの迂闊・ジェタークとは違うのである。BL回避の四か条、触れない・言わない・目を合わせない・関わらない。ここまできれいに可能な限りフラグをへし折ってきて最後の最後でヘマをやらかしてたまるものかよ! 今現在家にいる二人には「今日は別所で泊まる。心配はいらない」とキッチリ連絡を入れて、チェックインをすませたところでオルコットとも別れ__我ながらほれぼれするほど完璧である。つよい。白いグエルだから完璧だった。多分赤いグエルだったら全然捕まってた。ザクとは違うのだよザクとは!なんだよザク!!

     無機質なベッドに横たわり、深くため息をついて考える。

     これで終わった。これから先もグエルの人生は続いていくだろうけれど、ひとまずこれで、この事件には幕引き。それでいい。それでいい、はずだ。もう白い薔薇はないし、そもそも魔法少女という概念が世界から消去されたわけだから、所謂オメガバース__というやつになることもない。最早タイトル詐欺の域である。そうだ。今までにコネクト(古の単語)してきた奴らに関してはよろしくやればいいとおもうが、少なくともグエルは誰ともコネクト(隠語)してないしするつもりもないので関係ない。

     関係ないはずだ。

    「……」

     ぱた、と横たわる。

     目を閉じ、眠りにつこうとする。

     さすれば瞼に遮られた薄暗がりの中に、あの時の悲鳴や、感触や、鉄錆の臭い、確かに感じた絶望、罪悪感が、よみがえってくる。吐き気がする。が、それらはすべて、「過去」のことにしてしまおう。きちんと棚に収納して、いつかきっと、そんなこともあった、なんて笑い話にして。

     そうして、次の日を『希望』と共に生きていけるように。

    グエル精神力回復:dice1d100=86 (86)

    dice1d3=1 (1)

    1:何事もなく翌日(トゥルーエンド)

    2:ウワアdice1d2=2 (2) (1:シャディク 2:ラウダ)から電話!!

    3:「たたた大変ダリ~~~~~!!!!!!!」?????

  • 178二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:33:52

    (エンディング)


     グエル・ジェターク、十八歳。

     彼は気付いていた。この世界がトンチキBL胡乱アンソロジー時空であると。しかしその終わらぬ争いに終止符をうち、『魔法少女』を止めたのは、他でもないグエルだ。世界は救われ、これからはただの平和なだけの謎学パロ世界として全うするのだろう。

    「おはよう、兄さん!昨日は心配したよ、突然いなくなっちゃうんだもの」

    「ああ……おはよう」

     ラウダは最初から、グエルの隣のクラスに通っている生徒だった、ということになったらしい。なんか何らかの世界を捻じ曲げている気がするが全部運命なので全然関係ないだろう、納得!

    「あ、……おはよ、グエル」

    「おはよう」

    「えっと……あの、あの時のこと、全部忘れて!それからその。また、仲良くしてくれるかな」

    「あー……もちろんだ」

     シャディクとの関係も、あの日以来のぎこちないものでも、それより前の腐れ縁の時代の頃のものでもない、新たなものになりつつあった。これがこの先どうなるかはたぶん、グエルの行動次第、といったところであるだろうが__

    「あ、オルコット先生」

    「おはよう」

    「あの、お金返します」

    「いらん。もっていけ」

    「でも」

    「いいから」

     言い含められれば、グエルとて強く出ることはできず、ただ「ありがとうございます」と頭を下げることしかできない。この三人だけじゃない、五号、ニカ、チュチュ、スレッタ、ミオリネ。それと何故かこっちの世界にいる(多分ラウダと一緒に運命を捻じ曲げて入り込んできた)フェルシーやペトラ。皆この世界が脅かされていたとも知らず、『これから』を歩むのだろう。

     それでいいとおもう。

     違う、グエルはそれが、よかったのだ。こうしたかった。こうするために、今まで戦ってきたのだ。

    「グエル」

    「なんだシャディク」

    「今俺、すっごく『幸福』だよ」

    「……そうか、それはよかった」

     グエルが微笑む。突き出された拳に軽く己の拳をあてると、身の奥に達成感が湧いてくる。

     あるいは、こういうべきだろうか。

     グエル・ジェターク大勝利!希望の未来へレディ・ゴーッ!!

    【グエルは世界にあらがえた!エンド】

  • 179二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:38:13

    ちょっとオマケ

    エンド後魔法少女要素は消えますがオメガバース要素はdice1d2=1 (1)

    1:残る

    2:残らない

    ダリルバルデはdice1d3=1 (1)

    1:戒令院の大改革によりピタゴラ式にトップになる

    2:戒令院の大改革により職を追われ、プロドロスの面倒を見る係に任命される

    3:天上層では紆余曲折あるので何故かミカエリスと結婚する

    ラスト三人衆のグエルとのフラグ可能性(高いほどくっつく率が高い)

    シャディク:dice1d100=27 (27)

    ラウダ:dice1d100=14 (14)

    オルコット:dice1d100=57 (57)

  • 180二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 18:49:55

    ここまでBLに争って完全勝利する展開は珍しいな
    (魔法少女になった弊害でオメガバース要素は残ってしまったけど)

  • 181二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 21:51:37

    すげぇ誰もフラグ高くない!!オルさんは低くもないので危険だが
    これはマジで生涯逃げ切り孫の顔エンドあるのでは??

  • 182二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 22:24:56

    シャディクが『幸福』になれて良かったし、グエルに『希望』が出てきてよかった!
    そして最後のダイスさん、いつもオルコットにはしっとりしがちな性分がこの時空でもwでも6割り程度だから大丈夫?どうなのかな?

    毎日のようにお話読めて、ホント楽しかったです!!いつもありがとう!!

  • 183二次元好きの匿名さん24/01/20(土) 22:52:01

    過去イチ強いグエルだったまであるな今回
    ストーリーめっちゃ読み込んでしまったよ!ありがとうスレ主!

  • 184二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 10:17:10

    グエル強い!
    今回も楽しませてもらいましたスレ主感謝!

  • 185二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 21:39:32

    完勝おめでとう!!
    楽しかったです!

  • 186二次元好きの匿名さん24/01/21(日) 22:45:15

    『だ い す き』
     血混じりに、かひゅ、かひゅ、と漏れ出る息が、その音を意味している
    ↑ここ、可哀想なんだけど切なくて…凄く好きな表現でした…ありがとう…

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