- 1新スレの124/01/05(金) 19:41:45
- 2新スレの124/01/05(金) 19:43:07
- 3前スレの124/01/05(金) 19:49:08
立てありがとうございます
すみません続きって勝手に書いてって良い感じですか? - 4二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 19:50:09
立ててくれてありがとうございます!
- 5新スレの124/01/05(金) 19:55:00
- 6前スレの124/01/05(金) 20:00:47
- 7二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 20:46:13
前スレ落ちてたんか!
ありがとう楽しみにしてたから助かる〜 - 8新スレの124/01/05(金) 21:04:20
楽しみな人が多いみたいでスレ立てして良かった
- 9二次元好きの匿名さん24/01/05(金) 22:04:58
スレ残し加速
- 10SS24/01/05(金) 22:20:03
目が覚めると、そこに広がるのは知らない天井だった───なんてベタな展開がまさか自分に起こるとは
「どこだここ…」
ズキズキと痛む頭を抑えながら、潔世一は上半身を起こす。手のひらに伝わる柔らかいフワフワは、見るからに高級そうなベッドの感触だった。辺りを見渡すと、簡素だが上品な一室で自分が眠っていた事が分かる
「俺、何してたんだっけ」
自分の状況はひとまず横に置いておいて、何故こんな所に来る事になったのかを思い出そうと考え込むが、しかし最後に思い出せる記憶はお腹が空きすぎて道端にしゃがみ込んでしまったところまでだ
コンコンと軽いノックの音が響く
「失礼します」
「ど、どうぞ」
掛けられた声に思わず返事を返すと、ドアノブが回って中に誰かが入って来た
「お目覚めのようで。お身体の方は?」
「えっ、あ、大丈夫です」
訪ねてきたのは見上げる程の巨大な老婆で、着ている服から察するに使用人のような者だろう。うやうやしい態度で潔へと接してくる
「それはようございました、坊ちゃまがお待ちです。ご足労願います」
「…はい」 - 11SS24/01/05(金) 22:21:30
老婆の後ろを歩きながら、潔は自分の居るこの建物を観察する。真っ白い壁に見るからに高級そうな調度品。窓から見える景色には丁寧に整えられた木々と家というには大き過ぎる建物があって、まるで外国の城に来てしまった様だと感嘆のため息を漏らした
「あの俺、昨日の記憶が無いんですけど」
恐る恐る老婆へそう尋ねると、老婆は振り返ることなく
「坊ちゃまからお話して下さるでしょう」
と返す。先程から言っているその坊ちゃまとやらは一体何者なのだろう、というか、自分はどんな経緯でここへ来る事になったのだろう。それもこれも、その人へ聞けば分かるのか?
「この部屋です、どうぞ」
とある一室の前で立ち止まった老婆は、その扉の前で頭を下げ、潔に入室を促す。その行動に従い、潔はドアノブへと手を伸ばした
「し、失礼します」
身体の半分ほど開けた扉の隙間から中を覗くと、そこには広い部屋があった。長い机に並ぶ椅子。そのうちの一つに、誰かが座っている
「……来たか、待ってたぜ」
その人物は読んでいた本をパタリと閉じると、好奇に輝く目を潔へと向けた - 12二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 08:30:52
出勤前ほしゅ
- 13二次元好きの匿名さん24/01/06(土) 13:21:48
- 14124/01/06(土) 22:29:01
- 15二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 07:42:39
- 16二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 11:09:05
- 17SS24/01/07(日) 21:15:37
「好きなとこに座れよ」
男にしては長めの紫色の髪を耳に掛けながら、部屋の中に居た人物は潔に着席を促した。警戒しながら一番端っこの席に座ると、男は楽しそうに笑う
「んな怖がるなよ、本当なら俺がお前にビビるトコなのに」
「え?」
「いやぁ、昨日は参ったぜ。生まれて始めて赫子を食われた!しかもお前みたいなフツーっぽい奴に!お陰で今日は鍛錬出来なかったんだ」
「ちょっと待って、昨日の事って何?ごめん、俺全然覚えてなくて」
「そうなん?まー確かにちょいブッ飛んでたカンジだったな…」
ふむ、と顎に手を当てながら考え込む男。身に付けている服も腕時計も見るからに一級品で、相当なお金持ちだということが分かるが、先程の言葉から察するに喰種だろう
(喰種なのに、富豪?)
「じゃあ昨日の事を話してやるよ、おっとその前に自己紹介しなきゃな。俺は御影玲王だ」
「あ、どうも潔世一です…って、え?御影ってあの御影コーポレーションの!?」
「おー知ってる?ま、そりゃそっか。良いリアクションくれるじゃん」
いたずらっぽい笑みを浮かべて潔の反応を楽しむ男だが、言っていることはとんでもない。御影コーポレーションといえば、世界でも指折りの歴史と財力を持つ会社だ、つまり、彼は名前の通りそれを統べる一族に連なる者だろう
「喰種が大会社を仕切ってる…頭痛くなってきた」
「ははっ!そう言うなって。案外常識人?ギャップすげー、面白い奴だなぁ」
※人間社会に溶け込んでいる設定なので、レオパパではなく御影の祖先が財を成して地位を確立したという設定に改変しました - 18二次元好きの匿名さん24/01/07(日) 22:30:32
- 19二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 08:58:19
昨日に一体何があったんだよ潔
- 20SS24/01/08(月) 18:07:23
「それで、俺は昨日、御影さんと戦ったの?」
「玲王でいいよ。そのとおり、俺とお前は昨日一戦交えたんだ。実はお前が【悪童】と【悪食】を相手取ってる所を見ててな、あれは驚いたぜ!まさか勝っちまうなんてよ」
「あく…え?」
「知らないのか?あの二人は喰種も白鳩もヤワなやつなら尻尾巻いて逃げ出すくらいの強さと残虐さで有名なんだ」
「へぇ、そんなに」
随分な評価だが、そんな二つ名は知らないし勝ってしまっているのでピンと来ない。曖昧な返事を返す潔に、玲王はますます面白そうに笑った
「お前って世間知らずだな、今までどうやって生きてきたんだよ」
「世間知らずっていうか喰種知らずっていうか…仕方ないだろ、ついこないだまで普通の人間だったんだからさ」
「────あ?」
笑いながらからかわれた事で、ムッとして軽く言い返すと、どういう訳か玲王がはたと動きを止めた。驚愕と戸惑いの混ざった表情で潔を見てくる
「なんだって?今、人間だったって言ったか?」
「え、うん…やっぱ稀なの?」
「稀っていうか、そんなの白鳩の胸糞わりい新兵器でしか聞いた事…いや待て、お前の事天然の半喰種かと思ってたけど、まさか白鳩なのか」
「白鳩って喰種捜査官の事だよな、全然違うけど」
「はぁ?じゃあどういう事だよ」
「いや俺も知らないよ、事故に遭って目が覚めたらこうなってたんだもん」
「事故に……?」
自分がどうして喰種になっているのか分からないこと、その経緯を軽く説明すると、玲王は難しい顔をして黙り込み、内ポケットからメモ帳を取り出したかと思うと、そこに何かを書き込み始めた - 21SS24/01/08(月) 18:11:08
「そっか…大変だったな。こっちでも色々調べてやるよ、その病院の名前は?」
「えと、〇〇病院」
「デカいな」
「結構な事故だったから」
メモし終わると、玲王は再び内ポケットにメモ帳をしまい直して話の続きを始める
「昨日の話に戻るけど、俺は興味本位でお前に近付いたんだ。戦うつもりは無かったんだが、声を掛けた瞬間襲い掛かられてさ」
「えぇ?俺が?」
「そう。でも俺も戦ってみたいと思ってたから丁度いいやって迎え撃った訳よ。そんでお前にボコられたんだ」
「ボコられたって…無傷じゃん」
「そうでもねぇよ?見てみるか俺の赫子」
「うん」
自分が本当に目の前の男と戦って勝ったのか、記憶が無くて実感も無かったので、その傷とやらは気になった。見てみるかという問いに頷くと、玲王は上着を脱ぎ、シャツをたくし上げて腰を見せてくれた
「うわ…」
「グロいだろ」
玲王の腰は全体が赤黒く変色しており、所々に深い噛み跡が残っていた。この惨状を自分が作り上げたのかと思うと、潔の背にゾッとしたものが走る
「途中でばぁやが助けてくれなかったらマジ危なかったよ、赫包もあと少し深く傷付けられてたら再生しなかったんだって」
「……ごめん」
「謝んなよ、負けたんだから当然だ」
「でも、どうして俺はこんな事」
「俺もそれが気になってたんだけどさ…お前、人間を食べてなかったろ」 - 22SS24/01/08(月) 18:13:04
「当たり前だろ、そんな事出来るワケ無い」
「だろうなぁ、元人間だったなら納得だ。お前、腹を空かし過ぎてたんだよ」
「お腹が減ってたのはそうだけど、それだけで正気を失うなんて事あるのか?」
「あるんだよ、喰種ならな」
シャツを戻し、上着を着直しながら玲王が説明を始める
「喰種の飢餓は苦しいなんてもんじゃない、人間でも分かるように例えるなら、薬物の禁断症状みたいなもんが出るんだ」
「禁断症状…」
「そう、だから俺らは最低でも1ヶ月に一回は人肉を食わなきゃならない」
「…他の食べ物で代用出来たりは」
「無理だな、お前もう人間の飯は食った?クソマズだったろ」
「うん」
「俺らは人肉以外は食えねぇの、死にたくなきゃ覚悟を決める事だな」
そう言われても、納得は出来ない。人なんて食べたくないし、挙げ句命を奪うなんて自分には不可能だ…と、そこまで考えて潔は、自分の腹が空いていない事に気が付く
「あれ、でも俺、今はあんまりお腹減ってない」
「………」
「なんでだ?玲王の赫子を食ったから?」
「…いや、その。お前が元人間だなんて知らなくて、お腹空いてんのかなってのはちょっと気付いてたからあくまでも善意でな」
「は……え?」
「その……ごめん」
申し訳なさそうに目を伏せた玲王の顔を見て、潔は全てを察した
───と、同時に口を抑えて蹲る - 23二次元好きの匿名さん24/01/08(月) 22:40:52
- 24二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 09:43:12
懐かしさで喰種をパラパラと見返したら
御影が居た!
カレンとかいうアシメを逆にすれば玲王と結構似てるキャラが居た!ただし男装女性!
単純に面白え!
オマケ4コマがアホほど笑える!
じっくり読み返そうっと - 25二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 20:07:26
保守
- 26SS24/01/09(火) 21:56:02
「おい、大丈夫か!?」
膝をついた潔に、玲王が慌てて駆け寄る。一方で、口元を抑えながら、何とか逆流してきていた胃液を呑み込んだ潔は、伸ばされた手を振り払った
「大丈夫じゃねぇよ…なんて事したんだ!」
「仕方ないだろ!現にそうしなきゃまたお前は暴れてたんだ」
「そうだけど、だからって殺された人間なんて食べたくなんかない!俺は!お前ら化け物とは違うんだ!」
「────…」
言ってしまった後で、ハッとなる。いくらなんでも自分を助けてくれた相手に化け物は言い過ぎた
「あ…ごめん」
「いいよ別に。お前らからしたら、そう見えんのも当たり前だ」
潔の肩を支えて立ち上がらせながら、玲王は一瞬だけ目を逸らし、そしてまた潔の瞳へと視線を戻した
「…でも、お前に食べさせた肉は、狩った人間のものじゃない」
「え」
「俺らは喰種だし、御影には使用人が沢山いるから、命を奪わなきゃ追いつかないときもある。でも、大抵は引き取り手のいない病死体や自分で命を絶った人間を回収して保管してるんだ…お前にとっちゃ、同族の肉に変わりはねぇんだろうけど」
「…………」 - 27SS24/01/09(火) 21:57:54
何と言われようと人肉なんて食べたくないし、それを当然のように行っている喰種は理解できない生き物だ。ただ、目の前の喰種の声がはらむ罪悪感は本物だと、潔の鋭い観察眼は捉えることが出来ていた
「それにさ…お前ももう、立派な喰種になっちまってんだぜ」
「そんなの分かってるよ」
「ならこっちの価値観とか、生き方とか、そういうのに適応してかなきゃならないんだ」
沈んでしまった空気を晴らすように、玲王は声のトーンを少し上げて話をし始める。その事に胸の内で感謝しつつ、潔の頭にはある疑問が浮かんだ
「あのさ、玲王はどうして俺を助けたんだ?」
「へ?」
「だって話を聞く限り俺はお前と戦ってボロボロにしたんだろ、敵だとは思わなかったの?」
「あー、そりゃ思ったさ。でもそれ以上にお前の強さに興味が湧いたんだ!俺もお前みたいに強くなりたい!」
パッと明るい表情を浮かべ、玲王は潔の手を取る
「お前に完膚なきまでに負けてさ、めちゃくちゃ悔しかったんだ、俺は次期当主として強くならなきゃならない。そこでだ!」
ぐっと顔を近づけながら、きらきらと目を輝かせて玲王は言う
「潔世一、俺の師匠になってくれ!」
「─────はぁ!?」 - 28二次元好きの匿名さん24/01/09(火) 22:01:28
腐ネタとかじゃないんだけど喰種の結婚って互いの体に消えないくらいの噛み傷をつけるらしくて、4コマでも主人公のカネキが過去噛み付いた敵の男相手に離縁を申し込むギャグ回があったの思い出した
それを後から知った潔が玲王と
「離婚してください…!」
「なんて!?」
みたいな勘違いからのドタバタギャグかますSSとか書いてみたいし見てみたい - 29二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 07:46:51
保守
- 30二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 16:32:10
ほしゅ
- 31二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 17:05:03
- 32二次元好きの匿名さん24/01/10(水) 22:19:01
- 33二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 07:55:32
保守
- 34二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 14:05:22
保守
- 35SS書いてる人24/01/11(木) 21:59:00
保守ありがとうございます
もうちょいかかるので保守代わりにダイス回そうと思います
潔が食べるフリを習得するのにかかる時間
dice1d3=1 (1)
1:教えられたその日にできる
2:サンドイッチまでなら三日で
3:ばぁやが付きっきりで教えて半月
- 36二次元好きの匿名さん24/01/11(木) 22:11:03
適応の速さが原作並みなの流石です!
- 37二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 07:34:14
そっこーやんw
- 38二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 12:47:12
保守
- 39SS24/01/12(金) 21:56:16
"師匠"という言葉に一瞬貫禄のある老人が脳裏に浮かんだが、急いでそれを消し去る
「何言ってんだよ!俺に教えられる事なんかねぇって!」
「そう言わずに!戦ってくれるだけで良いんだ!」
「嫌だよ!つーか俺は向かって来たから追い返しただけで喧嘩は嫌いなんだよ」
「え?そうなのか、俺の時はそっちから来たからてっきり…うーん…」
潔の返事を受け、玲王がむむむと思案する。暫く考えた後、今度は真面目な顔をして話を始めた
「潔、これからお前は喰種として生きていく。それは分かってるな?」
「お、おう」
「大変だぞ、人に馴染んで生きてかなきゃならねぇし、そもそも白鳩に見つかったら終わり。お前程の実力者ならすぐに目を付けられるだろう、そしたらお前を討伐しようとクインケを携えた白鳩どもがわらわらと襲い掛かってくるんだ」
「マジか…」
「そこで提案だ!この屋敷で住み込みで働かないか?そうしたら基本的な身の振り方を教えてやれる!」
パチンと指を鳴らしながらそう言う玲王の言葉に、今度は潔が熟考する事になった
(そうか、確かに今まで色々大変だったもんな、ここで世話になるのも…でも玲王はまともに見えるけど喰種だしなぁ、どうしよう) - 40SS24/01/12(金) 21:57:45
「…分かった、じゃあここに居させてくれるか?」
「ああ、もちろん」
「ただし!いつまでも世話になる気は無い。ある程度の知識を身に着けたら家に帰るよ」
「ん、分かった。それで良いよ、でもここに住んでたいと思ったらいつでも言えよな」
にこっと笑いながら、潔の言葉に玲王が頷く。机の上に置いてあったベルを玲王が鳴らすと、扉を開けて先程の老婆が部屋に入って来た
「はい」
「ばぁや、潔を部屋に案内してくれ。今この瞬間からコイツは食客だ。あと、喰種としての振る舞いを身に着けられるように誰か呼んでやってくれ」
「かしこまりました。それでは潔世一様、部屋までご案内いたします」
玲王の指示に深々と頭を下げた後、ばぁやは潔を連れて部屋を出る
(なんか大変な事になっちゃったなぁ、でも、何も分かんなかったあの頃よりはマシか)
この先、潔世一は様々な争いや陰謀に巻き込まれていく。その過程で、畏怖と礼賛の意を込め、彼が【魔王】と呼ばれるようになる事は、今は天の神しか知らない - 41SS書いてる人24/01/12(金) 21:59:05
ここで一旦区切りです
次のSSは凪視点の玲王討伐でグロ猫写入るので苦手な人は注意して下さい
それから質問なのですが、潔の教育係は誰が良いと思いますか? - 42二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:11:46
- 43二次元好きの匿名さん24/01/12(金) 22:18:44
御影家の専門部隊メンバーが斬鉄、乙夜、オシャだっけ
オシャ捕まってたと思うから斬鉄・乙夜とか良さそう - 44SS書いてる人24/01/13(土) 08:39:11
- 45二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 13:39:06
斬鉄か!専門用語説明できるかな?
- 46二次元好きの匿名さん24/01/13(土) 22:17:45
保守
- 47今回はグロ入るSSです24/01/13(土) 23:11:46
討伐対象は【変幻自在】
S+レートの喰種であり、滅多に出現しない上に赫子を自由に変形させられるため対策が難しい喰種であるようだ
今回、やっとその足跡を掴めたと言う事で、確実に仕留めるべく凪が招集された
単独でSSSレートを討伐した実績を持っているためだろう。非常に面倒くさい
「准特等、しっかり」
「ヤダー…もうお前がやってよ」
「無茶言わないで下さい!!」
明日は玲王と約束がある日なのだ、どうせ連れ回されるんだからしっかり休んでおきたいのに。部下の小言を聞き流しつつ、仕方なくクインケを持ち直した凪は、人気のない駐車場で例の喰種が出てくるのを待つ
「………!来ましたよ、准特等」
「分かってる」
暗闇の中から、三人の喰種が現れた
しっかりと仮面で顔を隠している。先頭に立つ身長の一番高い喰種が【変幻自在】だろう、脇に控えた二人は付き人なのか、周囲を警戒している様子だ
「じゃ、サクッと終わらせよう」
「はいっ」
日本刀の形をしたクインケを取り出し、凪は一歩を踏み出す。続く部下はサポート役で、羽赫のクインケを使う
一太刀浴びせると、大抵の喰種は消し飛ぶ
実際、脇に控えていた二人の喰種はあえなく両断されて息絶えた。だが
「…へぇ、お前は結構やるね」
「─────っ!!?」
咄嗟に身を伏せた【変幻自在】は無事だった…いや、肩が浅く裂けている
「どうでもいいけど。どうせ死ぬし」
(……凪、お前、どうして)